ホッホチャンとケンチャン

2009年06月04日

ホッホチャンとケンチャン   no.16

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介してまいりました。今回で最終回。(じつは一つ掲載もれでした。お母さんごめんなさい!。でもなんとなく、最終回にふさわしい文章なのです。ひょっとして母がそうさせたのかな?、、。)

お日さまと緑の地球

               2003年 1月


ホッホチャンとケンチャン-22


ケ「アッ、ここアフリカや」

 ホッホチャンに教えこまれてよく知っている。

ケ「アフリカはコワイのやねっ」

ホ「この間もケニアでテロがあって沢山の人が殺されたわね」

ケ「ボク行ったらあかんなあ」

ホ「まだ小さいから行かなくてもいいけど、大きくなったら御飯も食べさせてもらえないアフリカの子供を助けに行ってあげてね」

ケ「いーっぱい御飯たべさせてあげる。それからお花いけてあげてもかまへんか」

ホ「ワアーッ嬉しいな。そんな気持があるのやったら、これからもっと一所懸命教えたげる」

 ホッホチャンは毎週ケンチャンにいけばなを教え、毎月子供が興味を持ちそうな花をテキストの裏表紙に作り続けてきた。

 ケンチャンの友達も自分の家に置かれているものと、花が一緒に飾られると興味を惹(ひ)かれるようである。

 大人は床の間の掛軸(かけじく)の前に飾られた花でいい。

 だが子供達はウルトラマンや、自分が幼稚園で作った紙の鯉登りに花がそえられるのが不思議らしく、花の名前を聞く。

 女の子は自然に花に親しんで行くだろうからいいが、男の子にも花に興味を持たせるのは大変な教育の一つである。


ホッホチャンとケンチャン-22b

花材 ヒマワリ ミリオクラダス

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ミヤノマサキ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 6さい


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2008年12月31日

ホッホチャンとケンチャン   no.24

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

ホッホチャンは申年

               2004年 1月


ホッホチャンとケンチャン-5


ホ「ケンチャン、来年は申の年、ホッホチャンの年なの」

ケ「そやろと思てた。アハハ︰」

ホ「コラッ、何がおかしいの!」

ケ「お母さんも猿やで」

 そして又笑っている。二人には同じように猿的なところがあるらしい。

 そのうちケンチャンが、

ケ「ホッホチャン、そんなら猿の工作花しよか」

ホ「うん、そしたらお正月号にのせられるから丁度いいと思う」

 二人で考えはじめたが、猿の人形がうまくいかない。

ホ「そうや、ずっと前、オジチャンが色んな動物作ってくれはったでしょ。頼んでみよか」

ケ「二階へ頼みに行ってくる」

 ケンチャンは、しばらくおりてこない。そのうち嬉しそうな声で下りてきた。

ケ「エーのができた。見せてほしいか」とかくしている。

 五匹の猿は段ボールを切り抜いた木にとまっている。

 それぞれ弟や両親らしい。

ケ「ホッホチャンはテッペンにしといたげたで!」

ホ「ヘエーッ、ありがとう。今度の水曜日、学校の帰りに寄る?四時から写真とりはじめるから」

ケ「猿ヨロコブやろな」


ホッホチャンとケンチャン-5b

花材 スプレーギク

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 7さい


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2008年12月30日

ホッホチャンとケンチャン   no.23

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

空から落ちてきた雪ダルマ

               2003年 12月


ホッホチャンとケンチャン-12


ケ「アッ、雪だるまや!」

ホ「かわいい雪ダルマでしょ。オーノさんがロンドンで買ってきて下さったの」

ケ「お花とバケツ持ってはるなあ。お花いけてはったんやろか。そいで二階から落ちてきはったんとちがうか」

ホ「そんな感じやね」

ケ「そしたらホッホチャンがびっくりして、たすけにきはったとこや。この雪だるまでコーサク花できるやろ?」

ホ「手伝ってくれたらできる。まずお星様がいるでしょ。それからきれいな金色の針金。花は何にいけたらいいかな」

ケ「一緒に行ったげる!。荷物持ったげる」

 二人で出掛けて行ったが中々帰って来ない。

 買ってきたのは真っ赤なマグカップと小型の胡蝶蘭にミリオクラダス。

 赤と緑の華やかなクリスマスカラー。

 コーサク(工作花)ができたところで国立近代美術館へ。

 二十世紀初めのヨハネス・イッテンの造形芸術展を見に出かける。

 そこでケンチャンは、イッテンの画集を買ってもらった。

 何故かというと、イッテンの絵で迷路遊びができるからだそうである。

 日射しのおだやかな初冬の午後。

ホッホチャンとケンチャン-12b

花材 コチョウラン ミリオクラダス

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 7さい


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2008年12月29日

ホッホチャンとケンチャン   no.2

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

片言の会話から

               2002年 12月


ホッホチャンとケンチャン-2

ホ「このお靴、大事にはきましょうね。そしてね、このお靴で道端に咲いているお花さんや、小さな虫さんを踏んづけたりしないようにね」

ケ「わかったー、そんなことせえへん」

 ほんの少し会話らしいことができるようになったケンチャンに、ホッホチャンは夢中である。

 無理もないだろう。六十才代半ばになって、始めてできた孫なのだから。

 このブーツはケンチャンへのクリスマスプレゼントである。

 そのブーツにホッホチャンはリボンと薔薇を買いに行った。

 リボン屋さんで、弟のジュンクンは階段からころげ落ちた。

 ホッホチャンは、あわてて抱きおこしたが、ジュンクンはケロッとしていた。

 多分ケンチャンは、ジュンクンの小さな人生に、ホッホチャンから教えられたことを、分け与えてくれることだろう。

ホッホチャンとケンチャン-2b

花材 バラ

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 6さい


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2008年11月19日

ホッホチャンとケンチャン   no.22

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

モミジ見に行こ!

               2003年 11月


ホッホチャンとケンチャン-7



ホ「ケンチャン、去年の秋、真如堂へモミジ見に行ったでしょ」

ケ「覚えてる。沢山人が来てた。また連れて行ってくれる?」

ホ「ホッホチャンも行きたいなと思ってんの」

ケ「今度はもっと遠い所あかんか?」

ホ「それより、この間真赤な葉の木をいけたでしょ。名前教えたわね。云ってごらん」

ケ「エート、エート、?」

ホ「もう忘れたの?。あれは七竈(ななかまど)、北海道から送られて来たの」

ケ「へーっ北海道!。一緒に行ったやんか。行こ、行こ」

ホ「そんな!。北海道は遠いのよ。それより周山へ行こか」

ケ「それどこ?」

ホ「京都の北の方。お山をいくつも越えて行くの」

ケ「へーっ、どんなとこやろ」

ホ「おじいちゃま、山を五つほど作ってよ。ケンチャンとモミジ見物に行く道をこしらえるの」

 早速おじいちゃまは紙で山を作ってくれた。

ホ「山だけやったらあかんね。ホッホチャン自動車の切り絵持ってるから、道に貼りつけよね。それから紅葉買いに行こ」

 そして二人で何とか、かとか言いながら周山行の紅葉の山道ができた。

ホッホチャンとケンチャン-7b

花材 ナナカマド ビバーナム

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 7さい


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2008年10月05日

ホッホチャンとケンチャン   no.15

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

おむすび作って

               2002年 10月


ホッホチャンとケンチャン-11


 ケンチャンの小さなおにぎり。

 ホッホチャンが

ホ「ごはんまで大分時間があるから、このおにぎり、写真にとっとこうか、どおー」

ケ「ええけどー、ナンでおにぎりの写真とるの。変なのー。」

ホ「まあ見てて」

 ホッホチャンは蔵の二階から稲を一束持っておりてきた。

 そしてその日の朝買ってきた赤のまんま。

 ケンチャンは何がはじまるのか不思議そうな顔。

 そして例によって稲と赤のまんまをいけているホッホチャンの横で寝そべって頬杖をついて見守っている。

ホ「ケンチャン、おにぎり好きでしょ。おにぎりは何で作るの?」

ケ「ゴハン!」

ホ「そしたらゴハンは何で作るの?」

ケ「お米!」

ホ「へー、よく知ってるのね。そんならお米は何から作るのか知ってるかな?」

ケ「??ー」

ホ「知らなかったでしょ。お米はね、これ。稲っていうの。この先に小さな粒が沢山ついてるでしょ。この粒の皮をむいたらお米になるの」

 ケンチャンは、おにぎりからお米までのつながりは知っていた。

 上出来かもしれない。

ホ「写真が終わるまで、オジイチャマの部屋へ行って、お米ができるまでのお話を聞いてらっしゃい」

ケ「チョット待って。この赤いのお花か?」

ホ「これはお花。赤まんま。小っちゃなお米粒みたいでしょ。ホッホチャンがケンチャンぐらいの頃、このお花を小さなお茶碗に入れて、はい、お赤飯といっておままごとしてたの。ケンチャンも、もっと小さいとき、ごはんのこと、マンマっていってたでしょ。だからこの花は赤マンマ」
 

ホッホチャンとケンチャン-11b

花材 イネ アカノマンマ

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 6さい


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2008年10月04日

ホッホチャンとケンチャン   no.27

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

スパイダーマン

               2004年 9月


ホッホチャンとケンチャン-18


 ケンチャンが、しきりに台所の柱にとびついている。

ホ「何してんの、危ないからおやめなさい!」

ケ「スパイダーマンや」

 お母さんと「スパイダーマン」の映画を見てきたそうだ。

 だがその真似は難しいらしい。

 しきりに紐を天井や壁に投げているが、どこにも引っかからない。

ホ「そう! この間 さくらさんにスパイダーマンのキャンディーを頂いたでしょ。あの缶を持ってらっしゃい。ホッホチャンのスパイダーマンを作ったげるから」

ケ「ーーン。あの缶、どっかへ行ってしもた」

 横で話を聞いていた事務局のお姉さんが、私も持ってるからと、缶と一緒にスパイダーマン付きのストローも貸して下さった。

 そして蜘蛛の巣は、何か植物でとオジイチャマが下請け。

 スパイダーマンの配色は赤と青らしい。

 そこでバックは青、花は朱色のアマクリナム。

 白い目で赤い顔のキャンディーの缶の後に花を立て、蜘蛛の巣にスパイダーマンの人形をひっかけて出来上がり。

ホ「ケンチャン、これでどう?」

ケ「フトイ(太藺)の先はいらんのとちがうか」


ホッホチャンとケンチャン-18b

花材 アマクリナム フトイ

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

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 ケンチャン  、、、 7さい


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2008年10月03日

ホッホチャンとケンチャン   no.21

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

スターウォーズ

               2003年 9月


ホッホチャンとケンチャン-13


ケ「スターウォーズ行ってきた」

 京都の国立博物館で、映画で実際に使った宇宙人の服装や、宇宙船の模型まで展示しているという。

ケ「スッゴイでー!、この人形おじいちゃまに買っていただいた」

ホ「ヘーッ、何て名前の人なの」

ケ「エーッとな、箱に書いてある。おじいちゃま読んで」

 剣を持ったのがアナキン・スカイウォーカー、ピストルを両手に持っているのがジャンゴフェット。

ホ「どんなことしてはる人?、どっちが良い人?」

ケ「?、?、?」

 話の筋はわからないらしいが、魅力ある映画だったようではある。

ケ「ホッホチャン、相談やけど、この人形の花買いに行かへんか」

ホ「行ってもいいよ。スターウォーズやったらお星さんみたいな花がいいわね」

 二人で出て行った。買ってきたのは瑠璃玉薊(るりたまあざみ)と銀河のような霞草(かすみそう)。

 もう一種アリウム・ギガンテウムが欲しかったらしいが季節はずれ。

ホ「スターウォーズやったらレーア姫がいるでしょ。ホッホチャンのマグカップに、お月様に乗ったレーア姫がある。それでいいかな」

 二人で何か相談しながらいけ上がった。

 アリウム・ギガンテウムがあれば、又違った感じになったかも。


ホッホチャンとケンチャン-13b

花材 ルリタマアザミ カスミソウ

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

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 ケンチャン  、、、 6さい


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2008年10月02日

ホッホチャンとケンチャン   no.14

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ピエロとお月見しました

               2002年 9月


ホッホチャンとケンチャン-21


ホ「ケンチャン、ピエロ知ってる?」

ケ「そんなもん知ってる! 本で見たもん」

ホ「本物見たことないでしょ。サーカスに出てくるの。京都にもこないかな?」

ケ「ホントにいるの?」

ホ「これはね、そのピエロのお人形。チェコという国のプラハという町のお人形屋さんで買ったの。ね、こうやって糸を引っぱると手も足も動くでしょ」

ケ「欲しいな、くれへん」

ホ「ダメ、これはね、ホッホチャンの大事なお人形なの」

ケ「フーン、あかんのか」

ホ「それより、もうすぐお月見でしょ。プラハでピエロさんと一緒にお月見したらどんな感じかな」

 ホッホチャンはプラハ(チェコ)の陶製の家を並べてマグカップに菊(ボリス・ベッカー)をいけてお月様を浮かび上がらせました。

 そこヘピエロがとび出してきました。

 ケンチャンは出来上がるのをおとなしく眺めている。

ホ「ね、ケンチャン、こんなのこしらえるの楽しいでしょ。でももうそろそろ眠いでしょ。寝る前にピエロさんと一緒に紅茶飲もうかな、どうする。大分おそくなったけど今日はこれでお終いね。」


ホッホチャンとケンチャン-21b

花材 ボリスベッカー スモークグラス

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ミヤノマサキ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 5さい


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2008年09月30日

ホッホチャンとケンチャン   no.8

「ホッホチャンとケンチャン」写真集の中から母の花と父の文を一作ずつご紹介しています。

お月見

               2001年 9月


ホッホチャンとケンチャン-17


ホ「もうすぐお月見ね。ケンチャンとこで見せてもらおうかな」

ケ「ウン来て、ホッホちゃん泊まってくれる?オジイチャマも。お月さんは僕のこと好きやねんて。こないだの帰り道、ずっと家までついてきてくれはったえ。」

 多分母親のはながそう話してやったのだろう。

 私達も幼い頃をほーっと追憶してしまうような風景である。

ホ「ケンチャン、お月さんの絵を描いてくれる?」

 ケンチャンは少し考えて

ケ「よう描かんわ」

ホ「ただ丸を描いたらいいだけなのよ」

 彼はまだ考えている。

 丸を描いただけでお月さんになるのかどうか。

 頭の中に色んなお月さんが浮かんだり消えたりしているらしい。

 一緒に走ってついてきてくれるお月さん。

 丸くなったり雲の間にかくれたり。

 でもホッホちゃんに云われた丸いお月さんを描いてくれた。

 ただし五つ。

 どうして五つなのか、そして左下のお月さんが二重である理由もわからない。

 次の十五夜は多分十月一日だろうと思う。(注、2001年の場合です、、、)

 できれば十一階のケンチャンの部屋で一緒にお月見ができればいいのだが……。


ホッホチャンとケンチャン-17b

花材 ススキ クリ

 花  / ホッホチャン
 文  / オジイチャマ
 写真 / ウサミヒロシ

 ホッホチャン 、、、 ケンチャンのおばあちゃま
 ケンチャン  、、、 4さい


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