横浜西洋館いけばな展2013

2013年12月06日

ウェルカムいけばな 〜心地よい空間〜

関東支部の皆さんと一緒に、横浜の山手にある「外交官の家」に花をいけさせてもらった。
とても好評だったので、僕が毎月発行している「テキスト」に書いた文章とともに、記録として掲載します。
(以下、文章は「テキスト」より転載)

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あなたは何のために花をいけるのか。と問われたら何と答えますか。
 「自分の美の世界をいけばなで表現したい」
 「いけた花が新たな命をふきこまれて輝いてくれるのが好き」
 「とにかく花をいけると心がおちつき、豊かな気持ちになれる」
ただ花をいけるということにも、人それぞれに色んな思いがある。
また、「今日はお客様がこられるから、花屋さんで花を買っていけておこうかしら」というような素朴な気持ちで花をいけることもあるだろう。
訪れたお宅に花がいけてあると、やはり嬉しい。
大切にいけられた花からご主人のもてなしの気持ちが伝わってくるし、なによりもその部屋にいるのが心地よい。

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以前、フランス北部のノルマンディーに大きな風景式庭園を持つ貴族のお宅にお邪魔したことがある。
その時通された居間に、庭から切ってきたコブシの大きな枝がそのままの姿で壺にいけられてあった。
アールデコ調の大きな明かり窓からさす光と、 無数のコブシの白い花が強く印象に残っている。

花がいけてあることで、その場がとても居心地のいい空間になる。
別の言い方をすれば、花がいけられていることで、その場に心地よく迎えられたような気持ちにさせてくれる。
それこそいけばなの大きな魅力の一つだと思うのだ。

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関東支部の皆さんと横浜山手にある西洋館を花で飾る催しは、今回で4回目になる。
横浜の佐藤慶真先生がいつもボランティアで花を飾ってこられたご縁で、2日間の花会をさせていただいた。
従来のいけばな展ではなく、あくまでも来館者を迎える花として。

今回お世話になったのは「外交官の家」と呼ばれる洋館。
ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使などをつとめた明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅で、もとは東京渋谷の南平台に明治43年に建てられた。
設計者はアメリカ人で立教学校の教師として来日、その後建築家として活躍したJ.M.ガーディナー。
京都の長楽館(旧村井別邸)もガーディナーの設計だ。

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平成9年に横浜市は、内田定槌氏の孫からこの館の寄贈を受け、山手イタリア山庭園に移築復元し一般公開した。
同年、国の重要文化財に指定されている。

驚かされるのは丁寧な復元だけでなく、室内の家具や調度類も再現されていることだ。
聞くところによるとカーテン一つとっても、使われていたのと同じものを特別に京都の龍村織物でつくってもらうほどの念の入れようだったそうだ。
まさに当時の外交官の暮らしを体験できるように、との熱い思いがこもっている。

特別な思いのこもった館内だからこそ、家具には「手を触れないでください」という札が置かれている。
無料で一般公開されているのだから当然だ。
美意識の高い空間をのちのちまで残すために、天気の良い日には太陽側の窓に、さりげなく白いロールスクリーンを下ろして廻り、強い日射しをやわらげるということもされている。

そんな館内に花が飾ってあると「大事な建物だから、気をつけないと」という緊張感よりも、「外交官の家に招かれた客人」という気分になる。
貴重な建物を鑑賞する、というような距離感ではなく、「ようこそいらっしゃいました!」という温かな気持ちを感じる空間に変わる。

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館内の花の場所を事前に出品者に割り振って、それぞれの空間を意識しながら器や敷物を考え、花をいけてもらった。
独りよがりでなく、来館者を意識しながらいけられた花は、どの花も部屋に調和していた。
数種類の敷物を持ってこられて、雰囲気に合うものを現場で選んだり、360度どの方向からも見られるようにしたり。
そのようにして、「ようこそ」の気持ちがこめられたいけばなはいけられていった。

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最初に書いたが、花をいける思いはいろいろあっていいと思う。
でも、今の世の中に「ウェルカムないけばな」が必要とされていると強く感じる。
花と花の空間を意識して、花自体が気持ちよく感じてくれるようにいけられたいけばなは、見る人も心地よくしてくれる。
そんな花のまわりでは、人と人も心地よい関係になれる気がする。

皆で心地よい空間をつくろう!

暮らしの中に、社会の中に、ウェルカムいけばなを!

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最後までご覧くださり、有り難うございました。

gonchan43 at 14:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0)