ちょっと待って、ラ・テ

オジサンのこころに響いた番組の、あの場面、あの言葉、あの人の表情。 毎日、放送される多くのラジオ、テレビ番組の中から、選りすぐって取りあげ、 聞いていない人、見ていない人が自分のなかで再生して、その番組の感動や楽しさを味わうことができる、そんなことの役にたてればと思います。 ついつい流される日々のなかで、ちょっと立ち止まって、日常を一歩離れて、考えてみるためのラジオ、テレビ。だから「ちょっと待って、ラ・テ」。

2016年01月


これは、「吉幾三×ももクロ」画期的なコラボを生んだラジオ番組、の続きです。
 そちらを先に読むことをお勧めします。


番組は、そのあと、吉幾三の歌手デビューは実はアイドルだった!という話題のあと、
「吉幾三の演歌人生交友録」ということで、千昌夫との出会いの物語が語られる。
その内容は、

「俺はぜったい!プレスリー」が売れはじめ巷に流れているころ、
吉幾三は「覆面歌手」だった。
テレビ、ラジオに一切出ていなかった。 本人いわく、
東京の下町のコーヒーショップで、コーヒーをいれていた。
そういうところへ、千昌夫が、吉幾三という男にどうしても会いたいと
言っているという話がくる。
千昌夫からは、それまで事務所に何度か電話がかかってきていた。
吉は出かけて行き、千昌夫と初めて会う。

当時、千は歌手活動は休止した状態で、実業家としてのほうが話題になっていた。
一方、吉は、このまま歌手として活動していくか否か、中途半端なところにいた。
ふたりは当然、一杯やりながら、いろいろな話をした。

その日をきっかけに会うようになったあるとき、千が吉に言った。
「きみの『津軽平野』という歌をおれに歌わせろ。
 きみは『俺ら東京さ行ぐだ』を出せ、ぜったい売れるから」

その結果がどうだったか、説明の必要もないだろう。
ももクロのひとりが「それまで、お友達だったんですか」と聞いたのに対し、
吉は、「おともだちっていうより、向こうはただの金持ち、ぼくは、
行き場のない歌手だった」

その行き場のない歌手を、引っぱり上げてくれたのが千昌夫だった。


 番組は、いよいよ大詰めに近づいて行く。続きを読む

元日の夜7時20分、NHKラジオ第一で放送された
「吉幾三とももクロの新春歌バトル!~演歌にあらずんばウタニアラズ!~」は、
この番組を企画した関係者も予想しなかっただろう、思わぬ副産物を生みだした。

20才前後の年令のももクロのメンバーが、自分たちにとって未知の世界、
「演歌」について、様々な角度から学んで行こう、というのが、番組の趣旨で、
そのための講師、先生を、「演歌の大御所」(と番組では言っていた)
吉幾三にお願いする、ということだから、タイトルの「歌バトル」は完全に
その番組の内容から外れている。

あいだに定時のニュースなどが入りながらの約1時間30分、
初対面だという吉幾三とももクロメンバーが、最初は手探り状態で、
やがて少しずつ、お互いの理解が深まり、結果として「大御所」吉幾三からの
意外な、そして素敵なプレゼントがももクロに送られるという、
昼間の松方弘樹に続いて、またしてもNHKラジオに、いいものを聞かせて
もらった。

番組は、お互いの紹介もかねて、それぞれの歌を1曲聞いた。
吉幾三は「津軽平野」。
曲のあと、出稼ぎについて吉がわかりやすく説明し、ももクロ側が、演歌には
「酒」がよく出てくると言ったことから、酒を飲むということ、年令よって飲み方も
変わっていく、という話を吉が始めた。
「あなたたちだって、ある程度トシいってお酒飲んで、お姉ちゃんどうしてるかな、
 弟どうしてるかな、帰りたいな、帰れるような仕事だったらいいけど、
 ぼくら帰れないじゃない」
そこで、ももクロのひとりが、
「でも私たち、今まだ全員、実家ぐらしなんで」
「実家?」と聞き返した吉幾三が、それまでのやさしい話し方から一転、激怒した。
「一人前になれ! 何やってんだ、あんたら」

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大みそかの夜は、「紅白」からテレビ東京「ジルべスターコンサート」の
ボレロで0時を迎え、宮本亜門の「感動で胸いっぱい」という気持ちがあふれそうな
表情を見て、NHKに戻り、「年の初めはさだまさし」で
さだまさしの、変わらぬ静かな闘志を感じ、最後の曲「風に立つライオン」で、
ひとり勝手に30年前に戻った。

明けて2016年、目が覚めると陽はすでに高く、なんなら初日の出を
ベランダから眺めて、デジカメにおさめようかなどと思っていた
前夜の私を笑うかのように、カーテンに届いている外の光は、
朝というには無理がある時間であることを伝えていた。

そういうときは、ラジオをつけて、ぼんやりとしたアタマに少しずつ刺激を
与えていく方がいい。
テレビは、まず視覚にくるから、けさのような状態のときは、
まずスイッチを入れない。
TBSラジオは恒例の「ニューイヤー駅伝」。恒例でないのが、ワイドFM開局によって、
ことし初めてステレオ放送で聞けることだ。
沿道の観客や応援の音が、ステレオならではの拡がりを持って聞こえた。

昼のニュースをNHKFMで聞いてそのままでいると、民謡番組が始まった。
この3月に開業する北海道新幹線にちなみ、東京発の北海道新幹線に乗って、
北へ向かいながら、各地の民謡を聞かせてゆく、という趣向で、
車掌は、歌手の福田こうへい。

福田こうへいの、とぼけた味の車掌が、たまたま車両に乗ってきた民謡歌手と
方言丸出しの会話をするというかたちで、車両には他の乗客がいるわけだが、
その笑い声が入るのは、番組がスタジオで公開録音で行われたからだ。
歌手の歌はもちろん、その場での生歌。

民謡の定番といっていい、嫁ぐ娘に贈る歌。
「宮城長持唄」が、太陽光が窓のカーテンに燦燦と降りそそぐ、元日の昼どきの空間に流れる。
  蝶よ花よと育てた娘
  きょうは晴れてのお嫁入りだェー

  故郷恋しと思うな娘
  故郷当座の仮の宿だェー

1時になろうとするところで、何気なくAMのNHKにチューニングを変えると、
なんと「チャンバラジオ」が前半終わったところだった。

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