2005年10月01日

一つの物語の終幕。それは、キラとシンの新たなる物語の序章か?/機動戦士ガンダムSEED DESTINY 最終話 ピコ感想

いや〜、予想以上にいい最終回でした(>-<!
まあ、『史上最高に最終回らしくない最終回』だったような気もしますが、それも『キラとシンの新たな戦いの序章』と見れば、様子は変わってきます。
なんだか、巷でも『SEEDは三部作』だとか『次回作が作られそう』だとかいう噂が流れ始めており、今回を観る限りでは、それも現実味の無い話ではなさそうな気もしてきます。

昨日の記事に書いた通り、『SEED DESTINY』の物語全体の感想、そして最終回に締めくくられた各々のテーマの帰結についての自分なりの解釈は、来週にでもまとめて書きます。今は、ちょっとやりたいこともあるので。
とりあえず今は、『最終回へのファーストインプレッション』という形で、簡潔版として書くことにします。



・シンの結末
結局今作では、「過去に囚われたまま戦って」しまったシン。家族を喪ったことから、オーブを憎んだことしかり。ステラを殺されて、仇討ちのためフリーダムに挑んだことしかり。そして誰も守れなかったことから、ルナに逃避するようにして彼女とくっついてしまったことしかり。
真に『未来』を見据えることができなかった彼は、結局デスティニープランの尖兵となってしまった。これは後述しますが、デスティニープランは、『未来を見据えてない視点』の最たるものです。結局シンは、その考え方から脱却することができなかった・・・。
だからこそ、最後は錯乱し、あわや、今守るべき人をもその手にかけてしまうところだった。

そして、シンはステラと精神世界で再会を果たします。
ステラの「昨日をもらった」「また明日」という台詞はかなり難解ですが、僕的には、こう解釈します。
レクイエムが破壊されたことで、『過去のみを見つめ、未来を見つめていないデスティニープランが崩壊した』ことにより、『明日』が守らた。そして、シンが生き残ったことによって、ステラを覚えてくれる人が残ったわけで、ステラの『昨日』も守られた。だからこそ、ステラには『昨日』と『明日』がまた与えられた。
そして、シンがステラの次に『守ると決めた者』であるルナも生き残った。だからこそ、シンにとってのステラの存在意義だった『守るべき者』と、シンはまた『明日』も会うことができる、と・・・。

結局、今作では、シンは何も守れませんでした。でも、前作のキラのように、守るべき者を全て喪ってしまった、というわけでもありませんでした。
シンには、ルナが残されました。そしてそれによって、連鎖的に、ステラとの思い出も残されました。
シンにはまだ、かけがえの無いものが残っています。そして、それを守れるようになるための、シンの新たなる戦いが、今始ったのでしょう。
新たなる戦いには、過去と憎悪に囚われた今までのようなやり方ではなく、未来を見据えた、前向きな第一歩が求められています。
彼の力の原動力は『怒り』。それは、これからも変わらないでしょう。でも、今までのような、人を恨んだり憎んだりするような『ネガティブな怒り』ではなく、世の中に満ちている醜い不正を正し、よりよき未来を創る原動力となる『ポジティブな怒り』に彼が目覚めることを、僕は大いに期待しています。

シン、一年間、本当にお疲れ様でした。
本当の悲しみを、怒りを知った君なら、きっと誰よりも優しく、強くなれるはずです(^-^。



・キラの結末
前作では戦いの果てに、彼の原動力であった『守りたかった存在』を全て喪ったキラ。それ故今作の最初では、過去から逃げ、戦うことを放棄し、失意の果てにいたキラ。
そんなキラだからこそ、今作クライマックスの台詞である、
「覚悟はある。僕は戦う!!」
の一言は、感動でした。

キラと最後に対峙した議長の目には、『未来』というビジョンは、実はありませんでした。
「過去にこういうダメなこと(戦争)が起こったから、その要因を潰していけば、そうすれば絶対に輝ける未来に到達できる。」
極限まで要約すれば、これがデスティニープランの発想の原点なのでしょう。議長も所詮は、タリアと結ばれなかったという過去、戦争で人が死んでゆく過去、ヒトによる傲慢な世界が創り上げられていったという過去、それらの『過去』に、囚われていただけだったのですね。
無論、これでは世界は、何も変わりません。本当に世界を変えるのは、過去に怯え、失敗を恐れて、その要因を一つ一つ取り除こうとすることではありません。それでは、いつまで経っても『明日』は作られない。そんな後ろ向きな姿勢では世界を変えることが出来なかったのは、歴史が示す通りです(第一次世界大戦後に創られた国際連合が第二次大戦を防げなかった。その第二次大戦後に作られた国連も、冷戦や今回のイラク戦争を防ぐことができなかった)。
無論、過去の失敗から学ぶことは大切です。でも、それを過信してしまっては、それに囚われてしまっては、そっちの方向ばかり向いてしまっては、結局何も変わりません。
本当に未来を、世界を、明日を創るのは、不確定な未来に賭け、捨て身で飛び込む『小さな勇気』なのです。(←ちょっと『ネギま!』のエヴァ師匠の受け売り入ってますが^-^;)。
そして、キラにも、最初はその勇気はありませんでした。目の前で沢山の人を守れず喪ってしまい、それが繰り返される可能性を恐れ、逃げ続けていた。しかし、彼は今作で様々な経験をし、最後に、その勇気を最高のレベルで持つに至りました。
だからこそ、議長の、
「今ここで私を討って、再び混迷する世界を、君はどうする?」
という言葉に、上記の言葉で対抗できたのだと思います。

前作では、最後まで『未来』を絶望視するクルーゼに反論できなかったキラ。それどころか、それを肯定するかのように、憎しみに突き動かされてクルーゼを討ってしまったキラ。
しかし、この一年間で様々な戦いを経て、クルーゼと同じ根っこに端を発する『未来を絶望視するペシミスト』である議長に言い返すことができたキラ。彼もこの一年間で、非常に大きく成長しました。
そして、上記の言葉を発したその瞬間から、キラの新たなる戦いが始まったと、僕は思います。

キラ、君も一年間、よく頑張った。
君の戦いは、本当に長く、辛い戦いになると思う。でも、君ならきっと、進む道の先に光を見つけることができると思う(^-^!



・レイの結末
結局、議長を撃ったのは、レイでした。
レイに惜しみない愛を注ぎ、レイを支える思想の提唱者だった議長を撃ったレイの心中を推測するのはかなり難しそうですが、僕は、彼は議長を憎しみで撃ったのではなく、『キラを守るために』撃ったのだと、そう考えています。人の『未来』を信じ、その未来のために「戦うことを決意した」キラを守るために。

僕が今読んでいる漫画の中に、『スパイラル 〜推理の絆〜』(少年ガンガン連載)という漫画があります。
この漫画の主人公も、レイと同じく、ある人のクローンとして生まれ、その一生は非常に限られた長さの時間しか与えられませんでした。そして、主人公と同じ運命を背負わされた少年は、「自分は何ものにもなることは出来ない」と悲観し、絶望の闇へとその身を沈めてしまいました。
しかし、主人公は、最後まで絶望しませんでした。最後まで『未来』を見つめ、どんな絶望が襲ってきても決して負けない生き方をすると、強く強く決意しました。
この漫画は、実はまだ完結していないのですが(今月号で完結するようです)、主人公はおそらく、この生き方を最後まで貫いてゆくでしょう。

レイにとって『最も良い結末』というのも、きっとこの形だったのではないでしょうか。だからこそ、その形を提示することの出来たキラを、最後の最後で庇ったと、僕は考えています。

最後に、レイは議長やタリアさんと運命を共にしてしまいました。僕的には、彼にはまだ生きていてほしかったのですが、彼には過酷な運命が多すぎたのでしょう。
それよりも、『キラVSクルーゼの戦い』が、今回は『クルーゼがキラに説得され、彼を守った』という最高の形で幕を閉じたことを、素直に喜びたいと思います。

レイ、僕は君に生きてほしかったけれど、君は多分、もう疲れ果てていたんだろう。
だから、君を今まで育んでくれた家族と共に、ゆっくりとお休み。



というわけで、キラとシンにはまた新たな戦いが始まりそうな、そんな予感満載の最終回でした。『お話はこれでおしまい』というより、『今回でとりあえず一区切り』といった感じですね。

『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』、この一年間、楽しんで観させてもらいました(^-^!!
そして、いつか、また会うことを信じて・・・。


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 最終決戦の「自由」VS「運命」の構図は自由サイドに軍配が上がったわけですが、運命サイドの人間にも救いが描かれていたのが優しい最終回だと思いました。もっと、運命サイドが作中悪チックに打倒されるラストもあり得たワケじゃないですか。そういうのよりは、うんと....
優しい最終回でした/最終話「最後の力」/機動戦士ガンダムSEED DESTINY感想【ランゲージダイアリー】at 2005年10月06日 16:28
この記事へのコメント
就活中なので本編は録画専門の戦闘勇者です。

いやぁ批判の凄い事。正しい間違っているという以前に恐怖を覚える程です(苦笑)。
前作好きな人達からも非難が多くて、「本当にファンで良いのかな?」と思うことすら(滝汗)。
期待の大きさの裏返しと考えれば良い…のかなぁ?
Posted by 戦闘勇者 at 2005年10月04日 16:39
>「本当にファンで良いのかな?」
戦闘勇者さんがこの作品を好きであるなら、戦闘勇者さんがこの作品のファンであることを否定することは何者にもできないと思いますよ(^-^。不安を感じる必要は、無いと思います。

この作品、確かに批判が多いですね〜(^-^;。そして、その中にも、結構的を射ている批判もあったりもします。
確かにこの作品は、作品として大きな欠陥を孕んでいたのかもしれない、と僕も思います。他のアニメと比較しても、決して『アニメとして優れた作品ではないのかな』とも。(続きます)
Posted by ごぜん@管理人 at 2005年10月04日 18:05
でも、一番大切なのは『この作品がアニメの中で何番目に優れているか』でも、もっと言うと『この作品が作品として完成度が高いかどうか』でもないと思いますね。
大切なことは、『この作品を見て、何か得たものがあったかどうか』あるいは『この作品は、最終的に、面白かった、見て良かったと、思えたかどうか』だと思います。
そして、そう思えたなら、その作品は紛れも無く『その人にとっての名作』たり得るのだと、僕は思います(^-^。
Posted by ごぜん@管理人 at 2005年10月04日 18:06
>戦闘勇者さん
最終回の終わり方が原因でいつになく批判が噴出しているんだと思いますが、SEEDシリーズの批判は特に激しいですからね。と言っても、ごぜんさんもおっしゃっている通り作品から何を得るか、駄作か名作かはやはり自分自身の主観から決まってくる事ですし、あまり周りを気にしなくてもいいと思いますよ。最初は難しいかもしれませんが、ちょっとずつでもそう考えていくと多少楽になるかもしれません。

就活の方、応援してますので頑張って下さい!
Posted by ケイタロウ at 2005年10月04日 20:07
>管理人様
>ケイタロウさん
レスどうもありがとうございます。
「前作と今回どっちが出来が良い?」と言われれば残念ながら前作の方が出来が良いだろうなとは思いますが、

「関わらなければ良かったか?」
「今回得たモノがあったか?」

と問われれば

「そんな事は無い。決して無い」
「確かに得る物はあった」

と言えるので、それを大事にしたいなと思っています。
暇になったら改めて視聴して「自分の答え」を出したいと思っています。
Posted by 戦闘勇者 at 2005年10月05日 15:06
前作の時は「虐められっ子」キラに思いっきり感情移入していた私ですが(彼ほどではないですが私も虐められ経験があるので)、就活中の現在はアスランに親近感が湧いてました。

それもダメっ子状態のアスランに(爆)。

なのでそういう「迷っている人」を騙す議長は目的が正しくても何かイヤだな〜とか思いながら見てました。
Posted by 戦闘勇者 at 2005年10月05日 15:10
>ケイタロウさん
補足レス、ありがとうございました(^-^。
僕もまだ結構周囲の評価を気にしてしまいがちなので、名作か駄作かを自分自身で判断できる境地に早く辿り着けるよう頑張ります!

>戦闘勇者さん
僕も今作は、アスランに感情移入できましたね。僕も将来のことをはじめとして、今も色々迷っているので。
あとはシンでしょうか。最近、前より世の中が少し見えるようになって、同時にその中にある不条理に憤ることも多くなったので。
この二人にはもっといい場面がほしかった!というのが、僕の正直な気持ちです。まあ、製作者側の考えもあるのでしょうし、それは仕方が無いですが。
Posted by ごぜん@管理人 at 2005年10月06日 23:10