産業医研修、5日目は久しぶりの朝8時半から夜19時まで(昼休み30分だけ挟んでの)10時間ぶっとおし座学で、さすがに消耗してその日の夜のブログ更新はできませんでした。

今日一日ずーっとだらだらして、メシ食って、ごろごろして、Kindleで漫画よんで、メシ食って、昼寝して・・・を延々と繰り返して、ようやく21時ころからパソコン開く気力がわいてきました。

最終日(6日目)の半日の分と合わせてアップします。




その前に、ちょっとした感想。

今回1週間のまとまった産業医についての勉強をしてみて、今までにも同じような「短期集中の研修をすることで自分の医師としての価値観というか医師人生を大きく変えるような出来事ってあったよなー」と思いました。

すぐに思いつくだけでも、5年目の家庭医療研修、7年目のリハビリ研修、そして今回11年目の産業医研修です。



・・・最初の4年半はひたすら病棟総合内科でした。

しかし、その後定期的に、節目節目で自分の医師人生を変える短期研修を経験し、価値観やその後のプラクティスが大きく変わり、付き合う人たちの幅も広がってきたな-と思います。


卒後5年目に3ヶ月いったのは、生協浮間診療所での家庭医療研修。

この時に初めて今所属の法人以外で働き、でも基本的な方向性や考え方が似通った人たちが多くて妙に安心した記憶があります。

この時に知り合った人たちの影響で、その後臨床研究しなきゃと思って実行したり、出版・執筆関係のお付き合いが始まったり、学会の若手医師部会執行部に立候補することになってその後プロジェクトチームや委員会、専門医部会などの仕事に関わるようになったりしました。

自分の理想を全部叶えつつさらに想像しうる限界の先まで行っちゃっている指導医や、自分なりに頑張ってみたそれまでの100歩くらい先まで行ってしまっている先輩に出会い、「自分だけ異常に頑張りすぎているとか方向がずれているわけではなくて、世の中にはこういう人たちがいるんだ」と思えてその後の人生に自信が持てたのも大きかったです。小さな法人内で自分と似たような考え方をする人はほとんどいなく「自分が変なのか?」と本気で悩んでいた時期だったので。

また、「将来は敗血症のプロになって、週の半分はICU、残りはERや総合病棟でブイブイ言わせてやるんだ!(誰を?)」と思っていたDiagnostitian・Intensivist志向な自分が「診療所や地域の方がもしかしたら底なしに面白いのかも?」と思い始めて進路が斜め45度くらい変わってしまった体験でもありました。

そんなわけで、キャリア的には最大級の節目でした。


その次の外部短期研修は、7年目に2週間行った、道南勤医協函館稜北病院でのリハビリ研修でした。

これは法人内ではありますが、いままで働いたことのない地域・病院だったので自分の中では外部研修扱い。

今の病院に赴任して3ヶ月経ったくらいで、まだ自分しか出来ない仕事は少なく、研修医もいなかった時期だったのでドンと2週間もらって行ってきました。

自分たちの病院と同じくらいの規模(そしてそれまでに経験した2か所の地方中規模病院とも同じ位の規模)だけど、超急性期や重症を抑えた分リハビリや地域に力を入れて地域内での連携の要として存在感を発揮しており、内科も病棟や組織横断的な委員会がかなり機能して「ああ、自分がこれから今の病院で目指すのはこれだな」と思えてとても良かったです。

リハビリの世界観・考え方や多職種のことなどを多く知ることができ、家庭医療を知った時に匹敵するいい意味でのカルチャーショックでした。

また、このときに教わったリハ・内科の指導医の先生方の在り方、セラピストやMSWさんたちのプロ意識や悩みなどから学んだことが多く、今自分の立場で多くの他職種と関わる上での土台になっていると思います(この前と後とで他職種との関係性が明らかに変わった自覚があります)


そして今回、卒後11年目の夏に1週間経験した、産業医の夏期講座。

まさか今の立場で1週間も外にでられるとは思っていませんでしたが、若手が順調に育って1週間くらいは現場を回せそうなことに支えられ、また病院のあり方に関する戦略会議や、地域健康増進拠点病院(HPH)としての地域内活動の今後の方向性、そして今産業医や労働衛生を担当している先生方の退職まで残された時間などを考えるといい加減勉強して資格をとっとかねばならん時期ではあったので、絶妙なタイミングでした。

今までだと年1回600名の枠で3年待ちは当たり前だったみたいですが、昨年から年2回500名×2回の開催になって待ち時間が無くなったタイミングでもあったようです。

なんか、自分の都合中心に大きな転機がやってきているような感じです。誰かの手のひらのうえなんでしょうか?


うちの病院に来て1年たった時点で、「病院家庭医として、そして地域健康増進拠点病院に務めるものとして、”病院にいながら地域医療に関わる”ってどういうことなんだろう?ていうか院内のことで忙しすぎて地域に出る時間とか全くなさすぎて涙も出ないんですけど!?」と思ってずいぶん絶望していました。

それでも、そういうことに関心を持ちやろうと頑張っている姿勢に共感してくれたのか、そういうことをやりたくてしょうがない研修医たちが次々来てくれて、しばらく居着いてくれたり、出た後もまチラチラ戻ってきてくれたり、出ている真っ最中でも関心を持ち続けてくれる人たちがでてきました。

そんな人達の手を借りて(というか彼らが自主的に)地域活動に関わってくれるようになって、他職種や他の組織の人たちもどんどんつながってきて、「自分が病院の中で学び実践し出ていき繋がる環境を作れば、あとは他の人たちがやってくれるからいいんだ。自分がやるべきはそういう人たちや活動の要や拠点として病院を整備していくことだ」と思えるようになりました。


そんな思いもあり、卒後10年目の昨年度は公衆衛生学会に参加したり、公衆衛生関係の研究のワークショップや社会的健康決定因子のセミナーに参加することで、地域や集団に対して医療の専門性を持って関わっていく方法論を学び、またそれをうまくやると絶大な効果を出せるという実感を持つところまで行きました

その流れの上で、絶妙なタイミングで今回の産業医講習に参加することができ、「普段の臨床をしながら、一臨床医として、地元の組織の最小単位である企業(患者に影響する集団の最小単位は家族ですが)に対して関わり成果を出す方法論」を具体的に学ぶ事が出来ました。

自分の思いや学んできた専門性、今の地域に根を下ろして集まってきた人たちや出来たつながり、そういったものを具現化し、今の地域に還元する絶大な武器を手に入れてしまいました。


とりあえず今後は、今まで関心を持っていなかった職場の労働安全衛生委員会に関わって、社会を構成する最小単位であり、かつ地域でうちの病院が成果を出すための土台となる「うちの病院の職員たち」の健康管理に関わってみようと思います。

ちょうど、地域健康増進拠点病院の3要素(患者への健康増進、職員への健康増進、地域への健康増進)の一つですし、いま最も緊急性が高い課題でもあるしね。




という長い振り返りでした。

いやいや、ほんとこれからの医師人生変わりますね。

いい経験が出来るだけの時間をくれた、病院の関係職種の方々、後を任せてしまった研修医のみんな、ありがとうございますm(_ _)m

明日からまた頑張ります。





はい、というわけで長い前振りは終わって、あとは5日目・6日目の感想のコピペです。

長くてすんませんね。


5日目、7月31日の記録からです。

ちなみに前日の7月30日は自分の誕生日でした。

あと、SNSでは合間で英語論文のチェックなどしていますが、講義中ではなく朝とか休み時間とか移動時間にちょいちょいチェックしているのですよ。使っている共有サービス(EverypostとかIFTTTとか)が反映するのに少し時間がずれるので講義中にサボってるように見えてるだけですからね。



おはよーございます。

機能頑張りすぎたツケで今日は早起きできず。そして、一昨日の体力測定で腹筋したときの筋肉痛がようやく出てきてます。痛い…。

産業医講習5日目、頑張ります〜(´・ω・`)


5日目の1コマ目は、産業医学における疫学の役割。
 
スライドハンドアウトなくて超圧縮した配布資料だけでパソコンメモも禁止だと辛いですね。

産業医も研究しましょうという前提のような雰囲気だけど、実際の具体的な実践から研究につなぐ方法論というわけではなく。疫学視点でのデータの解釈の仕方を知りましょうにしては、限界や難しさの強調が多く、どう役立てていいか見出しにくい大学講義的な感じでした。

シリカと肺がんの関連についての歴史的経過や国の判断についてなどは面白かったけど



5日目の2コマ目、メンタルヘルスの「復職支援」

実習で判断難しく意見の割れた、復職タイミングや、復職後フォローの時期や方法などを、ガイドライン等を軸に解説。

よくある失敗例の提示や、特に大切なポイントの反復強調があり、考え方が見についた。これならできそうかも


あと、講義で紹介されたweb資料もいくつか。


職業性ストレス簡易調査票
http://www.tmu-ph.ac/topics/stress_table.php 
ここからストレス判定図作って、ハイリスク職場同定したり、モニタリング・共有・検討の材料にしていく(特定の職場や責任者を攻撃する材料にならないよう注意)

「患者の自動車運転に関する精神科医のためのガイドライン」の公開
https://www.jspn.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=74

ラザルスのストレス理論
http://counseling.st/hr/terms/terms367.html

場環境等改善のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)
http://mental.m.u-tokyo.ac.jp/jstress/ACL/

 
今日のお昼ごはん
茶碗蒸し美味しそう 
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5日目の午後1コマ目は、就業と治療の両立支援。

コモンだけど話題にされにくい「ガンのサバイバー」に絞って(うつ病より多いはず)、文献レビューや日本のデータも提示しながら、原則と応用をメリハリつけて、具体例も交えて提示されてわかりやすかった。

単に負荷を減らして上げるとか、職場に復帰することだけを目指すのではなくて個別に柔軟に考えていく必要があり、関連する要素は家庭医療学の「患者中心の医療」の方法論そのものです。

ので、ガンに限らず、心血管イベントサバイバーやうつ病、育休復帰にもそのまま応用できる「考え方」ですね。



駆け出し産業医や職場上司のための、がん患者復職支援マニュアル。
http://www.cancer-work.jp/tool/ 
がん就労者支援マニュアルは、チェックリスト式で使いやすさも考慮されているそうです。

就業判定支援ナビ
http://ohtc.med.uoeh-u.ac.jp/syugyohantei/



5日目の午後2コマ目、産業医活動の実際・医療機関編。

産業医大の産業医してた先生から、医療機関と一般企業との産業保健の違いと課題について提示されたあと、実際に行っていたマネジメントシステム作りや、要因別の対応実例、特に看護師のメンタルヘルス対策について解説されました。

具体的でかなりわかりやすく、またこれまでの講義で聞いたけど「あれ?うちの病院にその組織・役職・活動ないよね??」と思ってたけどその謎が解け、来週から何をすればいいか具体化できてきました。
 


5日目の午後3コマ目は「交替制勤務者の健康管理」

夜間勤務や交替制勤務の産業視点の現状、医学視点での健康影響、リスクはゼロにできないが具体的に減らせることやそのガイドなどあり勉強になりました。

エビデンスの質は不十分としつつも、IARCがgroup2A(有有害な化学物質と同等)と判定し、リスク比は他の乳癌リスクよりも大きいなど交替制勤務のリスク侮れないし、できることから取り組もうと思いました。



5日目午後の5コマ目は参加型産業保健活動プログラム。

参加型で組織をエンパワメントする方法論やツールと実例紹介。

マネジメントに強い家庭医が普通にできそうなこと+苦手な産業医特有の部分はツールで補えそう



5日目最後の講義(6コマ目)は身体障害者の職場復帰。
 
リハ医学講座の先生で、リハ医学視点と産業医学視点との微妙な違いを丁寧に説明し関連法規の説明もあり、復職支援における産業医の役割や具体的なプロセスの解説まであって、たった一時間でも充実の内容。
 
なんだけど、配布資料はテキストサマリーだけで、スライドが結構いいのでメモ辛いのがもったいない。写真とっても後で統合するのめんどいしなぁ。パソコン許可しようよ…
 

隣で、iPadをスタンドに設定してすべて録音し、いいところだけ録音データにコメントはさみ、素敵スライドはそのまま写真アプリで収めるみたいなのやってる人がいて目からうろこでした。

講演会とかに参加しなれてる感じです。

全部の録音メモを後で聞こうとすると大変だけど、印象に残ったところだけしおり的にメモ入れておけばそこだけ聞けるし、ほかの事に意識取られて聞き逃したところも後で聞けるのでとてもよいやり方ですね。

iPadのマイクは性能も良いのであれで結構いい感じに録音できているんでしょう。すごいなー



5日目終わった後は燃え尽きて、ホテルかえってご飯食べて横になったらそのまま寝てしまいました。

ただ、体調はかなりよくて、産業医講習きてから初めて頭痛なく、倦怠感もなく、体のどこも調子悪いところがない状態でした。

生活パターン変化してからやっと安定して片頭痛が過ぎ去ったこともあるし、なにより今の病院での過負荷状態から開放されて通常状態に戻ったってことなのかなーとも思いました。

戻ってから、また変な感じにならないように仕事のペースとか考えようとおもいます。




そして、産業医夏期集中講座、ついに最終日です!

有害業務管理・化学物質、総論・産業保険の企画、産業医活動の実際・嘱託産業医、総論・これからの産業保険の4コマ・4時間の座学です。

朝流される、産業医なごみのDVDもクライマックスへ!
 https://www.youtube.com/watch?v=9MCao2lzcKs



最終日の1コマ目は「企業における人材育成」
 
内容はInstructional designをそのまま実演しながら教えるもので、セミナーやワークショップたくさんやってる若手家庭医なら誰でも知っていて使い慣れているものでした。

新しく知った知識や理論はないけど、全体像を整理してくれたことと、一般患者教育と産業医としての企業内教育の違いの説明が良かったです。

また、ふだんこういうこと意識してない人にはかなり新鮮だったようで周りの人たちの食いつきは良かった印象
 


最終日の2コマ目、健康監理‐循環器疾患患者の適性配置。

心不全や虚血とかでなく、心臓突然死予防のための話です。

AED配置やICDのこと、心臓突然死を起こす患者は心臓リスクない人のほうが絶対数が多いこと、日本のペースメーカー・ICD対象は労働世代男性がほとんどなので産業医や職場理解が必要なこと、原因疾患が欧米と異なり心筋症と不整脈がとても多く検診心電図で発見しうること、デバイス埋め込み患者が法的に就けない仕事や運転制限、避けるべき職場の電磁波発生機器などかなり具体的でためになりました。

コモンだけど救命後は関心が低くなる「循環器疾患サバイバー」のケアの理解が深まってよかった。


てか、産業医の目線だと「循環器疾患」の見え方がずいぶん変わりますね。

外来だと「はい、血圧高いっすねー。標準的降圧薬処方しますよー。食事と運動ねー。定期的に検査ねー」て感じですが(もうちょいちゃんとやってますけど)、働く世代のあいだに最もリスクにさらされ、もっとも仕事できて養う家族が多い時期に発症してしまい、もし障害が残ると労災でお金だす企業側の負担や、そういった障害を持ってしまった人を雇いながらどうやって企業としての社会貢献と生産性を両立させるかとか考える幅と奥行きが一気に変わりますね。

やっぱり、院内でてきとーに健診やるだけでなく、産業医としてその結果を踏まえてどうするか職場の人たちと相談するような活動はしたいです。


心疾患患者の学校,職域,スポーツにおける運動許容条件に関するガイドライン- 日本循環器学会
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_nagashima_h.pdf

ペースメーカ,ICD,CRTを受けた患者の 社会復帰・就学・就労に関するガイドライン - 日本循環器学会
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_okumura_h.pdf



産業医夏期集中講座、全課程が終了しました!

修了証も無事ゲット!!
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最後の学長の話はハイペースで面白かったです。

 

お勧めテキストのリンクも載せときますねー


総合医向け雑誌での産業特集なので、このブログに関心ある人にはどんぴしゃかも。


職場で「なにか健康関連のレクチャーしてくださいよ」と言われたネタが専門外でも、このテキストにはパワポのCDRが入っているのでそれを流用すればその場をしのげますよと言う代物。

産業医大の先生方が作ったものなので内容はよく、しかもパワポデータで入っているので自分で修正もでき、50個ネタがあるので毎月やっても4年は食っていけるとのことでした。


産業医の職務Q&A
産業医学振興財団
2015-05


Q&Aは、かなり詳しく実践的だそうです。



実際に職場巡視するようになったら買おうかなと思っています。




 

そんなこんなで6日間、50時間の全過程を終えて帰路へ。

駅までの臨時バスにも無事乗れて(寿司詰めですが)、何とか北海道まで戻れそうです。

 タイミング良い直行便がなく、羽田経由で帰ります。
12時半会場出発→福岡空港15時発→羽田空港18時発→千歳19時半着で自宅には21時前に付けばいいほうかなという感じです。

行きは7時間でしたが、帰りは8時間。国内なのにー(ToT)


帰りの電車と飛行機で、来週以降のイベント準備とか済ませて、明日くらいはのんびりしたいなぁ

 

以上です。


さ、明日からが、「産業医の資格をもち、リハビリにも強い病院家庭医」 としての新しい船出ですねー。

気張りすぎず、でも大事なことは何かを常に考えながら、いいかんじのお仕事をしたいと思います。


でわ!
 


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