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散る、アウト。
Chill-Out
1984年、24分、8mm、カラー
初公開:雪上にトマソンを追え!(札幌・新駅裏8号倉庫)
 出演:犬飼久美子 神岡猟 映像通り魔メンバー
 音楽:勝井祐二(デフォルメ)
[解説]
 “映像通り魔”最後の作品。ミッキーマウスの仮面をかぶった男が路上で配るチラシを何気なく受け取ってしまったことから、主人公クミコは夢に似た不条理な世界に叩き込まれる。迷宮世界をさまよった果てに、クミコは奇妙にねじくれたミッキーマウスに再開する。ミッキーマウスはクミコに「ここは映画の中だ」と教える。映画の中にさまよいこんだものは、もう、死ぬことができない。物語の断片に翻弄され、決して辿り着くことのない「出口」を求め、永遠にさまよい続けるしかないのだ、と。クミコは物語の果てを目指して100万年も歩き続ける。おぼろな地平線の果てでは、あったことも、なかったことも、すべてが物悲しいあいまいさに包まれていた。そこでクミコははたと気づくのだ。ここは自分の体の内部なのだと。それでも歩みを止めることはできない。より遠くを目指して歩き続けるしかないのだ。
 タイトルは当時、撮影への出撃曲として使っていたレゲエ・バンド「ブラック・ウフルー」の同名のアルバムよりいただいた。英語のChill-outとは「凍てつく」という意味。そして正式には「ちる、てん、あうと、まる」と発音する。これは詩人の吉増剛造さんの朗読に感動するあまり、日常生活でも「てん」「まる」を発音していたためである。