病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

地域密着型病院で活躍する家庭医を目指し、札幌市内で働いてるDr_kentaです。 病院外来でのプライマリケア、内科急性期病棟の老年・緩和ケア、リハビリテーション栄養を中心に、医学教育や院内システム改善などにも関心を持ちながらいろいろやっている日常を記録していきます。ちなみに「病院家庭医」という正式な呼称はありません(造語です)。 また医師による記載ですが、医学的な内容を自分や身の回りの方に適用していいかどうかは直接診察のうえでの判断が必要です。記載内容を試して発生したいかなる不利益も責任は負い兼ねますのでご了承ください。

地域医療・社会医学

認知症サポート医養成講習会に参加してきました

この週末に、「認知症サポート医」というものになるための講習会に参加してきました。



その他認知症サポート医の役割全般は、厚労省サイトにあります


そのときの配布資料を共有したいところですが、参加料5万円の有料講習会なので無断web公開はまずいと思うのでやめておきます。

スキャナ取り込みはしたので、どうしてもというかたがもしいたら個別にご連絡下さい。



内容的には、

認知症の「診断・治療」については、最近のまともなテキストで勉強している人ならあまり追加知識は得られないくらい。

「制度」や「政策」関係は勉強になりました。背景とか流れとかは大事ですね。

「連携」のところはふわっとしていて、うちの病院で退院調整や外来認知症ケアしている人のほうが知識も経験値も高い感じでした。



参加費5万円の価値は、勉強内容でなく、サポート医を取ることでの各種加算等で儲かる見込みがあることくらいでしょうか。


1.かかりつけ医が認知症について学ぶための研修の講師
(総合診療医や家庭医でなく、かかりつけ医というところがお役所&医師会ぽいですね)

2.地域のネットワークのリーダー
(地域包括ケア病床みたいに、地域内で認知症患者のケアネットワークのハブを担う感じのようです)

というのが、制度の性格上、本来期待される役割です。


他に
3.老健の認知症短期集中リハビリの指示医師資格要件

4.認知症初期集中支援チームのチーム員会議のメンバー
最初の6ヵ月集中的に他職種ではいって整理するチームで、各地の自治体や医師会でこぞって立ち上げようとしているらしいです)

5.急性期病院の認知症ケア加算の医師要件
(入院患者で、一定の評価や毎週のカンファを行うと加算がけっこうもらえる仕組み)

などが、経営上のメリットになっており、とくに5の条件がついたことで急に病院医師の参加が増えたといっていました(自分も5目的でした)。


本来、病院医療にあたる5は制度の本来目指すところではないんですが、認知症ケア加算の要件にある「認知症ちゃんとみれる医者ってどういうこと?」という問い合わせに対して役所かどこかあ「現状では認知症サポート医の講習受けた人ですね」と返答しちゃったことで追加されてしまったんだ。という残念感・不本意さを複数の講師の方が漏らしておりました。



郡部などでは、市町村が厚労省の指示でこれにそった動きを始めており、もしかしたらみなさんにもサポート医講習を受けるような依頼があるかもしれません。

グループワークでは、市町村に言われてきた、医師会に言われてきたという受動的な人がたくさん来ていました。

「全然イメージ湧かねーわ」という人もいましたが、全体的には「自分の関連法人内では連携できてるんだけど、外部はどうなのよ?」とか、「担当ケアマネがダメな人だと詰んだよね」みたいな生々しい話があり、しかしその解決策が見えてくるほどは深まらずもやっとでした。



自分自身は、ちょうどこの二日間(土曜昼から夜までと、日曜朝から昼間で)に胃腸炎を発症して死にそうでしたが、無事に全行程を耐え抜き講習修了証がもらえることにはなりました。

気分も新たに、地域包括支援センターと顔の見える連携を深めてみようかなとか、法人外との病病や病診連携を拡げてみようかなと思ったり、病院ホームページ上で認知症診断やケアの相談に乗ります活動をアピールしてみようかなとかいろいろ考え始めました。


外圧や肩書がきっかけで、具体的な行動につながることはありますねー。




そのまま休みなく働いており、今日は夕方から東京にとび、明日明後日は缶詰状態での「プログラム責任者養成講習会」に参加して医学教育学的なことを学ぶことになるのだろうと思います。

土曜深夜に戻ってきて日曜はオンコール当番となり、12月までは土日の休みがない状態が続きます・・・(TдT)





    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

法人間での「地域連携」を考えるシンポジウムを開催しました。地域とは?連携とは?を考え、関わる個々人の顔や考えが見えてくる良い会でした

2週間ほど前に、医療機関からなる勤医協グループから当院(主に地域連携室メンバー)と、介護系組織(訪問看護やヘルパーやケアマネや施設管理者や病院食のセンターなどの集合体)からなる勤医協在宅グループで集まって、合同での「地域連携シンポジウム」を開催しました

北海道勤医協 http://kin-ikyo.jp/

勤医協在宅 http://www.sapporo-zaitaku.jp/



タイムテーブルはこんな感じでした
===============
18:00~ 開会の挨拶 

18:10~ 自分の講演
 「病院家庭医が考える地域連携とは」
 

19:10~ シンポジウム:テーマ「地域医療を支える医療福祉連携に必要な事とは何か」
シンポジスト① 看護小規模多機能 責任者
シンポジスト② 特養 責任者
シンポジスト③ 地域住民 代表者
シンポジスト④ 当院地域連携室 師長
シンポジスト⑤ 当院 外来医長・各部門連携担当

20:10~ まとめの言葉
20:20  終了
===============




他の方々は、口頭での報告だったり、具体的な事例に基づいた報告が多いので公開はしにくいので、自分の資料の一部を載せておきます。

170825-勤医協在宅と札病合同学習会_地域ケアシンポ.pdf by けんた on Scribd




自分の話は、以下のような流れにしました。

1.家庭医についての紹介
遅刻してきた人がいても本題のところを聞けるようにという前座的なところと、連携する前にうちの病院にいる家庭医という人達は何を目指しているのかを知ってもらうために長めに。
地域連携をおまけやボランティアや経営的圧力でやっているのではなく、本業でやりたいと思っているが、なかなか病院からでられないので協力していきたいというメッセージを根底に

2.白石区の地域分析結果
地域連携の「地域」って何なのかと、対象地域の特性を個人的に分析した結果を伝え「この地域で何をしたらいいのか」を考える材料を提供。
どうしても介護集団だと高齢者や障害者にしか目が向きにくくなるが、そこに至るまでの「まだギリギリ大丈夫」な人や、そこに行きそうな若い世代など「上流」にも目が向き視野が広がることを念頭に。

3.専門職連携の様々な形態と理想
いろいろな専門用語や分類を敢えて羅列して、「今後どのように誰と連携していけばいいのか」を考える際のフレームを提供。
自分たちは今どのへんにいて、次はどこを目指し、将来的にはどうなりたいかと未来志向になるように意識

4.最後に問題意識の提示
ハードルをあげるというよりは、今回の1時間もの話を要約しつつ、このあとのシンポジウムにすんなり入り込めるような繋ぎとして



シンポジウム部分も、けっこう盛り上がりました。
当院からの難易度の高い事例の退院を受けてくれた、看護小規模多機能施設の責任者から、エクセレントな連携事例の紹介とその裏側の努力の提示

住民代表(友の会の方)から、自分の親が勤医協グループにお世話になってきた患者家族側視点で、感謝や願いをとても心に響く言葉で

当院連携室師長から、今の連携室の機能や事情と思い入れのある事例を提示し、制度面や経営面からの限界や制限と、それを踏まえてでもやりたいイメージの提示

当院の中堅家庭医から、各部門を繋ぐ仕事をしてきていてわかってきた・できてきた現状提示と、それを医療・介護で上手くやるイメージの提示

という感じで、10分位ずつでしていただきました。


人選に尽力していただいた在宅法人側のイベント責任者と、呼ばれてきたシンポジスト個々人の全てがそれぞれに持ち味を最大限はっきしており、聞いている自分も引き込まれ、様々なことを考え、多くの気づきや発想がでたとても刺激的で学びのある会になりました。


最後に意見交換して、今後の連携強化に向けての空気・流れを少し強化して終わりました。

具体的な成果としては、在宅側で作っていた連携チームにうちの医師も入れてもらうことになったのは大きなことでした。
病院側の組織に介護側が入ってもらうのは、医療→介護の一方通行な権力勾配が強くなりそうでいやだったので、「相手フィールドにすでにあるものの末席に、こちらがお邪魔させてもらう、入れていただく」形はとても良かったです(そういうチームがあったことを初めて知ることができたのも、入りたいなーと自分や医長が思っていたら声をかけてもらえたこともどちらも嬉しかったです)

また、半年後に再度同じメンバーであつまって、今回学んだことや気づきを元に実践した事例を持ち寄っての振り返りをするぞというイベント告知と、それに向けて意識的に事例経験を積んで行こうねという宿題提示も出来ました。



当院のように、高度専門医療や重症診療、救急医療を十分にはできない「地域密着型中小病院」が、地域にどう向き合ってきたのか、そして今後どうなりたいのかを、一方通行や独りよがりでなく、ともに考えるきっかけとなるような会に出来てよかったなと思います。


合わせて、地域や住民とのインターフェースとなる、当院内部の各部門の機能改革なども少しずつですが目が出つつあるとは思うので、「外との連携」ばっかりで外面だけよいハイテンションな人で終わらず、「内部の充実」もきちんとバランスを取り、この大変な地域での地域医療を少しでも良いものにしていければと思います。

その辺については、今週後半に一つ目のおおきなヤマが、また再来週にはもう一つのでっかいヤマがあり、また並行して飛んで火に入る夏の虫というか鴨がネギ背負ってきた感じの外部からの別視点の連携の提案もあり、これからまた盛り上がっていきそうです。


盛り上がりに自分がついていけるように自分自身の体調管理・ワークライフバランスと、特定の部門や人に負担がかかりすぎないような人材確保。育成などのマネジメントとをよりいっそうしっかりやっていかねばですね。






    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

「The health gap」の日本語訳「健康格差」が出版されました!

社会医学系の日本語テキストがでました!

健康格差 不平等な世界への挑戦
マイケル・マーモット著
野田浩夫訳

健康格差
マイケル・マーモット
日本評論社
2017-08-25

Amazon

健康格差 不平等な世界への挑戦 [ マイケル・マーモット ]健康格差 不平等な世界への挑戦  楽天


内容を想像する参考となるように、目次や出版社による解説などを引用します

<内容紹介>

健康は、所得だけではなく教育や環境などの社会的要因(SDH)で決まる。
その科学的根拠と処方箋を第一人者がユーモアたっぷりに紹介。

<目次>
序章
第1章 悲惨のしくみ
第2章 誰の責任なのか
第3章 公平な社会、健康な生活
第4章 誕生時からの公平
第5章 教育とエンパワーメント
第6章 生きるために働く
第7章 おとなしく流されてはいけない
第8章 回復力のあるコミュニティを築く
第9章 公平な社会
第10章 この世界で公平に生きる
第11章 希望のしくみ

<著者紹介>
マーモット,マイケル (マーモット,マイケル)   Marmot,Michael
1945年イングランド生まれ、オーストラリアで教育を受ける。
現在、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学)疫学・公衆衛生学教授。
2015年から2016年にかけて世界医師会長。
世界保健機関「健康の社会的決定要因委員会」(2005~2008年)の委員長を務め、『社会的決定要因と健康格差に関する欧州報告』(2014年)をまとめた。
2000年に女王からナイト(Knight)の称号を授与



全日本民医連のベテラン医師集団が全国で集まって、この1年ほど何度も会議に集まり、web上で分担して翻訳作業と相互チェックをしつこいほど繰り返し、その他の細かい議論・調整もフェイスブックグループ上で超濃厚にやっていました。

うちの院長もメインの1人として関わっていて、自分もグループには入れてもらいましたがあまりの作業量とスピードと濃度についていけず傍観者になってしまいました。

せめて宣伝で貢献します。




著者へのプレゼンで権利を獲得し、監訳者もつけて、表現もこの領域に詳しくない医療者や、非医療者にもわかりやすいように相当な工夫をされていました。

また、一般の人に広く読まれたいという思いで、印税拒否や、初版を一定部数法人内の色んな所で買い取ることでけっこうお安くなっています。

こういうやり方で「すでに誰かが発見し、統合してまとめ直した重要な知見を、読んでほしいターゲットに広く届ける」という形での学術活動のやり方があるんだなと勉強になりました。



自分も一部もらえたので、次の出張の移動時間のときにでも読んでみようと思います。

自分の身の回りで読みたい人いたら、直接院長にいうか、自分に言ってくれれば著者割引などでお安く提供出来るかもしれませんのでご連絡くださいな。




ちなみに、写真の後ろに偶然写り込んでしまったのは、自分も編集委員をさせていただいている南山堂「治療」の2017年1月号「健康格差対策」特集の本です。

治療 2017年 01 月号 特集 健康格差対策 [雑誌]
南山堂
2016-12-29


偶然同じようなテーマの本が移っていました。

というくらい、最近はこのネタが、出版業界でも、学会でも、色んな所でアツいですね。

それくらいに日本の今の社会医学面での危機感が強く、また若手医師や一般住民の関心も高まりつつあるということなのかもしれません。


自分は関心だけはありますが(もともと医者1人を優秀にするより地域の仕組みを変える方がよりよい健康アウトカムが広く長く得られると思っていたので)、残念ながら今までは手軽に読める日本語の書籍が少ないことを理由に知識面の補強が全然追いついていませんでした。

近藤先生達の書籍や、この「健康格差」などで少しずつでも勉強して、家庭医療専門医として、地域密着型中小病院ではたらく病院家庭医として、民医連所属機関ではたらく医師としても、肩書や立場に恥じないような力をつけていきたいなと思います。


でわ!




    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

他法人病院との連携懇談しました。地域連携室の室長らしい初めてのしごとかも。

地域連携室長になってから初めて、外部の医療機関の方と連携の懇談をしました。



いままでは「法人の本院に救急を送り、落ち着いたら包括病床でうける」ところに最適化してのが、当院の特徴でした。

たしかに、法人内で完結できるくらい「超急性期~亜急性期~慢性期~生活期」の医療機関・介護関係機関が揃っているのは強みではあります。

また、経営的にも一定のメリットがあるという側面もあるでしょう。経営的に旨味のある症例を本院に送らねばならないという当院の役割もあります(送られる側は経営者でなく現場労働者なのでいろいろと反感を買うことも多いですが…)
 
でも、逆に言えば柔軟性や発展性はないし、そもそもこの「地域包括ケアシステム」の時代において、一次医療圏の枠内での連携が不十分なまま医療圏外とのやり取りだけせっせと継続するのはなんだかなぁって感じですね。

また、本院の方の入院がへったり退院調整システムが滞ると、それと連鎖して当院病床に空きがでたりして、当院の経営的安定性にも影響があります(収益の根幹を1ヶ所に依存するのは、リスクを分散したほうが良いという考えにはそぐわず危なっかしいですね)



というわけで、法人内での役割は維持しできれば発展させつつも、法人外との連携を開拓し、「理想的な地域包括ケアシステムのハブを担える病院に成長し、当地域に住んでいたけど重症過ぎて当院では対応できず遠方に運ばれた方が、日常生活に戻るために地元の当院で引き受けて支援していく」という役割をもう少しひろめていければいいなとうのが、地域連携室の室長を拝命した時から考えていたミッションでした。

まあ、とはいえなかなかどうやっていいやらは難しいところで、なんせ院内の上司には「外部と積極的に連携して開拓していく」経験値が豊富な人がおらんので、優秀な実務担当者はいるんですが、「自分が責任者としてどのように振る舞えばいいのか」がわからず手探りなんですよね。

思いつきでとりあえずやってみて大きくミスると、返ってダメージが大きくなるかもしれないですし。



そんな矢先、お隣の区にある救急で有名な病院から、「今度、連携を深めるために訪問させてもらえますか?」とご連絡をいただけました。

来てもらえるなら、迎え撃つことで訪問の仕方とか、面談の場をどのように組み立てて運営すればいいのかの手応えがわかります。

また、こう言っては何ですが、先方からの申し出なので、あまりうまくできなくても「こちらのミスで破談になって大ダメージ」というリスクは小さいので、「リスクを取って一発逆転よりは、ローリスク・ローリターンな無難なことからコツコツと積み上げて、時間をかけて大きく育てる」派の自分としてはとてもうれしい最初の一歩でした。

また、そこの救急科は、以前総合診療医関係のイベントでなんどか一緒に活動した先生と、学生時代から何度かやり取りがありうちの医長ともつながりのある先生がいて、そのお二人が来てくださるということで「正直、気持ち的にすごく安心感がある」というのはほんと助かりました。



実際、来ていただいて、かなり緊張はしましたけど導入のお固いお挨拶後はぶっちゃけたお話ができ、双方にとってとても有益な(結果的に患者さんや地域住民にとって有益な)連携の仕組みを作れたと思います。


先方が救急で忙しい中長時間かけて電話かけたり手紙書いたりはアホらしいので、当院で運用していて他院でも使ってもらっている転院依頼用紙に他職種が記入してFAXしてくれれば、受け入れ可否や時期について迅速にお返事できる仕組みを提示したり

誤嚥性肺炎や骨折など、急性期に長くいると返って廃用が進んだり、併存症管理が抜けて病態が複雑化したりするものですが(急性期で頑張っている先生方には偉そうで恐縮ですが、実際問題として)、入院から転院判断を早くして1日でも早く引き受けることで、急性期治療の質を維持して引き継ぎながらも老年医学的評価・併存症管理・リハビリテーション栄養・退院調整をガガガガッと進められるのは、先方にもこちらとしても患者にとってもメリットだらけです。


また、こちらの病院が得意とする機能や患者層、正直苦手な分野、それを踏まえてお願いしたいことをぶっちゃけて伝えたり、逆に先方が「こんなのは困りますよね」というのもだしてくれて「あ、それは逆にウェルカムです」みたいなやり取りで先入観によるギャップを取り払うこともできて、ほんとに有益でした。


それと、転院調整をかけたけど病状が好転して直接退院となってキャンセルになる→用意していた病床が空床となり赤字になるというのはよくあることですが、それは双方よくわかっている事なので、やや過剰気味に「とりあえず打診かけてもらい、こちらで他院キャンセルで出来た空床があれば迅速に情報流してすぐ転院できる患者をすぐに選定できる」ようなやり取りもしていけそうです。

リスクの分散はかなりできそうです。



そんな感じのことをとりあえずは試験運用的に始めてみて、幸い両者の責任者が顔馴染みなのでマメにぶっちゃけたフィードバックで改善をかけていき、ある程度質の高い仕組みに出来たらまた次の病院にも拡げていけるんじゃないかと考えています。



今回の経験をもとに、「こちらから他院に連絡し、訪問し、情報交換をして連携を構築していく」という攻めの姿勢も試していければと思えるようになったのも良かったです。

また、せっかく行くなら、全く知らないところよりも、個人のツテでもいいし、これまでの患者紹介の実績でもいいので、何かしらの縁やゆかりのあるところからの方が「お互いやりやすい」ということもわかったので、そこも意識して訪問先を考えてみようかなと思えました。


もちろん、うちは病病連携だけでなく、病院-診療所の連携や、病院-施設の連携など、多彩な連携先を用意する必要があるので、病院以外への訪問も色々試行錯誤しながら開拓していければと思います。



この領域はなかなかよいテキストがなく、院長や事務向けのビジネス書的なのはあるんですが、若手・中堅がまなびながら、かつ相手より相当下の立場からどのようにやっていくかという視点でまとまったものはないので、学びにくいですね。

だからこそ面白いというところもあるし、ある程度ノウハウを蓄積しつつ、同様の境遇の人達と連携しながら、一定の方法論(やり方だけでなく、そのスキルを身につけるための学び方も含めて)をまとめて、セミナーやテキストにまとめていけるといいなぁと思っています。


とりあえずは、学会の専門医部会の病院所属者向けコミュニティ(フェイスブックグループ)で、ノウハウあったら教えてください!的な質問を投げかけてみたので、いい情報が得られればいいなぁと思います。
他にも全日本民医連のコミュニティでも聞いてみようかな。

わからないことは、自分で調べるだけでなく「人に聞いてみる」とか、わからないなりに「とりあえずやれることからやってみる」といった学習スタイル・行動様式を使えるようになったなぁというのも、今日のしみじみ感じた成長点でした。


管理者になっても、日々学びと成長とチャレンジですね。

楽しい・・・


    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

健康の社会的決定要因(SDH)のワークショップ資料共有と、全日本民医連総合診療医若手医師部会の紹介と

2017年6月24日の、日本プライマリ・ケア連合学会北海道ブロック支部地方会で行った、健康の社会的決定要因(Social detarminants of health)をテーマに、複雑困難事例の退院カンファの新しいフォーマットを提案したワークショップの資料です。

Sdh Wsinhpca公開用 by けんた on Scribd




若干個人情報を削除し、当日配布できなかった締めレクチャーや参考文献の資料もつけています。

うちの病院の若手医長2名、うちの法人の総合診療後期研修プログラム3年目1名と2年目2名とでチームを作り、1ヶ月弱で準備をしました。

それぞれの強みや関心を活かし、それを上手くくみあわせ、けっこう盛り上がったよいイベントになったと思います。

終わった後の参加者アンケートでも、自分たちの振り返りのなかでも、まだWSとしての完成度としては改善できる部分が沢山みつかったので、次にまたWSできる機会を作りそのときに再度ブラッシュアップしようと思っています。



また、こっちは今回のWSの元になった、全国学会で同テーマのワークショップやったときの参考文献リストです。
愛媛生協病院の若手医師が作ってくれました。すごい!



この、元WSは、「全日本民医連 総合診療医若手医師部会」という若手有志で集まってやったものでした。

全日本民医連 総合診療医若手医師部会




今までは、総合診療というと超有名研修プログラムの専攻医+卒業生たちのチーム(北海道なんちゃらとか亀田なんとかとか東京のあそことか)がイベントでタッグを組んでかっこいいなぁと思うことはありましたが、全日本民医連ではあまりチームで集まって一つのイベントを外部向けにやるということが無いなぁと思っていました。

昨年末くらいに個人振り返りをして、「やっぱ民医連所属してるならそれっぽいことをやりたい。でも上の世代のやり方ではイマイチと思うこともたくさんあるので、自分と近い卒後3~15年目くらいの若手~中堅で集まって理想を追求しながら臨床のレベルアップ、集団での共同学習、そしてイベント開催や臨床研究による情報発信などをしたいな」と思うようになり、試しに民医連のフェイスブックページで提案したら賛同者が以外にあつまり、発足し、その中でフリーの情報交換する中でこのワークショップ企画が立ち上がりました。

今後は正式な組織として形作って、きちんとしたプロダクトを作っていければと思います。


その手始めとしてこのWSがあり、一回やっておわりではなく、メンバーが各地の所属院所で何度かやったり、自分みたいに地方会で再演したりしながらブラッシュアップしていこうとか、その活動をまとめて妥当性の検証されたツールにしたり、その過程を研究にまとめられたらいいねということを、けっこう本気で計画できているのがいい感じだなぁと思っています。

他にも、研究や論文作成支援グループも作れそうなので、すこしずつ若手・中堅の底力を、わかりやすい形にして発信し拡げていく活動ができていくといいなぁと思います。


医師でなくても、民医連で研修後外に出た人でも、実年齢は若手じゃないけど・・・という人も、ご相談いただければ参加可能とおもいますので、興味持たれた方はご連絡ください。





    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

地方会口演「病院家庭医が 地域ケア に踏み出すために」の発表資料公開

先日(2017年6月24日)に開催された、プライマリ・ケア連合学会 北海道ブロック支部 地方会で発表した、地域分析がテーマの口演発表の資料をシェアします。


6分の発表時間に膨大なデータをいれてしまったため早口となり、また時間オーバーしてしまったため質疑応答の時間が短くなり、しかもその後ワークショップの準備ですぐに会場からいなくなってしまったため「質問したかった」とか「資料もう一度じっくり見せて」というご意見を複数頂いたため、公開することにしました。

170624 Hpca口演「地域分析」佐藤健太 共有用 by けんた on Scribd




今後論文化していくことを目指す学術発表であれば、原則はweb上への学会発表スライド公開すら自己剽窃と取らられることがあるようですが、今回のは分析結果とは言え活動報告に近くてPeer review付きの学術誌に投稿するような内容ではないのでいいかなと思いました。

もしまとめるならアクションリサーチの体裁でだとおもいますが、どうやってまとめたら体裁が整って学術誌に掲載誌てもらえるレベルになるのかの知識が皆無なので、それはおいおい勉強していこうと思います。

活動報告のかたちのままでも、プライマリ・ケア連合学会の実践誌の方(学術誌よりもフランクな、総説や活動報告や連載などがあるやつ)になら投稿できるかもしれませんね。
(いちおう先日届いた夏号巻末の投稿規定みるとイケるように読めますが、実際どうなんですかね)



内容としては、「病院家庭医」なのに地域に出ていけないという個人的背景と、そうは言っても社会的困難事例が次々搬送される現実を「背景」として簡単にまとめて、

「結果」としては、病院のある白石区内でのハイリスク地域とハイリスク年齢層を推測できそうなデータを、マクロな公開データとナラティブな関係者からの聴取データ、ミクロな当院内部で解析したオリジナルデータを絡めあわせながらまとめました。

「考察」としては、歴史的にも「貧困の再生産」の視点からも、成人や高齢者医療をするためにも「小児や母親へのアプローチ」が必要なことが見えてきました。



それぞれのデータは、バラバラの目的でバラバラの時期にできたものです。

しかし、同じ地域・同じ病院で一つの目標を持ってずっとやってきて見えてきた視点を縦糸にして繋ぎ直していった結果、結論としてたどり着いたのが

「いま病院として力を入れつつある子ども食堂や高齢者サロンの重要性」や、

「自助・互助・共助ともつらい地域において、地域包括ケアシステムに主体的院関わろうとしている当院のスタンス」など、

今の病院の方向性や戦略に合致するところにまとまったのはけっこう新鮮な驚きでした。


まあ、そういうのを意識しながら臨床したり学会発表しているので、その結論に落ち着いたのはかなり自分の主観が入って誘導したともおもいます。
ので、量的研究の立場で「科学性・客観性がどうこう」と言われるとそうとう肩身が狭いですが、質的研究・アクションリサーチの視点ならむしろありかなとも思ったりします。



また、最後に参考としてだしている「地域格差対策の7原則」もわかりやすく、病院として地域健康増進に関わる戦略を考える上での参考になるかなと思っています。

http://www.iken.org/project/sdh/pdf/15SDHpj_part1_main.pdf




赴任から6年経ってようやく「現状が見えてきた」所止まりかと思うとため息しかでませんが、それでも現状は見えてきたし、自分の指示した範囲でしか動かないのではなく「自分の意志や指示とは無関係のところで、偶発的・同時多発的に同じ方向性に向いた活動が出はじめる組織で勤務できている」ことは結構感動モノという気もします。

将来の野望の一部として、「健康増進に力を入れた、持続可能で発展性のあるまちづくり」がありますが、そのために自分がスーパーヒーローになって牽引するパターン(そして自分がいなくなってもとに戻る)は違うんですよね。

自分は「触媒」としていろいろを誘発しつつも実際は他の人達が自発的・無意識的に健康増進的アクションを自然と、そして連鎖反応的にし続けて、自分がふといなくなっても誰も気づかずに健康的な町が維持・発展していくというところを目指しているので、けっこう自分的には深いところがふるえる体験でした。



    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

地方会で、社会医学系の口演とワークショップやってきました!満足っ!!

地方会(プライマリケア連合学会の北海道地方会)、無事に出番を終えました!



口演は地域分析ネタで、社会経済的に困窮した健康ハイリスク層の中身や由縁や分布を徹底的に調べてまとめました。
この6年くらいのデータを、すべてつぎはぎしてストーリー作る作業が質的研究ぽくて楽しかったです。
これを一人で調べたんでなく、院内外のいろんな人たちが自主的に調べたってとこに、この地域やこの組織の明るい未来を感じます。自分は既存のデータをまとめただけです。

発表持ち時間の6分をオーバーして反省ですけど、なんなら30分くらいもって話したかった内容です。

次は院内でやって、単なる経営対策ではない、地域の深いニーズにあわせた発展的な病院活動方針を提示していければいいかなぁとおもうのです。えらそうですいません。


ワークショップは、LIFE support conferenceというやつでした。
全国学会でやったのを振り返って、ほぼ全面焼き直ししました。

社会的な要員でいろいろ困難になってる事例を、「とりあえず施設へ!」とかじゃなくて、その根元や上流に目をむけて、事例への理解や関わりを深めつつ、地域改革に踏み出す気持ちを高める仕掛けをもりこんだカンファを体験してもらいました。

うちのスタッフや専攻医がかなり積極的に、持てる能力や立場やキャラをさいだいげん発揮してくれて、我ながらおもしろいものが作れたなとおもいます。

後日振り替えったら、報告書にまとめて、これも病院や法人宛と、全日本民医連の総合診療若手医支部会とかで共有しますね。
ワークショップとしてブラッシュアップしながら、現場への還元も同時平行でやりたいっす


以上の2つで完全に燃え尽きてしまい、明日も急遽、法人の定期総会?というのに朝から夕方まで参加して発言もしないとなので、基調講演と懇親会は辞退させていただきます。すいません

    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

プライマリ・ケア連合学会北海道地方会に、一般演題が採択されました!!

今週末はプライマリ・ケア連合学会(JPCA)の全国学会で諸々発表などありますが、来月にはJPCA北海道地方会があります。



関連webページはこちら
http://jpca-hokkaido.jp/第5回北海道地方会開催のお知らせ


チラシ文面をコピペします。
=====================
日本プライマリ・ケア連合学会北海道ブロック支部  第 5 回北海道地方会
 
【日  時】:平成 29 年 6 月 24 日(土)13 時 30 分〜18 時 10 分
【場  所】:かでる2・7(北海道立道民活動センター  札幌市中央区北 2 条西 7 丁目)
【参加費】:支部会員  ¥2,000    非支部会員  ¥4,000    学生・初期研修医  無料
 
【プログラム】
1.   開会のご挨拶(13:30  〜  13:40)
2.   総会  (13:40  〜  14:00)


3.   学術発表  (14:00  〜  15:00)
「口演(一般演題)」
「じぃんとしたり,グッときた事例や実践のポスター発表会」
※詳細は募集要項をご覧下さい.

4.   ワークショップ,シンポジウムなど  (15:10  〜  16:40)
①   ワークショップ1:
旭川医科大学看護学科教授  照井レナ氏監修!
「IPE de IPW  〜かかりつけチームになる!〜」

②   ワークショップ2:
「退院前カンファを変えよう  〜LIFE SUPPOT カンファのすすめ〜」と題して
健康の社会的決定要因(SDH)についての実践的な知識を学びます!

③   ワークショップ3:
「指導医との上手な付き合い方〜隣の芝生は青いのか?プログラムの壁を越えた専攻医
ぶっちゃけディスカッション」
地方会初の専攻医による企画!  北海道内専攻医のオリエンテーションも兼ねています。

④   レクチャー:  
人気企画「日常診療アップデート」
関節リウマチ,パーキンソン病,高尿酸血症,逆流性食道炎の 4 部構成でお送りします。

⑤   レクチャー:  
重要トピック「ポリファーマシー」をテーマに 3 部構成でお送りします!

5.   基調講演(16:55  〜18:05)
「これからの日本の医療,特にプライマリ・ケアについて(仮題)」
厚生労働省医政局医事課  課長補佐     久米隼人氏  をお招きします!

6.   閉会のご挨拶(18:05  〜  18:10)

7.   懇親会(18:30  〜  )
別会場にて開催する予定です。
 
■多職種でプライマリ・ケアを学ぶことができる貴重な機会です。
非支部会員の皆様も大歓迎!ふるってご参加下さい!
 
第 5 回北海道地方会  実行委員長  山田康介
(副支部長,更別村国民健康保険診療所)
=====================
こんな感じ。

もう5回目になるんですね。。。





自分の出番は2つになりました。

もう専攻医でもフェローでもないので、内部で発表の機会もらえることはないし、振り返ってもらえることもないので、外部の学会・地方会・講演会とかで発表して、よその人にコメントもらうことで「振り返りながらの生涯成長するぜ!」という目標を立てていたので、頑張ってみました。

年1個発表すればいいやくらいでおもっていたので、調子に乗りすぎてちょっとやりすぎたかもしれません・・・(;´Д`)




1つは、講演(一般演題)です。

採択されたので、応募したときの抄録をコピペしちゃいます。

一般演題(口演) 
種別 :活動報告  
テーマ:地域包括ケア


演題タイトル
病院家庭医が地域ケアに踏み出すために

~マクロ・ナラティブデータによる地域住民・外来患者の分布分析~


抄録本文

【背景】
家庭医は診察室内だけでなく、地域の健康問題に取り組む専門家である。
しかし、病院勤務をしながら地域ケアに取り組むことは容易ではなく、「病院家庭医」を名乗る私も院内業務に忙殺されていた。
それでも地域に意識を向けつつ臨床や教育に取り組み続けたことで、徐々に地域の問題特性が見えてきた。
また、白石区から「札幌市10区のうち白石区は寿命を含む健康指標が最低であり、セーフティーネットも不十分」という報告が届いたことをきっかけに病院管理部を中心に問題認識が強まり、病院全体として地域ケアに取り組む機運が高まった。


【目的】
地域志向のケア(COPC)の第一歩として、既存の地域データを分析し、重点介入対象となる住民の地理的分布を明らかにする。


【方法】
マクロデータとして札幌市衛生年表・特定健診受診者質問結果・健康札幌21(第二次)データや白石区保健センター報・まちづくりセンター別人口動態を、
ナラティブデータとして近隣小学校長・養護教諭や当院長期勤続職員、住民代表からの歴史的背景や貧困世帯状況の聞き取りを、
ミクロデータとして当院内科外来全患者の世帯規模・保険種別・住所等のデータを収集した。これらをマップ上で重ね合わせることで、重点介入地域を推測した。


【結果】
外来通院者のうち高齢者は2km圏内に多く、菊水地域全住民の20~27%が受診していた。
小児と親世代は病院500m圏内に密集し、菊水地域全住民の3~13%が受診していた。


しかし住所マッピングでは、全年齢層でバス・地下鉄沿いに多く、歴史的に貧困層が多い裏通り居住者は少なく、特にハイリスクな東札幌からの受診者数は住民の0.1%弱だった。


外来患者に占める生活保護受給者は10%強(札幌市3.4%、白石区4.8%)、近隣小学校の就学援助利用者は25~50%もいたが、学校・企業関係者で無料低額診療制度を知っている者はごく少数だった。


【考察】
当地域は貧困世帯が多いが、受診者は近隣に集中し、アクセスの悪いハイリスク地域からの受診率が低かった。
院内で待っていても、社会的手遅れ事例が増えると予想される


【今後】
大学・NPOや地域住民組織と連携して、近隣高齢者の一斉調査を計画している。
また近隣学校や企業への無料低額診療制度を周知しつつ、子ども食堂や高齢者サロンをハイリスク地域で開設して、介入と情報収集を同時に行い、定期的にPDSAサイクルを回す予定である。


こんな感じのです。


なんとなく、民医連ぽい感じや家庭医っぽいかんじを意識してみました。

気を抜くとどうしても内科学的な分析に関心が向きやすいので、敢えてバランスをとるために頑張ってみているというのが一つの理由。

あとは、「この辺無視しててもかかりつけ患者達の健康アウトカムはよくならんな」と痛感しており、健康のもう少し上流を分析して手を出さねばと、臨床の感覚から自然とここまで押しやられてきたのも一つ。

それから、経営的課題で患者数を増やせという至上命題がありますが、他の一般的な病院みたいに「金になる患者を集めて、むしれるだけむしって、あと細かい問題は地域に戻せー」では芸がないので(すべての病院がそうとはいいませんが、超急性期の基準が厳しくなったのに合わせてそういう雰囲気は地域に増えてきているなぁとは感じます)、せめてうちくらいは「ほんとに困っている人に、まっとうな医療を提供する努力を重ねてみて、その結果として持続可能な経営に必要最低限な収益も確保できるか?」という個人的探究心(使命感?)もあって突き動かされたというのもあります。


「心優しいヤブ医者」は痛いですが(というか有害)、「赤字で潰れる優良病院」も残念(というか世の中に存在し続けられない)ですからね。

お医者さんは経営の話嫌いですけど、とっても大切。 

経営の話すると嫌われたりキレられるの、つらいっすよ。 「いやいや、あなたの給料、そこからでてるんですから」とは言わないですけど。
 
医学部や看護学部で経営について教えないの、なんでですかね? 今は教えてるのかな???

話がそれました。。。。



内容的には、すでに院内の責任者クラスの会議等では出した資料を焼き直すだけなので、せめて伝わりやすくわかりやすいスライドに落とし込むことと、当日までに追加データ等を集めても少しまともな内容にレベルアップできればと思います。

なお、大学関係者で、当院でとった地域データをもとに解析してくれた方もこの地方会で発表されるようなので、楽しみにしています。



もう一つは、依頼ワークショップです。

②   ワークショップ2:
「退院前カンファを変えよう  〜LIFE SUPPOT カンファのすすめ〜」と題して
健康の社会的決定要因(SDH)についての実践的な知識を学びます!


というやつです。

抄録は、全国学会でやるやつとほぼ同じなので、関心ある方は全国学会発表演題をまとめたコッチの記事をご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/gp_ken/archives/9515110.html


医学的な話や、他職種連携と被らない、社会医学・地域医療系のネタで話できそうな道内の人ということで、ちょうど全国学会でそういうネタをやることを知っていた運営委員の方から推薦していただけました。

地域で働く診療所家庭医の先生方の方が適役がいそうですが、ワークショップ形式ですぐ準備できる人という手頃感で選ばれたんだろうと思います。来年は他の人の聞きたいっす。


今週末の全国学会にむけて、全国の同士と急ピッチで準備中です。

そこでは、「発表して満足して終わり!」ではなく、全国学会で得た経験や参加者からのフィードバックを吸収して、更にブラッシュアップして、各自が地元でWSして更に深めたり普及させたり、ある程度データが取れてきたらきちんとしたツール化して論文として発表したりしたいね!という話までしています(けっこうみんなバイタリティ溢れているし、能力も高いし、臨床現場の人も大学研究室の人もいるので、案外実現しそうなきがしています)。

みんなびっくりするくらい優秀で、当初イメージしていたものよりは数段面白くなってきているので、期待しといてください!


で、今回の地方会WSもこの流れの一貫で、一度全国でやったのを個人が地元に持ち帰っても再現できるかとか、繰り返しやることでブラッシュアップができるのかとか、地域性が異なると参加者リアクションがどうかわるのかとかをみてみたいなと思っています。

ファシリテーターとして、うちの専攻医数名も立候補してくれているので、若手にWS運営スキルを学んでもらう教育ツールとしてもいいかなと思っていたりします。



まあ、とりあえずは週末の全国学会に向けて、完全燃焼してきます。

ゴールデンウィークで3日休めたので、けっこうエネルギーは充電できていて、今日の外来も普段より早くかつ丁寧に出来た気がしています。



でわ!



    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

釧路の診療所に、代診いってきました。異なる地域・施設の診療は学びが多く有益でした

水曜日から金曜日までの二泊三日で、釧路に行ってきました。

法人の関連施設で、釧路市にある診療所です。


若い人たちの住宅が増えている地域とか、JR駅やショッピングモールで栄えているという地域ではありませんが、昔は漁師の街として栄えていた地域です(昔釧路いたときの地域指針で勉強しました)。

自己流地域視診、その2


坂が多い地域であり、施設関係もそんなにないので、足腰が弱って交通手段がない高齢者が長く住むのは難しいようで、思った以上に外来患者層は若い労働世代の比率が多く、また高齢患者が施設に入るタイミングで別の地域に転居したという事例もありました。



今回は、釧路市の方の関連病院の医師体制が厳しい中で、この診療所を担える医師も不在となり、全道の関連病院から医師をひねり出したり医師紹介会社を頼りながらなんとかこの診療所を回している状態となり、その一部として自分も入ることになりました。

以前は、よく科長クラスが遠方の助勤にいっていて「なんでだろ?」と思っていましたけど、現場の主力の若手がごっそり抜けるよりは病棟・外来のダメージが少なく、また責任者クラスが行くことで病院としてもしっかり地域医師配置に配慮していることを行動で示しやすいし、赴任先の責任者と話をしていろんな相談をしたり、中央にいる責任者クラスが地域の現状を肌で感じてくる事もできたりと意義が多いのかなと感じました。

もともとは一週間単位で行って、地域視診とかカンファレンスとか診療の質改善とか、病院の方での教育回診やレクチャーやカンファレンスとかまでやってみる予定でしたが、急遽「あ、三日だけでいいです」と言われてしまった(派遣会社からのバイト補充が入ったようです)ので、単純に二泊三日の診療支援だけして返ってきました。



初日の水曜は、丘珠空港を11時頃でて、12時にはたんちょう釧路空港に着きました。

日本海側気候の札幌の冬はいつも曇っていて雪も積もっていて大嫌いですが、さすが太平洋気候の釧路は空がキレイに晴れていて、空気も澄んでいて、とても気持ちよかったです。

初日は16時の夜間診療から出番だった(午前外来は他の医師で、夜間あるひは午後診療なし)ので、空港でいつものカツカレー(観光とかでなく仕事のある出張のときには 、ルーティーンでカツカレー食べる事になってます)食べて、診療所直行せず懐かしいところに少し寄り道して、ホテルに荷物おいてから診療所行きました。
 


夜間診療は、全然違う電子カルテに戸惑いながらもなんとか無事に終わりました。

普段は予約だけで30人くらいいるそうですが、この日はたまたま少なくて20ちょっと。臨時受診も併せて合計30くらいで、3時間程度で終えられました。


最初、自分が向こうの電子カルテ使ったこと無いと言うのが伝わっておらず慌てましたが、30分前には診療所について少し練習して、10人くらいみたら慣れてきました。なんとかなるもんですね。

逆に言うと、パソコンとか普段から使いこなしていて、外来診療も相当レベル上げてきたつもりの自分でも、ちょっとデバイスが違うといつもどおりの診療が出来ないんだなというのも発見でした。

普段診療している環境のデバイスや患者層や診療ルールなどが体に染み付いており、いい意味ではSpecializeされた地域医療実践者になっていたともいえますが、悪く言えばローカルルールに染まって柔軟性が衰えてきていたともいえます。
 


2日目の木曜は、午前外来・午後外来でした。

午前外来は、予約が30件くらい+飛び込みの急患や健診などで、合計40弱くらいでした。

頑張れば13時前に終わって昼休み取れるかなと思っていましたが、結局びっちり14時までかかりました。
普段の法人外バイトの医師だと14時半までかかって午後診療にかぶってしまい、昼休み無く職員が働き続けることで疲弊していたと聞いていたんですが、まとまった休みを取ってもらうことができず残念でした。

電子カルテの仕様でマルチタスク処理が弱めなこととか(検査結果をカルテに貼るために一旦検査結果画面を閉じないといけないとか)、他院情報が得にくい(送った手紙と届いた手紙を迅速にポチポチ出しにくかったり、あとふだん自分が診療している総合病院だと他科のカルテも見れるので楽なんだけどそれがなくて全部他院で、しかもマメに手紙を送りあう習慣があんまりなさそう)とかで処理速度がなかなか上がりませんでした。
きっと、与えられた環境でも工夫して処理速度を上げる裏ワザはあると思いますが、そういうのは医師でないと把握していなかったりするので難しいですね。
普段から、他科・他院の情報まで一元的に自分の手元において処理していたので、そういう包括的で協調的な仕事が出来ていたんだなと思える反面、そういった情報がない中で単独診療する恐ろしさも感じました。全体が把握できている感じは、後期研修開始したての専攻医も難しいだろうし、ということはこの何も見えない感じのなかで外来診療に挑んでいると思うので、そのあたりの支援を考えようかなと思いました。


昼休みは、いつもなら助勤ついでに周囲の散策兼ねた地域視診したり、職員おすすめのご飯食べに出たりするんですが、今回は時間とれず、向かいの蕎麦屋から出前取ってもらいました。
http://www.choujuan946.com/

釧路の蕎麦はかわっていて、緑蕎麦です。クロレラ入りで、こっちのほうが普通なんだそうです。
ワーファリン処方するときには、彼らには「納豆とか青汁、あとそばもだめよ」と説明必要です。
昔釧路に来たときは「冗談でしょ?」と思ってましたけど、ほんとに緑蕎麦ばっかりなんですよね。


午前と打って変わって、午後は予約一桁しかなくてあっという間に終わりました。
 
その分、午前中の診療の合間で処理できなかった病状整理や、手紙作成などちょいちょいやって17時前には終業。
 
高齢者は午前中にかかりたがるとかあるとは思いますが、もう少し「午後にかかることで得られるメリット」を明確にしていって、受診パターンを分散しないと、患者待ち時間対策的にも、職員の効果的配置によるストレス軽減や人件費有効活用の面でももったいないなぁと感じます。一朝一夕ではうまくいかないと思いますが。
うちの病院も、赴任した当初は午前中にびっくりするほど受診数がおおくて、昼休みなく、午後診療開始に差し支えるくらいでしたが、徐々に午後含めた予約に誘導してだいぶ分散出来てきた印象はあります。



3日目の金曜日は、午前診療だけでした。

金曜は所長(普段は病院の診療支援している)もいて二診体制なので、昨日までガラガラだった待ち合いもぎゅうぎゅうでした。自分が飛行機の都合で13時半頃抜けましたけど、その時点で60名ちょっとでした。

さすがに所長人気は強く、そっちにカルテいって自分のところにカルテ来ない時間もあるけど、二診にしないと午前診察だけで17時くらいまでかかりそうな勢いでした。

そういえば、釧路勤務時代は午前外来が9時~15時、患者待ち時間が3時間から、僻地の患者だとそもそもの受診に要する移動時間が片道3時間もザラというのが普通だったのが懐かしいです。
その合間で人工呼吸器複数台まわして、新規入院も複数受けて、総患者担当数も20~30くらいいたとか、今考えるとあぶないですが、地方医療の現実でもありますね…。


さすがに3日目にもなると電子カルテには慣れて、情報収集や記載、指示出しなどで「考える、訪ねる」などのタイムラグがなくなって快適になってきました。

ここの電子カルテは関連の病院と完全に同じモノなので、病院勤務の常勤医が助勤にくるときはきっと快適でしょうね。本院にサーバーおいといて、診療所から遠隔参照システムでやっているので、院所の違いに影響受けないと言うのは賢いなと思いました(データ参照に若干のタイムラグはありますが、慣れればその隙に他の処理できるので気になりません)。
うちの法人は、関連院所で電子カルテ導入するときに微妙に違うバージョンのを入れるため、違いが微妙すぎて返って面倒だったりするんですよね。見習いたいです。
 
ようやく、自分の思考スピードにカルテ処理が追いついてきた感じで、やりすぎるとむしろ看護師予診が追いつかなくなって暇になることもありました。

地方とか医師が固定しにくい診療所だと、医者が継続性を担保しにくいぶん、看護師がかかりつけ患者の特性や背景を全部把握していて診察時に適宜助言してくれて、予診も完璧に取ってくれているので、ヤブ医者でもそこに座っていれば言われるがままに診療が成立するくらいに組織化されているパターンが多いなと感じています(うちの法人だけかもしれませんが)。

一方で、その分看護師の能力が「医者が本来すべき仕事」に割かれており、看護師でなければ出来ない仕事に割ききれないのがジレンマだったり、医者がすべき仕事を普通にできる医者が来た時にはシステムが噛み合わず最速の診療効率にはならなかったりいろいろあるんだなと思いました。
うちもこの数年でだいぶ医師構成が変わってきたのに看護師のシステムが追いついていないので、現在や将来の医師配置を視野に入れて看護部とシステム改善を合同で進めていかないとなと改めて思いました。
 


3日間通して感じた、診療内容についての感想もまとめてみます。

どの患者も、プロブレムリストしっかりしてて、対象者にはもれなくワクチンも打たれてて、定期検査も的確に組まれてて、処方もよほどの事情がない限りどれも標準的でした。

おそらく国内の診療所の平均レベルよりは全然上なんじゃないですかね。

地方の小さな診療所だけど、そういう立地的な条件と診療の質はパラレルではないんだなと思えて嬉しかったです。
やはり家庭医がいると違いますね。すごい。


また、患者層は、思ったほど「浜の怖いおっさん」はいなくて、なまりもなく、標準的な理解力と経済力と身体機能があって、特に苦労なくみれました。

自分が今診療している地域は、仕事とお金と家族と友人と理解力と判断力と身体能力が全部揃った人を探すほうが難しいような地域ですが、他の地域みてみると対比で内の患者層の特徴がまたくっきり見えて新たな発見もいくつか得られました。


個別の症例で、この三日間で特に記憶に残った目立つ事例を挙げると(個人情報になるので一般化してぼやかしますが)

内科系では
肺炎は軽症ですが2例
インフルエンザは4~5例くらいかな(地域での流行はあったようです)
臓器障害がある程度進行した事例はあまりいませんでした。
 
老年系では
認知症&進行癌の家族対応(患者の理解力や他院受診状況確認、家族連絡、翌日家族カンファとか)
運動器や認知機能系のリハ介入ちょいちょい
運動器関係や感覚器(眼科・耳鼻科)関係の相談はあんまりありませんでした(患者が地域内で使い分けしているようで、「これこれは明日どこ病院にかかる予定です」という受け答えがとても多かった)。
高齢者の過剰降圧や低血糖の調整(De-intensification)

複雑系では
経済的困難事例の調整
入院したらいろんな病名ついて他院往診導入したので紹介状よろしく!の、経過や病態を整理しての連絡とかくらいでした。


全体的にワクチンは済み、慢性疾患のコントロール状態や定期検査もしっかりされていて、医師体制が安定さえしていれば…という感想を持ついい診療所でした。 


また、それだけ複雑度・困難度が高くない患者の割合が大きいので、もっと処方間隔を伸ばして一日に医師が診察する患者数を減らして職員負担を軽減することもできるだろうとも思いました。
 
長期処方にして(もしくは薬やめて)、間に看護士療養指導や栄養士食事指導はさんだり、普段は介護系や予防・保険系の活動を充実させたりすることで、診療の質を維持したまま半分くらいに負担減らせそうです。

もちろん、一日あたりの患者数や検査密度を下げると診療所の収益が減るという経営対策もあるんだとは思いますが、職員の負担による疲弊や雰囲気悪化や中途退職と、新規採用者の教育コスト、残業手当や回転のよくない検査設備・検査技師配置のコストも無視できないとおもうんですよね。
 
もうほんと、特に僻地の診療所については、包括支払制度にしてしまい、アウトカム評価も少し導入したらこういうメリハリきかせた診療が少しは広がらないですかね。
 
「僻地の患者ニーズに比べて医者が少ないぞ!強制的に配置せよ!」という意見もわかりますが、その前に現存の資源で見れるように仕組みの調整も十分にして良いとも思います。 

 

だいぶ長く書いてしまいましたが、とりあえずこんなところです。

別の地域、施設での診療は発見多いです。やはし、うちの地域の患者層は経済社会的要因の重さや、多重疾患と心身機能障害など重たいんだなと思いました。

この発見を自施設に活かしつつ、また地域医療を遠方から支援する仕組みも考えつつ、また明日からの日常に戻っていきたいと思います。
(ちなみに今日は休日の内科当番あたっており、朝から早起きして出勤して、回診とかしてきました。余力あれば論文完成したいな)

 


    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

今日は久しぶりの救急当番でした。家庭医スキルやエコースキルを活かしつつ、地域資源リストも使うとなかなかおもしろいです

今週は総合後期研修医が一人いないので、穴埋めで自分が現場にでております。


病棟の患者を不在中引き取って、いつもの回診のほかに、追加診察、定期検査確認、適宜治療方針調整や退院調整判断、初期研修医がついていれば研修医たちの理解度や忙しさ把握しながら絶妙のタイミングで相談されやすい視界に入ったりをしています。

なかなか楽しいですね、やっぱり現場は。

まあ、だいぶ退院させてくれて、残った人も整理してくれているのであまりやることは無いですが、それでも診察やカルテ記載、病棟看護師さんたちとのやり取りもあるので、1時間以上は病棟に時間とられますね。かまってもらえるので楽しいですけど。


あとは外来は適宜穴埋めつつですが、普段から各種外来をたくさんやっているので、これはあんまり新鮮な発見はないです。

自分の予約外来が、年末年始で2回続けて潰れたため、休み明けの今日はかなり壮絶でしたが、ついてくれた看護師さんたちの優秀さにも助けられて、途中でいろんなものが切れずになんとか無事終われました。



それから、一番新鮮だった、久しぶりだったのは救急当番の担当でした。
(いつも通り前フリがながいですが、ここからが今日のメインでs)


救急当番は、新規入院発生時の入院時診察と指示出し、救急車対応、病棟患者急変かつ主治医不在時の対応、造影剤アレルギー対応などが主な任務で、4年前から午前・午後に分けて平日日中は常に当科スタッフか後期研修医をつけるようにしていました。

今年は自分の外来・指導・管理負担が増えたことと、「救急なら楽勝です」という若手が増えたのもあって自分は外れていましたが、今日は久しぶりに穴埋めで入りました。


久しぶりとはいえ、さすがにうちのセッティングにおける、症状・年齢・性別・基礎疾患・主治医別の効率的診断推論や、検査設備と医療スタッフに限りのある中小病院における効率的かつ効果的な診断フロー(主にピンポイント病歴&身体診察、エコーを中心にした30分以内に結果が揃う基礎検査)は錆びついてはいませんでした。底は一安心。

ですが、ディスポジション(トリアージは到着直後の重症度分類、ディスポジションは診断付いた後に帰宅or入院の判断)がけっこう難しかったですね。

うちがすでに満床で、本院もすぐに満床となり(年末年始の影響が残っています)ました。

また、半年も入らないと、昨年度とは地域の各病院の機能や役割も微妙に変わっているので、「すんなりいくかな」とやや心配もありました(いちおう各病院から連携室に来る広報誌は目を通し、病院や連携質からの年賀状も一通り目は通していますがそれだけではなんともたりないので)。


で、入院が必要なら法人外との連携が必要な状況なので、「この地域のどの病院の何科は、どの程度の診断根拠があれば、どういった重症度と病名と治療コード(組成含めて全部やるのか、穏便に程々なのかとか)を好んでうけてくれるのか」の知識を持って、そこから逆算して当院の救急でやることを計算する必要がある日の救急だったので、そこが面白みであり、大変さでもありました。

大病院であれば、専門医が院内にいて、検査も全部できるので「やるなら全部やる、軽症なら対症療法して帰す」でシンプルなんですけどね。

たとえば、診断不明でも見てくれる総合診療・ER部門がアクティブな病院なら、より早い段階で重症度と仮診断の時点で紹介することで、より医療者が豊富にいて質の高い検査と治療ができるセッティングにうつせます。この場合はボールの持ちすぎに注意が必要なので、迅速にできる簡易検査(問診と診察含む)の腕は求められますが、けっこう簡単。

逆に、そういうブロードで活発な部門がない(たいていの高次医療機関の)場合は、臓器と重症度は絞って、電話に出る当番医の食指が動くだけの情報は揃えないといけないので、うちの貧弱な施設で少し長く対応する必要があります。

当然、重症であればあるほど決定的治療介入のタイミングが遅れるほどに病態が悪化し、やがて搬送すら困難な状態にたどり着くことがあるので、迅速な診断は重要だし、確定診断を待たなくても病状をステイさせる質の高い対症療法のスキルも求められます。


また、こういう作業と同時並行で「この病気ならこの病院のこの科で、こういう情報があれば受けてもらいやすい」という情報を頭に複数入れながら、患者や家族の希望も聞きつつ(受診歴や入院歴があるからよい・あるから二度とかかりたくないとか、家族の御見舞のための交通の便がとかいろいろ)、速やかに紹介先の問い合わせ順番を組み立て直し、その順番に応じて「どこまで検査してどの程度病名をクリアにしてから電話するか」を決めて、動き方を変えます。

この「医学的な判断」と「患者・家族の意向」のすり合わせがけっこうたいへんなんです。
救急病院・高次医療機関に来る患者は「診断がつけば治療を受ける医師のある人」の割合が高いですが、中小病院に来る人は「大したことないと思っているので、極力穏便に済ませたい。できれば今ここで治療してさっと直して午後から仕事にいきたい」くらいの人がおおいので、最初の「入院して治療が必要です」がまず入らず、通ったとしても「しかもうちじゃなくて他の病院で」というのでもう一個ハードルがはいるのです。


今日の救急当番は、急性呼吸不全で上記のような搬送先対応をしつつ、外来に来る予定の超複雑事例の動向をみまもりつつ、病棟担当患者の情報収集と処置をしながら、一人穴が空いた分他の医者もイレギュラーな動きになるのでそれによる不具合もモニタリングしつつ(みんな外来やなんやで動いているので、看護師からの細かい確認を暇なふりして病棟でこまめに吸収したり)、他に病棟の軽い急変も対応していました。
 
また、同時に管理当番(コッチはスタッフクラスのみで対応、臨時入院の最終決定や他科とベッド利用で齟齬が出ないような調整、予定入院や転院の交渉対応、主治医や救急当番が回らないときの3番手、他院からの医師あて問い合わせ全般対応など)もしていて、今日はコッチも忙しくて、他院に搬送・入院の患者の情報問い合せや転院依頼が何件かと、転院依頼のドタキャンと開いたベッドの奪い合いの調整と、その他もろもろで電話がなり続け、午前中だけで院内PHSの履歴が振り切れるほどでした。


そんな中、地域連携室や外来医長に依頼して半年かけて作ってもらった紹介先一覧リストがけっこう使いやすかったです。

呼吸不全の病状を絞りつつ患者・家族への家族カンファスキルと動機づけ面接法を使った入院と転院搬送の同意取得を終えるまでを30分で畳込んで、本院に連絡して満床ですと言われ、そのリストを使いながら患者・家族と相談して紹介先優先順位を決めて順番に連絡してすんなり決まりました。

この間紹介で困ったことや、逆に紹介してみて対応や診療の質が良かったと言った情報を蓄積して、細かい治療対応内容や紹介のコツをまとめ、臓器系別となんでもアリ別にまとめ直し、当院からの距離的な近さ順に並び替えたのが良かったです。

おかげで、「この病院には近いから通っているんだ」という患者・家族たち(うちでは外来患者の8割以上が近隣住民です)に、交通の便等も考慮しながら紹介先の相談がしやすくて、かなり快適でした。



病院で働く家庭医として、患者のアクセスや文脈も考慮しながら、地域医療資源を単に標榜科や救急告示の有無だけではなくもう一歩突っ込んだ情報を踏まえながら救急対応と紹介作業を両立していけて良いなと思うのです。

まあ、うちで重症診療が完結できればいいんですが、都市部なのでなんでも一つの病院でやるのは難しく、うちにしか出来ない役割に資源を注ぎつつ、出来ない(というかやらない)部分をどう地域全体でカバーするかは今後も掘り下げてみたいと思います。

 

今日はなんだかバタバタしていたので、書き出しながら「今日なにがあったのか」を振り返ってみてスッキリしました。

終わっていない仕事は山ほどありますけど、最低限は終わったし、これ以上複雑な仕事をこの頭ではムリなので、後は明日の朝早起きしてやります。

でわ! 

    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

大学院生が当院に来てくれて「貧困と健康」についての懇談します

こんど、旭川医大の大学院生さんが、わざわざ当院まで、というか自分に会いに来てくれることになりました。


保健所の保健師さんとして働かれていた経歴があり、現在は学校で保健師養成にかかわりつつ、「貧困と健康」に関わるテーマについて学ばれているそうです。

アツいですね!



昨年度うちの後期研修医たちがネタだしして、管理部主導で、地域住民と職員が共同で行った地域独居者調査がありまして、それを今年の日本プライマリ・ケア連合学会学術集会の「地域ケアシンポジウム」で私が発表しました。

その内容を抄録集でみて関心を持っていただいたようで、道内の総合医イベントに参加されたときにうちのボスに声をかけていただき、私を紹介していただいたという経過です。
 

ボスからきいたときには「こんな小病院に何をしにくるんだ・・・?」という感じで最初は疑問・恐縮の嵐でしたが、病院の規模や肩書とかでなく、学会発表の抄録をみて関心を持っていただいたというのが何より光栄です。 

やっぱり、地域で地道に活動してるんだけど心の中や院内だけの自己満足で終えることなく、「外に発表する」という行為は大事ですね



大学院入ったばかりなので当然まだ専門家ではなく今現在進行形で学んでいる最中ということなので、地域ケアや研究手法の学び方について色々伺うことができたら面白いだろうなぁとおもいます。

また、もし当院の関心や取り組みとうまく話があい、テーマとして意気投合できるようであれば、大学の専門家にこの地域の(そうでなくとも道内のどこかの地域の)ちゃんとした研究をしてもらうことができ、学会でのきちんとした発表や、病院の改革に反映できるのではという下心・期待もあります。
 

もともと、自分で臨床研究を勉強してきた中で「臨床医がきちんとした研究を一から十まで独力でやるのはムリだ!臨床医として面白いフィールドやリサーチクエスチョンを提供し、大学の研究者にデータ収集と解析をやって貰う形を目指そう」と思っていたので、今回の出会いを大切にしたいと思います。

もちろん先方の都合や関心もあるので、これで確実に捕まえてうちの地域調査を手伝ってもらわねば!とまでは考えていませんが、それでも「大学で学び研究されている人との交流」という貴重な経験にはなるので、何にしても今後の当院の地域活動や学術活動の発展には生かされていくでしょう。 


当日は向こうの指導者の教授(ということは貧困や地域研究の専門家!?)も一緒にきてくださるようですし、ご本人もこの間研究テーマを深めて文献の読み込みもされているようなので、色々教えてもらえるというか刺激をもらえるだろうとワクワクしています。
 

また、せっかく遠路はるばる来ていただくので、中身の濃い、満足していただけるものにしようとかんがえて、事前に聞きたいことの一覧をいただきました(半構造化面接法みたいな感じでざっくりと)。

それを見ながら、管理部の医師・事務や、総合のスタッフ達に手持ちの資料をくれ!といってみたところ、自分の知らない者含めてわんさか出てきてびっくりしています

先程ざっくり整理して、当日お見せするものを取捨選択して印刷したところですが、「うち、やっぱりすげーな。頑張ってるんだね。でも、みんなの心の中と机や本棚の中にしまわれてるのがもったいないね」と感じました。

今回を機に、こういった分散し忘れ去られそうな活動と記録の断片を集めなおして、懇談でのやり取りで得た気付きも添えてまとめ直し、今後の地域活動を考える有用な資料にしていければと思っています。

そういう意味でも、外部の方との交流や、普段の活動を記録すること、活動をまとめて外に出すことなどは、単なる記録以上の意味があり、記録して発表すること自体が活動の質向上に寄与するんだなぁと実感しています。


あと、スタッフや研修医たちに伝えたところ、同席したい!!という人が複数出てきたのも嬉しいところです。

自分の予定があって週末の夜遅い時間の設定になってしまったため参加できない人もでましたけど、こういう活動は今回1回で終わるとは思っていないので、日時や場所や参加者を変えながら色んな形で交流や発表などを繰り返しながら、関わる人を増やしていき、じわじわとできることの高さと範囲を広げていければと思います。
 

次の課題は、地域住民というか非医療職とのこういう活動ですね~

ここも、取っ掛かりが複数でき、実績も小さいものだけどちょっとずつ蓄積できてきているので、今後に期待ですね。



もちろん、内部の管理運営がおろそかにならないように、病院の臨床現場で一生過ごすことに腹をくくったものとして、地に足をつけつつも目線は斜め上に向けた毎日を歩んでゆきたいと思います。
 
なので、研究活動も「学術の世界で認めてもらって名声を上げるため」ではなく「自分の臨床現場や周辺地域の健康問題を解決するために必要な知見を得るため」に行い、つねに「この研究・調査をしたら、この地域の誰の健康がどういう風に変わって、誰がどういう風に幸せになれるのか」という視点を真ん中に据えてブレずにやっていきたいですね。

 


    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

空知地方で、「空知が育む医師養成の未来  ~地域の現場で、地域にあるもの・いる人で 、最高の研修環境を作り 、地域に根づく医療者を育成する方法論~」の講演してきます!

本日、2016年11月05日(土)の16時~19時に、表題の講演会をしてきます。


内容はこんな感じです
0.現地の空知介護医療センター理事長挨拶+芦別市長挨拶

1.学習講演「空知で育む医師養成の未来」

2.上砂川の取り組み
住み慣れた地域で安心して住み続けられるために(取り組みの実践報告)
・認知症の方とも寄り添って~寸劇披露
・居場所つくりの取り組み~ワンコインレストラン

3.分散会(交流的)→地域住民の参加あり

スライドのハンドアウトはこちらです。

161105-空知で育む医師養成の未来_配布資料.pdf by けんた on Scribd





準備は、いつものPANIC法で整理しました。

PANIC法について


今回は、他の仕事で忙殺されて、PANIC制定に15分くらい、スライドづくりで3時間くらいしかかけられませんでしたが、がんばってみましたよ。


■目的としては・・・

空知で医師・他職種、学生を迎え入れ、育てるための方法論を知る。

その前提となる、空知の魅力や強みを知り、育てる視点を身につける

交流会で、この地域で働く人たちの顔と名前を覚えながら、
今日学んだ感想や気づきの意見交換を行い、魅力的な具体案の発想に期待する


■参加者は

民医連事業所全職員(他職種も、若手から責任者まで)と社員支部・友の会

勤医協と関連のない一般住民も参加あり

学生や研修医にも呼びかけ中 

市や近隣医療機関からは、市長・副市長参加あり
 
 
■ニーズ・背景のまとめは

石炭産業の撤退、人口減、超高齢化。
在宅資源の不十分さ→特養などが株式会社へ業務委託。
現在は15,013人となり、人口減少率は80%をこえる急激な人口減。
高齢化は41.8%。
高齢者単身世帯は18.9%、高齢者夫婦世帯は21.2%、全世帯の40.1%もの世帯が高齢者世帯
→しかし8割が「住み続けたい」と回答
 介護・通院、除雪、仕事、通勤・通学、買い物で困難
 集落が分散しており、コミュニティ形成が難しい→共同組織・住民組織がキー
→菊水は子供と親世代が多く方針転換中。高齢者が多いことも戦略のターゲットになるよ!

勤医協ならではの労災医療、塵肺・振動障害→減少傾向
悪性腫瘍が多い、心疾患や脳血管障害も多い
男性の寿命が短い
→高齢独居や老老介護の自宅看取りのニーズが増えそう。
→3診それぞれなので在支診や訪問看護が大変

市立芦別病院の内科医師体制縮小、開業医2つ閉院
市立病院は砂川、芦別、赤平の3つある!

行政運営も大変そう
→観光産業誘致は失敗して負債が多く、財政難らしい
→空き施設の活用は? 
→学会で連携している先生方の取り組みの紹介も必要だろう!
→まちづくり政策も必要。土木・建築・都市デザインの専門家は?
→医療と介護と住民の生活の導線を、健康につながるように組み込む必要がある

→札病の高齢化・医師不足問題を例に出すのは一つの手かもしれない!
→沢内村への憧れ・前例も出せると良さげ。

「勤医協空知介護医療センター」
中心課題の一つに、後継者の養成と対策。
この間初期研修の地域医療研修や民医連奨学生の研修等に対応している。
滝川市立病院の連携施設の依頼を受けることとなった。
看護師や事務などの研修にも対応している。
→十分な資源になりうる


■伝える情報を整理すると・・・

キーメッセージは以下の4つ

1.札病の歴史、過去・現在・未来:地域分析と医学教育と家庭医療を武器に
2.田舎に医者は来るのか?海外や国内の取り組み紹介:町の特徴を知る(魅力も課題も)
3.まちづくり・医療機関づくりの前提、地域分析のツール:、分析すると何がわかるか、COPC
4.医療・介護職じゃ足りない、地域住民・他職種との協働:CBPR、IPW


■伝え方
持ち時間は多分1時間弱
堅い挨拶か、明るいオープニングか不明

問題意識のある人達が多いハズで、気力はまだあり空腹もない時間帯

この後の議論につながるよう、情報提供や考え方の転換を促す仕掛けが必要
→問いかけ、ディスカッション、ツール集的なテンポよい紹介と具体案検討の往復?
 


自分の話を聞いて感心してもらって終わり! ではなく、今日の話をネタにそこにいる人達が盛り上がって、繋がって、自分が全く知らない魅力や強みを引き出して、なんかいい感じになることを期待してます。。。

さあ、どうなることやら・・・・!?
 

    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

周辺地域の人口動態の把握→「まちづくりセンター別人口」のデータが細かくて役に立つ印象です

副院長になってから、病院全体の戦略を練っていく上で、院内職員や住民組織・患者集団の意向に加えて、地域の特性についての情報収集、そういったデータの分析と活用方法などを学んでいるところです。

これまでは病院全体の話とそれに向けた各科・職員の意見調整が主でしたが、その中の最大規模ではある内科全体の方向性についての議論がようやくできそうなタイミングになってきています。

そこで、「では、私達が担当するべき地域住民の特性や、地域のよくある健康問題はなんでしょう」というのをまず手始めに具体化する段階に来たかなと思っています。

自分の中では臨床の実感や、この間調べてきたデータの読み取り、イチ生活者としてこの地域で5年ちょい過ごしてきた肌感覚などから「こうだろうな」というのは明確にあるんですが、組織レベルで議論を噛み合わせるためにはわかりやすいデータも必要だろうと思って色々探して整理しているところです。



たとえば、うちの病院がある札幌市の白石区±豊平区あたりは、人口が多く、人口密度も北海道一位・東京並みにあり、しかも人口ピラミッドが発展途上国か!?ってくらい若い世代が多く高齢者が少ない(道内189地域中一87医)というかなり特殊な地域です。

人口統計の道内ランキングのページ
→「日本☆地域番付」http://area-info.jpn.org/area011045.html

人口ピラミッドが乗っているページ(不動産関係で信頼性不十分かもしれませんが、既存のネット情報で唯一きれいにグラフ化されているので参考に)
→「HOME's 不動産投資」http://toushi.homes.co.jp/owner/hokkaido/city010104/machi.html

無題


基本的に内科の戦略は、一番多い世代で病気の数も多い(つまり受診患者数も、一患者数の収益も多くなりやすい)高齢者を主な対象に据えることが多いんですが、この地域でそういった戦略をとってもうまくいかないことは、地域特性を考えれば明らかです。

明らかなんですけど、地域分析とかしてなかったので、何年たっても高齢者の健康診断や中断者フォローとかばかり力いれていて変な感じでした。「変だよ」って言っても理解してもらえないくらい「高齢者を継続的に囲い込むこと」がアタリマエになってしまっていたんでしょう。


それから、今の人口分析をするだけでも足りなくて、病院の方向性、つまり将来のことを考える上では、「今の状況」だけでなく、「今後5年~10年、もっと言えば30年後」位を見据えた戦略も必要になります。

それを前提に設備投資や病院建て替え、職員の採用基準や教育の方向性、その他もろもろが決まってくるからです。

小児にターゲットを絞ってそこに特化した投資をしてみたけど、10年後に子供がほとんどいなくなったとかでは目も当てられませんですし。



というわけで、「人口動態」の統計を、より細かいデータで取ろうかなと思い始めています。

これから事務中心に動いてもらって、役所等からも情報を取ってきてもらおうかと思いますが、とりあえず自分でネットで拾えるものは拾っています。

平成 27 年中の札幌市の人口動態(住民基本台帳による)
→全部乗ってるトップページ https://www.city.sapporo.jp/toukei/tokusyu/jinkodotai.html
→最新版のPDFファイル https://www.city.sapporo.jp/toukei/tokusyu/documents/h27dotai.pdf


ただ、これだと札幌市レベルで随分ざっくり。

もうちょい細かい規模のを探していて、白石区のレベルのは前から聞いていたんですが、更に踏み込んで「まちづくりセンター」ごとの統計情報を見つけました!

「まちづくりセンター」は、比較的小さい規模(区をさらに5~10個くらいに分割、地域健康増進やまちづくりを考えるときに参考にする中学校区と同じくらいのサイズ感)ごとにある、「住民組織の振興、福祉活動の支援などといった従来の業務に、地域の各団体のネットワーク化支援、地区のまちづくりに関する施策などの企画及び推進に係る調整、地域情報の交流、市政情報の提供などの業務を付加し、地域活動の拠点施設だそうです。

上記の説明は、白石区のページから取ってきました→http://www.city.sapporo.jp/shiroishi/machi/center/



で、「第5章 まちづくりセンター別人口」というPDFファイルがこれです
https://www.city.sapporo.jp/toukei/kanko/documents/h26-05syo.pdf



うちの病院だと菊水を中心に、豊平、東札幌、白石・北白石・東白石、菊の里あたりがカバー範囲です。

そこから上の豊水や苗穂も距離的には近いけど、豊平川を挟むため地下鉄・JRの導線がわるく車を乗りこなせる人しか来れないため、特に当院通院患者の分析ではこの川の上下で患者数が全然違います。
 


でこの統計をみると・・・

やはりこの地域は、人口が多く、人口密度が高く、人口増加率も高い状態。

ただ、人口の割に、昼間人口はそんなに高くない

特に目立つのは、出生率はトップクラスで、死亡率は最低クラスで、自然増加率「出生数-死亡数」が高いんですよね
この少子高齢化時代に亡くなっていく高齢者よりも生まれてくる新生児のほうが多い。

また、社会増加率「市外からの転入者-転出者」も際立って高いです

これとは別に、白石区全体でみると、死亡率や不健康生活習慣や生活保護受給率などは札幌市内の10区で一番悪い結果でもありました。



これらをふまえると

日中営業時間帯だけの活動では、昼間人口の低さや若い世代(学校や仕事がある)の対策としては不十分で、数の少ない高齢者しかターゲットにならない。

病院の徒歩圏内はそこまで健康指標がわるくないが、地下鉄で1-2駅離れたところを足し合わせると圧倒的に悪くなる。その地域は社会経済的指標も悪いので、アクセスを改善するための施策が必要。

人口の入れ替わりが激しく、昔からのなじみ客の囲い込みだけしていても先細りは明らかで、新たな転入者や小児に対する働きかけがとっても大事。

また、臓器別内科の開業医は増加傾向で、がんセンターやその他大病院へのアクセスも良いことを踏まえると、総合診療医・家庭医がいて、小児科と産婦人科もある当院の特性は、むしろ地域の状況にマッチして競合の少ない医療が展開できるはずと思います。




「と思います」という感覚が、今までは自分の中だけでした。

去年くらいからはスタッフレベルの医師には共有できつつある気はします(初期・後期研修医はローテ短く、基本的なことを学びに来ているのでそこはあまり徹底していないですが)。

さらに、今年からは管理部クラスや他科・他職種とも徐々に共有しつつあるとは思っています。



また、ちょうど病院建物の老朽化、ベテラン医師の定年間近、在宅・健診強化や他科のあり方の議論などが動いてきている中なので、この流れで地域のニーズに合わせた内科・総合診療科の展開を(他科や他部門の戦略と競合せずむしろ相乗的になるように)組んでいくのは、結構実現味のある話ではないかと手応えを感じつつあります。



そんな感じで、(病院運営にかぎらず)地域医療は、「自分の担当する地域の特性」に応じて大きく変わってくるので、よその地域・医療機関でやっていることの情報収集も見聞を広げる上ではいいですが、それと並行して「自分の担当地域ってどうなっているのか」を知るのが大事でしょう。

情報源としては、今回紹介したようなマクロなデータと、患者や職員や住民組織からのミクロでナラティブなデータと両方必要でしょう。


住民組織(うちだと友の会という組織があるし、そのほか連町とかPTAとかもある)と一緒にやっていきたいという雰囲気も、この間のいくつかのしかけで動きつつあるので、来年度くらいにはなかなか楽しい感じになってくるんじゃないかなと思えるようになってきました。


いままでは与えられた最良の範囲だと全体としては絶望的で、自分の守備範囲内をどう最適化していくかくらいしかできなかったですが、責任と業務量は増えるけど最良と守備範囲が広がるのは地域医療やる上ではメリットが多いですね。







    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

「菊水健康まつり」参加してきました。病院からの地域健康増進を行うためのとても良いイベントですね!

日曜日に、菊水健康まつりに参加してきました。


うちの病院が主催してすでに35年目を迎える歴史あるイベントのようです

職員総出で、食べ物系の出店やフリマみたいな一般的なお祭り的行事や、でっかいトラックの横開けてステージにしてライブや講演などしたり、あとは病院らしく健康チェック(血圧測定や歯科健診など一般的なものや、不まねっと(高齢者転倒予防運動)や頭の健康診断など)があり、自分は心肺蘇生体験コーナーの講師役でした。


病院の裏の道路を封鎖して開催し、他に病院1階の部屋各所や、門前薬局の待合フロアなども使っての開催でした。

10時にはすでに人が一杯ですごい賑わいでした。



BLSは20名弱くらい

成人の心肺蘇生±AED、小児の心肺蘇生や気道異物対応、パネルでの資料展示、薬局の待ち時間展示ディスプレイでのBLS動画流しなど

成人・小児・AEDを体験するとはんこがもらえて、3つ揃うとフェイスシールドがもらえます。

また、近隣で受けられる、消防署や役所が開催するちゃんとしたコースの案内もしました。


子供も5名くらいきて、楽しんでやってくれて、付き合っていたはずの両親が真剣に質問してくれたり、微笑ましそうに眺めていた高齢者が自分のことのように見入ってくれたりでよかったです。

また、近くの高齢者住宅在住の二人組が、うちにはAEDないねー、導入しないとダメね、と本格的に相談していたので、「設置したら、講習会出張でやりますよ」とできたりといった話に広がったのは良かったです。

あと、副院長さん見にきましたとか、久しぶりに会いに来ましたとか、健康相談でなくて暮らしのぐちとかもあって、目的に縛られない交流があったのも良かったなと思います。


たくさんいると思っていた参加者のうち、実際は職員の家族だったりかかりつけ患者が多くて、病院に縁のない地域住民との接点として幅広いとは言えないかもしれません。
まあそこは病院主催で病院で開催しているのである程度は仕方ない。

それでも、普段来ない人が来てくれてもいたし、普段患者としてきてる人と住民として接することでの気付きや縁の強化にもなるし、職員やその家族と接してこの人たちの成長や暮らしを考えることはHPHらしいなと感じました

こういうイベント、すごいですね~



今回、準備段階で内科スタッフがほとんど関われずに決まったことの指示がきただけというのが反省点というかもったいないポイントですね。

せっかくイベント準備や開催の経験値や知識はあるし、まちづくりや健康増進の知識もあるんですが、事務局の運営会議の中で決まったことの事後通達という仕組みみたいなので、それは今後変えていければと思っています。

まずは、事務局に、内科スタッフを1人ねじ込むことですかね(2017年度から1人参加させることができました!)





    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録

休日当番病院は、地域医療のいろんな側面が見えたり、単純に診断学的な楽しさもあってよいですね。たまになら

今日は、札幌市の休日救急当番病院でした。
http://www.city.sapporo.jp/eisei/tiiki/toban.html


200万都市の札幌の内科全般を、7つの病医院(うち病院は当院含めて2ヶ所)だけで凌ぐというのは、けっこう大変ですね。


もちろん、当番関係なく普段から救急に取り組んでいる病院もたくさんの患者対応をしていると思いますが、そこにたどり着かない平日に診療所や中小病院にかかっている患者さんたちがひしめき合う感じで、ざわざわしてました。

連休最終日でも、インフルエンザやノロが猛威をふるう冬でもないのでヒマかなと思っていましたが、実際はいろいろな急性疾患がやって来ました。


9時から17時すぎくらいまでで90人くらいきて、後期研修医1名には救急や処置ベッドの対応を30名くらい処理してもらって、残りをひたすら自分が診察してました。

当直明けだったのと、ひたすら座って診察だったので、けっこう腰と肩に来ますね。


あと、休憩15分位しか取れない中で昼ごはん(うちの当番病院は、近くのお寿司屋さんから割と上等な寿司がでます!)を書き込んだので若干胸焼けしてます。

研修医のは甲殻類抜きだったのに、同じくエビアナフィラキシーで死にかけたことがある自分のには普通にエビが入っていて悔し泣きしました。

エビの味を覚えておとなになってからの発症なので、美味しそうなナマのエビ、寿司などを見るととてもつらく、また他にもらってくれる人もいない(研修医もエビアレルギー)ので、涙をこらえながら生ごみコーナーへ送り出しました。つらい・・・(T_T)



患者層は、主に夏風邪が多かったですね。
http://www.city.sapporo.jp/eiken/infect/

小児科で流行っているらしいヘルパンギーナとしか言えないような咽頭痛・発熱患者が10人以上、それに混じって同じく流行中の咽頭結膜熱と、徐々に減ってきているとはいえ溶連菌が1名ずつ、血尿を伴う咽頭炎も1名、肺炎が2名。

こういうのを、地域の疫学情報(多くは小児科医の医局雑談から吸収して、気になるのがあれば札幌市の流行情報チェック)、病歴や身体診察の精度、適宜迅速抗原検査を混ぜながらやっていくのが楽しいですね。


他、どうみてもカンピロバクター腸炎だろうという人が20名くらい、症状はかなり多彩で、食事歴もそれらしいものがなくて、いかに典型的なカンピロをみて疾病イメージを持っているかで診断効率がかなり変わりだなぁと思いながら見てました。

毒素性の嘔吐症っぽい人もけっこういましたけど、おにぎりやカレー放置など典型的な病歴は聞き出せず残念でした。

そんな中にたまに交じる虫垂炎疑い、大腸がん術後イレウス、尿閉、尿管結石×2などを見逃さずにベッドサイドエコーを適宜混ぜて診断していくのは、総合内科・Diagnostitianとしてはけっこう楽しかったです。

初期研修医にも見せたかった、この鮮やかさ。 


一緒にはいった研修医の方も、虫垂炎、卵巣腫瘍茎捻転、その他いろいろ来ていたようです。

手のかかる救急車、重症、搬送を全部見てくれたのでとっても助かりました。


検査設備や看護スタッフ数が診療所に毛が生えた程度でも、総合医が2名もいればたいていは対応できるもんだなぁと思ってよかったです(当然、外科系や小児などは他の当番に言っているので、対応できる症状だけがフィルターされて来ているから対応できて当然といえば当然ですけど)



あと、普段の外来でもそれなりに地域の疾病頻度や年齢層を反映した受診があり、同じ症状でも危険な疾患が含まれる事前確率も大病院救急よりは桁違いに低いので、プライマリ・ケアをできている外来という思い込みがある程度ありましたが、ひっくり返りましたね。

今日受診した患者の年齢の若さ、急性疾患の数などをみると、やはり地域住民、特に若い世代は、多少の風邪などでは「病院」に受診する確率は低いんだな、セレクトされた患者を見ているんだなと実感しました。


また、病院に来ない患者は、地域の診療所でたくさん見ているということもわかり、やっぱり診療所にいる先生たちの存在・役割は偉大だなぁと再認識しました。

病院、特に高次医療を担う救急病院にいると、診療所から紹介された患者や、重症化前に何度か診療所で治療されてこじれてからきた患者を見ることになります。

その結果、必然的に重症患者が多くなり、「診療所なにやってんだよ!?」と感じてしまう確率が高くなり、結果的に若手医師が増長してベテランの開業医をdisったりしがちです。ひどいと電話口で直接なじったりする人もいますよね。


しかし、実際はそうやってこじれて高次医療機関に繋がるケースはほんとに稀で、大病院で働く医師が見ていない数十倍、ヘタしたら数百倍の数の軽症急性疾患を適切に処理しているからこそ、今の救急の忙しさが今のレベルで済んでいるんだろうなと思いました。

もっと救急がヒマになるためにも、地域の予防活動や、患者のセルフケアの啓蒙、患者アクセスを医療システムレベルで調整するなどの地域活動も必要だよねと思いました。

けっこう、江別とか石狩とか南区の端っこのほうからも、途中にある診療所の当番病院スルーしてうちにきていて「何かあったら”病院”」という志向はなんとかならんかなと思ってしまいます。

自分が研修医やっていた10年前にくらべると、「風邪を早く治したいから抗菌薬ください」という人はずいぶん減って、たまに出会うと「おお、レアだな」と驚くくらいになったので、変わっていくとは思うんでしょね(単に、抗菌薬欲しい人は、「あの病院は抗菌薬くれないから、すぐにくれると評判のあのクリニックに行こう!」と使い分けているだけの可能性も高いですが・・・)


一方で、やはり診療所の医師の、良性急性疾患の診療の質が軒並み高いかというとけっこう残念なパターンが多いのも事実(若手の勘違いを批判した直後に自分が偉そうに語るのもなんですが)

明らかな風邪に抗菌薬をごっそり盛っていたり、患者の訴えている症状と関係ない対症療法薬がてんこ盛りだったり(たぶん風邪処方セット的なアレでしょう)、改善しない場合や重症化した場合のフォロープランの患者説明がない(または患者の記憶に残っていない)だったりもたくさん見てしまいました。


どうしても現行の日本の医療制度では、高次医療機関で臓器別専門医療をやっていた医師がある日突然開業するので、重症化して死ぬ疾患や、検査で診断をつける疾患以外は弱いままの先生方も多くなるのは仕方ないかとは思います。

しかし、実際は、検査が不要な、もしくは検査で以上がない症状・疾患で「診療所に来る患者のTop30」を占めているので、病院の検査ありきの診療で鍛えた人ほどプライマリ・ケアではうまく振る舞えないのは当然のこと。


そういう意味でも、開業前のプライマリ・ケア再教育プログラムとか、診療所で継続的な診療をしながら生涯学習ができる仕組みとか、病院と診療所での継続的な協同学習の仕組みとかが必要なのかなぁと思いました。

自分のところはそういうのを主体的に開催するような文化はないですが、今後地域ニーズ把握や連携強化などは課題になっているので、地域全体でそういった協同学習の文化を作っていけるといいのかなぁと思いました。

自分たちがリーダーになる必要はないので、まずは既存のそういうものをを探して参加するところからですかね。自分の知る限りは専門医療の学習イベントしか見聞きしないですが、探してみようかと思います。 



そんな、いろんな地域や医療の現状を、普段とは違う視点で観察し体感できる貴重な機会でした。

と、キレイに前向きに締めくくることで、このやられまくった心身を癒やして帰路につこうと思います。

お疲れ様でしたー


明日も午前午後外来ですけどー(TдT)
 
 

    シェア     このエントリをはてなブックマークに登録
プロフィール
記事検索
最新記事
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター

    楽天市場
    Amazonライブリンク
    病院家庭医本、出ました!
    総合×リハ本、作りました!
    Facebookページです
    Web公開資料
    最近購入した本です
    書籍管理サイト「Media maker」
    カルテの型,連載してました!
    カルテの型書籍版出ました
    急変前評価本、書きました
    病棟CommonDiseaseとは?
    病院家庭医として紹介されました
    RSS活用で論文読む方法まとめました
    内科×リハ本、でました!
    • ライブドアブログ