踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(2012年公開中、東宝)2012年に観た映画

2012年10月02日

夢売るふたり(2012年公開中、ギャガ)

夢売るふたり
民事裁判というのは、ざっくりいうと、人の怒りや不満をお金に換算する作業だ。本当は相手に謝罪してもらいたい、過ちを認めてもらいたいと思っても「結局、いくら欲しいんだ?」という話になる。いくらもらっても気が済まないこともあるだろうし、1円も受け取らなくても、気が済むことだってあるだろう。人の気持ちというのは、それほど難しいし、逆に、気の持ちようで何とでもなることもある。


軽くストーリー。九州から出てきて、小料理屋を営む夫婦(阿部サダヲ、松たか子)。開店から5年が経ち、ようやく落ち着いてきたころ、火事で店を失った。2人は、新たな店を出す資金集めに結婚詐欺をはたらく。目標額に近づくほど、お互いの気持ちのズレが広がり始め…

「ゆれる」「ディア・ドクター」でおなじみ、西川美和監督、原案、脚本。現代の邦画界で「天才」と呼んでいい数少ない人物だと思う。この人の映画を観ると、漫画を原作に脚本も外注している「映画監督」って、仕事が極端に少なくて楽なんじゃないかと思ってしまう。

今作はR-15。生々しくはないが性描写がある。「ありゃ! そこまでやりますか」と驚かせてくれるのが松たか子。そんなことしちゃったり、あんなとこをチラ見せしたりしちゃいますか。いやまあ、いつまでもかわいい娘じゃないからねえ。私は一人で映画館に行くことが多いけど、友人と一緒でも、彼女・彼氏や配偶者と一緒でも、そういう場面を見るのは気恥ずかしい。よかったよ、隣りに誰もいなくて。

民事裁判が人の気持ちをお金に換える作業なら、結婚詐欺は他人の気持ちに入り込んでお金に換えさせる作業。裁判官の役目は見た目にはドライ。詐欺師というのは、ウェットに相手の心に潜り込みつつ、ドライにこなしていかないと、真の詐欺師にはなれない。

たかがお金、されどお金。たかが気持ち、されど気持ち。他人から「ドライな人」「強い人」と思われている人でも、完璧にドライな人間などこの世にいないはず。性善説ってのは、別の言葉でいえば「心のウェットな部分を完全に抑え込める人間はいない」ということになるかもしれない。

★★★☆☆星3つ強。テーマがテーマなだけに、万人を納得させるエンディングは難しかろう。それを重々承知したうえで、西川監督はこのテーマを選んだ。正直言うと私自身も、監督が描きたかったことをすべて感じ取れたかどうか疑わしい。まあ、人の心というのはそういうものだ。だからこそ、面白い。機会があれば、また観たい。


goodkage3 at 21:30│Comments(0)TrackBack(0) 星3 

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