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女の子

そ、そんなに大きいのを、中でかき混ぜないで!!


『水晶の龍』、『とびだせ!大作戦』で一躍ファミコン少年少女たちにその名を知らしめたDOG(ドッグ)。その正体は、スクウェアを中心とするPCゲームメーカー7社の連合体だった。キャリーラボ、クリスタルソフト、システムサコム、シンキングラビット、ハミングバードソフト、マイクロキャピン。PCゲーム市場では“老舗”で通っている彼らが次にマーケットに送り出すのは何か!?期待が高まる中、発表されたのがこの問題作でした。

さあ今宵も、時代に埋もれしレトロゲームの歴史を紐解いていこう――。




エメット
私は、レトロゲームレイダースの一人、ブラウン博士だ。
ドク”と呼んでくれ。親しい友人からはいつもそう呼ばれている。

さて、今回発掘した作品は、1987年4月3日にDOGから発売されたディスクシステム用ソフト『アップルタウン物語』だ。注意すべき点は、「物語」は「ストーリー」と読むということ。発売当時は、そのイラストやタイトルから女の子向けゲームであるように思われた。しかし、それは大きく裏切られることになる。


アリス「画面の中の女の子を観察するだけ」というゲームなのっ!
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本作は、アップルタウンに住む5歳の女の子アニー(名前はプレーヤーごとに異なる)がお留守番をはじめるところからスタートする。十字キーでアニーを操作し、Aボタンがジャンプ、Bボタンでナイフを投げる…というゲームではない。プレーヤーは、アニーの一日のお留守番風景を画面の外からただ見守るというゲームなのだ。

プレーヤーがアニーと干渉する方法はごくわずか。「贈り物を届ける」、「電話をかける」、「占いをしてもらう」ぐらい。あとは、裏技でポルターガイスト現象を起こせるのだが、女の子を怖がらせるのが目的ではないので自粛したまえ。とにかく、女の子の様子をただ見るだけしかやることがないゲームなのだ。

01

ゲーム中の5分は、現実世界では約20秒。ゲーム中で1時間すぎるまで、こちらの世界では約4分が経過する。女の子は、唐突にピアノを弾いたり、ダンスを踊ったり、実に気ままにゲーム内のお留守番を楽しんでいる。問題はこちらである。

「自分はコントローラーを両手で持って何をしているのだろう?」。そんな自問自答に陥り、下手すると禅問答のスタート地点につきかねない。高橋名人から言われている「ゲームは1日1時間」の貴重な時間が、なんかすげーくだらないことのために消費させられている!」。そんな焦りから電源ボタンに手を伸ばし、二度と立ち上げることはない。そんなユーザーを数多く創出したゲームであった。

チラシ
※何が「おお!この面白さ!」だ(怒)


アリス実は、ものすごく画期的なゲームだったのよ
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そんな本作には、元ネタがある。米国・アクティビジョン社が開発した『リトル・コンピュータ・ピープル』(1985年)がそれだ。

リトルコンピュータピープル
※リトル・コンピュータ・ピープル

3階建ての家に住む中年のおっさんの生活を眺める…というこのゲームは発表された当時、「これまでのゲームの概念を変えた!」といわれるほど画期的だったのである。そして、それは間違いではなかった。コンピュータによるプログラムを何に使うのか。『リトル・コンピュータ・ピープル』は、観察対象であるコンピュータ・ピープル(画面の中のおっさん)の人工頭脳にスポットをあて、日々の生活の中から学習し、生活していく有様をゲームの中で確立させたのだ。リアクションが少ないため、それを感じにくいというのが非常に大きな欠点だったのだが。

占い

『アップルタウン物語』の制作はスクウェア。今も昔も新しいもの好きなところは変わりなく、PC業界で話題になっていた『リトル・コンピュータ・ピープル』をファミコンに持ってきた。だが移植の際に、中年のおっさんを可愛い女の子にした点は英断だった。だが、この作品をファミコンで出そうという判断は失策だった。

まだ、ゲームプレイヤーとしても幼いファミコンユーザーにこのゲームの良さを理解させるのは、あまりにも早すぎたのだ。そのため本作は、ネット上のゲームブログでもネタ扱いされることが非常に多い。しかし、それはちょっと間違っていると思うのだ。


アリスアップルタウン物語が生み出したものは、いっぱい!
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観察対象になるものに少しだけ干渉を行ない、その変化を楽しんでいく。

このコンセプトを踏襲し、発展させて大ヒットした作品は数多く存在する。例を挙げてみよう。『たまごっち』、『デジタルモンスター』、『シーマン』、『どこでもいっしょ』。干渉度合いが増えてやや少し系統が変わってくるが、『ワンダープロジェクト』シリーズ、『くまたんち』など。そして、ニンテンドーDSで一世を風靡した『トモダチコレクション』などはまさに本作の直系といえる作品だ。

タイトル

時代と技術と方向性がマッチしていなかっただけなのだ。分かりやすく言えば、「早すぎた作品だった」ということである。今こそ、いとうかなこさんのシュタインズゲート系の曲などを聴きながらプレイしてもいいだろう。えっ、なぜ、いとうかなこさんが出てくるかだって。

本作ほど、自分を“孤独な観測者”と思えるゲームはあるまいて(笑)。



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