「キャバクラへは行きません!」


 私は安岡の願いを無下に断った。


「ナゼ?」


「行きたくないし、興味がないからです」


「そこを何とか頼むよ、吉田」


 安岡が手を願い事のようにかざして頼み込んでくる。


 18歳の私と、40代の安岡。
 普段、良くしてもらっているので、こうなるとキツい。


「関根さんか、反町さんと行けば良いじゃないですか。自分みたいなガキにはまだ早いですよ」


 そう答えたが、関根と反町はニヤニヤして私と安岡のやり取りを面白がって見ている。


「コイツらはなぁ、昨日つき合ってもらったんだ……」


「き、昨日……!? どうしてそんなに行きたいんですか?」


「狙っている子が居るからに決まってんだろ!」


 安岡がまた弱い表情で頼み込んで来る。
 いつも卓上で見せる暴君のような威厳はどこへ行ったのか。


「いやいや、でも高そうだし、嫌ですよ」


「お前、店に入ってから女と遊んだか? 毎日毎日、麻雀ばかりじゃ体に悪いぞ」


 
 言われてみれば、この半年ほど女と会っていない。 
 というよりも、女と会話をした記憶がない。

 毎日、家と雀荘の往復だけだ。
 ましてや、夜番の私が女と接する機会など皆無だ。


「でも、なんか嫌なものは嫌なのでお断りします! すみません」


「判った、判ったよ、吉田。じゃあ、こうしよう」


 何が判ったのか判らないが、安岡の力説は続く。
 “力説”とは、本当にこういうものなんだと思った。


「次、ツー欠けのあそこの卓だ。1半荘の着順勝負で頼む」


「仕事中にサシ馬っすか……」


「あれ、なんだ? 吉田は真剣勝負の申し出を断る男だったかな?」




 勝負は途中まで私の圧勝だった。
 しかし、オーラスの安岡の親番。

 4000オール。4100オールと強引にツモられてマクられてしまった。


三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬赤:麻雀王国一筒:麻雀王国二筒:麻雀王国三筒:麻雀王国三筒:麻雀王国三筒:麻雀王国七筒:麻雀王国八筒:麻雀王国九筒:麻雀王国中:麻雀王国中:麻雀王国   リーチ・ツモ 中:麻雀王国





「じゃ、夜の20時に寮に起こしに来てくれ!」


 安岡は飛び切りの笑顔を私に向けて、帰宅していった。






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*当物語はフィクションです