ちょっと待って、ラ・テ

オジサンのこころに響いた番組の、あの場面、あの言葉、あの人の表情。 毎日、放送される多くのラジオ、テレビ番組の中から、選りすぐって取りあげ、 聞いていない人、見ていない人が自分のなかで再生して、その番組の感動や楽しさを味わうことができる、そんなことの役にたてればと思います。 ついつい流される日々のなかで、ちょっと立ち止まって、日常を一歩離れて、考えてみるためのラジオ、テレビ。だから「ちょっと待って、ラ・テ」。

2015年10月

P1010896NHKテレビ「プロフェッショナル~仕事の流儀」が放送10周年記念スペシャルとして、26日に放送した「岡村隆史×プロフェッショナル」は、制作スタッフの狙いが当りも当たったりという点で、「お見事」という言葉がピッタリの番組だった。

もともと、この番組のファンだったということだが、その岡村隆史を、10周年記念番組の、いわば案内人に起用し、これまでの291人のプロフェッショナルの中から何人かを選んで、会いにゆく、という企画をたてたとき、制作側に期待とともに、不安がなかったということはあり得ないだろう。

ただ、もしかしたら、期待以上の結果を生むかもしれないという思いもあっただろうということも想像できる。
そして、結果はその「期待以上」のものだった。
番組を見ながら、制作陣の満足そうな表情が思い浮かんだ。

1時間10分あまりの番組は、3人のプロフェッショナルを岡村が訪ねて、話をきくというなかに、今は訪ねることができない人物として、かつて、その放送に岡村自身もその人の主演映画に出演する場面で出ていた高倉健の回の、そのふたりが並んで歩きながら、健さんが「絶対辞めてはいけない。続けることが大事なんだ」と岡村に言うシーンが使われていた。

その70分間のすべてが素晴らしかったから、ここでひとつひとつ、その素晴らしさを書きしるしてもいいのだが、たぶんそれは相当長いものになることが想像できる。
それは、書く方もそれなりのエネルギーを必要とするが、読む立場からしても、あまりに長いものは勘弁よ、というところだろうと思うので、ここでは、3人のうちのひとり、左官職人の挟土(はさど)秀平氏の部分に限定して、紹介しようと思う。

ちなみに、あとふたりは世界で初めて無農薬のリンゴの栽培に成功した木村秋則さんと歌舞伎俳優の坂東玉三郎で、おふたりの話も実に含蓄のある素晴しいものであったことは言うまでもない。

さて、岐阜県飛騨高山の挟土氏のところに向かう車中、岡村が話している。
「もともと明るい人間でないので、陰と陽でいうと陰なんですね、完全に」
自分のことを言っているのだ。
「そんで、なんとなくなんですけど、挟土さんも陰と陽でいうと、陰のような気が
するんですよ。
でも挟土さんのすごいとこって、自分の気持ちであったりとか感情とか、
ネガティブなこととかも全部自分でコントロールできはるんですよ。
だから、そういうのもちょっと聞いてみたいなと思って」
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TBSテレビ「日曜劇場」の新ドラマ「下町ロケット」を見た。
先日、再放送が終了した「あまちゃん」は別として、
久しぶりに見た連続ドラマだったが、2時間のうち、後半は、「ながら視聴」にした。
集中して見ることもない、何かしながら見てもストーリーが分からなくなる
ということもないし、もともとそういう前提、視聴者が分かりにくいような
ストーリー展開は避ける、という作りになっているのかなという気もした。

なぜ、こんなに単純化するのだろう、
というのが、最初の感想だ。
「大企業と銀行は悪」「町工場の人は、みんないい人」
悪の大企業が、あの手この手を使って、小さな工場をつぶしにかかる。
耐えに耐えて、大企業に対し逆襲に出る。
これは「忠臣蔵」ではないか!
もしくは東映任侠映画の世界。

阿部寛演じる町工場の社長が、全社員を集めて、大企業を相手に
逆訴訟を起こすことを明らかにした際の長演説は、赤穂四十七士を前に
今まで決して口にしなかった「吉良邸討ち入り」を表明する大石内蔵助の
ようだった。

登場人物は、みな単純なキャラクター設定になっている。
人間て、もっと複雑な思考回路を持ち、ときには理屈では説明できない行動を
とったり、いい人の部分もあれば、ダメダメの部分もある、という
ひとことでは表現できない生きもの、そういうものではないかと思うが、
このドラマに出てくる人たちは、ほとんどが「ひとこと」で言える人物像だ。

阿藤快演じる弁護士は、昔ながらのやり方しかできない弁護士、
土屋太鳳演じる主人公の娘は、父親大嫌いの不満たらたら高校生、
吉川晃司の財前部長は、世の中、大企業のためにあると考える企業戦士、
といった具合に言いきれる。続きを読む

10月8日木曜日の午前4時過ぎ、NHK「ラジオ深夜便」は、
「明日へのことば」コーナーで、「あなたはあなたのままでいい」と題し、
発達障害のピアニスト、野田あすかさんのインタビューを放送した。

あすかさんは34才ということだが、声を聞いた感じは、
高校生と思ってもおかしくない、若々しい声で、
これは病気によるものと思われるが、やや、幼い感じの、
言いかえれば、子どもっぽい話し方だった。

インタビュアーは「ラジオ深夜便」のディレクター。
やさしそうな中年男性だったが、
その、「小さいとき、困ったなとかつらかったなあと思ったこと
何か思い出しますか」という質問に、野田あすかさんは、
「学校のチャイムが、始まりと終わりが一緒だったので、
今から授業か休み時間かわかりませんでした」と答えた。

小さい頃からのあこがれだった、宮崎大学へ進学し、音楽の勉強に
励もうとしたが、ストレスから過呼吸を繰り返し、パニックに襲われて
階段から飛び降りることもあった。

20才のとき、地元の私立短期大学に、音楽を勉強する長期履修生として入学する。
そこで、田中幸子先生と出会う。
その田中先生について、あすかさんは言う。
「私のいろんな障害を聞いて、みんなはどうしようと思っているときに、
 田中先生は、病気じゃなくて、私のピアノだけを見てくれてると思ったときに
 だーい好きって思いました」 
「先生はどういう言葉をかけてくれたの」
「あなたはいろいろあるかもしれんけど、あなたのピアノが
 私は大好きだから、あなたはあなたのままでいいんだよって
 言ってくれました」

ウィーンに短期留学をしているとき倒れ、ウィーン国立病院で、
発達障害と診断される。22才ののときだった。
「発達障害」と診断されたとき、どう思ったか、と言う質問には、
「よかったあって思った」
「どうして、よかったって思ったの」
「今まで、いろんなことをみんなと同じようにできるように努力してきたけれど、
 同じようにできなくて、私はみんなより頑張ってないんだって思って、
 もっともっと頑張って、それでもできないことがあったから、
 できないことがある障害だって言われたときに、
 私の努力不足じゃなくてよかったって思った」
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YouTubeに自分で録画したテレビ番組をアップロードすることは違法であることは、
十分承知している。
しかし、今、世の中にどれだけ「YouTube」が浸透しているか、
パソコンを使っている人なら、よくわかるだろう。 
先日も、あるロックミュージシャンが、小学生の娘がヒマがあれ
YouTubeで自分の好きな音楽を探している、テレビを見るよりそっちのほうが、
よほど楽しいらしい、とラジオで言っていた。

実際、音楽という分野に限っても、無数の映像があるわけで、
おととしだかその前の年だったか、
美輪明宏さんが「紅白」で歌って、大きな反響を呼んだ「ヨイトマケの唄」を、
Charのギター伴奏で泉谷しげるが歌う映像など、今、テレビの歌番組で
見ることはないと思うが、その歌は、美輪さんの「ヨイトマケの唄」とはまた違った、
泉谷の本領発揮、と言っていいものだが、そういう素材がYouTubeでは見られるのだ。

著作権というものを尊重しなければならないことを理解はしているが、
数年前の番組を見て、ついその面白さに引き込まれてしまうということがある。

余談になってしまうが、今年の3月末にテレビ朝日の「報道ステーション」で、
古賀茂明氏が、「政府の圧力によって自分は番組を降板させられる」と
生放送中に発言し、話題になったとき、それは3月27日の金曜日の夜の
番組中でのことだったが、
週明け30日月曜日の菅官房長官の会見で、そのことについて記者から質問があり、
官房長官は、「番組は見ていないが、あとでYouTube等で確認したが、
まったく事実ではない」という趣旨のことを答えた。

首相官邸のホームページで見られる映像で確認したから間違いない。
確かに「YouTube」と言っている。
官房長官も見ているんだから大目に見てもいいのでは、
ということを言いたいのではない。 何だか話が妙な方向にいき始めた。
本題に入ろう。

2008年12月にNHKBSで放送された「私のうたの道~石川さゆり~」という番組を
YouTubeで見た。
華々しくデビューしたものの、なかなかヒット曲が出ず、
「津軽海峡冬景色」は、15枚目のシングルレコードで、そこまで4年という
時間がかかった、という話のあと、そこからは次々とヒットを飛ばし、
人気歌手の仲間入り、結婚もし、子どもも生まれ、幸せな日々を送っていた。

そんな、歌手石川さゆりの姿を見て、「演歌を歌う歌手に、こんなに幸せな
イメージが定着してしまっていいのだろうか」と考える人がいた。
「津軽海峡冬景色」のヒットから10年が経っていた。続きを読む

40年以上続いている番組、「新婚さん いらっしゃい!」は、昔に比べて、
下ネタ、というより、夫婦が結婚前の交際中、ラブホテルに行ったことの顛末や、
結婚してからの夫、あるいは妻の変わりようについて語るということが
多くなった。

視聴者の中には、家族で見ているケースも少なくないとimage思うが、
そういうときに、テレビで素人が、日曜の真っ昼間から、ベッドでどうしたこうしたという話をしたら、その家族は、どうしているんだろうと、つい心配してしまう。

あえて何も反応せず、誰もが経験したことがある、その場の空気が微妙なものになり、誰も何も言わず「シーン」とするということ、
そういうときに限って、ふだんその番組は見ていないで、おもちゃで遊んでいる5才ぐらいの子どもが「ねえ、早すぎるって、何が早いのぉ?」などと口走って、微妙な空気感に上塗りをすることがある、ですよね?

そんな、時代とともに変化してきた「新婚さん」ではあるが、そこは長い年月の
あいだに培われた「夫婦のあるべき姿」を見せる、という伝統芸は、もちろん得意であるから、
ホッコリする話や、文枝さんが目立たぬように目頭をぬぐう、という場面にも出会うことができる。

9月20日の放送では、そういう夫婦が出演した。
青森県八戸市から来た織笠夫妻。ニンニク作りをしていて、いでたちも農作業の格好で
登場したが、ご主人はふだんは銀行に勤めているという。
ここで、文枝さんが、イスから転げ落ちる。
「銀行員らしく出てこいよ」
土日のみの農作業ということだった。20150921_192802

ふたりが出会ったきっかけは、岩手県の山田町に住んでいた奥さんが矯正の手術のために、盛岡にある医大の附属病院に入院しているとき。
矯正の手術というのは、生まれながらの出っ歯で、上あごが前に出ているのを矯正するというものだった。

そのとき、ご主人も、こちらは下のあごが出ているのを矯正する手術のために入院していた。
ともに首から上をがっちり固められ、口はゴムで固定されていたため、ちゃんと喋ることもできない状態だったが、入院生活に退屈しきっていた奥さんは話しかけた。

文枝「何と言って話しかけた」
奥さん「スースースースースー?」
文枝「それ何と言ってるの」
奥さん「就活生ですか、という、何か銀行関係の本を読んでいたので、
    就職活動をしているのかなと思って」
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