九降風

 

 やっと、「九降風」を見ることができました!(もともとは6月に上映された映画で、今日はアンコール上映です) 相当評判がよかったので、小説も読んで準備したのに、一人で見るのはつまらないと思って昔の彼女を誘ったら、国産映画は見たくないとかわがまま言って、一回目は「セックス・アンド・シティ」、二回目は「カンフーパンダ」を見させられ、そのうちいつの間にか上映が終わっていました。
 「セックス・アンド・シティ」はドラマを見ていないからストーリーわかんないし、「カンフーパンダ」はそもそも子供が見るもんでしょう?しかもそもそも僕が金を出してるのに・・・。

 まあ、それはともかく、今日やっと念願かなって、見ることができました! 噂にたがわずよかったです。物語は、9人の高校生(男7人、女2人)を主人公に、主に男の悪ガキグループの友情が崩壊するまでのお話です。

 平凡な高校生の話ですが、友情あり、三角関係あり、青春の愚行あり、意外な事件あり、2時間近い映画が全くだれることなく、緊張感を持って続きます。考えてみれば、学生の頃ってそうでしたよね。生きている世界が今よりもずっと狭かったし、大人から考えるとどうでもいいことでずっと悩んでいた気がします。

 この映画の高校生も、馬鹿なことでバラバラになってしまう悲劇なんですが、高校生ってそういう年頃かもしれないですね。大人だったらもっとうまくやるのに、あの頃はそう生きるしかできなかったというのが青春の良さでもあり、欠点でもあるでしょう。基本的には悲劇なんですが、そのぶん美しいです。特に、最後まで友達を信じようとする者と、自分の身が可愛さに友達を裏切ってしまう者の対立は、空しいと同時にとても見ごたえがあります。

 ただ、僕がここまでこの映画にのめり込んだのは、特殊な理由もあります。この映画は新竹という僕の住んでいる街で撮影されています。だから、映画の舞台も普段通っているところが多くて、僕にとっては、映画というよりノンフィクションのようにリアリティを持って迫ってきました。
 最近思ったんですが、こういう個人的な要素も映画を見るのに影響大きいですね。というのは、最近、「海角七號」を「どこがおもしろいかわからない」とボロクソにけなしている日本人のブログを見たからです。確かに、よく考えたら、台湾のことをあまり知らない日本人が見たら、たとえ字幕があってもどこがおもしろいかわからないだろうし、笑えなければあの映画は実は確かに穴だらけです。僕も今まで疑いもなく「海角七號」を勧めていましたが、日本人が見ても意外となあんだと思うかもしれないです(と今のうちに逃げを打っておく)。あと、「海角七號」について、日本では「日台の恋を描く」、「60年前が舞台」とかなり誤った情報が流れていますが、「日台の恋」は過程についてはほとんど省略(というか今日書いた「教科書が教えない中国語」だったりする(笑))し、60年前の話はほとんどおまけです。
 ただ、「九降風」は台湾独特の文化とはあまり関係ないので、日本人にとっては「海角七號」より「九降風」のほうが適しているかもしれないです。

 「九降風」の話に戻ります。原作は、「美味關係」(おいしい関係)のドラマでオーナーの娘を演じていた紀培慧が書いています。彼女は映画の中でも主人公の一人を演じています。女の子は二人しか出てきませんが、どちらもすごく可愛いです。

 ラストの近く、卒業式で竹東高校の卒業歌「藍色蝴蝶」が流れ始めたところで涙があふれてきました。本当に映画を観る前にこの曲を見つけておいてよかったです。
 さらに、それ以上の驚きは、スタッフロールに張雨生の「我期待」が使われていたことです! 全く知らなかったのでびっくりしました。僕はこの曲が大好きで大好きで、しかもこの映画の最後に「我期待 回到童真的精彩 Say GoodBye」と来たもんだから、映画にぴったり合いすぎていて、ただただ涙を流しながら座っていました。他にも、舞台が1996年ということもあって、映画の中で、伍佰の「愛情的盡頭」、張惠妹の「原來你什麼都不要」と、好きな昔の曲が使われていてうれしかったです。
 ただ、台湾人には悪い習慣があって、ほとんどの台湾人はスタッフロールが始まると同時に席を立ちます。映画の余韻に浸りたい者にとっては邪魔としか言いようがないです。アクション物とかならともかく、こういう感動に浸っている映画で席を立たれると非常に気になります。
 習慣が違うと言ってしまえばそれまでですが、本当に感動したなら席なんか立てないはずなんですけどね。

 同時に、林書宇監督が有名になったきっかけの短編映画「海巡尖兵」も上映されました。たった30分の映画で、3人の兵役の兵士が真っ暗な海岸をパトロールしているという単純な映画なんですが、なんとも言い知れぬ緊張感があってよかったです。この監督は、こういう人間関係を描く映画が本当に得意なんだなと思いました。

 

「九降風」予告

 

「九降風」公式ブログ

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