プロ雀士吉田光太の横向き激闘記

最高位戦日本プロ麻雀協会 吉田光太のblog。

暴走族の男(供

暴走族の男 -第43話-  雀豪列伝[1]

 
 5時間、いや6時間ぐらい経っただろうか。
 死んだように眠っていた私が目を覚ますと、もう陽が昇って昼間になっていた。


 店内を見回すと、佐々木一人しか居ない。
 
 雀卓でつまらなそうに牌をカチャカチャと鳴らしていた佐々木が口を開いた。


「おう。奴さんたち、半荘4回で音を上げて帰って行ったぜ」


 聞けば佐々木がお座り三連勝をし、逃げるように退散して行ったらしい。
 
 テキも疲労困憊だったのだ。
 威勢が良く、鋭い切れ味の麻雀を打つ佐々木の登場を見て分が悪いと踏んだのだろう。


「清算もしておいたからよ。一応、オメェの代打ちのつもりで来たけど、プラスした成績の分は俺によこせ。引き継いで増えたチップはくれてやるよ」


「いや、チップの分も払います」


 そう言ったが、佐々木は元の枚数を覚えていないので要らないと言ってきた。



 佐々木によると、私が前々日に事情を電話で触れ回っていた客に話を聞いて顔を出してくれたらしい。
 客の“引き抜き”を避けるため、いつもの雀荘の面々は避けて客を探していた心算だったのだが……。



 私は窮地を救ってくれた礼を言ったが、佐々木はつまらなそうな顔で帰り支度を始めた。


「まぁ、もう少し考えて打つ場所を選ぶんだな」



 一人、マンション麻雀に取り残された私は、近日中にここを去ることを決意していた。





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*当物語はフィクションです

暴走族の男 -第42話-   雀豪列伝[1]

 佐々木が成績帳と私の顔を一瞥して、「ふぅん…」と鼻で笑った。

「ひでぇ事になってんな」


 そして私を席からどかし、卓にどかっと座ってしまう。


「さぁ、お客さん。選手交代だ。サクサク打ちましょうや」


 落ち着き払った態度に見えるが、私にはキレているのが目に見えて判った。
 後輩が世話になったな、という怒気がヒリヒリと伝わってくる。


 タチの悪い二人組も新たに現れた敵に露骨に嫌な顔をしながら、牌を掻き混ぜ始める。


 嗚呼、もう大丈夫だ……。


 何の根拠もないが、私は安堵し、そのままソファーに倒れこんだ。






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暴走族の男 -第41話-   雀豪列伝[1]

(北家 ドラ 八索:麻雀王国

七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国九萬:麻雀王国五筒赤:麻雀王国五筒:麻雀王国八筒:麻雀王国九筒:麻雀王国一索:麻雀王国二索:麻雀王国三索:麻雀王国七索:麻雀王国八索:麻雀王国九索:麻雀王国



 こんな手で南家のリーチに押していた。
 リーチの捨て牌は筒子が安いので、闇テンに構える。


 すると、萬子を仕掛けていた西家が躊躇しながら、 發:麻雀王国 を叩く。



裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国    ポン發横:麻雀王国發:麻雀王国發:麻雀王国   チー九萬横:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国   ポン中:麻雀王国中横:麻雀王国中:麻雀王国


 もともと聴牌気配があった所から、躊躇をしての役牌ポン。
 そして、現物の 一萬:麻雀王国 を切ってきた。

 おそらく、待ち変えだろう。


 二萬:麻雀王国 単騎か 、三萬:麻雀王国 単騎か。

 九萬:麻雀王国 をチーしているので、 一萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国 からの待ち変えではない。

 おそらく、 一萬:麻雀王国三萬:麻雀王国 から 三萬:麻雀王国 単騎にしたのだろう。



 朦朧とする意識の中で私はそう読んでいた。
 そして持ってきた 六萬:麻雀王国 で手を止めることなく、自模切った。


 ノータイムで切ったことに驚いたのか、西家が慌ててロンと言う。



 三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬赤:麻雀王国   ロン 六萬:麻雀王国   ポン發横:麻雀王国發:麻雀王国發:麻雀王国   チー九萬横:麻雀王国七萬:麻雀王国八萬:麻雀王国   ポン中:麻雀王国中横:麻雀王国中:麻雀王国



 しまった……!
 九萬:麻雀王国 と入れ替えてリーチとすべきだ。


 ボーンヘッドによる失点。
 もう身体も心も限界だ。


 卓に項垂れかけた。
 もう、無理だ。どうにでもしてくれ……。
 


 オーナーは何度電話をしても繋がらない。
 所詮、使い捨ての従業員だ。

 卓から抜けられるなら、もう何だって良い。
 金も何とかする。



 その刹那、入り口が開いて一人の男が入ってくるのが見えた。

 月曜日の朝6時だ。
 客が、ましてやオーナーやゲン爺が来る時間帯ではない。


 警察……!?
 まさか、本当に。




 警察だとしても良い。きっと、救世主だ……。
 そんな幻覚を見始めた私の目に飛び込んできたのは、見慣れた金髪のニキビ面だ。



「センパ、…イ? どうして……」


 佐々木が睨みを利かせながら姿を現した。



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暴走族の男 -第40話-   雀豪列伝[1]

 私が参っていたのは高熱だけではない。
 
 金曜の夜から、いま月曜日まで一睡もしていないのだ。


 普段であれば卓を抜けて休憩をしたり、ゲン爺やオーナーと交代して仮眠ができる。
 しかし、折り悪く今日は交代の人間が居ない。

 
 クソっ、と洗面所に立ち、冷水で顔を洗い喝を入れる。
 

 体調がなんだっていうんだ。
 気合で吹き飛ばせ。

 俺はこの道のプロだ。
 これでメシを喰っている。苦しい時に発揮する力を実力って言うんだろう!


 そう言い聞かせ席へ戻るも、激しい頭痛と悪寒が止むことはない。
 熱が40度近くまで上っているようだ。


 折り悪く……。
 この日の客層が最悪だった。


 客の紹介で現れた新規の二人組。
 どうも素性、というか人間性が怪しい。


 土曜日に来たこの二人はかなり負けがこんでいる。
 ここはいつも半荘キャッシュだが、この二人は最初に帳面麻雀で打たせてくれと言ってきた。


 普段はオーナーの許可がないと出来ないのだが、そのオーナーの電話が繋がらない。
 また、二人組は紹介者からオーナーへ後精算で構わないと話が通っていると言う。


 そして、この二人。
 私が高熱でうなされているのをニヤニヤと嘲笑しているようにも見える。


 本当に清算ができるのか……?
 沈んでいる内は決して止めないような気がしてきた。


 60半荘目ぐらいに入っただろうか。
 いよいよ私の身体は限界を迎えてきた。


 しかし、ハウス側から客に帰ってくれなどとは言える訳がない。



 私は何とかこの場を終わらせたかった。


 これが、私の敬愛する阿佐田哲也氏の小説だったら……。

 トイレで自分から警察に通報をするだろう。



 
 そんな事すら本気で考え始めていた。





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暴走族の男 -第39話-   雀豪列伝[1]  

 
 裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国裏:麻雀王国   ポン四萬:麻雀王国四萬横:麻雀王国四萬:麻雀王国  ポン一萬:麻雀王国一萬横:麻雀王国一萬:麻雀王国


 萬子を仕掛けた対面が手の内から 九萬:麻雀王国 を切ってきた。

 字牌は全て場に顔を見せているので、聴牌をしていたらチンイツということになる。


(南一局 親番 ドラ 七索:麻雀王国


 五索:麻雀王国五索赤:麻雀王国六索:麻雀王国七索:麻雀王国七索:麻雀王国六萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七萬:麻雀王国七筒:麻雀王国八筒:麻雀王国九筒:麻雀王国   ツモ 三萬:麻雀王国


 ラス目の親番の手牌だ。
 普段ならばここで手が止まる。


 だが、この日の私は“えいやっ“と 三萬:麻雀王国 を河へ滑らせてしまった。


 三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国三萬:麻雀王国四萬:麻雀王国五萬:麻雀王国八萬:麻雀王国八萬:麻雀王国  ロン 三萬:麻雀王国    ポン四萬:麻雀王国四萬横:麻雀王国四萬:麻雀王国 ポン一萬:麻雀王国一萬横:麻雀王国一萬:麻雀王国   


 何度目かもう数えるのが嫌になる満貫放銃だ。
 ダムが決壊したかのように、点棒の流出が止まらない。


 この日、重度の体調不良の私は大きく負け続けていた。
 来週に入る給料で補填が利くだろうか。


 テキは生牌の字牌を手出しした後に、 九萬:麻雀王国 を余らせている。

 七萬:麻雀王国 が私に槓子なので、 八萬:麻雀王国 が暗刻になったか、重なったか。


 すると、残る 二萬:麻雀王国三萬:麻雀王国五萬:麻雀王国六萬:麻雀王国 で組み合わせを作るのだから、 九萬:麻雀王国 が余った以上、聴牌していることの方が多いだろう。


 それに私の待ち牌は薄い。
 親番だから、とか赤牌があるから〜、なんていうのは博打のセンスがないイモ野郎の発想じゃないか。


 高熱でうなされながら、私はそんなことをブツブツと頭の中で唱えていた。




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暴走族の男 -第38話-   雀豪列伝[1]  

 
 この世で心の底から信じているもの⋯⋯。

 唐突に難しい質問だ。
 だが、私はゲン爺に好意を持っていたので、真面目に答えてみた。


「親の愛情と、自分の麻雀に対する情熱、あとは今の雀荘の先輩たちですね⋯⋯」


 ゲン爺はまた、うん、うんと頷いてニコニコしている。
 私は正解は何なのか聞いてみた。


「正解なんてありませんよ。素晴らしい答えです。ただ⋯⋯」


「ただ⋯⋯?」


「一般の、働いて給料を貰って人生を設計していく人なら正解でしょう。だけど、この世界は少し違います」


 説教は好きではないが、私は目で続きを促した。


「勝負の世界で信じられるのは、自分だけですよ」


 一言そう言うと、ゲン爺は煙草を吸い、いつものように吐き出した煙をずっと見つめ始めた。


 信じられるのは自分だけ⋯⋯



 幸か不幸か、のちのち私はこの言葉の意味を思い知ることになった。







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暴走族の男 -第37話-   雀豪列伝[1]  

「ぼんづら、って言ってね」

「えっ? 何ですか、それ」

 急に話しかけてきたゲン爺に私は尋ねた。
 

「漢字で書くと盆面。賭場で負けた時に見せる顔のことを指すんですよ」

「へぇー、そんな言葉があるんですね」

「全部、出ますからね。麻雀には」


 確かに麻雀は性格が出るし、負けた時の振る舞いにこそ人格が出るだろう。

 ゲン爺によると花札などの勝負の場を差す“盆”から来ているそうだ。


「あの役員風の人の盆面は最悪、ということになりますね。でも、ああいうお客さんも必要なんですよ」


 そう、にこやかな顔で説明をしてくれるゲン爺。
 思えば一ヶ月ほど共に働いているが、麻雀を打つ時間が長いためキチンと喋るのは初めてだ。


 すると、今度はゲン爺が私に尋ねてきた。


「そう言えば――、吉田さんはナゼ麻雀をやってるンですか?」


 先ほどまでとは少し違った、真剣な眼差しで聞いてきた。
 60歳も年下の私に敬語というのも迫力がある。


「ナゼって、まぁ気持ち良いからですよ。麻雀が強ければ威張れるし、たいていの相手は蹂躙できる」

 
 もちろん麻雀の面白さや、勝負の奥深さにも惹かれている。
 だが、そんなに崇高なものばかりではない。


「そうですか。まぁ、そうですよね。ただ、アタシにはどうも貴方が18歳でこんな所に居る人間に見えなくてねぇ」


 同じような台詞を雀荘のママにも言われたことがある。
 何となく、大人の言いたいことは判るが、私は何も答えなかった。


 うん、うんと頷きながらゲン爺はもう一つ私に難しい質問を投げかけてきた。



「吉田サンが、この世で心の底から信じているものは何ですか?」





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暴走族の男 -第36話-   雀豪列伝[1]  

西:麻雀王国    二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国

 
 役員風がオーバーアクションで、北:麻雀王国 を鳴かせたフーテン男に呆れた素振りを見せた。
 この半荘のトップ目は役員風だ。


 だが、フーテン男だってバラバラのクズ手で来ている訳ではない。

 実際に向こうはリーチ。
 それに対し、私は待ちが僅かに二枚のスッ単騎である。


 ゲン爺が、リーチに対して強い牌を切ってきた。
 彼は 西:麻雀王国 を持っているのだろうか。


 だが、リーチ者は無言。
 自摸牌をそのまま河に放る。


 勝負がどっちに転ぶにせよ、あまり長い時間ハダカ単騎なんていう見苦しい姿でいるのは御免被りたい。 
 そんなことを思いながら山に手を伸ばすと、いとも簡単に絵が合ってしまった。


西:麻雀王国   ツモ 西:麻雀王国     二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 
 結局その半荘は、それまでトップコースを走っていた役員風を役満でまくった私がトップ。三枚目を鳴かせたフーテン男はラスだった。


 すると、フーテン男が懐中から皺くちゃの札を取り出しながらゲン爺に言う。

「預かり金、戻してくれる?」


 どうやら懐中の分だけではパンクのようだ。
 最初に預けた“預かり金”を換金して、無言で席を立つ。
 

 すると、フーテン男が店を後にした瞬間に役員風が声を荒げた。


「たくっ! 北:麻雀王国 なんか切るなよ。タコが!!」


 役員風の気持ちも判らなくはない。

 しかし、誰が何を切るかなんて個人の自由である。
 三枚目を鳴かれたのは偶然であり、スッ単騎を自摸られたことは全くの不運だ。

 逆に、フーテン男の攻めで私の手が潰されることの方が多いだろう。


 ここは、道楽で牌が打てるような場ではない。
 ましてやフーテン男にしてみれば、そう楽ではない日銭が懸かった乾坤一擲の勝負だったのであろう。


 上気が収まらない役員風は、なんと私に相槌を求めてきた。


「なぁ、あんな打牌ないよねぇ!」


 別に彼が人のことをどう思い、どう憤ろうと自由だ。
 だが、ここは勝負の場であると同時に紳士の社交場でもあるのだ。

 他の客の悪評を第三者に同意を求めるのはご法度だ。

 
 フーテン男は、静かに席を立った。
 彼は例え他者が三枚目を鳴かせて、その結果自分が競り負けたとしても黙って受け入れるだろう。

 
 役員風の態度に嫌気が差していた私に気付いたのか、閉店後にゲン爺が珍しく私に話しかけてきた。






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暴走族の男 -第35話-   雀豪列伝[1]  

 配牌で四喜牌を七枚手にした私は、果敢に親の第一打に飛びついた。

(ラス前 北家 ドラ 六索:麻雀王国


 一筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国東:麻雀王国東:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国發:麻雀王国  南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


すると、直ぐに親である例の役員風から二枚目が放たれる。


  一筒:麻雀王国三筒:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国   東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 小四喜は遠いところからの仕掛け倒れが多い。
 実際に序盤で三つ目を切っても、鳴かれることの方が少ないだろう。
 
 ラス目の仕掛けなので、テキは牽制や、ホンイツ狙いと高を括ってくれているかもしれない。


 しばし自摸切りと手出しを繰り返し、私の手牌は下の十三枚。


 一筒:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国六索:麻雀王国西:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国   東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 もう一息で小四喜のシャンテンであるが、場には 二索:麻雀王国 が三枚、 五索:麻雀王国 もドラ表と合わせて三枚見えていた。


 そこへ、上家のフーテン男が長考の後、生牌の 北:麻雀王国 を打ってきた。

 私はやや上擦った声で、鳴いた。
 親の役員風と対面のゲン爺が顔をしかめる。

 打 六索:麻雀王国


 一索:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国西:麻雀王国   北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国


 次巡、上家のフーテン男が自摸牌をそのまま横に曲げてリーチ。
 まぁ、流石に聴牌だろう。
 ところが、その自摸切った宣言牌が 二索:麻雀王国 だった。


「チー!」


 西:麻雀王国    二索横:麻雀王国三索:麻雀王国四索:麻雀王国 北横:麻雀王国北:麻雀王国北:麻雀王国 東:麻雀王国東:麻雀王国東横:麻雀王国 南:麻雀王国南:麻雀王国南横:麻雀王国

 
 実に、四槓子を和了ったあの晩以来、十年振りの裸単騎である。





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暴走族の男 -第34話-   雀豪列伝[1]  

 一言に雀荘と言っても、そこに屯する人種は様々だ。
 
 ビジネス街の貸卓店には近隣のネクタイ族が、駅前のテンゴの店であればそこに似つかわしい若者が集まるだろう。


 ここのサロン麻雀のような鉄火場に集まる人間といえば、小金の自由が利く自営業者や水商売の人間、腕に覚えのある勤め人、麻雀に傾倒しすぎた学生、そして腹を空かせた麻雀打ち……。


 別に相手の素性は何だって構わない。
 ルールに則り、牌を自摸って捨てるという行為に変わりはないのだから。

 私は鉄火場で卓に着いたら、まず全員の手つきと同時に相手の風貌を窺うようにしている。


 肌蹴たシャツの隙間、身体の特定部分の欠損。
 そして目尻に傷があるかどうか、拳ダコの有無。
 
 次いで、財布のブランド、腕時計……。


 相手の素性や懐中の太さを、まず計る。
 


「モシモシ――。飲みにいらっしゃってるんですか、直ぐフロアに顔を出します」


 私の上家の黒服が電話でそう答える。
 どうやら水商売、そして立場のある人間のようだ。

 ゲン爺が、いつも大変ですね、といった愛想の表情を黒服に向ける。

 彼はこの店に何度か足を運んでおり、常連と呼べる人間だ。
 遊ぶのは宵の口の時間帯が多いので、彼の仕切る酒場もこの界隈なのではないだろうか。
 

 凛とした身だしなみに、落ち着いた物腰。
 この辺りで商売をしているのならば、オーナーの知り合いかもしれないし、飲みに来る客を探しに来ているのではないだろうか。

 それならば、汚い遊び方はしないだろう。
 麻雀でこの客から多少は“抜いて”も良いだろう。

 電話一本でこんなことを推測する。


 麻雀とは、イメージも含めた認識の戦争である。
 相手が今どういう状況で打っており、どのような人間なのかを把握したい。


 ある日、私とゲン爺の同卓での出来事。

 私の下家には品の良いサラリーマンが座っている。
 歳の頃でいえば四十半ばぐらいであろうか。

 厚みと重さがある装甲されたアタッシュケース、一見してブランド物と判る糊の利いたスーツ。そして、柔らかな口調。
 確か来店は3度目のはずだ。


 “まともな企業の役職、もしくは中堅社員”

 というのが私の彼に対する印象だった。


 一方、上家は見るからに体裁の崩れたフーテン男。

 競輪新聞を尻ポケットに突っ込み、いつもダルダルのTシャツ一枚でいる御仁だ。
 だが、物腰は低く、半荘中も周囲に気を使うかのようにいつも軽口を叩いている。


 丁寧な口調や周囲に迎合する愛想は、まるで苦難の連続であった彼の半生がそうさせているかのように思えた。


 そんな面子で始まった半荘に、些細な出来事が起こった。





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吉田光太

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第7回 野口恭一郎賞 受賞
第10回モンド21杯準優勝
VS研究会 第7期、第8期連覇中


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