プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2008年04月

体幹

 麻雀は一局一打だけで勝敗が決するゲームではない。
 どれほど一局を上手く打とうが、名手というほどの光る一打を放とうがそれだけで勝ちきれるものではない。

 この二年間で東風戦を一万半荘ほど打ち込んだ。
 その甲斐があってか自分の門前をより活かす力が付いたと思っているし、何よりも“焦り”や“日和り”といった類の失敗が減った。

 そんな思い上がりが見事なまでに砕け散った日だった。


 プロ麻雀連盟主催のマスターズプロ予選。
 予選四回戦での勝ち上がりボーダーは+40〜50pほど。

 緒戦を33400点の三着という形で終えた私はどこか逸っていた。
 トップを獲らねば、ボーダーに近づけなくては…。

 二回戦目。
 見えている混一色に生牌の字牌を勝負に行った。リーチ宣言牌でだ。
 結果は満貫の放銃でスタートとなった。


 一萬二萬三萬四萬四萬東東   ロン  東  八萬八萬横八萬 中中中横


 別に満貫を放銃することが悪いのではない。
 だが、その牌を通したところでどう考えても私の和了目は薄いのだ。
 平素の戦いであれば打たない牌だ。タイトル戦の予選とはいえ、これが緒戦であったら勝負を先に預けていただろう。

 迎えた東ラスの親番では形聴も含めて二局連続で三副露という愚行に出た。
 三本場でまたしても手牌を短くし、挙句の果てにはリーチに満貫のオリ打ちという有り様だ。

 こんな酷い麻雀、一生かかっても打てないと思っていた。
 だが現実には、この程度のことで私の麻雀はブレてしまった。


 半荘四〜五回戦で行われるタイトル戦の予選。
 いつもの麻雀を打ち、最善を尽くす。それで通過枠に引っかからなかったらそれはそれでしょうがないじゃないか。







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慙愧

 新宿「F」にてセット。
 プロ連盟Aリーガーの石渡正志プロ、同じく最高位戦Aリーガーの佐藤崇プロ、そしてRMUの谷井茂文プロ。

 一回戦、二回戦は少ない戦力ながらまずまずの出来。
 
 問題の三回戦目。
 ここまで二半荘を通じて副露はゼロ。徐々に牌の“寄り”が和了への絆と螺旋状に絡んできているのを感じる。残る二回戦は主導権を握れる局が増えるだろう。

 満貫の自摸和了で先行して迎えた東場の親番。
 四巡目で下の十三枚。


(東三局 東家 ドラ 四筒


二索二索四索五索五索七索七索八索二筒南北中中


 何が出ても仕掛ける気は全くない。
 縦にしろ横にしろ和了れるときは門前で仕上がるもんだ。

 場に仕掛けが入り、その動きで五、六、七巡目と三巡連続で劇的に有効牌を引いた。


  二索二索四索五索五索七索七索八索二筒南北中中   ツモ  六索


 二索二索四索五索五索六索七索七索八索南北中中   ツモ  三索


 二索二索三索四索五索五索六索七索七索八索南中中   ツモ  中


 場には 八索 が二枚と、 六索 が一枚見え。
 割れていようと自分の和了が一番早いだろう。
 赤有りだったら曲げたっていい。だが、端牌とはいえ他の色を処理した後に 北 南 手出しリーチは流石に横暴すぎる。

 闇に構えてワンツー狙いに行った次巡。
 引いてきたのは生牌の 發
 腰の重い石渡、谷井両プロの仕掛けを舐めた訳ではないが…。

 バタッと谷井プロの手牌が倒される。読み通り対子手だった。


 四筒四筒四筒九筒九筒一索一索一索發發   ロン  發  五萬横五萬五萬


 ドラが隠れ暗刻の12000。
 南場でも石渡プロの一鳴きチンイチに放銃して敢え無く四着。


 一筒二筒三筒四筒四筒五筒六筒七筒八筒九筒   ロン  一筒    四筒横三筒五筒

 
 最終戦は、二着。


 その後、飲み屋に足を運び感想戦を繰り広げる。
 こういったセットや交流は麻雀の裾を広げるために紛うことなく必要だ。技術の確認をしたり、競技の世界の先達から吸収すべきことが無限にある。自分のフィールドや持ち合わせた才だけで登りつめられる奴なんていやしない。

 良い麻雀、充実した戦い…。
 そんな思いで酒を酌み交わしながら歓談をした帰り道、急激にある感情が込み上げてきた。


 でも、負けは負けだろ。
 もっと悔しがれよ…。どうしちまったんだ、俺は。

 吐き捨てるように自分に言葉を浴びせ、足早に歩き出した。







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雌伏

 オーラス。
 和了トップである。

(東四局 北家 ドラ 四萬


五萬赤七萬七萬八萬九萬七筒八筒九筒五索六索六索七索七索   ツモ  四萬


 七巡目にドラの 四萬 を引いて上の十三枚。

 場には 四索 が二枚顔を覗かせている。
 聴牌効率だけを考えれば打 七萬 が正解だが、それだと実質的に 五索 八索 の入り目が無くなってしまう。

 現時点で感触があるのは 四索 七索 よりも 五索 八索 だ。 三萬 六萬 も悪くない。

 ならば和了易さを考えて雀頭を固定する一手だ。
 強い聴牌での勝負が求められるこの局で、ドラ表とドラの 四萬 乃至 五萬 の重なりに心中はできない。

 
 序盤から仕掛けている6000点差の二着目に合わせて、打 八萬 とする。

 そして次巡、絶好の引きで目論み通りの聴牌を果たす。


 四萬五萬赤七萬七萬九萬七筒八筒九筒五索六索六索七索七索   ツモ  八索


 闇に構えて 三萬 六萬 でフィニッシュだ。
 こう来れば、流石にもらっただろう。

 そんなことを考えながら 九萬 を打ち出すと、上家の二着目からポンが入る。


 裏裏裏裏裏裏裏  九萬九萬九萬横  中横中中


 二巡目の翻牌をイチ鳴き、そして 八萬 を手出し後に一牌入っての 九萬 ポン。
 
 テキもまず聴牌とみて間違いないだろう。
 色では、ない。手役でもなさそうだ。
 
 下位陣と多きく水を空けている二着目。
 配牌からドラ若しくは赤で条件を満たす手を入れたのだろう。
 いや、トップ目が今の私だからこそ相手にそんな手が入るんだ。
 

 先に、居てくれ――。
 脇から零れるのを期待するも、願いは及ばず。

 私の構想通りの聴牌から僅か四牌で二着目のマクリ和了。


 六萬六萬三筒四筒五筒赤七筒八筒   ツモ  九筒  九萬九萬九萬横  中横中中


 未練は残さないし、勝負の最中に反省をすることはない。
 だが、素早く精算をする傍らで上家の捨て牌と手牌にじっと視線を走らせる。

 私があそこで雀頭固定をしなければ手牌から 九萬 が打たれることはなく、上家も聴牌を入れるのにもう少し時間がかかった筈だ。
 だが、それでも 八萬 切りは私の中では間違っていない。


 もう少し、もう少しか…。 
 そう胸の内で呟き、次の半荘に神経を滾らせた。






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骨格

 ルールと点棒状況。そして今見えている場況への対応。
 麻雀は本当に深遠で面白い。

 つい先日、こんな手があった。

(東一局 西家 ドラ 五筒


一萬一萬二萬二萬二萬三萬四萬五萬五筒八筒八筒三索五索赤   ツモ  四索


まだ、五巡目。絶好の赤嵌張引きである。
 どう狙って何を打ち出していくべきか。

 三色も見えるし断公九でリーチも打ちたい。局面によっては聴牌を採ることもあるだろう。

 東南回しなのか東風戦なのか。
 ウマは、祝儀の比率は。トップ目かラス目か。

 はたまた赤がただのドラの競技ルールだったら。
 自分の体勢や相手の心理状態なんてことも勘案する必要がある。


 実際には祝儀が台の五倍の東風戦。ここは素直に打 八筒 と行った。


 一萬一萬二萬二萬二萬三萬四萬五萬五筒八筒三索四索五索赤

 
 一萬 を下ろしてのメンタン狙いも魅力的だが、祝儀の高い麻雀で 七筒 引きのこの先手二面聴牌を逃すのは相当に温い。

 一萬一萬二萬二萬二萬三萬四萬五萬七筒八筒三索四索五索赤  リーチ


 すると、次巡に引いてきた牌はドラの赤いやつだった。


 一萬一萬二萬二萬二萬三萬四萬五萬五筒八筒三索四索五索赤   ツモ  五筒赤


 一萬 を下ろしているとこのダマ満の聴牌。

 二萬二萬二萬三萬四萬五萬五筒五筒赤八筒八筒三索四索五索赤


 闇で出和了が効くし、横変化もまだ狙える。
 だが、場には 二萬 が一枚飛んでいるので、 一萬 がデス牌となっている。
 さらにはリーチをかけざるえなかった所為で馬鹿げた打点になることだってある。

 結果は捨て牌が三段目に差し掛かろうかというところで 一萬 を掘り起こして跳イチの和了となった。


 一萬一萬二萬二萬二萬三萬四萬五萬五筒五筒赤三索四索五索赤   ツモ  一萬


 競技麻雀のプロという立場ながら、奇しくも多種多様なルールで打つ機会が多い。
 しかし、麻雀というゲームの本質は変わらない。選択の段階で多少の損得計算が入り込むが、頭を捻って考えた答えにそれほどの間違いはない。

 いつも通り強い形を造って門前で勝負。
 そして一滴の雫すら洩らさぬよう辛く打つだけだ。






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勘定

 損得勘定と、読みに応じた感覚に殉じる力。
 この二つの紡ぎあいによって打牌選択は成り立つ。

 そんな風に考えていて打ち続けていても、実戦では引っ切り無しに悩ましい手格好が訪れる。
 東風戦の二局、親が落ちての局だった。

(東二局 北家 ドラ 八索


 二萬三萬五萬赤八萬九萬二筒四筒七筒八筒二索四索六索八索


 こんな配牌に立て続けに有効牌を引いて、七巡目に下の一向聴へ辿り着いた。


 二萬三萬五萬赤二筒三筒四筒七筒八筒二索四索六索八索八索   ツモ  四萬


 赤を残すか、役の芽を残すか…。
 
 場はノーテン罰符の動きしか出ておらず、私は原点から1000点浮き。起ち親なのでトップ目といえばトップ目だ。
 供託と積み棒が一本ずつで、残りは三局。

 仕掛け易さでは役を見た方がいいが、赤は点棒にして5000点相当のルール。
 赤を手中に残して自摸和了を果たせばウマ一つ分弱に相当する。さらに赤で放銃すること、相手に鳴かれることを回避し、捨て牌も目立たなくてすむ。
 祝儀が安いルールだったり、東南回しだったら赤切りが正着となるのだろうか。

 悩んだ挙句に私の選択は打 五萬赤 。いくら祝儀が高いと言っても、一つの和了の価値のデカい東風戦ではこういった選択も必要だ。

 すると、直ぐに絶好の 三索 を引いて満貫の聴牌。


 二萬三萬四萬二筒三筒四筒七筒八筒二索三索四索八索八索


 高目なら“タンピン三色ドラドラ”で闇でも跳ねる。
 赤を捨てたことの是非は微妙だ。結果、門前で聴牌が入り、手役を捨ててもリーチや高目如何ではこちらもハネ満が見えた。

 だが、喰いタン仕掛けの南家が 九筒 を捨てている。この待ちならばダマで獲りいく局面なので、赤を残した手と比較しても期待打点値はそう見劣りするもんじゃない。これでこそ三色を見た甲斐があるというものだ。

 ところが、次巡の自摸はこんな牌だった。


 二萬三萬四萬二筒三筒四筒七筒八筒二索三索四索八索八索   ツモ  五筒赤(ダイヤ)


 素点にして10000点相当のダイヤ五筒。
 これにて三色はお役ご免。

 次々巡に上家から 九筒 が零れて満ツーの和了とあいなった。

 






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戒律

 長い間浮きに回っていたが、四日連続でマイナスを刻んだ。
 そろそろ来たかな、と思う。

 だがそれ自体は大した問題じゃあない。
 吐き気を催すほど大枚を逸するかもしれないが、そんなことは覚悟の上だ。
 

 オーラス、和了トップ。
 この 八索 を通せば聴牌が取れる。


(東四局 南家 ドラ 東

 三萬三萬五萬六萬七萬三筒五筒二索四索六索六索六索八索   ツモ  四筒


 だが私を捲ろうと果敢に仕掛ける親。そしてその親から打たれたドラを叩いた西家が手を短くしていた。


(東家)


 裏裏裏裏裏裏裏    四索横四索四索  六筒横五筒赤七筒


(西家)


 裏裏裏裏    九索九索横九索  九筒九筒横九筒  東東横東


 ここで西家が一つ“傷”を見せた。
 実は 九筒 を叩いたときの打牌が 五索 。そして次巡に手出しで 三索
 そして 九索 をポンした際の打牌が 七索 だったのだ。


 相手の手牌構成を読むときは、“矛盾”を探すことによって答えを導き出すことができる。


 西家は 九筒 を仕掛けた時点で、手の内に 三索五索七索九索九索九筒九筒裏裏裏  と在ったにも関わらず、 五索三索 という“嵌 六索 の受けを否定する順番”で索子を外してきた。これは、おかしい。
 
 索子の上をこの複合系で持っていたはずだ。


 三索五索七索八索八索九索九索九筒九筒裏      東東横東


 八索 が雀頭になったケースが濃厚だが、この打ち手は平気で辺張からバッタの受け代えをやってくる相手だ。

八索 は通るのか。通したい。こっちも聴牌なんだ…」

 強い聴牌なら誰にどんな牌でも切らなきゃ駄目だ。だが、こんな和了れるかどうかもわからない聴牌で4cmの相手のアタリ候補牌を切るわけにはいかない。ましてや、ロンと言われた時点でラス確なのだ。

 それでも“和了れば、トップだぞ。どこかで行かなきゃ勝てっこないんだ”と博打の世界に潜む悪魔が囁きかける。
 今日の沈み分や、昨日までの負け額が勝手に頭の中で勘定される。
 トップが、欲しい。


 伎倆はまだまだ未熟な私にも、唯一つだけ信念がある。
 その戒律を守るために、修業し続けてきたと言っても過言ではない。

 勝負事の世界において好成績を残し続けるためには“フォーム”をどこまで保てるかどうかにかかっていると思う。たかだが一週間や二週間のスランプで自分のスタイルや読みを曲げるようでは、そのままズルズルさようならである。


 駄目なものは、駄目だからな…。
 そう言い聞かせ、素直にオリた。東風戦で二ランクダウンとなる可能性を孕む放銃など愚の骨頂である。

 すると、前のめりになった親の打牌で西家が手を開いた。


 三萬四萬八索八索   ロン  二萬  九索九索横九索  九筒九筒横九筒  東東横東


 八索 は、アタリではなかった。
 だが、トップはたまたま私だった。

 この日、夜まで打ち続けた私はやはり大きく負けた。
 だが、あそこで 八索 を通して結果的に今日大勝ちをしたとしても、それは私にとっては正解ではない。






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痛感

 今まで経験したことのないような激痛が右の胸に走った。
 初めのうちは冗談交じりで痛い痛いと周囲に漏らしていたが、発作の周期は徐々に短くなり、灼けるような痛みを伴ってきた。

 症状自体は自分が我慢をすればどうってことないが、その痛んだ部位が悪かった。
 右胸から肩を通って、右の広背筋まで痛みが広がっている。

 麻雀を打たないわけにはいかないし、打たない生活というのは用意されていない。
 具合が悪かろうが胃が千切れそうになろうがそんなものとは関係なく卓上に入り込めると思っていた。
 だが、今まで免疫のない胸という部位の痛みの影響は思いのほか大きかった。
 思わず卓内で顔を顰め、摸打の度に右胸を抑えてしまう。
 だから負けたとは言わないが、長丁場の戦いの中でどうも気が強く張れずに負け目を見る局面が影響し、不甲斐ない戦績の日が続いた。

 心身ともに充実してこそ、初めて良い麻雀が打てるんだ。
 “帯状疱疹”と綴られた診断書を片手に、誰かに云ってくれたれたそんな言葉を思い出した。






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プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/



<獲得タイトル>

第1期オータムチャンピオンシップ 優勝

第7回 野口恭一郎賞 受賞


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