2014年09月14日

『憲法主義』内山奈月(AKB48)・南野森

AKBに、こんな子がいたとは。

『憲法主義 -条文には書かれていない本質-』
著者/内山菜月(AKB48)、南野森(憲法学者)
発行/PHP研究所(2014年7月)

第1講 憲法とは何か?―憲法は他の法律と比べて何が違うのか
第2講 人権と立憲主義―アイドルの「恋愛禁止」は憲法違反か
第3講 国民主権と選挙―質の高い代表を選出するための工夫
第4講 内閣と違憲審査制―国会・内閣・裁判所の民主的正当性について
第5講 憲法の変化と未来―憲法が変化する場合とその手続きについて


AKB48の内山奈月さんは、日本武道館のステージで日本国憲法の条文を暗唱して会場を沸かせたそうで、今年慶應大学の経済学部に入学しています。内山さんのことは知りませんでしたが(AKBが48人ではないことを最近知ったくらいです)、本書を読み、失礼ながらAKBにこんな頭の良い子がいたんだと驚いてしまいました。
当時高校生だった内山さんが、九州大学教授(憲法学)の南野森氏によるマンツーマン講義を受け、その内容をまとめたものが本書です。

南野「われわれ国民の政党支持を正確に反映することだけを追求すると、全国を一つの選挙区にしての比例代表制がいちばんいいのです。では、なぜそうしないのか」
内山「大きい政党が権力を握っていたほうが政治が安定するから。小選挙区にすればたくさんの小さな政党がばらばらに議席を取ることがなくなって、日本の政治が安定するからです」
―p136

内山「すごくつまらない質問をしてもいいですか」
南野「どうぞ」
内山「アメリカと仲よくやっていかないと、日本の平和は守れないわけじゃないですか」
南野「まあ、そうですね」
内山「だから、そういう意味で、アメリカを守ることも日本にとっては『自衛』であるとは言えないんですか?」
南野「……うーん、うなりますね。鋭い。たしかにそういう理屈も考えられます。アメリカが危うくなれば日本も危うい。だからアメリカを守ることは日本を守ること、すなわち『他衛』は『自衛』である。そう考えれば……」
―p212,213


南野先生の問いかけに的確に答え、良い質問もし、感心してしまいます。YouTubeに「授業」の様子を紹介した動画があるので見てみてください(「憲法主義」で検索)。暗記マシーンではなく、とても利発で賢い子であることがわかります。それが「授業」の内容を良くしているとも言えると思います。

憲法と法律は何が違う? AKBの「恋愛禁止」は憲法違反? 憲法改正や集団的自衛権が話題になっているけれど、何が良くて何が良くないのか? 憲法について何も知らない人でも読みやすい内容、構成で、一般向けの入門書といえそうです。僕は大学で前期に憲法の授業を採っていましたが、受ける前に読んでおきたかったと思いました。南野先生の説明も、条文の奥にある歴史、考え方に触れていて、非常に興味が持てました。

解釈改憲の是非や集団的自衛権などキワドイ話題も出てきますが、先生の解説はあまり偏らず(やや左のようですが)展開されているので、議論の基本を押さえたい人にもおすすめです。
単に憲法ブームに乗っかってアイドルを飾りにして出してみたというような物ではなく、一歩踏み込んだ本格的な内容です。意外にもアイドル色はほとんどない真面目な本。こういうのは好きです。

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