プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2007年06月

極意

 まず、「牌効率」や「何切る選択」といった基本的な技術が必要であることは言うに及ばない。

 その次。
 その先にある、フリー雀荘で真の“勝ち組”になるのに必要な戦術とは一体何なのか――。

 
マイコミ麻雀BOOKS
「最強メンバー勝利の決め手」


 


・著者:日本プロ麻雀協会
・定価:1,449円(税込)
・四六判 224ページ
・ISBN978-4-8399-2433-1
・発売日:2007年06月22日



 長年、フリー雀荘で勝ち凌いできた長者たちがその秘訣の全貌を公開。
 放銃抽選理論、着順獲りの極意、実戦譜を用いての押し引きの考え方等々を紹介。

 私も、戦術と簡易なコラムを書いています。

 その他、日本プロ麻雀所属のプロ雀士によるフリー麻雀対決を掲載。
 
(対局プロ) 
 プロ協会Aリーガー  木原 浩一
 仙台の雄        山本 政樹
 第三・四期雀竜位   小倉 孝
 オータムカップ覇者  吉田 光太

 
 フリー雀荘で、ネット麻雀で勝ち組を目指す方に読んで頂きたい一冊です。
 宜しくお願い致します。


 

転生

 残された三枚の牌に、この手の命運は託されていた。

(北家 ドラ 九索


三萬六萬七萬七萬七萬三筒三筒六筒四索四索四索北北


 三萬六萬六筒
 吟味に吟味を重ねて残した牌である。

 そこへ、場に二枚切れの 八萬 を引いてくる。


  三萬六萬七萬七萬七萬三筒三筒六筒四索四索四索北北  ツモ  八萬


 そうまでして、私をたぶらかそうというのか。

 ゲームも佳境に差し迫った南三局。
 萬子の上の変化を考えれば、当然 八萬 を残した方が柔軟だ。


 しかし、この手牌で面子手の効率に迎合する必要はまるでない。
 無心で、河に放った。


 すると、その二巡後。
 待ちに待った牌を引いてきた。


 三萬六萬七萬七萬七萬三筒三筒六筒四索四索四索北北   ツモ  六萬
 

 あとは――、過ちの無いよう幾度となく踏んできた道筋を辿るだけである。


 直ぐに 三筒 を引き込んで、リーチ。

 上家が追っかけのリーチ棒を出しきらぬ前に、私の指先は牌の鋭い彫りを捉えていた。


 六萬六萬七萬七萬七萬三筒三筒三筒四索四索四索北北   ツモ  北


 狙い通りの一発自摸四暗刻。


 だが、よくよく考えてみると 八萬 をもし切らなかったとしても、おそらく 六萬 は手中に留める。
 どの道、 六萬 の重なりを取りこぼす手順は無かったのである。


 先日潰してしまった朝埜氏の四暗刻が私のところに還ってきただけなのかもしれない。

 

 


ブログランキング グレー
 blogランキング  
 


魔女

「どうも納得がいかない。吉田クンが居たのにアノ手が和了れないなんて」

 戦いを終え、一人先に家路の途についた朝埜氏からこんな内容のメールが届いた。
 

 彼が言っているのはこの日の最終半荘の手である。
 私の古い雀友であるレフティを招き入れてのセット。急な催しにも関わらず、建築関係の会社に勤める朝埜氏と、最高位戦の土井裕美子プロが駆け付けてくれた。


 最終、七回目の半荘。
 私とレフティがややポイントに余裕があるものの、朝埜氏も土井プロもワントップで浮きに回ることができる。


 その、東三局。
 南家の私は好形一向聴で時機を窺っていた。

(南家 ドラ 四索 )


五萬六萬七萬五筒六筒七筒二索四索六索七索東東東


そこへ、親の土井プロからリーチが入る。


 北九索一筒二索南九筒
 九萬横  リーチ


 一発目、無スジを叩き切る。
 この手格好ならば戦えるところまで前に出るべきだ。

 だが、逸る私に朝埜氏が待ったをかける。

「リーチッ!」

 乾坤一擲とばかりに、気合もろとも  四筒 を横に曲げてきた。

「ロン!!」

  
 上擦る声で手牌を倒す土井プロ。
 余程の大物手なのか、嬉しさが伝わってくる。


 一萬二萬三萬五萬五萬赤六萬七萬八萬三筒五筒赤四索四索四索   ロン  四筒


 ドラが暗刻の赤々嵌張リーチで18000点の和了。
 この一撃で箱を割った朝埜氏が口惜しそうな表情で手牌を開く。


 四萬四萬六筒六筒五索五索赤五索九索九索九索中中中



 手牌と、宣言牌を見て彼の悔恨を諒解する。

 外すに外せぬ 四筒 であったのだろう。
 土井プロがリーチを留保していたら声がかからない牌である。


 何の気兼ねなしに、彼の一発自摸の牌を捲ってみた。
 もうこれで終わりなのだから、それぐらい構わない。

 カチャリと指でひっくり返すと、なんとそこには 四萬 が顔をのぞかせた。



「やっぱり納得がいかない。blogを読んでいる限りでは、コウタは役満被災男のはずなのに――!」

 渋谷にある焼肉の名店「あじくら」から、メールを返す。

「きっと、魔女が相殺してくれたんですよ。ほら、最近の彼女、負け知らずだから」
「そうか。ではキッチリと毒を飲ませておいてくれ給え」
「ええ、ジョッキに入った毒をたっぷりとね」
「よろしく!!」


 朝埜さん、今度は二人で毒を飲みに行きましょう。
 私の被災記録が終わったことのお祝いも兼ねて。




ブログランキング グレー
 blogランキング  
 





 

光露

「麻雀を打つ上で、最も大事にしていることは何ですか――?」

 遡ること十一〜二年前、当時最も尊敬していた雀マネに訊いてみたことがある。
 私は、牌効率や押し引きといった類の答えを想定していた。
 この世界で長いこと凌いできた雀鬼なりの戦術論というのがある筈だ。

 しかし、彼は少し照れながら意外な言葉を口にした。
 

「やっぱり――、コンディションを整えることかな」
「コレで喰っていて、毎日生業として打つのだから、やっぱり万全の状態で卓に着くようにしなくちゃダメだよ」


 私は今日負けた。
 毎日毎日、仕事でも休みの日でも朝から夜まで麻雀漬けの日々なのだ。
 全勝力士など存在しない。当然、負ける日もある。

 だが、今日は明らかにコンディションの管理を怠った所為で負けた。
 結果如何ではなく、負けるべくして負けたと言って良い内容だった。

 
 光露こうろのような、生き方だと思っている。
 生活の大部分を麻雀に依存し、いつ弾け飛ぶかも分からない。
 市民生活の、様々な権利や義務を放棄し、やるべきことを先送りにして、這いずるように麻雀にしがみついている。
 若しかしたら、麻雀打ちに憧れるごく僅かな人間から見れば輝いて見えるのかもしれない。

 だが、今こうして過ごしている日々は儚く、いつ夜空に散るとも分からない花火のようなものである。


 牌に生き、悔いのない軌跡を描けるよう、あの日授かった訓戒を思い出そう。
 せめて、一瞬でもまたたいている今だけは。


 


ブログランキング グレー
 blogランキング  
 





 

次点

 プロの世界には“研究会”と呼ばれる催しがある。
 その多くは、団体の枠を超えて集まった有志が対局役と観戦役に分かれて闘牌と検証を行うといったものだ。

 今回、参加させて頂いたのは、第十五期 最強位の鈴木たろうプロが主催する研究会だ。
 対局役はたろうプロの他に、第十期マスターズ優勝の水巻渉プロ、第六期雀王の須田良規プロ、そして小生である。


 最初の半荘、僥倖の和了を重ねて東場の親で47000点まで点棒を増やすも、たろうプロが連続して満貫の自摸和了。
 南入りしての親番でも私の追っかけリーチを振り払っての2000オールであっという間にトップ目に立つ。

 その後、一度は再逆転するものの、親番で水巻プロの跳満の親っかぶりをした私をたろうプロが振り切ってトップ終了。
 私はツイていたにも関わらず、星を落とした形となった。


 迎えた二半荘目。
 東一局、荘家のたろうプロに親満の放銃。
 ツモり四暗刻の一向聴からノーケア牌での振り込みではあるが、緩手であることには違いない。


(北家 ドラ 發


 二萬二萬四萬四萬五萬五萬四筒四筒四筒發中中中


(たろうプロ 親)


 一萬一萬一筒二筒三筒五筒六筒七筒八筒八筒發發發   ロン  一萬

 
 この後、たろうプロの親番を落とした須田プロが連続満貫を和了り、一躍トップ目に躍り出る。
 私は南場のたろうプロの親番で辛くも満貫を自摸るも、上位陣にはまだほど遠い。
 だが、次局、須田プロの早いリーチにたろうプロが一発で飛び込んで18000点の放銃。
 脇移動で助けられた感じの私がその後の局を凌いで何とか二着。


 その後、牌譜を基に三時間ほどかけて十数人で二半荘を検証。
 各人の緻密で、懐の深い手牌進行理論を生で訊かせて頂いた。


 日が変わって今日は最高位戦ルールでのセット。
 最高位戦Aリーグの村上淳、佐藤崇の両プロに、将来のAリーガーと目されている清原大プロ、そしてサラリーマン雀ゴロのアケノ氏。
 
 五人打ちの五回戦で開始された戦いは一進一退の攻防。
 私は四半荘すべて起家スタート。
 内、三回を起ち親で先取点を挙げるが、オーラスで二回、ラス前で一回捲くられてノートップの2,3,3,2着。

 和了逃しは無いし、今の私の力量で回避できた放銃も無いと思われるが、如何せん大事な局面での力不足は否めない。


 最高位戦ルールはオカ無しのウマが1万点・3万点なので、二着の比重が大きい。
 しかし、二日間の戦いでノートップ。
 そして、辛うじて浮いてはいるものの、勝利と呼ぶには程遠い内容である。


 今は敵わないかもしれないが。
 着順も、格上のライバル達との戦いも、次点で良いなんてことはある由もない。





ブログランキング グレー
 blogランキング  
 





 
 

功徳

 ここ最近、どうもツイている和了が多い。
 効率だけでいえば決して誉められた手筋ではないが、それがウルトラCへと繋がっているのだ。

 トップまで12500点差で迎えたオーラスの親番。
 配牌を取ると、三元牌が五丁。


(東家 ドラ 六萬


二萬三萬三萬八萬二筒四筒二索九索北白白發中中


 緑発をトップ目に序盤で捨てられるも、六巡目までに紅中と白板を叩いてどうにか他家の動きを抑止することに成功した。


 三萬三萬六萬八萬四筒四筒發  中中中横  白白横白


 私は序盤に四萬を捨てているが、流石にトップ目の上家もドラ傍の 七萬 は下ろしてこない。
 そこへ、引いてきた牌は 四筒


  三萬三萬六萬八萬四筒四筒發  ツモ  四筒  中中中横  白白横白


 一応の7700聴牌である。
 いや、一応どころか平素であれば十分な打点だ。

 仮に、点差が10400点以下であったならば、間違いなく聴牌を取っただろう。
 だが、直撃の芽も薄い嵌張での聴牌。
 私は意を決し、打 八萬 とした。


 もし、 三萬 が叩けるようであれば、対々和の聴牌に取ろう。
 ドラ単か、小三元か。
 そんな考えを巡らせていた矢先、私は四枚となる 四筒 を引いてきた。


 手牌を晒すということは、それだけ相手に選択や対応を与えることとなる。
 対々和になった場合のことを勘案しても、出切るだけ他家に情報を与えたくはない。

 だが、思い切って槓を試みた。
 そもそも、最初の聴牌崩しが常道から外れているのだ。
 思い切って狙ってみよう――。


 そして、ケツから持ってきた。
 ザラリとしたやつをだ。

 その、二巡後――。
 指先に、先ほどと同じ感触が走った。


 三萬三萬發發   ツモ  發   裏四筒四筒裏  中中中横  白白横白



 僥倖の16000オールで、トップ終了。

 これは、あの長く辛い時間を耐え抜いた先にあるご褒美なのだろうか。
 浴びるほど、役満を受けたあの時間を。


 


ブログランキング グレー
 blogランキング  
 





 

降臨

 「2」だ、「2」。
 理由なんかない。
 兎に角、「2」なんだ。

 配牌を手に取り、三巡目まで進んだところで、私は頭の中でそう繰り返していた。
 別に麻雀の打ち過ぎでおかしくなった訳ではない。
 ただ、そう感じたんだ。

(南家 ドラ 二索
 

 二萬二萬三萬五萬五萬七萬二筒二筒三筒二索北白白


 ここから下家の切った 二萬 に飛びついた。

 すると、立て続けに有効牌を引き、手牌は急激な纏まりをみせる。


 五萬五萬二筒二筒二筒一索二索北白白   二萬二萬二萬横



 そして、七巡目に聴牌。


 五萬五萬二筒二筒二筒一索二索北白白   ツモ 三索   二萬二萬二萬横


 白板バックの二千点聴牌である。
 あの手格好からは充分すぎるとも思えるが……。

 実は、道中で持ってきた 一索 がずっと引っかかっていた。
 面前を放棄してまで描いた構想はこんなものだったのであろうかと。


 そこへ引いたきた牌は、ドラの 二索 ――。


五萬五萬二筒二筒二筒一索二索三索白白  ツモ 二索   二萬二萬二萬横



 順位獲り戦の要素が高い東風戦では、一つの和了に対する価値が高い。
 換言すれば、和了逃しは非常に痛手である。
 面子のレベルが上がれば上がるほど、ロマネスクな聴牌形や和了を追う者は負け組みとなる。


 何がそうさせたのかは判らない。
 私は反射的に打 三索 とした。


 すると、次巡引いてきた牌は黄金色に輝く金五萬。
 一索を払って、高速の聴牌組み換え。


  五萬五萬五萬赤二筒二筒二筒二索二索白白   二萬二萬二萬横


 ここまで来れば私の和了番であることはもはや寸毫の疑いもない。

 二巡後、下家のリーチ宣言牌が 二索 で、16000点の出和了。


 五萬五萬五萬赤二筒二筒二筒二索二索白白  ロン 二索  二萬二萬二萬横   

 

 あそこでドラに手をかけていたら、和了は無かったかもしれない。

 あの閃きは天からの啓示であったのだろうか。
 それとも、ただ単に勘が冴えていただけか。


 いずれにしても、トイツの神が私に舞い降りた瞬間だった。


 


ブログランキング グレー
 blogランキング  
 





 
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ
プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/





第1期オータムチャンピオンシップ 優勝
第7回 野口恭一郎賞 受賞
第10回モンド21杯準優勝
VS研究会 第7期、第8期連覇中


bnr_kingdom200x200


















麻雀 ブログランキングへ







連絡先



bnr_asami





bnr_hanamura






bnr_nozoe





bnr_emori





bnr_hazuki





bnr_mikoto





bnr_hinata






bnr_ishii





bnr_sugawara





bnr_higuchi






アクセスランキング
アクセスランキング