完結:女「隣同士ですね」
    2009年07月06日 コメント(84) 長編創作・SS 
    271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:27:49.55 ID:gefBy8qO0
    ■金曜日(昼過ぎ)/ソマリスタジオ第2開発室

    男  (よし、このループアニメは上出来だ…
        メインの素材としてガンガン使えるな ナイス俺)

    後輩女「先輩、ちょっと良いですか?」

    男  「お、なんすか」

    後輩女「このレイアウトどうでしょう?ちょっと見てもらえますか…」

    男  「んー これの前の画面の仮レイアウトあったでしょ確か それ見せて」

    後輩女「はい… これです」

    男  「ああ、これは良くない 前の画面のレイアウトがこうで、さっきのが
        こうだと画面の移行で意味も無く視線があっち行ったりこっち行ったり
        しちゃうっしょ それじゃ駄目です」



    274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:29:32.86 ID:gefBy8qO0
    後輩女「ああ… なるほど わかりました、
        ちょっと前のと合わせて考え直してみます」

    男  「全画面で視線が動かなきゃ良いってもんじゃないよ
        視線の動きもデザインするつもりでやってみる様に」

    後輩女「はい」

    男  「そうだな〜、頭ん中で完成した画面を自分で操作してる所を
        想像しながらレイアウトすると良いかも
        最初は実際にコントローラを持ちながら想像する位でいい」

    後輩女「難しいですね…解りました
        …先輩、今日は何か機嫌良いですか?」

    男  「んん? んー、あー、そうかもなぁ」

    後輩女「今日はそんなに怖い感じじゃなくなってます」

    男  「そうか いやまてよ、俺いつも機嫌悪いって思われてたのか」

    後輩女「そう見えるんですよ…」



    275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:31:07.12 ID:gefBy8qO0
    ■夜/薫葉駅前

    男  (後輩女さんは、案の定レイアウトで詰まってるなぁ
        予定の内ではあるが なんとか予定内で収まって欲しい所だな)

    男  (さて、どうしたもんかな… ん、あ! 女さんじゃないか、あれ
        なんか読みながら歩いてるな あぶねーな)

    男  「女さん」

    女  (…)

    男  「女さん こんばんは」

    女  (…)

    男  (聞こえないんか ヘッドホンしてる訳でもなさそうなのに)



    279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:32 男  「女さんってば」 トントン

    女  「ひっ、あれ あ、男さん? お疲れ様です 仕事帰りですか?」

    男  「ええ、女さんもですよね」

    女  「はい そうかー、電車使うと、会う事もあるんですね」

    男  「…一緒に帰ります?」

    女  「歩くの遅くなっちゃいますけど、いいですか?」

    男  「ええ」

    女  「すみません、じゃあ一緒に行きましょうか」



    280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:34:42.52 ID:gefBy8qO0
    ■都営薫葉線車中

    男  「スゴイ集中して読んでましたね」

    女  「ごめんなさい 読んでると色々鈍くなっちゃって」

    男  「危ないですよ… 何読んでたんですか?」

    女  「ネビル・シュートの『渚にて』です 新訳版が出たんで
        買っちゃったんです 男さん、知ってますか?」

    男  「いや、知らないです どんなのですか?」

    女  「核戦争後の世界で、人類滅亡までの人々の生き方を描く、
        みたいな小説なんです」

    男  「ふーん」

    女  「世界規模で放射能汚染が広がってて、滅亡はもう時間の問題
        なんですけど、何かまったりしてて、ちょっと独特の雰囲気なんですよ」

    男  「変わった話ですね」

    女  「私、読み終わったら、どうですか?男さん」

    男  「あ、是非 通勤中結構暇なんですよ」



    281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:36:24.59 ID:gefBy8qO0
    男  「捻挫でしたっけ、前より良くなって来ました?」

    女  「はい そろそろリハビリなんです
        出来るだけ歩きたいんですけど、なかなか機会が無くて」

    男  「ん、じゃあ上香坂で降りて、ちょっと歩きません?」

    女  「え、そんなわざわざ 付き合わなくっても」

    男  「俺、時々そこらへんで降りてブラブラ歩いて帰るんですよ
        あそこで降りると彩川が近いんです 河川敷を歩くと
        気持ちいいですよ ストレス解消になります」

    女  「ん、じゃあ、ていうか、一緒でいいんですか?」

    男  「そこは女さん次第だけど 2駅分で、俺がちんたら歩いて30分
        て所ですけど、大丈夫ですか?」

    女  「んー、丁度いいかな それじゃあ、ご一緒させて下さい…」

    男  「そんなにかしこまらなくても 俺から言い出したんだし」

    女  「ふふ、そうですね」



    283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:38:08.43 ID:w2uXuKGd0
    さりげなく出てくる文庫は実在の物なんだな



    284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:38:23.76 ID:gefBy8qO0
    ■彩川河川敷

    女  「暗いですねーここ いつもここ通るんですか?」

    男  「ああそうか 男1人だと気にならないんですよ 良くなかったですか?」

    女  「いえ、今は1人じゃないから平気です いつもは1人なんですか?」

    男  「ええ、大抵音楽聴きながらヘロヘロ歩ってます
        誰も居ないと、ちょっと歌ったり」

    女  「アハハ、わかりますわかります」

    男  「あ、歌っつったら、いつか」

    女  「あ」

    男  「女さん風呂場で」

    女  「止めて下さいアー! 恥ずかしい!」

    男  「わはははは ごめんなさい」

    女  「スゴイ恥かしかったんですよ、あの時」

    男  「ははは、俺もちょっと、しまったなあって 折角の歌を歌止めちゃって」

    女  「もうー」



    285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:40:16.81 ID:gefBy8qO0
    男  「ははは、あの時あれ、歌ってたのってGRAPEVINEの?」

    女  「あ、多分そうです『Glare』です ああ、恥かしい」

    男  「俺も好きですよ、その曲 だからつい反応しちゃったっていうか」

    女  「そうなんですかー 凄〜っく好きなんです私、あの曲」

    男  「『散らばっ〜てーいた〜 光は〜』ですよね」

    女  「そうそう『瞬〜きーでは〜消ーえなかった〜
        継ぎ足〜さーれた〜明日は〜』」

    男  (上手いな…)
       「『眩し〜さーなど〜通ーり過〜ぎて〜』…次、何でしたっけ?」

    女  「『青になって〜手をかざして〜』」

    男  「そうだ、『見〜上ーげたら〜もう行くのかい〜』」

        『たかが満ち足りた世界で 胸がいっぱいになって
         見たろ 光を 走り出したくなって 正解だ』



    287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:42:02.14 ID:gefBy8qO0
    女  「あー、誰かに聞かれたら恥かしいですね」

    男  「俺、たまにジョギングしてる人とかに聞かれます」

    女  「あはははは」

    男  「でも、声出すとスッキリしますよ」

    女  「つられてつい歌っちゃったけど、かなり恥かしいです
        …男さんて、結構高い声出るんですね」

    男  「高くて嫌なんですよ、自分の声」

    女  「そんな、歌えていいじゃないですか でも私も自分の声嫌いなんです 
        低くて、かわいくないじゃないですか?」

    男  「ん、嫌いじゃないですよ、俺は」

    女  「また〜」

    男  「いや、俺、単にカン高い声がニガテなんですよ
        耳にキンキン響いて辛くって 女さんのはそうじゃない、という話です」

    女  「凄いマジっぽいですね」

    男  「信じてくれましたか」

    女  「ふふ、それはもう」

    男  (…俺は真の馬鹿なんじゃないだろうか)



    288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:43:34.92 ID:xSks0cb6O
    死ぬまで早さを求め続けたレーサーか…

    >>288 エピソードが大好きなんだ



    289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:43:39.35 ID:gefBy8qO0
    ■西伊駒町/男のマンションの近く

    女  「普段通らない所を通ってくると、なんか新鮮ですね
        私、まだここらへんの事あまり知らないし」

    男  「そういやそうですね」

    女  「男さんは、こっちは長いんですか?」

    男  「んー、住んで2年てところだけど、バイクで通ったりしてたんで
        割と知ってるんです」

    女  「私はまだ全然ですよ」

    男  「適当にぷらぷらしてれば、その内覚えるんじゃないですかね」



    290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:45:09.99 ID:gefBy8qO0
    ■男のマンションの前

    女  「着いたー」

    男  「足、どうですか?」

    女  「平気です この位の距離って、ちょうどいいかも」

    男  「そりゃ良かった」

    女  「えー、また」

    男  「はい?」

    女  「それじゃあまた おやすみなさい
        今日は付き合って頂いちゃって、ありがとうございます」

    男  「いえ、いつもと同じです あ、それじゃ、おやすみなさい」

    女  「おやすみなさい」 ペコリ

     バタン

    男  (うーん…『じゃあまた一緒に』が出せないな俺は)

    男  (…歌はやばかった 手を繋ぎたかったな)



    292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:46:42.59 ID:gefBy8qO0
    ■日曜日(昼前)/男の部屋

      ピンポーン 

    男  「ううう、呼び鈴め 俺の睡眠を」

      ピンポーン

    女  「こ、こんにちわー、女ですー」

    男  「何ィ! ダッシュだ!」 ガタッ ダダダダ ガチャッ

    女  「おはようございます」

    男  「おはようぎざいます どしたんですか?」

    女  「はい、こないだ、男さんに本探しを頼まれたじゃないですか?」

    男  「ええ」

    女  「知人に見つけてくれそうな人がいるんですよ 私、今日これから
        その人の所を訪ねるんですけど、もしお暇なら男さんも、と思って」



    295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:48:15.79 ID:gefBy8qO0
    男  「どんな人なんですか? その人って」

    女  「元古書店経営者のおじいさんなんです もう引退してるんですけど、
        すごく顔の広い方で、御自身の蔵書も多いんですよ
        今までにも色々見つけて頂いてるんです 家も近いんですよ」

    男  「面白そうだな… 俺が一緒でも良いなら、是非
        ちょっと10分位準備してもいいですか?」

    女  「はい 気さくな方なんで、大丈夫だと思いますよ
        男さん準備してる間に一応電話入れておきますよ」

    男  「すみません」

    女  「じゃあ、ちょっと電話かけて来ますね」

    男  「はーい」ゴソゴソ



    298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:49:46.03 ID:gefBy8qO0
    男  「お待たせしました」

    女  「はい、電話入れときました 待ってるそうです」

    男  「良かった 家が近いって、どの辺なんです?」

    女  「吉墨2丁目だから、歩いて15分位? 歩きでいいですか?」

    男  「いいすね、天気良いし」

    女  「はい じゃあ、行きましょうか」

    男  (いきなり2人でお出かけする事になるとは、超不意打ちだな)


    ■昼過ぎ/東伊駒町 路上

    男  「そういや女さん、前、眼鏡掛けてた事無かったでしたっけ?」

    女  「あれ? 男さんの前で掛けてた事ってありましたか?」

    男  「いつだったかなぁ 見ましたよ ウチに来た時だったかな」

    女  「そうでしたか? ウチで本読む時だけかけてるんです」

    男  「いつもはコンタクトなんですか?」

    女  「コンタクトは怖いですよ、目の中に入れるなんて」



    300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:51:09.91 ID:gefBy8qO0
    ■吉墨町 元古書店主の家の前

    女  「ここの家です」

    男  (短いおでかけだったな)
       「なんというか、あんまり沢山の蔵書がありそうな家に見えないですね」

    女  「ここは、お孫さんと住んでるお宅ですよ 本は、他所に色々借りて
        保管してあるみたいですよ」

    男  「ふーん」(女さんちのパワーアップ版みたいな家かと思ってた…)

    女  「御免下さーい 女です」

    古  「…はいはい、ちょっと待っててな」

     ガラガラ

    女  「ご無沙汰してます、先生
        今日はお時間作って頂いて、ありがとうございます」

    古  「お久しぶりですね、女さん 元気そうだね そちらの方は、初めまして」

    男  「初めまして 男といいます」

    古  「まー、取り敢えず上がって下さい」

    女  「はい 失礼します」

    男  「お邪魔します」



    301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:52:49.25 ID:gefBy8qO0
    ■元古書店主の家 茶の間

    女  「これ、つまらないものですが、お孫さんとどうぞ」

    古  「ご丁寧にどうも、お茶を出させましょう
        …おーい!孫!お客さんにお茶をお出ししなさい」

    孫  「ちょっと待って〜 すぐ行くよ〜」

    古  「…失礼 そう言えば、この前来たのは、いつでしたっけ?」

    女  「確か『蝉の女王』とかの時だったと思います」

    古  「そうだった 安い出物がなかなかなかったね、あの時は
        今日も何かまた探し物かな?」

    女  「はい いつもお願いばかりですが」

    古  「ははは、まぁ商売でもあるしね じゃあリストをお預かりします」

    女  「これです よろしくお願いします」

    古  「拝見… 相変わらずの趣味ですね 女さんは」 ニヤリ

     ガラガラッ

    孫  「どうもこんにちわ! ハイどうぞ、粗茶ですが」 コトリ

    女  「ありがとうごさいます」ペコリ



    303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:54:13.03 ID:gefBy8qO0
    孫  「こちらの方、はじめてですね どうぞ」 コトリ

    男  「初めまして 頂きます」ペコリ

     ガラガラ パタン

    女  「…今日はもうひとつ、お願いがあるんですよ」

    古  「お願いですか 何ですかね」

    女  「…こちら、私の友人なんですが、彼の探し物をお願いしたいんです」

    古  「…ほう 失礼ですが、男さんでしたか ご職業の方は何を?」

    女  「…」

    男  「え、職業ですか …ゲーム開発をしています
        自分は、グラフィックを主に担当しています ええっと、これ、名刺です」

    古  「なるほど わかりました、お話伺います 探し物の本のタイトルは?」

    男  「理論社名作の愛蔵版『消えた2ページ』寺村輝夫 です」

    古  「私の手持ちにあるかも知れないな 書庫を巡る時に見てみますか
        遅いと1ヶ月位かかってしまいますが、宜しいですか?」

    男  「はい、急ぎません」



    305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:55:50.35 ID:gefBy8qO0
    古  「手持ちに無かった時は、ツテを探る事になります モノがあれば
        取り敢えず入手しますが、実際に買う買わないや金額の話は、また
        その後に、という事に、ここではなってます それで結構ですかな?」

    男  「はい、わかりました よろしくお願いします」 ペコリ

    古  「今日はこんな所ですかね?」

    女  「はい よろしくお願いします」

    古  「承知致しました …経過の連絡はまた、いつも通りメールで
        彼の分は、どうしましょうかね 別口にしときますかね?」

    女  「私のリストもあるので、取り敢えず私の方にお願いします
        男さん、それで良いですか?」

    男  「あ、はい、お願いします」

    女  「では、その様にお願いします よろしくお願いします」

    男  「よろしくお願いします」

    古  「承知しました」

    女  「それじゃ、今日はこれで失礼しますね」

    古  「また是非、いらして下さいよ」

    女  「はい、ありがとうございます では、また」 ペコリ



    308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:56:55.66 ID:gefBy8qO0
    ■帰り道

    男  「ん〜 なんか変わったカンジだったなぁ」

    女  「ですよね でも良い方なんですよ」

    男  「それはわかります あの、職業聞いたのって、何なんですか?」

    女  「あれは… あのおじいさん、結構趣味人で偏屈な所があるんですよ」

    男  「偏屈っつーと…」

    女  「あの人が『下らない商売』だと思ってる事をしている人とは、取引き
        しないんです」

    男  「下らない、てのは?」

    女  「土地ころがしとか、株ころがしとか、そういう、何か作ったり、
        便利にしたり役に立ったりするんじゃない、何かと何かの間でお金だけ
        取り去る系のやつとかですよ 私が知ってるのは、その位です」

    男  「ふうん」

    女  「そういうので稼いだお金は『下らない金』なんだそうですよ
        下らない金でお孫さんを養うのは、嫌なんだそうです」

    男  「俺の仕事は平気だったのか〜」



    311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:58:01.96 ID:gefBy8qO0
    女  「男さんの仕事がOKなのは解ってました 先生、ゲーム大好き
        なんですよ 取引き終わってから会ったら、多分色々聞かれますよ」

    男  「ええ!意外」

    女  「ですよね でもあの部屋、テレビもいいやつだし、
        ゲーム機いろいろ置いてあるんですよ」

    男  「俺とした事が、緊張して見てなかった…」

    女  「アハハ、他にもいろいろ拘ってて、PCとかメールとか普通に
        使える人なのに、取引きの最初は顔を合わせないと駄目なんです
        100円の取引きでも、関係無くそうなんですよ」

    男  「ふ〜ん」

    女  「私の取引きにしちゃっても良かったんですけど、
        今日はせっかくだから、男さんも、と思って」

    男  「いや、なんか面白い体験しましたよ …でも実際の取引きは、
        モノが見つかってから、って、いいのかなぁ」

    女  「成立しなかったらしなかったで、あの人の蔵書になるだけなんですよ
        それに、変にふっかけたりしないから、大抵成立するんです
        予想外に値が張りそうなら、ちゃんと途中で連絡下さるから
        大丈夫ですよ」




    312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:58:56.65 ID:gefBy8qO0
    男  「変わった人だなぁ でも面白いな どこで知り合ったんですか?」

    女  「大学です 一時期、英文学の非常勤講師だったんです
        私は可愛がって頂いて、色々教えてもらったんです
        私の本も、かなり先生の筋からのものが多いんですよ」

    男  「あ、それで『先生』なのか なるほどなぁ」

    女  「古書店関係者の間だと『吉墨の翁』って呼ばれてて、
        結構有名らしいんです」

    男  「なんか、かっこいいな」

    女  「アハハ、そうですね」

    男  「今日はもう、帰るだけですか?」

    女  「そうですね… あ、あの、男さん、おひ、お昼ご飯、済んでますか?」

    男  「まだです 起きたばっかだったんですよ どっかで食べて帰りましょうか」

    女  「そうしますか …どこがいいですかね〜」

    男  (イイ休日だ… やっぱ休日は休まないとな)



    313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:59:57.77 ID:gefBy8qO0
    ■翌週 木曜日(昼過ぎ)/ソマリスタジオ 第2開発室

    後輩女「なんでこのデザインじゃ駄目なんですか?」

    男  「単純に解りづらい この画面に入ってきた時、どう操作して良いか
        解らずに悩む事になる率は大きいと思う」

    後輩女「でも、そうなると全画面でレイアウトが似ちゃうじゃないですか
        それだとここの…」

    男  「そこらへんは聞いた デザイン的な意図もわかる アイデアも良い
        でも、そこはまず必要な要素を満たしてからの話だよ
        その順番が逆転するのは、UIデザインに於いては有り得ない」

    後輩女「そこまで解りづらいですか?
        1度見れば2度目から迷う事は無い筈です」

    男  「うん でも最初から解り易くないと駄目 まず何の為の画面なのか、
        考える様にしないと 『自分のデザインを見せる』以前に
        考えるべき事がある筈だよ」

    後輩女「…」

    男  「気持ちは解る でも、標準レウアウトに戻すか、そうじゃなければ
        見易さと君のアイデアが両立する様な新しいネタを考えるしか無い」

    後輩女「…解りました ちょっと休憩入りますね」

    男  「了解」



    314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:01:41.30 ID:gefBy8qO0
      ガチャン バタン

    同僚A「センパ〜イ、怖いですセンパ〜イ スウェ〜んプワ〜ィ」

    男  「うざーい!! つうか、いちいちネタにしないで下さいよ」

    同僚B「いや、本当に怖いですよ」

    男  「まじですか」

    同僚A「ワシだってマジ言っとるよ」

    男  「うーん」

    同僚A「真顔が悪い 笑え」

    男  「わはははははは!うひー」

    同僚B「男さん」

    男  「すんません でも真顔が悪い言われてもなぁ どーもそこらへんは」

    同僚B「何にしろ、男さん以外がちょっとフォローしといた方が良さそうですね」



    316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:03:12.92 ID:gefBy8qO0
    同僚A「お、いいな 突撃だ」

    男  「ああ!ちょい! 下手な事しないで下さいよ!」

    同僚B「上手くやっておきますよ」

    男  「すんません、お願いします」

      ガチャッ バタン ヘーイ

    男  「うーん」

    上司 「まあ、あれよ」

    男  「はい?」

    上司 「強引に笑顔とか、返ってキモイ結果になるから、無理はすんなよ」

    男  「そーですねー」

    上司 「微妙に気遣いは入れとく様に その位は出来る様になっとけよ」

    男  「了解です」

    男  (とか言いつつ、ニガ手もいいところ いつもながら困ったな)

    男  (取り敢えず、俺も新ネタのセンでちょっと考えてみるか…
        後輩女さんは結構アクロバティックなデザインかますから
        ネタ繰りし難いけど、味は殺さん様にしねーとな…)



    317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:04:46.25 ID:gefBy8qO0
    同僚B「戻りました」

    同僚A「うぃ〜っす」

    男  「お帰りっす」

    後輩女「ただいまです」

    男  「お帰り」

    後輩女「さっきのデザイン、もう少しネタ出しに時間つかっても良いですか?」

    男  「良いけど、遅らせた分の時間は取り戻さんといかんよ」

    後輩女「了解です ありがとうございます」

    男  「じゃあ、週明け辺りにでも、もうちょい詰めた話をしよう」

    後輩女「解りました」

    男  (頑張ってくれよ)

    男  (と、ここでこういうのを常にサっと口に出せないのがダメなのか、俺は)

    男  (とは言えまぁ、タイミングは逸したな)



    318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:06:19.11 ID:gefBy8qO0
    ■夜

    後輩女「それじゃ、私お先に失礼します」

    男  「はい、お疲れさん」

    同僚B「お疲れ様でした」

    同僚A「うぃ〜っす」

    男  (ふ〜〜っ)


      パララララッパッパッパー


    男  (メール …女さん)



    321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:07:59.93 ID:gefBy8qO0
     女メ『こんばんは もし時間が合えばですけど、今日この後また一緒に
        帰りませんか?  ちょっと歩きたいんですけど、あの場所だと
        一人じゃ歩きづらいので  もし良かったらですが』

    男  (…)

    男  (じわっと来たな タイミングだなこれは)

    男  (もう帰るか… いや)

     男メ『あと1時間位で仕事が切れるんですけど、その後で良いですか?』

    男  (送信… もうちょいキリのいい所までやっとかにゃな)


      パララララッパッパッパー


     女メ『解りました じゃあご飯済ませてから駅に向かいます
        またメールします』

     男メ『了解です 俺もキリついたらメールします ではまた後で』

    男  「この1時間をフル活用して、後輩支援のネタ繰りだ、やるぜー」



    322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:09:29.32 ID:gefBy8qO0
    ■薫葉駅 都営薫葉線絹澤町方面行きホーム

    女  「こんばんは 男さん、お待たせしました」

    男  「あ、こんばんは ちょうど電車も来ましたよ」

    女  「急行乗っちゃって、平気なんですか?」

    男  「上香坂には停まるんですよ 伊駒墨吉にも、停まってくれない
        もんですかね」

    女  「そうですよねー」


    ■都営薫葉線車中

    女  「直前でいきなり声掛けたりしたら悪いかな、とも思ったんですけど」

    男  「んー、」

    女  「友達だし、いいですよね 気軽に声掛けても」

    男  「ええ 無理なら無理って言いますし、無理でも気悪くしたり
        しないですよね」

    女  「そうですね でも残念とは思いますよ」

    男  「まー、そりゃ仕方無いですよね」



    325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:10:48.63 ID:gefBy8qO0
    ■彩川河川敷

    女  「お仕事でお疲れってカンジですね」

    男  「また顔に出てますか」

    女  「なんとなく 話し方とか…」

    男  「締まらんなぁ、俺は」

    女  「ここは話してスッキリしましょうよ」

    男  「話ですか〜? 俺の仕事の話だし、それより愚痴っぽくなったらイヤ
        じゃないですか」

    女  「聞きますよ、私 それ位いいじゃないですか 色々してもらって
        るんですし  それに、話すだけで楽になったりとか、しないですか?」

    男  「うーん、まあ、よくある話です 業務上の要件と自分のアイデアが
        ぶつかっちゃって、みたいな」

    女  「ああ〜 色々ありそうですね… やっぱり、皆でアイデア出し合ったり
        とかするんですか?」

    男  「そうですね あ、俺じゃなくて、後輩の方の話なんですよ」

    女  「あ、この間の…」



    326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:12:19.25 ID:gefBy8qO0
    男  「ええ んー、アイデア出し合いもしますけど、
        基本は各担当のデザイナが頑張るって所です
        今回、ちょっと大きめの塊を投げてみたんですよ その後輩に」

    女  「へ〜、デキる後輩なんですか」

    男  「有望ですよ 大抵誰もが通る道なんですけど、
        今が最初の踏ん張り所なんですよ」

    女  「センパイも大変ですね 時々優しくしてあげると良いですよ」

    男  「苦手なんだよなぁ〜」

    女  「そうですか?」

    男  「仕事だとどうにも」

    女  「またまたぁ」

    男  「本当なんですよこれが…」

    女  「男さんって」

    男  「はい?」

    女  「こんな風に付き合ってくれるのは嬉しいけど、
        彼女さんとか居ないんですか?」

    男  「居ませんよ、仕事ばっかです 女さんはどうです?」



    328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:13:57.15 ID:gefBy8qO0
    女  「仕事場じゃ、全然そんな感じにはなりませんね」

    男  「ええ、そうなんですか?」

    女  「私なんか、上手くいきませんよ」

    男  (何だ?)

    女  「男さんの方こそ、職場に女の人とかって さっきの後輩さんとかは?」

    男  「イヤ〜あいつはなぁ まず仕事の問題があるし イザとなったら
        相手の気分は一時置いてモノを言わなきゃならない間柄ですよ?」

    女  「あはは、そうですね でも」

    男  「はい?」

    女  「失敗したのを責めすぎたらだめですよ」 

    男  「う〜ん、そうですね…」

    女  「そうですよ」

    男  「ああ、それとあれだ」

    女  「なんですか?」

    男  「俺、顔が怖いって言われるんですよ そいつに」

    女  「ええ?」



    329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:14:09.40 ID:xSks0cb6O
    これは…ましゃか…



    330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:15:03.15 ID:9zXH0KXVO
    あらあらうふふ



    331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:15:30.64 ID:gefBy8qO0
    ■西伊駒町/男のマンションの近く

    男  「俺って普段から顔怖いですか?」

    女  「そんな事無いですけど… どっちかって言ったらニコニコしてますよ」

    男  「うーん、職場だと言われまくるんですよ」

    女  「…男さんマジメですね」

    男  「全然、んな事無いですよ」

    女  「なんか結構趣味的なのに根がマジメ、ていうか」

    男  「それ、全然関係無いですよ」

    女  「そうだ、ちょっと仕事話してみて下さいよ 怖くなるかテスト」

    男  「え、女さんに?」

    女  「そうです いつもと顔が変わるかどうか」

    男  「仕事の話っつっても、脈絡無いからなぁ 難しいですよ」

    女  「どうぞ」クルリ

    男  (面と向かわれてもなぁ)



    334以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:17:03.88 ID:gefBy8qO0
    女  「…」

    男  「…」

    女  「…プッ」

    男  「ぶっ」

    女  「あはは、なんで笑うんですか」

    男  「はははは、女さんの方が先でしょ」

    女  「あはははは、やっぱり全然怖くないです あはは」

    男  「くくく」

    女  「あははは、あ〜」

    男  「…」

    女  「…?」

    男  「好きです



    335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:18:09.86 ID:NiLIQDp1O
    あらあら



    337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:18:37.31 ID:gefBy8qO0
    ■西伊駒町/男のマンションの前

    女  「え」

    男  「ん、あれ」

    女  「…」

    男  「俺、なんか言いましたね」

    女  「言いました」

    男  (ブっはァァァァァアアア!!!!)

    女  「…」

    男  (何故言う俺! 物事の脈絡はどこへ!)



    340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:19:03.45 ID:TjN3VvDpO
    プギャー



    341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:19:37.45 ID:gefBy8qO0
    女  「あの…」

    男  「はい…」(ヒィィィ)

    女  「やっぱり、早めに言った方が良いですよ」

    男  「ん?」

    女  「そういうのは、本人に」

    男  「はい?」

    女  「あはは、それじゃあ、おやすみなさい!」 スタタタ

    男  「あ、おやすみです…」

    男  (んー…)

    男  (あれええええええええええ?????!!!!)



    345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:21:06.30 ID:gefBy8qO0
    ■男の部屋

    男  (…女さんを後輩女さんに見立てて『こわい顔テスト』をしていた)

    男  (それに向かってイキナリ『好きです』と発言)

    男  (それに女さんは『そういう事は本人に』と返す)

    男  (つまり女さん相手に後輩女さんに告る練習をした、と取られた)

    男  (俺の言った事のハズさ、誤解の内容、それを素で受けられた事)

    男  (…)

    男  (…) 

    男  (…ムッ)

    男  (ッッッはあああぁぁぁあああぁぁあぁあああぁああぁあァァアッァ!!!!)

     ドッタンバッタン ジタバタ ブンブン ズシャー ギャアアアン

    男  (これはだめだァーだめだこれは、酒の力を借りて今すぐ寝よう
        耐えられん)

     グイーーーー



    349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:22:11.78 ID:gefBy8qO0
    ■5月初旬 水曜日(午後)/薫葉バニラタワー前 あひる広場

    あひる「ガーガー」

    男  「呑気だなあ、こいつらは」

    男  「いやでも、こいつらにはこいつらなりの様々な問題が…」

    後輩女「先輩、お疲れ様です」

    男  「あれ、お疲れ」

    後輩女「この子達、名前あるんですか?」

    男  「アフラッ太君とアフラッ子ちゃんだよ」

    後輩女「え、本当ですか」

    男  「今考えた」

    後輩女「…休憩、いつもここなんですね」

    男  「吸わないしね あと、こいつら見てると和むんだ」

    後輩女「ちょっと微妙なお話があるんですが、いいですか?」

    男  「なんすか微妙って 戻ってからじゃ駄目?」

    後輩女「はい…ちょっと、すみません」



    351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:23:46.61 ID:gefBy8qO0
    男  「長くなったりする?」

    後輩女「なるかも知れません」

    男  「んー、じゃあ今よりも、仕事引けてからの方が良さそうかな
        どっかでメシ呑みしながらとかで良い?」

    後輩女「はい、わざわざすみません」

    男  「ん、じゃあ今日は7時辺りで仕事切ろうか」

    後輩女「はい」

    男  (何の話なんだかなぁ)

    男  (女さんの誤解は厄介だな… つうか、俺が後輩女さんをなぁ…)

    男  (かわいい奴ではあるんだけど、仕事の後輩だしな)

    男  (何より向こうにその気があるってのが有り得ん)



    353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:25:32.12 ID:gefBy8qO0
    ■夜/薫葉駅近く 飲み屋『呑々房』

    男  (とは言え、ああ言われると何かちょっと意識しちゃうよなぁ)

    男  「俺は腹が減ったよ いきなりメシっぽいの頼んで良い?」

    後輩女「あ、私も」

    男  「じゃあ、ここの店おでんがウマイからおでん食おう」

    後輩女「おでん、いいですね」

    男  「まずは大根だな …何が好き?」

    後輩女「しらたきですかね」

    男  「しけたもんが好きだなぁ 俺はあと、たまごとじゃがいもを」

    後輩女「私あと、ちくわぶと昆布巻きを」

    男  「なんだと ちくわぶは敵だ」

    後輩女「何ですかそれ じゃがいもなんて、おでんの具じゃないです」

    男  (ひたすらネタの嗜好が合わないな…)



    355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:26:49.59 ID:gefBy8qO0
    後輩女「本当においしいですね、ここ」 ハフハフ

    男  「つうか、何か話があったんでは」 バクバク

    後輩女「…そうです えー、」

    男  「言いづらい話?」

    後輩女「まあ、そこそこに」

    男  「仕事関連ではあるの?」

    後輩女「えーと、間接的に…」

    男  「間接〜? 歯切れ悪いな ズバっと言っちゃいなよ」

    後輩女「実は…実は、私…」

    男  (まさか…)

    後輩女「その、なんと言うか、ですね」

    男  「…」

    後輩女「す…好き」

    男  (ギクリ)

    後輩女「同僚Bさんの事が好きになってしまいまして!!」



    357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:27:39.32 ID:puJTQjXL0
    やれやれ、そんなこったろうと思ったぜ・・・



    358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:27:43.19 ID:NiLIQDp1O
    男がだんだんと変わってきたな。
    やっぱり出会う他人って大事だ。



    359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:28:02.42 ID:gefBy8qO0
      ヒュ〜〜〜〜 ヒュルリラ〜〜〜〜

    客  「おいちゃーん、ここスキマ風が来るんだけど」

    オヤジ「ああ、そこ、窓の立て付けが狂ってて すみませんね〜」

    男  「…」

    後輩女「…あの…」

    男  「続きをどうぞ」

    後輩女「いやその、先程も申し上げた通り…」

    男  「うん」

    後輩女「ど、どう、同僚Bさんが…、あれで…」

    男  「うん、わかった そんで?」

    後輩女「はい、それで、こんな事言うのはあれなんですが、
        思いっ切り仕事に差し障ってるんです 常に考えちゃって」

    男  「駄目じゃん、それじゃ」

    後輩女「はい、解ってます 解ってるんですが、もうどうにもならなくて
        頭がぐるぐるしちゃって…」

    後輩女「あーーーーもーーーー」



    362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:29:27.87 ID:gefBy8qO0
    男  「おい、落ち着けよ」

    後輩女「すみません、こんななんです どうしたら良いですか、私」

    男  「ええ!? どうしたら、って 何だそりゃ
        『助けて下さい』系のスレの>>1かよ君は」

    後輩女「スレ?」

    男  「いや、まあ、それは置いといて、
        俺の立場からじゃ『仕事に影響を出すな』意外言えんよ」

    後輩女「ああー」

    男  「何を言って貰いたいんだ まさか俺に仲を取り持て、
        とかは言わないだろうけど」

    後輩女「まだ全然頭の中が定まって無いんです でも仕事には実際
        悪影響が出ちゃう寸前なんです だからここはもう、先輩に
        相談するだけしちゃおう、て事なんです すみません…」

    男  「…お前は〜」

    後輩女「申し訳ないです…」

    男  「う〜〜ん」

    男  (…今ここでそれなりの肩透かし感を味わっている俺が
        堪らなく恥ずかしい)



    363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:30:49.99 ID:gefBy8qO0
    男  「そもそも、後輩女さんはどうしたいのさ」 トクトク

    後輩女「うー」

    男  「配置転換して欲しいとか、他のラインに」 グビッ

    後輩女「それは困ります!こんな半端な仕事しか出来てないのに」

    男  「仲を取り持つ、でもないし、上司さんに報告する、も違うよな」

    後輩女「…」

    男  「後は〜、『やめとけ』とか言って欲しい、なんて訳はないよな」

    後輩女「はい…」

    男  「いや、実際『やめとけ』言ってもいい立場、
        つうか言うべきなのかも知れないんだけど」

    後輩女「…」

    男  「…まあ当面それも無しとして 取り敢えず言ってあげられる
        有意義な事がなんも思い付かない」



    364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:32:21.93 ID:gefBy8qO0
    後輩女「先輩に」

    男  「ん?」

    後輩女「先輩に聞いて貰えれば、それで良かったのかも知れないです」

    男  「なんだそれは」

    後輩女「そうすれば、私がダレても叱ってくれるじゃないですか」

    男  「なんだその甘ったれ つうか、それ知らなくてもダレてたら怒るから」

    後輩女「そうですけど、もう言わずにはいられなかったんです…」

    男  「うーん、本人に言うとかはどうなの?」

    後輩女「そんな、絶対困らせちゃいます」

    男  「オレオレ、俺も超困ってるよ、今」

    後輩女「すみません…」

    男  「まあ君が困らせるなら俺の方がまだマシかぁ」

    後輩女「…」

    男  「取り敢えず、聞いた 聞いて現状了解した それでいいの?」

    後輩女「はい、聞いて頂いて、ありがとうございました…」



    366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:33:34.39 ID:gefBy8qO0
    男  「そもそも、同僚Bさんのどこにグっときたのさ」 グビッ

    後輩女「えー、優しそう、とか言うと馬鹿みたいなんですけど、話してると
        リラックス出来るし、幸せなんです それでいて頼りがいのある感じが」

    男  「それはなんとなく解るが… でも、あの人言葉は柔らかいけど、
        極限状態で厳しい人だよ 絶対ペース乱さないから隙が無いし」

    後輩女「カッコイイじゃないですか クールで」

    男  「そうすかー そうねー」

    後輩女「男さんだって尊敬してます 緊張するけど」

    男  「そりゃどうも」

    後輩女「また煮詰まったら、相談してもいいですか?」

    男  「…いいけど、俺からもちょっと頼みがあるんだが」

    後輩女「なんですか?」

    男  「やたらと怖がらないでくんない?」

    後輩女「そんなの無理ですよ」

    男  (コイツ…)



    367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:35:09.12 ID:gefBy8qO0
    男  「何を相談するつもりにしてもさぁ」

    後輩女「はい」

    男  「自分が何をしたいか位、自分で決めときなよ そんなんだと
        何も言い様が無い なんか適当に考えといてくれよ」

    後輩女「そうですね …そうですよね〜」

    男  「そうだよなぁ まあ飲んどきなよ」

    後輩女「はい、頂きます」

      グイーーーーーーー

    男  (その種の問題関連の俺のキャパはもう完全にオーバーだ…)



    368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:36:26.47 ID:gefBy8qO0
    ■薫葉駅近く

    後輩女「どーもごちとーさまでしたー」 ペコリ

    男  「喋りが覚束無いな 大丈夫かよ」

    後輩女「へーきですぅ」 スタスタ

    男  (足取りは確かだが…)

    後輩女「家はこっからすぐなので、たいじょうぶなんです!
        自転車さんは置いてくんですよー」

    男  「まあそれが良いな 1人で平気?」

    後輩女「へーきですぅ」

    男  (送ってくかどうかは微妙だが…)

    後輩女「そでじゃーおつかれさまでした」

    男  (帰ろう)「ハイお疲れ 気をつけて帰れよ」

    後輩女「ろうかいですん」

    男  (…やっぱヤバイな)「やっぱ送るわ 家どっち?」

    後輩女「こっちなんですけど〜」



    370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:37:02.74 ID:w2uXuKGd0
    後輩酔うと可愛いな



    371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:37:56.05 ID:gefBy8qO0
    ■後輩女のアパートの前

    後輩女「ここでしたー」

    男  「本当に近いな 15分とかからずに着いた」

    後輩女「ふ〜」

    男  「じゃー俺は帰るよ とっとと自分の部屋に入れよ
        そんじゃーお疲れ様」

    後輩女「ほつかれさまでした」ペコリ

    男  「ふ〜〜〜」

    男  (…世話かかりすぎ)

    男  (こんなん付き合うのも、新人の間だけだと思っとけよ)

    男  (…などと本人の前で口に出したりは、今はしない)


      女『話すだけで楽になったりとか、しないですか?』


    男  (ああ、そういう事なのかもな 狭量にならん様にしないとなぁ)

    男  (帰るベー ふぁぁ …もう終電が近いでやんの)

    男  (寝よう 逃避的に)



    372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:38:24.13 ID:1cW1IOZxO
    肩透かしをくらったのは私のほうだがな



    373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:39:19.82 ID:gefBy8qO0
    ■木曜日(朝)/ソマリスタジオ第2開発室

    男  (酒によって得た眠りは、充分になる手前で途切れてしまう)

    男  (…今日は流石に俺が一番乗りだろ 後輩女さんはあんなだったしな)

    後輩女「おはようございます」

    男  「うお!おはようございます よく起きられたなぁ」

    後輩女「はい、というか、夕べは見苦しい所と見せてしまって
        すみませんでした」ペコリ

    男  「いやいいよ 自分で歩いたし、吐いたりしなかったし」

    後輩女「はい 色々馬鹿言ってすみませんでした 仕事気合入れます」

    男  「了解」



    374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:40:34.22 ID:gefBy8qO0
    ■業務開始時間前


    男  (今ある素材だと限界あるな… 持って来所をどうするか…)

    後輩女「あの…」

    男  「ん、何?」

    後輩女「先輩は、どうやっていつも精神安定させてるんですか?」

    男  「どうって… いや、してねーよ 後輩女さんだって見たでしょ
        俺が崩れてた所」

    後輩女「すぐに回復して、すごい集中力だったじゃないですか」

    男  (今の俺の心中の不安定さをコイツに教えてやりたいが…)

    男  (ここで同じラインに降りて行くのは何かちょっと違うと思うので、強がる)

    男  (どうせ怖い顔だとか思われてるんだ わからんだろ)

    男  「…どうやら後輩女さんは、仕事に対する責任感と本気度が
        足らん様だね」

    後輩女「はい?」



    375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:41:55.56 ID:gefBy8qO0
    男  「本当に仕事が重要なら、仕事場でそれを目の前にすれば、
        本気で集中出来る筈だ」

    後輩女「そうですか…」

    男  「その為に、まずはトップメニューとメインのアイテム選択画面の
        デザイン1項を、実レイアウト込みで今週中に上げてもらう事にする」

    後輩女「えええ!?」

    男  「文句あるのか」

    後輩女「え、そん… ああ、いえ、ありません 頑張ります」

    男  「よし 集中しなよ 思考がループしてるなと思ったら質問する様に」

    後輩女「はい、解りました」

    男  (こんな所か… 元々やる気はあるヤツだし、まぁ平気だろ)



    377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:42:46.14 ID:gefBy8qO0
    ■夜/ソマリスタジオ第2開発室

    男  「そろそろ上がります」

    後輩女「あ、私も」

    男  「進みはどう?」

    後輩女「そこそこでしょうか? 明日、ちょっとまとめて見てもらえますか」

    男  「お? 了解 自分でも見直しといてな」

    後輩女「解りました」



    379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:43:59.63 ID:gefBy8qO0
    ■エレベーター内

    後輩女「男先輩って、彼女とかいないんですか?」

    男  「居ないなあ」(この人達ときたら…)

    後輩女「私もあんな言っちゃったんだから、先輩もぶっちゃけて下さいよ」

    男  (勝手な…)「居ねーっての 気になる人はいるんだが」

    後輩女「本屋の人ですか?」

    男  「…何で解るの 君達はそういうの」

    後輩女「なんとなくです ウチが近所なんでしたっけ?」

    男  「部屋が隣なんだよ」

    後輩女「良いじゃないですか〜」

    男  「まぁなぁ」



    380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:45:20.34 ID:gefBy8qO0
    ■薫葉バニラタワー前 あひる広場

    後輩女「それじゃ、お疲れ様でした」 ペコリ

    男  「はいお疲れ様」

    男  (最近、女さんと帰りに一緒になってないなぁ)

    男  (あんな話になった後、どっちが誘いづらいかと言えば…)

    男  (…むしろ向こうかもな いい時間だし、メールしてみようかな)

      『こんばんは これから帰宅なんですけど、時間が合いそうなら
       また一緒に帰りませんか?』

    男  (送信)

    男  (ふ〜〜〜〜)

    あひる「zzz…」

    男  (くそ… 平和だなこいつら)



    381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:46:45.09 ID:gefBy8qO0
      パラララッパッパッパー

    男  (お、もう返信か)

    女メ 『お疲れ様です ちょうど帰りで駅に向かってる所です
        男さんさえ良かったら是非 また川沿いを歩きたいですね』

    男メ 『じゃあ、ホームの1番手前辺りで待ってて下さい すぐ着きます』

    男  「送信…ふ〜OK」

    男  (よく考えると『この前のアレは誤解です』とか言っちゃうと『じゃあ
        どういう意味だったんですか』て事にすぐなるんだよな)
        別に言いたくない系の話しじゃ全然無いんだが)

    男  (俺は女さんが好きなんだろうか?)

    男  (そりゃ好きなんだけど、本気か?真剣なのか?)

    男  (この前、思わず自分の口から出てしまったのは、自分でも意外だった
        自分に不意を突かれた感じだ…)

    男  (…自分一人で考えてても解らんわ 会って話そう 成り行きに任そう
        会ったり話したりが出来る事そのものを幸いと考えよう)



    384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:47:51.86 ID:gefBy8qO0
    ■薫葉駅 都営薫葉線絹澤町方面行きホーム

    男  (いた、女さん ベンチで…また何か本読んでら はははっ)

    男  「女さん」

    女  「あ、男さん こんばんは、お疲れ様です」

    男  「お疲れ様です ちょっと久しぶりですね」

    女  「そうですね 隣に住んでるのに、変ですよね」

    男  「ですねえ あ、これに乗っちゃいましょう」



    386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:49:03.14 ID:gefBy8qO0
    ■都営薫葉線車中

    男  「さっきの本、何読んでたんですか?」

    女  「ポール・オースターの『ミスター・ヴァーティゴ』ていう小説です
        知ってますか?」

    男  「いや、例によって知らないです すんません」

    女  「アメリカの作家なんですけど、評価高いですよ 私も好きなんです
        前に読んだ『ムーン・パレス』ていう作品が、凄く良かったんですよ」

    男  「今読んでるのって、どんな話なんですか?」

    女  「まだ途中なんですけど… 不思議な奇術師の老人の下で修行する
        少年の奇妙な青春話、みたいな感じです て言うと割とありがちぽい
        ですけど、ちょっと不思議な感じなんですよ」

    男  「ふーん 読み終わって、お勧めだなと思ったら貸してくれますか?」

    女  「良いですよ! 読んだら感想聞かせて下さいね」

    男  「もちろん」



    387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:50:36.79 ID:gefBy8qO0
    ■彩川河川敷

    女  「うーん、やっぱり気持ちいいですね、ここ
        男さんは一人で来れていいなぁ」

    男  「昼間なら人も多いですよ 明るいと、結構遠くも見えていい感じです
        犬の散歩の人とかも、結構いますよ」

    女  「いいですね〜 午後勤の出勤の時とか、来てみようかな」

    男  「足、平気ですか?」

    女  「あ、はい 歩く速さ、これ位なら 遅くないですか?」

    男  「話しながらなら調度良いですよ」

    女  「はい」

    男  「…」

    女  「…」

    男  (どーすっかな…)



    389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:51:53.22 ID:gefBy8qO0
    女  「あの…」

    男  「ん、はい」

    女  「ちょっと余計なお世話っぽいんですけど、どうですか?
        例の、後輩さん」

    男  「ああ… 」

    女  「ごめんなさい、立ち入った話しちゃって
        そういうの、どうも気になっちゃうんです、私」

    男  「いや、それはいいんです んー、実は」

    女  「はい」

    男  「この前、俺、言っちゃったじゃないですか」

    女  「えーと」

    男  「好きだとか」

    女  「あ、はい」

    男  「あれ、その後輩の事じゃないんです」

    女  「ええ!?」



    391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:53:03.88 ID:pH0nS+Nh0
    さあどうでる



    392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:53:08.45 ID:gefBy8qO0
    男  「それ所か、ソイツから社内恋愛相談を受けちゃったりしてですね」

    女  「えええ!?」

    男  「最近の困り所って言ったら、そんな所ですね」

    女  「あら〜、どうするんですか? 問題無いんですか?」

    男  「そういや、その相手って独身なのは知ってるけど、
        彼女のあるナシとか知らないなぁ」

    女  「それは、アドバイスに困りますね」

    男  「うーん、でも、なんか取り敢えずは吐き出せればそれで良し、
        てカンジだったかも」

    女  「…やさしく慰めてあげれば良いですよ」

    男  「そういうの苦手なんですよ、俺は」

    女  「そうですか?」

    男  「仕事が絡むと、本当に苦手です」

    女  「あー、そうですね そうですよね〜」



    393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:54:09.35 ID:gefBy8qO0
    男  「直接仕事の内容の話なら、ちょっとケンカになってこじれる位
        何でも無いんですけどね…」

    女  「そうなんですか?」

    男  「モノ作ってれば主張がぶつかって喧嘩になるとか、よくありますよ
        でも、お互いがお互いの立場からモノを言ってる、ってお互いが
        解ってるんで、その話が終われば結構サッパリ出来るんです
        新人の内は、難しいかも知れないですけど」

    女  「なんかいいですね、そういうの」

    男  「そうですか? それなりのストレスにはなりますよ」

    女  「私のみたいな職場って、結構淡々としてますから ちょっと妬ける
        んですよ、そういうの 男も女も関係無くぶつかるの、とか」

    男  「うーん、まったり和やかが好きな人には、お勧め出来ないです
        女さん所では、恋愛沙汰とかその手の話とか出ないんですか?」

    女  「んー、結構皆、それぞれで動き回りますからね じっくり話する
        機会ってあまり無いんです」

    男  「ん、でも働いてる姿を見てて惚れる、とかありそうじゃないですか」

    女  「あ、そうか、あるかも知れないですね 私が話さないとダメな
        タイプなんで、あまり思いつかなかったです」



    395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:55:20.63 ID:gefBy8qO0
    男  「一目惚れとかって、無いんですか?」

    女  「…あまり解らないですね〜」

    男  「そんなもんですか」

    女  「そもそも自分の恋愛話って、苦手なんです 上手く行きませんって」

    男  「それ、前も言ってましたよね『上手く行かない』って なんで?」

    女  「…」

    男  「…」

    女  「単にやなやつなんですよ、私 すごい狭量なんです 男さんに本を
        片付けてもらった時に、嫌な態度取っちゃったじゃないですか?」

    男  「あんなのは別に…」

    女  「あんなのじゃないんです すごいセーブしてあれなんです 大体
        自分のものの事ばっかり考えちゃうんです 何かキッカケがあれば
        いくらでも嫌な部分が出ますよ」

    男  「…そんな卑屈にならなくてもいいんじゃないですか?」

    女  「誇張じゃないんです 実際、それで失敗してたりするんですよ
        こんな嫌な話になっちゃって、ごめんなさい」

    男  (参ったな)



    396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:56:32.21 ID:gefBy8qO0
    男  「女さんはあれだね、俺を見る目の無い奴だと言ってますね」

    女  「え、いや、そんな」

    男  「前の時、女さん、俺が後輩女に好きとか言ったって思ったじゃ
        ないですか あれは女さんに言ったんです」

    女  「…」

    男  「言った、ていうか思わず口から出ちゃったんですが」

    女  「…さっきも」

    男  「はい?」

    女  「言ったじゃないですか、上手く行かない、って 無理なんですよ、私」

    男  「狭量で嫌な奴だから、て話?」

    女  「…そうですよ」

    男  「全然そうは見えないけどな 結構楽しく話せたり、色々付き合って
        くれたりしてたじゃないですか 少なくとも、女さんが自分で言う程じゃ
        無いでしょう」

    女  「それは、まだそこまでだからです 引っ越して来たら、お隣りがちょっと
        感じの良い人だったんで、少しはしゃいじゃっただけですよ」



    398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:57:46.49 ID:gefBy8qO0
    男  「…」

    女  「…」

    男  「…そもそも、自分で自分の性格がどうこう、とかその手の
        自意識が信用出来る、って本気で思ってるんですか?
        自分で思ってるほど良い奴じゃない、なんてのはよくある話じゃ
        ないですか 悪い方に考えたからって、そんなのは同じだよ」

    女  「じゃあ、どうだって言うんですか! 私が私のことについて言うのが
        みんな間違いだ、て言うんなら、私は何なんですか!?」

    男  「そうじゃなくて! その人が『周りの人にとってどうなのか』は、
        本人じゃなくて周りの人が決めるんです この場合は、俺です」

    女  「でもどうせ、後で私の言った通りだったって解る事になるんですよ!」

    男  「そん時は、ほれ見たことか、とでも何とでも言えばいい!
        そんな、来てもいない事の話なんか、どうでもいいんですよ」

    女  「ああもう」

    男  「今まで結構楽しくやって来れたじゃないですか
        それが続けばいいだけなんですよ 何でこうなるんです?」

    女  「…」

    男  「泣かないで下さいよ」

    女  「ご、ごめんなさい…」



    399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:59:05.32 ID:gefBy8qO0
    男  「何で、そんなに悲観的なんですか?」

    女  「話したくないです」

    男  「…じゃあ、それはいいです これからもずっとそのままなんですか?」

    女  「…」

    男  「…」

    女  「今もう、こんなになっちゃってるのに それでも私とその、
        つ、付き合ったりしたいって、思うんですか?」

    男  「今はそういう話はひとまずどうでもいいんです
        女さんの考えに納得がいかないんですよ」

    女  「…そんな、勝手な話」

    男  「いや、それはちょっとどうなの、て思ったら、それくらいは言わせて
        貰いますよ 友達でしょ、少なくとも」

    女  「そんな意見、要りません」

    男  「そうやってハネられ続けて、俺がもう女さんには話しても意味ねーな、
        て思っちゃったら俺も話し掛けなくなりますよ その前に、女さんが
        俺の事をウザがって会ってくれなくなるかも知れないけど
        どっちになっても、その時点で友達ですらなくなっちゃいますよね」

    女  「…」




    400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 05:59:46.89 ID:gefBy8qO0
    男  「泣かせたかった訳じゃないんです ごめんなさい」

    女  「…」フルフル

    男  「女さんが、何をどうして嫌がってるのかわからないんです」

    女  「…」

    男  「今日はもういいか こんな話ばっかしてたら、疲れちゃいますよね」

    女  「…ごめんなさい…」

    男  「いや、何か、俺もムキになって突っ込み過ぎました」

    女  「…」

      スタスタ



    402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:01:00.94 ID:gefBy8qO0
    ■男の部屋

    男  (そのままなんとなく話がフェードアウトして、家に着いちゃったが)

    男  (『後輩女さんが好き』は間違いだってのは言えたけど、
        あんな展開になっちまうとは…)


     女『そもそも自分の恋愛話って、苦手なんです 上手く行きませんって』

     女『そんな意見、要りません』


    男  (流れ上出てきて言葉とは言え、シャットアウトかな)

    男  (くそ)

    男  (…)

    男  (ああ、やっぱり俺は女さんが好きだな 面倒な人だって解っても)

    男  (メールが来たり姿が目に入ったりするとじんわり来る 顔が緩む
        幸せだ それで身の回りに色々な事が許せる)

    男  (自覚した所で、殊更どうなるって話でもないが)

    男  (…なら、どうしよう どうしたもんかね)



    403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:02:33.88 ID:gefBy8qO0
    ■翌週 火曜日(昼過ぎ)/薫葉バニラタワー前 あひる広場

    あひる「グワッ グワッ」

    男  「俺の安らぎはお前らだけだよ、あひる…」

    あひる「グワ〜」

    後輩女「何やってるんですか、先輩」

    男  「後輩女さんか… お疲れさん」

    後輩女「お疲れ様です 同僚Aさんが探してましたよ 先輩の事」

    男  「ああ、了解 ありがとね サボりすぎた、戻ろう」

    後輩女「はい」



    407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:03:24.76 ID:gefBy8qO0
    ■エレベーターホール

    男  「調子どう?」

    後輩女「調子ですか? ん〜、普通ですかね」

    男  「普通なら良いか」

    後輩女「ひょとして、その、同僚Bさんの事ですか?」

    男  「まあ、そういうのも込み込みで」

    後輩女「仕事には響かせません 先輩、そういうの許さないですよね」

    男  「俺はそんな事人に言えねーよ〜 見てるだろ〜色々」

    後輩女「…でも、最後にはなんとかしますよね」

    男  「なんとかするよ」

    後輩女「ですよね」

    男  「なんか、俺が励まされてるみたいだな?」

    後輩女「そうですか?」

    男  「ありがとね」

    後輩女「はい」



    410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:04:47.82 ID:gefBy8qO0
    ■エレベーター内

    後輩女「先輩…あの」

    男  「何?」

    後輩女「私、同僚Bさんに、言ってみようと思うんです」

    男  「…好きだとか、そういう話?」

    後輩女「はい」

    男  「付き合ってくれとか?」

    後輩女「はい」

    男  「自分が、この話でどれくらい調子崩したかは自覚してるよね」

    後輩女「はい」

    男  「相手の調子も崩すかも知れない、てのも考えた?」

    後輩女「はい」

    男  「俺がやめろって言ったらやめる?」

    後輩女「やめます そう思って先輩に聞きました」

    男  「そういうの、人に投げるなよ」



    412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:06:01.37 ID:gefBy8qO0
    後輩女「…」

    男  「んー、まあ、好きにすると良いよ」

    後輩女「はい、ありが…いえ、はい」

    男  「あ、ひとつ」

    後輩女「何ですか?」

    男  「この話がキッカケで、最後に仕事辞めちゃったりとか、
        そういうのは無しでね」

    後輩女「辞めません」

    男  「そこは頼むよ」

    後輩女「…はい」

    男  「でも、言っちゃうからには、いい結果を願ってるよ」

    後輩女「はい …ありがとうございます」

     チーン ジュウサンカイデス

    男  「よし仕事だ ちょっと先1週間位を睨んでの
        軽い作戦会議やっとこうか」  

    後輩女「了解です」



    414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:07:07.70 ID:gefBy8qO0
    ■昼過ぎ/ソマリスタジオ第2開発室

    上司 「お前ら注目ー ちょっと聞いてくれ」

    同僚A「今忙しい 仕事で」

    上司 「うるせえ聞け …いきなりですまんけど、今日全社ミーティングが
        あります 15時に大会議室 社員は全員参加必須で よろしくー」

    同僚B「どういった内容で?」

    上司 「セクションリーダー連中は知ってると思うけど、新規開発ラインの
        立ち上げとそれに伴う人員移動について ミーティングっていうか、
        説明会だな 遅れんなよ 遅れたらクマだからな」

    同僚A「ははは、ワシが遅れるなんてそんなワハハ」


    後輩女「…新規ライン そんな話があったんですか」

    男  「うん、前々から アレコレ調整してたんだよ」

    後輩女「まさか、先輩が移動になったりはしませんよね」

    男  「んー、まーそこらへんも発表される筈だから、取り敢えず聞いてみてよ」



    415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:07:43.24 ID:w2uXuKGd0
    おおっとこれは



    416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:08:35.00 ID:gefBy8qO0
    ■夕方/薫葉バニラタワー前 あひる広場

    後輩女「なんですか!あの話って!」

    男  「何怒ってんの?」

    後輩女「何で私がいきなり新規ラインのセクションリーダーなんですか」

    男  「ああ、それは俺が推したから」

    後輩女「な!何でですか!?」

    男  「何でって、出来ると思ったからだよそりゃ リーダーつったって、単に
        ラインの規模的にUI担当者が1人ってだけだよ FX担当は別に就くし
        だから便宜上リーダーとは言うけど、部下が付く訳じゃない」

    後輩女「私、無理ですよ1人なんて まだ全然素人じゃないですか 
        わかんない事ばっかりです
        知識だって男先輩と比べて全然足りないじゃないですか

    男  「まあ、そうだけど」

    後輩女「解ってるなら、何で出来るとか言うんですか、そんな適当」

    男  「適当じゃねーって!確かに経験も知識技術もこれからだけどさ
        足りない時にどう出るか、て所では結構信用出来ると思うよ
        それに、大枠はこのラインで俺が出来るだけ仕込むし」

    後輩女「…」



    418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:09:42.06 ID:gefBy8qO0
    男  「大丈夫だって 俺がセクション持たされた時なんてもっとヘロヘロ
        だったって ウチ位の規模の開発だったら、よくある話だよ」

    後輩女「先輩がヘロヘロなんて、想像付きません」

    男  「そりゃまあ、昔の俺は見てないからね
        イヤ俺は今でもヘロヘロだろ 見ただろいろいろ」

    後輩女「そういう細かい話じゃないんです」

    男  (細かいって…)
       「でもね、俺はどっちかってーと小器用さで何とかするタイプだけど、
        後輩女さんにはデザイナとしての基礎からの底力がある、と思う」

    後輩女「そうなんですか?」

    男  「うん、俺は絵の勉強をまともにやった事って無いからね
        もちろん後輩に遅れを取るつもりなんか無いけど、追いつかれ
        そうになるのなんてそんな先の話じゃないと思うんだよな」

    後輩女「先の話なんて… 新しいラインの立ち上げって
        そんなに先じゃないんじゃないですか?

    男  「俺らが今やってるこれを上げて、ちょっと休んで、その後だね」

    後輩女「そんなの… 先輩、さっきから無関係者みたいな顔して
        適当な事ばっかり」



    420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:11:12.90 ID:gefBy8qO0
    男  「ちょっと、落ち着いて まあ聞いてよ」

    後輩女「…」

    男  「ちょっと言い方を変えるよ 新規ラインの立ち上げは、
        色んな意味で今の俺達にとって必須だ ここはOK?」

    後輩女「…ハイ」

    男  「社内を見わたせば解ると思うけど、俺らのFX/UI班は人が少ない
        それになり手も少ない でも俺らは現状でやりくりする意外無い」

    後輩女「だからって…」

    男  「まぁまぁ、俺だって後輩女さんを地獄へ落とそうとしてる訳じゃない
        さっきも言ったけど、出来ると踏んでの話だよ」

    後輩女「やった事も無いのに、出来るなんて」

    男  「そこだ 出来るって言ったのは、後輩女さんが1人で充分動ける
        と思ってるから、という訳じゃない」

    後輩女「どういう事ですか?」

    男  「新ラインの編成表見たけど、いいメンバー揃ってるよ 技術的にも
        そうだけど、セクションに関係無く、へぼいと思ったら口を出さずには
        いられない人らが揃ってる 加えて、UI担当のPGはベテランだ」

    後輩女「…」



    421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:13:16.91 ID:gefBy8qO0
    男  「きっと、後輩女さんに何かヌケがあったら、超ストレートに突っ込んで
        くれるよ そんで、その上でなら、後輩女さんは出来ると思ってる
        それは今回の仕事で見た」

    後輩女「…」

    男  「今のラインは作業に関してはクールな人が多いから、
        全然雰囲気変わると思うけどね まぁ慣れるでしょそこは
        それに、あんまし変なクセ付けない内に、色んなラインで色んな
        動き方を見た方がいい 絶対糧になるって」

    後輩女「…」

    男  「小規模ラインの割りに、比較的スケジュールに余裕があるから、
        後輩女さんの飛躍的成長の良いチャンスなんだ …まだ納得行かない?」

    後輩女「先輩に」

    男  「ん」

    後輩女「男先輩に、色々聞きに来てもいいですよね」

    男  「技術的な助言はする でも、デザインや方向性の問題なら、
        新しいラインのメンバーにまず意見を仰ぐべきだよ
        あと、自分が意見を出すのもね」



    422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:14:45.43 ID:gefBy8qO0
    後輩女「先輩、冷たいですよ」

    男  「仕事だからなー」

    後輩女「心細いんですけど」

    男  「会社を移る時よりは心細くないよ」

    後輩女「先輩って、どうして前の会社辞めたんですか?」

    男  「そこはまあ、いつか機会があったら話すよ」

    後輩女「けちですね」

    男  「新規ラインで一本上げたら話す」

    後輩女「それは大変ですよ」

    男  「うん、それは間違い無い まあ、酒の席でなら愚痴くらいは聞くよ
        いつかまた行こう 先輩だから奢るし」

    後輩女「…はい」



    424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:16:10.51 ID:gefBy8qO0
    男  「そんじゃ、頑張んな 取り敢えずは今のタイトルだね」

    後輩女「はい それじゃ、今日はお先に失礼します」

    男  「はいおつかれー」

     ガチャッ バタン

    男  (ふ〜)

    男  (ホレ、見なって、女さん こんなんじゃ会社の女性と
        イイ雰囲気なんて無理だって)

    男  (ああ〜いろいろ疲れた 俺も帰ろう)



    425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:17:46.00 ID:gefBy8qO0
    ■翌週 水曜日(夜)/彩川河川敷

    男  (ここ暫くは平和だな 仕事も進んでるし、後輩女さんの動きも良い
        女さんとも会えてない)

    男  (そういや、1人で音楽聴きながらここ歩くのも、久しぶりだなぁ)

    男  (月がでっけーな、今日は)

      パラララッパッパッパー

    男  (メールか… 何となく開き難いカンジが)

    男  (暗い道で、着信ランプだけが明るい…妙な感覚だな)パカッ

    男  (後輩女さんか… 珍しいな)ピッ


      後輩女メ『ふられちまいました』


    男  「そうか…」

    男  (どう返信したもんかな)

    男  (…)カチカチカチ

      男メ『元気出せ』(送信)



    427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:18:54.40 ID:gefBy8qO0

      パラララッパッパッパー

    男  (早い返信だな)パカッ

      女メ『はい 色々ありがとうございます』

    男  「…」

    男  (返信は…)

    男  (ラインへの悪影響が無い様に配慮しとくべきだけど
        …今はどうでもいいか)

    男  (もっと励ませる様な、何か言葉があれば良いんだが)

    男  (…そんな都合の良い言葉は俺には捻り出せない そっとしとこう)

      パラララッパッパッパー

    男  (あれ、またメール まだなんかあるんか)パカッ

    男  「!」 ピタリ

    男  「女さん」



    428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:20:48.77 ID:gefBy8qO0
      女メ『男さんから頼まれてた『理論社名作の愛蔵版 消えた2ページ』
      が見付かって、今日届きました
      直接手渡したいんですが、今どこに居ますか?』

    男  「そういや、そんなのもあったな」

    男  「…」カチカチカチ

      男メ『こんばんは 今会社からの帰りで、河川敷なんです
         後で俺の方から取りに行きますよ』(送信…)

      パラララッパッパッパー

      女メ『ちょっと歩きたいし、話もしたいのでそっちに行きます
         今どこらへんですか?』

      男メ『道のり半分て所かな?』(送信、と)

      パラララッパッパッパー

      女メ『わかりました、歩いてて下さい』

    男  「…ふーっ 暗い道、1人で平気かな」

      スタスタ



    430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:22:27.86 ID:gefBy8qO0
      パラララッパッパッパー

    男  (着信音変えるかな そんなにレベルアップばっかしても困る)パカッ

      女メ『河川敷に出ました』

    男  (ん? …あれか 携帯の光が見える)

    男  (暗い土手道で、向こうと俺の携帯だけが明るいのは、
        なんか妙な感覚だ)

    男  (近付いてくる …向こうばっか歩かせるのも何だな 俺も行くか)

      スタスタ

    男  「こんばんは」

    女  「こんばんは」

    男  「2週間ぶり位ですか?」

    女  「そうですね、確か」



    431以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:23:33.79 ID:gefBy8qO0
    女  「あ、これ、先生から届きました」ゴソゴソ

    男  「『消えた2ページ』… 懐かしいな 手に入るもんですね〜」

    女  「結局、先生の蔵書の中にあったそうですよ」

    男  「ありがとう 怖い話なんですよね、これ 常に不安感があって」

    女  「そうですね 不気味な演出抜きにしても、
        児童書の域を越えて厳しい話だと思います
        だから、男さんもずっと忘れなかったんじゃないですか?」

    男  「そうか〜 読み返すのが楽しみだな」

    女  「私も、自分のを読み返してみたんですよ
        今再読出来て良かったと思います いい機会でした ありがとう」

    男  「そんな あ、お金は?」

    女  「私、先生から一山いくらで買ったから… そうですね、500円で良いです」

    男  「え、そんなんでいいんですか?」

    女  「一山の金額からすると、大体そんな感じです」

    男  「わかりました」 ゴソゴソ 「はい」

    女  「はい、確かに」



    433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:25:00.86 ID:gefBy8qO0
    男  「…」

    女  「…」

    男  「女さん、」

    女  「あの、この前は」

    男  「ん」

    女  「この間は、ごめんなさい」

    男  「ん〜」

    女  「男さん、全然変な事言ってなかった なのに私、おかしな事
        ばっかり言って 謝ったそばからまた崩れて酷いこと言って
        また謝って、馬鹿みたい」

    男  「んー、いや、俺もズカズカ踏み込んで行くのがクセなんですよ
        こないだのもそうです 気を悪くさせちゃって、ごめん」

    女  「ううん、 どう考えても、おかしいのは私の方
        今日はそれを謝りたくって もう呆れてるかも知れないけど」

    男  「うん、はい 了解です 前の時の事は、もういいですよ」

    女  「…」



    436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:26:14.47 ID:gefBy8qO0
    諸々に感謝


    男  「それで…」

    女  「はい?」

    男  「改めて話しても良いですか? この前半端だったいろいろ」

    女  「え?」

    男  「いつもは、女さんが俺の愚痴を聞いてくれてたじゃないですか 
        女さんも少しぶっちゃけちゃいましょうよ 前に言ってたじゃないですか
        『話すだけで楽になったりするんです』とか」

    女  「…」

    男  「どうです? こないだは話してくれませんでしたけど」

    女  「そうですね… それじゃあ…」



    437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:27:22.44 ID:gefBy8qO0
    女  「私の部屋、見ましたよね 普通はあそこにあるあれ、全部読んだり
        する時間で外に行ったり友達と会ったりしてるんですよ」

    男  「んー、どうですかね」

    女  「子供の頃からそうだったんです それで、人と話すのが物凄く苦手
        上手く行かない様な気がして、怖いんです」

    男  「そうは見えなかったけどなぁ」

    女  「前にも言ったけど、新しい環境で舞い上がってたんです それで、
        普段なら絶対自分からは声掛けない様な状況で、どんどん
        話掛けちゃったりして」

    男  「うーん…」

    女  「男さんと楽しく出来て私が一番驚いてるんです こんな風で
        いいのかな、って まぐれなんです だからいつも不安でした」

    男  「んー、 職場では、どうなんです?
        話せないじゃ済まない事って多くないですか?」

    女  「やる事しっかり覚えてちゃんとこなしてれば、結構どうにかなって
        しまうんです 必要最低限口に出来れば、支障は無いですし」



    438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:29:07.39 ID:gefBy8qO0
    男  「あの古本の先生とは? あれ見て、女さんて交友関係広いのかなぁ、
        とか思ってたんですよ」

    女  「先生は、私が大学でずっと1人だった時に、声を掛けて来て
        下さったんです 図書館で良く見かけてた、ていうのもあって」

    男  「そうか〜」

    女  「その時も随分迷惑かけて…
        でも先生は何故か、いつも話し掛けてくれたんですよ」

    男  「ふーん」

    女  「元々、1人が好きなんです だからすぐに引っ込んじゃうんですよ」

    男  「ああ、俺もだ」

    女  「え、ウソ」

    男  「本当ですよ ひとりメシとか昔から平気なんです
        フラフラ歩いたりとかも 今日なんかもそうですね」

    女  「意外ですよ」

    男  「全然そんな事は無いんだけどな バイク乗るのって、基本1人だし」

    女  「あー…、そうですね」



    440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:30:18.89 ID:gefBy8qO0
    男  「あら、もう家の近所か」

    女  「え、あ、そうですね …どうします?」

    男  「うーん… 今日はちょっとこの先まで行ってみません?
        いい場所があるんです」

    女  「いいですよ ついて行きます」

    男  「こっちです あそこの階段」

    女  「そこ、登るんですか?」

    男  「ちょっと暗いから気を付けて…」



    441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:31:34.69 ID:gefBy8qO0
    ■彩川伊駒水門塔

    女  「こんな所、登れる様になってるんですね」

    男  「いいでしょー ホレあっち、薫葉のビル街まで見渡せるんですよ
        あそこ、拾九堂の入ってるビルですよ」

    女  「本当… 結構遠いんですね」

    男  「そっすねー、うーーーーん」ノビー

    女  「気持ちいい場所ですね…」

    男  「聞いてもいいですか?」

    女  「あ、はい どうぞ…」

    男  「何で『絶対に上手く行く筈無い』みたいに言うんですか?
        それまで、凄く気さくに接してくれてたのがそこで急変した様に見えて
        ちょっと訳わかんなかったんですよ」

    女  「…最初、楽しく出来てたのは、さっきも言ったけど、舞い上がって
        はしゃいでたのと、たまたままぐれで上手く話せてたからです
        まぐれっていうか、…多分、男さんのおかげです」

    男  「そうかなあ」



    442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:33:06.71 ID:gefBy8qO0
    女  「部屋を片付けて貰いながら色々話した時、
        私ちょっとおかしかったですよね」

    男  「ん〜、まあ ちょっと神経質なカンジだったか?」

    女  「本来、ああいう人間なんです それが、男さんに、その、あれですよ
        す、好きだとか言われて、物凄く怖くなったんです」

    男  「怖く? 何でですか?」

    女  「せっかく、せっかく友達になれそうなのに 今、思いも寄らず楽しく
        出来てるのに こんなに幸せなのに、結局駄目になっちゃうなんて
        耐えられない」

    男  「そこ! 何で駄目になるのが決定済みになってるんです?」

    女  「…相手にするのが身近なら身近な程、相手の細かい所が
        気になったり、相手に何かを求める度合いが高くなりますよね?」

    男  「まあ…そうですね」

    女  「求めるのが私からにしろ相手からにしろ、そんなのに私が
        耐えられる筈無いです 前だってあんな事言っちゃって…
        …今だってギリギリなんです」

    男  「それって前に言った、狭量で嫌な性格だから、て話?」

    女  「そうです…」

    男  「うーん…」



    444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:34:22.60 ID:gefBy8qO0
    女  「…」

    男  「どうも、女さんが言うほど嫌な奴には思えないんだよな
        自信だけがとにかく無い、て感じで」

    女  「それは、まだ見てない部分が多いからですよ
        他人の目が気になるクセに、他人を嫌いになるのはすぐなんです」

    男  「そんなの、最初から全部見れる訳無いですよ それにそれこそ
        お互い様って奴で、俺にだって当然ながら嫌な部分はあります」

    女  「…前に…」

    男  「前に?」

    女  「…前に一度、男の人と失敗してるんです
        酷い終わり方だったんです…」

    男  「ああ…」

    女  「その時だって、私が悪かったって、自分で思えるんです だから…」

    男  「…」

    女  「…」



    445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:35:32.73 ID:gefBy8qO0
    男  「『失敗したのを責めすぎたら駄目ですよ』…前に女さんが
        言ったんです 実際、そう思んですよ
        そんな事してたら、出来る事がどんどん減るだけです」

    女  「私のそういう言葉なんて、みんなどこかの本に書いてある事を
        言っただけなんです 自分で実践した事なんか、無いんですよ
        そういう言葉を喋る、本の登場人物に憧れてるだけなんです」

    男  「女さんの場合、引用元はハンパ無く多そうだよなぁ」

    女  「その上で妄想ばっかりなんです 私がこうならいいのに、とか
        そうやって思って真似するだけだから、すぐに崩れるんです」

    男  「妄想なら負けん 妄想の具現化でメシを食ってる我々ですよ」

    女  「…ふふっ、そうですね…」



    446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:37:11.79 ID:gefBy8qO0
    女  「…」

    男  (こんなにお互い食い違っていたとは)

    男  (始めは、人当たりの良い明るい人が越して来た、と思ってた)

    男  (俺みたいな仕事してるだけの冴えないヤツがこんな人と仲良くなれて、とか)

    男  (…まさか、女さんがこんなだったとはなぁ)

    男  (俺の方が人馴れして無いつもりだったんだが…
        でも、馴染みの思考って気がするのは、昔は俺もそうだったからか)

    男  (学生の頃とか、暗いガキだったなー 女さん程に没頭する物を作って
        自分を深める事も、その時は出来なかった
        今の仕事に向かい始めて、いつの間にかマシになった感じか

    男  (でもなぁ、女さん 俺だって、この状況で一瞬上から目線で立場の
        優位性を意識してしまう位には嫌な奴なんです どうです、この腐れ具合)

    男  (それに、俺の他人が苦手な性格だって、まだ全然残ったままだってのにな
        でも、だったらそんなのは)

    男  「…どうとでもなるっつーの」

    女  「え?」

    男  「前も言ったけど、これまでの事は置いといて、
        これから先もずっとそのままの超ネガティブ思考でいいんですか?」



    449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:38:49.46 ID:gefBy8qO0
    女  「…」

    男  「…」

    女  「…よくないですよ」

    男  「じゃあ、適当に変えて行きましょうよ 俺も手伝いますから
        女さんが、俺を嫌いじゃなければ」

    女  「…」

    男  「…」

    女  「ふーっ… …もう、私ばっかり、お世話になりっぱなしじゃないですか
        嫌なんです、そういうのが」

    男  「そんな事無いのに それに、いくらでも返してもらう機会はありますよ」

    女  「そう、なんですかね…」

    男  「何だかんだと、すぐ愚痴っぽくなりますからね、俺は」

    女  「…、そうですね ふふふ」

    男  「ははっ」

    女  「…じゃあ男さんの番 何か愚痴ってみて下さい
        最近は、仕事で何か無かったんですか?」

    男  「ああ〜、最近て言ったらですね…」



    451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:40:01.41 ID:gefBy8qO0
    女  「…じゃあ、後輩さんとは仕事場が離れちゃうんですか?」

    男  「そですね ちょっと先ですけど それも隣の部屋ってだけですけど、
        基本部屋に篭る仕事なんであまり顔は合わせなくなるでしょうね」

    女  「愛弟子と離れちゃうのって、寂しくないですか?」

    男  「割とよくある話ですよ」

    女  「あの子かわいいじゃないですか 残念だったんじゃないですか?」

    男  「そういうのにはなり得ない、って、今日再確認しましたよ」

    女  「なんとなく想像つく気がします」

    男  「そうですか? 俺だって、下心が出る時だってありますよ」

    女  「下心が全然無い人なんて、きっといませんよ 私だってそうです」



    454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:41:32.70 ID:gefBy8qO0
    女  「だから男さんだって普通にそうだろうって思うし、後こんな事言うのも
        何ですけど、私も途中までは嫌われてはいないだろうな、
        とは思えてたんですけど」

    男  「うーん」

    女  「でも男さん、下心がヘタッピなんですよ」

    男  「はい?」

    女  「男さん、もっとイイ事言えそうな時でも、そうならないじゃないですか
        私にもそんな感じがするんですけど、どうやってもつい素で返しちゃう、
        みたいな 後輩さんにだって、そうだったんじゃないですか?」

    男  「ああ、うん、そうかもなぁ」

    女  「そこがすごくかわいいんですよ、男さん 大好きですよ」



    458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:42:57.04 ID:gefBy8qO0
    男  (ドキリ)

    女  「…お、男さん?」

    男  「…」

    女  「ああー、黙らないで下さいよ〜!」

    男  「ビックリしてるんです」

    女  「そんなに意外ですか?」

    男  「女さん、ちゃんとした返答引っ張ってたくせに唐突だから」

    女  「どうやって言おうか考えちゃうんです 本当に言えるなんて
        思ってたなかったくせに 100通りも考えましたよ」

    男  「そんなに」

    女  「でも、本人目の前にすると全部忘れちゃって、
        流れに任せてその場の勢いで言っちゃうんです」

    男  「…嬉しいですよ、凄く」

    女  「解ります 男さん、みんな顔に出てるんです
        それで、私もこんなに嬉しくなっちゃうんですよ」



    461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:44:02.78 ID:gefBy8qO0
    男  「そういうグっと来る台詞も、どっかの本の奴なんですか?」

    女  「…うーん、思い出せないですね」

    男  「ははは、本当に本のセリフなんですかね?」

    女  「もうわかりません フフフ」

    男  「…」

    女  「…」

    男  「そろそろ、帰りましょうか」

    女  「そうですね、結構時間経ちましたね」



    463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:45:13.50 ID:gefBy8qO0
    ■西伊駒町/男のマンションの近く

    女  「あの、男さん、私の何を見て、良いとか思えたんですか?」

    男  「隣にかわいい女性が引っ越して来て嬉しいなぁ、とか、
        そんで仲良くなれたらラッキーだなぁ、とか」

    女  「え?」

    男  「そんなのが最初なんだけど、まあ、話してる内にですよ 楽しいんです」

    女  「いちいち正直過ぎじゃないですか? きっかけとか、そういうの」

    男  「改めて聞かれると照れるんですよ 勘弁して下さい
        女さん、結構セリフセリフした事喋るの、平気ですよね」

    女  「そうですか? やっぱり変ですかね」

    男  「きっかけかー… 会ってすぐの頃、女さんがコンビニ帰りの時に
        バッタリ会った事があったじゃないですか?」

    女  「ありましたね」

    男  「あの時、俺が郵便受けでガサガサやってるのを女さんが待っててくれて
        ああ、自然と待っててくれるんだな、て思った辺りからなんとなく
        とかかなぁ」

    女  「それって、全然普通じゃないですか?」

    男  「…そうなんですけど、そんなもんですよ たぶん」



    465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:46:39.85 ID:gefBy8qO0
    男  「女さんこそ、どうなんです、そこらへん」

    女  「んー、前に付き合ってる相手がいるいないみたいな話をした時に、私
        『私なんか、上手くいきませんよ』みたいな話したじゃないですか」

    男  「うん」

    女  「その時、男さんちょっとムっとしてたじゃないですか?」

    男  「そうでしたっけ?」

    女  「そうでしたよ そういう所で怒ってくれる人だから、気になったんです
        でもその後、あんなに突っ込んだ話されるとは思いませんでした」

    男  「そんだけ? そんなもんですか?」

    女  「そんなもんですよ …やっぱり、話してて幸せなんです 同じですよ」

    男  「…うん、そうだなあ」

    女  「…あ、家についちゃいましたね」

    男  「ですね…」



    466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:48:03.58 ID:gefBy8qO0
    ■6月初旬 月曜日(早朝)/ソマリスタジオ第2開発室

    男  「後輩女さん、相変わらず朝早いな」

    後輩女「先輩こそ 私より全然家遠いのに」

    男  「俺は元々、早出勤早退勤派なの 朝は静かでいいんだ」

    後輩女「…先輩、お隣の方とは最近どうですか?」

    男  「あー、うん、あー、付き合う事になった」

    後輩女「ええ?」

    男  「…」

    後輩女「…いいなあー羨ましい」

    男  「うん、まあ、当面は、仕事しとこうよ」

    後輩女「うーん、そうですね」

    男  (なんかサッパリしてるな 強がりか? 次があったら、上手くいって
        欲しいんだがな いい奴なんだし、こいつ)

    男  (女さんが居なかったら、好きになってたんだろうか? わからんな)

    男  (…どっちにしろ、目は無いか 怖がられてるからなぁ)



    468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:49:06.72 ID:gefBy8qO0
    ■昼過ぎ

    上司 「作業ストーップ、お前ら聞けー おい、A!黙れ、ちゃんと聞けよ」

    同僚A「なんも言っとらんよ〜」

    上司 「はい、えー、連日のパブリッシャとのイヤになる程の会議の末、秋の
        ゲームコンベンションに向けての出展内容が概ね決まってきました」

    同僚B「そう言えば、もうそんな時期ですか」

    上司 「我々ラインのタイトルも、未発表タイトルとして出展されます
        プレイアブル出展だ 超忙しくなるぞ」

    同僚A「嫌やなぁ」

    上司 「15時半からソレ関連のラインミーティングやるんで
        リーダー連中は第二会議室に集合 以上、作業に戻ってよし」

    同僚A「う〜い」

    後輩女「…Aさんが嫌がるなんて、そんなに大変なんですか?」

    男  「そうだな〜 何故かショウ版って、期間は短いんだけど瞬間最大の
        ツラさはマスターアップ前を上回る、てパターンが多かったな」

    後輩女「ちょっとまだ想像つきません」



    473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:50:58.69 ID:gefBy8qO0
    男  「君んところは大変だぞ プレイアブルの為には、メニューの頭から
        数画面は外せない て事は、全体的なデザインイメージはそこまでに
        完全に固めてなくちゃダメで、それ以降後戻りは出来ない
        もちろんデータレベルでもしっかり作り上げなくちゃならん」

    後輩女「ああ〜〜〜」

    男  「ははは、苦しめ」

    後輩女「データ関連は色々教えてくれるんですよね?」

    男  「そうだったっけ?」

    後輩女「先輩!!」

    男  「ははは、まずはデザインだね ネタも纏まって来たし、
        なんとかなるんじゃない?」

    後輩女「他人事…」

    男  「そんな事無いって この開発の終わりまでに、後輩女さんを
        ひとかどの開発者にしないといけないんだし」

    後輩女「うううー」

    男  「まあ、がんばろう」

    後輩女「…はい、よろしくお願いします これからも」



    475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:53:03.25 ID:gefBy8qO0
    ■夜/男の部屋

    男  「…そういった訳で、これからどんどん忙しくなっちまうんですよ」

    女  「大変ですね〜 そんなに厳しいんですか?」

    男  「段々帰りが遅くなってきて、毎日終電帰りになって、平行して
        休日出勤が増えてきます それが暫く続くんです 泊まりもありです」

    女  「あらら」

    男  「そういう生活してると、色々な事が億劫になっちゃって そうやって
        他人を蔑ろにしている内に、思わず振られてしまったりする訳です」

    女  「そういう事があったんですか?」

    男  「うーん、ええまあ… 以前に」



    476以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:55:06.88 ID:gefBy8qO0
    女  「ん〜、でも」

    男  「ん」

    女  「それは多分、大丈夫ですよ」

    男  「そうですか?」

    女  「だって私達、隣同士じゃないですか いつでも会えるんです」

    男  「…そうですね」

    女  「そうですよ」


     『ただ笑って そっと寄り添って そう 誰もがわかり合う 前提として』


    おわり



    503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 07:01:49.66 ID:gefBy8qO0
    こんな訳の解らない時間までのお付き合いと
    支援感想その他へ多大なる感謝を表明しつつ、寝るって感じです

    ではまた



    478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:55:53.05 ID:7ULFKxOpO
    >>1
    乙!



    480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:56:25.46 ID:m2QVU9ib0
    乙!!
    結局寝れなかったwww



    481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:56:41.15 ID:cKT/Wmai0
    乙!面白かった!
    さて、今日もがんばるかー



    482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:56:43.82 ID:pH0nS+Nh0
    乙彼

    面白かったわ。やっと寝れる



    489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:57:29.56 ID:22523SMs0

    本当に物語みたいな終わりかただ



    549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 12:26:36.57 ID:umrbwP920
    1乙
    中身が濃くてよかったんだが、濃ゆいが故に付き合って終わりは呆気なさ過ぎたw
    できれば、もう少し続けて欲しいと思いました

    あと、後輩女の捜してた書物の行方は?w



    493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:58:27.61 ID:avBL/sK7O
    乙!

    俺も結局寝れなかったw
    また後日談なんかあればちょくちょく読みたい感じだなw



    506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 07:02:33.02 ID:9zXH0KXVO
    後日談!



    後日談!!



    536以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 10:13:21.20 ID:YRLHF1QM0
    淡々とした心地よい空気がとてもよかったっす
    あざーす



    490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 06:57:32.60 ID:t8BXQUKI0
    乙ー!こういうスレに最後まで付き合ったの初めてだ。
    面白かったよさっぱり読めた。

    さて、バリバリベンキョウだ!

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    この記事へのコメント
    1. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:19
    1ゲト
    これから読む
    2. Posted by 以下、あがお送りします。   2009年07月06日 00:23
    にげと
    3. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:27
    おもしれ―

    なんだこのドキドキは(σ・∀・)σ
    4. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:37
    良かった!!
    1乙
    んでから
    まとめ乙

    5. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:44
    うん、面白かった
    6. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:49
    気づけば全部読んでたぜ
    俺もいい先輩に…
    いや、就職できるように頑張ろう…
    7. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:52
    おもしろかったです
    私としては女<後輩女なんですが
    8. Posted by 以下、 がお送りします。   2009年07月06日 00:56
    面白いけど何か鬱になった
    9. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 00:56
    ( ;∀;) カンドーシタ
    10. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:14
    明日テストなのに全部読んでしまったorz

    さて、今日は徹夜でバリバリベンキョーするかな
    11. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:31
    おもしれえなぁ、こんちくっしょう
    創作であれリアルであれ文書つか
    人物がいい感じで…ちくしょうめ、ハァ…
    12. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:31
    とてもいい話だったが
    終わりが唐突で吹いた
    13. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:34
    完結のほうは長すぎて読んでないが、いい話だな
    後日談とかいらないからそのままスッと引き下がっててくれ
    14. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:37
    男ウザッ
    ゲーム会社にだけは就職しないようにしよ
    15. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:38
    すげー面白かった
    PGに進んでる俺に一縷の希望というか妄想を与えてくれて感謝
    16. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:47
    心があったかくなった
    俺もこうゆう恋愛したいな
    17. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 01:54
    ゲーム会社でPGやってるけどこんなかわいい後輩できたことねぇwww
    よし隣人に期待してみる
    多分リアルなんだろうけど面白かったぜ
    18. Posted by 以下、あがお送りします。   2009年07月06日 02:01
    まさかのバインの登場に驚いた
    19. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 02:20
    ※8
    わからんでもないww
    あーちきしょう・・・
    20. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 02:25
    なんか文庫本読んでる感じだったな
    21. Posted by 以下、ゴールデン茶無しがお送りします。   2009年07月06日 02:30
    なかなか読みごたえがあった
    22. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 02:34
    変に急展開や鬱展開が無くて純粋にスッキリ読めて面白かった
    心が温かくなったよ
    23. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 02:39
    面白かった
    内容からして1はめちゃ本読む人だと思うが書き方上手いし読みやすい
    24. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 02:54
    まさかのバイン登場で嬉しかった
    バイン好きで二度おいしかったな
    25. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 03:02
    おもしろかった

    なんかパワプロのサクセスの会話画面が浮かんだ
    26. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月06日 03:03
    乙!何故か泣けてきた。
    27. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 03:13
    いつもは途中で挫折して読むのやめるけど
    これだけは最後まで読めた!
    いやー面白かった!ありがとう!
    28. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 03:53
    いい話だ
    29. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 03:58
    面白かった!!

    ついでに言うなら
    後輩女と三角関係にならなくてホッとした
    30. Posted by 以下、がお送りします。   2009年07月06日 04:15
    物凄く 有川浩さんの作品っぽかったな…

    ここの連中でこれ読んで楽しかったなら 有川さんの本よんでみ きっと楽しいよ
    31. Posted by 以下、(@Д@;)がお送りします。   2009年07月06日 04:17
    今日テストなのに、なにいいもの見せてくれるんだ…
    罰として続きを頼んだ
    32. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 04:26
    興味深い話だった。
    乙彼!
    33. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月06日 05:13
    なかなか面白いね、こんな平々凡々な恋物も
    でも男さんは上司なら個人的に苦手なタイプだなぁ(笑)
    34. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 05:31
    全体的におもしろかったが男という人間はあまり好きになれなかった
    35. Posted by 以下、ハゲがお送りします。   2009年07月06日 05:42
    涙もろいから泣いた、寝苦しい夜が朝になっとるよ糞が
    36. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 06:04
    288が分からないんだが誰か教えて下さい
    37. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 08:11
    自分もゲーム関係の仕事してるからなんか考えさせられてしまった。
    俺も仕事できる先輩になれるように頑張ろう。
    38. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 11:36
    ハッピーエンドだが、なんかモヤモヤする…

    なんか実話っぽいな。設定的に
    39. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 12:31
    バインの歌詞で終わるのがまたいい
    40. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 12:49
    なんかこの文章の雰囲気読んだことあるような
    41. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 12:52
    雰囲気がなんかイイ
    42. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月06日 13:29
    女の家に本が山のようにあるあたりから、女は読子さんで再生された
    43. Posted by 以下、がお送りします。   2009年07月06日 13:56
    面白かったー!!
    淡々と読めて疲れないし最高です。
    44. Posted by 以下、がお送りします。   2009年07月06日 13:57
    面白かったー!!
    淡々と読めて疲れないし最高です。
    45. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 14:27
    俺は仕事をするうえでこの男みたいに物事をちゃんと考えない。普通の人間て言うのはこれほどまでに思考を巡らせるものなのか。
    46. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 16:27
    お疲れさまでした♪
    仕事の内容とかわかんなかったけど、『諦めなければ夢は叶うよ』って言葉が自然に浮かんできました。
    作者さんの作品しょーとすとーりーてんこもりの単行本とかあったらいいなーって思います。これからもいろんなお話お聞かせ下さいね^^ノシ
    47. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 17:24
    書き慣れてるなぁー
    48. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 18:32
    288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/05(日) 04:43:34.92 ID:xSks0cb6O
    死ぬまで早さを求め続けたレーサーか…


    ってどういうこと??
    49. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 18:37
    あぁー、なんかリアルだぁー

    よかったよ、乙!!
    50. Posted by 以下、あきがお送りします。   2009年07月06日 18:47
    よかった。
    ただそれだけ、しか言えぬ。
    51. Posted by 以下、あがお送りします。   2009年07月06日 19:35
    文系と理系の恋だね、おもしろかったー
    52. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 20:57
    川上稔氏みたいな文体だな。
    めちゃめちゃ面白かったわぁ〜
    53. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 21:02
    なら後輩女はやっさんか。
    54. Posted by 以下、がお送りします。   2009年07月06日 21:06
    これ実話なん?
    55. Posted by 以下、あがお送りします。   2009年07月06日 22:23
    漫画みたいに頭に風景が浮かぶー
    すごいなあ
    56. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 22:51
    ※48
    280で出た「渚にて」という小説でそういうエピソードがある
    1もそのくだりが好きだって事なんだろうな
    57. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 23:31
    こういうの読むと鬱気が入るんだよなぁー、
    でも明日もがんばる
    58. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月06日 23:48
    話としては面白いと感じた。だが、男の物の考え方とか後輩女や女へ対する接し方でぶっ飛ばしたくなったのおれだけか?
    自分の世界だけで物事語りすぎだし、客観視できなすぎだろこいつ。相手の立場になって考えられてないのにいちいち説教臭くてイライラする部分が多々あったんだが。特に女に好きですって言った辺りの件とか。
    59. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 00:22
    恋しろ、そうすりゃ解る。
    思考や話術なんか道具でしか無いぞ。
    自分が思っているより、自分が原始的だって気付かされるから。
    60. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 00:43
    1はすげぇ読書家なんだろうなぁ、っと読んでて思った
    61. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 01:39
    男、女、後輩女は各々性格に欠点持ってるけど
    その中の欠点の多い2人がくっつく、てのはまあ、なんつーか
    結構そういったものかも知れないねえ
    62. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月07日 02:12
    単体とした会話がドロドロしていて、爽やかな印象が薄れてしまったのは残念なのか味なのか。
    技術的な問題はさておき、作者は面白い人だな
    63. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 03:35
    ええ会社や
    64. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 07:06
    ぶっちゃけると小説であって、2chのスレで読むものとしては
    文章が冗長すぎというか、くどい。
    横書きなのが読みづらいから読んでない。
    縦読みの文庫本化したら読むわ。
    65. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 15:11
    ※30
    有川さんw確かにw

    もう少し人物ごとに文体変えれたら良かったかも
    と一人ごちてみる
    66. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 17:06
    くそが 
    明日テストだっつうのに
    おもしれえじゃねえか
    全部読んじまった
    67. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 17:55
    皆VIPのSSに対して厳しいなw
    前半のコメントの「二流小説」なんて
    素人には褒め言葉じゃんw
    68. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月07日 18:12
    働くって大変だなーって思った
    69. Posted by 以下、ななしがお送りします。   2009年07月07日 19:54
    大好きですよ
    だってよ!
    言われてぇ〜
    70. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月08日 20:03
    面白かった
    雰囲気いいなぁ
    71. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月08日 20:55
    女「年齢が倍?」てのもこの>>1かな?
    72. Posted by 以下、名無しがお送りします。   2009年07月10日 08:32
    こんな恋したいよ…
    73. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月22日 09:53
    男は実際近くにいたら関わりあいたくないタイプだな。
    74. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年07月22日 23:24
    男視点だから男が目に付くけど、女の方が性格はヤバイよな

    仕事中の男の印象は、学生か社会人かで大きく異なりそうな気がする
    75. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2009年08月24日 22:30
    なんかよかった。
    洋書苦手だけどこのスレに出てきた本は読んでみたい。
    76. Posted by 以下、がお送りします。   2009年08月31日 20:43
    面白かった
    乙!
    77. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2010年01月18日 23:20
    久方ぶりに読んだけど、やっぱりいいなぁ。俺も頑張ろう
    ……まあその前に、テスト勉強だな
    78. Posted by 以下、白ブリーフがお送りします。   2010年09月10日 05:40
    後輩女は貰って行きますよ
    79. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2010年09月20日 20:49
    ※78
    お前には同僚Aをやろう
    80. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2010年11月18日 03:25
    すげぇねい、この人
    81. Posted by 以下、あがお送りします。   2011年08月19日 20:10
    最高におもしろかった。各キャラがちゃんと生きてて、ドラマか映画のように情景が浮かんできた。
    続きが読みたいなぁ。日常的なネタで全然構わないから、後日談的に。
    82. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2011年09月22日 23:02
    続きか〜〜
    83. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年04月12日 17:41
    癒やされました…。
    (´ω`)

    素晴らしい御話でしたね
    84. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年06月20日 22:05
    うまいもんだねぇ
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