※都合により当記事には、『装甲騎兵ボトムズ』外伝小説『青の騎士ベルゼルガ物語』の重大なネタバレの続きが含まれます。
※『ウルトラマンオーブ』『ベルセルク』のネタバレも含まれます。


■■■いや、前回記事を書いた段階では、本当に『青の騎士』が復刻されるとは知らなかったのですよ。
(アマゾンは自社の価値観で日本国内の表現封殺をし過ぎなのでヨドバシリンク)
上巻
http://www.yodobashi.com/product/100000009002806768/
DABA9_tVYAA636G

下巻
http://www.yodobashi.com/product/100000009002806769/
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■■■む。
サンライズライツと草薙

サンライズライツ営業部‏ @sunriserights
草薙さんのイラストで復活!これは嬉しい!ボークスで展開中の模型も合わせて青の騎士が熱いね!
伸童舎@公式 @shindosha
青の騎士ベルゼルガ物語上下巻、表紙絵は伸童舎レジェンドのお一人、草彅琢仁さん!装丁デザインは伸童舎!
待っていた方、まだ読んだことのない方も、ぜひぜひご予約ください。…
20:23 - 2017年5月17日
https://twitter.com/sunriserights/status/864803616925691904

■2015年当時、サンライズの渋谷誠個人は『青の騎士』を知らなかったが、こんにちのサンライズライツ事業部は、その存在を知っている様ではある。
 メインでは無くとも印象が強いイラストレーターの名字を間違えている事や、本文中にこんにちでは放送禁止用語とされる文言が含まれていたのがどう処理されたのかに触れていない事、この値段が高い上下巻2冊に旧版全4巻のどこまでが収録されているか言えていない辺り、内容まで把握しているかは怪しいが…。

■??アニメの背景を描いている、草薙という会社と素で間違えているのかも??


■■■そんな『青の騎士』新装版上下巻購入。
 旧版の一巻と二巻までを収録、本文内挿絵は昔のまま、新規書下ろしのあとがき等は無し、という感じの構成でした。
(去年くらいまでは音信不通だったという作者と連絡が付いたのかは不明)
 なんでか知ンないンすけど、公式を含めてどこもちゃんとした商品情報を掲載してくれないのよね。


■■■この『青の騎士』復刻も、最近の『ガオガイガー』『ライジンオー』『コードギアス』復活、『タイバニ』『カウボーイビバップ』海外での製作と同じく、自力では何も作れなくなった現在のサンライズによる、過去の資産の切り売りなのやもしれませんね。

■しかし海外資本ですかー。
 向こうの人は同業者に作らせない為だけに権利だけ押さえて実際の製作はしないなんて事もしますが(『寄生獣』はそのせいで日本でも長年メディア展開が出来無かった)、サンライズも契約社会で生き抜いきた凄腕相手に不利な契約を結ばされちゃって碌な結果にならない…なんて事にならないと良いですねー。
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■新作ガンダムの『Twilight AXIS』だって、ドラマもロボバトルも作画的にも何も動かないショートフィルムなんですけど、大丈夫なんですかねー、サンライズ。


■■■さて。
 前回記事にコメントを頂いた時には出先でグーグルにすら繋がらない程ネットが重いちほーに居たものですから、教えて頂いた『ウルトラマンオーブ』のギャラクトロンがどの様な姿をしていたのか判らなかったのですが、地元に戻ってきてから画像検索をかけてみたら…。
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 …あら、世界観や表現方法の違いから出力結果こそ変わっていますが、デザインコンセプトは何故かハシュマルと同じく、“機体色は白”“鳥をモチーフにした姿”だった様なんですけど。
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■??スポンサー側が命令を出さなければ、異なる作品でこういった被りは発生しないと思われますが…??

■ちなみに『青の騎士』には、そのものズバリ鳥をモチーフにしたロボットが出てきます。
(画像引用元は前回記事と同じ)
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ノーマル・ドッグ、ハウリング・ベアに混じって、ファビのBATH‐X19、グラバールの姿が見える。
横から見ると砲弾型に見えるボディに、鳥のくちばしを連想させる頭部センサーカバーを持つ機体だ。
(4巻247P)

■また、レグジオネータの本来の姿にも「背後に向かって巨大な翼のようなものが伸びており」(313P)という描写があります。

■観客側からは状況証拠しか確認出来ませんが、これ以上疑いたい方は、憲法に保障された内心の自由を使って、大いに思索を進めてみましょう。


■■■オマケで。
 当記事の主題とは全然関係無いですが、『鉄血』公式のハシュマル解説がいまだにコピペミスらしき文章の欠けが直っていなかったので、キャプって貼っておきます。
ハシュマル解説ミス


■■■『ベルセルク』について。
 かの物語が愛されていた理由は、キメるべきシーンをきちんと繊細に描ける構成力にもあったと思うのですが、作中最重要ガジェットである筈の狂戦士の鎧は、不自然に何のエピソードも無くあっさりと登場していましたね。
 どうもその理由として、テスタロッサの登場シーンから主人公が乗り込むまでの流れがユニーク過ぎて上手に流用出来無かったからなのではないかというのが考えられますので、下に『青の騎士』4巻から該当シーンの序盤を引用します。
 「もしもあの場面で、狂戦士の鎧を着装せねばならない程の敵の能力が語られていたら?」「もしも聖鉄鎖騎士団の団員何人かがガッツより先に狂戦士の鎧を着ていたら?」「もしも何人も魔女が居て、狂戦士の鎧の登場を盛り上げる会話をしてくれていたら?」等々とシュミレーションしながら読んでみるのも良いかもしれません。

■勿論、これから『青の騎士』全体を楽しみたいという方は、読まない方が良いです。
 なお、引用部分より下には、私の文章はありません。 


■■■『青の騎士ベルゼルガ物語』新装版
4巻189P半ばより


「あれが、あんたの言った一型装甲兵士かよ」
 口元をおさえて、ミーマに言う。
「その通りだ。しかも、あの機体が稼動し始めたということは、すでにメルキアも全滅したという公算が強い」
 暗然とした表情で、ミーマが呻くように言った。ゴーグル状のサングラスをかけ直すその手が、かすかに震えている。
「それじゃ、この銀河系が、ロリンザーって奴の思うままになっちまうってわけだな」
 異様そのものと言える一型装甲兵士の姿に、ミーマの言葉を信用したのか、バララント兵が堪え切れぬ怒りを露わにした。


 ミーマがうなづく。
「そんなやろう、生かしちゃおけねえな」
「ならば君も」
「その、君ってのはやめてくれ。俺はバララント第八八機甲兵団軍曹、ファビ・ミナルディ。もし、あんたが嫌だと言っても、俺は戦うぜ。その、ロリンザーって野郎とよ」
「よかろう。では、後で君が旧劣等種(ベルゼルガ)かどうか、テストを受けてもらうとしよう。いや、その必要もないかもしれない。君はよく似ているよ、あいつに」
 ファビの言葉に誰のことを連想したのか、ミーマが苦笑する。
「あいつ……誰だい」
「それよりも、見てもらいたいものがある。ついて来てくれ」
 ミーマは、ファビを第一格納庫へと連れて行った。そこは、百メートル四方のがらんとした空間だった。片隅にシートをかけられた一機のA・Tと、それ専用の機体整備用ハンガーがあるだけで、他には何も見当たらない。
「また、おいでですが、ミーマ少将」
 シートを被ったA・Tの脇にいた、技術者風の小男が、ミーマを認めて声をかけた。
「機体の調子はどうだ、ディーロ・サンジアーノ」
 ミーマがA・Tの脇に歩み寄る。ファビもそれに続いた。


「まだ、納得のいくデータはありませんね。無論、艦長のおっしゃるデータも、まだ出ないというところですかな」
 ディーロが手に持ったドライバーの先でポリポリと頭を掻く。それだけで、低い鼻にかけられた眼鏡がずり落ちそうになる。
「それより、その方は誰ですかな」
 ディーロが眼鏡をかけ直し、ファビを見詰める。
「バララントのA・T乗りさ」
 ファビがボソッと答える。
「ほう。そいつはいい。私も、ずい分バララントA・Tを見て来たが、まだまだ得られぬ技術が多いようで……A・Tを開発したのはギルガメスだが、停戦中に、バララントはうまく、機体を発展させたようだからな。まあ、こいつの完成のために、協力して下さらんかな」
 脇にあるA・Tをディーロがポンと叩く。
「ああ、俺が乗ってた脱出ポッドの中に、最新鋭のグラバールがある。自由に使ってくれ。でも、その機体は、一体何なんだ」
「ロリンザーの切り札に対抗する手段を考えていると、さっき言ったはずだな。これが、それだ」
 ミーマが答える。


「それを、まだ手こずってるのか。今の性能は、一体どんなもんなんだ」
「性能かい」
 ディーロがクスリと笑った。
「加速は?」
 ファビが訊く。
「速いですよ」
 また、ディーロが笑った。
「出力は、どんなもんだ」
「凄いですよ」
「それじゃ、答えになってねえ」
「でも、そうとしか答えようがないんですよ」
 ディーロが真顔で言う。
「ちなみに、さっきの戦闘の直前までテストを行っていたんですが……艦長はお気づきになりましたか、出撃したハウリング・ベアが、三機程、足らなかったことを」
「どういうことだ?」
 うなづくミーマの傍らで、ファビが喚いた。
「その三機のパイロットは、この機体のテストをしていたんだよ。だけど、三人ともテスト中に肋骨を折っちまってね」


「そんな、ハードなテストなのか」
「いや、全開加速のテストだけさ。それも、全員フルスロットルにまで、持っていけなかった。だから、まだ答えられる程のデータは揃っていないんだ」
 平然とした顔で、ディーロが言う。
「そんな機体、どうするつもりだ」
「うむ、そこがポイントだ。機能はそこそこのレベルにまで行ったはずなのだが、いかんせんパイロットの安全性がな。しかし、艦長は、この機体でもまだ不安なのだそうだ」
「その通りだ」
 ミーマが口を挟んだ。
「今の程度の能力があったとして、果たしてレグジオネータとサシで勝負ができるかわかったものではない」
「そのレグジオネータとは、何なんだ?一体、どんな能力を持っていると……」
「アストラギウス銀河、最強のA・Tだ。しかも、最も古い機体だ。すべてのA・Tが、これを参考にして作られた。だが、未だ、その能力に勝るA・Tは存在しないし、いかなる攻撃でも、その機体を破壊することは不可能らしい。星間ミサイルの爆発にも耐え、その能力は未だ健在と言われているのだ。奴は完全な広域破壊兵器を持ち、一対一でしか倒せない。あれを全面投入すれば、百年戦争そのものを終わらせられたかもしれないほどの機体だ」


 重苦しい沈黙が三人の男を包んだ。
「でも、それに対抗する機体ができたとしても、一体、誰が乗るんだ」
 ややあって、ファビがそう訊いた。
「私の知り得る限り、ただ一人だけ、この機体を乗りこなすことができる男がいる」
 ミーマとディーロが目を見合わせる。
「誰だい。それは」
「ケイン・マクドガル。おそらくは、この銀河系で最強の兵士だ」
 ミーマが、ありったけの想いを込めて、その名前を告げた。
「だが、メルキアに部下を残し、探させてはいるのだが、その消息は一向に不明だ。つい先程、一型装甲兵士が稼動している姿も見た。それでも、あいつはきっと生きている。生きて、戦っているはずだ」
「その男じゃねえと、この機体は扱えねえのか。一体、どんなA・Tなんだ」
「よかろう。見せてやろう」
 ミーマが、A・Tを覆ったシートを引き下ろす。一瞬、ファビは息を呑んだ。ディーロに聞かされたイメージからは程遠い、あまりにも美しく、そして勇壮な機体がそこにあったからだ。
 透き通るような光沢に包まれた、青い機体のA・Tだった。


 そのプロポーションは、従来のA・Tすべてが、出来損ないのブリキ人形にしか見えなくなるほど、人間に近い。それでいて、戦うためにのみ鍛えあげた戦士の、その筋肉を模したような全身の姿は、機体の裡に秘められた爆発的なエネルギーを示すかのように逞しく、野生的な鋭さを兼ね備えていた。
「ATM‐FX∞(アンフィニ)ベルゼルガSSS(スリーエス)‐Xテスタロッサ。ケイン・マクドガルの愛機ベルゼルガを基本に、現在アストラギウスにある戦うためのすべてのテクノロジーが、この機体に注ぎ込まれている。パイロットの安全性を除いてはすべてに最高を目指した機体だ」
 ミーマが声を弾ませる。
 確かにそのA・Tは、かつてのケインの愛機、ベルゼルガを思わせる意匠を機体の各所に留めていた。機体の関節は太古の騎士を連想させる形状の装甲版で覆われ、左肘に取り付けられた巨大な盾には、パイルバンカーと呼ばれる必殺の射出式長槍が取り付けられている。そして、テスタロッサという命名の元となったのだろうか、後頭部から伸びた頭飾りは真紅に塗りこまれていた。
 それでいて、ミーマには黒き炎のセンサーの方が精度が高いと感じられたのか、頭部センサーは縦長の形態だった。
 見詰めるファビの目に憧れに似た光が浮かび、やがて嘆息を漏らした。
「究極の……機体なのか」


「違う。最強だ」
 ミーマとディーロが口を揃えて言った。