今年はバレッツ社が
マーチセールとメイセールを統合する形で
「バレッツスプリングセール」と銘打って
4月にトレーニングセールを開催することに伴い
またまた北米トレーニングセールの順番が入れ替わる形となりました。
昨年は
OBSマーチセールのトッププライスよりも
マーチの後に行われる
OBSスプリングセールでのトッププライスの方が高かったように、
北米のトレーニングセールへの需要がより拡大していること。
またその兼ね合いもあって、
3月のトレーニングセールで時計を出せなかった馬
あるいは下見で人気が低かった馬などは、
早々に欠場を決めて
後に行われるセールや他のセールに追加上場されるケースが
目立つようになりました。
この傾向を考えれば
わざわざ海を渡って買いに行く日本人の需要が
ややバブリーで欠場率も高いOBSマーチよりも
OBSスプリングへと向かうのは理解できるような気がします。
しかし逆に言えば
OBSマーチで落札された高額馬には
それ相応の期待がかかっているとも言え、
最も重要な北米のトレーニングセールであることには
変わりはありません。
昨年の傾向と対策はこちら。
OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【傾向編】
Hug It Outの2015 OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-1】
Narvic落札馬編 OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-2】
【森師・LEX編】OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-3】
ご覧のように、
昨年はこの時点でHug It Outの2015(ベストマイウェイ)の指名を
ほぼ決めていました。
調教を見ても脚は持っていると思うのですが、
時期的に太めがなかなか絞れないことに加え
とにかく前向きさに欠け
向こう正面から追わせるほどの気抜き癖が災いして
現在は1勝にとどまっています。
カフジプリンスのように、
案外芝の長丁場を使ったら一変があるかもと期待しているのですが…。
さてこのOBSマーチセールは
近年ではモーニン、アジアエクスプレスを輩出しているセールです。
しかし北米でのトレーニングセールブームで、
昨年のNarvic編でも書いたように
日本チームにはかなりタフなセールとなってしまいました。
それでは昨年の落札馬を振り返ってみましょう。
3月4日終了時点での条件別でソートすると
3歳OP 1頭
3歳500万 1頭
未勝利 5頭
不出走 2頭
こうなります。
OBSマーチセール出身で
POG期間内3勝馬、あるいはOP勝ち・重賞2着馬は
2013年のアジアエクスプレス以来登場していません。
試走で好時計をマークしたモーニンが来日してみると
石坂師曰く「脚がガタガタでデビューできないかと思った」
と語ったように、
この時期の2歳馬が1F9秒台で走り
海を渡るというのは確かにリスキーで、
さらに着地検疫をも含めると
「デビューは早くても秋」ということになり、
JRAでの新馬戦開始がダービー翌週となり
デビューの早期化が顕著な現在の日本の競馬界において
「POGで北米トレーニングセール出身の馬を指名する意味」
を改めて考えてしまいます。
ただ実際の馬主さん側からの視点で見れば
費用対効果であったり
血統の刷新を目的とした牝馬の購入など
需要自体はあるわけで
指名する際は
ゲームとしての視点と
実際の経済活動としての面の
乖離した部分を考慮することが必要と言えるでしょう。
では昨年のOBSマーチで落札された馬の中で
3月4日終了時点で最も活躍している馬と言えば
ラムセスバローズです。
まず注目すべきは
Eddie Woods上場→ノーザンF系がポストセール(PS)で落札
※ポストセール=主取り後の上場者との直接取引で購買
このパターンはアルビアーノと同じでした。
ノーザンFがPSでも欲しいだけの理由がある馬、ということなのでしょう。
またコンサイナーが
ノーザンF系と取引歴の多いエディーウッズということも
影響していたと思われ、
「コンサイナー(育成者)に対する信頼」もあったはずです。
このパターンは今後もマークしたいところです。
そのラムセスバローズのレビューで、
ポストセールでの取引について、私はこう書きました。
2歳トレーニングセールの場合は特に
ポストセールでの取引=馬体や内臓に瑕疵がある
とは一概に言えないと思っていて、
試走と血統と馬体と1歳(あるいは当歳)時の落札価格
そのトータルでのバランスで判断するのが
レポジトリーを見ることができない我々にとって
正解への近道かも知れません。
興味深いのは
このラムセスバローズの試走時計は
昨年来日したOBSマーチセール落札馬の中では
最も遅い1F10秒3/5というところで、
「時計が速ければいいわけではない」
というところも、大きな教訓です。
特にラムセスバローズの場合は
レビューにも書いたように
フットワークからも芝適性を感じさせ
実際に芝の500万条件で2勝目をあげました。
ラムセスバローズは
日本の芝を走れるような軽さがあるからこそ
逆にアメリカのダートでは時計が出なかった可能性もあり
トレーニングセールの奥深さを感じさせます。
2017年落札馬一覧
ランプフィーバー 不出走
アイキャンフライ 未勝利
マーチセールとメイセールを統合する形で
「バレッツスプリングセール」と銘打って
4月にトレーニングセールを開催することに伴い
またまた北米トレーニングセールの順番が入れ替わる形となりました。
昨年は
OBSマーチセールのトッププライスよりも
マーチの後に行われる
OBSスプリングセールでのトッププライスの方が高かったように、
北米のトレーニングセールへの需要がより拡大していること。
またその兼ね合いもあって、
3月のトレーニングセールで時計を出せなかった馬
あるいは下見で人気が低かった馬などは、
早々に欠場を決めて
後に行われるセールや他のセールに追加上場されるケースが
目立つようになりました。
この傾向を考えれば
わざわざ海を渡って買いに行く日本人の需要が
ややバブリーで欠場率も高いOBSマーチよりも
OBSスプリングへと向かうのは理解できるような気がします。
しかし逆に言えば
OBSマーチで落札された高額馬には
それ相応の期待がかかっているとも言え、
最も重要な北米のトレーニングセールであることには
変わりはありません。
昨年の傾向と対策はこちら。
OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【傾向編】
Hug It Outの2015 OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-1】
Narvic落札馬編 OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-2】
【森師・LEX編】OBS2歳マーチセール2017 傾向と対策【対策編-3】
ご覧のように、
昨年はこの時点でHug It Outの2015(ベストマイウェイ)の指名を
ほぼ決めていました。
調教を見ても脚は持っていると思うのですが、
時期的に太めがなかなか絞れないことに加え
とにかく前向きさに欠け
向こう正面から追わせるほどの気抜き癖が災いして
現在は1勝にとどまっています。
カフジプリンスのように、
案外芝の長丁場を使ったら一変があるかもと期待しているのですが…。
さてこのOBSマーチセールは
近年ではモーニン、アジアエクスプレスを輩出しているセールです。
しかし北米でのトレーニングセールブームで、
昨年のNarvic編でも書いたように
日本チームにはかなりタフなセールとなってしまいました。
それでは昨年の落札馬を振り返ってみましょう。
3月4日終了時点での条件別でソートすると
3歳OP 1頭
3歳500万 1頭
未勝利 5頭
不出走 2頭
こうなります。
OBSマーチセール出身で
POG期間内3勝馬、あるいはOP勝ち・重賞2着馬は
2013年のアジアエクスプレス以来登場していません。
試走で好時計をマークしたモーニンが来日してみると
石坂師曰く「脚がガタガタでデビューできないかと思った」
と語ったように、
この時期の2歳馬が1F9秒台で走り
海を渡るというのは確かにリスキーで、
さらに着地検疫をも含めると
「デビューは早くても秋」ということになり、
JRAでの新馬戦開始がダービー翌週となり
デビューの早期化が顕著な現在の日本の競馬界において
「POGで北米トレーニングセール出身の馬を指名する意味」
を改めて考えてしまいます。
ただ実際の馬主さん側からの視点で見れば
費用対効果であったり
血統の刷新を目的とした牝馬の購入など
需要自体はあるわけで
指名する際は
ゲームとしての視点と
実際の経済活動としての面の
乖離した部分を考慮することが必要と言えるでしょう。
では昨年のOBSマーチで落札された馬の中で
3月4日終了時点で最も活躍している馬と言えば
ラムセスバローズです。
まず注目すべきは
Eddie Woods上場→ノーザンF系がポストセール(PS)で落札
※ポストセール=主取り後の上場者との直接取引で購買
このパターンはアルビアーノと同じでした。
ノーザンFがPSでも欲しいだけの理由がある馬、ということなのでしょう。
またコンサイナーが
ノーザンF系と取引歴の多いエディーウッズということも
影響していたと思われ、
「コンサイナー(育成者)に対する信頼」もあったはずです。
このパターンは今後もマークしたいところです。
そのラムセスバローズのレビューで、
ポストセールでの取引について、私はこう書きました。
この馬の場合はキーンランドセプテンバーでの落札価格は今回の落札価格より7.5万ドル高い42.5万ドルと台付価格が高かったことが予想されるのと時計が出やすいOBSマーチにしては目立たないタイムでしたから、個人的には「純粋に試走とその台付への評価の結果」主取りとなりポストセールでの取引になったと考えるのが合理性があるかなと思います。逆に馬体自体は見栄えがして、横見の馬体は本当に均整がとれていて前に妙にゴツゴツとしたところもなくトモの容量も充分。後肢は少し気になるものの許容範囲内とも言えるもので、「素材型」「ノビしろ」という点では一番ではないでしょうか。配合的にはダートですがフットワーク、そして父の産駒の成績からも芝への可能性も感じます。
2歳トレーニングセールの場合は特に
ポストセールでの取引=馬体や内臓に瑕疵がある
とは一概に言えないと思っていて、
試走と血統と馬体と1歳(あるいは当歳)時の落札価格
そのトータルでのバランスで判断するのが
レポジトリーを見ることができない我々にとって
正解への近道かも知れません。
興味深いのは
このラムセスバローズの試走時計は
昨年来日したOBSマーチセール落札馬の中では
最も遅い1F10秒3/5というところで、
「時計が速ければいいわけではない」
というところも、大きな教訓です。
特にラムセスバローズの場合は
レビューにも書いたように
フットワークからも芝適性を感じさせ
実際に芝の500万条件で2勝目をあげました。
ラムセスバローズは
日本の芝を走れるような軽さがあるからこそ
逆にアメリカのダートでは時計が出なかった可能性もあり
トレーニングセールの奥深さを感じさせます。
2017年落札馬一覧
ランプフィーバー 不出走
落札者 Narvic International
落札価格 80万ドル
試走時計 9秒4/5(1F)
預託厩舎 美浦:堀宣行
馬主 吉田和美
コンサイナー Harris Training Center LLC, Agent III
ラムセスバローズ 現3歳OP 2勝
落札者 Narvick Int'l
ベストマイウェイ 3歳500万 1勝
落札者 Narvic International
落札価格 67.5万ドル
試走時計 20秒3/5(2F)
預託厩舎 栗東:石坂正
馬主 馬場幸夫
コンサイナー All Dreams Equine
ラムセスバローズ 現3歳OP 2勝
落札者 Narvick Int'l
落札価格 35万ドル(PS)
試走時計 10秒2/5(1F)
預託厩舎 美浦:木村哲也
馬主 猪熊広次
コンサイナー Eddie Woods, Agent XIV
アイキャンフライ 未勝利
落札者 Narvic International
落札価格 20万ドル
試走時計 10秒0(1F)
預託厩舎 美浦:手塚貴久
馬主 馬場幸夫
コンサイナー Halcyon Hammock Farm, Agent III
ジャスパーエイト 未勝利
ジャスパーエイト 未勝利
落札者 Hideyuki Mori
落札価格 22万ドル
試走時計 9秒4/5(1F)
預託厩舎 栗東:森秀行
馬主 加藤和夫
コンサイナー King's Equine, Agent XI
シンティエンディー 未勝利
落札者 LEX
落札価格 18万ドル
シンティエンディー 未勝利
落札者 LEX
落札価格 18万ドル
試走時計 9秒4/5(1F)
預託厩舎 美浦:尾形和幸
馬主 岡田牧雄(LEX-PRO)
コンサイナー Halcyon Hammock Farm, Agent III
ジャスパープリンス 未勝利
落札者 Hideyuki Mori
落札価格 10万ドル(PS)
試走時計 10秒1/5(1F)
預託厩舎 栗東:森秀行
馬主 加藤和夫
コンサイナー Cary Frommer, Agent IV
ホクリュウオウ 不出走
落札者 Hideyuki Mori
落札価格 9万ドル
試走時計 10秒1/5(1F)
預託厩舎 栗東:森秀行
馬主 北尾龍典
コンサイナー Crupi's New Castle Farm, Agent II
ケンデスティニー 未勝利
落札者 Hideyuki Mori
落札価格 5万ドル
試走時計 10秒1/5(1F)
預託厩舎 栗東:森秀行
馬主 中西宏彰
コンサイナー Sequel Bloodstock, Agent
ジャスパーモア 不出走
落札者 Hideyuki Mori
落札価格 4万ドル
試走時計 10秒(1F)
預託厩舎 栗東:森秀行
馬主 加藤和夫
コンサイナー Azpurua Stables, Agent II