麻雀プロが牌を握っている時間以外なにをしているかというと、まず酒を飲んでの麻雀談義ということになる。

 そもそもが寝ても起きても麻雀のことしか考えていないような学生や雀荘のメンバー上がりなわけで、この手の話が尽きることはない。

 あの手牌はこうだの、誰が強いだのと、麻雀というゲームが私たちの人生において最上の物であるのと同じように、仲間と過ごすこういった時間も非常に有意義である。
 もとい――、少人数の野郎のみで何十回となく同じ話を繰り返し、安酒場で金を浪費するのが有意義と言えるかは別であるが。


 この日は某barにて忘年会の二次会。
 顔を突き合わせているのは昨年、發王位に輝いた最高位戦の水巻渉プロ、プロ連盟所属、第32・33期王位の滝沢和典プロ。

 そこに公の二次会から流れてきた協会・鈴木たろうプロ、最高位戦・佐藤崇プロ、そしてプロ連盟の今里プロが合流する。

 私にとっては業界において全員先輩格であり、なかなかクセのある愉快な男たちである。

 
 深まる時間と共に酒の量もかなり嵩み、ほど良い酩酊状態になる。
 とくに先ほどから何処からともなく運ばれてくるテキーラに口をつけている私とタッキーあたりがだいぶ走っている。

 そこで誰が書いたかお決まりの“牌姿が書かれた箸袋”が登場する。
 麻雀プロ同士で飲んでいるとかなりの確率で行われる悪しき風習である。


 問題となった手牌はこうだ。


(東一局 3巡目 西家 ドラ 九萬

 
 八萬八萬九萬二筒三筒五筒五筒六筒九筒九筒二索三索發發



 一発と裏ドラはあるが、赤牌は無いルールでだ。


 先ずは私と崇の回答が 二筒 切りで一致し、固い握手を交わす。

 水巻さん、タッキーは 二索

 たろうさんとその場にいた協会の後輩である中林啓は 六筒 切りを主張。

 
「君タチ、これは受けの手牌だから対子手を第一に考え、筒子の下外しだろう。面子手になった際のロスも少ないし、重なり易いのは索子というのが判らんかね」
 と、かなり酒が回っている私と崇が講釈を垂れる。

「いやいや、安くて不安定な手構えにする気はないのだから、一色も考えたら索子外しだろ。索子が重なりやすいとか根拠が不明だし」
 こちらは水巻プロの貴重なご意見。

「ドラ含みの萬子三枚を外して一色手に行くほどの手材料がこの手に来るかね?」

「センス無いなぁ」

「何言ってるんだ。対子手の他にチャンタも考えて 六筒 切りだろ」

「チャンタは遠いでしょ」

「先刻の忘年会では 九筒八萬 切りなんていう意見もありましたよ」

「成るほど…」


 こうして、男たちの夜会は朝まで続く…。


















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