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3人なら、きっと、乗り越えられる。

※本文一部追記(10/14更新)

『ドラゴンクエストII』がゲームプレイ直後に我々に与えてくれるもの――それは「絶望」だ。自分一人に対して、複数の敵が立ちはだかる。戦力的にこちらに圧倒的有利というわけでもないため、戦いは消耗戦。しかし、仲間が付いたことで、戦局は大きく変わる。戦術の幅が広がる。どんな事態に陥っても、どうにかなる道が拓けてくる。だから立ち向かえる。より強大な敵に対して。より広大な世界に向かって。

今夜も、歴史に埋もれし、レトロゲームの魅力に迫ってみよう。



ジョーンズ
こんにちわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、エニックスが1987年に発売したファミコン用RPG『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』です。以前もお話しましたが、ドラゴンクエストシリーズは当時PCで人気だったRPGの面白さを、子供向けゲーム機だったファミコンに広める使命を帯びた作品。前作『ドラゴンクエスト』が、「強くしていく楽しさ」、「踏み出していく勇気」を伝えるものだとすると、本作は「パーティプレイの楽しさ」と「広大な世界への冒険」を伝えるものと言って過言はありません。



slime ドラゴンクエストII ストーリー
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『ドラゴンクエストII』は、前作『ドラゴンクエスト』の続編であり、100年後のお話です。前作の主人公はラダトームの王女ローラ姫とともに新天地を目指し、ようやくたどり着いた大陸にひとつの国を作ります。初代国王の愛する妻の名をとったその国は、「ローレシア」と名づけられました。

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勇者とローラ姫には3人の子供が産まれ、長男はローレシアを継ぎ、次男は北に「サマルトリア」という王国を作り、長女は海を隔てた「ムーンブルク」という魔法王国に嫁ぐことに。かくして三国は、勇者ロトの血を引く同盟国として、固い絆で結ばれることとなったのです。

ところが、平和は長くつづきませんでした。

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ある日、ローレシアのお城に、傷ついた兵士を乗せた早馬が到着。手当をしようとする者たちを跳ね除け、兵士は王への謁見を願うのでした。急いで運ばれる兵士。ローレシア王と王子の前で、兵士は語り始めます。

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「ローレシアの王様、大神官ハーゴンの軍勢がわがムーンブルクのお城を! 大神官ハーゴンは禍々しい神を呼び出し、世界を破滅させるつもりです。なにとぞ、ご対策を… ぐふっ」。

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大神官ハーゴン─―。正体不明のその男は、世界から隔絶されたロンダルキアの台地に神殿を築き、悪霊の神々を信奉す邪教の教祖。その配下には、恐るべき魔物たちが名を連ね、その力はいまや国を滅ぼせるまでになっている。ムーンブルク落城は、ハーゴンの野望の一端にすぎないのだ。

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事態を重く見たローレシア王は、息子に語りかけます。「王子よ。お前も勇者ロトの血を引きし者。そのチカラを試されるときが来たのだ!」。かくして、伝説はふたたび新たな物語を紡ぎだすのです。






slime 城から一歩出て、いきなり喰らう“IIの洗礼”!
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「RPGの入門編」であった前作に対して、本作は「RPGの進化編」といえるもの。ゆえに、前作の経験から「武器や防具は買っただけでは意味がないぜ。きちんと装備しないとな。」といった基礎を踏まえて、一歩フィールドに出たプレーヤーたちを待ち受けていたのは、「IIの洗礼」というべきものでした。

それは…、

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まもののむれが あらわれた!



そう、本作からモンスターはグループであらわれるのです。

今日のRPGに慣れ親しんだボーイ&ガールには「?」かも知れません。しかし、時代は1987年。当時のファミコン少年少女たちにとってRPGらしいRPGは『ドラゴンクエスト』しかないという時代。みんな、RPGの戦闘とは、勇者とモンスターとの一対一のガチンコバトルが当たり前だった頃に、この仕打ちです。

例え、相手が「おばけなめくじ×1匹」と「スライム×2匹」だったとしても一対三を強要される恐怖は、場末のゲームセンターでストIIの対戦後に相手のヤンキーとその仲間たちに囲まれてはじまるリアルバウト並みの恐怖であることは間違いありません。1体倒すのに3ターン、その間にも3体から攻撃を受け続け、8~9ターンでようやく戦闘終了。薬草による治療は必至。おちおちローレシア城から離れることもできません。これが、スタート時点での『ドラゴンクエストII』だったのです。

「さすが昔のゲーム、バランスが最低だわ。」

そう思う方もいるでしょう。このバカチンが。これは計算された演出であり、考えられたゲームバランス設定なのです。これによってプレーヤーに与えるのは、「冒険の世界が命の危険に満ちたものであるという危機感」と、「ひとりぼっちであることの孤独感」。初期フィールドBGMである「はるかなる旅路」のもの悲しい旋律が、寂しさに拍車をかけます。きちんとチカラをつけて、準備を整えなければ、先に進むことは難しい。命を顧みずに進むことは、無謀であり、勇気ではないことを、私たちに諭しているのです。

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一番近い街なのに、Lv3くらいまで上げないとたどり着けないリリザの町。

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同じくロトの子孫サマルトリアの王子は、呪文も使える魔法戦士だとか!

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勇者の泉で行き違いになったサマルトリアの王子は一体どこに!?


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そしてようやく出会う仲間、サマルトリアの王子

仲間が一人増えること。そのことがもたらす恩恵は、実に大きいものでした。戦闘において、1ターンの攻撃数が増えるのはもちろんですが、ターン制において1ターンで相手に与える攻撃ダメージが多くなるということは、敵を倒すスピードが上がるということ。それはつまり、相手からの攻撃を受ける回数が減るということを意味します。さらに、仲間がいることによって、たとえ一人が回復しなければならないほど深刻なダメージを受けていたとしても、一人が薬草かホイミで回復役にまわれば、もう一人は攻撃に集中できます。さらに、サマルトリアの王子は呪文にも精通しており、灼熱呪文「ギラ」を覚えた日には1ターンで複数の敵を葬ることが可能にも。生還率が飛躍的に向上したことは言うまでもありません。

サマルトリアの王子が仲間に加わり、パーティを組むことで、本作は、まったく別のゲームに進化したのです。

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魔物の群れからのタコ殴りをただ堪え忍ぶゲームは、戦力を増やして魔物たちに逆襲するフェイズへ突入!戦闘は戦術性が増し、2倍以上のスピードで終結するように。あらゆる方法で敵を倒すことが可能になりました。辛酸をなめつづけてきた日々から一転しての逆襲!映画『インディジョーンズ』で例えると、レイダース・マーチがかかり、インディが敵をボコボコにする感じ。パーティ制のメリットを感じさせるために、上記のような初期設定があったわけです。

余談になりますが、本作の続編である『ドラゴンクエストIII』は開始当初から4人パーティが組めて、スタート時の難易度が大幅に下げられています。これは、ドラゴンクエストIIIのテーマが「さまざまな職業の仲間といろいろなパーティを組んで遊んでもらうことが目的」のため、どんなパーティでも先に進みやすいように配慮されたゲームバランスになっているとのことです。



slime いざ、冒険の旅へ! 世界はひろがっていく!
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物語は、ローレシアの王子とサマルトリアの王子の二人旅がしばらく続きます。パーティによって戦力が増強されたこと、ホイミによる回復人員が増えたことにより、街や城の近辺をうろうろする状況は終わり、やや遠くの目的地に向かって戻ってくるという遠征が可能になりました。

銀のカギが眠る「湖の洞窟」、海底トンネル「ローラの門」、廃墟「ムーンブルク城」、東方の沼地へのラーの鏡探索は、まさにパーティプレイが可能にした冒険です。マンドリル三匹の群れには苦戦させられますが、それ以外は問題なくすすめるでしょう。

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世界には、「銀のカギ」と「金のカギ」と呼ばれるカギが存在するらしい。

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サマルトリアの西にある湖の洞窟。何人も近寄らないここに銀のカギがあるという。

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「ローラの門」と名付けられた海峡トンネルを抜ければ、いよいよムーンブルク領内へ。

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遠征の果てにたどり着いた出会いの町ムーンペタ。すでにヘロヘロだ。

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廃墟になったムーンブルク城。王様の魂から王女が殺されていない事実が発覚!

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「ラーのカガミ」があれば、王女にかけられた魔物の呪いを解くことができるらしい。

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そしてついに、ハーゴンの軍勢に両親を殺された亡国ムーンブルクの姫にして稀代の天才魔法使い、ムーンブルクの王女の登場です。

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「風のマント」がある「風の塔」は、ムーンブルクの南東の山の中にひっそりと佇むという。

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ムーンブルクの王女は魔法使いという優秀だがHPは低い。大切に守りながら戦い抜け!


彼女の育成を目的にしたのが「風の塔」探索になるかと思いますが、ムーンペタに戻ってきた時、「マンドリル4匹」が楽勝になっているのが一つの通過点。いよいよロトの子孫たちは集まり、本当の冒険のはじまりとなります。

『ドラゴンクエストII』にはいくつかの大遠征フェイズが存在しますが、その第一弾が「ムーンペタ~西の大砂漠~ドラゴンの角~ルプガナ」です。とにかく行程が長い。長すぎる。砂漠では、毒などの特殊攻撃を使う敵、MPを奪うふしぎなおどりを使う敵が現れ、生半可な覚悟ではここから先には進めないことが分かります。その先に待っているのは、塔二本の制覇(この時点では片方でいいけど)。大陸横断を成し遂げた先に待っているのは、強敵グレムリンとのバトルです。

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ムーンブルク西の祠を過ぎると、広がっているのは広大な砂漠。魔物たちもより強力に。

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さっきからマンドリルの画像しか出ていない気もしますが、ほかのモンスターも当然います。

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ツインタワー「ドラゴンの角」を越えて、ようやくたどり着いたのは港町ルプガナ。船を手に入れろ。

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油断すると、遠征のボロボロの状態で戦うハメになる強敵グレムリン!全体攻撃の「炎」に気を付けろ!


そして船を手に入れた一行は、いよいよ大海原へ。ここからこそが、広大な世界を満喫する真の大冒険のはじまりです(同じようなことを何度も言っているな 笑)。

ルプガナの港町からすぐ近くにある陸地に降りると、なんとBGMが変わります。そう、その曲こそ「広野を行く」。前作のフィールド曲であり、私たちは今アレフガルドに戻ったことを理解します。前作から100年の月日が経っているため、海岸が浸食されマップは少し狭くなっているものの、やっぱりアレフガルドなので懐かしさはひとしおです。

余談になりますが、ラダトームの街の武器屋の2階にいる王様に、ムーンブルクの王女の装備をすべて外して話しかけると、女の子が何もつけないで歩いていることを心配して、「あぶないみずき」をくれます。これはMSX版だけの話なのですが、当時、MSXとファミコンの区別がつかない奴がデマを広めたせいで、大変なことになったのもいい思い出です。

かつての宿敵・竜王の孫から、ハーゴンを倒すためには「6つの紋章」を集める必要があると聞きます。そして、その紋章がどこにあるかは、ほぼノーヒント。広大な大海原に勇みでて、街の住人一人がしゃべったセリフだけをヒントに探さなければならないのです。

しかし、いきなり外洋に出て、ローレシアの城にある旅の扉で見た南国ザハンを探そうとすると、バピラスの群れに遭って瞬殺ということも。注意が必要です。



slime 大航海 ⇒ 大探索 ⇒ 大行軍 ⇒ 大絶望
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『ドラゴンクエストII』の本領は、まさに船を手に入れてからの「探求(クエスト)」にあると言えます。まさに、大航海時代の船乗りたちのように、新しい陸地を見つけては喜び、さっそく周囲を調べていく。川をさかのぼった先にある街、海の果てにある海底洞くつ、沈没船の財宝、聖なるほこら…。無意味な建築物はほぼなく、「怪しい」と思ったところには必ず何かある。「今は何も見つけられないが、いつか必ず、ここの謎を解いてやる!」。そんな「探求(クエスト)」がたまらなく面白いのです。

・・・などと言っていられるのは、ロンダルキアの大迷宮まで。多重構造、落とし穴、ループ、セーブなし、ゴールまでの長い道のり、かつてない凶悪な魔物という、シリーズ屈指のダンジョンは何人もの冒険者たちを絶望にたたき落としました。そして洞窟を抜けた先の雪原の美しさに目を奪われ、その洞窟の出口から最寄りの教会まで行く雪原で遭遇するのは、さらに強い最強レベルの魔物たち。そこで死ぬと、ロンダルキアのずっと手前、ベラヌールの街の教会まで戻されるという非情さ。忘れたくても忘れられません(笑)。

ちなみに私は、ロンダルキアの教会の時点でお金もないのに全滅。復活したものの、牢屋のカギを売ってしまっていたため、アバカム(解錠の呪文)が使えるムーンブルクの王女を甦らせないと、旅の扉でベラヌールの街に戻れない。しかし、外にいるシルバーデビルやサイクロプス、ブリザードは強敵すぎて、ローレシアの王子一人では倒すどころか、こちらもやられる可能性が高い。もう少し弱い敵がいる地上に戻ろうにも、そのためには3人パーティで必死に突破したロンダルキアの大迷宮を今度は下山しなければならない。ああ、キメラの翼が一個あればどうとでもなるのに。どうにもならない。

 どうあがいても、絶望。

仕方がない。ロンダルキアに登る前の復活の呪文でやり直そうとリセット。その復活の呪文が写し間違いしていたせいで、もっと前からじゃないと戻せない。「め」を「ぬ」に変えたり、「ろ」を「る」に変えたり。そんな思い出があります。絶望には底の底があり、その奈落にも落とし穴があることを、私は悪霊の神々から教わりました。



slime この道、わが旅。
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今回、この記事を書くにあたって、あらためてドラゴンクエストIIを遊んでみた感想です。

1987年の8ビットゲーム機のゲームですから、グラフィックも、BGMも、ぶっちゃけショボイ。「いや、それがいいんだ」という意見は、レトロゲーマーにしか通用しないですよね。まあ、ボクもそんな一人なのですが(笑)。

レトロゲームは、今のゲームに比べると不親切です。どこまでもセーブできるわけでもないし、歩くスピードが遅くてダッシュもできない。魔物が出てくるエンカウント率も高い。これは厳然たる事実です。でも、それを「超難易度の高い昔のゲーム」というひと言でくくってしまうのは、暴論だと思います。

世の中には、リッツカールトンのようなサービスが整った最高級のホテルがあるのに、なぜその一方で、快適でもないのになんでも自分たちで準備しなければならないキャンプがあるのでしょう。

そう、この二つは目的が違うのです。

レトロゲームについても同様のことが言えるのではないかと、私は思っています。手を焼く、苦労する、だからこその達成感を味わいたいからこそ存在するもの。ゲームの場合、レトロゲームはそのジャンルに位置するのです。グラフィックが粗いのも、音楽が3音なのも、ハード性能うんぬんではなく、定められた「ルール」。そのルールの中で最大限楽しむ方法を自分で見つけていくのが、この時代のRPGを、今、ふたたび楽しむためのコツだと感じます。

『ドラゴンクエストII』には、全ストーリーの中にわずかしか、全員が体験できるプログラムされたイベントはありません。極論を言えば、ゲーム時間のほとんどは、マップ移動とモンスターとの戦いしかない。しかも、バランスは渋め。たった一つのダンジョンを制覇するにも、二度三度、最寄りの町で態勢を整える必要だってある。

だからこそ、ドラマが生まれる。

それは、前作『ドラゴンクエスト』でもそうでしたが、本作は仲間が増えたことで、さらに「自分がより強くなった。一歩進んだ」ということを感じられるようになっています。

はがねのつるぎを そうびした!
ちからが 2ポイントアップした!
じゅもんを ひとつおぼえた!

このような、ゲーム中に表示されるたった一文を見るだけで、どうしてもこんなにもワクワクするのか。それは、このようなステータスアップが、確実にこれまでのプレイよりも、できることが増えると、プレイヤーは知っているからです。コンピュータRPGとは、配られた手札だけで勝負しなければならないカードゲームのようなもの。レベルアップや武器・防具の購入、アイテムの入手は、手持ちのカードを増やすことと同じ。これまでと同じ局面でも、できることはどんどん増えていくのです。

また、パーティプレイは、プレーヤーに「冒険者として生き残るための心得」のほかに、大切なものを教えてくれます。それは、「リーダーとしての自覚」。ドラゴンクエスト1までは、自分さえが生き残ればよかった。しかし本作では、仲間が貧弱貧弱ゥッであり、全員がローレシアンパワースタイルだと過信していると、すぐに棺桶を二つ引っ張ることになります。そして、仲間二人が戦線離脱することは、さきほどのカードゲームの例えだと出来ることも大幅に制限され、キメラのつばさ一つないだけでカンタンに絶望を味わうことにも。仲間を気づかい、時には仲間の盾になる視点と覚悟が、パーティリーダーには求められるのです。

「ゲーム=クリアするもの」と考えると、本作にはそんなに魅力がないかもしれません。今のゲームプレイスタイルは、どこか急ぎすぎているのかもしれません。のんびりと、与えられた謎に、攻略本や攻略サイトに頼ることなく、自分のチカラだけでチャレンジしてみる。プロセスを楽しんでみる。そんな姿勢で関わると、ちょうどいいゲームだと感じます。

ゲームは旅行と似ています。立てた計画通りいかに効率よく観光地をまわるか?という方法もあるし、何の事前情報を入れずぶらついてトラブルを楽しむという方法も。『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』を今楽しむのであれば、後者のような感じだと思う今日この頃です。



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