2007年06月14日

ヨーロッパも不動産バブル終息に向け金融引き締めスタンス

欧州中央銀行(ECB)は6月6日の定例理事会でユーロ圏13カ国に用いる政策金利を0.25%引き上げることを予定通り決定しました。

最も重要な市場調節金利は年4%と2001年以来、約6年ぶりに高い水準となります。

欧州中央銀行(ECB)は賃金と物価の上昇圧力はなお強いとみており、景気拡大の勢い次第では、追加利上げも検討する見通しです。

トリシェ総裁は記者会見で「金融政策はなお緩和的である」と一段の利上げ姿勢をにじませていました。

欧州中央銀行(ECB)は依然として物価と成長の上振れを見込んでいるわけですが、こうした現状認識のもとでは、利上げ路線を今すぐ引っ込めるシナリオは見あたらない状況にあります。

金融市場でも欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続はまだ続くという見方が大勢であり、夏場までの景気拡大の勢いを確認した上でもう1回9月には利上げがあるだろうというのが大方の予想です。

そして、年内に4.25%まで政策金利は上昇するであろうとの見方をするアナリストが多いようです。

一方で欧州中央銀行(ECB)は来年の予測値を、GDPは下方修正し、物価は据え置くことで、景気拡大ペースの巡航速度への移行も記者会見でトリシェ総裁は示唆しています。

ユーロ高の行方次第ではヨーロッパ景気の拡大テンポが減速するであろうこともコメントしています。

欧州中央銀行(ECB)は前回までの「非常に注意深く監視」という表現を「注意深く監視」という表現に変えています。

これは欧州中央銀行(ECB)が利上げの出口を意識している証拠であると言えます。

どうもすっきりしない印象が拭い去れないわけですが、その理由は不動産バブルの軟着陸が最重要課題だからです。

過去数年、アメリカ経済にとって最大の課題は「住宅バブルのソフトランディング」と言われてきましたが、うまく軟着陸できそうな状況です。

そして今、ヨーロッパが同じ課題の解決に取り組んでいます。

ヨーロッパの不動産価格は歴史的にみても高値圏にあり、金利との兼ね合いで見ても割高です。

ヨーロッパの不動産価格がアメリカよりも割高に評価されているなか、金融引き締めによって今後ヨーロッパの不動産市場は下落に向かうと予想されます。

ヨーロッパ大陸で不動産価格の調整リスクが最も高い国はスペインですが、スペインではすでにアメリカ以上のペースで下落が始まっています。

スペインのような不動産の価格調整はこれから他のEU諸国に波及してゆく様相です。

このようにヨーロッパは金融引き締めの発動がアメリカよりはるかに遅れていたため、不動産価格の調整はこれから本格化する状況になっています。

ヨーロッパの不動産バブルは低金利のもとでオイルマネーの大量流入によってもたらされた側面も強く、基本的には世界的な過剰流動性がもたらしたものです。

こうして世界各国の金融政策を眺めると、実体経済のコントロールにも増して、不動産バブルの制御に各国中央銀行が腐心してきた様子が伺えます。

不動産バブルの終息にアメリカがなんとか成功しつつありますが、現在、それに取り組んでいるのが日本とヨーロッパというわけです。

目を転じると、この問題にほとんど手を付けていない国がアジアをはじめとする新興国です。

新興国にとっても不動産バブルがこれ以上進むといずれは大きな政策課題になってくるのでしょうが、先進国と同列に論じられないのは経済成長率が突出して高い点です。

中国もベトナムも同様ですが、所得の伸びが高いため、住宅価格や賃料の上昇を所得の増加がかなりの部分吸収してしまっています。

したがって国民の間からは先進国ほどには大きな不満の声が出ません。

もっとも、中国政府は不動産価格、株価ともにバブルという認識を持っており、金融当局は貸出金利および預金準備率の引き上げ、資金吸収オペの拡大などの金融引き締め策を実施しています。

しかし、過剰流動性を吸収し切れないのが現実です。

今年後半はアメリカのサブプライム問題と並んで中国の不動産、株式バブルのソフトランディングが課題になってきそうです。



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