昨日の夜、月1回(第3月曜日18時半~19時半)定例開催のリハビリセミナーを開催しました。


以下は、法人内のメーリングリストで共有した情報のうち、個人情報を削除して、外部の人には伝わりにくい部分は適宜書き足したものです。

誰かの参考になるかもしれないのと、自分のブログ記事数稼ぎ目的のため掲載します。

 

リハビリセミナーは月に1回、リハ専門医のいない院所をwebでつなぎ、患者のリハ視点での評価・介入についてリハ専門医・指導医の先生から指導をいただきながら、各院所の総合診療系の後期研修医やリハビリセラピストの知識技術も向上しよう!という企画です。

中病・札病・釧路・北見・苫小牧の5病院からの参加で、各病院からWeb(グーグルハングアウト)でつないでいます。
随時、新規参加院所は受け付けているので、それ以外の院所で参加してみたい方は、担当者までご連絡ください。



今回は、多発脳梗塞で、易怒性あり、殴る噛むなどリハに抵抗を示す人のリハをどうするか?がテーマでした。
 
以下、カンファ内容についてメモをとりましたので貼り付けます。
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リハビリセミナー 2015年5月18日 18:30~19:40
発表者:◯◯病院
参加者:中病、釧路、北見、苫小牧、札病

■相談したいポイント:
機能的回復見込めるにも関わらず、積極的な機能訓練が困難な患者に向けた訓練の導入について
リハでのかかわり方、今後の方向性の見通し、退院後の生活について、怒りだしに対して投薬などで対処できないか

■症例提示
◯◯歳◯性 多発脳梗塞再発
#意欲低下・リハ拒否 #脱抑制 #左上下肢重度麻痺 など

数年前から左片麻痺あり、最近も右片麻痺が出現。リハビリ目的で転院。

臥位:左上肢ウェルニッケマン肢位
座位:体幹左に崩れやすい 頸部進展位を嫌い頭部が枕につかない
麻痺:ブルンストーム:右Ⅴ-Ⅴ-Ⅵ、左Ⅱ-Ⅱ-Ⅱ
MMT:右上下肢4レベル 左上下肢は1
指示理解は可能、単語レベルの表出可能 明瞭度2 軽度の運動性失語疑い
CTは、前頭葉の軽度萎縮、右中大脳動脈分岐部に広範囲に萎縮など(MRIは時間かかるため拒否あり評価未)
ADL:寝返り…柵把持の協力動作 起居…全介助 端座位…柵把持で数秒保持可能
    起立・歩行…不可 食事…セッティングで半分は自治気接種可能 排泄…尿カテ・オムツ

もともと役所職員で退職後は・・・・、趣味もあった穏やかな人。
脳梗塞を発症してから、ここ数年は人の好き嫌いが激しくなっていた
易怒性が強く、人を選んで対応を変えることがあり、殴る・噛む・蹴るなどの行為でリハビリに抵抗を示す。
家族は妻・次男と3人暮らし



■病歴質問
・性格変化の経過は?
もともと働いていたときはやさしい性格の人。初回の左脳梗塞の時点での性格変化は不明だが、
少なくとも今回の脳梗塞発症前から怒り出しはあったようなので、初回の脳梗塞時の変化かもしれない。
また、これまで失語はなかったが、今回発症してから言語化できない怒りはありそう。

・リハビリ内容ではなく、人によっての差?
が大きいと思う。時間帯や本人の希望に叶うように寄り添っていても、最初の印象で怒ってしまうと、その後訂正されない。

・リハの受け入れで男女の差は?
看護師には女性で受け入れがよいが、リハは男性の受け入れがよい。
趣味や仕事からは、看護師以外の女性から世話をやかれるのがいやかもしれない

・栄養は何キロカロリー入っているのか?
1450kcal しかし体重は入院時から6kg減っている

・もともとの生活は?
奥さんとテレビをみて笑ったりして過ごしていた

・本人のしたいことは?こういうふうに生活したいとか、目標とか?
1度だけ帰りたいと涙を流されることもあった 景色みて泣き出したりすることあった
運動性の失語があって、詳細は聞き取れない

・趣味をしたときの反応は?
新聞を読むのが好きだったので、渡すと拒否なくできている。TV見ているのも好きなのでしていた。
麻雀はリハ室になかったのでできていない。視覚・聴覚は異常ないので、ここがキーになるかもしれない。

・発話明瞭度2であればコミュニケーションできそうだが、できていないのはどうして?
たまに聞き取れるときは明瞭度2くらいで、8-9割は何を言っているのか分からない


■病態のディスカッション
・無気力・アパシーか?

・本人の主な麻痺は左上下肢なので、右膝ロックしてトランスすることになるが、
妻左TKA→杖は右に持っているので、妻1人で介助できるのか?(→今は、トランスファーボード・電動ベッドで、リハ介助で行っている)
後ろから支えるのはどうか?体幹が弱いので前に倒れる可能性がある
妻が運ぶのが難しいのであれば、リフターで運ぶのはどうか?体格関係なく使える。まずはレンタルで使ってみて感触を評価してみては?

・妻は毎日くる 他の家族は見舞いにきているのをみたことない
娘は隣の家に住んでいるが協力あおげるか?

・せん妄ではないので、よく使うのは昼と夜だけ抑肝散を飲むのはどうか
伝えきれなくてイライラしているのであれば、適応になる
レボトミンではなくBZMでもいいかも 怒りの発火を抑制するならデパケンも。
前頭葉の脳梗塞→PICK病のような病態と考えている

・seatingが不安定な状況なので、コミュニケーションが安定してできない可能性は?
いい姿勢で端座位訓練できていたときに、本人の思いが出てきていたかも。
本人の楽な姿勢を考えてみるといいコミュニケーションがとれるかもしれない。

・本人が好きな人に協力してもらって、アクティビティにつなげられたらどうか?

・全体構造報:JIST を勉強してみてもいいかもしれない

・前傾姿勢なのは拘縮か?筋力低下か?
拘縮ならボトックスと筋弛緩薬使ってもよいかもしれない。




■参加者(議事録取ってくれた総合後期研修医)の感想

易怒性やリハへの抵抗があり、さらに軽度の失語もあり本人の思いをくみ取るのが大変な症例でしたが、そんな中でも、本人のしたいことは?とか、普段の生活で本人の楽しそうにしている時はないか?などの質問が出て、
障害を持ってどんな機能・活動レベルであっても、どんな生活をイメージしてどこに向かうのかの「参加」の視点は、迷った時の大事な道しるべだなあと思いました。

また、シーティング(しっかり安定して座ることだそうです)できないと、不安定な姿勢ではリラックスできない・集中できないのではという意見もありました。
失語でうまく自分の気持ちが伝えられないこともあるので、こういうことにも気が付けるようになりたいです。


■自分の感想
一見すると「脳梗塞後遺症で、易怒性とか病態も複雑なので、リエゾンかけて薬で抑えて最低限のリハで施設入れるしか無いっすよね」となりがちな症例でしたが、丁寧に分析することで、「高次脳機能障害や四肢体幹機能障害のせいで自分らしく振る舞えない辛さに苛まれている一人の人間」としての患者像がみえてきて、自然と寄り添いよい所を伸ばすような支援の視点が出てきたのが印象的でした。

また、この間リハビリの研修を少し濃厚に行いカンファレンス運営にも積極的に参加してくれている後期研修医が、活動だけでなく参加に目を向ける質問や、先日担当してくれたレクチャーで行ったようにFIMを元に患者家族介護力をイメージした質問をしているところに成長を感じて嬉しかったです。

同じく1年前に当院でリハビリを勉強してくれた別の後期研修医からも積極的な質問がでて、「総合医がリハビリを学び、総合診療のフィールドで実践しながら力をつけていくこと」が夢物語ではなく普通に実現できることなんだなと感じることができました。

また、リハ専門医やリハ技師と、総合診療医・後期研修医とが一緒になってカンファレンスをするなかで、基本的な部分はある程度共通言語(基本的リハ用語)や共通フレーム(ICFなど)を共有しながら普通に会話が成り立ち、互いに苦手な部分に対して自分の得意領域の知識を提供することでお互いの学びになり、多彩な視点で患者の自力を引き出しながらも本人だけに頑張らせすぎないリハプランが形作られていく様子は見ていて圧巻でした。

また、今年度から参加していただいた施設からの発言も多く、距離を感じさせない臨場感あるディスカッションとなり(片道290km離れてますからねー)、徐々に北海道勤医協のリハ・総合医の輪が広がってきているのも嬉しかったです。


自分自身がリハを学び始めたのは、後期研修が終わってポートフォリオも書き終えたにも関わらず、他のジャンルと比べて圧倒的に知識がなかったリハビリを何とかせねば!と必死になって、卒後7年目になってから自分のための研修環境を作り、指導医やリハ技師から多くの支援をもらいながらでしたが同期や前例がなく先が見えずに途方に暮れそうになることが何度もあったので、感無量です。



立場的にはカンファ内容の補足をして参加できなかった人への理解を促すべきですが、一方通行的な感想の羅列ですいません。
それくらい面白かったです。

ある程度実効性のある活動になるには、やっぱり4~5年くらいは地道にやらないとこうは行かないもんだなーと実感して、今感じている限界や焦り数年後にはなんとかなるのかなとも思えました。


来月は自分の病院からのプレゼンになるので、他の施設の方の勉強になるように、また自分たちや患者さんのためになるように、しっかり準備したいと思います。
​​
今後もどうぞよろしくお願いします。



以上です。

そんな感じで、参加者以上に自分が一人盛り上がっていました。



いいですね、他職種協働でリハを学ぶ環境。
 

 
本当は法人外ともつながりたいですが、そうなるとカンファが収集つかなくなるためしばらくはうちわで継続していく予定です。 

このカンファのやり方自体は、今年6月に行われるプライマリ・ケア連合学会北海道ブロック支部地方会のワークショップで再現するつもりですので、関心のある総合医やリハ技師さんたちはぜひご参加ください。

まだ枠に空きがあるので参加可能だと聞いています(当日飛び込み参加も可能ですが、枠いっぱいになってしまった場合は見学になってしまうので事前申し込みをおすすめしています)


リンクはこちらです→http://goo.gl/r4cgyz

 


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