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適々斎塾は、開業医集団が主催する有料医学塾で、プライマリケア系メーリスTFCなどに関わられているような精力的で向学心も高い先生方が昨年度立ち上げ、盛り上がってきているアツい学習会です。
https://www.tekitekisai.jp/


2週ほど前の7月開催時の講師の一人として呼んでいただくことができ、4時間の濃厚な診断推論セミナーをやってきました。


その時の講演資料を、一部公開します

適々斎塾_診断推論by佐藤_公開用.pdf by けんた on Scribd




有料セミナーの資料なので無料で完全公開しちゃうのは参加者に悪いなぁという気もしますし(公開の許可自体は運営者の方にとりました)、自分が他の学習企画でも使いまわす可能性もあるため、完全版ではなく限定公開版です。

診断の答えや、知識補充レクチャー部分はカットor隠して、全体の流れや考え方、メインメッセージはある程度伝わる状態にしました。



このイベントの縛りとしては、事例ベースで、飽きないように1例30分程度でという条件があるため、ショートケースをひたすら繰り返し診断推論について学ぶものにしてみました。

まあ、自分のレクチャーは相当濃ゆくて新しい考え方をぶつけるものがおおいので、それだけで4時間だと全員消化不良で死んでしまうので、30分ずつという縛りはけっこう良かったかなとも思います。


また、参加者とインタラクティブにという指定もあり(相手は若手だけでなく開業医が多いため、総合医だけでなく臓器別専門内科医や整形外科医などもいるので、中途半端な話をするとベテランから鋭いツッコミも入って刺激的です)、幅広い人がコメントしたくなるような多彩なメッセージ性を持たせたり、ある程度時間に余裕を持たせないと時間オーバーしてしまいそうな緊張感が面白かったです。

前日に会場入りして、他の演者の講演内容と参加者のリアクションを観察してみたところ、想像よりも運営者側が前のめりにグイグイ質問や提案などしてくるので、コレを引き出しつつ上手に迎え撃ち、会場全体を盛り上げていくためにどうすればいいかを夜の懇親会や当日午前のワークショップ中にひたすら考えたのもなかなかスリリングでした。


また、こういう意識高い場にあつまる学生・研修医は、一般的な診断推論については習得済みであることが多いので(ほんとこの数年の卒前教育のレベルアップはすごいですね)、ドクターG的・総合内科的な診断推論の話だけするなら自分がわざわざ大阪まで出張る必要も無いなぁと思いました。

そこで、自分の病院家庭医としての強みや専門性が全面に出るように、「大病院ではない中小病院でどうする」とか「時間外や僻地の縛りがある場合は」とか「患者の価値観や要求がシビアだった場合は」というふうに、主訴や症状といった患者・疾病要因以外が多彩に変わったときに、どのように診断推論過程が変わるのか、臨床的な決断をその場で下すためにどうしたらいいのかを徐々に学べるように工夫してみました。


全体構成としても、単純に30分ケース×8本とか、4時間ぶっとおしレクチャーとかではなく、「伏線としての自己紹介から始まり、診断推論に未完成のセッティング別決断学つけたショートケースを4パターンテンポよくやって、不自然でない流れで自分の専門性レクチャーに持ってく」という流れで、緩急や起承転結をつけながら一本のラインでつなぐように構成できて、しっくりはまったとおもいます。


あと、時間コントロールの面でも、わりと満足出来ました。

前半巻きぎみで時間稼ぎはしたけど、休み時間を予定通りいれて、フロアからの質問も全部対応しながらで10分押し(10/240分で5%以下の誤差)でおえられたので、初めての試みにしてはまずまず頑張れたと思います。

 


実際終わってみて感じたのは、初めての参加者層というか幅の広さからくるやっかいさでした。

学生~初期・後期研修医~有名な神クラス総合内科指導医~各臓器別専門も込みの開業医たちまでいるフルスペクトラムなので、難易度設定や、関心のばらつきのおおきな集団全員が何らかの満足感を得られる仕組みが一番苦労しました。


前半は学生でもわかる症候論学習会の圧縮版ではいって、意識の高い学生~研修医でもなにかしらの気付きや向学心を引き出すツボを散りばめてみました。

簡単すぎる症例にあえてしてみたのと、ディスカッション時間もかなり切り詰めていたので、マスタークラスの人たちはやや退屈そうな様子の人も散見。
まあ、「学習会二日目、午前三時間の濃厚ワークショップ後、昼食後」といった条件を考慮すれば、多少のあくびや短時間居眠りが数名でたくらいですんだのはむしろ奮闘かなとも思います。


そして、後半は、設定変えながらのショートケース連発(4つの設定×2例ずつで8例/2時間)が一番予想・コントロールしきれないところでしたが、想定時間±10分の範囲で制御できてかなり成功。

終盤に向けて少しずつ難易度や生々しさを引き上げていくことで、徐々にベテラン世代のテンションが高まりフロアディスカッションのレベルも上がり、一方で前半に退屈かもしれないけど基本的なことから持っていったおかげで若手も一緒に盛り上がってきたのは奮えるような快感でした♪



また、締めのレクチャーではVBM、複雑性、不確実性の話をして、自分がグツグツ煮詰めた専門性の奥深さや魅力を伝えながら、ここまでのたくさんのケースを通して伝えたかったメッセージを深く捩じ込むことも成功した達成感を感じられました。


アンケートは特に取っていませんが、開催後に頂いた主催者や参加者からのメールやFacebookメッセージなどからは、最期のレクチャーがベテラン層の心をぐっとつかめていたようでよかったです。


途中や終了後にも、たくさんの質問や感想をいただき、新しい繋がりや講演等の依頼を頂いたり、病院見学の希望などもあり、様々な収穫を得ることの出来た会でした。

こういうあっつい会を、北海道・東北でもガツガツやっていきたいですね。



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