今日はいろいろと「普段通りではない」ことがたくさんあって、とても楽しく過ごせました。


普段通りではない理由は、単にお盆で医師の休みが多いため自分が穴埋めに入ったというものですけど、午前は「普段でていない曜日・時間帯の外来」の代診、午後は「今年度しばらくやっていなかった訪問診療」への復帰2回目でした。



外来は、予約無しで来られる臨時受診や慢性疾患定期処方の方の診察を担当する「一般外来」というものでした。

お盆休みの影響で患者の受診数も多くはなかったんですが、予約外来のおなじみの人達とはまた違う出会いや驚きがたくさんありました。

様々な理由で自分の予約外来から外れたり、急性疾患の治療で他院に行ってからしばらくそちらの外来に通っていて久しぶりに戻ってきたタイミングで久しぶりにお会いして、再開を懐かしみつつずいぶん乱れてしまった慢性疾患含めた包括的管理を軌道にもどしたり…

割とヘビーな疾患があったけど、適切に治療につながっていない諸々の背景があった人との初めての診療で、カルテの行間から読み取り、簡潔な問いかけで背景を引き出すことができ、10年以上に渡るわだかまりを上手くほぐしながら標準的な診療にもどしていったり

普段MultimorbidityやComplex~Chaoticな複雑度の事例ばかり診ているとなかなか味わえない、何の変哲もない若年女性の鉄欠乏性貧血や、何の併存症も心理社会的困難もない高血圧症のみの方とかの診療で、単一病名に対する一般的な薬物療法に加えて生活習慣の相談や動機づけ、その他の生活全般や健康上の相談を通しての予防医療の提供などができて、家庭医療の外来ぽいなぁと楽しめたりでよかったです。



訪問診療は、今年度から体制を調整して小児科外来にでて楽しんでいたんですが、諸事情によって小児科外来をやめて、今月から訪問診療に出るようになっていました。

諸事情というのは、法人内の他の医療機関の医師体制不足に対してヘルプを出した穴埋めを誰かがしなきゃならないとか、経営的な課題を考えると私個人の研修の充実度よりは診療報酬上伸びしろがまだある訪問診療をたくさん診たほうが良いと非情な経営判断を下して自分で受け止めるという切ない経過があったり、ほかにもいろいろなものがあったりでした。

マネジャー&プレイヤー兼ねてると、こういう時つらいですね


昨年度はいろいろあって管理患者数も減っていたんですが、今年度は一気に回復させようということで新規訪問診療受け入れ基準や多職種導入時検討カンファなどの仕組みを導入し、順調に増えていたところでした。

しかし受け入れ基準を緩めたことでかなりの困難事例の新規がたて続いたこともあり、それを自分が吸収して他の若手の在宅診療に負担が出ないようにという感じでやっております。

悪性腫瘍進行期の方の在宅診療新規導入や2回目で、病棟診療内容やそこでの医師患者関係や面談内容などの文脈を読んで、上手く引き取りながら「在宅だからね・・・」というワケワカラン理由でケアの質が下がらないように色んな手を打ってみたり
(外来でいままで主治医していた患者や、病棟入院時に副主治医・指導医として診ていた患者だったりするので、この辺の「セッティング移行にともなうケアの分断を防ぐような、シームレスな診療」の演出は得意とするところです)

介護介入拒否で夫婦共に様々な課題を抱え、経済的にも家屋環境的にもこの夏場は大変そうな家にいって、じっと座っているだけでも汗だくになる環境のなかで頑張って情報収集して流れに乗せつつ、戻ってきてからあらゆる情報を集めて整理して次回につなげたり

認知症メインで他の医師がずっと診ていた人を、夏休み体制のため代診で自分がみて、リハ認定医視点を活かして運動器系のケアや、今の運動器機能を考慮した環境設定の助言をしてバランス取ってみたり

心理社会面が激烈複雑だけど本人は飄々としている某疾患を抱えた人のところにいき、事実と異なる証言(家のゴミ箱の様子や訪問看護師・ケアマネ情報との突き合わせから)をどのように受け止め返していけば、患者のナラティブの否定にならず医師患者関係を深めていけるかと、かといって甘やかしすぎて依存や病態コントロール悪化に行かないところはどの変化をリアルタイムにモニタリング&熟考しながら、本人や同居家族や処置中だった訪看や同行している当院看護師が三者三様に喋るのを同時処理しつつ程々にまとめつつ、移動中の車の中で世の中の無情や疾患の不条理さについてかたりつつ当院の課題を深めてみたりとか

まあ色々あってとても充実しました。



その他にも、夕方からいろいろありました。

月に一回のベッドコントロールセンターの定例会議がまず最初。
この1ヶ月の病床運用について経営・管理視点での振り返りをして、3ヶ月前と比べるとクリアできた課題が幾つかあって確実に前進できたことを表や図から読み取ったり、困難だけど数が絞られ対応策も明確になってきた残りの課題の対策を考えたり、それだけだと現場が大変なので負担軽減策や満足度・やりがいが高まる提案をしてみたりも楽しかったです。


また、月一定例のEBM学習会もその後やりました。
今年度バージョンの「事前にしらべず、当日専攻医がもってきたリアルな現場の疑問を、その場でPECOにして、調べるべき情報源やエビデンスレベルを設定して、10分以内に調べて比較検討しながら現場への落とし込み方をディスカッションして、明日から参加者全員のプラクティスが変わる」というのを2例やりました。

「O-SAS患者に減量させるかC-PAPせるかで心血管予後が変わるかどうか」について調べてリスクや年齢別にどうすべきかが具体化されたり、
「認知症進行期患者で、QOLを無視してでも一日でも長生きさせたいので胃瘻を作りたいという家族に対して、どういった文献的根拠を元に医学面の説明をするのが現代の日本医療では正解か」という深い話題に対してエビデンスの限界やわかっていることを明確にしつつエキスパートオピニオンも交えて説明の仕方を深めたり出来たのも面白かったです。


あとは、他院との連携について非常に難しい案件が発生して、その臨時対応もしたりしてました。
そのイベントの矢面に若きホープの医長が当たってしまったので、自分が回収して対応すれば早いといえば早いんですけど、それだと医長としての成長にもならないし、この案件が発生しうちに繋がった流れにもいまいちそぐわないので少し遠回りして…

医長の心理面ブリーフィングと、トラブルが起きた全体的な背景や相手側背景について分析し共有したり、自分含め責任者クラスで臨時で問題認識や対応策を討論したり、その上で科長と医長と院長の具体的な行動プランを設定して今後に向けてなんとか前に進める方向にまとめてみたりしました。
だいぶ、ManagementとEducationの両立とか相乗効果のイメージが持てるようになってきた気がします。


さらに、旭川医大の看護学生の卒業研究で、うちの職員を対象に質的研究をしたいという申し出があり、その初回打ち合わせもその後しました。

以前自分が地域分析ネタを発表したときに、その抄録を見て関心を持っていただいた教授&院生と面談をして出来たつながりがきっかけです。
そして、今年の地方会でまたそのネタの発展版を発表した時にその看護学生たちが聞いてくれていて、また以前お話していたうちの職員の不思議な能力を質的研究で解析したら面白いねという雑談が看護研究の題材としてきちんとした研究計画書の形になって戻ってきて、なんだか感慨深い感じでした。

事前に倫理委員会で(自分が委員長なので)倫理的に受け入れ可能な研究か検討し、看護師対象の研究になりそうなので師長室にも打診して、今日は大学の教授・学生とうちの総看護師長・副総看護師長の面通しということで来ていただいて間を取り持つ予定でしたが、上記のトラブル対応がちょうど重なってしまったのでホント最初のあいさつだけ顔出して他にいき、顔合わせの最後の10分位だけ戻って少しお話してみたいな感じになりました。
結果的には上手く盛り上がったようで、このまま研究が動きそうなので、自分の理想とする「とても面白く興味深い現場ではたらく現場医療者がネタを発掘し提示し、それを解析し論文にまとめる能力のある大学・研究機関の人が嗅ぎつけてきて一緒に研究し、こちらはデータ提示、あちらは解析というかたちで強みを活かし、無理なく持続可能なスタイルで大学では出せないおもしろ現場ネタを量産し続けるシステムづくりに貢献する」がまた一歩前進した気がします。

また、顔合わせの場で短時間ですがお話ができて、また別のネタもでてきそうな予感があり、とても刺激的でした。


更にその後に、自分がオリジナルネタとしてずっと温めてきている(そしてそろそろ書籍化しなきゃと思いつつ時間がとれていない)、臨床現場で熱心に臨床に取り組み続ける若手~ベテランの総合医・一般医への受けもよい「慢性臓器障害」を軸にしてMultimorbidity時代の急性期病棟管理についての原稿を、うちの専攻医と合同で書いていて(自分は執筆指導と言うかたちで相談に乗る程度で、実際に調べて書いて行く作業は専攻医が頑張ってくれています)、その打ち合わせを最後にしました。

イメージや方向性のところは相談しながら(やや自分が誘導し過ぎの感もあって反省ですが)、専攻医の臨床経験や完成や調べてきた論文や雑誌記事などの情報をまとめ直し、俯瞰し、整理し、一本の線で繋ぐ作業をしばらく繰り返したところ、自分でも当初は想像できなかったような「類書で診たことがない、全く新しい、でも地に足がついて研修医でもやってみようと思える有用な提案」をする原稿にまとまりそうな手応えがでてきました。


やっぱり、自分の場合は1人だけで深く深く潜るよりも、誰かの相談にのったり協力する形の方がいいものが作れるような気がしています。

単独だとどうしても手を抜いてしまうんでしょうね(時間がないから、疲れたからとかの理由で)。




明日も初期研修新コース立ち上げの山場の会議のために久しぶりに本院に乗り込んだり、専攻医の研究の相談にのるためメンタリングの時間を設定したりと盛りだくさんなので、興奮冷めやらずまだまだ仕事出来てしまいそうですが大事を取ってそろそろ帰宅し早く寝ようと思います。

でわ!



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