プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2017年08月

流砂 -第14話-  雀豪列伝[2]

 
 兄貴は今あの場所から少し離れた街で、麻雀とはかけ離れた仕事に就き、穏やかな生活を送っている。
 
 そしてその傍らには妻君となった女の子と、二児の愛娘の姿があるという。
 

 長い麻雀人生の中で多くの人間と出会ってきた。
 麻雀牌が人生を変えるように、牌を通じての出会いも人を変えてくれる。

 兄貴はその中でも一際大きな激流のような存在だった。
 


 麻雀打ちなんて世間から見たら芥のような存在だろう。

 決して満足できる環境ではないのに、なかなか抜け出すことが出来ない。

 極めて、脆い位置にいる。
 自ら、それを望んで……。



 それでも私は勝負の世界で多くの男と巡り会えた。
 
 奈良から流れ着いた男と、麻雀以外のものを捨てた少年が出会い、分かり合っていったのは必然だったのだろうか。


 私は、兄貴との出会いに感謝している。

 そして兄貴との出会いは、その後の私に数多くの出会いをもたらしてくれた。


 
 “強い”ということは、きっと“優しくなる”ということだ。



 だから私がどんなに麻雀で勝ち続けたとしても、あの人にはきっと敵わない。



 fin.





*当物語はフィクションです

流砂 -第13話-  雀豪列伝[2]

 高レートの場はいつだって人が不足している。

 少ないレギュラーと準レギュラー。そして、時たま誰かの紹介で現れる一見の客で回して行くしかない。

 場主やレギュラーにとって外貨の導入は願ってもないことだ。
 実際に私も何人か客を紹介してきた。

 
 麻雀は全てが自己責任だ。
 他人がそれで儲けようが、怪我をしようが本人以外には関係がない。

 だが、ホリタは私にとって他人ではない。


「理由を聞かせてくれないと、紹介できない」


 ホリタだってギャンブルが好きだ。
 だが、今回の申し出には何か抜き差しならない事情があるように思えた。

 一心同体の仲間だ。
 もし困っている事があるならば、私たちが力になる。


「単純に、金や」

「なぜ、金が必要なんです?」


 話をはぐらかすホリタに私は執拗に迫った。
 すると、ホリタは少しはにかみながら答えた。


「いま付き合ってる女とよぉ、結婚しようと思ってな」



 ホリタは流れ着いたこの地で、掛かりつけの歯科医院で出会った女の子と付き合い始めていた。
 そしてその子のために、少しまとまった金が欲しいらしい。


 褒められた方法ではない。

 相手の子にバレたときのことを恐れて、反対の声も上がった。
 ホリタが彼女と上手く行くのは私たちの喜びでもあるのだ。
 

 だが、元々が破天荒な男である。

 
 そして何よりも、私たちのために色んなものを我慢し続けてくれた。


 そうして、ホリタは今まで貯めた金の一部を下ろし、勇躍勝負の場へと向かった――。







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*当物語はフィクションです

流砂 -第12話-  雀豪列伝[2]

 
 初めの頃こそ皆に軽んじられたホリタの麻雀だが、徐々に力を発揮するようになって行った。


 ドラ 七筒:麻雀王国

 二萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒赤:麻雀王国六筒:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国   リーチ 



 三着目の親番の手である。
 
 このリーチにラス目が一発で 一筒:麻雀王国 を打ってきたが、ホリタは微動だにせず見逃した。

 一筒:麻雀王国 は“場に四枚目”にも関わらずだ。

 そして、こういう時は必ずと言って良いほど、剛腕で高めをツモ上がる。


 二萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒赤:麻雀王国六筒:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国   リーチ ツモ 七筒:麻雀王国
 

 
 無論、たまたまと言えるだろう。
 トータルで見れば損な選択である。

 だが、ホリタには理外の怖さや勝負強さがあった。


 しかし、役職である彼の勤務時間は長く、平均点の麻雀を打たないせいで戦績にバラつきがあった。

 好調の月は給料が前月よりも1.5倍。
 かと思えば翌月は半分しかないこともあった。


 それでも彼は寮に共に寝泊まりする仲間のメシ代などを負担していたので、いつも貧乏をしていた。
 
 寮では私のもう一人の兄弟分となったナガタと1ルームで同居していたが、ロフトには4人分ほど布団が敷けるため、何人もの仲間が生活を共にしていた。


 麻雀への熱も、生活も、寝食も全員で共有していた。
 夢のように楽しい時間だった。
 

 そんな濃密な時間も一年、二年が過ぎ、ホリタがこの地に訪れてから三度目の冬を迎える。


 ある日、彼が珍しいことを私に言ってきた。

 いや、珍しいというより初めての事なので私は困惑したのを覚えている。


「なぁ、吉田クンが行ってた高レートの麻雀、まだ立ってるん?」




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流砂 -第11話-  雀豪列伝[2]

 
 それからナガタを含めた私たちは、十年来の親友のように固い絆で結ばれるようになった。
 友情、というよりは家族に向けられるようなものに近かったかもしれない。


 卓上で真剣に勝負をし、同じ釜のメシを喰い、仕事が終わっても誰かがクタばるまで麻雀を打ったりツルんで遊んでいた。
 
 仕事やセットで長時間顔を付き合わせる。 
 そして、目が覚めれば店か寮に顔を出し、時間を共にする。

 つまりは、一年中寝ているとき以外は必ずベタベタしていることになる。


 以前からでは考え難いことだが、私はホリタを兄貴と慕い、彼も私を対等の者として扱ってくれた。
 
 周りに居た仲間も含めて、全てを共有していた。


 自分を殺せ。
 誰にも隙を見せるな。


 17歳から20歳になるまで、麻雀打ちの青臭い青春を拒んでいた。
 しかし、それはもしかしたら自分の一番深層にある欲の裏返しだったのかもしれない。

 本当は麻雀が好きな奴らに認められ、楽しくツルみたかった。


 長い間そうしなかった、理由……。

 昔、大きな裏切りに遭ったことがある。
 信じられるのは、己の右腕だけ。である……。



 だが、ホリタのお陰でもう一度、この家族は信じてみようという気持ちになれた。

 






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流砂 -第10話-  雀豪列伝[2]

 病院に着くと、すっかり弱りきったホリタが眠りについていた。
 よく見ると頬は痩け、何だか一回りぐらい小さくなった気がする。

 ナガタが奈良から出てきたホリタの母親を迎えに行くと言って病室を後にし、入れ替わりにホリタが目を覚ました。


「吉田クン……。来てくれたんか、悪りのぉ」


 そう言うと、ホリタはいくつも冗談を言い出した。
 倒れたときのことを面白おかしく話し、病院の看護婦をナンパしたなどといつものように饒舌に喋りかけてくる。

 そして最後に仕事に出れないことを詫び、私に穴埋めをしてくれるよう頼んできた。


 言われなくても私はそうする心算だったので、ホリタの替わりに働き続けた。
 彼のためではない、店の事を考えてだ。


 そして、退院となる一週間後にナガタに誘われてホリタの元を訪ねた。
 ナガタの車で寮に帰る準備をする。


「迷惑かけたからよぉ、二人にメシ奢るわ」


 帰りしな、ホリタがそう言い出した。


「色々と出費もあっただろうし。いいですよ」


 固辞する私にホリタが言葉を続ける。


「いつもいつも他人行儀やなぁ。上のモンが後輩に奢るんは当たり前やん」


 実は、それはホリタなりの気遣いだった。

 彼の替わりに仕事に出た私は不甲斐ないことに麻雀の調子が悪く、余分に働いた分もマイナスを喰うような成績だったのだ。

 そしてホリタは逐一店に電話を入れ、私の成績を確認していたのだ。



 以前、5人打ちの高いセットをやっていたときのことだ。
 私は時間に制約があったのだが、一人が遅刻をし、私が席を洗うと卓が続かない感じになった。


 私はその日、全く芽が出ずかなりの額を走っていた。

 何よりも次の用事に行かなければならないし、集中力と気持ちが切れた状態で規定の回数を超えて打つ道理は無い。


 場主が何人かに電話を入れているが、誰も捕まらない。

 私はこの場主に世話になっていたので、禁を破ってもう一人のために卓を繋いだ。


 案の定、私はその半荘もラスだった。


 遅れてきた者に席を譲り、帰ろうとすると場主が人目のつかない廊下で私にラスの分の札を差し出してきた。


「悪かったね、大事な客に不義理をしないで助かったよ。気持ちだから」


 差し伸べられた札を受け取るのが、最もスマートな方法だ。
 だが、向こうも私が受け取らないのは判っていたと思う。

 これを受け取ってしまうのならば、他の仕事をやって生計を立てた方が良い。


「仮に俺がトップでも、テラ(場代)を払う心算は無かったですから」

 そう言って場を後にした。

 
 この世界で信じられるのは、己の右腕だけ……。
 人に借りを作るのは大嫌いだ……。



 しかし、このときの私はもう変わりつつあった。
 ホリタの男らしさや人を惹き付ける魅力を前に、考えを改め始めていた。


「じゃあ、旨いものでもご馳走になるかな。ホリタさんは何を食いたいの?」

「ワシは天丼や!」


 思わず顔を見合わせる私とナガタ。


「アンタ、何で入院してたんだっけ?」



 そう笑い飛ばす私たちをよそに、ホリタはその後、本当に天丼を二杯平らげたのであった。








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流砂 -第9話-  雀豪列伝[2]

 電話の主はホリタと寮で生活を共にする、ナガタという男だった。
 彼は私が麻雀のことを話せる数少ない存在だ。

 ナガタによると、ホリタは胃潰瘍で緊急入院したという。
 しかし、症状としては比較的初期の軽いもので、しばらく安静にすれば大丈夫らしい。


 ナガタはホリタの着替えを差し入れたりする手伝いをして欲しいと私に言ってきた。

 無論、他人がどうだとか二人の間の確執のことを言っている場合ではない。
 私はホリタの部屋で落ち合うことを約束し、電話を切った。


 あのホリタが入院。

 もちろん、私との喧嘩が引き金ということはないだろうが……。
 私は数奇な巡り合わせに不思議な気分だった。


 実は、私も一週間ほど前に胃痙攣を起こし、病院に運び込まれていたのである。
 普段から胃炎の薬は服用していたが、この胃痙攣というやつの一時的な痛みは想像を絶するものだった。


 神経をすり減らしながら凌ぎに精を出し、睡眠も食事も殆ど取らない毎日である。
 どちらも週に4〜5日しか取らない。

 いくら若さや気合いが充実しているとはいえ、何所かが壊れるのは当然のことだ。


 それでも、当時の私は麻雀に対して狂信的な取り組みをしていないと不安でどうしようもなかった。

 身体を削り売りするような努力をしていなければ、この力や想いが消えてしまうかのような強迫観念に駆られていたのだ……。



 だが、よくよく考えてみれば、流転の生活を続けてきたホリタが私などよりも弱りきっているのは当たり前のことだった。







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流砂 -第8話-  雀豪列伝[2]

「ワシがマジで切れん内に、立ち番に戻れや……」


 怒りに震えて蟀谷こめかみに青筋を立てているホリタ。
 こう言ってはおかしいが、その姿がサマになっている。


 だが、私もこと麻雀に関してだけは頭のネジが外れている。
 簡単に退く心算は、無い。


 席を立った私がホリタに詰め寄り、若すぎる二人の体の芯から、えも言われぬ熱気が発せられた。



 口論の切っ掛けは本当に恥ずべきほど瑣末な事である。
 経緯は色々とあるのだが、要約すると、どちらが卓に残って打つかというものであった。


 ホリタは無言。目を合わせようとしない。
 何とか怒りを収めようとしているようだ。

 
 周囲の客に緊張が走る。

 鋭い目の周辺に走る細かい傷跡。
 いびつに隆起した拳ダコ。
 
 誰がどう見たって、ホリタは“やんちゃ”をしていた男なのだ。

 だが、私はこの男は安易に手を出すような人間じゃないと感じていた。


 案の定、ホリタは落ち着きを取り戻し、私に席を譲る。
 そしてその後、私と共に客に頭を下げて回った。


「ホリタさん、すみませんでした。でも――」

「俺も悪かったけどよぉ。自分、もうちょっと上手くやれんの?」

「妥協、ということですか」

「いま考えるとあそこは吉田クンが打つべきだったよ。でも、もう少し麻雀に妥協してもええんちゃう?」

「それと、これは話が違う……」



 責任があると考えていた。
 強くあると、牌に生きると決めたのだ。

 俺は進学をしてなければ就職もしていない。
 この道のプロなんだ。


 牌に対して敬虔である必要がある……。



 そんな事を思いながら家路についた。
 だが、ふと思った。

 笑顔や感情の昂ぶりなど、とうに捨てたはずなのに。
 誰かと言い争うなんて久しぶりだ……。


 そんな私の感傷を吹き飛ぶす緊急の連絡が入ったのは翌日の夜だった。

 同僚からホリタが入院をしたと電話が来たのである。







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流砂 -第7話-  雀豪列伝[2]

 ホリタが入店してから2週間が経っていた。
 自分を馬鹿に見せるホリタの人柄に、皆すっかり打ち解けている。

 そんなある日、店の統括マネージャーが顔を出し、ホリタを責任者に任命すると言い出したのだ。


 このマネージャーのことはどこかで書いたが、私の敬愛する人間だった。
 何故? こんな短期間の働きで異例の抜擢をし、揉めるようなことをするのか私は聞き質した。


「彼はなかなかの男だよ。君は誰にも馴染まないだろうが、そのうち判るんじゃないかな。それに前任の者も賛成をしてくれたんだ」


 実は私は店に常勤をしていたわけではない。
 週に2〜3度入り、あとはフリー打ちやセットを行っていた。

 従って、仕事のことで私に口を挟む権利はない。
 それ以上は何も聞かずに引き下がった。


 兎にも角にも彼は店での居場所を確保し、寮であるアパートに入居してこの土地に落ち着くこととなった。
 他の同僚などは勤務時間以外、その部屋に入り浸っているらしい。


 私は相変わらず麻雀を打つだけである。
 無論、仕事であるから必要な範囲で役職である彼を立てることもあった。

 彼も彼でマネージャーの思いに答えようと懸命だった。
 私にとって他人との交わりは不要だが、上の人間が業務に対して勤勉であるということは喜ばしいことだ。


 しかし、彼は誰よりも牌の魅力に取り憑かれていた。
 “好き”の度合いで言ったらある意味、私以上の部分があったかもしれない。

 私は青春の全てを牌に捧げると決めていた。
 しかし彼もまた、どんな場面でも麻雀を優先していた。



「なんやぁ、コラ。マジで切れんぞ……」


 そんなホリタと私が些細なことから言い争いになり、卓上で揉め事を起こしてしまったのだ。








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流砂 -第6話-  雀豪列伝[2]

 四筒白東六索六萬八萬
 東中一索九萬六筒横三筒


 ヒモの旦那の一発目は空振り。
 それを片目に、ホリタが咥え煙草のままノータイムで一牌を自摸切ってきた。


 八萬六萬南二索四索六萬
 九筒二萬一萬東東九索
 五筒赤


 打ったらラスは確定、その上に素点分も怪我をしかねない暴牌である。
 仮に、一度か二度和了って私を捲る点差ならば、ラス目のリーチに押すという選択肢もあるだろう。

 麻雀は本来、趣味や娯楽として打つものである。
 しかし、それを生業とするならば遊びは一切排除すべきだ。


 だかが、これくらい。
 後で取り返せるレートだから。

 その積み重ねが年間にして何百万もの差を生じる。
 いま目の前にその分の札束を積まれて、それでも同じようにヌルい麻雀を打つ者は少ないだろう。


 人は、人だ。
 いつもどおりそう考え、不要な 三筒 を処理した。



「――す」

「えっ!」


 ドキリ――。
 と胸に衝撃が走った。

 声の主は親のホリタだ。
 万が一を考えなかった訳ではない。

 しかし切り遅れたくない牌であるし、三着目の下家に喰われても良いと思った。


「吉田クン、ロンです」


 一筒一筒二筒二筒三筒四筒五筒六筒七筒八筒八筒八筒九筒   ロン  三筒



「これで、変わったやろ」 


 辺張を見逃しての36000直撃…。
 卓の縁に牌を11個並べた奴が、珍しく顔を上気させている。



「初めて吉田クンから一本取ったな」

「……」

「俺ずっと君のこと尊敬してたんや。どや、悔しがってええねんで?」


 黙ったまま思案した。
 私はまだガキだが、麻雀に関して冷静さを失うことはない。

 人は、人だ。
 つまらぬ議論や言い合いをする心算はない。
 ただ、自分が打ちやすいような環境を作るだけだ。


「正直ヤラれましたよ。俺はアタってしまうけど」

「せやろ?」



 子供のようにはしゃいでいるホリタが車で私を送ると言ってきた。
 だが、私は礼だけを言い、申し出を固辞した。


 今夜は非番だ。
 非番の前は12時間の仕事を終えた後に、必ず8時間のセットを組むようにしている。

 
 極限まで疲弊しているときの方がフォームにブレが少ない。
 麻雀の面子と食事へ行くのはその後だ。

 だから私がホリタと一緒に帰ることはなかった。


 そして何よりも私は他人に自分の家など教えない。
 そんな人間らしい、隙を見せるような真似はしたことがなかった。






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*当物語はフィクションです

流砂 -第5話-  雀豪列伝[2]

 
 四人麻雀とサンマは似て非なるものである。
 いわゆる「東天紅」と呼ばれる一局清算のサンマには、“半荘”という概念が無い。

 従って、レース性の高い四人麻雀で重視されるゲーム回しやオカ取りには不向きだ。
 しかし、打ち手と牌種を減らし、和了と防御の密度が極限まで高まったサンマは、打ち手の腕が結果に反映されやすい。

 そして、サンマ畑出身の人間は攻守と牌の絞りに関して高い基礎力を有していることが多い。また、博打的要素の高いルールが多いから、その辺りの勘もよく働く。


 ホリタは決して雀力は高くないし、凌いで金を残せる打ち方ではない。
 しかし、ここぞという局面での張り方は博才を感じさせた。


 
 ある晩、月初めの日曜ということもあり、深夜三時を過ぎたあたりから店の稼動は1卓のみであった。
 客二人に対し、私とホリタが入り、朝まで卓を囲んだ。


 見所があると言っても、ホリタのガードと凌ぎは温く、私が順当に勝ちを伸ばしていく。
 陽も昇りきり、時計の針は昼の12時に差し掛かっていた。

 女のヒモで生活している40男が音を上げ、もう一人のラーメン屋も同意し、あと二回でお開きということになった。
 
 この日、最も負けが走っていたのはホリタである。
 もう大勢は出来上がっているので、私は残り二回を無理せず、そして手を抜かずに流して一仕事終わりである。
 
 
 オーラス、ホリタの親番。
 牌勢に恵まれた私がトップ目で、下三人は二着目のホリタを含めて1万点台で競っている。

 そこへ、ラス目のヒモからリーチが入った。


 四筒白東六索六萬八萬
 東中一索九萬六筒横  リーチ 



 対する私はこんな手格好だった。


(南四局 南家 ドラ 一筒


 三萬三萬五萬五萬二筒三筒五筒四索五索五索五索赤南發



 無理をする手でもない。
 ヒモの旦那の捨て牌は下の数に意識が高いように思える。

 ドラの 一筒 が絡む“123の三色”が濃厚だろう。


 リーチ一発目、旦那が 三筒 を自摸切った。


 四筒白東六索六萬八萬
 東中一索九萬六筒横三筒



 ラス目のリーチだけにこの辺りが本線かと思っていたが、どうやら違ったようだ。
 決して油断をした訳ではないが、この後に衝撃的なことが起こった。








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吉田光太

吉田光太

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第7回 野口恭一郎賞 受賞
第10回モンド21杯準優勝
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