ちょっと待って、ラ・テ

オジサンのこころに響いた番組の、あの場面、あの言葉、あの人の表情。 毎日、放送される多くのラジオ、テレビ番組の中から、選りすぐって取りあげ、 聞いていない人、見ていない人が自分のなかで再生して、その番組の感動や楽しさを味わうことができる、そんなことの役にたてればと思います。 ついつい流される日々のなかで、ちょっと立ち止まって、日常を一歩離れて、考えてみるためのラジオ、テレビ。だから「ちょっと待って、ラ・テ」。

2016年03月

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世界女子カーリング選手権で見事、銀メダルを獲得した日本。そのチームのメンバーのひとり、吉田知那美選手の試合中の笑顔がとても印象的で、決勝戦でも、王者スイスを相手に接戦を展開しているというのに、いいプレイが出たあと思わずこぼれる笑顔は、彼女の根っからの明るさを象徴しているのだろうと思った。

だから、試合が終わってしばらくしてから、選手一人ひとりに対してのインタビューが始まったとき、彼女はその笑顔で、銀メダルという、日本のカーリング史上初めての快挙の喜びを言ってくれるだろうと思った。

ところが、4番目に画面にあらわれた彼女は、予想とはまったく違った。
試合終了直後は、スイスにもう一歩のところまでいきながら惜敗した悔しさで、
チーム全員がはばかることなく泣いていたが、このときは、その感情も
おさまっていていい時間だったから、彼女の前に出た、本橋麻里、
吉田夕梨花、鈴木夕湖の三人は、目に涙のあとを残しながらも、
微笑みが浮かぶこともあるといった様子でインタビューに答えていた。

そのあとに吉田知那美が画面のフレームの中に出てくるとき、
先ほどの試合中に見せた、あの笑顔で、金メダルは逃したけれど、
精一杯やったから満足です、そんな気持ちを顔に出して登場するものと
勝手に想像していたら、実際の彼女は、目にはまだ、今にもこぼれそうな涙が残り、
笑顔どころか、真剣な面持ちであらわれたのだ。

これには少々驚いた。
大げさに言うと、不意をつかれた、といった感じに近いものがあった。
しかし、もっと驚いたのは、アナウンサーの質問に答える彼女の、その言葉だった。

以下、文字おこしで再現してみる。

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「週刊文春爆弾」は、芸能界、政界、プロ野球界と広い分野で炸裂し、その威力の
すごさは、これまで週刊誌によって暴かれた数々のスキャンダルとは
比べものにならない破壊力を見せている。

その週刊文春の標的になったのが、ショーンK氏。
学歴、経歴を詐称していたことを文春がスクープして、本人も認め、
すべてのラジオ、テレビ番組の出演を取りやめ、4月スタートの予定だった、
フジテレビの「ユアタイム ~あなたの時間~」の司会も辞退、ということになった。

「報道ステーション」のコメンテーターも週刊文春発売の日、
16日の夜の放送に出演せず、古舘氏から、今後の出演取りやめが発表されたらしい。
私は、ショーンK氏の番組はJ-WAVEしか知らず、いつだったか、
たまたま報道ステーションを見たら、ショーン氏が出ていたので、
あれ、いよいよテレビに出てきたんだ、と思ったのだが、
そのときのショーン氏の印象は、ラジオとは少し違っていた。

何か、かしこまっているというイメージがあり、そのときの話題がそうだったからか、
表情も暗く、深刻な話ぶりで、あとで思ったのは、雰囲気が姜尚中氏に似ている、
ということだった

J-WAVEでのショーン氏は、長いこと「MAKE IT 21」という番組のナビゲーターを
つとめてきた。この番組は15年以上つづいているが、時間は多少変わろうと、
土曜の夜であることはずっと変わらず、スポンサーが替わることはあっても、
ナビゲーターは常にショーン氏だった。

土曜の夜のラジオといえば、「MAKE IT 21」。
そこでのショーンKは、くったくのない明るいキャラクターで、チラッと見ただけだが、
テレビの真剣な表情とは違った、ベンチャー企業の若いトップがゲストのときなど、
そのビジネスの成功を心から願っているということが伝わってくる、誠実な応対で、
ユーモアも交え、いつ聞いてもイヤミのない、あきることのないトークを展開していた。

あす19日、土曜日の番組は、すでに休止が発表されているが、J-WAVEは番組の
ホームページで、当日の代替番組の冒頭で、「MAKE IT 21」について説明すると言っている。
どのような説明になるか待つしかないが、そのホームページのコメント欄には
番組ファンからの声が多数寄せられている。

以下、いくつか紹介する。
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けさ、3月12日の東京新聞の最終面に、仙台市在住の作家、伊集院静氏が
「忘れてはならない日々」という文章を寄稿している。
それが、あまりにも素晴らしいので、全文を転載させていただく。

ひとりでも多くの人に読んでもらいたいから。


忘れてはならない日々

今でも、時折、思い出す光景がある。あの日、3月11日の夜、私たち家族は
夕暮れから夜にかけて続いた大きな余震に、このままでは家が崩壊すると、
何度も皆が庭に出た。激しい揺れと、不気味な地鳴りに似た音を聞きながら、
余震が去るのを待った。やがて余震がおさまった。奇妙な音に空を見上げた。
満天の星の中をいくつもの流星が横切った。落ちるように見えるものもあれば、
上昇するように見える星もあった。
―天に行くのか…。
 思わずそう感じたのは、手動式のラジオで我が家から、それほど遠くないところの
海岸におそるべき数の人影が横たわっていると聞いて驚愕していたからである。
「こんなに美しい夜空なのに、どうして?」
家人の声に、私は怒りがこみあげてきた。
―私たちが何をしたというのだ。この大地は誰のものなのか。


 先月、被災地を家族と見て回った。
 震災直後は、船が、家屋が、こんな奥までと驚いた。3年前は、瓦礫が、泥土が、
見上げる塔のようにあった。
 今は宮城県南三陸町では、いくつもの台形の土地の中に、最期まで避難放送を
していた若い娘さんがいた防災対策庁舎の鉄の骨組みだけが残り、
その隙間から早春の青空が見えた。その青色は美しく澄んだ春の色だった。続きを読む

これはほんとにドキュメンタリーなのだろうか。
自分は、テレビドラマを見ているのではないか、そんな気がした。
NHK BSプレミアムで、毎週木曜日の夜9時から放送されている
「覆面リサーチ ボス潜入」という番組だ。
毎回、ひとつの会社の社長が変装して、社員たちの働く現場で共に仕事をし、 
現場でなければ出てこない意見、提案、そしてもちろん不満などを直接聞き、
言うまでもなく、その現場スタッフは、相手が社長だと知らないわけで、
そのような「社長のお忍び現場研修視察」が数ヵ所行われたあと、
その現場に関わった社員が集められて、最後に社長からネタばらしがあり、
スタッフたちが、いまひとつ何が起こっているのか理解できないでいるなか、
社長から、一人ひとりに対して、現場で彼らが話したことについて、
社長としての考えが話される。

ここで、ほとんどの視聴者は泣く、らしい。
私は、今回初めてこの番組を見たが、正直に言うと、ポロリと涙がこぼれた。
しかし、しばらくして、何となく胸にしこりのようなものを感じ、
時間とともに、それは大きくなっていった。
そのしこりとは、
「これ、うまくいきすぎではないのか」「全部が、完全にドキュメントなのか」
というものだ。

2月11日木曜日の放送は、全国的に展開しているシネマコンプレックス(シネコン)の社長が、身分を隠して各地の自社の映画館で働き、現場でなければわからない会社の様々な問題を知ることになる。
各地の現場で、彼は、広告代理店の人で、シネコンの現場を勉強するため、
研修にきた、というふうに紹介される。

そして番組の最後に、それぞれの職場で、よりよい映画館にしてゆくための
自分なりの考えを率直に語ってくれた現場スタッフに
もちろん、彼らは、そのときは自分が話している相手が社長だなどとは、
まったく知らないのだが、
社長自身の口から、自分の意見、こんなことができたらいいな、という、
ついこのあいだ言ったことに対して、会社として、どう対応していくか、
ということが語られる。

そしてこの回のラスト、社長は、きょう集まった全員に、3泊4日の香港支社への
研修旅行をプレゼントすると発表がある。思わず、歓声を上げるスタッフ。
あすの仕事への期待と希望を感じさせる音楽が盛り上がって、番組は終わった。
メデタシ、メデタシ。

時間が経って、冷静に振り返ってみる。
まず、全国の、自社が運営する多くのシネコンのなかから、
社長が訪れるいくつかが選ばれたわけだが、
それはどのようにして選ばれたのか。続きを読む

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