またアイツが起こしに来た。
こっちは昨日の遊びの疲れがまだ抜けていないというのに。元気なやっちゃ。
アイツとは俺ん家の隣に住んでいる従姉妹だ。まあ俺ん家と言っても実家な訳で、今はこうして盆や正月位にしか帰ってこなくなってしまったけど。
しかし、生憎と俺は昨日の筋肉痛で身体を動かすのが非常に辛い。布団から抜け出すのも大仕事だ。だから寝たふりをして無視を決め込むことにした。
少しすると、ゴドンッ、ゴドンッと何やら重たい物が落ちる音がした。どうやらアイツのサンダルが落ちた音らしい。
アイツの大きさに合わせて作っている木製のサンダル。いったい何十キロあるんだろうか。片方だけでも、大の大人ひとりじゃ運べない重さだろうなぁ。

そんな事を考えている内に今度は縁側からギシギシと軋む音。家に上がり込んできたらしい。
アイツの身長を考えれば、きっと四つん這いになって無理矢理入ってきているのだろう。…床、抜けないよな。
「ホントにねぼすけだなー…」
呆れたようなアイツがこぼす。声の大きさからしてもうすぐそこにいるようだ。何やら視線を感じる。
「ほほー狸寝入りが通用すると思ってますか。それなら…」
あっさりバレていた。
その後、何かとても大きなものが俺の上を超えていくような気配がした。物凄く嫌な予感がする。
「おりゃっ」
ドスン。
一瞬何が起きたのか分からなかった。一気に肺が潰されるような圧迫感。一瞬本気で呼吸が出来なくなった。
全身が大型の重機でプレスされているかのように身動きが取れない。
「…ぐっ、はっ」
かろうじて残っている意識で状況を把握しようと試みる。
おそらく俺の体の上には途轍もなく重たいものが置かれていて、その重さによって俺は動けないどころか呼吸もやっとの状態だ。
成人男性一人を身動き出来なくさせる程の重さ。そして、布団の上からほんのり伝わってくる人肌程度の温かさ。
まぁこんな分析しなくても既に原因はわかっているのだが…、以上の要因から従姉妹である絵美が俺の上に跨っていると考えられる。
アイツの体格から考えて、正直なところ実際の体重はこんな重さでは無いと思う。身長が6メートル近くあるのだから、その体重は…考えるのはよそう。
何にせよ流石にある程度は加減してくれているのだろう。それでも死ぬ程苦しいわけだが。タップして降参しようにも腕もまともに振れない。
というかスミマセン身体をゆさゆさ揺するのは止めていただけないでしょうか。死んでしまいます。

「ねぇー今日は川に釣り行くって約束してたじゃーん。起きて起きて!」
約束と言っているが一方的に取り付けてきたのはアイツだ。断ろうとした時には既に別れの挨拶をして勝手に帰っていったクセに。
仮に行くことになったとしても、一日中付き合わされてまた全身ボロボロになるのがオチだ。
別に釣り自体が嫌な訳じゃない。アイツのペースに付いていくのが通常サイズの人間にはとても出来ないレベルなのだ。
釣り場所へ行くのに片道30キロとか平気で歩かせるからな、アイツは…。俺との体格差を全くと言っていい程理解していない。
身体ばかりでかくなって、中身は子供のままだな。

「んもーっこうなったら起きるまでここ動かないからね!」
ニシシと彼女は笑った。こういうところもガキの頃から変わってないな。

俺の意識はそのまま遠のいていった。
再び昼に目が覚めた時には、既に全身が筋肉痛より痛んでいた。
何歳までアイツのペースに付き合えるのだろうか。
itoko_okoshi
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既に帰省シーズンは過ぎてしまいましたが、今更ながら更新です。
個人的に電灯のカサに頭引っ掛かっているところが気に入っています。

最近いきなり寒くなって見事に風邪を引きました。大体季節の変わり目には風邪をやらかすのです。
皆様も体調を崩さぬようお気をつけ下さい。それでは。