夏には少しはやいが、去年の夏休みの話でもする
    2012年05月27日 コメント(58) VIP・J・ネタ 
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    4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:03:58.98 ID:SliRQXP40
    去年の夏休み、俺は数年ぶりに実家に帰った。
    当時俺大学一年。

    母親がちょうど春に死んで、その報告を
    離婚して連絡もとっていない父親にするためだった。





    6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:07:05.80 ID:SliRQXP40
    電車で3時間かけて、ドがつくほどの田舎に帰ったとき、
    なんともいえない気分になった。

    帰ってきたっていう思いよりは、
    変わったなという思いの方が大きかった。

    自分が覚えている景色と何かが違うけど、
    何が違うのかもはっきり思い出せないくらい
    俺は自分が生まれ育った所を忘れかけていた。





    7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:09:19.06 ID:SliRQXP40
    ちなみに、離婚の原因は虐待ね。
    典型的なダメ親父で、酒飲んでよく俺殴ってきた。

    結局それが耐えられなくて小学校高学年の時に
    離婚して逃げるように引っ越した。





    8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:12:16.97 ID:SliRQXP40
    で、駅に戻ったわけだけど、
    数年ぶりで町の印象変わっても体は覚えてるんだね。
    家までの道はちょっと迷いながらもいけたよ。

    クソ暑い中汗だーだー流して、昔の自分は
    よくこんな暑い中走り回れたなあとか思ったけどw





    12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:16:58.26 ID:SliRQXP40
    で、家までついた。

    庭とか見ると一応手入れはされてるから
    誰かいるのはわかってたけど、
    なんせ連絡も取らずに来たので
    ほかの人が住んでるかもしれない。

    これで親父も引っ越すなり死んでたら
    ここまできた苦労が水の泡w





    13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:18:59.89 ID:SliRQXP40
    まあ、それでも来てしまったものは仕方がないので
    インターホンを押すんだけど、これがすごい緊張するの。
    指震えるし膝まで震える。

    もう俺も成長して背も高くなって体格も良くなってるんだけど
    本能的に父親を怖がってるんだろうね。
    家の前で何度も深呼吸してたよ。
    近所の人に見られたら不審者だった





    14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:21:02.31 ID:SliRQXP40
    で、ようやく押したの。インターホン。
    ピンポーンっていってさ。ちゃんと鳴ったんだよ。

    ここからまた緊張がすごい。
    多分汗の量がすごかったのは暑さのせいだけじゃないはず。





    15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:24:20.08 ID:SliRQXP40
    時間にしたら少しだったけど、すごい長い間待った気がして、
    「やっぱ出てこないな」と思って
    勝手に留守なことにして帰ろうと思った。

    で、後ろ向いた瞬間にガチャってドアがあいて、
    「……どちらさん?」と男が出てきた。
    すっごい老け込んだ感じがする男が。





    16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:26:53.84 ID:SliRQXP40
    パッと見親父だとはわからなかった。
    だって、白髪すげえ増えてるし、なんか弱々しくて
    以前俺に怒鳴り散らして暴力振るってたような迫力が全然なかったもん。

    暴力振るわれるのは嫌だったけど、
    それでも俺にとっては絶対的な強さだった父親が
    こうも変わってしまうと少し情けない気分になった。





    18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:29:53.48 ID:SliRQXP40
    向こうも俺が誰なのかわからなかったみたいで、
    なんの用なのか訪ねてきた。

    まあ、こんな田舎でこんな家に用がある人間なんてないわな。

    だから自分の名前言ったよ。
    そうしたら「すまなかった」って謝られてなんか拍子抜けした。





    19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:32:57.93 ID:SliRQXP40
    で、そのまま家の中に招かれたので入る。
    家の中に置いてあるものは昔とほとんど同じだった。

    でも俺の背が高くなったせいかちょっと窮屈に感じたかな。
    親父が癇癪起こして蹴って壊した
    壁の穴はガムテープで貼り塞がれていた。





    20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:35:59.67 ID:SliRQXP40
    狭い座敷にちゃぶ台が置いてある
    リビングに連れて行かれ、麦茶を出された。
    その間お互い無言。

    俺は俺で話すことがなかった。
    もし親父が以前のままの横暴な性格だったら
    俺もメチャクチャ言えたんだろうけどね。

    すっかり気分が萎えてしまっていた。
    親父もたぶん気まずかったんだと思う。





    21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:39:09.19 ID:SliRQXP40
    で、お互いちゃぶ台はさんで向かい合いながら麦茶をすする。

    しばらく無言のあと、また親父が「すまなかった」って謝ってきて、
    なんか俺も「もういいよ。昔のことだし」って許してしまった。

    母親に関して聞かれた時は「死んだ」とだけ答えた。
    離婚したあとの母親の苦労はあまり語りたくなかった。





    22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:42:04.15 ID:SliRQXP40
    そしたら親父が立ち上がって
    引き出しを漁って通帳とカードを持ってきた。

    親父は離婚してからずっと後悔し続けて
    俺の養育費を出すと言っていたそうだが、母親は断り続けたらしい。
    すっぱり縁を切りたかったからなのかな。

    で、親父はいつか俺が戻ってくるのを待って、
    ずっと貯金を続けてたみたいで、通帳には結構な額が入ってた。





    23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:46:06.26 ID:SliRQXP40
    離婚してからの生活を聞くと、
    親父は何度も戻るように説得したけど母親はきかず。

    今までほとんど任せてた家事なども自分でやらなきゃいけなくなったため
    離婚してから数ヶ月はストレスとかで大変だったらしい。

    で、酒もやめて仕事も変えて底辺ながらも頑張ってたらしい。
    家族居る間は荒んでたくせにいなくなってから
    こうなるってすごい皮肉だよね。





    24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:49:07.45 ID:SliRQXP40
    また俺と母親が帰って3人で暮らせるようにって
    ずっと誰にも言わず頑張っていたらしい。

    親父も変に頑固なところがあって、
    ちゃんと行動で示してから
    もう一度俺たちを実家へ戻そうとしたらしい。

    結局その前に母親は死んでしまったけどね。

    ま、その話はさておき、俺は用件は済ませたし、
    あとは変わった町を散策してから帰ろうと思った。





    25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:52:18.65 ID:SliRQXP40
    親父も、俺がここにいたい間いればいいということで
    合鍵も寄越してくれて、
    使ってない部屋をひとつあてがってくれた。

    その日の夕食はそうめんだった。
    初めて父親が鍋と菜箸を手にするのを見たとき
    なんともいえない気分になった。

    そうめんと、焼き魚。
    父親の初手料理の味はまあまあだったけど、
    「どうだ?」と聞かれた時は「うまいよ」と返した。





    26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:55:37.29 ID:SliRQXP40
    夕飯が終わってから、俺の友達について少し聞いてみたけど、
    何も知らないと言われた。ま、そりゃそうか。

    ここに帰ってきた理由は父親に会うのと、
    もう一つすごい低い可能性だけど
    小学校の時好きだった女の子に会えるかもしれないと思ったんだ。

    もしもこの町にまだいるんだったら
    ひと目でもいいから会いたかったんだ。





    27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 00:58:26.29 ID:SliRQXP40
    その子の名前を仮にAとしようか。

    Aは、無口だけど活発な女の子で、
    何を考えてるかちょっとわからない子だった。

    小学校の時、俺が一人で学校から帰っていると、
    後ろから急に追い掛け回してくるような、変な子だった。

    はじめはそんな出会いで始まって、
    次第に一緒に帰ったり、休みの日は山へ行ったりする程度の仲になった。





    28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:01:36.57 ID:SliRQXP40
    で、その子と夏休み一緒にお祭り見に行こうと思ってたんだ。

    けど結局離婚したのが夏になる前で、
    小学生じゃ携帯電話も持ってないし
    ろくに話すこともできないまま突然転校という形になった。

    それで一言だけ謝りたかった。
    今思い出すと俺きめえwってなるけどその時は本気でそんなこと考えてた。





    30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:05:18.26 ID:SliRQXP40
    で、回想は終わるけど、実家への帰省一日目は
    そうめん食って風呂入って特に何もなく寝た。
    緊張して寝れないかなとも思ったけど、
    疲れもあってよく寝れた。

    二日目。
    起きたのは朝の10時くらいで、
    リビング行った時には親父は仕事行ったあとだった。

    ちゃぶ台の上にスクランブルエッグとごはんにラップがかけてあって、「朝食」と書いてあった。





    31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:08:50.35 ID:SliRQXP40
    朝食済ませて外に出ると、急にむわっとした暑さが広がった。

    玄関前でアリが行列作ってたので
    しばらくしゃがんでそれ見たりしてた。

    なんか童心に返ったみたいで一人でちょっとみなぎったよ。
    で、アリにも飽きたところで家を出て、ぶらぶら散歩に出た。





    32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:12:02.10 ID:SliRQXP40
    散歩の途中、近所の友達だった奴の母親に会って世間話をしてた。
    その友達をBとする。

    「Bはねー。実家から毎日大学通ってるのよw○○大。よくやるでしょーw」
    などというちょっとした学歴&親孝行自慢を聞きつつ、
    Aの消息も探ってみる。

    「あの子ね、今入院してるみたいよ」
    「入院ですか?」





    33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:15:05.89 ID:SliRQXP40
    怪我でもしたのかと思うとそうでもないらしい。
    もともと体が丈夫な方ではなかったらしく、
    よく風邪こじらせたりもしてたそうだ。
    その割には俺と結構ムチャしてたけどw

    楽しい間は病魔なんて吹っ飛ぶと思いたい。
    で、中学ぐらいから結構体調が悪くなったらしく
    肺炎で入院したりもしたらしい。





    34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:19:43.26 ID:SliRQXP40
    そんなわけで、ちょっと離れた病院でずっと入院してるそうだ。
    病室まではわからないけど、Bが時々お見舞い行ってるらしいから
    知ってるかもって聞いたので後ほど出直すことに。

    病院までは歩いてでもいけないことはない距離だったので、
    暑いのを我慢して無駄に健康志向で病院下見してこようと
    自販機で買ったペットボトル片手に病院まで歩いた。





    35 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/05/27(日) 01:21:59.36 ID:H7hwOs2R0
    ふむ




    36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:23:15.54 ID:SliRQXP40
    結局病院までは30分くらいかかった。
    下見は済んだのでまたそのままUターンして帰路につく。

    ちょっと腹も減ったので
    どこか食べるところないかなと思っていたら、
    唐突にラーメンが食いたくなった。

    小学校の時、なかなか食べたくても
    親が連れて行ってくれなかったラーメン屋があったので
    そこへいくことにした。





    37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:26:23.79 ID:SliRQXP40
    小さいしあまり綺麗でもない店なんだけど、
    数年経った今でもまだ営業してて、俺は入店した。

    たぶん、当時の俺がこのラーメンを美味いと感じたのは
    食べる機会が極端に少なく、ありがたがって食べたからだろう。

    普通のラーメンを注文して食べてみたら案外普通の味だった。
    テレビでは野球の中継もしてるし、どこの昭和だよって思った。
    昭和生まれじゃないけど。





    38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:30:31.85 ID:SliRQXP40
    ちょっとおなかすいたのでラーメン茹でながら書きます。

    ラーメン食ったあとは家に戻って昼寝。
    夜までしっかり睡眠取ったあと、
    親父帰ってきてから夕食の手伝い。

    夕食はまたもそうめんだった。
    暑いからそうめん以外食べたくないらしい。
    そうめん食べて、二人で無言で庭側の窓開けて腰掛けて涼んだ。





    39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:33:44.23 ID:SliRQXP40
    「A、入院してるんだってさ」
    「そうか」
    「もともと体弱かったらしい」
    「そうか」

    何を言っても全部一言で帰ってくる手応えのなさは
    ちょっとイラッとしたけど、実の父親と並んでいられるだけでも
    俺の心に何かが戻ってくる気がした。

    今は最悪でも、これからはよくなるかもしれないって
    少し歩み寄ろうと思えたんだ。





    40 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/05/27(日) 01:34:38.57 ID:H7hwOs2R0
    なんか切ない気分になる雰囲気があるな




    42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:38:48.61 ID:uUABUJpY0
    大学一年の夏休みってなんかこういう何ともいえない切ない青春感があるよなー




    44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:39:37.15 ID:SliRQXP40
    1時間くらいかな。
    そんな感じでやり取りして、親父が先に「仕事してくる」といって
    席を立って自分の部屋にこもってしまった。

    俺はやることもなくそのままぼーっとしてたけど、
    腕とか足とかすっごい蚊に食われているのに気づいて慌てて網戸締めた。

    三日目
    結局病院に下見は行って道はわかるし、
    部屋番わかんなくても別に病院できけばいいじゃんってことで
    俺は病院に向かった。





    45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:43:49.25 ID:SliRQXP40
    片道30分かけて病院に行った。
    汗だくになりながら。
    バスが一時間に一本とか二本だぜ。
    田舎マジつれーと思った瞬間。

    病院の中に入ると、それまでの暑さが嘘のように、
    むしろ寒気を感じた。
    汗が冷えて超寒い。エアコンガンガンすぎわろた。

    受付で「Aに面会に来たんですけど」っていうと、
    看護婦さんが番号を教えてくれた。看護婦さんマジ可愛い。





    47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:46:09.44 ID:SliRQXP40
    で、病室の前まできたはいいものの、どうやって入るか迷う。

    Aと俺は数年来会ってないし、
    ひょっとしたら俺のことなんて忘れてる可能性すらある。

    一昨日自分の家のインターホンを押した時くらい
    再び心臓がバクバクした。





    48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:48:55.89 ID:SliRQXP40
    病室の表札?にはAの名前。
    ドアを開ければ会えるんだけど、なかなか開けられない。

    自分は小学校当時から今までずっとAが好きでも、
    向こうはそうとは限らないし。

    むしろ普通からすればそんなの
    キモいストーカー予備軍みたいな目でみられるじゃん。





    49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:50:55.93 ID:SliRQXP40
    ノックして、返事を待つ。
    反応なし。
    少し待って、もう一度ノックしてみる。
    反応なし。

    入院するほど体弱いなら、もしかしたら
    反応できないくらいやばい状態なのかもしれないと思い、
    俺はゆっくりとドアを開けた。





    50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:54:44.36 ID:SliRQXP40
    個室では、Aが眠っていた。

    一瞬死んでるかと心配したが、
    布団がわずかに上下してたので胸を撫で下ろした。

    成長したAは、すごく綺麗になってた。
    当時の短髪わんぱく少女の印象のまま止まってた俺の中の彼女と、
    今目の前にいる病的なまでに白く細い彼女の違いが、
    なんかすごくゾワッとした。





    51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 01:58:09.68 ID:SliRQXP40
    俺はベッドの横にあったパイプ椅子に腰掛けて、
    Aの横顔をずっと見てた。
    見てるだけでも飽きなかった。

    人の気配を感じたのか、Aは俺が腰掛けてから
    30分もしないうちに目を覚ました。

    あんまり頭がまわってないようで、
    俺を見ても「……B?」って言ってた。

    まぁ、真っ先にいつもお見舞い来る奴の名前出るのは
    わかるけど、ちょっとショックだった。





    52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:01:51.13 ID:SliRQXP40
    少しの間目をショボショボさせてたAが、
    意識がはっきりしたところで
    「1君?」って一発で当ててきたのは嬉しかった。

    「だって、あんまり変わってないもん」だって。
    お前はそんなに変わっちゃったのにな。なんか悲しかったよ。

    あと、この数年で俺への呼び方が呼び捨てから
    君付けになってるのも少し距離を感じた。





    53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:05:10.47 ID:SliRQXP40
    それからは他愛もない話をした。

    でもなるべく暗くならないように、Aの病気には触れず
    俺の中学高校時代の面白かった話を話して聞かせてた感じ。

    今思い返せば病気が悪化して
    そんなことすらできなかったAには申し訳ない。

    だって、ずっと新しい話を聞く子供みたいな顔で聴いてるんだ。
    その話だけで気が付けば空が暗くなり始めてた。





    54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:08:17.55 ID:SliRQXP40
    それから「また来るね」と言って病院を後にした。

    帰り道歩いてて思ったけど、田舎ってすごい虫多いのな。
    あっちこっちで虫が甲高い音で鳴いてるの聞きながら歩いてたら
    母親の死とかAの姿とか思い出して泣いてしまった。

    寄り道したり途中で立ち止まったりしてて、
    家に着いたのは一時間後くらいだった。





    55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:10:56.47 ID:SliRQXP40
    帰ると親父はもう食事を済ませたらしく、
    ちゃぶ台の上にはそうめんが入ったザルと麺つゆのびんが置いてあった。

    三日連続そうめん。
    今度ちゃんとした料理を作って上げたほうがいいかもしれない。

    メールで大学の友達とかとちょこちょこ連絡とってるうちに
    睡魔が来てその日は寝落ち。





    56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:15:30.65 ID:SliRQXP40
    四日目

    朝起きて、炊飯器の中に残ってたごはんでおにぎりを作った。
    合計で三つ。

    それをアルミホイルでくるんで、あったかくならないように
    断熱剤入ってる袋(銀色のアレ)の中に入れて家を出た。

    病室についたらAは居なかった。
    看護婦さんが検査だって言ってたのでぶらぶらして終わるのを待つ。





    57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:20:13.88 ID:SliRQXP40
    検査が終わってから病室にお邪魔。
    他愛もない話をして、Bの話に移った。

    A「いつも時間があるとお見舞い来てくれるし、私ほとんど友達いないから嬉しいね。優しい人だよ」

    病弱なせいで結局学校も休みがちになり
    徐々に友達とも疎遠になっていったのだとか。

    それでもBはずっとお見舞いを続けているらしい。
    お見舞いで元気もらってるのはいいことなのに、
    どこか嫉妬しちゃう俺って女々しいよな。





    59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:23:10.57 ID:SliRQXP40
    「これ、作ったんだけど」

    しばらく話し込んだところで、俺はおにぎりを取り出した。
    すると、Aはためらう様子もなくその中から一つを取った。

    栄養とかはあまり気にしなくてもいいらしい。
    本当か知らないけど。

    おにぎりなんか数年ぶりだそうで、
    「すごくおいしい」と何度も言いながら食べてくれた。





    60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:29:08.87 ID:SliRQXP40
    おにぎりを平らげたあと、A少し眠そうな表情になってきた。
    検査終わった直後に話しておにぎりも食べて
    少し興奮したから疲れたのだろうと思って、
    俺はその場は退散した。

    それから帰りにスーパーに寄って家で俺が料理を作ったった。
    大したものじゃないけど、ごはんとサラダと餃子。
    母親が上手で、よく手伝いもしてた自信作。
    オヤジに食べさせたら「うまい」って言ってくれた。





    62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:35:23.15 ID:SliRQXP40
    食べてからは家の周りを蛙の合唱聴きながら
    ひとりでぐるぐる散歩して、
    飽きたら部屋で持ってきた漫画読んだ。

    「ぼくのなつやすみ」をすごい無駄に過ごしている
    バージョンだなって自分で思ったよ。
    有意義なこと、何一つしてないもん。バイトすらしてないしね。

    少しこちらの生活も慣れてきたし、
    俺お茶でいいから父親に一杯飲まそうと思って
    ビール買ってきたけど飲まないって言われた。





    63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:40:15.45 ID:SliRQXP40
    五日目

    gdgdしてた俺は昼に起きて、それから病院まで歩いて行った。
    途中散歩も兼ねたので1時間くらいかかった。

    病院につくと、いつものようにAが迎えてくれた。
    「1君はいつまでここにいるの?」
    「うーん、夏休みいっぱいいれたらいいけど」

    これでも親父の家を間借りしている身なので少し肩身は狭い。
    でも、できるだけAのそばにいたかった。





    64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:42:57.58 ID:SliRQXP40
    ちょうどAが昼食を終えた頃、
    俺と同い年くらいの男が入ってきた。
    Aから話も聞いてたし、彼がBだっていうのはすぐにわかった。

    「よう、久しぶり!元気だったか?」

    小学校のときからかなり運動が好きだったBは
    健康的な色黒で、男の俺が見てもかなりいい男だった。





    65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:45:40.93 ID:SliRQXP40
    Bはまるで俺が昨日までも
    ずっと付き合いがあったかのように接してくれた。

    小学校の時と変わらない振る舞いで、
    Aだけじゃなくて俺まで笑わせた。
    Aがこんなに楽しそうな顔するんだなっていうのを
    その時初めて知った。

    Bの話はあまり耳に入らず、
    俺はずっとAの表情の変化を眺めていたきがする。





    66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:48:38.13 ID:SliRQXP40
    ひとしきり話したところで笑い疲れたのか、
    Aはそのまま眠ってしまった。

    彼女が反応しないのを確認するとBは俺の方を見て
    「まずはおかえり」と言った。

    ここへ帰ってきてから「おかえり」と言われたのは初めてで、
    そんな小さな一言でセンチメンタルになって泣きそうになったw





    67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:52:44.10 ID:SliRQXP40
    それからBとは近況を話して、
    お互い苦労人だなみたいな話で笑った。

    なんだか、転校してから今までずっと体に張り付いた
    鉛が落ちるような感じだった。

    結構話し込んだところで帰るかという話になり、
    途中までは歩いて一緒に帰った。

    Aの話にはBがよく出て嫉妬もするけど、
    それでも彼の性格では憎めなかった。





    68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:56:01.52 ID:SliRQXP40
    六日目

    その日は雨が降っていて、どこも行く気がなかった。
    昨日Bと話したときの葛藤も残っていて、
    どんな顔をしてAやBに会えばいいのかもわからなかった。

    だからずっと家でゴロゴロして時々本読んだり
    メールしたりして時間潰してた。





    71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 02:58:50.27 ID:SliRQXP40
    七日目

    依然空は曇っていたものの、雨も超小雨だったし、
    病院へ行こうと思ってオニギリを持っていった。

    今度は五個。Bが来たら彼にもあげなきゃいけないし。
    でも、病室にはAがいなかった。
    看護婦に聞いたらまた検査らしい。

    仕方ないのでまた以前みたいにぶらぶらして時間を潰した。





    72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:02:15.75 ID:SliRQXP40
    検査が終わってから病室へ行くと、Aは少しつらそうだった。

    「大丈夫?」俺でも見てわかるくらいの不調なのに、
    「大丈夫だよ、待っててくれてありがとう」
    なんて笑って返事するんだぜ。

    人のこと気使う前に「具合悪いの見て分からない?今日は帰ってよ」くらい正直に言ってくれたほうが楽なのに。





    73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:05:26.92 ID:SliRQXP40
    結局、Aは「大丈夫だよ。わざわざ来てくれたし、話そう」
    みたいなこと言ってくれたけど、俺は帰った。

    体調悪い時こそ人が話しかけたり
    傍にいるだけでもいいっていうのわかってるのに、
    Aが辛いの見てるだけで耐えられなくて逃げ帰ったわ。

    おにぎりも袋から出すことなく結局家で昼飯と夕食の一部になった。





    75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:14:41.33 ID:SliRQXP40
    八日目

    お見舞い行こうと思ったけど、昨日体調わるそうだったし
    大事をとって一日ゆっくり休ませてあげようという判断で放置。

    ほんと、思い出すだけで自分最低だと思うわ。
    ぶっちゃけね、毎日顔だして飽きられるのも怖かったんだと思うけど。





    76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:18:48.57 ID:SliRQXP40
    そしたら夜Bから実家に電話が来た。
    わざわざ母親に古い電話帳引っ張り出させたらしい。

    「なんでお見舞いいかないの?」みたいな感じだったと思う。
    「体調わるそうだったから……」って言っても、
    なんだか俺の心の中全部
    見透かされてる感じがしてすごく気持ち悪かった。

    いろいろ話したけど俺がほとんど言い訳してただけだったかも。
    Bは「あっそ」だけ言って電話をきった。





    77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:22:04.00 ID:SliRQXP40
    九日目

    AにもBに合わせる顔もないとか思いながら
    のろのろ病院へ向かう。おにぎりはなし。

    病院に着くと、BはいなくてAだけが
    「いらっしゃい」っていつもどおりの調子で迎えてくれた。
    昨日の出来事も何も聞かず、ただいつものように俺と話をした。
    ひょっとしたら、Aも俺の考えてること見抜いた上で
    気づかないフリをしているだけじゃないかと思った。





    78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:24:11.41 ID:SliRQXP40
    「そういえば、もうすぐお祭りだね」
    Aは唐突にそう言った。

    俺は祭りのことなんてすっかり忘れていた。
    そもそもAのあの虚弱な体。
    ほぼ寝たきりの状態では祭りに見学に行くことさえかなわないだろう。





    79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:26:22.35 ID:SliRQXP40
    そして、俺も小学校時代祭りに行く約束をしていて
    結局それを破ったことを思い出した。

    だから、言った。
    言うまでに深呼吸とかして「どうしたのw」とか言われたけど、
    気持ちを整えてから言った。

    「今年は祭り、見に行こう」って。
    すっげえ恥ずかしかったけど、ちゃんといえたと思う。
    Aも「そうだね」ってにっこりしながら答えてくれた。





    80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:30:09.24 ID:SliRQXP40
    Aはすごい優しかった。
    とくに、「何も知らないように見せる」のが
    上手だったんだと思う。

    カマトトぶってるとかじゃなくて、知ったら
    ほかの人が傷つくようなことをあえて知らないフリをする。

    でも、Aがそうやって人を守ってばかりで
    自分が言いたいことも言えないのはちょっと嫌だった。





    81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:32:30.54 ID:SliRQXP40
    だから、さりげなく
    「なんか言いたいこととか辛いことあったら俺にも愚痴ってよw」
    っていうふうに言った。

    すごい月並みだけど、
    言っておくのと言わないのでは違うかなと思って。

    Aは「うん、ありがとう」と言ってくれたけど、
    結局俺に愚痴ることはなかった。

    ちょっと話の進行kskさせます。





    82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:35:05.33 ID:SliRQXP40
    それから数日、俺は毎日お見舞いに行った。

    でも以前のようにいつでも病室にいるという感じではなくて、
    検査に行くことが多くなった。
    そして、検査が終わったあとのAはとても疲れているように見えた。

    だから俺とBは時間があるときは
    Aの病室に集まってAが眠るまで一緒にいた。





    83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:38:07.69 ID:SliRQXP40
    その間もAは絶対に俺達に辛いとかしんどいとか言わずに、
    ただずっと俺たちと話していた。

    でもだんだん話すよりも聞く側に回るほうが多くなっていった。

    俺とBのやり取りを見ながら聴きながら
    いつの間にか寝息を立てているAを見て
    俺とBはなぜか少し照れくさそうに笑った。





    84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:41:25.83 ID:SliRQXP40
    ある日、お見舞いに行った時看護婦が俺を呼んだ。

    「ちょっといいかな?」
    「なんですか?」
    「Aちゃんね、多分、もう長くない」
    「  」
    長くないって、何が?





    86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:44:08.56 ID:SliRQXP40
    まぁ、わかってたけどさ。
    最近ずっとしんどそうだし。
    余命を聞いても、看護婦は「さぁ……」しか言わない。

    「先生が言うには持って半年らしいけど、3年くらい前から同じこと言ってるのよね……」

    もう俺頭真っ白。
    自分が余命半年って言われたぐらい衝撃を受けた。





    87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:47:11.38 ID:SliRQXP40
    俺がお見舞いに行く時いつも食事持ってきたりする看護婦さんで、
    俺やBとも仲がいいし、病院ではAが一番心を開いている人が
    そんなことを言うのが信じられなかった。

    でも、それだけに嫌でも信じざるをえなくなってしまう。

    「だからね、今のうちにたくさん話してあげて。Aちゃんが寂しくないように」

    そんなこと言うために呼び出したの?冗談やめてよ、ハハ。
    笑えないって。





    88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:50:17.98 ID:SliRQXP40
    ちなみにその時聞いたのは、Aは身寄りがいない。
    もともと母親は誰かわかんなかったらしいが、
    父親もAが入院を始めてから蒸発。

    お見舞いに来る人間が俺とBしかいないのも、なんとなく納得できた。
    納得したくなかったけど。

    体も動かない、一番の拠り所の家族もいない、
    家にも帰れないって、なんで誰にも言わないんだろう。





    89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:55:11.84 ID:SliRQXP40
    看護婦から聞いた話はBにも話して、
    それから数日は俺もBもいっそうAを励まして
    元気づけようとした。

    家に帰ってからそれが空回りじゃないか
    どうか心配でどうしようもなくなって
    深夜に家飛び出して近所を猛ダッシュして
    疲れないと寝れない日もあった。

    それでも俺とBは空元気を続けた。
    祭りがだんだん近づいてきた。





    90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 03:58:58.68 ID:SliRQXP40
    BがいないときにBはAが入院してから
    ずっとお見舞いもしているわけだし、
    付き合わないのかと聞いた。

    「こんな体じゃ付き合えないよwデートもできないし、迷惑かけっぱなしでしょ?」

    Bだって、Aのこと好きでお見舞いに来ているわけだし、
    いいんじゃないかなと俺は言う。
    思ってることと違うことがポンポン口からでる。





    91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:01:54.06 ID:SliRQXP40
    自己嫌悪に陥りながらもなお
    俺の舌はくるくる回ってBとの交際を促す。
    本当は俺が一番そうなりたいのに。

    AとBが話しているとき、
    Aが俺には見せない表情を見せるのを妬いてるくせに。

    結局Aは「それでも、Bとはそういうの考えてないよ」
    と言ったけど、俺はその夜帰ってから泣いた。





    92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:04:08.28 ID:SliRQXP40
    お祭り前日。
    病室の中の雰囲気はいつもと同じだった。
    お祭りなんてないかのような雰囲気。
    俺がいて、Aがいて。
    Bはバイトでいなかったが。





    93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:08:47.52 ID:SliRQXP40
    「明日お祭りだねー」
    しばしの雑談のあと、先に切り出したのはAだった。
    「うん……」としか答えられない。
    だって、どう見たってAの体調は良くなさそうだった。

    「ごめんね、約束守れなくて」
    なんでまだ始まってないのに謝るかな。
    俺、数年前の約束破ったことまだ謝ってないんだけど。





    94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:11:25.86 ID:SliRQXP40
    たぶん、Aの時間は少ない。
    今回の夏休みが最後かもしれない。
    その焦りが俺に馬鹿なことを言わせた。

    「明日の夜、あいてる?」
    この時は緊張する余裕すらなかった。
    ただ今言わなきゃダメだと思って、気づいてたら口にしてた。





    95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:13:27.93 ID:SliRQXP40
    Aはすぐに「うん」と
    今までにないくらい一番の笑顔で返事をしてくれた。
    そうこれば、俺はやらなきゃいけないことがある。
    Aが眠くなるまで話したあと、俺は例の看護婦さんを探した。





    96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:16:08.85 ID:SliRQXP40
    「はぁ!?」
    看護婦さんは素っ頓狂な声で俺のお願いを却下した。

    「ダメ。そもそもお祭りなんて人の多いところで歩けるほどAちゃんに体力無いの知ってるでしょ」
    「じゃあ、俺おぶりますから」
    「えっ」
    「お祭りの間ずっとおぶっていきますから」
    「そーゆー問題じゃなくてね・・・」





    97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:19:15.96 ID:SliRQXP40
    結局許可出さなければ拉致してでも行く
    みたいな雰囲気を出してたら渋々条件付きでOKされた。

    「携帯番号教えて。すぐ連絡できるように」
    「あと、Aちゃんの体調少しでも悪そうだったらすぐ帰ってくること」

    など細かく言われ、一応の許可は出た。
    病院出たあとガッツポーズしちゃった。





    98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:22:17.83 ID:SliRQXP40
    医者にはあのあと看護婦さんが必死に説明してくれたそうだ。

    お祭り当日
    朝、おにぎりを持って病室に行く。
    Aにおにぎりをあげると、普段あまり食事でも食べないのに、
    一個たいらげてしまう。

    夜はお祭り行く許可でたって言ったら
    信じられなさそうな顔をして「本当?」を連呼していた。
    かわいすぎて辛かった。





    99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:25:45.34 ID:SliRQXP40
    そして、一旦俺は帰宅しAは睡眠。
    午後5時頃にBも呼んで病院に集合した。

    Bは浴衣姿だったが、俺とAは持っていないので普段着のまま。
    あとで知ったことだが
    Aには看護婦さんがいろいろ貸してあげたらしい。
    そして、俺がAをおぶって病院を出た。





    100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:29:05.46 ID:SliRQXP40
    祭りは人がすごくてAをおぶっていても
    波に飲まれたりしてあぶない。
    だからBが人からAを守る役割をしてくれた。

    あの屋台を見たり、この出し物を見たり。
    おんぶされながらいろいろなものを指さすAは
    小学校当時の彼女とダブって人前なのに涙がでそうになったw





    103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:32:25.85 ID:SliRQXP40
    そして、お祭りを一通り見たあとは
    学校の帰りによく寄り道した神社に行った。

    石段に腰掛けて周りを見回すと、境内の裏や、
    物陰っぽいところに何人かいる。

    「俺、飲み物買ってくるな」と
    Bは俺達を置いてジュースを買いに行ってしまった。

    「今日、ありがとうね。本当に、すごい楽しかった」
    とAにド直球で言われ、すぐに切り返せない俺。





    104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:36:01.70 ID:SliRQXP40
    この瞬間がずっと続けばいいのに。
    べたなセリフだけど、その時の俺の心情に
    これほどしっくりくる言葉はなかったよ。

    「俺も。Aと一緒にこれて良かった。また来年も来ような」
    Aは少し間をおいて「うん」と頷いた。
    しばらく無言。Bが帰ってくる気配もない。

    「「あのさ」」
    漫画じゃないんだからこんなところでかぶるなよって思ったよ。





    105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:39:11.80 ID:SliRQXP40
    でも、かぶるっていうことは
    だいたい言おうとしてることは同じなんだね。
    これも初めて知ったよ。

    でも俺もAも「どうした?」「先に言っていいよ」みたいな
    譲り合いしてうやむやになっちゃいそうだったんだけど、

    Aが「Bと付き合わなかったのはA君を待ってたから」
    なんて言うから俺どうしようもできなくて、
    泣きながらAを抱きしめた。すごいかっこわる。





    106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:42:02.96 ID:SliRQXP40
    親父といい、Aといい、
    なんで俺みたいなのずーーーーっと待ってるんだろうね。

    ほんと、嫌いになりそうなくらいバカだと思うよ。
    でも嫌いになんてなれるわけないじゃん。

    親父だって、そりゃ虐待とかあって散々な目にあったけど
    それから数年ずっと待っててくれて、
    Aも俺が急に転校してから今までずっと待っててくれた。
    俺は多分世界で一番幸せだと思った。





    109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:45:32.95 ID:SliRQXP40
    「幸せだと思った」って過去形だったのは、
    そんな彼女も結局この猛暑を超えることができずに
    お亡くなりになった。

    夏祭りが終わってすぐ、かなり疲れたと思うけど、
    そのコンディションのまま
    体のあっちこっちに一気にガタがきたらしい。

    逝ったのは深夜で、最期を看取ることは出来なかった。
    思い出になるようなものも何も残さず。
    家族さえ残さず。
    思い出だけ残して、彼女は消えた。





    110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 04:47:35.81 ID:SliRQXP40
    ま、そんなわけでもうすぐ一年になるのですが、これで終わりです。
    長かったですがありがとうございました。





    113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 05:08:12.58 ID:/H55h27l0
    1乙。゚(ノД`)゚。




    114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/05/27(日) 05:11:23.38 ID:SP2KZYW+0
    身寄りの無い骨はどこに行くんだろうな
    ものべの 初回版
    ものべの 初回版
    posted with amazlet at 12.05.27
    Lose (2012-04-27)
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    この記事へのコメント
    1. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:25 ID:lzI8uMYE0
    ひとけた???
    2. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:29 ID:xVVH7HHL0
    川平慈英「切ない!」
    3. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:32 ID:bi.t4iZ6O
    釣りだって言えよ
    言えよ
    4. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:43 ID:wN1vEX8Q0
    それでも、最期の時は幸せな思いだったんじゃないだろうか
    5. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:44 ID:Tj0xGM0i0
    つまんない。
    ほんとだとしても同情できないw
    6. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:46 ID:luLQ1ACr0
    Bが入院というワードが出た時点で人が死ぬタイプの話だと思ったけど案の定…
    何でもかんでも死なせりゃ泣けると思ってんの?
    7. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:46 ID:OllST0uT0
    AIRみたいだな
    8. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:47 ID:ZjlkeAX40
    >>5 まぁ、日記みたいなもんだ。気にスンナ
    9. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:47 ID:OllST0uT0
    >>1がイメージで書いたから話がところどころ早急だったけど
    やっぱりこういうのは泣きそうになるな
    10. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 15:55 ID:O1a9JEGb0
    あんまりだ
    11. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:02 ID:lDkcM.zF0
    これはゲーセンと同じ奴が書いたSSな

    あと、告白のところが「A君」になってるぞ?
    12. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:02 ID:NnfKVHuF0
    田舎の写真もあったらいい雰囲気出たのにな
    13. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:12 ID:VaHE75ZQ0
    こういう話、ちょっと前だったら釣りかどうかすごい気にしてたけど、なんか最近はそういうのどうでもよくって、できるだけ感情移入させながら読むことにしてる。
    14. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:16 ID:2gipZu.V0
    色々と粗があるな。
    まず、病院はただの友人に死期を伝えたりしない。それから、外出許可は看護婦では出せない。出す場合も普通は車椅子だ。
    もうちょっと資料集めをしてから書いたほうがいいな。
    15. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:18 ID:oa4YdPYt0
    入院費誰が払ってたの
    16. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 16:39 ID:273ShaPM0
    なんてことだ!
    17. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:02 ID:gh7yiOin0
    確かに看護士が独断で外出許可を出すってのは無理がある気がするw
    18. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:03 ID:j3z23mJD0
    アケのスト4にさくらはいない
    はい論破
    19. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:20 ID:HBSjUi6O0
    家族以外の人間に患者の余命の話なんかするわけねーだろ
    しかも看護婦w
    ケータイ小説ですらもう少しリアルに書くぞ
    20. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:41 ID:F7lAOQH.0
    釣りなのか?リアルなら可哀想なAだな
    21. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:42 ID:Odfz8PtO0
    おんぶって…
    車椅子だろ、普通
    22. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 17:56 ID:0cwwQxz40
    ( ;∀;)イイハナシダナーー
    23. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 18:06 ID:v9Px8ZpM0
    創作だろうけど面白かった
    24. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 18:08 ID:FitbhyfT0
    なんとなく雰囲気がよかった
    25. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 18:16 ID:rNhDOEng0
    あれだろ
    ここからなんか突然ネトゲみたいな死後の世界に行って天使ちゃんと戦うんだろ
    26. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 18:19 ID:4Ifv04Up0
    なんかありきたりな展開だな
    って思っちゃう自分の性格の悪さに萎えるわ
    27. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 19:03 ID:fI4g4uE10
    一夏の病弱な女性、虐待親父と和解…盛り込み過ぎ、出直せ
    28. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 19:09 ID:jpc.M1kRO
    ジワァ
    29. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 19:47 ID:2nM9UtP30
    たしかにゲーセンの奴に似てる
    けど結局俺の感想はいい話だ
    30. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 20:00 ID:lDkcM.zF0
    これはゲーセンと同じ奴が書いたSSな

    あと、告白のところが「A君」になってるぞ?
    31. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 20:08 ID:Z.btE5Pf0
    VIPの自称作家は何人幼馴染を殺すんだよ!
    32. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 20:31 ID:wGXgz59x0
    ああ・・・

    もうすぐ夏がくるんだな・・・
    33. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 20:55 ID:4q.GPGlv0
    不覚にも泣いた(:_:)
    34. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 21:30 ID:wcU67RpU0
    ベタすぎて途中で読むのをやめました
    35. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 22:04 ID:0d.qK3iXO
    薄っぺらぺらい話しやな
    36. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 22:21 ID:8zW.m0b70
    ありきたり感がすごいな
    37. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 23:20 ID:E09WHuI30
    おろし
    38. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 23:36 ID:X8N1DK88O
    百パー釣り
    39. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 23:41 ID:3iWgnAhbO
    あれこれ>>1が殺したようなもんじゃね
    40. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月27日 23:43 ID:thlOcW5Z0
    41. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 00:00 ID:02fu6wMQ0
    気持ち悪いやつだな
    創作でも事実でも
    42. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 00:56 ID:ZRk5vom00
    すっげー笑っちゃったwww
    43. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 01:10 ID:YtmI.gDI0
    病気で人が死ぬ話ってずるいよな
    そんなもん切なくなるに決まってるし
    44. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 01:12 ID:EMFR.29sO
    ゲーセンで不思議なおっさんと出会った。頭なでる、よしよし。おっさん「わん!わん!」
    45. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 01:48 ID:J9CQLxnU0
    こういうのの批判いう人って、毎回思うけど自分らはこういうのありきたりでも書けんのかな…
    46. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 02:29 ID:QT5TC79oO
    明らかに創作だと思われ

    わざわざ病人を車椅子じゃなくおぶっていくのはあり得ない

    47. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 03:46 ID:cP5.0ngH0
    おまえらの歪みっぷりが屑すぎてワロタ
    48. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 04:37 ID:1Dja83fJO
    途中で展開が読めるし
    記憶力が良すぎ

    どうみても創作

    リアルなら怖い
    49. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 13:34 ID:PvdK5enR0
    病気で何ヶ月か入院してた俺に言わせれば、病院描写が甘すぎる
    看護婦が外出許可だせるわけねーだろ。
    あと、おんぶとかありえないから。せめて車椅子とかにした方がいい
    50. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 16:03 ID:0s07FHlF0
    作り話だとしても、
    51. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月28日 16:42 ID:PslaD.JS0
    半月思い出した
    52. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月29日 02:45 ID:oB0.kMrY0
    王道パターンでつまんなかったなあ。
    嘘だとかは思わないけどさ
    53. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月29日 20:17 ID:7YyNnwl00
    ♪君と夏の終わり将来の夢〜
    54. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月29日 20:51 ID:NlYAHGr60
    なんでそんなにイライラしてるんだよおぉ!!
    55. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年05月30日 05:03 ID:.si9EwtD0
    粗探しなんてしてないけど、読んでて胡散臭いなーとしか思えなかったなぁ
    事実ならもっと事実らしく、虚構ならなおのこともっと事実らしく書けよなって思ってしまう
    56. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年06月03日 15:47 ID:TY6UvOaA0
    スレタイにSSって入ってない=釣りって思っちゃうタイプか? 力抜けよ
    57. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年06月03日 16:11 ID:G3cM3q3F0
    せつねえ
    58. Posted by 以下、ゴールデン名無しがお送りします。   2012年09月05日 23:12 ID:GsQibvcH0
    >1デス
    まとめ、乗ったんだねえ。
    今更だけど、釣りって言い忘れた。
    最初は不幸話出して反応よかったら「釣りでしたテヘペロ」で終わらせようと思ったのにただのSSになってしまったよ。
    あ、ゲーセンの人ではないのであしからず。
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