認知症患者との事故
 
先日あった事故のお話です。

弊社お客様からの通報です。

当て逃げされました、どうしたら良いでしょう?とのことです。

事故の状況をお聞きすると・・

電車の踏切で遮断機が下りていたので、停車して待っていた。
遮断機が上がったので、発進したところ、衝撃を受けてびっくりした。
まさか電車と接触したのでは?と思ったが、左から車が突っ込んできて当たったというものでした。

相手は、窓を開けて何か叫びながら逃げていったとのこと。
ナンバーは覚えているということで、警察に被害届を出してもらうことになりました。

被害車両の引き取りもあるので、弊社からも警察へ出向き、そこで落ち合うことになりました。

調書が済み、いざ車を持って帰ろうとしたときに、事故相手が奥様同伴で出頭してきました。

事故後約1時間です。

幸い自動車保険も入っているということでしたので、ひとまず安心して帰りました。

ところが交渉に入ると相手保険会社が一筋縄ではいきません。

まず事故状況が一致しません。

踏切で対向の時に接触したと主張します。
傷は、お客様の車の左側面、対向では付きようがありません。

警察で損傷個所のすり合わせは済んでます。
相手の左後方からの突入です。 

当て逃げに関しても、当て逃げではなく、相手の会社で待っていたといいます。
叫んでたのは、事務所事務所と言っていとの主張です。

しかし猛スピードで走っていったので、お客様は付いていくことが出来なかったわけです。当て逃げの何物でもないと思われます。

後日、事故相手がお客様のところへ付き添われて謝罪に来ました。
認知症で、同様の事故を何回か起こしてようです。
事故の状況がかみ合わないのは納得です。

免許証を返納しましたので、これで納めてください申し訳ありませんでしたとのことです。

このことで相手保険会社も全面的に過失を認めてくれるものと考えましたが、そうではありませんでした。

認知症の方の事故は、飲酒等の事故と同じ取り扱いで、対外的なものつまり対人対物は普通に支払われます。

でも相手保険会社は、こちらにも過失があると譲りません。

再度事故現場を確認しますと・・

お客様は、センターラインがある2車線道路。相手は踏切手前の左からの道。道の境目には破線があり、お客様が完全な優先道路です。

ましてや、遮断機が上がってからの発進ですから、踏切内での事故です。
相手が認知症でなく当て逃げでもなくても100:0だと思われます。

それを、T字路での事故なので7:3だと言います。

散々交渉して、修理代金は全額支払うが代車費用は出せないというところまで譲ってきました。

しかし全面的な過失はついに認めませんでした。

後は、弁護士を入れて裁判に持っていくしか手はありません。

費用的なもの、時間的なものを考え諦めざるを得ませんでした。
お客様の要望も裁判まではとのことでしたので。
代車代は弊社が負担しました。工場代車にしておいて良かったです。

何か後味の悪い事故でした。

ちなみにその保険会社は、国内大手損保の系列中小損保です。
具体的な名前を挙げられないことは残念です。