プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2008年08月

奥義

別冊宝島 マンガ「必殺技」完全分析

takarajima












<書籍紹介>
キン肉バスターにかめはめ波、ドライブシュートに大リーグボールなどなど、名作マンガに登場する数々の神技・荒技・ビックリ技。しかし、本当に手から気を出せるのか? どうやったらボールが分裂するのか…? 少年たちの胸を躍らせた100の必殺技を、スポーツ科学や物理学の専門家が検証し、発動させるための条件やその威力を解明する一冊。


<宝島社のHP>
 http://tkj.jp/book/book_20155201.html


 という雑誌に『哲也 雀聖と呼ばれた男』の「ニのニの天和」の解説を寄稿しています。
 漫画好きの方にお勧めの一冊です。

 宜しくお願いいたします。




 日本プロ麻雀協会
 吉田光太

 







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真打

 戦いというのは常に心理戦であるから、例えどれだけ瑣末な事柄であっても自分の弱みや不調を匂わせるような情報は洩らすべきではない。

 それが鎬を削りあうような相手であれば尚更だ。
 こちらが不調であるということ、もしくは相手自身が好調であること。
 これを悟らせないようにするのが勝負事の鉄則である。

 実は周囲には洩らすのを避けていたが、その違和感は半年近くに渉って私の頭の片隅に引っかかっていた。
 最初は珍しいことがあるものだなとの程度だったが、半年が過ぎいよいよ流石に事態が逼迫してきた。こんなことは麻雀人生の中で初めてだった。

 今年に入って緑一色も四喜和も字一色も和了った。
 そう、だが勝手に得意だと思い込んでいる四暗刻が唯の一度も和了れないのである。


 そんな引っ掛かりを胸の裡に抱えたまま臨んだ半荘。

 
(東三局 南家 ドラ 九索


 七萬七萬八萬八萬八萬九萬三筒五筒赤二索二索二索北北 


 東ニの親番で猛攻を見せた北家に三十馬身ほど離され、二着目の親番には祝儀を絡めた和了を連発されて大ガミのゲームとなった。
 せめてもの救いと言えば虫の息となった西家が同得点で並んでいることぐらいだ。

七巡目のこの手牌。
負け試合の傷を最小に抑えるべく、自摸和了による祝儀が欲しい。
 ストレートに嵌 四筒 を入れて両面でリーチと行きたいところだ。しかし引いてきたのは三暗刻を構築する牌だった。


 七萬七萬八萬八萬八萬九萬三筒五筒赤二索二索二索北北    ツモ  北


 素直に 九萬 を打ち出せば6400の聴牌である。
 縦重なりで四暗刻が見え、両面の変化も伺える。
 
 しかし・・・。
 場を検めた感覚ではこの嵌張に対する感触は皆無に等しい。そして萬子の上、特に 九萬 が山生きなのである。

 毎日毎日、この言葉の反芻だ。
 ここは道楽でも自己表現をするための場でもない。
 山生きの牌を狙って四暗刻?いくら全生きといっても自分でその牌を他家の和了よりも先に二枚も引かなければならないのだ。こんな聴牌を外した記憶は今までにちょっと無い。
 
 命の次に大事な物を賭けて戦っている。
 戦績という名の誇りであったり、それを有体化したものをだ。
 真剣だから、点棒が無いからこそ奇を衒った手順は排除すべきである。

 だが、私はコンマ何秒かの逡巡の後、思い切って一牌を抜いた。 九萬 ではなく 三筒 だ。
 
 選択によっては失敗をしたり後悔をすることもある。
 しかし訓戒を思い起こしなお、そう選んだのならばそれが今の自分の選択だ。
 萬子の上にはそんな感触があった。


 五筒赤 も打ち出してふらふらと余剰牌を入れ替えて辿り着いた十二巡目。
 カチリ――。と奴が入ってきた。


 七萬七萬八萬八萬八萬九萬二索二索二索五索北北北   ツモ  九萬


 ここまで来れば後はもう簡単だ。
 追っかけリーチの下家と先に一鳴きで聴牌を入れていた北家を振り払って牌を手繰り寄せた。


七萬七萬八萬八萬八萬九萬九萬二索二索二索北北北   ツモ  九萬
 

 実に九ヶ月ぶりとなる四暗刻。
 九萬 を残したことの是非は判らない。役満を和了ったからといって必ずしもその選択が正解とは限らない。それが、麻雀だ。
 
 しかしあそこで 九萬 を手放していたら、この先あと何ヶ月迷走を続けるところだったのだろうか。
 一先ず、牌の巡りに感謝である。








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飛翔

 麻雀界に竹中兄弟という双子がいる。
 生まれたときから同じ顔で育ち、進学先の学校も一緒。そして兄・誠は最高位戦の門を叩き、弟・慎は協会に在籍している。

 そんな竹中兄弟と、麻雀業界を少しでも盛り上げようと考える若手プロたちが作った大会「第二回 TWIN CUP」に参加。
 私は予選での敗退となったが、百名を超す参加者を集めたという彼らの熱意と行動力にはただただ感服するばかりである。

 ちなみに決勝卓の顔ぶれは東家から松本敦(棋士会)、佐藤崇(最高位戦)、多井隆晴(RMU)、多聞(協会)という面々。
 「今年、八面六臂の活躍を見せている崇をシメる」との宣言通り、二人のデッドヒートを制し優勝を果たしたのは多井隆晴プロ。流石の強さである。


 その翌日は日本プロ麻雀棋士会主催の優駿杯決勝戦の観戦へ。

 準決勝で私を負かして決勝進出を果たした佐藤崇。その緻密な読みと鉄壁の受けに加え、ここ最近では攻めに重みが加わってきている。

 そんな佐藤崇がプロ十年目にして悲願の初戴冠。
 今の好調さと充実ぶりを如何なく発揮して周囲を終始圧倒。見事、第九期優駿位の栄冠に輝いた。

 自分のこと以外でこれほど嬉しいことは久しぶりだ。
 優勝を決めた瞬間、私よりももっと長い時間を崇と共に切磋琢磨してきた村上淳プロ、曽木達志プロが崇の勝利を讃える姿がとても印象的だった。
 
 彼らはライバルであると同時に、環境や苛烈な生存競争に淘汰されず残り続けた最高位戦の同胞でもある。

 最高位戦の未来を担う戦士たち――。
 いずれ彼らが最高位戦のトップを争う日が訪れるだろう。
 そんな同士たちの期待を背負い、大きな一歩を歩みだした佐藤崇。


 ここにまた一人、私が倒すべき強敵が誕生した。
 




 日本プロ麻雀棋士会のHP
 http://www.proma-kishikai.jp/








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悲恋

 どうして一番伝えたい相手に想いを伝えることが出来ないのだろうか。
 胸の内で膨れ上がったこの想いを、成果を、熱を。

 今日この日、今回の勝負で結果を出せるかどうかに今後の進退を賭けようとまで思っていた。
 

 渋谷「M」にて日本麻雀機構の土田浩翔プロ、プロ連盟の石渡正志プロ、最高位戦の佐藤崇プロとセット。


 それが今の自分の雀力なのか運命なのか、私は何一つ伝えることも発揮することもできなかった。

 開かれることのない手牌を背負いながら幾度も打牌を捉えられた。
 よりによってこの大一番で最低の麻雀を披瀝したのだ。いま自分が最も勝ちたい相手に、少しでも認めてもらいたい相手に、あまりにも無惨ではないか。


 プライドは砕け散り、自分の無力さを呪った。

 穏やかな日常を捨て、藻掻き苦しみながら戦いの日々の中に居る。
 負けるということは自分の人生が全て否定されるということだ。
 
 もしも今日という日まで牌を愛せてこなかったら妥協の道を選んでしまったかもしれない。
 
 
 何度も何度でも、この世界で登り詰めるために挫折を乗り越えてみせる。








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破戒

 西家スタートで始まった東一局。
 五巡目にして強烈な牌姿になっていた。

(東一局 西家 ドラ 三筒


二索三索五索東東南南發發中   ツモ  東    北横北北


 まだ、五巡目なのである。
 もう一つ重ねるか暗刻にすれば字一色が見える。または叩いていって単騎を目指す方法もある。
 だが、河に打ち出した 五索 が指から離れるまでの刹那の間、私は自分の中の戒律を思い起こしていた。

 凌ぎに道楽や自己表現ほど不要なものはない。

 この手は一歩でも手牌が前進した瞬間に紅中を打ち出して満貫の聴牌を取るべきだ。役満の祝儀があるといはいえ、これは四局しかないスプリントレース。効率を度外視した役満よりも目の前にある満貫の聴牌を最優先すべきである。


 二索三索東東東南南發發中    北横北北


 すなわち、この紅中はその時までの命なのである。
 対子の字牌が打たれれば喜んで叩くし、一索 四索 も聴牌に取る。
 字一色になるのはそれら全ての事象の前に紅中が重なった場合のみである。


 これは早い満貫聴牌のチャンス手。
 そう自分に言い聞かせた。

 一巡、二巡――。まだ紅中を手放す時機は訪れなかった。
 そして三巡後、儚い命だったはずの紅中に息が吹き込まれた。


  二索三索東東東南南發發中   ツモ  中    北横北北


 索子を打ち出し、ピシャリのタイミングで対面から手出しで 南 が打たれた。
 六巡後、 西 を自摸切り、 白 が二枚被ったときだった。

 メンホン七対子を狙っていたという下家から宿縁の牌が零れ出た。


 東東東發發中中   ロン  中    南南横南 北北北横



 否定をすればするほど、言い聞かせようとすればするほど、一枚だけの紅中を抱えながら本当は心の片隅で少しだけ思っていたのかもしれない。
 南 よ、 發 よ、まだ場に打たれないでくれと。


 滑稽な話だが、麻雀で凌いでいる身でありながら役満という浪漫を夢見てしまった。








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珠玉

 日本プロ麻雀棋士会主催の優駿杯。
 先のトナーメント1、2を勝ち上がって、3戦目のトーナメント。

 対するは川浪亮プロ(棋士会)、一般参加で私も面識のあるS氏、そして最高位戦Aリーガーの水巻渉プロ。

 ここで水巻さんとか…。と思うも、ここまで来ればイージーな相手は居らず、大半がシードをもらったトップ選手ばかりである。どうせやるならば自分を高めてくれるような強敵の方が良い。
 ここは不調の水巻プロが一人出遅れ、私とS氏が粘る川浪プロを振り切って勝ち抜け。2、1、2着でトーナメント4への進出を果たした。

 トーナメント4は第11期女流名人位の近藤加那子プロ、第4期棋聖の依田暢久プロ(ともに最高位戦)、現雀竜位の吉田基成プロ(協会)。
 初戦こそ僅差の3着だったが、その後を1、2着で基成と勝ち上がり。


 翌日――、いよいよ準々決勝である。
 トーナメント5の組み合わせは女流最高位三連覇中の根本佳織プロ(最高位戦)、最高位戦Aリーガーの冨沢直貴プロ、そしてRMUの多井隆晴プロ。
 
 負ければそこで終わりだ。トーナメント1から勝ち上がろうがシードだろうが関係ない。ここまで来たからには絶対に勝ちたい。

 あと二つ…、あと二つでおよそ十ヶ月ぶりとなる決勝の舞台に手が届く。
 簡単じゃないことは判っている。だが、私はプロである以上、一年に一度は決勝に残れるように成りたい。

 そんな気負いが影響したのか、初戦は劣勢から逆転した点棒を守りきれずに三着で終了。だが、二、三回戦と縺れに縺れた混戦を1、1着と連勝を飾って根本プロと辛くも勝ち抜け。


 いよいよ、あと一つ――。
 勝ち上がり者が手にすることが出来る卓組みのチケットを周囲と照らし合わせた。

 準決勝で対峙するは公私共々の後輩・橘哲也プロ(協会)、準々決勝からの参加となる現優駿位・ピエール東郷プロ、最後に、最高位戦Aリーグの首位をひた走り、先の最高位戦Classicも決勝進出を決めた佐藤崇プロである。
 

 とても苦しい戦いとなった。
 ここ一番でこんな状況が訪れたことを少しも呪わなかったかと言えば嘘になる。

 何でもいいから勝ちたいに決まっている。
 ただの一度、己の信じる武器の使い方を誤ってしまったことが悔やまれる。
 目の前の誘惑に負け、自摸れないと感じている五巡目のメンタンピンドラ一を親番で曲げてしまった。
 だが、その小さな綾以外は少ない戦力の中でいま自分の打てる最高の麻雀を出来た。

 トーナメントを6回、18半荘目にして私は初めてのラスを引いた。
 27200点の、ラスだった…。


 日々の戦いや連日の麻雀で満身創痍となった体が全身で悔しがっている。
 会場内で唯一の予選からの勝ち上がりである橘が人目も憚らず戦慄いている。よほど悔しかったのだろう。
 私も、同じ気分だ。


 決勝に行くことは出来なかった。 
 ここまでの道のりが徒労に終わるようならば私はタイトル戦に出ることを、麻雀を続けてはいない。 


 おめでとう、と笑顔で崇に手を差し出した。

 奴が短く一言耳元で囁いて、強く右手を握り返してきた。


 いつの日か、きっと彼にもそんな戦友が出来るだろう。








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訂正

 
 8月9日(土)、10日(日)に行われる札幌HeartLandのゲストイベントについて、時間の変更があります。

 7月6日付けの日記で、

 <Event Schedule>
 8月9日(土)   13時〜19時30分予定
 8月10日(日)   13時〜18時30分予定

 と告知しましたが、正しくは下記のように確定いたしました。

 <Event Schedule>
 8月9日(土)  15時30〜21時30分
 8月10日(日)   13時30〜19時30分


 9日は手塚紗掬プロ、10日は小川和香奈プロと一緒にゲストイベントを開催いたします。
 イベントは0.2・0.3・0.5の通常フリー対戦です。
 ご近隣の方は是非一緒に打ちましょう。


「札幌 Heart Land イベント告知HP」
 http://www.e-heartland.co.jp/pick-up/ivent/ivent-notice.htm


 日本プロ麻雀協会
 吉田光太
 







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祭事

 巷では8月1日はその語呂に因んで“牌の日”と言うらしい。
 そんな洒落た記念日に相応しい天恵を授かった。

(東一局 東家 ドラ 六筒


二萬二萬五筒四索五索六索東南南西北北北


 五巡目でこの牌姿。
 南 が場に打たれるも、流石に役無しの四喜牌二つに頼るわけにもいかず見送った。
 これが良かったのか悪かったのか、逆に筒子のくっ付きも伸びずに延々と自摸切りを繰り返した。
 
 十一巡目、場に初牌の 東 が打たれる。
 しかし、何処からも声は無し。

 そして私は自摸ってきた牌に思わず息を呑んだ。


 二萬二萬四筒四索五索六索東南南西北北北   ツモ  西


 その引きに呼応するかのように、立て続けて四喜牌が場に打たれる。


 四索五索六索東北北北  西西横西  南横南南


 全てが完璧なまでのタイミングだ。
 勝利を確信した私の親指に太く黒い溝が伝わってきた。


  四索五索六索東北北北     ツモ  東   西西横西  南横南南


 お座り五分の16000オールで六万点終了である。


 そして迎えた次の半荘。
 満貫一つ分ビハインドで迎えた東三局。配牌を開くと、未だ見ぬあの役満の聴牌が入った。

(東三局 北家 ドラ 九筒


 六萬六萬七萬八萬九萬六筒八筒四索五索六索東東東


 よもやの東風二戦連続弾――。
 と期待しながら牌山に手を伸ばすも、隣の隣でまたもや地和はお預けに。


 六萬六萬七萬八萬九萬六筒八筒四索五索六索東東東   ツモ  九筒


 ダブりーを打って、一発で西家が放銃をして満貫の和了。


 六萬六萬七萬八萬九萬八筒九筒四索五索六索東東東   ロン  七筒



 こんな幸運な日が毎月あれば、などと考えていたらその翌日は朝から晩まで沈みっ放しの大殺界だった。
 







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プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/





第1期オータムチャンピオンシップ 優勝
第7回 野口恭一郎賞 受賞
第10回モンド21杯準優勝
VS研究会 第7期、第8期連覇中


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