■■■…。
 感想を言うと言った本人の能力がそのまま写されてしまうミラームービーこと『シン・ゴジラ』、出遅れに出遅れを重ねたのもあって、当ブログでは大した事は言えないのですが、一応ちゃちゃーっと何やら書いておきます。


■■■こちらは、書籍『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』の中の一葉、ゴジラ第五形態のラフ。
シン・ゴジラ第五形態ラフ

 …他のラフも見ると、この辺りの段階ではゴジラと同じ大きさで、天使のイメージを混ぜ込んだ様なデザインなのですが、それより何より気になるのはこれが、原爆に絡んで封印された『ウルトラセブン』(67)第十二話に登場した、スペル星人によく似ている事ですよ。
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(封印の件の詳細は、スペル星人のウィキペディアでどうぞ)

■これは、思考の過程のどこかで“震災を抽象化したゴジラの中から、「ひばく星人」呼ばわりされて封印された人型の巨大なモノが、祈りを捧げるポーズで出現する”という構想があったという事ではありますまいか。
 …前回記事の“『シン・ゴジラ』世界には他の庵野監督作品と同じ名前の企業がある”“ゴジラ=『555』のオルフェノク”に続き、この辺りちょっと面白過ぎます。
 ええ、権利を持っている会社の違いから、公式がこの辺に触れる事は永遠に無いのでしょうけれども。

■スペル星人のウィキペディアについて、少々補足。
 当記事を上げた17年11月28日の時点では、「チャイヨーでは第12話が欠番になっていることや、マニアの間で話題になっていることを熟知しており、ステージショーに新デザインのスペル星人を登場させていた[要出典]。」と書かれていますが、こちらは映画雑誌・映画秘宝2004年12月号掲載のチャイヨープロを取材した時のものですね。
 この号では、スペル星人の海外人気──日本での第十二話封印の件は海外でもよく知られている事から、かえってスペル星人の人気と知名度が上がったそうな──や、タイの舞台興行でスペル星人とジェダイの騎士(タイ人)らが共演していた様子等がレポートされていたものです。
チャイヨー舞台興行

 …うむ、チャイルディッシュに国境は無いのでした。
チャイヨー門構えチャイヨードア
チャイヨー冒頭

■なお、チャイヨー特集は当時発売された『封印作品の謎』との連動企画であったらしく、同号には安藤健二インタビューも掲載されております。
安藤インタ冒頭安藤本紹介

■当ブログは冒頭から先やこの部分以外をアップするつもりはありませんので、全文を読みたい方は、自力で該当号を探して下さい。
(↓この写真は怠けて次の記事と兼用)
映画秘宝やANIMA


■■■ついでのオマケで。
 映画秘宝同号よりコラム。
 プロが金を貰ってやると、この位ネチっこくなります。
 …常々言っていますが、当ブログは、そんなには頑張っていないんですよ?
映画秘宝0412SW欠席裁判


■■■世間ではどう思われているか知らないですし、真実はどうなのかも判らないのですが、ギョーカイ内では「庵野が編集室を占拠して樋口を一歩も入れずに編集した、樋口は悔しかろう」的な言説があり、こんな記事…、
庵野秀明は樋口真嗣から映画を奪った・シンゴジラ簒奪劇のすべて。ジ・アート・オブ・シン・ゴジラを読む
http://runsinjirun.seesaa.net/article/445474770.html
…もあったりします。

■しかしながら、こと編集、特に最終編集権に関しては、樋口真嗣に手を出させないのが正解だったのでは。
 もしも樋口真嗣に編集をさせていたら、『シン・ゴジラ』まで、過去の樋口監督作品の様に「どのカットも一秒以上長いだろ」「そのカット要らないじゃん」「なんで普通のシーンも重要なシーンも同じテンポにしてんだよ」みたいな事になっていたと想像されますから。
 「(樋口真嗣は)監督さえやらなければ、いい人なんだけどねえ」とは、押井守の謂い。

■『進撃の巨人』実写版も、『シン・ゴジラ』的に編集すれば、もうちょい見れるものになるかと。
 …そういえばその『進撃の巨人』実写版も、脚本の町山智浩は「原作通り人類側は力では巨人に勝てないとしていたのに、製作側が勝手に人間が巨人を投げるシーンを入れた」「脚本ではボソボソ喋ると指定していたのに、実際の映像では声を張り上げて喋っていた」とボヤいていました。
 樋口真嗣チームを使うとこういう事が起こるのならば、矢張り庵野秀明の遣り方が正しかったのでは。
 この辺りもまた、公式からは永遠に真実が語られないでしょうけれども。

■…。
 町山智浩は現在、パヨク発言と信者相手のバレバレの誤誘導とで自分で自分の価値を毀損している真っ最中ですが、そもそもこの人は、『刑事まつり』というショートフィルムイベントで何やらやらかして(詳細不明)、自身の脚本作を封印させてしまった過去がありまして。
 いくら『進撃の巨人』原作者が尊敬していて、町山発言を劇作理論に取り込んでいるからといっても、盲目的にいきなり脚本を任せるべきでは無かったのです。
 『進撃の巨人』実写版の失敗は、ヒット作慣れしておらず関係者の能力を把握していなかった、講談社と映画界のPにも大いに責任があったのではと。

■一応。
「進撃の巨人」の諌山創先生×町山智浩、対談!
2011-04-20
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20110420

■更にオマケで、腐女子のポイントが全然判っていない樋口真嗣。
樋口真嗣×松尾諭『シン・ゴジラ』対談#1 最大の誤算は「泉修一のブレイク」
http://bunshun.jp/articles/-/4885


■■■前回記事コメント欄で少し書きましたが、『シン・ゴジラ』の元ネタのひとつには、漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』(著:新井英樹・1997年連載開始)があるのではないかという話。
 詳細な比較検証をするのは大変なので、今回は箇条書き形式で共通要素を書き出しておくに留めますけれども。
(都合上、怪獣モノの定番要素である部分も記しておきます)
※以下『ザ・ワールド・イズ・マイン』のネタバレがありますので、苦手な方は避けて下さい。


・怪獣の初登場は海から。
・怪獣の暴力は、かなり現実味のある方向で描写される。
・最初は小さかった怪獣が、段々と巨大化する。
・怪獣は何も考えてなさげなキョトン顔のまま、殺人を含む破壊行為を行う。
ヒグマドン1

・まだそれ程大きくない頃の怪獣は、街に出た際には大通りを進み、カメラはそれを正面から捉える。
75990d36ヒグマドン2

・怪獣の痕跡に祈りを捧げる人間が出てくる。不自然な事だが、作中で理由は説明されない。
・怪獣には口があるが、食事によって生命活動を維持している様子は無い。
・怪獣の戦闘能力は、恐らく無限に上昇し続ける。
・さしたるダメージを受けないまま、怪獣は一旦撤退する。
・怪獣とは政治家達主導で現用兵器を使って戦い、それをフェイク・ドキュメンタリー形式で描く。
・特定の主人公は居ない。
・所謂“人間ドラマ”は排斥されている。
・怪獣と戦うにあたり、核兵器の使用等で日本とそれ以外の各国との間に対立や協調がある。
・一撃で怪獣を倒し得る、完全に架空の超兵器は存在しない。
・戦いは、完全な死亡は確認されていないものの、怪獣が活動を停止した状態で終息。

■決定的に異なる点としては、『シン・ゴジラ』の側では怪獣の身体機能の解析とヤシオリ作戦が追加され、人間側の(恐らく)勝利が描かれた所がありましょうか。

■庵野秀明が『ザ・ワールド・イズ・マイン』を知っていたかについてですが、本人が五巻初版のオビにこの様な事を書いていました。

第5巻発売記念 讃辞
ヒトは他者、そして自らの死を想像できる。
ゆえに死は、悲劇にも娯楽にも恐怖にも変わる。
そんな死を日常とした現代日本がここに書かれている。
必見。
庵野秀明

 …このオビを所持している購入者や、書店で目撃した人間は居ますが、現在ネット上に写真は無い様です。

■全体を通して考えてみると、『ザ・ワールド・イズ・マイン』では倒し切れなかった怪獣を、二次創作パロディ大好き庵野秀明の内面世界たる『シン・ゴジラ』では倒してみせた…という事だったのかもしれません。
 気になる方は、実際に『ザ・ワールド・イズ・マイン』を読んで確認してみましょう。


■■■最後に、『ザ・ワールド・イズ・マイン』の展開バレを、物語内容に触れずにやっておきます。
 ネタバレが苦手な方は、これまた読まずに避けて下さい。

■…『ザ・ワールド・イズ・マイン』、最初の方はエネルギッシュで面白かったんですよ?
 しかしながら、割と早い段階から作者が作品のパワーを扱いきれなくなり、深刻なネタ切れを起こし、安易な逆張りをしては尽く失敗し、描かなくてもよい事ばかりを描き、ハッタリで散々引き伸ばしをした挙句、超テキトーにテーマっぽい言葉を貼り付け、最後はブン投げて終わってしまうのです。
 買って読もうという方は、注意と覚悟の上で御願いします。
 …結構酷いですよ?