傾向編はこちら。
ファシグティプトン・ガルフストリームセール2017 傾向と対策【傾向編】

直前プレビュー
ファシグティプトン・ガルフストリームセール直前 簡単プレビュー


直前プレビューで「話題を独占」と取り上げた
Hip90のTapitも結局は欠場。

セール前にご成約、という認識でよろしいでしょうか。


須田鷹雄氏がこう呟いておりました。


「うちにはこんな魅力的な商品がありますよ!」
と広告を打ったお店の品物が欲しくて
開店前から行列に並んだら

「せっかく並んでくれたお客様には申し訳ないけど
オープン前にお得意様に特別先行販売したら
4割以上が売り切れちゃいましたテヘ


その残った商品が完売に近い勢いで売れてしまうのが
ファシグティプトンの2歳トレーニングセールである
とも言えそうです。


OBSよりも遙かに
「上場発表からがセールです」
という市場だと思うので、

日本からの参戦チームが
よりOBS重視になる傾向は今後も続くと思われます。 


それでは今年も落札価格順に。



Hip126
Ribbon Taffyの2015  牝  2月16日生まれ

父 Pioneerof the Nile
母 Ribbon Taffy
母父 ハードスパン

落札者 Katsumi Yoshida
落札価格 54万ドル

ブラックタイプ 

試走タイム 10秒0(1F)
試走映像


馬体写真(育成時)

馬体写真(セール時)

コンサイナー
Crupi’s New Castle farm Agent XVI


母は芝1000mとAW1300mで2勝。

現3歳の半兄は3戦未勝利で
ダートの短距離で2着と3着があります。

ブラックタイプには
エーピーパーティやタックスペイヤーズフォリーの名が見られますから
ヒシアトラス(G景唇S)やハーキュリーズの近親で、

一族からはYes It’s Trueなども出ています。


父のPioneerof the Nileは
米三冠馬American Pharoahや
昨年の全米2歳王者Classic Empire

日本でもレヴァンテライオンが
G携ヾ2歳Sを勝っていて
種牡馬として今がまさに旬です。

母系にExclusive Nativeの血を引くのは
American Pharoahと同じですね。


試走の1F10秒0は
上場馬中最速タイで(5頭中)

ギアを上げた後にすぐソラを使って
鞍上が集中して走るように促しながら
余力たっぷりでのこのタイムですから
価値があります。

純粋に脚力が高い印象です。


ただセール時の馬体写真を見る限りでは
「動けるようにかなり絞った」と思えるので、
今後日本への輸送、着地検疫を考えると
ここの反動がやや怖いタイプではあります。

サリネロのセール時も
似たような印象がありました。


アメリカ育成馬にしては
前脚が奇麗に伸びるフォームで

レヴァンテライオンのレビューでも書いたように
レヴァンテライオン(Ghostly Darknessの2014)のレビューを振り返る

Pioneerof the Nile産駒は
世界中で芝のレースを勝っていますから
(というか、日本では芝でしか勝ってない)

早い時期であれば
本馬が芝をこなす可能性は
充分あると思います。

このチームですから、おそらくデビューは芝になるのでは。


「吉田勝己氏がファシグティプトンで牝馬を落札」
と言えば、もちろんアルビアーノが思い浮かびますが

一方でアルビアーノ以降は
未勝利引退となったソングライティングや
現3歳で先日の500万で11着だったサリネロと
それほど結果が出ていません。


そもそも「吉田勝己氏名義」で
2歳トレーニングセールで落札した牝馬が
吉田和子氏や吉田和美氏名義になることが
ほとんどなのは、
「繁殖入り時に権利関係で揉めない為」
とのことなので、

逆に言えば、牝馬を落札した時は
その腹づもりの何割か、あるいは大半は
「繁殖牝馬としてどうか」という視点で
選んでいるということになります。


本馬は筋肉量が豊富で
母父がDanzig×Alydar系×Robertoの
ハードスパン。

母も兄も短距離で走っていることと
父の傾向を考えれば
(レヴァンテライオンは「矢作師の2歳夏洋芝マジック」説)

主戦場はいずれダートの短距離あたりに
落ち着いてきそうで、

POG期間に1勝+αの可能性は
とても高いと思いますが、

POG期間に3勝もしくは重賞2着以上となると
外国産馬なので平場や新馬や未勝利の牝馬限定も使えず
仮にダートで早めに2勝しても
POG期間内のOPでは牡馬の骨っぽいのと当たることになるのを
どう考えるか。


ひとつ強めの根拠としては
コンサイナーのCrupi’s New Castle farmは
OP伏竜Sを勝ちG轡罐縫魁璽Sで2着だった
ストロングバローズと同じであること。


私がトレーニングセール落札馬を紹介する際
頑なにコンサイナー(育成者)名を記しているのは

北米の2歳トレーニングセールで
場合によっては血統や配合や試走や価格よりも
「誰が育成したか」と「誰が落札したか」を
重要視しているから。


本馬は歴史あるCrupiの育成馬なので
信頼感は高めです。


ちなみにクロフネの全妹Bella Bellucciも
Crupiで育成されていたことがあって、
ノーザンFとは不思議な縁もありそう(スピリチュアル)


人気になるようなら私は回避しますが
万が一下位で残ってるようなら
喜んで指名します。



Hip154
Sweet Seventeenの2015  牡  2月4日生まれ

父 Into Mischief
母 Sweet Seventeen
母父 ハードスパン

落札者 Katsumi Yoshida
落札価格 20万ドル


試走タイム 10秒2/5(1F)
試走映像



コンサイナー
Wavertree Stables, Inc.(Ciaran Dunne), Agent I


昨年の吉田勝己氏は
ハードスパン産駒のパンサーバローズを落札し

今年は母父ハードスパン産駒を2頭落札。

たまたまでしょうか。


母は5戦3勝2着2回。

米LブッシャーS(3歳牝ダート1700m)勝ちがあり
加LグローリアスソングS(2歳牝AW1400m)2着など。

3歳2月のブッシャーSを制し
これから重賞戦線へ、というところで引退していますから
無事に行けば重賞レベルの馬だったかもしれません。


祖母がPlay Balladoなので
日本で走ったヴォルドニュイの甥になります。


その祖母も活躍馬で
4代母は全米2歳女王、

レディオブオペラやエイシンテキサス
遡ればヘネシーなどと同じ一族なものの
祖母からはそれほど重賞級は出ていません。

本馬は母の初仔になります。


父はInto Mischief。

日本では
POG期間2勝のアジアンテースト
栗東の坂路番長ルイの父として
お馴染みです。


これまでのInto Mischiefは
競馬史に残る女王Beholderの半兄
として有名でしたが、

昨年産駒が猛烈な勢いで走りだし
種牡馬としての2016年のAEIは2.32
中でも2歳の勝ち馬は実に33頭。

G鞠呂2頭輩出しました。


2017年は種付け料が7.5万ドルに
大幅アップしたものの
昨年の段階でほぼBook Fullと

種牡馬としての立ち位置を
「北米版のスクリーンヒーロー」と書けば
ニュアンスが伝わりやすいでしょうか。


netkeibaの私のひとこと日記でも
Into Mischiefについて取り上げているので
よろしければこちらも。

北米2歳セール・種牡馬予習 Into Mischief編

OBSあたりでどなたかが落札してくるかと思いましたが
吉田勝己氏が早くも動いてきましたね。 


試走では
追い出し直後に驚いたような素振りを見せたものの
掻き込みが強くパワフルなフットワークが印象的でした。

芝の活躍馬も多いHarlan's Holidayの直系ですが
この馬に関してはダートの方が合っていそうに思います。


コンサイナーは
ダートスプリント界のライジングスター
ゴルゴバローズを育成した牧場なのも
注目に値します。


配合的には
母母父がSaint Balladoですから、

Ballade経由のHaloクロス4×5という
日本ではおなじみの仕掛けが施されています。


注目の馬主さんですが、
ここ数年のケースを考えると
大本命はもちろん猪熊氏。

ただ金子真人氏、林正道氏が辿ったように
猪熊氏の場合も
ノーザンF系外国産馬から
ノーザンF系内国産馬へのシフトが
そろそろあっても不思議ではありませんし、

落札価格を鑑みれば
3000万円〜4000万円の間で募集できそうですから
シルクやキャロットでの追加募集があっても
驚けません。

今後の動向に大注目です。



Hip68
Hairdoの2015  牡  5月8日生まれ

父 Majesticperfection
母 Hairdo
母父 Millennium Wind

落札者 Nasuno Farm
落札価格 10万ドル


試走タイム 10秒3/5(1F)
試走映像



コンサイナー
Pick View LLC, Agent


那須野ファーム落札の「牡馬」なので
やはりグリーンFでの募集でしょうか。


母は未勝利で5着以内もなし。

しかし産駒は堅実に走っており
産駒5頭がデビューし4頭が勝ち上がり。

下級条件のダート短距離で活躍した馬が目立ちます。


祖母Lichiは
チリ・サンティアゴ競馬場版桜花賞
智G汽檗璽献礇妊櫂肇薀鵐ス(3歳牝・芝1700m)の勝ち馬で

このレースの活躍馬は
ベルワトリングやカサブランカスマイル
タンタスエルテやワシントンシティなど
その産駒が日本の芝に適性を見せる牝馬が多く

実際に本馬の従姉妹には
OPニューイヤーS(芝1600m)勝ちの
マイネアイルがいる血統です。


父のMajesticperfectionは
Into Mischiefと同じくHarlan's Holidayの直仔で
現役時代は
米G汽▲襯侫譽奪・G・ヴァンダービルトH(ダート1200m)勝ち。

レコードを二度マークするなど強烈なスピードを誇りました。


種牡馬としては
米G汽吋鵐織奪ーオークス(3歳牝・ダート1800m)勝ちの
ラブリーマリアという大物が登場。
(ラブリーマリアとその母サンダーカップは社台Fが導入済み)

ただ目立った大物はラブリーマリアくらいで
基本的にはダート短距離の下級条件が主戦場となる
一発屋的な種牡馬というキャラです。


父の産駒は3頭が来日していて
JRAでは未勝利で
代表産駒は南関で走っているマラニーノ。


那須野牧場は
昨年のOBSエイプリルセールでも
Majesticperfection産駒のシルバーフォーを
2万ドルで落札していて、
確固たる狙いがあっての落札に思われます。


本馬の試走は
一目で頭の高いフォームが目立ちます。

しかも頭が高い馬の矯正を目的とする
マルタンガールという馬具をつけてこのフォームですから、

トゥザヴィクトリーやマヤングマンパワーのように
これはもうこの馬の個性でしょう。

フットワークの質こそ大きく違えど
モーニンのセール時の試走も
頭の高さが目立ちました。


本馬の活躍の場はダート短距離になるでしょうし
ピッチや前脚の捌きを考えれば
むしろストライドが大きいよりは
ダート、小回り、短距離では
このフォームは武器にすらなりますから、

血統とキャラに合ったフォームとも言えます。


グリーンFで追加募集と考えると

競走年齢に達した近5世代の
グリーンF所有の外国産馬は

現3歳のアースミステリーを含め
5頭中4頭が勝ち上がり、

アースゼウス(現4勝、POG期間2勝、Jpn2兵庫ジュニアGP4着)
アースコネクター(現3勝、Jpn3北海道2歳優駿2着)
アースコレクション(現2勝)

「生涯でダート1200mで2勝+入着たくさん」を期待するなら
実に楽しみな素材です。



Hip35
Celadonの2015  牡  3月7日生まれ

父 Spring At Last
母 Celadon
母父 ゴールドヘイロー


落札者 Sachiaki Kobayashi
落札価格 10万ドル


試走タイム 10秒0(1F)
試走映像



コンサイナー
Top Line Sales LLC Agent I

Drコパ氏が突如の参戦で
母父ゴールドヘイローのSpring At Last産駒を買うという
超絶展開。


ラッキーカラーがゴールドだから

という極めて風水的な理由で購買したとしても
コパ氏なら驚けない(驚く)


この馬の情報が掲載されていないかと思って
コパ氏のブログやSNSをチェックしてみたら

里見治オーナーのパーティー

その名も


SATONO感謝祭


にコパ氏が出席されていました。


個人パーティーが「祭り」になり
香港からモレイラ騎手がかけつけるという
里見会長やっぱりすごい。


「モエレ」の中村畜産(ケイアイF、中村和夫氏)が
祖母のシャルナを
モエレオープンヒメやモエレゴールドと共に
アメリカに運んだ後に
現地で誕生したのが本馬の母で、

母はゴールドヘイロー産駒の外国産馬ということになり
キーンランドセプテンバーイヤリングで
1.2万ドルで落札されました。

この時点で中村氏の手は離れたようです。


母の現役時は米6戦3勝。

未勝利戦から
芝1100mの下級条件を3連勝し、

現役最後のレースとなった
米LアンブライドルドシドニーS(牝・ダート1000m)は4着でした。

現4歳の半兄は
芝1000mの未勝利で勝っています。


叔父には
G携ヾ2歳S勝ちのモエレジーニアス。

パフィオペディラムやチャームアスリープ
ダガーズアラベスクにフェイクフェイス
この世代の地方馬は本当に役者が揃っていましたね。


父のSpring At Lastは
Silver Deputy系の種牡馬で

現役時代は米G汽疋H(ダート1800m)勝ちがあり
フサイチリシャールが参戦した時の
唖G競乾疋襯侫ンマイル(ダート1600m)の勝ち馬です。


種牡馬としての代表産駒は
米G汽▲襯轡丱ぅ▲妊ーズS(2歳牝・AW1700m)勝ちの
Spring in the Airで
この馬以外G犠,素呂呂い覆い里任垢、

そのSpring in the Airも芝のG兇2着があり
他の産駒も北米の芝重賞入着馬が目立つ
謎多き種牡馬です。


本馬の試走は1F最速タイの時計をマーク。

こちらは
Ribbon Taffyの2015とは違い
わりとしっかり目に出した時計でした。

母と半兄は短距離色が強い一方
父は種牡馬としては適性が読みづらいタイプ。

試走を見る感じでは
1400m、1600mあたりに
適性がありそうに思いますが。


コパ氏名義では初の外国産馬になりそうですが
飼養地や厩舎がどこになるのかも含め
なかなか興味深い存在。


最近はこの価格帯の
北米トレーニングセール出身馬が
地方からデビューするケースが毎年見られ

コパ氏と繋がりの深い
門別の田中淳司厩舎からデビュー
なんてことになれば
俄然テンションが上がりますが、

村山明厩舎あたりでしょうかね。

赤本の巻末リストが楽しみです。



なお個人的に注目していた3頭は

Hip57 Flowers Athefinishの2015
⇒150万ドル Oxo Equine LLC

Hip97 Mamasanの2015
⇒50万ドル Live Oak Plantation

Hip103 Miss Childreyの2015
⇒20万ドル St Elias Stables

Flowers Athefinishの2015は
やや脚元を見たいタイプではあるものの
あからさまに調教が良かったのですが、
牝馬ながら今セールのトッププライスでした。


ケンタキーダービー馬Nyquistを出した
「ファシグティプトンのUncle Mo」で
かつ試走も素晴らしかったので
人気するだろうとは思っていましたが、
まさかトッププライスとは。

全兄はステークス未勝利ですよ?

その全兄はマイティ・モーっていうんですけど(懐かしい)


海外アリ、外国デビュー馬ありルールにおける
「POG的手堅さ」を取るなら
落札価格の高い馬では
むしろ2位のHip135のBernardiniの方が
面白いかも。


もし「海外の競馬もPOGも好きで
デビルバージョンに参加してみたいけど
候補が見つからない」という方には
この馬はお薦めできます。 


ただ私が昨年ファシグティプトンから選び
POGデビルバージョンで指名した
100万ドルで落札されたUncle Mo産駒が
未だ馬名登録すらされていないように


「トレーニングセールの高額落札馬故のリスク」 
も当然ありますので
そこんとこは一つ、よろしくお願いします。