私は安岡に連れられてカジノへ来た。

 広い店内に二台大きなテーブルがあり、客とディーラーが勝負をしている。


 すると、雀荘で見たことがある人間が二人いた。

 
 ようっ、と言って私たちに笑顔を向けるアライという男。
 左利きで鮮やかな麻雀を打つ、ウチの店でも勝ち頭の客だ。

 確か、中古車のブローカーをやっているはずだ。


 そして、もう一人はバーカウンターの中で働いているカザマという青年。

 隣町の国立大学生のはずだが、どうやらここでバイトをしているようだ。
 カザマはサーファー風の茶髪で、確かに学生にしてはトッポイところがある。



「バカラをやろう。こっちがミニマムだ」


 ミニマム、おそらくレートのことだろう。
 安い方ということか。


「バカラ、っていうのはイタリア語で“ゼロ”を意味するんだ。まあ、日本でいうオイチョカブみたいなものだ。プレイヤーとバンカー、三枚のトランプの目の強い方を当てるんだ。」 


 私は安岡の説明を聞きながら賭けチップに手を下した。


 戦術やセオリーが判らないので、適当に流して張る。
 どうせ考えたところで丁半博打。確率は二分の一なのだ。


 安岡はどちらが勝ったか、出目のシートに毎回記録している。
 確率の偏りや、勝負所の波を読んでいるのだろう。



 そんな安岡が連続してバンカーで当てだして、目の前のチップがガシッ、ガシッと増えていく。

 その波に飲まれるように、私の二つ隣の中国人の客がアツくなり始めた。
 一気になくなったチップを補填するために、大声で中国語をまくし立てる。


 ここかな……。
 私はそう読んで、中国人の張りと全て逆の方にチップを置いた。
 
 バカラは素人だが、勝負事は毎日やっている。



 私の手元のチップが1.5倍ぐらいに増えた。

 だが、全く気が乗らない。
 チップが減るのも面白くないし、増えてもあまりアツくなれなかった。


 私は安岡を残して席を立ち、バーカウンターで飲み物を貰った。
 こういう所は食事も煙草も無料のようだ。



 すると、カザマが親しみを込めて喋りかけてきた。






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*当物語はフィクションです