仏BNPパリバ、サブプライム問題で3ファンドを凍結
仏BNPパリバ、サブプライム問題で3ファンドを凍結
2007年 08月 9日 19:16

[パリ 9日 ロイター] フランスの大手銀行BNPパリバ(BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)は、計16億ユーロ(22億ドル)相当の3つのファンドについて、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)市場の混乱を理由に価格算出、募集、解約・返金の業務を一時停止した。

 ドイツ連邦銀行(中央銀行)が米サブプライム問題の打撃を受けて多額の損失を出したドイツ産業銀行(IKB)(IKBG.DE: 株価, 企業情報, レポート)の救済策について協議を開始し、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の金融市場を注視し、市場の円滑な機能を確実にするために必要であれば行動する用意があると表明する中で出たニュースは、すでに神経質になっていた欧州金融市場に衝撃を与えた。

 BNPパリバは声明で「米国の証券化市場の一部で流動性が完全に消失したため、質や信用格付けにかかわらず、一部資産の価格の算出が不可能になった」と説明。「投資家の利益を守り、公平な取り扱いを保証するため、このような異例の局面において、当社は一時的に純資産価値の算出や、募集および償還を停止することを決めた」としている。

 BNPパリバ・インベストメント・パートナーズによると、事実上凍結したのは、パーベスト・ダイナミックABS(Parvest Dynamic ABS)、BNPパリバABSユーリボー(NP Paribas ABS Euribor)、BNPパリバABSイオニア(BNP Paribas ABS Eonia)の3ファンド。

 この3ファンドの価値は7月27日時点で20億7500万ユーロだったが、8月7日時点で15億9300万ユーロ(21億9000万ドル)に減少したという。

 BNPパリバは、市場の流動性が回復し次第、価格算出を再開する方針。流動性が枯渇した状況が続いた場合には、想定される措置に関する追加情報を投資家に1カ月以内に通知するとしている。

 トレーダーからは、BNPパリバの発表が序盤の欧州株式市場の下落要因との指摘が出ている。パリ株式市場でBNPパリバは0935GMT(日本時間午後6時35分)現在、約3%下落している。

 ユーロ圏政府債先物は上昇。欧州クレジット市場では、序盤に縮小していたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムが再び拡大している。








サブプライム問題、世界的な信用収縮懸念に発展
2007年 08月 10日 15:21

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米GM、09年米自動車販売見通しを下方修正  [東京 10日 ロイター] サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題が、世界的な信用収縮懸念に発展し、欧州中銀の緊急資金供給に日米中銀も追随する対応をとった。証券化商品や社債スプレッドのリスク見直しの動きもあり、株価の不安定な動きが続く中、日銀では金融市場でのアク抜けはまだ先になるとみている。

 特に実体経済への波及を懸念する日銀としては、海外企業の資金調達に影響が出ないか注視している。企業活動に支障が出れば、堅調な世界経済に支えられた日本経済の成長持続シナリオに支障が出るためだ。日銀は今のところ、健全な調整にとどまるとの見通しをメーンシナリオに据え、8月利上げを念頭に置いているものの、海外市場での長短金利動向や株価、為替の動向、実体経済へのインパクトなどを注意深くチェックしていく方針だ。

 <世界的な信用収縮生じれば、景気下振れリスク>

 BNPパリバのファンド凍結などを受けて、9日の欧州インターバンク金利が急上昇し、欧州中銀が流動性懸念に対応するため、金融市場に948億ユーロ(約15兆4000億円)の規模に上る大規模な緊急資金供給を実施した。米国でもフェデラルファンド(FF)レートが上昇し誘導目標を上回ったため、米連邦準備理事会(FRB)も潤沢に資金を供給。日銀も10日朝に1兆円を即日供給し、「市場の状況に対応したもの」とのコメントを出した。株価も世界的に再び大幅に下落。日銀では「金融市場の値動きはまだ粗く、市場が落ち着くのは先になる」とみている。

 日銀が最も懸念しているのは、こうした金融市場でのリスク見直しによる社債やファンドの「リプライシング」の動きが実体経済に波及することだ。

 9日の米社債市場では、高格付けの社債スプレッドが拡大した。当初、住宅ローンや証券化市場でのリスク見直しの動きにとどまっていたリプライシングの動きが、企業部門にも飛び火し信用収縮につながりかねない状況となっている。日銀では流動性供給に支障が出る事態を懸念、海外企業の資金調達に支障をもたらすなど「二次災害が生じるかどうかが重要であり、注視したい」(幹部)としている。 

 <見極めは当分つかず> 

 日本経済の持続的成長のエンジンは世界経済の拡大に起因しているため、この構図が崩れれば、日銀の描く息の長い景気拡大のシナリオもままならなくなる。サブプライムローン問題の実体経済への影響について、日銀内では「8月決定会合までにある程度の見極めはつく」との楽観的な声もあれば、「見極めはそう簡単にはつかない」と慎重な見方もあり、この問題の震度を測りかねているようだ。

 というのも、サブプライム問題は今後、借り入れ期限の到来する多額のローンの行方を含め「時間の経過とともに悪い材料が出てくる可能性がある」(複数の幹部)ためだ。そうした影響が金融市場全般にどの程度波及するのか、それが実体経済にどの程度影響を及ぼすのか、最終的な見極めは「半年から1年くらいかかるかもしれない」との声も出ている。少なくとも目先の流動性懸念が落ち着くことを見極める必要がありそうだ。 

 <メーンシナリオは健全な調整>  

 先行きの展開に不安を抱えながらも、これまでのところ日銀内では、リスク見直しの動きが住宅ローンや証券化商品が中心で、企業部門への影響はそれほど大きくないことから「健全な調整の範囲内に収まるというのがメーンシナリオ」(複数の幹部)との認識だ。

 と言うのも、米国の実体経済そのものは、家計部門も企業部門も底堅さを保っており、世界経済全体も力強い成長が続いている。米国の金融機関もかつてに比べバランスシートは改善している。ヘッジファンドの一部に損失が表面化したところもあるが、小規模のファンドが多数存在している状況であり、リスクが分散されている状況だからだ。7日の月例関係閣僚会議で福井俊彦総裁が「今のところ米国経済全体への影響は限定的なようだ」と述べたのも、そうした認識があるためだ。 

 米連邦公開市場委員会(FOMC)が7日の声明でサブプライム問題を念頭に成長の下方リスクに言及したものの、引き続きインフレ懸念を主要なリスクとして、緩やかな景気拡大の可能性が高いとの判断を示したため、日銀も米景気の軟着陸シナリオを変えることはなさそうだ。 

 <ファンダメンタルズ変調の先触れか、慎重に見極めへ> 

 ただ、住宅ローンの延滞問題は今後さらに表面化してくる可能性が高いことから、多くの幹部が「問題の広がりに見当がつかない面がある」と述べている。日銀内では、8月利上げを念頭に置いている幹部が多いとみられるが、「市場の動揺が健全な調整の範囲なのか、それとも先行きのファンダメンタルズの動揺を先取りする動きなのか、見極める必要性がある」(幹部)との声が出ている。ECBの大規模な資金供給が「逆に市場の疑心暗鬼を巻き起こし、さらに大きな損失の話が隠されているのではないかとの思惑が出ている」(邦銀関係者)との声も市場には出ており、9日の欧米短期金融市場を起点にした信用収縮への懸念が長期化するリスクも残されている。

 その場合に「8月の決定会合では様子を見て、落ち着けば9月の決定会合で利上げという選択肢もありえる」(国内証券の関係者)との見方も出てきた。

 日銀は、グローバルな資金調達の動きを注意深く見守り、世界経済の減速につながることがないかどうか、慎重に見極める方針だ。

(ロイター日本語ニュース 中川 泉)


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