「僕の衣装は一番寒い」
天空城団吉
自分はこの前、音楽を演奏しに車で岡山と神戸と大阪に行ってきた。この時期は外出時にジャケットがいるかいらないかの判断が難しい。持って行って暑かったら手荷物が増えるし、かといって持って行かないで寒くなってしまった場合寒くていたたまれなくなってしまう。普通の人ならばジャケットのみの悩みで済むが、自分には「ビーサンにするかスニーカーにするか」の判断も加わる。結局安全にジャケットを着込みスニーカーを履いて出かけた。日本の冬の寒さはどうやら白塗りのテニス選手を弱気にするみたいだ。
ライブ1日目岡山。ライブ会場の近くにはどうやら国立大学が存在するらしく、下校生徒諸君が波のように一方へ走ってく(なぜか下校生徒の99.5%が自転車)。その絵はまるで中国の道路だ。
この日は結構寒かった。ライブに向けて白塗り戦士になろうと場所を探した所、諸事情により屋外でメイクする事になった。屋外と言う事は岡山のみなさんに目撃されてしまうわけで、ここは戦士たるプライドを!と思い天空城はジャケットを着ずいつものプレイスタイルであるTシャツハーフパンツで変身準備に取り掛かる。…いかん。寒い。寒いぞこれは。……いや、戦士だから弱音を見せてはならぬ。天空城は岡山の天空に向け拳をかざした。
寒さに負けず変身を続けていると、生徒諸君の方向からこんな声がした。
「ライオンキング……?」
違うぞ。天空城だ。 そんな一日だった。
ライブ2日目神戸。本番までかなりの時間があるので朝早速たこ焼き屋偵察にでかける。「大阪じゃないけど、神戸だってたこ焼き屋、あるんじゃん?」とかすかな望みを持ち出かける。
この日は割りと爽快な気候だった。ジャケットを着て丁度いいくらい。非常に気持ちいい。三ノ宮の町は前回旅に続き2回目なので少し道を知ってる。と言うことは天空城の散歩、いや、天散歩の始まりである。
しかしそんな陽気な自分の表情も次第に曇り始める。と言うのもどのたこ焼き屋も開店していないからである。一帯どういうことだ?なぜ何処もあいてない?もしや私がシャッターをあける事から始める近未来的セルフ方式なのか?そんな予想を立てながらふと思いついた。………晩から開店し始めるのか?ドンピシャである。演奏終了とともに仲間達は宿へと向かう一方自分のみまた店に立ち寄ると開店してるじゃないか。勢いで2軒はしごする天空城。やっぱりうまいじゃないか!あきらめないでよかった!香ばしい匂いを漂わせながら宿へとスキップで帰る天空城であった………………ん?この最後の店で買ったやつに、ソースがかかってないぞ………。
手が拳の形に変化した。 そんな一日だった。
ライブ3日目大阪。前日より本番までの時間がある為、ここはと一向心斎橋にむかった。「ほないきましょか?にいさんやること決まっとるんちゃいます?」と、頭の中に知らない関西人が語りかけてきた。そう、決まってるんだ。
下車ご五分以内に口の中にたこ焼きを放り込む天空城。男たるもの仕事が早いのである。一皿完食後ただちに2軒目のロックオンを開始する天空城。あったぞ!、と言いかけたその時である。なにやら別のうまそうな表現が視界に入ったぞ。なに?アイスドッグ?なんだそれは。立ち寄って店の説明を見ると、どうやらあっつあつのホットドッグにソーセージではなくソフトクリームをのせた代物らしい。これ…は………微妙だが非常に興味をそそられる代物だ。どれどれ、たこ狩りは一時停戦してこの私が味見してやろうではないか。…………ふむ。なるほど。思ったより微妙だ。それより問題だ。かなり腹にたまったぞ。これではたこ狩りができぬ。くそ、西洋かぶれめ。うぬのせいでたこ狩りが………。苦渋の決断。たこ狩りを終える天空城。
アイスは食べても魂だけは熱いままの男。 そんな一日だった。
ライブを終えて改めて岡山、神戸、大阪の皆さんに感謝する次第であります。ありがとうございました。またまた勉強の連続だった気がします。
おしまい。