麻雀は必ず誰かが先行をするゲームだ。
 それは半荘でもそうだし、一日の勝ち負けだってそうだ。

 もっと言えば、人生についてだって同じ事が言える。


 毎日やっていれば序盤で芽が出ないことだってある。
 しかし、当然そこからの勝ちパターンだってある。

 一番マズイのは、“序盤にマイナスしたこと”により“焦り”を生じさせてしまうことだ。


 この日の私は明らかに逸っていた。
 序盤のマイナスを何とか挽回しようと雑な勝負を繰り返した。

 本来こんなときは姿勢を低くして回復の兆しを待つべきだ。

 牌をぎりぎりまで絞り、無用な放銃を減らして何とか一局・一半荘を長引かせる。
 さすれば時として勝てる局を生んだり、また誰かがエラーをして自分よりも下の人間が出来るかもしれない。

 状態の悪いときに短期決戦を挑むのは愚の骨頂だ。


 
 だが、私の中にはプロが沈んでいるのが恥ずかしいという思いと、この芸能人に認められたいという少しの邪念があった。



 私が不安定な麻雀を打ち続けて迎えた6戦目。
 手ぶくに構えた私が5巡目に切った 一筒 に歌手が声をかける。


「出ちゃったか、ゴメンね」


「あっ――」




 一萬九萬九筒一索九索東南西北白發中中   ロン  一筒








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