この日、私が手を焼いたのは6枚の赤牌だ。

 普段、私が打っている3枚入りのルールとはだいぶ勝手が違う。


 なんせ、表ドラを入れたらドラが10枚あることになる。
 ポン・チーをして行けばすぐに3900点や満貫が完成する。


 私は主任の安岡の言葉を思い出していた。


「ねぇ、主任。なぜレートが上がるとインフレなルールが増えるんですか?」


 主任は元は歌舞伎町の住人だ。
 私は主任から東風戦などの話を聞いて疑問を持ったので、聞いてみたことがある。


「そうだなぁ。割れ目や白ポッチ、オープンリーチに金色の祝儀牌なんてのもある」


「単純にレートだけ上がれば良いのに」


「あのな、吉田。シビアな勝負になるほど、“負ける客”っていうのが必要なんだ。金を持ってる層や、下手の横好きの旦那衆がな」

 主任が説明を続ける。


「あまり上手くない客でもたまに派手に勝てるように、ルールをインフレに設定する必要があるんだ。トータルでは負けるにしても、たまに大勝ちや良い気分になるアガリが必要だからな」



 なるほど……。

 金を動かすために、遊び人にウケるルールが必要なのか。
 上手く考えてあるもんだ。



 私はこの世界に本格的に入るまで、麻雀は効率だけのゲームだと思っていた。

 しかし、今ここにいる私のように、“レートや場”、“勝ち負け”、“祝儀チップ”などに幻惑されることが多い遊びだ。


 ならば、私は……。


 どんな時も自分のスタイルを変えずに、王道の麻雀を目指してみようと心に決めた。


 そんな思いがたまたま功を奏したのか、私は徐々に反撃体制に入って行った。






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*当物語はフィクションです