最近、わりとレベル高めの研修関連面談が続きました。


パート採用者の採用枠拡大するかどうかの判断とか
(人のキャリアや収入を左右するような判断ってドキドキしますね)

けっこうできるタイプのグイグイ行く研修医(いわゆるオーバー・アチーバー)に対する総括的評価(研修医自身の振り返りを支援して伸ばしていくための形成的評価でなく、客観的評価基準にそって減点部分を明確にして到達度評価するもの)をしてみたり
(元々優秀な研修医って、指導医からは「君はそのままでいいよ」という承認の体を借りた放置を受けやすいので、勉強苦手な人よりむしろ意識して目をかけないとと思います。いわゆる問題児は意識しなくてもみんなにちやほやされますから)

他科の研修医で、指導医や他職種が扱いきれない案件に対して、研修委員長になった権限をつかって定期振り返り・面談をすることになってみたり
(専門外の診療を指導するわけではなく、若手医師の学習や成長を扱うだけなので、全然専門外ではないと思っていて、科の壁とか建て前とかを乗り越えられれば割と普通に対応できるとは思っていました)

新規採用してみたものの文化的背景(生まれや育ち、過去に経験した研修先の施設文化など)が違いすぎてフィードバックが入りにくかった事例とか
(単一民族国家内で暮らし、ずっと同じ法人内でしか仕事したことないので、前提条件の違いがどこにあるのかを一歩一歩確認していくのが難しくもやり甲斐はあるとは思います)




これまでも研修医との相性などは当然ありました(性格面、学習スタイル、その他もろもろ)。

今までの当院のように指導医が自分しかおらず、自分と相性が合わなければローテ期間中逃げ場なしみたいな環境だと、お互いに大変なこともちょいちょいありました。


その後の自分の指導医としての成長(指導スキルのバリエーション増加、人間的な成長?とか)に伴って、また後期研修医数増加やスタッフ増加に伴う屋根瓦制・複数相談先確保によって、こういった1対1の相性に関する研修指導上の苦労はほぼ消えました。

この1年くらいは、相当かわったキャラクターだったり、癖の強すぎる学習スタイルだったり、心身の不調がある人でもそれなりに対応できているような(少なくとも自分の主観としての)感覚は持てるようになりました(3~4年前は、一人で研修の責任を担うことはとっても苦痛でしたが)



その一方で、自分の立場が内科科長になることで、研修医指導に留まらず、中途採用者の評価や生涯教育についての最終責任者として対応・判断せざるを得ない(逃げ場や押し付ける相手がいない)場面が増えてきていて、また新たな経験をし始めています。


浅い付き合いや他科からの情報だけだと「Difficult learner(直訳で学習が難しい人、意訳で問題研修医)」に見えてしまい、自分が出張るときには「うわー、やだなー」と思ってしまいます。こればっかりは湧き出てしまう感情なので仕方がないです(その感情をないものとして無視すると、抑圧しすぎて自分が崩れちゃいますし)。

でも、実際ちゃんと準備をして、時間を取ってきちんと面談すると、全然そんなことないんですよね。


最近、不定愁訴の本を読んで「一見うざい訴えや面倒な相手にみえても、ちゃんと対応して改善の糸口を探す」のが上手になったとか、そういう状態に対する関心が高まっているというのは一つの要因かもしれません。

家庭医療の学習会で、「Difficult patient」の学習の予備知識があるのも良かったのかもしれません。いまは、困難な原因が患者だけにあるわけではなく、医師側や環境・制度面にもあると捉えて「Difficult encounter(困難をお互いに感じやすい出会い)」と呼ぶそうで、ホントそうだなぁと思います。


準備段階では、事前に自分自身の心理的フィルターの歪みや心身の調子、学習者との相性などを冷静に見つめなおしたり、Difficultレッテルを張っている人たちの評価を丁寧に聴取して周囲の歪みを把握して、その上で本人の非言語・準言語的なメッセージを充分に拾いながら過去の経験や現在感じて考えていることなどを聞いていきます。

そして当日も極力時間を眺めにとって丁寧に話を聞いていくと、「ああ、なんだ、そういうことだったのんで」とお互いに腑に落ちて、緊張の糸がフッと緩む感じがあります。

あえてかしこまった面談にせず簡単な定期フィードバックの体裁をとったり、メール上でやり取りするだけだったり、外来の症例振り返りの体裁を取りつつ徐々に深めていったり、事前に充分な文書でのやり取りをしたうえでのかしこまった3者面談をしたりと体裁はいろいろですが、それも含めて相手や周囲の状況などの文脈を考慮して柔軟に決めていくと良い感じです。

「管理者としての面談なんだからちゃんとしなきゃ!」という勢い余った無駄なかしこまりはよくないもんですね。

 

臨床のことが教育に、教育で学んだことが臨床に活きるのは総合診療やっていて得なことだなぁと思いますが、職務が管理に広がっても、こういった臨床や教育など他領域の経験がそのまま応用できて守備範囲が自然と広がる感覚は面白いなと思います。

総合医としての学びの延長上の課題に管理者経験がくるという、年度頭のポートフォリオ発表会で出したポスターの考察にも一致していて、学んだ知識・理論と実際の経験の間を往復できていてとても楽しいなと感じます。

 

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