先日、久しぶりにCPPDの診断と治療をしました。


久しぶりと言っても、うちのような亜急性期高齢者一般内科病棟なところだとなかなかにCommonで、年に何件もあるし、外来でもわりと「お、またか」と思うような頻度で見つかります。

でも、研修医時代にはまれにしか見たことのない疾患でした。


いろいろなところで言われていますが、「過小診断」が問題になりやすい疾患ですね。

高齢者では超Commonですが、一般的な検査でのRule inが難しく、整形外科からスタートして多彩な科や病院で「検査は問題ないから痛み止め出して次に紹介しますね」が繰り返されやすい疾患の代表だなぁと思います。

もちろん、関節穿刺してCPPD結晶を特殊な顕微鏡で見ればいいので、疑わなきゃそこまでしないし、「疑う」ことが難しい疾患なのでそこまでたどり着かないですね。

X線の石灰沈着所見もあんまりあてにならないし(椎間板ヘルニアと同じで、正常者でもあるから、有症状者であっても今回の原因化の断言はこれ単品ではできない)。


自分内の典型的プレゼンテーションは

「不明熱または不明多発関節炎または原因不明の四肢筋力低下」で、近位では諸検査でも診断がつかず、総合診療や診断学を学んでいる優秀な若手が「PMRか?でも自分一人で診断したこと無いし、ステロイドぶち込んだらあとで診断難しいかもしれなしし」と悩む。

外来症例の相談の場ででてきたり、似た経過で精査入院が組まれて、自分が運動器系診察をすると「あ、これはCPPDだと思うよ。確定的な根拠はないけどNSAIDs使ってご覧」といって、翌朝患者も研修医も感動する。

というパターンです。
 


幸い、2011年欧州リウマチ学会のリコメンデーションが出たあと、医療系日本語ブログで沢山紹介されているので、そのページのリンクをペチペチ貼っとくので、知識があやふやな方はどうぞです。

リウマチ膠原病診療 2011年08月05日 calcium pyrophosphate deposition
http://blog.livedoor.jp/tanobu0824/archives/52861164.html

感染症・リウマチ内科のメモ 2013-12-16  ピロリン酸カルシウム沈着症(CPPD)の診断
http://blog.goo.ne.jp/da350350350/e/9353a3cf8707310aec2df311aa0b291d

KOMPAS(慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト) CPPD・偽痛風
病型分類が書いてあって、これ知らないと「偽痛風=単大関節炎」の思い込みで見逃しまくります。
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000722.html

栃木県の総合内科医のブログ 2014-12-18 今週のカンファ:脚気の分類/HASBLEDと抗血小板薬/CPPD結晶沈着性関節症の分類
http://tyabu7973.hatenablog.com/entry/2014/12/18/000000
こっちにも分類が簡単にまとまってて、コメントが生々しくて印象に残りやすいかも。

栃木県の総合内科医のブログ 2016-08-27 NEJM review CPPD
http://tyabu7973.hatenablog.com/entry/2016/08/27/000000
最近出たNEJMの情報です。特に新しい情報はありませぬ

英語が好きな人はリコメンデーション原文(無料でフルテキスト読めますよ→http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21257614)や、UpToDate・Dynamed読んでも似たこと書いてあるのでお好きにどうぞ。


救急医の挑戦 in 宮崎 2012-09-10 リウマチ性多発筋痛症
http://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11351080567.html
→PMRの記事ですが、ちゃんと勉強している若手医師からすると「CPPD」よりも「PMRを疑う状況」から入るほうが、今の知識や経験から無理なくCPPDの診断に繋がると思うので、ここで紹介されている「PMR mimics」を整理して覚えといたほうが良いです。RAやRS3PEとかね。

感染症・リウマチ内科のメモ  2013-07-16 リウマチ性多発筋痛症 Lancet
http://blog.goo.ne.jp/da350350350/e/7c4b6bbdb26a6b40d4fa68d7e64e2ae7
→こっちはPolymyalgia syndrome、Polymyalgia-like illnessという視点の紹介。こっちのほうが「PMR mimiccs」よりもPMRに引っ張られず冷静に鑑別を考えやすいと思います。



これだけ読めば十分でしょう。

英語の詳しい情報を日本語で紹介してくれるブログが増えて、ホントいい時代ですねぇ。

web情報なので、質は玉石混交ですが、ほどほど勉強している医師であればそれなりに区別して情報拾えると思いますし。

感謝です。
 

ちなみに、自分のブログは、海外の論文やガイドラインを日本語で紹介するというのは意図的にやっていません。

結構手間が掛かるし、すでに先行する良いブログが沢山あるし、まだまだ批判的吟味は甘いと思っているのでそれをwebで発信しまくる気にもなれず。

また、そもそも普段の研修医指導でも、「自分が勉強してまとめてあげた医学的知識を、Spoon feedingで研修医に一方的に授ける」形の教育は極力しないようにしているので、その態度の表れでもあります。伝えるべきは学び方や考え方だと思うのです(知識は、自分が数年前に勉強したものはすでに古く、今困っている研修医が、ここで身につけた考え方や学び方で今調べたほうが絶対に質が高いということもありますし)。

ていうか、先輩のドヤ顔レクチャーが昔から嫌いだったので、自分もやりたくないという個人的な考えが大きいかな(ドヤ顔レクチャーはしますけど、あくまで考え方や態度面を動かすのが目的のレクチャーがメインです)


代わりに、批判的吟味なしで感想だけつけたTwitter/Facebookでの論文紹介はしていますけど、ブログとはあくまで別というスタンスです。

ま、人それぞれですね。 


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