2007年11月11日

「限界利益」の拡大初期に投資する

「限界利益」という概念があります。

「超」成長株投資で大きな利益を享受するポイントは、その企業の「限界利益」が拡大する初期に投資することです。

この原則を守った投資では、私は大底での買いに成功し、投資直後から株価は上昇に転じ、その後の3〜5年間で現物株投資だけでも20〜40倍増のパフォーマンスを得るという大成功をおさめています。

この原則から外れた投資では失敗もしでかし、結局、損切りを余儀なくされています。

上昇中の株価を追いかける順張り投資、モメンタム投資は株式市場の地合が強いときは短期間で高いパフォーマンスが得られるのですが、相場が荒れるとパフォーマンスが極端に悪くなります。

上昇相場(強気相場)の順張り投資で高いパフォーマンスを上げ、世間から天才ファンドマネジャーと賞賛された人が相場の地合いが悪くなったとたんに成績が極端に悪化し、再起不能になった例は歴史上枚挙にいとまがありません。

私は、凡人は凡人らしく天才の真似をするべきではないと考え、相場の地合いが悪いときにPERの低い割安株(いまは不人気株)を丹念に拾うことを心掛けています。

ところが、このPERの低い不人気株が突然人気化して、PERが跳ね上がることがあります。

PERの切り上がりは実は「限界利益率」の上昇とほぼパラレルに生じています。

「限界利益」は「売上高」マイナス「費用」で表される「利益」の1種類であり、

売上高 − 変動費 = 限界利益「額」

限界利益「額」÷ 売上高 = 限界利益「率」

で計算されます。

したがって、単純な話ですが、

売上高が増加すれば限界利益「額」も増加することになります。
(経常利益も増加します)

もっと重要なことは、

商品・製品1個(1円)当たりの獲得する利益額 = 限界利益「率」 

商品・製品が1個(1円)追加的に売れるだけで限界利益「率」分だけ「経常利益」が増える

ことになりますから

限界利益「率」の上昇が続く間は(販売数量が横ばいでも)増益が続くことになることです。

これに数量効果が加わると企業の利益は加速度的に拡大することになるわけです。

この局面に入るというまでもなく株価は大化けを演じます。

問題はどこで売るかという売りのタイミング判断です。

投資家として絶対に覚えておかなければならないことは、

株価のピークと限界利益「率」のピークはほぼ一致するという事実です。

(限界利益「額」ではなく限界利益「率」のケースが多い)


私事で恐縮ですが(ブログなので当たり前ですが)、私が92年の半導体不況真っ只中のとき、年収600万円、自己資金わずか100万円の身でありながら、(決してほめられたことではありませんが)900万円の借金を背負い込んでまで、半導体メーカーであるローム(6963)の株に自信を持って1,000万円も投資したのは、半導体市況のボトムアウトが近く、限界利益がこれ以上は悪化しようがないという確信があったからです。



株を買う絶好のタイミングはこの限界利益が急拡大しようとしている時です。

経験的に、このタイミングで株を買うと、その後の株価大幅上昇の恩恵のほとんどを享受できます。

では、いまベトナムにおいて限界利益が急拡大しようとしているセクターは何か?

それは不動産デベロッパーとコンピュータソフトです。

原油関連ももちろん良いのですが、すでに原油価格が高騰しており、反落すると眼も当てられません。

不動産デベと連携する建設会社は、受注は急増していますが、社員が袖の下を取るので彼らの財布は潤っていますが、会社の財布はお寒い企業が多いのが現実です。

コンピュータソフトの話は別の機会に譲るとして、有力マンションデベの利益急拡大はほぼ100%保証されていると言っても過言ではありません。

ホーチミン、ハノイなど大都市部では、所得水準、生活水準の向上に伴って、マンション需要が急拡大しており、いずれも即日完売という状況です。

(先般ホーチミンで売り出された分譲マンションは屬△燭1700ドルで即日完売となった後、さらに2600ドルで転売されたが完売したという。短期の転売益を狙った投機的売買が横行しており、来年にも短期譲渡益に課税するなど不動産価格抑制策が導入される可能性があることを多少のリスク要因として考えておく必要がある。ただし、その場合でも過熱の反動で価格の沈静化は予想されるものの、圧倒的な供給不足の状況のもと、数量拡大の恩恵が遥かに大きいと思われる)

一方、比較のために好対照な例をあげると、日本の不動産デベロッパーです(無論アメリカは言うまでもありません)。

日本、アメリカの不動産デベロッパーは今後、限界利益が急速に縮小するのは間違いありません。

これは実勢地価、不動産利回り(キャップレート)、金利、住宅着工件数、個人消費の動きを観察すると明らかです。

東京都心部の地価はここ5〜6年くらいの間で急上昇しています。

公示地価、路線価などの公的指標価格も上昇していますが、東京都心部の実勢価格をみると、2000年当時と比べ2倍に上昇している地点も少なくありません。

不動産デベロッパーは高い限界利益を維持しようと努めるので、素地(つまり仕入れ価格)の値上がり分を販売価格に転嫁しようとしますが、販売価格を上げると売れ行きが落ちるので価格転嫁には限界があります。

当然のごとくすでに不動産デベロッパーの「限界利益」はピークアウトしています。

このため三井不動産、三菱地所などの大手でも増益率がはっきりと鈍化しています。競争力のない中小デベロッパーではすでに減益に転じているところもあります。

大手不動産の株価は揃って今年前半、18年ぶりに80年代バブル期の史上最高値を更新しましたが、これが天井であることは間違いないでしょう。

私は不動産サイクルをクズネッツ・サイクル(ほぼ20年周期の建設循環)とジュグラー・サイクル(ほぼ10年周期の設備投資循環)の複合サイクルと捉えています。

戦後60年間の超長期不動産サイクルを観察すると、大手不動産の株価が再び高値を更新するには10年くらいの時間を要すると考えています。

不動産利回り(キャップレート)から長期金利を引いた「イールドギャップ」も1%台まで低下しており、「イールドギャップ・サイクル(私がこう呼んでいるだけで一般的には通じない)」も日本の不動産は「売り」を示唆しています。

この私の呼ぶ「イールドギャップ・サイクル」も綺麗におおよそ10年の循環を描いています。

ところが、ベトナムなどの新興国においては所得水準の向上、絶対的な住宅不足から需要の急拡大が続くため、不動産サイクルは先進国のそれとは全く異なる軌跡を描きます。

ベトナムで観測される不動産サイクルおよび「イールドギャップ・サイクル」は「ベトナム不動産は買い」を明確に示唆しています。

ただ、ベトナムにおけるすべての不動産デベロッパーの限界利益が急拡大するかというと、そういう訳でもありません。

限界利益が急拡大するかどうかは、「立地」と「素地の取得価格」を調べる必要があります。

逆にこの二つさえ押さえれば、外すことはまずありません。

物事はシンプルに考えるとよく本質が見えてきます。

(参考)
企業活動において発生する「費用」は、「変動費」と「固定費」に大別されます。
「変動費」…材料費・運送費など売上高に比例して発生額が変動する費用
「固定費」…人件費・家賃など売上高に関係なく固定的に発生する費用






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