2007名古屋花展

2007年11月05日

「東山荘に秋をいける」 名古屋

2007年9月の末に名古屋市東山荘で開催したいけばな展の様子です。

当日お越しいただいた方にはもういちど雰囲気を思い出していただいて。
また、初めて見ていただく方には、展覧会の雰囲気が少しでも伝わりますように。

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名古屋のいけばな展 1

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名古屋の教室のみなさんと、14年ぶりにいけばな展を開催しました。
会場は前回とおなじく、名古屋市東山荘(とうざんそう)です。


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東山荘は大正時代に建てられたお屋敷で、のちに所有者から名古屋市に寄贈され、現在は広大な庭園が一般に公開されています。
(表門を入ったところ。五葉躑躅(ごようつつじ)、菊、竜胆(りんどう)の投入。五葉躑躅の葉が小雨にぬれて色が冴えます。)


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普通、いけばな展というと、諸流派合同でのいけばな展の場合、百貨店などの催し会場に平台をしつらえて、ずらっといけばなを並べてご覧いただくことが多いのですが、今回は一つの流派のグループ展なので、僕たちの思い通りの飾り方ができました。
(受付横。菊13種の盛花が秋の香りと彩りでおでむかえ。)



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点数を少なくして、それぞれの部屋に、ゆとりの空間をつくりながら、いけばなの場をしつらえて。
(玄関を入って最初のお茶室のまんなかに、おおきな秋草の盛花をおいて。)


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この日のために花屋さんが集めてくださった秋の草花たち。
みんないきいきとしています。
お越しになった方たちの感嘆の言葉が、花たちをより美しくさせてくれます。
 晒菜升麻 さらしなしょうま
 吾亦紅 われもこう
 山芍薬 やましゃくやく
 曙草 あけぼのそう
 桔梗 ききょう
 杜鵑草 ほととぎす
 河原撫子 かわらなでしこ
 藤袴 ふじばかま


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お茶室の床の間には、あっさりと山芍薬の実をいけました。
一輪と静かに向き合って。


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名古屋のいけばな展 2

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小雨の中をたくさんの方がお越し下さいました。
庭の木々も、しっとりと水をふくんで、優しい表情になっています。


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大広間からは、ひろびろとした庭を眺めることができます。
ガラス越しに庭を借景にして、高卓(たかしょく)の上に花を飾りました。
薄(すすき)。
黄色い花はリコリス、、、彼岸花の仲間です。
その下のピンクの花は秋海棠(しゅうかいどう)。


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大広間では、お茶とお菓子でおもてなしをしました。


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庭から部屋へと目を移すと、金屏風の前に、大きな投入花(なげいればな)が2作。


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たっぷり水の入る花器に、丸葉の木(別名、紅満作)と鶏頭(けいとう)。


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そしてこちらは、丸葉の木と白糸菊。
これら2作の連作をゆったりと楽しんでいただきました。
季節の山の木と里の花。
いけばなの基本的な組み合わせの一つですね。


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名古屋でいけばな展 3

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大広間のはしには、小さな縁側がついていて、その前にある蹲踞(つくばい)で手をぬらしたりできます。
静かな庭に、つくばいに落ちる水の音が小さく聞こえます。
なんとなく、心もうるおってきそうです。
石のつくばいに、鉄線(てっせん)を三色いけました。
たっぷりの水に浮かぶように。


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大広間の床の間です。
ここは、おちついた「和」のいけばながよく合います。


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大きな壷に文人的な生け方で、仏手柑(ぶっしゅかん)、バンダ(ランの一種)をいけました。
お正月に喜ばれる仏手柑ですが、この時期(9月末)はまだ実が青いのが普通です。
いい花材を見つけてくださるのも、花屋さんの腕次第なのです。
バンダの紫色と、仏手柑の黄色、そこに仏手柑の葉の緑が加わって、気品あるいけばなになりました。


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常緑樹の朝鮮槙(ちょうせんまき)の生花(せいか)です。
おいっこが家でいけたものを、そのまま持っていって飾りました。
彼は今、僕の父に、こんな古典いけばなを教わっています。
右に出た枝先が、ぎゅっと上にあがる姿が好きだそうです。
なかなかの腕前。
と、ほめて育てましょう。


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父の菊三種の生花です。
秋は菊。
菊は葉の勢いがとても大切です。
枯淡な中にも彩りを感じるいけばな、、、奥が深いです。


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違い棚の下の板床(いたどこ)には、大きな小判型の水盤を置いて。
梅擬(うめもどき)の赤い実は、ぷりっと張りがあり、美しさと、可愛らしさと、品格と、力強さと、、、。
この紅い実は、丁寧に枯れ葉を掃除してから、僕たちのところへ届くんです。
実を落とさないように、大切に大切に扱われて。
貴重な一枝なのです。
紅い実に、秋明菊(しゅうめいぎく)の白い花。
そして水際に杜鵑草(ほととぎす)をそえました。



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大広間から奥へ行くと、いったん外へ出てから入るお茶室があります。
こちらにも山の花をいけました。
上臈杜鵑草(じょうろうほととぎす)、藤色の秋明菊、夏櫨(なつはぜ)を竹の器に。
ふっくらした黄色い花がぶらさがるように咲く上臈杜鵑草。
さりげなくいけられた花で、部屋の空気ががらりと変わります。


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さて、いちどもとへもどって階段を二階へ。
つきあたりの小間には、こちらにも山野草を。
紅花の大文字草(だいもんじそう)と岩沙参(いわしゃじん)です。
谷川の苔むした岩のかげから花がのぞいているように。
ときどき霧吹きで苔をしめらせました。


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名古屋でいけばな展 4

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二階の通路の両側にはそれぞれまったく違う雰囲気の部屋があります。
こちらは唯一の洋室です。
ソファーでゆったりと。。。
会話の邪魔にならないように、テーブルの花は低くいけました。
金彩がほどこされた舟形の器に白花のネリネ、肝木(かんぼく)の実、木いちごの葉。



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窓際にも部屋の雰囲気に合わせて、二種類のランをいけました。
色は違いますが、どちらもオンシジウムです。
色の深みを与えるために、赤いバラをのぞかせています。
花器はトルコの水差しです。


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もう一方の壁面には、重厚な木の台が左右対称にしつらえられています。
部屋の要となるこの一対の場を、いけばなで生かすことができるか、、、。
悩んだ末に、大輪のダリアを左右に色を分けていけることを考えました。


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左側には大きな鉢に薄(すすき)を立てて、黄色オレンジ系のダリアを。


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右側にはまったく同じ器に、蜀黍(もろこし)の穂を立てて、赤、濃赤色のダリアをいけました。

ダリアは水をさげやすく、いけばな展に使うのはよほど状態のいいダリアが手に入ったうえで、手際よくいけないといけません。
見た事も無いような大きなダリアを花屋さんが手に入れてくれて、
どの花も、その最高の美しさを最後までたもってくれました。
部屋にはいったとたん、はっと息をのむような、そして心豊かにさせてくれる、一対のいけばなになりました。


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名古屋でいけばな展 5

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いよいよ最後の部屋、二階和室です。
ここの床の間は少し変わっていて、中央に一間四方(180cm×180cm)の床の間があり、その左側は高さ40cmの板床、その右側は奥行き半間の小床になっています。
右側の障子を開け放つと、お庭の見事な景色が眺められます。
ちょうど、もみじも色づき始める頃。
右手にそんな素晴らしい景色があるこの部屋の床の間には、派手な色彩はいらないと考えました。


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中央の大きな床には、僕の花として、松一色の立花(りっか)を立てました。
自然に曲がった幹の形を生かして、赤松、寿松、黒松、翁松などを前後左右に振り出しています。
きりっとまっすぐに立ち上がる水際は、立花の大切な見せ場です。



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松の両側には、左に山の秋、右に水辺の秋をいけました。
こちらは左側の山の秋。
蔓梅擬(つるうめもどき)と白花の杜鵑草(ほととぎす)。
そして満天星(どうだんつつじ)の色づき。
二つの器に向き合う形にいけた、生花(せいか)二瓶飾りです。


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そしてこちらが右側の水辺の秋。
これも生花ですが、一つの器に二種の花材を株分けにしています。
水辺で立ち枯れた葦(あし)を右側に高くいけ、その左手前に杜若(かきつばた)をいけています。
杜若は5月の花ですが、一年中花を咲かせる四季咲き種というのがあり、実と花を使って秋の姿にいけます。


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山の秋、水辺の秋、そしてお庭へと。
この部屋でも、ゆったりとした時間を楽しんでいただけたようです。
さらにさらに、京都から見に来てくれたお弟子さんが、木製のフルート「トラヴェルソ」を吹いてくれました。
そのやわらかな音色が部屋から庭へと。
花と人と空間と音楽と、、、。
とても気持ちのいいいけばな展となりました。
今回の出品者は僕を含めて16人。
みんながそれぞれに、その場にあったいけばなをいけて、全体で心地よいもてなしの空間をつくることができました。
一日だけの夢のような花会でしたが、いけばなの本来のあるべき姿、いけばなにそなわった真の力を、仲間と共に再認識できたことが、なによりの収穫です。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。


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