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世界女子カーリング選手権で見事、銀メダルを獲得した日本。そのチームのメンバーのひとり、吉田知那美選手の試合中の笑顔がとても印象的で、決勝戦でも、王者スイスを相手に接戦を展開しているというのに、いいプレイが出たあと思わずこぼれる笑顔は、彼女の根っからの明るさを象徴しているのだろうと思った。

だから、試合が終わってしばらくしてから、選手一人ひとりに対してのインタビューが始まったとき、彼女はその笑顔で、銀メダルという、日本のカーリング史上初めての快挙の喜びを言ってくれるだろうと思った。

ところが、4番目に画面にあらわれた彼女は、予想とはまったく違った。
試合終了直後は、スイスにもう一歩のところまでいきながら惜敗した悔しさで、
チーム全員がはばかることなく泣いていたが、このときは、その感情も
おさまっていていい時間だったから、彼女の前に出た、本橋麻里、
吉田夕梨花、鈴木夕湖の三人は、目に涙のあとを残しながらも、
微笑みが浮かぶこともあるといった様子でインタビューに答えていた。

そのあとに吉田知那美が画面のフレームの中に出てくるとき、
先ほどの試合中に見せた、あの笑顔で、金メダルは逃したけれど、
精一杯やったから満足です、そんな気持ちを顔に出して登場するものと
勝手に想像していたら、実際の彼女は、目にはまだ、今にもこぼれそうな涙が残り、
笑顔どころか、真剣な面持ちであらわれたのだ。

これには少々驚いた。
大げさに言うと、不意をつかれた、といった感じに近いものがあった。
しかし、もっと驚いたのは、アナウンサーの質問に答える彼女の、その言葉だった。

以下、文字おこしで再現してみる。

      おめでとうございます。
「ありがとうございます」
   銀メダル、いかがですか。
「う~ん、そうですね。 表彰台に上がるチームのなかで、最後の試合に負けて、
 あの、終わっているのは、銀メダルのチームだけなので、まあ悔しさをバネに
 やってきた私たちにとって」
 (このへんから、声が震える)
「まあ、この悔しさだったり、新しく見えた弱さだったり強さだったりは、まあ、
 メダル以上の、あの、価値があると思っているので、この負けを大切に大切に
 またあしたから、一日一日、ひたむきに練習がんばります」

   この大きな舞台で14試合やりました。11個勝ちました。
   つかんだ強さというものがたくさんあると思うんですが。
「そうですね、私たちが、一年間かけていろんなことを乗り越えながらやってきた、
 いつも通りのスタンスで、それがひとつの結果となったことは、とても誇りに
 思いますし、その、チームメイトの強さだったり、頼もしさだったり、
 いろんなことに助けられて、一個一個勝ってきたなあと思います」

   オリンピックも経験している吉田さんですから、この大きな舞台でメダルを
   とるということは大きな意味があると感じていると思いますが、
   そういう点では、どうですか。
「私たちのチームにとっても、また日本のカーリングにとっても、
 あの、とても意味のある、結果だったとは思うんですけれど、これからこの結果を
 活かすも殺すも、国旗を背負って戦う私たちだったり、ほかのカーリング選手の
 がんばり次第だと思うので、これからがほんとに大変だなと、思っています」

   日本で見ているみなさんは、みんな拍手を送っていると思いますよ。
 (少し笑みが浮かぶ)
「優勝したらもっと大きい拍手だったのかなあと、思うんですけれども、
 日本で応援してくれているみなさんの声は、ほんとに私たちの力になっていて、
 ありがとうじゃほんとに足りないくらい、力になっています」(また涙目に)

   ずっと知那美さんは、「伸びしろが伸びしろのままになってしまった」と
   大会のあとに言うことが多かったんですが、今回はどうでしょう。
「えーと、まだ伸びしろを残しながら、新たな強さや、初めて見る弱さだったり、
 いろんな発見ができたので、そういった意味で、日本のカーリングとしても
 私たちのチームとしても、大きな収穫があった大会なんじゃないかなと思います」

   次は追いかけられる立場ですよ。
「ああ、まったくそういうのではないですね。 私たちが完璧ならば、
 追いかけられる立場です、と言えるのかもしれませんが、優勝もしていないですし、
 まだまだ弱さだったり、伸びしろがたくさんあるので、
 これからもいいチームのいいところをたくさん盗んで、
 一生懸命強くなっていきたいと思います」

吉田知那美

吉田知那美は、「ロコソラーレ北見」の公式ホームページのプロフィールによると、1991年7月生まれだから、24才である。
インタビューの受け答え、それも世界選手権で決勝を戦ったあとという状況を思うと、とても24才とは思えないくらい、言葉のひとつひとつがベテランのような説得力を持って、聞く者の心に飛び込んでくる。

あの、緊迫した試合中に見せていた笑顔と、敗れたあとのインタビューの
表情と、両方ともに、アスリート吉田知那美を象徴しているのだろう。

「この負けを大切に大切に、またあしたから、一日一日練習がんばります」
こんなセリフ、ふつう言えませんよ。 
書きながらこっちの目頭が熱くなってきた。


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