武蔵国十三仏

2013年07月06日

深谷山光明院瑠璃光寺(埼玉県深谷市)

埼玉北部から群馬南部にかけてゴシュイン・ウォーカーをしようと、車を走らせる。

まず伺ったのは、明治の実業家・渋沢栄一を生み出した深谷市にある瑠璃光寺。天台宗のお寺である。(お寺のHPは→こちら
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当寺は、慈覚大師円仁の開山と伝えられ、大同2年創建とされる。室町期には、山内上杉氏の分家である深谷城主上杉氏の信仰を得た。
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仁王門。江戸・享保年間建立である。往時は、安置されている仁王像の股をくぐると、はしかが軽いといわれ、近在の人々の信仰を集めた。深谷市指定有形文化財。
なお、門には葵のご紋が打たれているが、これは、徳川家康の遺骸を久能山から日光に改葬するに当たって、行列が休息をとった由緒によるという。
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こちらは、武蔵国十三仏霊場の第12番・大日如来のお札所である。十三仏の彫像が並ぶ。
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鐘楼。
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地蔵堂。平成18年に、天台宗開宗・当山開山1200年を記念して改築された。本尊の息災延命地蔵尊の他に、子育て地蔵尊、閻魔王像、奪衣婆像を安置している。
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薬師堂。関東九十一薬師霊場の39番で、本尊は秘仏薬師如来。日光月光菩薩、および十二神将も奉安。寅薬師とよばれ、深谷城の鬼門除けとして、深谷上杉氏から篤い信仰を集めたのは、先に書いた通り。秘仏だが、12年に一度、寅年にご開帳される。深谷市指定有形文化財。
なお、このほかにも、深谷七草・七福神の一番札所(はぎの寺・大黒天)でもある。
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趣きいっぱいの回廊。
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定門。天正17年建立で、深谷市内では一番古い建造物である。市指定有形文化財。
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鬼瓦。
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石塔。
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実に見事な銀杏の木。
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本堂。ご本尊は、釈迦如来。現在の本堂は大正15年建立。
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御朱印は庫裏にて頂戴する。十三仏用の綴じ込みタイプのものだ。


2012年10月05日

長寿山福正寺松福院(埼玉県日高市)

高麗神社から、県道30号の北平沢交差点方面に進む。ちょうど、高麗川を右手に添わせる形となる。
里山の中を少し走ると、道路を橋がクロスしていく。これは、実はベルトコンベアの橋である(写真がなくて申し訳ないが)。

日高市には、太平洋セメントの工場がある。ここでセメントとして加工される原料の石灰石は、先だっての秩父神社参拝の記事でも取り上げた武甲山で武甲鉱業という会社によって採掘されるものだが、採掘された石灰石は、全長23.4キロのベルトコンベアによって、鉱山から工場まで運ばれる。このベルトコンベアのルートは「Yルート」と呼ばれる。

このYルートは、全長の97%が地下を通ってくるのだが、その残り3%の例外のひとつが、この橋、高麗川を跨ぐための高麗川橋梁である。 橋上にも屋根がついているので、内部の状態をうかがい知ることは出来ないが、毎時1200トンもの輸送力を誇り、まさに陸続と、日高工場に向けて、石灰石が送り込まれているのであろう。
(システムを解説した武甲鉱業のHPは→こちら

さてそのYルートの橋をくぐってすぐ左手、高麗神社から言えば車で1・2分のところにあるお寺が、松福院。
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天台宗のお寺であり、武蔵国十三仏霊場の6番、弥勒菩薩をまつる。
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 お地蔵さま。
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巾着田のようにはまいらぬが、十分に彼岸花の紅を堪能できる。
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十三仏は、一体ずつ別の台座に載っている方式。
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 鐘楼。
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 総本山である比叡山の御分身なる三面出世大黒天。大黒天なのだが3つの顔をお持ちで、正面が大黒天、右に弁財天、左に毘沙門天を従える(三天合行という)。
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 境内に茂るボダイジュの巨木。
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 本堂。ご本尊は不動明王。この他にも薬師堂があり、平安末期から鎌倉初期にかけての作とされる薬師如来像が安置されている。
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 御朱印は本堂脇の庫裏にて頂戴する。

慈眼山喜見院満福寺(埼玉県鶴ヶ島市)

東明寺を出て、北東方向に県道39号を進み、入間川を渡る。東洋大学の川越キャンパスの脇を抜けて東武東上線の踏切を渡り、県道114号を走って、商工会館前交差点を左折。関越自動車道を跨道橋で越えて農村センター前交差点を左折して少し行くと、左手に目指す満福寺が見えてくる。
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当寺は、天台宗のお寺である。周辺は、鶴ヶ島市の南郊、川越市との市境近くの住宅地と農地が混在する、平均的な武蔵野の風景を見せている。
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素朴な山門。かくいう山門の前にも、畑が広がっている。
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 立派な鐘楼。初代の梵鐘は江戸・明和年間鋳造のものだったがさきの戦争中の金属供出でなくなり、現在の鐘は2代目である。
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お寺の来歴を示す看板。
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 武蔵国十三仏霊場の5番札所なので、十三仏が鎮座されておられる。
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 本堂。ご本尊は千手観音菩薩。このほかにも、薬師如来、如意輪観音、不動明王、慈恵大師(元三大師)、慈眼大師、歓喜天(聖天)、弁財天などもまつられている。
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 御朱印は、庫裏で頂戴する。地蔵尊の御朱印である。十三仏の御朱印なので、書き置きである。

2012年07月23日

萬霊山法護院延命寺(埼玉県川越市)

広福寺を出て、北西方向に車を走らせる。
途中、道路が混んでいたりして、思ったより時間がかかったが、なんとかぎりぎり12時前に、川越市のいちばん西の方角にある笠幡地区にある広福寺に到着。 
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武蔵国十三仏霊場の第4番札所である延命寺は、天然寺、明見院、広福寺と同様、天台宗のお寺である・・・というよりも、この霊場は、みな天台宗のお寺で組まれたものではあるが。
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山門前の参道沿いにある十三仏さま。当寺は、普賢菩薩をおまつりする。
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 山門。元は曹洞宗の禅寺で、南北朝時代の創建。江戸初期に宗論の末に天台宗に改宗することとなり、川越・中院の末寺となった。
山門には、元禄5年の再建だが、鎌倉時代の建築様式が色濃く反映されている由。
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 入母屋造の本堂。御本尊は、延命地蔵菩薩。
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御朱印は、12時を少し過ぎてしまったが、庫裏にお邪魔して、ご住職にお書きいただく。
聞けば、ご当地は今日が盆の入りである由。時分どきにお邪魔したことといい、重ね重ね失礼をしてしまった。
しかし、ご住職はとても親切で、丁寧に応対してくださった。感謝するばかり。

なお、こちらのお寺は、春の桜が美事で、川越景観百選にも選ばれている由。 
今度はその時期にゆっくりとお参りしたいものだ。

薬王山地蔵院広福寺(埼玉県狭山市)

明見院を出て、県道を走り継いで川越市から狭山市へ。
本田技研やロッテの工場の脇を抜けて、国道16号を渡り、住宅街の細い路地を走ることしばし。
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天台宗のお寺、広福寺。(お寺のHPは→こちら
関東百八地蔵尊霊場の9番、関東九十一薬師霊場の32番、そして、武蔵国十三仏霊場の3番札所として文殊菩薩をまつる。
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このお寺の最大の特色は、なんといっても、山門であろう。
文化2年落慶と伝わる狭山市指定文化財となっているこの山門は、珍しい「龍宮造」。下層部は、漆喰白壁塗り、上層部は、入母屋造の瓦葺屋根で、勾欄手すりを巡らしてある。あたかも龍宮城のごときつくりなので、龍宮造である。上層部には梵鐘が安置されており、上って撞かせていただくこともできるようだ。
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 境内は、コンパクトにまとまっているが、水と緑が豊かで、とてもゆったりした気分になれる。これは、「吾唯知足」と彫られたつくばい。元祖?は、言うまでもなく京都・龍安寺のそれである。
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 鯉が群れ游ぐ池。小ぶりながら、滝もつくられてある。
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十三仏さま。先述のとおり、こちらには文殊菩薩がまつられている。
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本堂。御本尊は薬師如来。
当寺は、三代将軍徳川家光の鷹狩の際の休息所に充てられ、境内の紅梅を愛でて大事にするようにとの上意を賜ったことから名づけられた「御詞の梅」(現在咲くのは子孫木)、家光がお茶を飲む際に用いられた「梅の井」などが残されている。
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 御朱印は庫裏にて。霊場であるので、薬師如来、地蔵尊の御朱印もいただけるようだ。

梅雲山寛窓寺明見院(埼玉県川越市)

天然寺を出たところで、だいぶ早いが昼食をしたためることとする。
本来なら、寺社めぐりの際は、時分どきに庫裏・社務所に訪れるのは避けたいから、12時台に食事をすることになるが、今日は、午後に用事が入っており、午前中いっぱいでお参りを終えなければならず、できれば、昼食もそこまでには済ませておきたかったので、あたりをつけた店にサッと這入る。
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藤店うどん・川越店。旧16号が17号バイパスとぶつかる三橋の交差点から少し川越方向に進んだ先にある本店は、押すな押すなと客の通う人気店。その出店で、藤店名物の肉汁うどんを味わう。
 
手早く腹ごしらえし、川越市南郊の今福地区へ。向かったのは、武蔵国十三仏霊場の2番札所、明見院である。
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明見院は、中院の末寺すじに当たる天台宗のお寺。
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風格のある山門。木陰が心地よい。
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鐘楼。
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こちらのお寺の名物は、しだれ桜。樹高15メートルを超す巨木は、樹齢230年を超え、当寺を隠れた桜の名所としている。これだけのしだれ桜、咲く様子はさぞかし美事であろう。
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十三仏さま。当寺は、2番で釈迦如来が札所本尊となる。
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本堂。ご本尊は、阿弥陀三尊。
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御朱印は、庫裏にていただく。こちらで、十三仏参りのパンフレットがあったので頂戴した。全体の概略図とお寺ごとの拡大図で構成されているが、前番・次番とのつながりを意識した、親切なパンフレットである。カーナビに導かれることの多い世の中とはいえ、こういうパンフレットはやはりありがたい。

自然山大日院天然寺(埼玉県川越市)

JR・東武の川越駅からみると東の方角、旧川越城址や喜多院などから見ると真南方角にあるのが、国道16号線沿いにある天然寺。
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戦国の世、天文23年に創始の天台宗のお寺。武蔵国十三仏霊場の1番・不動明王をまつり、小江戸川越七福神の二番・寿老人をまつっている。
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心なごむお地蔵さま。
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お不動様。隣には、十三仏の石像がまつられていた。
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平成3年落慶の本堂。本尊である木像の大日如来坐像が安置されている。平安末期の作で、川越市の文化財に指定されている。川越市内最古の仏像である由。
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御朱印は、授与所にて。武蔵国十三仏のお参りなので、書き置きである。

喜多院や蔵作りの町並み、菓子屋横丁など、いわゆる小江戸の観光地からは少し離れているが、国道に面して車の往き来が激しいので、違った意味でにぎやかである。

2012年06月25日

武蔵国十三仏霊場納経帳

ということで、常光院で頂戴した、武蔵国十三仏霊場の納経帳である。
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見てのとおりの綴りこみ式。中には何もセットされていない状態で、御参りに伺った先で、すでに書き込まれている御朱印を頂戴して綴りこんでいくスタイルである。

私自身、こういう形式のお帳面は初めてである。専用の納経帳がある、という話しは聞いていて、円覚寺百観音霊場と同様に、印刷済み冊子形式のものかと思っていたのだが、綴りこみ式とは思わなかった(納経帳料が1500円と聞いてびっくり、結構するのね・・・(-_-;))。

自ら住む埼玉県内で、しかもお参りのお寺の数も13となれば無理のない範囲。早速内表紙に、パソコンからプリントアウトした霊場一覧を貼り付けた。お参りが済んだら、印をつけ、日付を入れていく心積もりである。

なお、武蔵国十三仏霊場は次のとおりである。
1 不動明王 自然山天然寺 川越市仙波町
2 釈迦如来 梅雲山明見院 川越市今福
3 文殊菩薩 薬王山広福寺 狭山市下奥富
4 普賢菩薩 萬霊山延命寺 川越市笠幡
5 地蔵菩薩 慈眼山満福寺 鶴ヶ島市太田ヶ谷
6 弥勒菩薩 長壽山松福寺 日高市北平沢
7 薬師如来 大願山浄光寺 東松山市下青鳥
8 観世音菩薩 厳暒山円光寺 滑川町伊古
9 勢至菩薩 石青山大聖院 小川町下里
10 阿弥陀如来 高勝山長福寺 小川町飯田
11 阿閦如来(あしゅくにょらい)  宝珠山高蔵寺 寄居町今市
12 大日如来 深谷山瑠璃光寺 深谷市稲荷町北
13 虚空蔵菩薩 龍智山常光院 熊谷市上中条

龍智山毘廬遮那寺常光院(2回目・熊谷厄除大師/埼玉県熊谷市)

3月のはじめにお参りに訪れた、熊谷厄除大師・常光院を再訪する(1回目の参拝の模様は→こちら)。

今回訪れたのは、新たに始めようと思っている、 「武蔵国十三仏霊場」のための専用納経帳をいただくため。

十三仏のいわれのひとつは、諸法事をつかさどる仏様であるが、その順番でいうと、常光院がまつる虚空蔵菩薩さまは、十三番目の三十三回忌であるので、一番「トリ」に当たるのだが、今回は家からの近さなどを考慮して、こちらからお参りを始めさせていただくことにした。
ということで、武蔵国十三仏霊場第13番札所である。
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 御朱印は、前回もいただいた本堂の左奥にある授与所にて。
専用納経帳は、綴りこみ式なので、御朱印も書き置きである。
二つ折りになっていて、裏側にはお寺の由緒などが書かれている形式だ。
専用納経帳については稿を改めて→こちら

再訪なので、写真は撮らなかったが、常光院、やはりすばらしい。
茅葺きの本堂は相変わらずすばらしく、武士の館跡には、夏の緑に覆われて、より見事なたたずまいを見せていた。