プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

2017年10月

暴走族の男(供  -第18話-   雀豪列伝[1]  

西:麻雀王国    二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国

 
 役員風がオーバーアクションで、北:麻雀王国 を鳴かせたフーテン男に呆れた素振りを見せた。
 この半荘のトップ目は役員風だ。


 だが、フーテン男だってバラバラのクズ手で来ている訳ではない。

 実際に向こうはリーチ。
 それに対し、私は待ちが僅かに二枚のスッ単騎である。


 ゲン爺が、リーチに対して強い牌を切ってきた。
 彼は 西:麻雀王国 を持っているのだろうか。


 だが、リーチ者は無言。
 自摸牌をそのまま河に放る。


 勝負がどっちに転ぶにせよ、あまり長い時間ハダカ単騎なんていう見苦しい姿でいるのは御免被りたい。 
 そんなことを思いながら山に手を伸ばすと、いとも簡単に絵が合ってしまった。


西:麻雀王国   ツモ 西:麻雀王国     二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 
 結局その半荘は、それまでトップコースを走っていた役員風を役満でまくった私がトップ。三枚目を鳴かせたフーテン男はラスだった。


 すると、フーテン男が懐中から皺くちゃの札を取り出しながらゲン爺に言う。

「預かり金、戻してくれる?」


 どうやら懐中の分だけではパンクのようだ。
 最初に預けた“預かり金”を換金して、無言で席を立つ。
 

 すると、フーテン男が店を後にした瞬間に役員風が声を荒げた。


「たくっ! 北:麻雀王国 なんか切るなよ。タコが!!」


 役員風の気持ちも判らなくはない。

 しかし、誰が何を切るかなんて個人の自由である。
 三枚目を鳴かれたのは偶然であり、スッ単騎を自摸られたことは全くの不運だ。

 逆に、フーテン男の攻めで私の手が潰されることの方が多いだろう。


 ここは、道楽で牌が打てるような場ではない。
 ましてやフーテン男にしてみれば、そう楽ではない日銭が懸かった乾坤一擲の勝負だったのであろう。


 上気が収まらない役員風は、なんと私に相槌を求めてきた。


「なぁ、あんな打牌ないよねぇ!」


 別に彼が人のことをどう思い、どう憤ろうと自由だ。
 だが、ここは勝負の場であると同時に紳士の社交場でもあるのだ。

 他の客の悪評を第三者に同意を求めるのはご法度だ。

 
 フーテン男は、静かに席を立った。
 彼は例え他者が三枚目を鳴かせて、その結果自分が競り負けたとしても黙って受け入れるだろう。

 
 役員風の態度に嫌気が差していた私に気付いたのか、閉店後にゲン爺が珍しく私に話しかけてきた。






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*当物語はフィクションです

暴走族の男(供  -第17話-   雀豪列伝[1]  

 配牌で四喜牌を七枚手にした私は、果敢に親の第一打に飛びついた。

(ラス前 北家 ドラ 六索:麻雀王国


 一筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国東:麻雀王国東:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国發:麻雀王国  南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


すると、直ぐに親である例の役員風から二枚目が放たれる。


  一筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国   東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 小四喜は遠いところからの仕掛け倒れが多い。
 実際に序盤で三つ目を切っても、鳴かれることの方が少ないだろう。
 
 ラス目の仕掛けなので、テキは牽制や、ホンイツ狙いと高を括ってくれているかもしれない。


 しばし自摸切りと手出しを繰り返し、私の手牌は下の十三枚。


 一筒:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国   東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 もう一息で小四喜のシャンテンであるが、場には 二索:麻雀王国 が三枚、 五索:麻雀王国 もドラ表と合わせて三枚見えていた。


 そこへ、上家のフーテン男が長考の後、生牌の 北:麻雀王国 を打ってきた。

 私はやや上擦った声で、鳴いた。
 親の役員風と対面のゲン爺が顔をしかめる。

 打 六索:麻雀王国


 一索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国西:麻雀王国   北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 次巡、上家のフーテン男が自摸牌をそのまま横に曲げてリーチ。
 まぁ、流石に聴牌だろう。
 ところが、その自摸切った宣言牌が 二索:麻雀王国 だった。


「チー!」


 西:麻雀王国    二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国

 
 実に、四槓子を和了ったあの晩以来、十年振りの裸単騎である。





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*当物語はフィクションです

暴走族の男(供  -第16話-   雀豪列伝[1]  

 一言に雀荘と言っても、そこに屯する人種は様々だ。
 
 ビジネス街の貸卓店には近隣のネクタイ族が、駅前のテンゴの店であればそこに似つかわしい若者が集まるだろう。


 ここのサロン麻雀のような鉄火場に集まる人間といえば、小金の自由が利く自営業者や水商売の類の人間、腕に覚えのある勤め人、麻雀に傾倒しすぎた学生、そして腹を空かせた麻雀打ち……。


 別に相手の素性は何だって構わない。
 ルールに則り、牌を自摸って捨てるという行為に変わりはないのだから。

 私は鉄火場で卓に着いたら、まず全員の手つきと同時に相手の風貌を窺うようにしている。


 肌蹴たシャツの隙間、身体の特定部分の欠損。
 そして目尻に傷があるかどうか、拳ダコの有無。
 
 次いで、財布のブランド、腕時計……。


 相手の素性や懐中の太さを、まず計る。
 


「モシモシ――。飲みにいらっしゃってるんですか、直ぐフロアに顔を出します」


 私の上家の黒服が電話でそう答える。
 どうやら水商売、そして立場のある人間のようだ。

 ゲン爺が、いつも大変ですね、といった愛想の表情を黒服に向ける。

 彼はこの店に何度か足を運んでおり、常連と呼べる人間だ。
 遊戯は宵の口の時間帯が多いので、彼の仕切る酒場もこの界隈なのではないだろうか。
 

 キチンとした身だしなみ、落ち着いた物腰。
 この辺りで商売をしているのならば、オーナーの知り合いかもしれないし、飲みに来る客を探しに来ているのかもしれない。

 それならば、汚い遊び方はしないだろう。
 麻雀でこの客から多少は“抜いて”も良いだろう。

 電話一本でこんなことを推測する。


 麻雀とは、イメージも含めた認識の戦争である。
 相手が今どういう状況で打っており、どのような人間なのかを把握したい。


 ある日、私とゲン爺の同卓での出来事。

 私の下家には品の良いサラリーマンが座っている。
 歳の頃でいえば四十半ばぐらいであろうか。

 厚みと重さがある装甲されたアタッシュケース、一見してブランド物と判る糊の利いたスーツ。そして、柔らかな口調。
 確か来店は3度目のはずだ。


 “まともな企業の役職、もしくは中堅社員”

 というのが私の彼に対する印象だった。


 一方、上家は見るからに体裁の崩れたフーテン男。

 競輪新聞を尻ポケットに突っ込み、いつもダルダルのTシャツ一枚でいる御仁だ。
 だが、物腰は低く、半荘中も周囲に気を使うかのようにいつも軽口を叩いている。


 丁寧な口調や周囲に迎合する愛想は、まるで苦難の連続であった彼の半生がそうさせているかのように思えた。


 そんな面子で始まった半荘に、些細な出来事が起こった。





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暴走族の男(供  -第15話-   雀豪列伝[1]  

 
 ゲン爺がトップを走り、私が11000点差でそれを追いかける立場だった。
 オーラス、牌配を手にした私は一直線に萬子へ走った。

 澱みなく萬子を引き当て、手牌は六巡目で一向聴に。
 
(南四局 南家 ドラ 一筒:麻雀王国


 一萬:麻雀王国一萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国八萬:麻雀王国九萬:麻雀王国九萬:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国


 二萬:麻雀王国七萬:麻雀王国 が入れば、“混一色・イッツー・一盃口”で出和了りトップのテンパイだ。
 しかし、肝心の 二萬:麻雀王国 は場に三枚飛んでいる。
 そこへ、八巡目に 三萬:麻雀王国 自摸。ここで 北:麻雀王国 を切り出し、門前清一色へ向かった。


 勝負も佳境に差し迫った十三巡目、三着目のラス親からリーチが入る。


 九索:麻雀王国發:麻雀王国東:麻雀王国一索:麻雀王国三索:麻雀王国八索:麻雀王国
 六索:麻雀王国九索:麻雀王国一筒:麻雀王国三筒横:麻雀王国  リーチ
 


 実は私はそのとき逆転手の聴牌を入れていたのだが、リーチ一発目に引いてきた牌は 五筒赤:麻雀王国 だった。

 
 一萬:麻雀王国一萬:麻雀王国一萬:麻雀王国三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国八萬:麻雀王国九萬:麻雀王国九萬:麻雀王国  ツモ 五筒赤:麻雀王国


(私の捨て牌)

 八筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国北:麻雀王国二索:麻雀王国六索:麻雀王国
 北:麻雀王国六筒:麻雀王国二筒:麻雀王国一筒:麻雀王国


 
 この牌だけは……。

 七萬:麻雀王国 は既に2枚、場に切られてしまっている。


 断腸の思いでノーチャンスの 一萬:麻雀王国 を落とす。これでこの手はジ・エンドであるが、ゲン爺だってラス親のリーチにはオリざえるをえない。親が連荘をすればまだチャンスはある。

 次巡、嫌な引っ掛かりが親指に広がった。それは 七萬:麻雀王国 だった。
 唇を噛み締めながら、もう一枚 一萬:麻雀王国 を落とす。

 次巡。
 私は持ってきた牌を卓に打ち伏せたまま、静かに最後の 一萬:麻雀王国 を横に曲げた。


 八筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国北:麻雀王国二索:麻雀王国六索:麻雀王国
 北:麻雀王国六筒:麻雀王国二筒:麻雀王国一筒:麻雀王国一萬:麻雀王国一萬:麻雀王国
 一萬横:麻雀王国  リーチ


 切り番となったゲン爺が、穴が開くほど私の河をしげしげと見つめている。
 どうやら共通の安全牌が無いようだ。
 そして長考の後、親の現物である 四筒:麻雀王国 を河に置いた。


 五筒赤:麻雀王国三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国八萬:麻雀王国九萬:麻雀王国九萬:麻雀王国六筒:麻雀王国  ロン 四筒:麻雀王国



 満直で、文句無しの逆転である。
 
「あちゃー、打っちゃったか。痛い痛い」

 ゲン爺のことだから、いつものようにそんな軽口を叩いて自分の手でもひけらかすのかと思った。
 しかし、喜々としてリーチ棒を手繰り寄せる私をよそに、ゲン爺が低い声でボソっと呟いた。


「良い待ちしてやがる……」



 私は、思わずハッとしてゲン爺の、いやゲンさんの顔を見上げた。

 吐き出した煙草の煙が揺蕩う虚空を、眼を細めて見据えるゲン爺。
 その窪んだ眼窩から放たれた光は、私がこの先追い求めるやしれない勝負の鬼のそれだった。  

 おそらく、私なんかが容易に想像つかないほど激闘の年輪を重ねてきたのだろう。


 たくさんの幸せを放棄し、麻雀に身を委ね、今こうして雇われの身として働かなければならない事情があるのかもしれない。
 そのことをゲンさんがどう捉えているのかは、本人しか知る由はないが。


 私の視線に気付いたのか、すぐにいつものゲン爺は戻ってきた。


「いや、参ったね。一発ですか、逆転ですね」

「爺さん、どっから打ってんだよ。それじゃあ給料残んないだろ」

「ほほほ。若い人にトップを獲ってもらおうと思ってオリ打ったんですよ」


 ここにも、牌に取り憑かれし雀鬼が一人......。

 







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暴走族の男(供  -第14話-   雀豪列伝[1]  

 
 その男はゲン、と名乗った。
 本名は知らないが、客は“ゲンさん”や“ゲン爺”なんて呼び方をしていた。


 皺くちゃの顔に骨と皮だけ残ったのような痩躯で、歳は七十にも八十にも見える。
 こんな家で猫の相手でもしている方が似合う爺さんが、打ち盛りの連中を相手に渡り合おうというのだ。


 ゲン爺はいつもニコニコとした愛想笑いを絶やさず、遅々としながらも丁寧に仕事をこなす。
 卓内での精算や点棒の受け渡しにもミスはない。
 
 ただし、ドリンクの注文や出前の類はいけない。
 たいがいが隣の卓へ、それも注文と違ったものを運んでしまうのだ。


 メンバーの仕事というのはただ麻雀を打つだけではない。
 ゲン爺は客と客のクッション役にもなっていた。


「爺さん、そんなところを鳴かすなよ」

「そうだ、そうだ、何年麻雀を打ってるんだ」

「はいはい、アタシャ耳が遠いから皆さんの野次が聞こえなくてねぇ」


 私は始め60歳も年上の同僚に面を食らったが、オーナーも中々の人を連れてきてくれたなと思った。

 客に揶揄されながらも和やかな雰囲気を周囲に振りまくゲン爺の存在は欠かせなかったし、そんな彼を私も好きだった。
 

 但し、この男。
 ただの好々爺ではない。
 

 客の目を誤魔化すように打ってはいるが、化け物のように麻雀が強いのだ。


 他の客はゲン爺を軽視していたが、私は彼の雀力に一目を置いていた。
 まず、放銃をしない。ニコニコしながら徹底的にオリて、牌を絞る。


 そして、よくそれで勝てるなと思うほど手数が少ないのだが、攻めにかかったときの精度は唯一無二なのである。


 ゲン爺が一つ二つ強い牌を振ってきたら、それは間違いなくテンパイ。
 それも和了れる見込みが大きいテンパイなので、私はそれだけで手牌を迂回させていた。


 そんなある日、私はゲン爺の意外な一面を垣間見ることとなった。






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*当物語はフィクションです

暴走族の男(供  -第13話-   雀豪列伝[1]  

 初日を辛くも少しのマイナスで切り抜けた私は、その後も何とか凌ぎ続けた。

 高圧的だった客の親爺たちも私の存在を認めてくれる。


 ただ、困ったことが一つある。


 金曜の夕方から場が立ち、客が入れ替わり来るのだが、展開が悪いと私は三日三晩は帰ることが出来ない。
 
 客が負けて熱くなると、卓がいつ終わるか判らないので、私は火曜日に別の用事などを入れられないのだ。


 麻雀を打っているので眠いという事はないが、流石に予定のやりくりに困る。
 
 オーナーの谷口は眠くなるとすぐに帰ってしまうので、こういった場を若い私一人で切り盛りするのもどうかと思う。


 私は谷口に直訴し、手伝ってくれるというもう一人の男性に早く来てもらうよう頼んだ。


 そして現れたのは……。

 なんと80歳にも見えるヨボヨボの爺さんだった。







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*当物語はフィクションです

暴走族の男(供  -第12話-   雀豪列伝[1]  

 

<東1局 親 ドラ 六筒:麻雀王国 >

 四萬:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国一索:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国  ツモ 四萬:麻雀王国


 この牌は……。

 私は思わず首を傾げた。


 勝負事の世界に教科書は無い。
 自分の経験や知恵を総動員して生きてゆく術を身に着けて行くんだ。

 18歳でこの世界に入った私は裏社会の様々な“事情”を知った。

 そして勝負の世界での麻雀を知り、自分のスタイルを構築して行った。


 違和感を感じたときは、それに殉じる……。


 ドラの 六筒:麻雀王国 を切っての “ 五筒:麻雀王国 八筒:麻雀王国 ” 待ちのリーチ。

 これでも先制で充分に親満がある。


 だが、昇り調子のときに手元に3枚来たドラを切るのは違うと感じた。


 次に、 七筒:麻雀王国 を切っての “ 四萬:麻雀王国 三筒:麻雀王国 六筒:麻雀王国 ”待ちの三面張。

 こっちはツモれる確証が感じられなかった。


 今日は負けられない。

 初めてのマンション麻雀に挑む私は素寒貧だ。
 負ける訳には行かない。


 こういう時こそ自分らしく打つのが博打の極意だと、私は学んだ気がする。


 七筒:麻雀王国 を切ってヤミテンに構えた私に 四索:麻雀王国三萬:麻雀王国 と来た。

 リーチをかけ、“ 五筒:麻雀王国 八筒:麻雀王国 ” よりも先に五萬:麻雀王国 を自模ることが出来た。


 三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国  リーチ ツモ 五萬:麻雀王国



 口幅ったいようだが、私は勝負師としての輪郭を作り始めつつあった。






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暴走族の男(供  -第11話-   雀豪列伝[1]  

 しっかり守り、しっかり攻める。
 決して現状の浮き沈みに揺れないこと。


 私はこれだけを胸に刻んで戦い続けた。

 すると3連続で二着を拾え、その次にトップも取ることが出来た。


 そうして迎えた次の半荘。
 起家の私にドラ暗刻のチャンス手が入った。


<東1局 親 ドラ 六筒:麻雀王国 >

 四萬:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国一索:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国


 まだ4巡目である。

 萬子の二門で平和ドラ3、また三色も見える。
 そして 三筒:麻雀王国 を引いての“ 二筒:麻雀王国五筒:麻雀王国八筒:麻雀王国七筒:麻雀王国 ” 待ちの四面張。

 ソーズもタンヤオ変化や 七索:麻雀王国 あたりを引いて上への伸びもある。


 二門でテンパイをしたら、リーチをして6000オール、8000オールを狙う心算だ。
 巡目も早いし、昇り調子のここは大きく行くべきだろう。



 と、そこへ引いてきたのは想定外の牌だった。



 四萬:麻雀王国四筒:麻雀王国五筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国六筒:麻雀王国七筒:麻雀王国一索:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国五索:麻雀王国六索:麻雀王国 ツモ 四萬:麻雀王国









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暴走族の男(供  -第10話-   雀豪列伝[1]  

 この日、私が手を焼いたのは6枚の赤牌だ。

 普段、私が打っている3枚入りのルールとはだいぶ勝手が違う。


 なんせ、表ドラを入れたらドラが10枚あることになる。
 ポン・チーをして行けばすぐに3900点や満貫が完成する。


 私は主任の安岡の言葉を思い出していた。


「ねぇ、主任。なぜレートが上がるとインフレなルールが増えるんですか?」


 主任は元は歌舞伎町の住人だ。
 私は主任から東風戦などの話を聞いて疑問を持ったので、聞いてみたことがある。


「そうだなぁ。割れ目や白ポッチ、オープンリーチに金色の祝儀牌なんてのもある」


「単純にレートだけ上がれば良いのに」


「あのな、吉田。シビアな勝負になるほど、“負ける客”っていうのが必要なんだ。金を持ってる層や、下手の横好きの旦那衆がな」

 主任が説明を続ける。


「あまり上手くない客でもたまに派手に勝てるように、ルールをインフレに設定する必要があるんだ。トータルでは負けるにしても、たまに大勝ちや良い気分になるアガリが必要だからな」



 なるほど……。

 金を動かすために、遊び人にウケるルールが必要なのか。
 上手く考えてあるもんだ。



 私はこの世界に本格的に入るまで、麻雀は効率だけのゲームだと思っていた。

 しかし、今ここにいる私のように、“レートや場”、“勝ち負け”、“祝儀チップ”などに幻惑されることが多い遊びだ。


 ならば、私は……。


 どんな時も自分のスタイルを変えずに、王道の麻雀を目指してみようと心に決めた。


 そんな思いがたまたま功を奏したのか、私は徐々に反撃体制に入って行った。






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プロフィール


吉田光太

吉田光太

最高位戦日本プロ麻雀協会


池袋「麻雀ひろばキングダム」
に居ます
ホームページ
https://www.mahjong-kingdom.com/



<獲得タイトル>

第1期オータムチャンピオンシップ 優勝

第7回 野口恭一郎賞 受賞


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