プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2007年11月

太刀

 絶対に取りこぼしが赦されない辺張があった。


(南三局 西家 ドラ 四筒


 三萬四萬四萬五萬赤六萬六萬四筒五筒八筒九筒三索四索五索赤


 この 七筒 が埋まるようなことがあれば、和了にかなりの期待が寄せられる場況だ。
 綺麗に打って、容易に外せる二枚ではない。道中で引いてきた索子の誘惑を断ち切って、そのときを待った。


 勝負も佳境に差し掛かった十三巡目。
 私の手牌に飛び込んできたのは序盤に一度切っている 八萬 だった。


 三萬四萬四萬五萬赤六萬六萬四筒五筒八筒九筒三索四索五索赤  ツモ  八萬


 索子を掃った以上、半端な牌で向聴を落とすことは出来ない。第一、巡目がそんな猶予を与えてくれはしない。
 指の腹でもう一度軽くなぞり、 八萬 か、と思う…。


 意を決して、打 九筒 とした。
 七萬 だ、 七萬 を引いてくれば神にさえ成れる。

 すると、次巡の自摸がドラの 四筒 ――。


  三萬四萬四萬五萬赤六萬六萬八萬四筒五筒八筒三索四索五索赤   ツモ  四筒


 これ以上無いタイミングで上家から 七萬 が打たれ、仕掛ける。


 三萬四萬四萬五萬赤六萬六萬八萬四筒四筒五筒三索四索五索赤


 ここまで上手く行ったら、と期待を寄せて山に手を伸ばすとお約束のように一発で和了牌が下りてきて、満貫の和了をものにした。


 三萬四萬四萬五萬赤六萬四筒四筒三索四索五索赤   ツモ  二萬   七萬横六萬八萬


 変幻自在とまでは行かなくても。
 無数に存在する和了への道筋を探し当てるためには、太刀も柔軟に構えなければならないということを再認識させられた。








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道程

 駅からの帰り道、コートの襟を立てて身震いを一つした。
 凍てつくようなアスファルトがアルコールの入った身体を刺激する。
 
 最近はお通夜で打つことがめっきり少なくなったし、酒が入って遅くなったときはタクシーで帰還することが多い。
 朝まで飲み明かし久しぶりに始発で家路につく途中で、冬の朝の匂いに酷く懐かしさを感じた。

「もう、あれから二年経つのか…」
 と独白し、あれがもう二年前かと思う。
 もっと、何年も昔のことに思える…。

 
 まだ勤めを続けていたころ、毎日のように朝方までキツい戦いに身を投じ、この道を何度も日も昇りきらない時間に歩いた。
 ちょうど精神的にバランスを崩し、ツキも欠いて負け続けていたころだ。

 今日こそはと幾度も思い、日課のようにATMで弾丸を下ろし、それを四散させて帰路につくという日の繰り返しだった。
 仕事と勝てない戦いで全精力を使い果たし、暗く冷えきった部屋にほうほうの体でたどり着く。氷のように冷たくなった布団に潜りこんで丸くなろうとも、寒さと込み上げてくる口惜しさで眠りにつくことも侭ならない。

「負けも、必要経費だ」
 と自分自身に言い聞かせる。
 これで、積み重ねてきた。強さと凌ぎはまた違う。トータルで数字を纏める力は誰にも負けると思わない。
 だが、刹那的に勝たなくちゃならない勝負がある。プロとして、男として勝たなくてはならない相手や負けられない日がある。

 なぜ、今日負けたんだ…。
 明日は勝てるのか。だが、明日勝ったところで、それはもう今日の面子ではないじゃないか。
 そんなことが頭の中を堂々巡りし、部屋に暖気が行きわたるころにはもう出勤のためのシャワータイムだ。


 どこかが毀れてないと、この世界はやっていけない。
 私は超がつくほどの負けず嫌いだ。そのお陰で麻雀を続けているし、そのせいで離れることが出来ない。

 二年前、敗北感に打ちひしがれながら駅からのこの道を歩いていたときは死ぬほど勝利や結果に餓えていた。
 あれから、自分を取りまく環境や生活がかなり変わった。麻雀に費やす時間は格段に増えたが、酒に淫したり、プライベートで周囲に隙を見せることに抵抗がなくなってきている。

 楽しく生きるのはそりゃあ別に構わない。
 そう過ごしたい友人や知人が増えるのも結構なことだ。
 歳を取れば麻雀話を聞いてくれる相手や温もりを与えてくれる相手が欲しくなったって不思議ではない。


 だが、牌の道だけは、歩み寄りだけは変わらずに自分の中に在り続けて欲しい。







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場況(掘

 上家から打たれた 七索 を脇目に牌山に手を伸ばしてみると、私の自摸牌は 東 だった。


 三萬四萬三筒三筒七筒八筒三索四索四索五索六索八索八索   ツモ  東


 これは場に二枚切れ。ほぼ場の共通安全牌とみて良いやつだ。
 これでこそ動かなかった甲斐がある。

 さて、ここで一つの選択肢が生じる。
 それはこのまま 東 を自摸切るか、もしくは 東 を親も含めた三者に対する安牌として備蓄して、 八筒 を打つかというものである。

 実は、観戦をしていた人からそういった問題提起があったのだ。
 

 確かに親からリーチが入り、手詰まりになるのは怖い。
 三件リーチに安牌がゼロなんて状況は御免被りたいものだ。

 しかし、それはあくまでも“リーチ者二名が和了ることなく”、且つ“親が追っかけリーチを打った場合”という仮定の状況での危機である。

 今、完全に無防備でめくり合いをしている人間が二人居る。
 そのどちらかが自摸和了ることも振ることもなく、親が二軒リーチを掻い潜ってリ追っかけを成立させ、そして私が完全に手詰まりという状況だ。

 これは、優先順位としては後回しで良いと思う。
 将来的に 八筒 が切れなくなる可能性はあるが、手変わりをした親に今 八筒 が通るという保証もどこにもない。
 ここで親に放銃をするということは、この局の放銃者となるべくはずだった者を助けてしまうことになるかもしれない。


 したがって、この状況では 東 の自摸切りで問題ないと思う。


 かように、場況によって一巡一牌の動き、在り方がめまぐるしく変化する。
 見えざる部分と戦う以上、その場で見えた範囲で正解というものが必ずしも導き出せるものではない。これが麻雀というゲームが奥深い所以であるわけだが。

 確信がある。

 おそらく私などではこのあまりにも深い海の底を目にすることなく一生を終えるだろう。
 しかし場況をより正確に、より実用的に把握するためには、実戦を重ねて読みや感性を鍛える以外の術などないというのもまた事実だ。






 


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場況(供

 前出の問題を考えるにあたって、まずこの手牌が“守勢”であることの認識が強く必要である。
 
 ということは、第一に“放銃を避けること”を考えるべきである。
 次いで、“自分の失点の可能性を低く”し、そして“失点をなるべく小さいものにすること”の順序で考えればよい。

 放銃の回避に関してであるが、 八筒 が二軒リーチの現物である。
 また、 七索 が通っていて 二索 が四枚見えているので、 一索四索 がノーチャンスとなっている。
 南家、西家ともに捨て牌から 四索 のバッタ受けは否定して良いし、三索五索七索 からのリャンカンの絞り込みによる嵌 四索 も無い。
 
 無論、この牌が通る確率は100%ではない。
 しかし、実戦において大事なことは、レアケースや変則的なパターンを惧れるあまり、道理と異なる牌を抜いてオリてしまったり通る牌で手組みを放棄してしまわないことだ。
 私は平面的な何切る選択や確率統計の力は言わずもがな、与えられた場況に対しての正確な読みと対応力こそが勝負の明暗を分けるものだと考えている。

 
 本題に戻るが、 八筒四索
 都合三枚の現物があれば流局まで凌ぐことはそう難しいことではないかもしれない。

 しかし、それでも私の答えは「ノー」である。
 “放銃を避けること”とは、換言すれば“場に放銃の可能性を孕んだ牌を打ち出すのを少しでも回避すること”だと思う。
 
 二人の一発が消えるのは良い。
 しかし、次の自摸が安全牌ならば確実に凌げる巡目が一回増えるのだ。
 点棒に大きな動きがあるわけではない序盤戦、西家か北家のどちらかが一発で打ち込んでも大勢に影響はそれほどない。

 また、親が聴牌していないとは言い切れない。牌山に手を伸ばして持ってくる牌が場の共通安全牌だった場合、途轍もないロスをしたことになる。
 副露で晒した 六索八索 がリーチ者の現物になる可能性もあるし、 七索 がもう一枚顔を見せればノーチャンスの対子が手の内に出来上がる。

 
 さらに、“自分の失点を回避する”一つの筋道として、親がリーチ者に振るというケースもある。
 親の動向はまだ判らないが、オリに回って安牌に窮することだってあるだろう。仮に、 七索 を打ち出した後の親の索子の部分が 八索八索九索九索 といった具合であれば、晒した一枚の 八索 によって 九索 がワンチャンスであるという情報を与えてしまう。
 

 このように、ここで自摸山に手を伸ばさないことのリスクを挙げたら枚挙に暇が無い。
 最も肝心なのは、自らが誰かに放銃をするということは、リーチ者または親が和了合い、振り込み合う機会をも逸しているという点だ。
 これらの点を鑑みて、守勢がテーマとなる局面で鳴きを入れるのはかなり不利な一手だと考えられる。
 
 
「場況は、生き物」とはよく言ったものである。
 ここで、自摸ってきた牌の行方も探りたい。




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場況

 やればやるほど、麻雀というゲームはつくづく場況との戦いだということが判ってくる。
 それが天性の感覚であろうと修練の賜物であろうとも、場況をしっかりと把握して強い受けを造る打ち手は人よりも多く和了ることができるし、守勢に回ったときの対応も厚みが違ってくる。
 

 この場況に関連して、私は麻雀を打つ上でとても大事にしていることがある。
 それは、戦いの中で“数牌を出来るだけ他家に見せないようにする”ということだ。

 麻雀は隠れたる部分を読みあい、推理するゲームである。
 周囲のレベルが上がれば上がるほど、不要に見せた一牌が傷となる可能性がある。
 繰り返すようだが、打撃系の打ち手であろうが場況に合わせて手を作ってくる実戦派だろうが、和了るのが上手い人というのは自分の手牌と場を整合させる力が長けている。
 
 したがって、私は配牌からオリるのであれば、十八巡のあいだ 白 だけを切って終わりたい。
 許されるのであればの話だが。

 
 先日、こんな状況があった。
 場に大きな動きはない東二局、私が自らの和了に見切りをつけ始めたていた十四巡目に西家と北家から二軒リーチが入った。


(東二局 ドラ 七筒


 東家 捨て牌

 西南一索一萬發二索
 八萬東西西二索四筒
 二萬北

 西家

 一筒發南發八萬三筒
 二索三萬北白九萬七索
 八筒中横   リーチ

 北家

 南西白中北三萬
 北二索中一筒一索八筒
 五索七索横   リーチ


(南家 私 手牌)

 三萬四萬三筒三筒七筒八筒三索四索四索五索六索八索八索


 私の手の内には二軒リーチの共通安牌として 八筒 がある。
 とそこへ、リーチを受けた親が一発目に手出しで 七索 を打ってきた。
 

 喰うべきか否か。
 競技ルールなので、祝儀はない。

 喰えば、現物を切って二人の一発を消すことができるが……。




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動画

【WEBで見れる麻雀動画番組 いよいよ放映開始!!】

 若手プロによるガチンコ勝負「J-CUP」の動画配信がいよいよ始まりました。
 「J-CUP」は各団体売り出し中の若手プロによる赤有り東風戦の新しい大会です。

 第1回目の放送は「予選1回戦 A卓」


 金村直樹(協会)×櫻井リョウスケ(RMU)×佐藤聖誠(最高位戦)×吉田光太(協会)


 という戦いの模様が配信されています。
 興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

 無料で配信を受け、その場でPCから見ることが出来ます。
 秋の夜長は麻雀動画で。

 
 まだ1回戦のみの配信なので、放映時間は十分間です。
 夕方以降からの配信となります。
 

<今すぐ配信!!>
 
 麻雀ポータルサイト
 「麻雀倶楽部」
 http://www.mahjong-club.net/index.htm#



 
*PCの接続環境によっては、全てのデータを取得するのに時間がかかる場合があるかもしれません。
 最初や途中で再生が始まらない状態になると思いますが、全データ取得後に再生が開始します。
*もしかしたら「GOM PLAYER」という動画再生ソフトが要るかもしれません。
 同ソフトはコチラから無料でダウンロードできます。
 http://www.gomplayer.jp/
 
 
 番組の感想、ご要望等がありましたら「麻雀倶楽部」までお寄せ下さい。
 



…………………………………………………………………………

〜概要〜

 インターネットによる初めての麻雀動画番組の放映が11月12日(月)夜スタートし、現在好評放映中だ。
 記念すべきプログラムの第1弾は、次代の麻雀シーンを担うべき若手プロを団体の枠を超えて8人選抜、2卓に分かれて予選を行い、各卓上位2名ずつが決勝に進出する。
名づけて「J-CUP」。これは麻雀の「雀」、若手を表す「Junior」、そして今後の躍進を祈念して「Jump」のから「J」の頭文字をとったもの。もちろん、この8人の中から「日本」を代表する麻雀プレイヤーが出て欲しいという我々の願いも込められている。

 ルール・システムは25000点持ちの30000点返し、リーチ一発・裏ドラ・赤ドラあり、トビなし、アガリやめなしの東風戦。予選は同じメンツで3回を戦い、卓内上位2名が決勝(同じルールで3回)を戦う。

 第1回目の放映は11月12日(月)、金村直樹(日本プロ麻雀協会)・櫻井リョウスケ(RMU)・佐藤聖誠(最高位戦日本プロ麻雀協会)・吉田光太・(日本プロ麻雀協会)による予選A卓の模様をお届け中。

 打ち手としてのプライドはもとより、団体の名誉も背負って戦う若手たちの闘牌にぜひとも注目いただきたい。







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お詫び

 11月8日付け「牌譜」の記事内で頒布した、とつげき東北さん、鈴木たろうプロ、市川裕樹プロ、私の公開対局の牌譜に誤りがありました。

 細かい誤りがいくつかあったのですが、特に「二回戦 南二局0本場」のドラが正しくは 三索 のところ、牌譜上では 四索 と表記されていました。

 これは、 三索 の誤りです。
 記録のデータ入力者が表示牌とドラを勘違いして打ち込んでしまったようです。そして私どものチェックにも落ち度がありました。

 この“ドラ違い”により、とつげき東北さんが四巡目に


 二萬三萬四萬五萬五萬七萬八萬三筒五筒七筒七筒三索四索

 という手牌にドラの 四索 を持ってきて、そのまま自摸切っていることになっています。
 これは正しくはドラが 三索 ですので、ドラの二面ターツを活かす自然な打牌です。


 訂正してお詫びいたします。
 大変申し訳ありませんでした。

 今回のドラの誤表示により、麻雀研究者の第一人者であられるとつげき東北さんの名誉を著しく傷つける結果となりました。
 また、牌譜を閲覧して下さった方々にも誤った情報により誤解を与えてしまいました。

 今後このようなことがないよう努めて参ります。
 とつげき東北さんには直接連絡を取って、お詫びいたしました。
 
 皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。



日本プロ麻雀協会
吉田光太





牌譜

 過日行われた、とつげき東北さん、鈴木たろうプロ、市川裕樹プロと私の公開対局の牌譜をアップロードいたします。
 興味のある方はダウンロードをしてみて下さい。

(牌譜DL)
 http://www.geocities.jp/michishirubeism/totutaikyoku.lzh


 ■ルール
 一発、裏ドラ有り。
 ウマがトップ者から順に+30p、+10p、−10p、−30p。
 3万点持ちの3万点返しで、オカは無し。テンパイ連荘。
 赤牌、箱割れ終了、途中流局、オーラスの親の和了止めは無し。

 ■システム
 半荘二回戦のトータルで優勝者を決定。
 全員が最後まで優勝を目指します。


 なお、対局者による内容の解説や感想戦、今回の対局に至った詳しい経緯などについては雑誌の方に記事の掲載を予定しております。
 寄稿と編集の関係で、掲載は年末か年明けになる見込みです。決定しましたら告知いたします。



…………………………………………………………………………………………………


 同牌譜は、「パイフン」というソフトで閲覧することが出来ます。

→「パイフン」をお持ちでない方はコチラからダウンロードできます。

「JANPARK」
 http://www.tateyama.or.jp/~imachan/pfdnload.html

*フリーソフトです。
*ダウンロード(以下「DL」)を選択し、「保存」を選んで、PCの適当な場所に保存します。
 DLしたものをダブルクリックすればソフトが起動します。
*牌譜形式の他に、「表示」コマンドから「実戦形式へ」を選択することで、実戦のように進行させて見る事もできます。


 また、同牌譜は圧縮された状態になっています(LZH形式)。
 パイフンで見るためには「解凍」をする必要があります。

→PCに解凍ソフトが入っている場合。
 “牌譜”をPCの適当な場所に保存します。
 フォルダを選択しながら「右クリック」をし、「全て展開」を選択して、ファイルを展開します。

→解凍ソフトが入っていない・「右クリック」しても「全て展開」のコマンドが出ない場合。

「窓の杜」
 http://www.forest.impress.co.jp/lib/arc/extract/extracter/lhasa.html

 コチラのサイトから解凍ソフトの「Lhasa」をDLして下さい。
 LZH/ZIP対応の簡単な解凍フリーソフトです。




日本プロ麻雀協会
吉田光太







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断罪

 膨れた牌を先打ちするかどうかの判断は難しい。
 常に手ブクで構えたのでは勝てる局面を選ぶことができないし、かといって本来和了目があったにも関わらず先切りをして聴牌を逃すというのもあまりにも拙攻といえる。

 オーラス、トップ走者を2000点差で追う二着目での出来事だった。

(北家 東四局 ドラ 七筒


 東五萬六筒七筒北九索中八筒四筒五索赤發一萬二索


 という配牌を好自摸に助けられながら丹念に進めて行った。
 三着目も私のすぐ後ろにつけているため、字牌の切り出し一つにも過ちは許されない。

 九巡目。
 有効牌を立て続けに引いた手牌はかなりの纏まりを見せていた。


 六筒七筒八筒四筒四筒四萬北五萬四索五索赤五索九索九索   ツモ  九索


 場イチの 九索 を引き込む絶好の自摸で一向聴。
 ここで安全牌の 北 を先打ちするかどうかだが……。


 私は基本的に相手の手牌進度が読める場況以外では、自分の聴牌を優先に手組みをして良いと考えている。切り遅れたら止めれば良いだけの話だ。
 無論、遅い巡目での勝負を目論む場合や、余程のリスクが伴う場合は手牌を削ぐが、強い受けの芽や手役の可能性はぎりぎりまで追った方が良い。
 
 三者の和了っこという状況のオーラス。まだ場に動きは出ていない。
 ノータイムで 北 を切り出した。

 下家の親が打牌をし、三着目の対面の番に差しかかった頃だった。
 ふと何気なく自分の河に視線を落とすと、不思議なことにそこには萬子が置かれていた。
 すぐに、十三枚の手牌へと視線を走らせる。


 六筒七筒八筒四筒四筒四萬北四索五索赤五索九索九索九索

 
 もう一度だけ目を瞠って手牌と河を見比べたが、事は既にあとの祭り、込み上げてくるものは自分への怒りだけである。


 ちなみに次巡の自摸は 五索 で、抜き間違えがなければ即聴牌していたことになる。
 修復不可能となった私の手牌を嘲笑うかのように、三着目の対面がリーチ宣言。
 ただし、その宣言牌の 五索 がトップ目の闇テンに放銃となった。私はもしも 北 を先打ちしていなかったら三着に転落していたようだ。


 人間のやることだから、ある程度は仕方がないのは判っている。
 息継ぎ無しで展開の速い東風戦を何時間も打ち続けるのだ。年間にしたら五千回近い回数を。

 しかし、これを本業としてやっているのだ。
 勝負に負けることや、過程で手牌が上手くいかないことは有ったとしても、そこに至る前の失策が赦されるはずはない。







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追憶

 早いもので今年も残すところあと二ヶ月。
 雨が降ろうと風が吹こうとも公私共々麻雀三昧な一年ではあったが、つい先日仲間内で今年のアレの回数が話題となった。

 おそらく私は例年とさほど変わらない回数だったと思う。まだ丸二ヶ月あるから最終的に何回に収束するかは判らないが、極端に豊作だったり枯れていたりということはないだろう。
 そこで、ちょっと気になったので“アレ”の回数を正確にカウントしてみることにした。

 “アレ”とは役満のことである。

 指折り数えてみると、今年は四暗刻が六回、国士無双が四回で、大三元と小四喜が各一回の都合十二丁であった。
 ちなみに、四暗刻は四暗刻単騎を一回含んでいる。
 和了したものとは逆にバットが空を切ったものも仰山あった。上掲の役以外だと、緑一色と地和の聴牌止まりが一度ずつ。

 これらの役満の中でも、一際印象に残っているのは窮地を救ってくれたこの二つだ。

 実に、九分の一という予選通過を後押ししてくれた一鳴き小四喜。


(東一局 北家 ドラ 八筒


東東南南南西西北北   ツモ  西   五索横五索五索

 遊び心を交えた手組みが功を奏した一撃だ。

 そして、人生を懸けた大一番で放った六順目リーチでの国士無双。


(東四局 南家 ドラ 三筒


一萬九萬一筒九筒九筒一索九索東南西北白中   ロン  發


 この天から授かった二つの役満が、長い長い道のりに終止符を打った。
 

 今年も、まだまだ。
 ローペースながら、十五個までにはたどり着きたい。


 ところで最近、雀荘の壁に役満賞の名前を貼り出していたのがひどく懐かしい。
 青臭い年頃の時分はあれに胸のうちが勇躍したものだったが。

 「国士無双 吉田様」

 ぜひ再び採り入れてもらいたい風習だ。







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プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/



<獲得タイトル>

第1期オータムチャンピオンシップ 優勝

第7回 野口恭一郎賞 受賞


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