1) 定義と読み方
Walks plus Hits per Inning Pitched の略(投球イニング数当たりの四球とヒットの和)。

これまでは防御率(投球回数9イニング当たりの自責点)が投手の力を示す指標として常用されてきた。しかし、「自責点」は、交代した投手が打たれて自分が残した走者が得点した場合も自分の責任とされるなど、運・不運のからむ要素が大きい。打たれたのは他人なのに、自分の責任にされてしまうという現象が起こるのは「勝ち負け」についても共通であり、WHIPは、その投手だけの責任を表す指標として考案された数字と考えていただいて良い。

米国でどれだけ普及しているかだが、たとえば、レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークで内野席上方の電光掲示板に示される投手の成績は、勝敗・防御率・WHIPの三つとなっている(内野席上方の電光掲示板はスペースが小さいので「必須」の情報のみが表示される)。

<おおざっぱな評価の目安>
先発投手
1.4を下回ったら一流
1.2を下回ったらオールスター級
1.0を下回ったらスーパースター(化け物)級

救援投手
1.2を下回ったら一流
1.0を下回ったらオールスター級
0.8を下回ったらスーパースター(化け物)級

2009年の平均値>
メジャー全体  1.390
ア・リーグ   1.403
ナ・リーグ   1.378

2009年のベスト3>
ア・リーグ先発投手
1.ザック・グラインキー(ロイヤルズ)  1.073
2.ロイ・ハラデー(ブルージェイズ)   1.126
3.フェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ) 1.135

ナ・リーグ先発投手
1. ダン・ハレン(ダイアモンドバックス) 1.003
2. クリス・カーペンター(カージナルス) 1.007
3. ハビエー・バスケス(ブレーブス)   1.026

ア・リーグ救援投手
1.ダン・ウィーラー(レイズ)      0.867
2.アンドルー・ベイリー(アスレチクス) 0.876
3.マリアノ・リベラ(ヤンキース)     0.905

ナ・リーグ救援投手
1.トレバー・ホフマン(ブルワース)   0.907
2.ヒューストン・ストリート(ロッキーズ)0.908
3.ジョナサン・ブロクストン(ドジャース) 0.961

 <歴代ベスト3>(註1)
シーズン・ベスト
1. ペドロ・マルティネス 0.7372000年)
2. ガイ・ヘッカー    0.7691882年)
3. ウォルター・ジョンソン 0.7801913年)

キャリア通算ベスト(註2)
1.アディー・ジョス    0.968
2.エド・ウォルシュ    1.000
3.マリアノ・リベラ    1.013

(註1)
投手の成績を示す指標の多くは、シーズンごとに大きく変動する(たとえば、ある打者の打率がシーズンによって倍も違うと言うことはめったにないが、投手の場合、防御率やWHIPがシーズンによって数倍異なることはごくありふれた現象である)ので、シーズンごとのベストとキャリア通算のベストは大きく異なる数字となる。

(註2)キャリア通算ベスト2の二人は、いわゆる「デッド・ボール時代(死球ではなく「飛ばないボール」の時代。普通1919年以前を指す。ちなみに死球は英語では「hit by pitch (HBP)」)」に投げた投手である。言い換えると、マリアノ・リベラは「飛ぶボールの時代」であるにもかかわらず「飛ばないボールの時代」の大投手と変わらない成績を残しているのだから凄い。

 2.日本人投手のWHIP三者三様

以下に、日本人投手3人のWHIPを、メジャー加入前・加入後で示した。
投手       日本時代 / メジャー加入後
投手1(先発)   1.265  / 1.187
投手2(救援)   1.315 / 1.125
投手3(先発)   1.144  / 1.399

 投手1:日本時代から好投手であったがメジャーにきて成績が向上、「一流」の仲間入りを果たしたのはドジャースの黒田博樹。

投手2:日本時代はあまり大した救援投手ではなかったのにメジャーに来て豹変、「一流」に昇格したのはレッドソックスの岡島秀樹。

投手3:日本時代は「大投手」だったのに、メジャーで「並み」の投手に成り下がってしまったのはレッドソックスの松坂大輔。松坂に悪意があってこういう数字を示しているのではなく、「奮起して欲しい」と願うからこそ書いているので誤解のなきよう(筆者は「狂」の字がつくほどのレッドソックス・ファンであり、松坂に活躍してもらわないと「困る」立場にいる)。

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