ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第2版が出ましたね!

通称「ジェネマニュ」ですね(この呼び方、普及してるのかな?)



 
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出版社からの内容紹介も引用してみます。

外来診療のナンバーワン・マニュアルとして不動の地位を得た『ジェネラリストのための内科外来マニュアル』(通称:ジェネマニュ)に、内容を大幅にパワーアップした第2版が登場! 

診療情報のアップデートに加え、対応する主訴・検査異常の数を大幅に増やしより幅広い臨床プロブレムに対応できるよう使い勝手の向上を図った。

読者は、目の前にいる患者への診断アプローチ、鑑別疾患から具体的な処方例までを一覧できる。これは「究極の外来マニュアル」だ!



最近、外来研修にこれを持ち込む研修医は多いですね。

第2版は4月にでたばかりなので、みんな第1版の黄色い方ですけど。

買い換えるほど「劇的な変化」とまでは言えないくらいかなとは感じるので、少し前に買って付箋や書き込みで使い込んでいる人はそのまま研修終わるまで使い切ったほうがいいかもしれません。

これから買うなら、疾患の追加など変化はけっこうあるので、「中古の第1版でいいや」ではなく第2版の方がいいとおもいます。




内容としては、鑑別やとりあえずの対応が、基本的にはエビデンスベースドで、かつ外来の忙しい合間でも参照できる最小限に絞って記載してあります。

ので、「外来の研修なんてやったことないのに、今年からデビューだよ。どうすんだよ! 知識ゼロだよ!!」という人が使う上ではとても有用だと思います。


一方で、ガイドラインの推奨と実臨床や最新のエビデンスとのギャップをどう読み取り、どのように目の前の患者に反映させるかについてまでは深めていないかなというところです(マニュアルなので深すぎないというのは妥当だと思います)。

ですので、「各疾患の診断や治療について最低限は学び終えた後に、家庭医やプライマリケア医として深めていく」段階の人にとっては浅すぎるかなと言うところです。


ギャップについて突っ込んで書いていて面白いなと思った本は、自分が目を通した中では以下の2つですかね(自分が家庭医思考なので、内科医よりも家庭医が監修した本を好むというバイアスはあると思います)。












以上を踏まえつつ、自分のところの研修医に「外来用の本、どれか1冊買うならどれですか」と聞かれて、「ジェネマニュがいいよ」と勧める対象は、こんな感じかな↓

初期研修医の、週1回×2~3ヶ月程度の外来研修ならジェネマニュで必要十分だと思います。
むしろこれ以上勉強したら大変で、病棟研修に支障が出るからやらなくていいと思います。

後期研修医で、1年程度の一般外来研修をしてから臓器別内科に進むという人にもよいと思います。
新専門医制度になったら、こういう「ちゃんと一般内科を押さえてから」という人はどうなるんでしょうね…(とりあえずは最低1年位は一般内科の期間が確保されそうですが)

・家庭医療専門医を目指す後期研修医は、最初にこれで「一通り勉強できた感」を持っちゃうと成長が一度止まってしまうし、それでは家庭医療専門医の試験には受からないので不十分でしょう。
最初に変な思考の癖がついてから直すのもかなり大変なので、最初からもう少し突っ込んだマニュアルで勉強したほうが効率いいかなと思います。
ただし、最初から重たい本だと、読み進めたり、必要時に参照するのが大変なので、バランスが難しいですが…(その辺は、指導医レクチャーや定期的な振り返りで調整しつつ、各自が参照するテキストを複数推奨しておくのがいいのかなと思います)

・意識高い系で病院実習もガンガンするタイプの、ハリソン読んでそうな医学生にとっては、その検査や治療を行う根拠や病態生理の記載はごっそり割愛されているので(マニュアルの性質上それで正しいと思いますが)、あまり満足度が高まらないのではと思います。
国試に直接役立つ内容なのかどうかは、最近の国試の内容を把握していないのでなんとも言えません。

そういう人は、素直にハリソン読んだらいいと思います。
最近は、学生・研修医の教科書離れが進んでいるらしく、「ゴハンですよ!」というアピールまでしてしまうくらいなので、どんどん買ってもらって、日本の医学関連の出版業界を元気にして、結果的に良書が増えたり単価が安くなってほしいなと思います。

権威ある医学書がダジャレでPR 背景に「難しい本が売れない」現状





そういう意味で、やはりタイトル通り「内科外来」の「マニュアル」であり、特定の臓器別に絞られていないという点で「ジェネラリストのための」マニュアルではあるが、家庭医療専門医のためではないくらいなので、絶妙で適切なネーミングだなと感じました。

各内科外来か医局に1冊は置いといて、困ったときに利用してもらい、相性が良ければ自分で買ってねというのがちょうどいいところかなと思います。





ちなみに、今回の改定前に、いろんな立場の人に広くコメントを求めたようで、自分にも依頼が来ていました。

「継続外来/健診異常への対応」のうち8項目に対しての読者視点の意見、全体の項目立て(追加してほしい項目など)、各項目内の構成について、外来マニュアルとしての書籍の大きさ等への意見などの依頼があり、コメントしました。

今久しぶりにそのコメントのメール見ましたが、けっこうびっちりコメント書き込んでました。くどいコメントをしてしまって恐縮です・・・


各項目へのコメント反映具合をさらっと見た感じでは、筆者によって細かく対応しているものや、ほぼ全無視のものもあって、いろいろだなぁと思いました。

その辺は、自分も特集号の編集責任やってみて「医師に原稿の細かい修正依頼する」ことの難しさを痛感したので、そうだよねーという感想です。




その他、追加してほしかった項目は追加されていて嬉しかったです。

この短期間で第2版を出したっていうのが、何よりすごいなーと思いました。


そして、外来診療もちゃんと学ぶべきだ!という風潮や、一般内科・総合内科を学ぼう!という雰囲気ができてきて、それを簡単に学べる教材が増えてきたのはほんとに時代が変わったなぁと思います。

果たして、自分が専攻医だったときに、いま出版されるペースで総合診療系の勉強をし続けられたかけっこう自信が無いなぁとも思います。

みんな、よくこんなペースで出て来る新刊に追いついて勉強し続けられますね。尊敬してしまいます。


かといって、自分が当時何を使ってどんな勉強してたかは思い出せないなぁ・・・

Step beyond residentが発行されたときは結構衝撃的だったな(当時うちの関連病院では救急の指導はなく、指導医のルーチンしかなかったので)というのと、Intensivistが出たときも感動して(集中治療を専門にする医師がいなくて各科乗り入れの自由な感じしかなかったので)ガッツリ読み込んだりしましたが、最近はそれに並ぶ衝撃的なシリーズはあんまり思いつきません。

単純に、テキストかって読む習慣が無くなってきて、現場の臨床データから学ぶ(研究)とか、英語の最先端論文にキャッチアップしながら現場適応を考える(EBM)とかにスタイルが移ってきたせいかもしれません。



・・・・・・最後の方は大きく脱線したまま戻れなくなりましたが、多くの本にさらされてそんなことを思っていました。という感想文的な感じで終わります。

でわ!

 

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