病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

地域密着型病院で活躍する家庭医を目指し、札幌市内で働いてるDr_kentaです。 病院外来でのプライマリケア、内科急性期病棟の老年・緩和ケア、リハビリテーション栄養を中心に、医学教育や院内システム改善などにも関心を持ちながらいろいろやっている日常を記録していきます。ちなみに「病院家庭医」という正式な呼称はありません(造語です)。 また医師による記載ですが、医学的な内容を自分や身の回りの方に適用していいかどうかは直接診察のうえでの判断が必要です。記載内容を試して発生したいかなる不利益も責任は負い兼ねますのでご了承ください。

総合内科・診断学・急性期

狭心症とかACSとか含めた「冠動脈疾患」の包括的かつプライマリケア・総合医視点のレクチャーを初めてしました。これ、めっちゃ面白いですね!

先日夕方の、総合診療・内科専門研修の専攻医向けのアドリブレクチャーで「狭心症やってほしいです」と言われてやってみました。

そういえば、総論的な話や家庭医療学・老年医療学の話は多いですが、内科疾患1個に限定してひたすら掘り下げるパターンは珍しいなぁとおもって、とりあえずやってみたんですが、これが意外と幅広さも奥深さもあり、意外性や発見もあり、いいレクチャーでした(自画自賛ですいません)



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レクチャーしながら書いたホワイトボードメモです。いつもどおり後で見ても何もわからん。




まずは、狭心症関係の疾患群を全部リストアップして、「冠動脈疾患」のスペクトラム全体像をイメージ

冠動脈硬化症とか冠動脈石灰化などから、無症候性心筋虚血とか無症候性冠動脈狭窄、安定狭心症(労作性狭心症と冠攣縮性狭心症)、急性冠症候群(UAとNSTEMIあわせてNSTE-ACS、STEMI)、そして陳旧性心筋梗塞となり、慢性心不全となっていく全体像。

そして、完全に連続スペクトラムではなく、NSTE-ACSとSTEMIとの間の深い溝や、安定狭心症と不安定狭心症との非連続性、曖昧な用語たちの定義や病態の確認、無症候性の扱いとかをちょっとずつ整理。



そのうえで、まずはNSTE-ACSとSTEMIの病態の違いや初期対応の違いを、最新のガイドラインの推奨とその根拠に軽く触れながら、病態と治療がリンクするように整理

さらに、他の急性疾患と連想して治療方針が整理できるように、TIA-StrokeやDVT-PTEなどとも照らし合わせて解説

さらに、緊急PCIが必須かどうかについて、ガイドラインの推奨、そのもとの文献的根拠、そして都市部大病院と僻地診療所でどう使い分けるかなどを整理しつつ、最終的には受ける側の循環器内科・心臓血管外科とのコンセンサスづくりが重要だよねという話とか。



また、安定狭心症関係では、ACSのエビデンスや推奨当てはめちゃダメな話と、CABGとPCIのエビデンスの比較しつつ最適なリスクリダクションの重要性の提示、慢性の虚血と側副血行とACS発生率・重症度との関連と運動療法の意義とかにも触れたりしました。

さらに、保存的治療(生活指導と内服)で良いと思われる病態のうち、専門医に紹介して侵襲的検査・治療をしてもらったほうが予後が良くなる可能性のある病態と、それを病歴や基本検査などでどう見抜くかその限界を踏まえて個別のセッティングと経験値で紹介域値をどう設定していくかなどもお話しました。



また、全体像が見えてきたあたりで、慢性臓器障害やメタボ(御三家)との相同性などにも触れることで、これまでの研修期間で伝えてきたメタボや慢性臓器障害の理解や経験値と、初期研修での当直・救急で経験したStroke・ACSの診療経験、実際のガイドラインやエビデンスとは異なる言動をとる専門医の心理や立場などの理解などが繋がりながら一気に深まっていく感じがあり、とても面白かったです。



さらにすすめばステントの使い分けや特殊カテーテルの選択、抗血小板剤・抗凝固剤・血栓溶解剤の使い分けと注意点まですすめられそうでしたが、流石に1時間超えてきたのと参加者の脳みそキャパ超えも気になったのでやめました。




参考までに、過去に循環器関係で読んでみて、総合医視点で役に立った・面白かった情報源をならべておきます(今思いつく、名前を思い出せるものだけなので網羅的ではないです)


循環器治療薬ファイル -薬物治療のセンスを身につける- 第2版
村川裕二
メディカルサイエンスインターナショナル
2012-03-15





定番の茶色い本。クスリからの章と疾患からの章があって調べやすいのと、同じ薬を2つの側面で学べるので良かったです。
ほか、同じシリーズのサブウェイとかECGブックとかも読みましたが、この茶色本が一番読み込みましたね。


心不全診療・管理のテクニック
佐々木 達哉
医薬ジャーナル社
2012-02





古典的な雰囲気ですが、細かいところまで行き届いた記述で、初期研修後半の煮詰まった循環器関係のクスリについての疑問をだいぶ解消してくれました。
これ読んでからは、循環器内科医とのクスリの調整や治療方針についての議論で、言葉が通じずに困ることは結構減りました


カーン すぐ読める心電図 (DYMC)
M.ガブリエル カーン
西村書店
2004-12

数多くある心電図入門書のなかでこれが一番お気に入り&おすすめです。病態を読み取れる順番で読影し、所見の鑑別が細かく書いてあり、これだけあれば初学者でも一応病態を読み溶けるようになっています。
初期研修中は、病棟で担当した患者全例で心電図所見超細かく読んで、この本見ながら入院時記録に所見と解釈書きまくって指導医に「サマリー長い。無駄」と一蹴されながらも決して削らず書き続けていたのは良い記憶です。

これも心電図入門書ですが、やや優しすぎて専攻医レベルには物足りないかも。学生・研修医レベルかな。


運動負荷試験Q&A110
上嶋 健治
南江堂
2002-10

初期研修で循環器ローテしたとき、当時の指導医の大半は心エコーと心カテ一辺倒だったんですが、一人だけ外来担当の先生がトレッドミル担当していて、その先生に相談しておすすめテキスト教わったり技師向けの本を教わったりして勉強しまくったやつのうちの一つです。
カテーテルやシンチは循環器専門医じゃなきゃやらないので、カテ適応として紹介するかどうかの判断材料として、安静時検査に加えて負荷試験のキャパを広げたかったんですよね。とても役に立っています。












このあたりは定番の、循環器非専門医や研修医向けの読みやすい優しいテキストたちですね。これを読んで「うん、知ってる。そうだよね」という感覚が持てれば普通ですね。


INTENSIVIST Vol.5 No.1 2013 (特集:急性冠症候群(NSTE-ACS))
メディカルサイエンスインターナショナル
2013-01-31

Intensivist(集中治療医)やGIM(総合内科医)・Hospitalist(病棟担当の総合医)が見るべき虚血性心疾患とはなんぞや?について明確に定義し、いかに「循環器丸投げよりも、総合医が全体を見ながら循環器と協力する形のほうがベターか」をエビデンスゴリゴリにまとめてくれている本です。
私はこの本に後期研修後に出会って、いままで地方中小病院(院内に臓器別専門医不在)のなかで総合医として診てきた数多くのNSTE-ACSに対するやり方があっていたんだととても自信を持てたインパクトのある本です(もう5年も経ってるんですね・・・)


あとは、NEJMとかJAMAとかの論文斜め読みでの最近の動向と、リハ学会や論文での心リハのエビデンス、日本語ブログでの情報なども交えながらなので、上記の本を全部読んだからと言って同じレクチャーは再現できないはずです。




で、一通り話してみて感じた感想としては、「おれ、思っていたより循環器好きだなぁ。そしてマニアックなレベルまで知識あったんだなぁ」と思いました。

そこまで熱意を持って取り組んでいたという自覚はなかったんですが、喋ってみたらいくらでも喋れて、質問されたらさらに喋れてびっくりしました。


実際に患者の数が多いのと、地方にいってみたら院内の専門医に気軽に相談できず電話や手紙で院外専門医とやり取りするために専門用語や疾患概念や標準治療を理解する必要があったこと、当直・救急で経験値を積んだはずの虚血性心疾患なのに安定狭心症になるととたんに対応の根拠が甘くて動揺した経験、そして外来を大量に経験することで暴露された謎の冠動脈関連病名ズへの謎感とそれを解き明かすときの勉強などがドライブしたのかもしれません。


この内容を専門医が100%同意するとは思いませんが、専門医視点の「いつも俺らが重症みててケツ拭ってやってんだから、お前らもこうしろや!」という視点ではなく(そういう態度の人ばっかりではないですよ)、プライマリケア医含めた「非循環器専門医」の立場で全体像や頭の使い方や振る舞い方を解説するというコンテンツは意外と無いんですねと思いました


・・・・・・これを主要な臓器で全部やったら書籍化したりセミナー・動画化してお金取れたりしますかね?

各界の著名人たちにズタボロに殺されそうな気がするのでやりませんが(総合医風情が何いってんだ的な?)、とりあえず研修医受けがめちゃくちゃ良いことがわかったのでしばらく院内のローテーターに対してリピートして深めようと思います。

慢性臓器障害の概念構築や書籍化も、院内での地味なレクチャーを繰り返していくうちにできたし、カルテの本ももともとは研修医ニーズからレクチャー作ったのがもとだったので、何年かしたら動きがでるかもしれませんね。




そんな、久しぶりに経験した「未だ気づいていなかった、自分の中の医学教育コンテンツ」の発見体験でした。



年内には「忙しい臨床医のための資産形成塾-入門編-」も、専攻医の希望でやることになりました。

バリバリ稼げる系の病院ではなく、かといって死ぬほどバイトして稼ぐわけでもなく、そもそも資産形成が主目的ではなく臨床医として成長したい集まりに対する入門編とはなんぞや?という問いにワクワクしています。


教育は、関われば関わるほど自分の懐が広がっていって面白いもんですねぇ・・・









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症候論学習会in旭川 やってきます!!

毎年恒例の持ちネタですが、「症候論学習会」を旭川でやってきます。

2018年12月1日土曜日の午後に、関連病院の一室を借りてやります。


ホントは医者が少なく、外来・病棟は荒れる時期なので中止か延期にしたくて相談していたんですが、法人の研修医勧誘計画上かなり重要な位置づけであり、やるとやらないでどんな影響があるかを担当者から柔らかくも説得力のあるプレゼンを受けて納得してしまったのでやります。


とはいえ、自分の中では勧誘に直結するイベントというよりは、正しく当たり前な診断推論を少しでも学生時代に身に着けてほしいという教育視点が大きいです。

あと旭川に関しては「総合医になんかなったら野垂れ死ぬぜ!医局に所属して最高の専門医になれば地域医療だって総合診療だって楽勝にこなせるぜ」という洗脳を少しでも解いてあげたいという親心的な気持ちがつよいです。

それくらい、物理的・地理的に孤立した大学構内での、アンチ総合診療の洗脳がものすごいところなのです、彼の地は。

そこで、「え?このレベルの総合診療を専門の片手間でできるわけ無いじゃん」とか「ほほう、このレベルの教育スキルをもった医局員が一人もいないところに所属して、うち以上に効果的な医師育成ができると思うのかい?」とか「まあいろいろ言う人はいるけど、普通に市中病院で臨床医していてつまらないとかニーズがないとか大学に殺されるとかそういうことないし、めちゃくちゃおもしろいよ」ということを軽くお伝えすることで、強引に引き込むわけではないですが、「知らなかったせいで本来やりたいこととは違う道に行きかけた人」がふと気がつくきっかけになればいいかなと思います。

じっさい、結構な確率でデトックスというかザメハかけられるので十分でしょう。





あれ?ずいぶん脱線しましたね。


肝心の中身ですが、今回のテーマは「高齢男性の胸痛」です!!

診断推論、どまんなか。

頻度の多い訴えですし、致死的疾患が紛れている確率も高いですし、外来でも当直でもどこでも使えます。


最近は一見さんが多かったので、たいていは「若い女性の腹痛」とかを使いまわしていましたが、今回はリピーター参加率が高いという嬉しい悲鳴状態だったので、2015年に使ったネタをひさーしぶりに引っ張り出してきました。

もちろん、症例やスライドはそのままではなく、この3年間で磨いてきたプレゼンスキルやレクチャーポイントを散りばめつつ、この3年間で実際に経験した同じ主訴や同じ病名の患者の情報も混ぜ込みながら(患者個人情報に引っかからないように数十例を混ぜ込んだキメラ事例を作っています)、いい感じにまとめあがているところです。



開催要項的なものは、こちらの過去記事をご参照ください。


公式ホームページ情報 http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/publics/index/254/


もう定員は埋まったみたいですが、交渉次第ではもう数名増えてもまあ大丈夫でしょうし、また札幌や旭川でやりますので次の機会を狙っていただいてもいいと思います。

必ずや、得るもののあるイベントだと思いますので、乞うご期待です!!






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【手作りの薬剤一覧表シリーズ】便秘薬の一覧作りました

久しぶりに、おくすりの一覧表を作りましたよヽ(=´▽`=)ノ


便秘治療薬の一覧表です!
便秘薬一覧byけんた2018




今までに作って、ブログにアップしたのはたぶんこれくらいかな。

NSAIDsの使い分け方を調べなおして見ました



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症候論学習会in旭川、久しぶりに開催します! 12月1日です

毎年開催している、旭川での症候論学習会の日程が決まりました


札幌開催の今年度1回めは8月にやっていました。

症候論学習会を開催しました(8月18日の札幌開催)




旭川開催は1年ぶりくらいですかね。

開催病院のホームページの方に開催要項がのっかっていました。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/publics/index/254/






基本的に、札幌と旭川は同じネタでやっています。

自分の準備の都合もありますが、大学別で同じネタへの反応(正解率というよりは、取り組む姿勢とか、得意不得意の偏り、関心領域の特徴など)を見比べるのが楽しいのです。

参加者層の分析が進むほど、同じレクチャー資料でも伝え方を工夫して盛り上がりやすくできるので、こういうのし店は大事かなと思っています。


とはいえ、旭川は参加率が高いので、去年も参加したことある人や、札幌開催に紛れ込んだ人がいる可能性も若干あるんですよね。

そういうリピーターがいた場合は、新ネタや、5年くらい前の誰も知らないネタを出すかもしれません。



いずれにしても、正解はCommon diseaseであり、難しい症例は出しません。

(まぐれ当たりやビギナーズラック含めて)正解したかどうかよりは、思考過程を身につけることや、難しい課題に対して手持ちの武器や仲間との連携でどうやって立ち向かうかという、医者になってから即使う能力を磨いてもらうことを重視しているからです。


宣伝文もこんな感じです
症候論は、患者の口から語られる病歴だけで8割方まで診断を詰め、狙いすました身体診察と必要最低限の臨床検査で診断を付ける技術です。
単に診断の答え当てではなく「考え方」を学ぶことで幅広く応用できる臨床推論能力を身につけましょう。

過去には、1時間引っ張って結局風邪だったというケースもあります。


どんな症例になるかはお楽しみに・・・



まだ参加枠空いているようですので、参加希望される方は、リンク先のメアドからお申し込みください。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/publics/index/254/


主に旭川医大の医学生が対象になると思いますが、「他職種ですけどいいですか?」という人や、「旭川住民じゃないですけど、たまたま道北に行く用事あるんで参加していいですか?」という人も相談可能ですので、興味あればまずはご連絡ください。


懇親会もガッツリ参加しますので、いろいろと大学外の人に聞いてみたいことがある人もご参加ください。
「正直なところ、総合診療で食っていけるんですか?」とか「医局に所属せずに市中病院だけで働いていても、医学界から干されたりしないんですか?」とか「ちょっと変わったキャリアを考えているんですけど、これって大丈夫ですかね?」とかいろんなことを毎回相談されますが、自分視点や業界視点でいろいろ情報提供できますし、超変わっていて医学内に居場所なさそうなキャリア相談でも上手にまとめて勇気づけてあげる才能は結構あるらしいので何かしらの形で視界がひらけるとは思います。



でわ!!

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日本人の死亡原因の統計2017年版を、疾患名・診療科別とは違う視点で切り分けました。5大Common Disease群が見えてきませんか?

何年か前から、日本人の死因統計や総合病棟・総合外来の患者層等のデータを弄って、総合医が診るべきCommon disease群をざっくり示すというのを趣味でやっています。



以前にブログに乗っけた、「慢性臓器障害」という概念を教えるためのレクチャースライドを公開した記事がこちら → http://blog.livedoor.jp/gp_ken/archives/8894692.html

この記事の中にはったプレゼン資料のなかで、Common diseaseをグルーピングしています。
https://ja.scribd.com/document/271596413/%E6%85%A2%E6%80%A7%E8%87%93%E5%99%A8%E9%9A%9C%E5%AE%B3Ver1-150713#fullscreen&from_embed

感染症と悪性腫瘍のほか、心血管救急(StrokeとかACSとかの、動脈硬化でリスクが上がっていき、発症したら急いで救急対応する群)と急性臓器別疾患(イレウスとか膵炎とか)、慢性臓器障害と代謝内分泌疾患などに分けてみたり、死因統計からは悪性腫瘍・心血管救急と感染症っていうか加齢性疾患と慢性臓器障害とその他(自殺・事故と老衰)というふうに分けてみたりしています。



「死因を10個覚えよう」とかよりも「似たような特性で圧縮して5個だけ理解しよう」のほうが、総合医である自分が対象とすべき敵の全体像が把握しやすいし、無限に勉強できてしまう一部の人を除くと初期研修医や後期研修医が疾患の勉強を始めるときの取っ掛かりとしても「まず全体像を把握し、共通点でざっくりまとめて、その上で個別の疾患の枝葉を詰めていく」というプロセスのほうが効率的なんですよね。




んで、ながらく2011年に出た死因統計をもとにレクチャーなどしていたんですが、最近になって「2017年の統計では肺炎が3位から5位まで下がったらしいよ?なんか、レクチャーの内容とずれてきたんじゃない?」という声が聞こえてきたので、再度検証してみました。



もとにした厚労省のデータはこの2つです。
実際の細かい数字がはいった表→
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/dl/h6.pdf


無題2

これが、最近独り歩きしている図です。

よく見ると、肺炎が下がったというよりは、「肺炎が、肺炎と誤嚥性肺炎に分割された。合計すれば7.2+2.7=9.9でやっぱり3位だよ」ですよね。

また、肺炎が減ったんじゃなくて老衰と診断する医師が増えた(以前は老衰の結果亡くなった症例でも心不全や肺炎と各症例も多かった)というのもあるでしょう。

あと、見慣れたCOPDや腎不全や肝疾患が消えていますが、実際に表をみると死亡数はへっておらず、誤嚥性肺炎と認知症がランクインしたせいでTop10から消えただけでした(表の方をみると、2016年と比べてこれらの臓器別疾患の死亡数は増えています)




この表のデータをエクセルに転記して、臓器系別、疾患の原因別、5大Common disease別に円グラフ作り直してみました。
無題


ちなみに、臓器系別にまとめ直したときの各グループに含めた疾患群の定義はこちら。
呼吸器=呼吸器+気管~肺癌  263599
循環器=循環器-脳血管疾患  240364
消化器=消化器+胃腸肝胆膵癌 238057
神経系=神経疾患+脳血管疾患 154876
泌尿器=腎尿路+泌尿生殖器癌 70130
精神疾患  21501
代謝内分泌 22352

原因病態別のまとめ方はこちら
悪性新生物 373178
動脈硬化(高血圧性疾患+糖尿病+心筋梗塞+その他虚血性心疾患+脳血管疾患+血管性及びその他の認知症) 151896
加齢性疾患(老衰+誤嚥性肺炎) 136527
感染症(感染症+肺炎) 121472
心疾患(心不全+その他心疾患) 86006
呼吸器疾患(BA+COPD+その他-誤嚥性肺炎) 53974
消化器疾患(潰瘍・腸閉塞・肝疾患) 51163
神経変性疾患(その他の精神及び行動の障害+神経系疾患-髄膜炎) 46664
腎尿路生殖器疾患 37989
事故 40395
自殺・他殺・その他外因 28097

5大Common Diseaseの分け方はこちら
悪性新生物 373178
心血管救急(心筋梗塞+その他虚血性心疾患+脳血管疾患+大動脈瘤・解離) 198812
老年症候群(老衰+誤嚥性肺炎) 136527
慢性心疾患(高血圧性心疾患・心腎疾患+心不全) 85874
慢性肺疾患(COPD+喘息+間質性肺炎) 38830
慢性神経疾患(アルツハイマー病+血管性及び詳細不明の認知症) 36813
慢性腎疾患(慢性腎臓病+詳細不明の腎不全、糸球体・尿細管疾患除く) 22515
慢性肝疾患(ウィルス性肝炎+肝硬変(アルコール性除く)+その他肝疾患) 20727
感染症-ウィルス性肝炎+肺炎 20931





結論から言うと、私のいつもの「5大Common Diseaseの視点」(慢性臓器障害、心血管救急、悪性新生物、老年症候群、感染症)で整理すると、2011年版とメッセージ性は特に変わりませんでした。


それを踏まえて、レクチャー資料や今準備している書籍の原稿に書き足した本文の一部がこれです。
まだ適当で雑な文章ですが。
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死亡原因を臓器系別でまとめ直したもの(臓器別にまとめられない感染症・老衰・傷病/外因を抜き、悪性腫瘍は分かる範囲で臓器別に割り振ったもの)をみると、呼吸器23%>循環器・消化器21%>神経系13%>腎泌尿器系6%>代謝内分泌・精神疾患2%、その他12%となり、いわゆるメジャー内科が担当する臓器系の比率が高く、見慣れた印象の結果となる。


次に、疾患の原因となる病態別でまとめ直すとだいぶ印象が変わってくる。
悪性新生物28%>動脈硬化性疾患11%>加齢性疾患10%>感染症9%>これら以外の原因による臓器別疾患6~3%>事故3%>自殺・他殺・その他外因2%となる。
長い経過による動脈硬化(と、同じリスク因子を持つ悪性腫瘍)、加齢に伴う老衰や嚥下機能障害、感染症など予防や早期発見が可能な病態が多く、地域や外来で大勢の患者に関わるプライマリケア医の重要性を想像しやすくなったと感じる。

また、「これら以外の原因による臓器別疾患」は、悪性腫瘍や動脈硬化(心筋梗塞や脳卒中)を除いた、つまり専門医の特殊な検査・治療が必要となる確率の低い疾患群であり、合計すると27万人強・20%を占め、悪性新生物に次いで第2位になる
この数を、専門医のいる高度急性期病棟ですべて診ることは難しいし、診る必要性も低い(カテーテルインターベンションなどが不要な疾患である)が、現時点ではこれらの「専門医の出番や関心が薄い臓器別疾患の診療」を総合医の仕事として認識している医師は(特に医学生や初期研修医~後期研修医などの若手では)少ないのではないだろうか。


最後に、筆者が上記のような基準で診療の特性別にまとめた「5大Common disease群別」で並び替えると、悪性新生物28%>心血管救急15%>老年症候群10%>慢性臓器別疾患6~1%>感染症2%(その他30%)となる。
また、慢性臓器別疾患をすべて合計すると20万人強・15%程度を占め第2位に入るが、これも悪性腫瘍と心血管救急を除外しているため専門医の専門性が役に立つ場面は少ない。

この視点でも、やはり「慢性の経過で臓器機能が徐々に落ちていく疾患を、年単位の長期間で診るための視点や訓練」は必要と考えられる。現在の救急外来と急性期病棟に偏った初期研修や内科専門研修ではこの点が抜け落ちているだろう。」
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まあ要するに、「もっと総合診療の病棟や外来での研修しましょうよ、初期研修でも内科専門研修でも、ましてや総合診療専門研修でも」ってことでした。

臓器別内科の病棟を全部回っても、悪性腫瘍や心血管救急や急性臓器別疾患をのぞいた「慢性臓器障害」や「老年症候群、加齢性疾患、老衰」などは全然診れるようにならず、急性増悪のあと退院してきた患者を継続的に診続ける外来診療や、臓器別専門医が「これは、まあうちの科の疾患ではあるけど、やることないので総合でもいいんじゃない」的に押し付けられた疾患を主体的にみる意欲的な総合病棟や地域包括ケア病棟での研修もしないとぜんっぜん足りないんですよ。ということです。


単一施設の総合診療病棟のデータとかでなく、国の全国統計が根拠なので、割と信憑性ある内容だと思うんですよね。

どんなデータも切り方次第、見せ方次第ですね。



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症候論学習会を開催しました(8月18日の札幌開催)

8月の話ですが、症候論学習会を開催しました。


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申し込みページ http://www.kin-ikyo-chuo.jp/for_medical/student/event/%E6%9C%AA%E5%88%86%E9%A1%9E/1252.html



主に北大・札医大の医学生を対象に、診断学の基礎から、特に考え方を丁寧に教える定番の学習会です。

卒後2年目のときに初めてから、13年目に突入しました。


基本的な考え方の会なので、この間、特に大きな内容の変化はなく、ずっと同じことをやっています(多少スライドを直したりはしていますが)



今回も、定番の「若い女性の腹痛を、問診と身体診察だけで診断しよう」シリーズです。

参加者が大学卒業していなくなったら同じ症例でも使い回せるので、その年度の第1回は大抵これでやっていますが、皆さんホントに新鮮に考え、悩み、ときに当たり、ときに外れ、その過程から色々学んでくれるので良い症例だなと思っています。

1 by けんた on Scribd




 
今後の予定は、とりあえず以下の2つが決まっています

1.症候論学習会in旭川    2018年12月1日

2.症候論学習会in札幌第2回 2019年2月16日

時期が近くなったら、このブログと、各種SNSで宣伝すると思います。



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学習会スライド共有:「第1回若手病院総合医カンファレンス」の誤嚥性肺炎レクチャースライド

4月に東京で開催された、病院総合医イベントのスライドをシェアして良いという許可がでたので載せます。


イベントの概要をまとめた、過去に書いた宣伝記事はこちらです。

【学習会案内】第1回若手病院総合医カンファレンス「病院総合医の高みと広がり」


最初に上田剛士先生が、肺炎診断の診断を深めるレクチャーをして、

次に自分が誤嚥性肺炎・嚥下障害に視野を広げて、その診断と治療を深めるレクチャーをして

最後に大浦誠先生が、嚥下障害の原因となっている神経変性疾患や、その疾病を抱える本人や家族に視野を広げてACP・在宅ケア・非がん終末期ケアを深めるレクチャーをして

という3部構成でした。


他のお二人のレクチャーもとても面白くて勉強になるし、全体を通して位置事例を深めるプロセスそのものが醍醐味でしたが、とりあえず今回は許可のでた自分のところのスライドのみアップします。

180421-JPCA「病院総合医の高みと広がり」 by けんた on Scribd





全体をちゃんと勉強して、病院総合医の高みと広がりを実感したい方は、(おそらく開催されるであろうと期待している)第2回に参加してもらえるといいと思います。ちゃんと宣伝してみました。


でわ!





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経験疾患を列挙してみようと思います

経験疾患をしばらくリストアップしてみようと思います。



先日のSNSで、とある家庭医療のボスが、外来で経験した疾患を列挙しているのをみて刺激を受けました。

それ見ただけでも、「幅広い事やってるなぁ」とおもったり、「おお、そんな領域もカバーしてるんだ」と感じることが多く、純粋に面白かったというのが一番かもしれません。


あ、あと、最近学会から、家庭医療専門医の診療範囲の調査がきていて、記入してたら「あ、自分もけっこういろいろやってるかな」とおもったのもきっかけかもしれません


以前には病棟患者の解析したり、病院総合医外来の解析したりいろいろやったので、もともとそういう調査系は好きなんですよね。

客観的データで俯瞰すると、自分の奥深くが見えて、今後すべきことについても先行きの見通しが良くなる感じがするのです。


最近は「一般外来」という普通の内科患者がたくさん来る外来を診る割合が大きいので、「総合医特有の」ではなく、「当院内科・総合診療科外来の」全体がふんわり見えるかもという気もしています。



基本的にブログでは、患者情報保護の観点で患者診療内容などは載せないようにしていますが、経験した疾患の全体像を漠然と書くだけなら大丈夫かなとも考えました。

少しでも患者特定をしにくいように、自分が主治医か研修医と共同でみたり相談されただけかは明記せず、何月何日かもふわっとさせ、病棟か外来か在宅かなども区別せずにただ混在して並べてみようかと思います。

その方が、「総合医、いろいろみてんなぁ」感も返ってでやすいかもしれません。



以前から、このブログは愚痴と趣味と逃避と、仕事については管理や教育やたまに研究くらいしかかいてなくて、「こいつほんとに臨床やってんのか?」という感じもあったので、少しは「病気もみていますよ」感を出してみようかと思います。

まあ、とりえあずはあまり深く考えず、気力と時間と関心があるかぎりは続けてみます。




最初は順不同でのせてみましたが、あまりに混沌としたので、見やすいように疾患分類別にはしてみました。

循環器→呼吸器とか、身体疾患→心理的問題→社会的問題とか、ざっくり並び替えました。

全部自分が診断・治療を独立・自立して完遂しているものだけでなく、相談にのったり、調整したりしただけのものも載せています(そういうのも含めて総合医の仕事だと認識しているのでいいかなと)

今日見た症例だけだと限定されやすいので、先週のぶんも少し含めていますが、1ヶ月分ではないです。

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■感染症・発熱系
誤嚥性肺炎・肺膿瘍・膿胸や細菌性肺炎・非定形肺炎(個人的には異型肺炎のほうが呼び心地が良いです)、尿路感染症・前立腺膿瘍・子宮留膿腫、胆管炎、腸腰筋膿瘍、CDIや血流感染、偽痛風・偽痛風・偽痛風、DIC・多臓器不全(最近MOFて聞かないですね)などの急性期~長期抗菌薬治療引き継ぎからの合併症対応などいろいろ

■心血管リスクや代謝内分泌関係
高血圧(二次性いろいろ含む)、脂質異常症(家族性含む)、糖尿病(1型・膵性含む)、高尿酸血症(腎不全、再発性痛風含む)など多数
橋本病・甲状腺機能低下、バセドウ病・亜急性甲状腺炎・その他甲状腺中毒症
肥満、喫煙(無関心から維持期までさまざま)、飲酒(軽度から依存症まで様々)
電解質異常(薬剤性や腎性多め、久しぶりに家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症やバーターなども)

■循環器、心血管系、脳も含めて
心房細動(弁膜症性、弁置換術後、非弁膜症性など)
洞不全症候群(PPM入ったり保存的にみていたり)
労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、心筋梗塞後、非特異的胸痛
慢性心不全の各ステージと急性増悪など、原因病態もいろいろ(虚血のほか進行期弁膜症、いろいろな心筋症など)
慢性腎臓病の各ステージ・いろいろな原因病態やそれらの急性増悪など
脳卒中(アテローム血栓性、心原性、ラクナや出血、SAHなど)の亜急性期~維持期いろいろ
高齢者てんかん

■呼吸器、耳鼻科、アレルギー系
気管支喘息、COPD、CPFE・ACOSと呼ばれるものたち
塵肺、間質性肺炎(特発性、膠原病肺、原因未特定など)
花粉症・アレルギー性鼻炎/結膜炎・アトピー性皮膚炎、食物アレルギー・蕁麻疹など
OSAS

■消化器系
慢性胃炎や潰瘍と、それにまつわるピロリ検査・除菌のあれこれ
早期胃癌・大腸ポリープの術前・切除後フォロー
胃切後長期合併症もろもろ(ダンピング、貧血、低栄養、他)
進行胃がんの術後・化学療法中体調不良・BSC方針のサポーティブケアなど

急性腸炎(季節外れの細菌性疑い、薬剤性、その他もろもろ)
便潜血陽性の精査相談
便秘の相談(他院・他科で何件も相談してきたものや数十年こじらせたものなど複数)

肝細胞癌進行期数例・肝硬変数例・自己免疫性やウィルス性やその他もろもろの活動性慢性肝炎
胆摘後など各種手術後の定期検査や処方継続依頼
慢性膵炎、自己免疫性膵炎、IPMN・膵のう胞、膵癌
周術期の謎の肝障害のフォロー依頼

■外科系との連携関係
他科の抗癌剤治療中の体調不良(乳癌ホルモン療法後あれこれ、大腸癌あの薬で高血圧、前立腺癌進行期のあの薬で血圧・血糖・浮腫、血液系腫瘍免疫抑制中の熱や体調悪化とか)
他院で受ける手術の麻酔法はどれが正しいのかの相談
他科で受けた説明で不安になって身体症状が増えたがどうすればいいか相談は多数
他院急性期治療受けて、一般病院や診療所で扱ってない薬や患者の経済力で長期内服難しい高額薬品が入っていた問題の対応何件か(薬変更、費用負担軽減策、急性期病院問い合わせなど)
 
■症状の相談系±診断推論
風邪を引いた気がする(上気道症状をともなわないもの)複数
慢性咳嗽の相談たくさん
浮腫、体重増加、倦怠感
冷え、ほてる、冷えのぼせ
頻尿、排尿困難、尿が出過ぎる、尿道痛、性交困難、理想の排尿と異なるのが気に食わない
難聴・耳鳴、嗄声
視覚障害(完全盲、弱視、視野障害、その他いろいろ)

頭痛、肩こり、手のしびれ
非解剖学的(神経分布に一致しない)しびれ、麻痺があるような気がする感覚など
あるきにくい、痛い、転ぶ、動けなくなってきた、食べられなくなってきたなど
脳性麻痺や先天股脱の成人の外来リハや定期観察
骨粗鬆症に関するあれこれ(スクリーニングや患者切望、熱心な専門医のアグレッシブ治療の副作用対応、骨密度だけ治療していて転倒予防してない事例の外来・在宅リハ指導など)
圧迫骨折、大腿骨頚部骨折、肋骨骨折、その他あちこちの骨折
褥瘡、低栄養、サルコペニア

■脳・神経・精神系  
認知症(AD、VD、iNPH、FTLD(SD)、DLB、PSP、アルコール性、頭部外傷後高次脳機能障害、etc. etc.)
パーキンソン病、DLB、PSP、薬剤性や脳血管性パーキンソニズム、アカシジア、ジスキネジア、Restless legs、振戦(各種)、悪性症候群・逆に薬剤中断後全身固縮などいろいろ
うつ病・抑うつ状態、双極疑い、その他もろもろ
易怒性、不安・焦燥、パニック、強迫傾向
軽度発達障害、精神発達遅滞・脳性麻痺・てんかんなどの成人
比較的立派な人格障害
薬物依存症、薬物中毒、薬物離脱・退薬兆候いろいろ
 
■いわゆる不定愁訴系(きちんと診断つくこともつけないことも)
食思不振、摂食嚥下機能障害、認知症進行期など多数
慢性疼痛(頭や背中や胸や肛門や四肢など)
非器質的消化器症状(NERD、FD、IBSなど)
変形性関節症や脊柱菅狭窄症、慢性腰痛症などに混じっての線維筋痛症、脳脊髄液減少症、慢性疲労症候群、に混じっての強直性脊椎炎・乾癬性関節炎・掌蹠膿疱症性脊椎関節症など
鎮痛薬希望、シップ希望、眠剤希望、胃薬希望、風邪薬希望、etc.

■家族・介護系
家族介護負担の身体心理面ケア、介護がこれでいいのか不安
介護対象者死去後喪失反応の遷延
入院患者の家族が体調崩したときの外来対応とついでにいろいろ相談と病棟への情報共有
認知症高齢者に付き添っていた家族の外来診療導入、訪問診療導入
主治医意見書作成依頼

■疾病予防 
生存確認(心理社会的課題はあるが今の環境で落ち着いていて顔みせと世間話のみ)
食事指導や運動療法の相談
禁煙指導、飲酒相談
ワクチン相談(流行りのMR、針刺し暴露後予防、HBVや日本脳炎キャッチアップなど) 
性感染症相談、避妊相談、ED相談、妊娠計画など
==============================

心理社会的なところや地域ケア、教育や研究や管理を取り除いて疾患・医学的問題だけ抽出してみたつもりですが、けっこう幅広いですね。

1週間外来見学してもらったら、Common diseaseかなり埋まりそうですな。


一般外来増えたぶん、Common内科疾患のバリエーションが広がった(というより隙間が埋まった)感じはありましたが、やはりそれ以上に心理社会的ケアがセットなものや、合間に家族ケアや疾病予防が混じった事例も増えていて、まあいろいろありますね。

これらが、「患者1名あたり、疾患・相談事1個」ではないのがまた輪をかけて複雑で手間もかかるんですが、それが楽しい・やりがいがあるとは思っているのでまあいいかなぁと思います。




ふとおもったけど、どんな症例あてるか熟慮してる初期研修医や、総合診療・内科の後期研修医よりも、よほど自分のほうが幅広い研修をさせてもらってるのかもしれんなとか思い始めました

まあ、前提となる処理速度やキャパがないと、燃え付きやパニックになるだけで研修にならんとはおもいますが、逆に指導医でも現状に甘んじないで常にギリギリをせめれば日々の仕事のなかで常に学び続けることは可能なもんなんですね(継続可能性や一般化可能性なんかは度外視した極論とはおもいますよ)



あ、あと、思ったより書き出すのに時間かかったので、次回はもう無いかもしれません・・・

でわ!


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【学習会案内】第1回若手病院総合医カンファレンス「病院総合医の高みと広がり」(再掲)

今週末に迫ってきたので、3月にも紹介しましたが再度宣伝しておきます。


4月21日土曜の午後に、東京大学で診断学とか総合診療とかのイベントの講師をしてきます!!

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過去の紹介記事はこちら。

【学習会案内】第1回若手病院総合医カンファレンス「病院総合医の高みと広がり」


プライマリ・ケア連合学会の公式ホームページに載っているのはこれ
https://www.primary-care.or.jp/imp_news/20180305.html


徳田先生の「燃えるフィジカルアセスメント」にも掲載されています!
https://blog.goo.ne.jp/yasuharutokuda/e/1599755136334f3bdc48bb8c5e923678

青木先生の「感染症診療の原則」にも掲載されています!!
https://blog.goo.ne.jp/idconsult/e/4eb7e5ccd81c4332200d5e7ad28a0660


さすが学会公式、かつJ-HOSPITALIS関係者もいるなど、大手が関わると宣伝の範囲が半端ないですね・・・



内容的には

最初に上田先生が、内科診断学の真髄で唸らせて

次に自分が、内科以外の総合診療関連領域(Special interest)の視点で更に症例を深めて

最後に新進気鋭の若手が、生物医学的なところ以外(Bio-Psycho-SocialやComplexity・Clinical ethics)で更に広げて

「いやー、総合診療すげーな。めっちゃ面白い。3年の後期研修だけじゃ全然足りないくらい極めがいあるわーヽ(=´▽`=)ノ」という感じになる予定です。



自分の担当部分の準備が遅れていますが(他の先生方は、だいぶ前にスライドできていて焦っています・・・(-_-;))、昨日の昼頃にプールで平泳ぎしてるときに神が降りてきたのでなんとかなるでしょう。

できるだけ、ダラダラ平坦な一方通行レクチャーにならないように、頭を使い、学びや気付きが深まるような仕組みづくりまで工夫できればと思います。
(でも、多くのマニアックな知識が欲しくて来る人も一定数いるかもしれないので、普段よりは情報量多めにしようかな)

あとは根性と気力と体力と、そして作業時間を生み出す驚異的なタイムマネジメント能力とでなんとかなるのでしょう。



もう申込みフォームの入力は締め切られたみたいですが、「あ、参加申し込みわすれてました!めっちゃ参加したいです!!」という人はご相談いただければ枠開いてるか聞いてみますね。

あと、懇親会まで参加する予定ですので、初めてお会いする方もいろいろ話しかけてくれたら嬉しいです。







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【学習会案内】第1回若手病院総合医カンファレンス「病院総合医の高みと広がり」

4月に東京で、病院総合医イベントの講師やってきます!
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学会の委員会・若手医師部門主催で、スーパー指導医と肩を並べたりでけっこう恐縮していますが、参加者が満足できるように頑張ってみます。


家庭医療学的なナラティブとか文脈・背景とかでなく、病院における、Bio-medical(生物医学的)な身体疾患をビシバシと理論的に診断・治療していく流れを提示しますが、その中で「内科ではなく総合診療医の視点や専門性を活かすとこういうところが広がったり深まったりして面白くてですね・・・」というところをうまく伝えられるよう工夫してみます。


4月で忙しいかもしれませんが、土曜午後からなのでぜひともご参加ください



以下、宣伝文のコピーです
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【病院総合医を目指す皆様へ シェア歓迎!!】
プライマリケア・連合学会の公式に病院総合医の勉強会を行う方向になりました。

詳細は、下記の通りです。
是非、ご参加を!!


第1回若手病院総合医カンファレンス「病院総合医の高みと広がりのご案内



全国の病院総合医の皆さん。

今回、日本プライマリ・ケア連合
学会病院総合医委員会が主催となり、専門医部会若手医師部門の病院総合医チームが共催する形で、学会公式の病院総合医の勉強会を行うことになりました。

講師として、病院総合医委員会か
ら上田剛士先生と佐藤健太先生をお迎えします。

上田剛士先生は、内科診断リファ
レンスなどの著書で知られ、ドクターGとして内科診断学に造詣が深い先生になります。
佐藤健太先生は、「型」が身につくカルテの書き方などの著書で知られ、病院における家庭医療の実践に注力されています。

講師陣が追求する「病院総合診療
医ならではのやりがい・面白さ」とは何か?
症例ベースで一流の病院総合医のジェネラリズムを共有します。

まだ見ぬ病院総合医の高みと広が
りを一緒に経験しませんか!?
皆様の参加をお待ちしております



主催: 日本プライマリ・ケア連合学会  病院総合医委員会
協力: 日本プライマリ・ケア連合学会  専門医部会若手医師部門病院総合医チーム


●対象
日本プライマリ・ケア連合学会 会員(主に卒後3-10年目前後
*本勉強会の対象者はプライマリ・ケア連合学会の会員限定になります。


●場所
東京大学医学部本郷キャンパス


●日時
2018年 4月21日  13:00-17:30
終了後 会場周辺で懇親会を行う予定です


●人数
60人(先着順)


●値段
5000円


●問い合わせ先
一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会
Email:office@primary-care.or.jp


●お申込み先
URL:https://business.form-mailer.jp/fms/bdf2596e82726



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札医大の医学生向けに「普通の血液検査の、深いい読み方」学習会しました! 気軽な小ネタで、学生が病院に来るスタイル、いいですね♪

先日、うちの病院の医局研修医室に、近隣の札幌医科大学の医学部5年生8名が集まってくれて学習会をしました。

ネタは「普通の血液検査の、深いい読み方」で、自分が大学5年生のときに作った資料をもとに、初期研修医向けレクチャーとして使いまわし始め、5年前くらいに今の体裁のレクチャー資料を作ったやつです。

「普通の血液検査の、深いい読み方」 by けんた on Scribd



ぜんっぜん高尚な内容はなく、臨床研究などのエビデンスに基づいたかっこいい話はなく、検査技師向けの「臨床検査の読み方」的な辞書的な本に全部書いてある内容です。



学習会が立ち上がった経緯としては、大学実習で1ヵ月前くらいに当院に来てくれた学生が来てました。

そのときにふと暇な時間ができてしまい、当時ローテしていた初期研修医とその学生と、たまたまもう一人別の大学から来ていた学生相手に「ヒマにさせてごめんね。30分位あるからなんかアドリブでミニレクチャーでもやろうか? ネタとしてはいろいろあるけど、例えば・・・」で適当に列挙してみたところ、「血液検査の読み方」に食いついてくれたました。

他の仕事がその後あったので、ほんとに30分だけ、触りだけお話して終わりました。

ですが、これがとても面白かったらしく、その後に「あれとても面白くて、例えば学生の仲間でこちらにお邪魔してこういう学習会の講師をしてもらうことは可能ですか?」と相談され、「来てくれるならいいよ。平日の夕方で、こちらの都合が良い日に1時間くらいとかなら全然負担もないし」という感じですぐ決まりました。


その後メールで参加者やニーズなど確認して、今回第1回が開催されました。

ネタはその時使った資料の使い回しで、1時間確保したので、前回やった肝機能検査に加えて、炎症検査もやれました。

それだけで1時間はみ出すくらいに、質問がいろいろ出て、それに答えることで更に知識が有機的に繋がって派生していってでなかなか刺激的で楽しい時間を過ごすことができました。


準備時間は、昔のレクチャー資料を印刷する5分位ですし、お金も体力もかからないしでいいですね。

学生側も、地下鉄で10分位で付くアクセスの良い病院に、病院実習などが終わって全員来られる曜日と時間帯でみんなで来て、終わったら解散するなりみんなでご飯食べに行ったりしても遅くならずなので、お互い楽でいいなぁと思いました。


札医大は、5年生くらいから「国家試験の勉強をするためのチームを~8人くらい?で作り、それぞれの班に勉強5部屋が割り当てられる」というシステムのようで(自分のいた大学は完全放置だったので、初めて聞いたときは信じられませんでしたが)、そのメンバーで来てくれたようです。

ふつう国試勉強仲間は、ブレインクラスとおバカキャラ、国試情報通、ムードメーカーなどがバランスよく組み合わさって出来ることで盤石な体制を作ると思いますが(自分はどちらかと言うとブレイン寄りだったので、敢えて国試対策研究するタイプの人と一緒に勉強する機会を意識的につくったりしてました)、今回来た人達は全員かなり知識レベルが高くて驚きました。

たまたま初期研修医も「あ、ぼくも聞きたいっす」と参加してくれましたが、研修医と一緒になって「いやー、壮絶に賢かったね・・・。たった3年下でこのレベルだと絶望すら覚えるね」みたいな会話をしながら、今の医学教育のレベルアップを喜んだりしてました。



せっかくなので、月1くらいのペースで(彼らが国試勉強で余裕がなくなってくるまで)続けてみながら、学生や初期研修医が面白がるような臨床の小ネタ(大学でもテキストでもまなべず、臨床現場の臨床指導医からしか学びにくいネタ)をリストアップしていき、そのまま初期研修医向けレクチャーシリーズに反映させてみようかなと思います。

……このネタも、しばらく続けて12講くらいできたら、どこぞに連載にしてみたり書籍化したり出来るかもしれませんね( ̄ー ̄)ニヤリ

まあ、学生・研修医向けの、フィジカルや検査関係のわかりやすい本は飽和状態ですけど、超基本検査の、かつエビデンスベースドというよりは病態生理と臨床推論を関連付けながらの視点なら新しいのかもしれません。

新しさ具合も、学習会の中で学生リアクション調査をして見出していけるかもしれませんね。。。。






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九州・沖縄の初期研修医対象に、診断推論×セッティング・患者の意向を踏まえた意思決定を学ぶ学習会やってきます!

先週の2月17日に、鹿児島県で診断推論の講演会をしてきました!


民医連の九州・沖縄にある関連病院の初期~後期研修医があつまって、一緒に学んだり交流する青年医師の会というのがあり、そこの学習企画でお呼ばれしました。



大阪の「21世紀 適々斎塾」で昨年夏に4時間かけてお話した、「セッティングや患者要望等が変わった場合に、同じ主訴・年齢・性別・基礎疾患でも診断推論の過程がどうかわり、意思決定がどのように影響を受けるか」についての学習会のネタを、90分でよろしく!というハードな要望でした。

適々斎塾の講演「あらゆるセッティングで縦横無尽に活躍するための臨床推論学~主訴以外の設定が変わると何が変わるのか!?~」の資料公開



事前に参加する研修医達の所属する病院のホームページみたり、色んなツテで内部資料をかき集めて、参加者の診断推論系の到達度、中小病院・診療所やへき地医療への関心や経験値、その他諸々を推測し、資料を3分の1くらいに削って、ニーズに合わせて少し付け足して、資料を作り直しました。

セッティング別縦横無尽診断推論学習会 by けんた on Scribd





こういう学習会を、地元というか所属法人でお呼ばれしない(自分の後輩はしらない)というのに微妙な違和感を感じつつも(学生向け症候論学習会に参加する意識高い人は何名かいますが)、せっかくお呼ばれしたので張り切って頑張ってきました。

とりあえず気温差15度に耐えられるかが大きな課題でしたが、まあまあなんとかなりました。
「雪国以外は、屋内は意外と寒い」といういつものパターンで、出番前にはほどよく体が冷え、講演中も汗だくにならずすみました。
外も意外と風邪は冷たく、上着脱がずに歩けてよかったです。


参加した研修医達は、さすがに民医連系列なのでそんなにアウェー感もなく、楽しく気楽にやれました。

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終わったあとの感想交流のSGDでは、思っていた以上に深くメッセージがとどいたひともいたようです



残念ながら会場に缶詰で、せっかく九州にいったのに観光もせず戻ってきたのが残念ですが(家族は別に一緒にいきたいとは言わないし、病院の医師体制厳しくて助勤もらったくらいなのでそう何日もついでの旅行とかしてらんないしね)、久しぶりの長距離移動・遠方出張はよい気分転換になりました。


なんとか砂蒸し風呂にもはいれましたよ!
岩盤浴の温度と物理的圧迫感を倍にした感じでたっぷり汗がでてスッキリですね
http://www.hakusuikan.co.jp/sp/hotspa/

あと、普通に旅館のグレードそれなりで、わりとのんびりと空気感やお風呂、食事も楽しめました


それと、懇親会では参加した各県(九州+沖縄)がお酒を持ってくるルールらしく、泡盛ベースの梅酒や、日本酒酵母でかもした焼酎、かなり贅沢に精米した高級そうな日本酒などもろもろ楽しめてお得でした♪
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さすがにお土地柄、ワインはなく、焼酎や泡盛のバリエーションがはんぱなかったです

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もうしばらくはこのネタでの出張講演はしないつもりですが(診断推論の良い本は山ほどあるし、セッティング別のローカルネタは各地の指導医が自前でやったほうが面白いし)、道内でまた機会みつけてちょいちょいやってブラッシュアップしていければと思います。

でわ!







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「症候論学習会in札幌」開催しました。旭川第2回と同じ、若い女性の下腹部痛です

2018年2月3日に、症候論学習会を開催しました。

旭川で今年度2回やったやつの、2回目と同じテーマです。


「症候論学習会in旭川、2017年度第2回」は、若い女性の下腹部痛です


もともとは、旭川と札幌で年2~3回やりましょうシリーズなんですが、事務局の準備等がうまくいかず今年度は旭川2回、札幌はこの1回のみです。


ネタは旭川とまるっきり同じにしていますが、手抜きではないのですよ。

同じネタを繰り返すことで自分のプレゼンクオリティがあがるのが一つ目の理由。

もう一つは、『旭川にいても、札幌にいても、遠くまでの交通費や気合いがなくても気軽に参加できる」ことを重視しているのです。東京にいるとわからんと思いますが、北海道は「学習会に参加する」だけで数日の時間と、数千~数万円の交通費が吹っ飛ぶので「気軽に学ぶためのハードルが高い」ことをなんとかしたいのです。



配布資料の一部、答えが書いてない範囲までで公開します。

また2-3年したら参加者全部入れ替わるので使いまわすかもしれません。。。

症候論学習会in札幌 2018年2月 若い女性の下腹部痛 by けんた on Scribd






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【読書記録】Hospitalist「老年科」特集号をいただきました!

昨年末に、Hospitalistの最新号を献本いただきましたよ!


Hospitalist(ホスピタリスト) Vol.5 No.4 2017(特集:老年科)
メディカルサイエンスインターナショナル
2017-12-28

Amazon


Hospitalist(Vol.5 No.4(2017) 特集:老年科Hospitalist(Vol.5 No.4(2017) 特集:老年科 楽天ブックス



いちおう自分もHospitalistの端くれのつもりではいるんです(ホントは敗血症とか不明熱とか診ながら汗をかきたい!という気持ちはまだ枯れていません)が、病院家庭医として病院管理・後輩教育・家庭医療学的診療・地域ケアの比重があまりに大きいため、普段こういう「総合内科バリバリだぜ!」系の雑誌は眩しすぎて手に取る機会が年々減っておりました。

「んー、こうやってヤブ化していくのかぁ」とおもったり、「自分の専門領域はちゃんとアップデートし続けてるんだからヤブ化って言わないんじゃない」と開き直ったり、たまに気合い入れてハリソン読み直したりして揺れ続けています。


そんな中、唐突にこの本が届いてあまりにびっくりし、そのまま年末年始に突入したこともあって1ヵ月以上寝かせっぱなしにしてしまいました。すいません・・・

一緒に入っていた手紙では「老年医学のコンセプトを解説し、多職種連携をメッセージとして強調してます。先生にはぜひ見てほしい」というニュアンスのことが書いてあり、老年医学とか多職種連携をテーマにしたときに誰かの脳裏に浮かぶような立場として認識してくれる人が世の中に何人かはいるようになったのかなぁと推測しました。

お手紙は編集者のお名前だけだし誰だろうなぁ・・・、と思いながら目次眺めて「この人は知り合いだな。あ、この人は学会で一度だけ挨拶したことが、この人はFacebookでやり取りしただけだなぁ・・・」と考えていたら、なんと普通に責任編集者の関口先生がお知り合いでした!

この数年、全日本民医連加盟病院で「地域密着型中小病院で病院家庭医・総合医を育て、病院や職員や地域をいい感じにしようぜ講演」をやっていますが、2015年の夏に長野にいったときに参加されいていて「近くの大学で総合診療始めたんですけどよろしくお願いします」と講演後に声をかけていただき、いろいろお話し、その後Facebookで繋がった経緯がありました。


「おお!あの人が、Hospitalistの責任編集したのか!!すごーい!!!」となぜだか自分が嬉しく感じてしまいつつ、時間見つけて30分程度で「はじめに」と、あとは知り合いの先生が書いているところや、関心ありそうなキーワードがあるところを読ませていただきました。

書きながらふと思いましたけど、そういえば自分もGノート増刊号の責任編集してたり、Hospitalistに原稿乗っちゃう人が複数名知り合いというのもけっこうすごいなぁと思ったりしました。
責任編集は大変ですよね・・・



はい、いつものごとく前フリが長いですが、中身の紹介もしますよ。


まずは、出版社ホームページなどから、目次などを引用します。


Hospitalist(ホスピタリスト)2017年4号



特集:老年科 すべてのスタッフで高齢者を大切に!ここから始める高齢者診療

未曾有の超高齢社会を迎え,今後ますます高齢化率が高まることが確実視されている日本にあって,我々医療者も高齢者を診療する機会が急増しています。病院総合医の仕事のほとんどの部分を占めているといっても過言ではありません。


そして,医療者であれば誰しも「高齢者を大切にしたい」との思いをもって診療にあたっているものと想像しますが,ではどうすれば「高齢者を大切にする」ことになるのでしょうか? 本特集ではその問いに対する解を示すべく,以下のトピックを取り上げています。



総論:「老年医学の考え方」「医療保険制度・介護保険制度」「介護施設・サービス」
 
高齢者診療の「要」:「高齢患者へのアプローチ」「治療指針決定」「アドバンス・ケア・プランニング」

急性期各論:「Geriatric Failure to Thrive」「褥瘡」「ポリファーマシー」「急性尿閉」「不穏・意欲低下・不眠」「認知症」「食べられない」「便秘」「転倒」「疼痛ケア」

退院後のケアと予防:「Transition of care」「予防医療」


このほか,多職種連携を考えるために必読の座談会,「すべてのスタッフで高齢患者を大切に!」の日々の実践を助ける,付録「回診の極意」も掲載しています。


この1冊が,高齢者診療への困難に立ち向かうための,実践に直結した知識と診療技術を提供し,すべての医療者のバイブルとなることを目指しています。




目次

はじめに|すべてのスタッフで高齢者を大切にしたい!
   許 智栄 アドベンチストメディカルセンター 家庭医療科
   関口 健二 信州大学医学部附属病院 総合診療科/市立大町総合病院 総合診療科

 総論
1. 高齢者診療で考慮すべきこと:単なる成人の延長としてとらえない老年医学の考え方
   玉井 杏奈 台東区立台東病院 総合診療科
2. 超高齢社会における「病院」と「医師」:地域の暮らしを支える包括的な活動の一部として
  高山 義浩 沖縄県立中部病院 感染症内科・地域ケア科
3. 医療保険制度・介護保険制度:日本の高齢者医療をとりまく制度を知り,実臨床で有効活用するために
  神山 佳之 沖縄県立中部病院 地域診療科
   本村 和久 沖縄県立中部病院 総合診療科
4. 介護施設・サービスの現状:治療のゴール設定に今後ますます不可欠となる知識
   山村 修 福井大学医学部 地域医療推進講座
[コラム1] Patient-Centered Medical Home:米国における患者中心のメディカルホームの取り組みから学べること
  向原 圭 久留米大学医療センター 総合診療科


高齢者診療の「要」
5. 高齢患者へのアプローチ:老年症候群と高齢者総合的機能評価(CGA)について
  許 智栄
   狩野 惠彦 厚生連高岡病院 総合診療科

6. 高齢者の急性期病態における治療指針決定のプロセス:実践例から学ぶ共有意思決定
   樋口 雅也 Department of Medicine, Columbia University Medical Center/Division of Geriatrics and Palliative Medicine, Weill Cornell Medical Center

 7. アドバンス・ケア・プランニング(ACP):急性期病院の医師だからこそ,ACP力が必要!
   吉野 かえで・平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科



 急性期各論

8. 高齢患者に起こる広範な機能低下:GFTTへのアプローチ:「年のせい」で終わらせない小さな働きかけが大きな変化を生み出す
  林 恒存 今村総合病院 救急・総合内科

[コラム2] 褥瘡:予防と治療の長期的視点をもち,その最初の段階にかかわることを意識する
  坂井 智達 飯塚病院 総合診療科
   吉田 伸 頴田病院

9. ポリファーマシーへのアプローチ:入院中の薬物療法の適正化を目指して
  矢吹 拓 国立病院機構 栃木医療センター 内科

[コラム3] 急性尿閉:原因,治療の副作用にも考慮し,カテーテルフリーを目指す
  楠川 加津子 福井大学医学部附属病院 総合診療部

10. 不穏・意欲低下・不眠へのアプローチ:3つのDを軸にして考える
  川嶋 修司 国立長寿医療研究センター 高齢者総合診療科・内分泌代謝内科
   関口 健二

[コラム4] 認知症の拾い上げと病型診断:生活上の困難に気づき,その後のフォローまで責任をもって考える
  井口 真紀子 医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック

11. 「食べられない」へのアプローチ:食欲不振の原因をどのように評価し,介入するか
  官澤 洋平 愛仁会明石医療センター 総合内科

12. 便秘へのアプローチ:8つのステップで快適な排泄を導く!
   上島 邦彦 松本協立病院 総合診療科

13. 転倒へのアプローチ:評価と予防の基本を押さえ,入院中だからこそできる介入を行う
  世戸 博之 愛仁会明石医療センター 総合内科

[コラム5] 疼痛ケア:「痛み」をバイタルサインの1つととらえ,効果的に介入する
  伊藤 真次 Kokua Kalihi Valley Comprehensive Family Services



多職種連携 座談会

14. 超高齢社会における急性期病院の役割:多職種連携の活性化が病院の在り方を変えていく



退院後のケアと予防

15. Transition of care:医療のバトンをしっかりと次の医療従事者に渡すために
  齊木 好美 練馬光が丘病院 総合診療科
   小松 裕和 佐久総合病院 地域ケア科

16. 高齢者における予防医療:3つの原則をふまえ,予防接種,がんスクリーニングを行う
  森 英毅 国立病院機構 長崎医療センター 総合診療科・総合内科

 付録|高齢入院患者の回診における極意「実践回診!高齢者」


あんまり関係ないかなぁと、表紙の「老年科」を見たときは思いました。

まあ、高齢者は日常的に診療しているけど、自分なりに勉強していてそれなりに困っていないし、集中的に勉強せんでもなぁ・・・くらいに。


しかし、目次を眺めてみるとだいぶ印象がかわりました。

うちの専攻医たちが普段悩んで相談してくる、あまりにCommonすぎる問題のクセしてよさげなお勧めテキストがない問題たちがリストアップされています。

なので、「これ読んどいて」ができず、「よし、じゃあまとめてレクチャーしちゃうか!」となって、夕方から1時間~1時間半くらいやってる特別レクチャーのテーマと丸かぶりでした。

これ、中身がよくて自分のスタンスとズレがすくなく、当院の現状でも実施可能な内容だったら、ずっと待ち焦がれていた「ああ、それならこの本の○ページ読んでごらん」が使えるようになります!!



まず、全体を目を通したあとの感想ですが、「たしかにこれ一冊で、病院総合医に必要な老年医学はざっと勉強できる」と思いました。

どこかのページにもかいてありましたが 「莫大な高齢者診療にニーズに応えるには、老年専門医を少しずつ要請するより、老年医学に造形の深い医師やコメディカルの養成が重要」とあって、ホントそうだよねと思いました。


また、中小病院での総合診療を若手が勉強し始めるときの切り口として、「老年医学」というのはありだなと思えました。

うちの病院のように、Sub-acute(軽症から中等症くらいまでが対象)でPost-acute(急変直後や集中治療真っ最中ではなく、その後の併存症管理やリハ栄養や退院調整を担う)での後期研修をする場合、最初から「総合診療だ!家庭医療学だ!!」とやると理論や方法論の勉強をしながら、膨大な問題リストを抱えていつまでたっても「治癒」にたどり着かない患者をたくさん抱えて不完全燃焼になりがちです。

だからといって、一時期意識していた「まずは一般内科をきちんと学ぼう。心理社会的問題や家庭医療学とかはその後だ」だと、現実にいる患者の問題をきちんと捉えきれず、分析しきれないままにふわっと転院したり退院知たりするので、これまた自己効力感が下がりそうです。

そもそもMultimorbidityで、個々の臓器系や諸機能が落ちている高齢者に「正しい内科学的治療」をガイドライン通りやると、害ばっかりでるので、「学んだことが通用しない。じゃあ医学生時代や初期研修で学んだことは無駄だったのか?」と思ってしまうこともあります。

しかし、この「老年医学」という視点であれば、比較的とっつきやすく、そこそこエビデンスもあり、家庭医療学ほどは内科学や初期研修で学んだこととの解離も大きくはないので入門編としてとても良さそうな気がしました。



また、具体的にすぐ役立つ知識や情報も散りばめられていて、読んでいて普通に面白かったです。

語呂合わせの「OLD MEDICINE」は、マニュアルチェックしながら研修したいようなタイプにはとても良いツールに思います。

高齢者を診る上で意識しておくと便利な「ホメオステノーシス」や「GFTT(Geriatric Failure to Thrive)」の紹介もあり、サルコペニアやフレイルという(最近やや手垢のついてきた)言葉がとっつきにくい人にも、内科学や国試の知識の延長から入りやすくなるかもしれません。

一つの概念を別の角度からみる専門用語をいくつも重層的に知っておくと、文献検索のときに便利だし、自分の関心や問題意識を正確に表現したいときにニュアンスを細かく調整できてよいですよね。



個別に見ていくと・・・


総論のところは、やや大きめな話(病院や介護保険制度、施設など)が多いので、後期研修1年目とかよりは、後期研修終了後のスタッフ・医長などが読むとちょうどよいレベルかなという感じでした。

この辺をわかりやすく、臨床医の視点でまとめた本はあんまりないので、そういう意味で「とりあえずこれ一冊読んどけ」な本ですね。


高齢者診療の「要」のところは、老年症候群・CGAが紹介されて「高齢者の捉え方」の基本に触れつつ、意思決定やACPも扱うことで「高齢者の急変や最期の付き合い方」が少し見えてきます。

この辺は、外来・在宅・病棟を中小病院で研修しながら3~6ヵ月くらい経てば、十分実感を持って読むことができそうです。

内科学の本ではあまり扱われず、一方で指導医クラスの総合医だと当たり前すぎて敢えてレクチャーしようと思わなかったりするので、差し迫って関心が高まったときに自習できる本があることはかなり意義深いですね。


急性期各論では、GFTT(≒フレイル)、褥瘡、ポリファーマシー、尿閉、不隠・意欲低下・不眠、認知症、食べられない、便秘、転倒、疼痛ケアなどが網羅されており、10分間スクリーニングやCGAをやってみたら拾い上げてしまいがちだが若手医師の多くは対応方法が全くわからない高齢者特有の問題が網羅されています。

内容は概ね自分のスタンスと同じなので、これを読んでもらって指導や現場に混乱が出ることはなさそうです。

褥瘡はちょうど関心あって勉強していたところですが、エビデンスをきちんとベースにしながらもCQでの箇条書きほど味気なくはなく、実際の臨床に即して急性期から早期転院することを踏まえた具体的説明があり、とても勉強になりました。
うちも、早期転院してきて、数カ月はかけられずにまた転院していくことがおおく、「セッティングが短期間で移行し、ケアが分断されやすい前提」での記載はとても良かったです。

また、「食べられない」問題について、リハビリの予備知識がなくてもさっと読めて、かつとてもCommonな「認知症の影響で、クビから下は問題ないのに食事が進まない」状態についても、原因が列挙されそれぞれに対しての具体的対応が記載されている表は、明日からでも専攻医が担当症例に使えそうな具体的内容でとても良かったです。


座談会は、よくありがちなお医者さんばっかりのではなく、ほんとに他職種がズラッと揃っていろんな視点で対談されていて面白かったです。


退院後のケアと予防のところは、高齢者ケアでは特に大事なところです。

先に高度急性期病院のローテしてから亜急性期に来る専攻医が多い時期は、退院後早期の再入院や、急性期治療終了後転院待機中や回リハ等転科後の急変が増えるという感触があり、実際その内容をみていくと「予防可能な急変」を事前に潰すケアが足りないことが割とあります(データ取ってないので主観の影響も大きいかもしれません)。
この問題は、個々の専攻医が不真面目というわけではなく(むしろ超真面目で勤勉な人ほど、それまでに学んだことをきちんと実行してしまって期待した結果に繋がらなかったりします)、教育や経験の影響なのでシステムで改善が可能だとも思います)。

この章では、Transition of Careという横文字をだすことで英語のかっこいい専門用語好きな人でもこの地味だけど切実な問題に目を引きつつ、ケアの場が移行するとはどういうことなのかや、退院時の申し送りに必要な要素を簡潔に述べてくれています。
実際、高度急性期の経験しかないと、回リハ・療養病棟や老健・往診先に申し送る手紙に「自分の診断推論的苦労談」が主体となってしまって、退院時病状や退院後ケアのポイントが記載されておらず、「こんな患者引き受けるのツライわ」という先入観を与えて転院・退院受け入れ拒否となったり、的確な入院中治療の継続がなされずに急変しやすくなったりするので、この点はとっても大事です。

なんですけど、自戒を込めてですが、「それくらい考えりゃできるだろう」くらいになってしまっていたので、改めてこういうののオリエンテーションとか必要だなぁと思いました。
問題に気づいていたのに教えていなかったのは、教えるための簡素なテキストがなかったこともあるし、頭ごなしにレクチャーされてもつまんないだろうというのもあったので、何かやり方を考えないとですね。
早期に、老健回診経験してもらったり、地方の関連診療所の外来+往診の助勤を経験してもらって「あのセッティングで、この病状と治療内容の患者を受けるとしたら、どんな情報が必要か」をイメージしやすくなるといいのかもしれませんね。ホントは関連診療所で週1枠もらいたいんですけど、何の壁があるのか知りませんがハードル高くて難しいんですよねー。。。

また、予防医療のところでも、行って当然な予防接種のことや、安易にやって見つけちゃうと泥沼化する「癌スクリーニングになりうる検査」も提示されているので、急性期の「何でも見つけて治療しちゃえ!でも将来の病気はしらん」みたいな頭を切り替えるにはいいかなと思いました。



興がのりすぎてしまい、紹介だけにとどまらず、自分の反省や気付きや何やらまで書いてしまいすいませんでした。

それくらい、アツいテーマを的確に描いた本でした。



まだ高度急性期しか経験していない総合診療/家庭医療/内科後期研修医や、初期研修医には、読んでもまだピンとこないかもしれません。

逆に、一定(数ヶ月でも)の亜急性期以降の臨床経験がある後期研修2年目以降や、当たり前にできすぎちゃっていて指導の仕方がわからなかったり参考資料の提示が難しいと思っている指導医クラスには超おすすめだと思います。



Hospitalist(ホスピタリスト) Vol.5 No.4 2017(特集:老年科)
メディカルサイエンスインターナショナル
2017-12-28



Hospitalist(Vol.5 No.4(2017) 特集:老年科
Hospitalist(Vol.5 No.4(2017) 特集:老年科







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【読書記録】「非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス」を読みました

献本御礼!


「非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス」をいただきました。





2015年の出版直後に頂いたんですが、その頃ちょうど忙しかったのか、ブログ記事書きかけで下書きのままにされてました・・・。すいません。


もらった直後はざっと目次眺めて気に入ったところだけ拾い読みして、いまは新患外来の診察机の上にある身体診察・診断学系テキスト置き場に置きっぱなしになっています。

慢性疾患でずっとかかっている患者が多い予約外来や再来外来よりも、新患外来のほうが珍しい疾患を疑って珍しい身体診察することが多いですからね。


同じ著者のあの本も置いてありますよ。この本はけっこうお気に入りで、学習会ネタによく引用しています。






「非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス」の方の内容も紹介しますね。

とりあえずAmazonから引用しました


内容紹介

●意識障害、筋力低下、めまい、腹痛などの症状に対応した時に、身体診察で非器質性・心因性疾患を診断できるようになるためのエビデンスを解説しています。

●総合内科医、一般内科医はもちろん、眼科・整形外科医、精神科・心療内科医まで、多くの医師の臨床に直結する内容です。


●オールカラーページ。グラフや表が活用され、特に表はエビデンスの質に応じた色付けがされており、エビデンスが「見える」ようになっています。


【目次】

1 総論:全身概観

2 神経学的所見総論

3 意識障害

4 転換性障害

5 筋力低下

6 歩行障害

7 振戦

8 感覚障害

9 視力障害

10 痙攣発作

11 失神

12 めまい

13 呼吸困難

14 腹痛

15 体重減少

16 皮疹

17 腰痛

18 頸部痛


著者について

上田/剛士 洛和会丸太町病院救急総合診療科。

2002年名古屋大学医学部卒業。名古屋掖済会病院研修医。

2004年名古屋掖済会病院救急専属医。

2005年京都医療センター総合内科レジデント。

2006年洛和会音羽病院総合診療科。

2010年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 



上田先生が、卒年3つしか違わないというのがまず衝撃を受けてます。すごいなぁ・・・


タイトル・テーマが「非器質性・心因性」となっているのが良いですね。

精神疾患やうそっこ○○、Medically unexplained symptomsとか限定でなく、「非器質性」はとても幅広い疾患群があり、しかし「器質性」ではないので「検査やって結果確認してハイ終わり」ではないぶん医師の能力によって診断効率や医療費、患者負担や満足度に大きな差が出てくると思っています。

病歴聴取がとても重要ですが、ややレア疾患まで特徴を網羅してその場でClosed questionを出来るように能力を維持するのは、それなりにレア疾患を紹介されるような立場でないと難しいとは思うのです。

でも、身体診察は、病態生理や解剖学を理解して原則を覚えてしまえば、今まで持っているスキルを発展させる形で習得できるし、それを実践して一度でも陽性例を経験すれば一生忘れない「体が覚えてくれるワザ」なので、たまにしかレア疾患にあたらないがたまには当たるくらいの立ち位置の自分にとってはとてもよい診断ツールなんですよね。


というわけで、どっかで時間を見つけて一度通読したいなと思っています。まだ拾い読み程度なので。

とりあえずは新患外来から一度回収して、出張や帰宅時に「お、コレ読むか!」と手に取れる場所に置いとこうと思います。





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日本内科学会雑誌に、「型が身につくカルテ」の発展型である「Multimorbidity時代のプロブレムリストの作り方」が掲載されましたヽ(=´▽`=)ノ

ついに、内科学会誌に自分の書いた原稿が掲載されました!!


DSC_1557表紙

DSC_1559Contents!!
 
DSC_1560自分のページ




内科学会誌の外用や過去アーカイブが載っているページのリンクはこちら(1年以上前の雑誌でないと見れないですが)
http://www.naika.or.jp/journal/wabun/



原著論文だったら最高ですが、今回は毎月月替りの特集(12月は領域横断的テーマ)のトピックスの一つとして掲載していただきました。

他の執筆者名をみると、雲の上すぎる人達が並んでいてクラクラしますが、そんなラインナップのなかに引き入れていただいた企画責任者の先生には頭が一生上がりません。

=============================
特集
Problem solving
~臨床現場の問題/課題解決に関する方法論やツールを再考する~

トピックス
Ⅱ.Problem list:POS/POMRについて、現状の患者プロブレムリスト
Ⅱ-2.Multimorbidity時代のプロブレムリストの作り方 ←コレです!

=============================


「昔からあるPOS/POMRでは、超高齢社会・Multimorbidityの時代では対応出来ない部分が増えてきたので、そこに対応できる新しいシステムの提示を!」というお題をいただき、普段自分がやっているもの(Multimorbidityには対応出来ているが、他科の医師にはわかりにくい高度専門的な書き方)を、2段階くらい難易度を落とすことで多少なりとも応用範囲が広がる(若手医師や臓器別内科指導医でも取り入れ可能な)ことを意識して書いてみました。



今まで、学生や初期研修医向けに「型が身につくカルテの書き方」を書いて、それに関連した講演を各地初期研修医向けにしたことはありました。



また、主に総合診療関係者向けに、「総合診療医らしいカルテの書き方」という記事を書いたこともあります。


さらに、総合診療後期研修医~指導医向けに、その内容を発展させた講演をしたこともありました。



しかし今回は、なんと内科学会誌です。

なので、自分よりも経験値の高いベテラン医師が読む前提です。

しかも、総合診療や家庭医療を名乗っておらず、臓器別専門を極めるような人達も読んでいるかもしれません(そういう先生方はサブスペ領域の雑誌しか読んでないかもしれないですが)。

もしかしたら、総合内科専門医や地方中小病院一般内科医的な読者が多いのかもしれませんが、少なくとも今まで想定していた読者とは異なります。


ということで、今まで書いたり喋ってきたことを一から見直してみて、また普段自分が書いているカルテや専門外来で書かれているカルテを読み比べたりしながら、「内科医なら共通で扱いうるシステムはないか? できれば総合内科専門医を読者の真ん中に据えて、家庭医療学の理論的基盤をもたないままに、Multimorbidityを扱うための方法論を提示したい」と考えて書き直してみました。

全体の枠組みや基本構想は変わりないですが、Complicatedケース(複合事例)でのグルーピングの提示がわりと新しく、スマートにかけた気がします
大きなフレーム・臓器系別にまとめてみるのは、慣れればすぐできるし、実際卒後2~3年目くらいの人だと自然と習得している印象もあるのでそこまで反論はされないんじゃないかなと思っています。

より複雑なComplexケース(複雑事例)は「まあ、そういう世界もあるんだねー」と流されてもよいかなくらいで、Chaoticケース(混沌事例)には触れもせずとメリハリを付けたつもりです。



実際の反響がどうなるのか、そして半年~1年後にどこかであるていど普及するのかなど今後を追いかけていきたいところです。

反論がはっきりでて、より「内科医らしいカルテの書き方」を誰かが確立してくれれば、それはそれで世の中のためにはいいことだと思うので楽しみです。

逆に、この方法が浸透していって、10年後くらいに「これ、おれが考案したんだぜ!」といっても誰も信じてくれないくらい標準になっていったらそれもまたおもしろ!ですね。



とりあえず、今回ので「カルテの書き方」にまつわる原稿関係は一段落かなぁと思っています。

これからは、「型を編み出す」「それを普及させる」のフェーズは一旦終えて、「型をもとに、実際の複雑で手強い事例を、どうやってシンプルに書き出し、誰が見てもぱっと情報が拾えるような”小難しくも目新しくも無いレベル”」にまで落とし込めるかに力を注ぎたいと思います。

思います!というほど情熱はもっていませんが、自分のカルテは割と特殊なものになってしまっているので、学生や初期研修医、そして他科や他院の「前提条件を共有していない人」が見ても、一瞬で情報を把握できるような物ができたらいいなぁと思います。

これを、電子カルテで(しかも、電子カルテの企画が統一されていない日本で)成し得たら、割と偉業何じゃないかと思うのです。



ふふふ(ΦωΦ)フフフ…







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「症候論学習会in旭川、2017年度第2回」は、若い女性の下腹部痛です

旭川で、今年度2回目となる、症候論学習会を開催してきます。今日です。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/publics/index/254/&anchor_link=page254_1567#page254_1567


対象は医学生4~6年生を中心に、低学年や他学部、旭川の研修医・指導医もOKですよに一応してありますが、今回は医学生10名ちょいみたいです。


とりあえず、つかみの部分のスライドだけあげておきます。

171118-症候論学習会in旭川2017Vol2_若い女性の下腹部痛 by けんた on Scribd




正解は、Common diseaseですが、正答率8割くらいを想定しています。





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明日11月8日水曜朝のプライマリ・ケア・カンファで、慢性臓器障害のレクチャーします!

水曜朝にwebで繋がって行うプライマリ・ケア・カンファですが、明日は当院が発表担当します。
http://web.sapmed.ac.jp/chiiki/


ほんとは「症例クイズ」の会なんですが、発表担当するぜ-!という若手がおらず、おもしろ症例もいいのがおらず(答えがでるまでもう少し時間かかりそうなのはいろいろあるんですが)ということで、手持ちのレクチャーネタ使い回しにさせていただきました。

持ちネタの中から、「慢性臓器障害」のレクチャーします。

慢性臓器障害Ver4(171108PCC版).ppt by けんた on Scribd




7時半から8時です。参加施設の方はどうぞご参加くださいな。

参加出来ない方は、資料みていただいて、興味あれば個別にご連絡いただければ質問うけたり、条件次第では出張講演なども対応します。

何度も聞いている身内の専攻医でも新たな学びがあるよう、バージョンアップしました。


でわ、また明日!!


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総合医による脳画像読影学習会が、アドリブだったけどとっても面白かったです!!

今日の初期研修医レクチャーは「頭部画像の読み方」でした。

本院には神経内科医・リハ医がおらず、骨折と脳卒中の有無しかわからないまま初期研修終わりうるので、そんなニーズがあり、急遽アドリブでやりました

ので、共有できるレクチャー資料はありません


認知症や高次脳機能障害、精神症状や身体機能と脳画像をリンクさせるような、機能単位ごとの系統的読影

臨床的に緊急性はないけど病像理解や脳所見読影に影響を与える、撮影条件や脳以外の所見の簡単な拾い方

滑らかな目線のうごきで「短時間で臨床像をさっと早期できる」ことで、その後の問診や診察や詳細読影が鋭くなるし楽しくなる方法を教えてみました。


リハフェロー時代にリハ医師から習った知識と方法論、当院のさまざまな障害を抱えた症例と向き合いながら膨大な身体診察・検査読影を繰り返してきた経験値、ときに他院の神経内科医と電話や手紙をとおして自分の読影や解釈をぶつけてみて得られたフィードバックなどからなる方法論をベースに

参加した3人の初期研修医(+1人の後期研修医)から悩みや知りたいことなどのニーズを聞き出しながら、その場で伝えるべきコンテンツを選び、並び替えたり統合しながら伝え方やメリハリを考え、実例の画像を一緒に読みながら伝え方を微調整しながらなのでかなりのアドリブでしたが、

終わってみればかなり深く、かつけっこう分かりやすく、そして何よりおもしろくて明日から診察や読影頑張りたくなるような雰囲気をつくれて、かなり面白い経験になりました♪



幸い、入院中の症例をランダムに3例えらんだら、どれも極端でしかも全員別方向の所見があったので、対比させながら理解がすすんで面白かったです

亜急性期から維持期の病棟は、所見が完成した症例が多く、しかも外来や在宅と異なり毎日なんかいも所見取りなおしたり追加検査で答え合わせできるので、実は身体所見のベッドサイドティーチングや基本的検査の深い読み取りの訓練の場所としては最適なんですよね。

救急はヤバイ所見のみ効率よく拾う方法、高次機関の病棟では科得意的な病気に特化した深読みが学べますが、あらゆる病気がまんべんなくあるごった煮病棟でこそ学べる・教えられることは多いです



やはり、よい症例の集まるフィールドで、好奇心の強い研修医に囲まれて、患者や研修医のニーズを意識しながらいろいろ取り組み続けるのは自分の性にあってておもしろいですねー


こういう、一見マニアックで各論的(各科専門医の方が得意そう)な基本的臨床技能を、

人よりは深く(専門医のとがった人よりは浅いけど)、

そしてこの90点くらいの深さを幅広い領域にまんべんなくもっていて、

しかもバラバラな知識の足し算ではなく、自分の経験や理論体型を軸にして完全に統合しながら、学習者ニーズや現場での使いやすさを意識しながら再編して

かついろんなバックグラウンドや関心領域を持つ人たちに幅広くヒットする形に調整しながらアドリブで伝えられる能力は総合医ならではの、深~い、超専門的(常人にはそうそう真似できない)スキルだとおもいます



ああ、楽しかった!


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うちでも、新専門医制度の「内科専門医研修」も出来ますよ(もちろん総合診療専門医研修も)。

新専門医制度の内科専門研修プログラム一覧が、内科学会のホームページに公開されました!

北海道のプログラム一覧
http://www.naika.or.jp/pref_program/01_hk/




北海道民医連のプログラムは上から5つ目に掲載されています。

このプログラムの、当院に関わる部分だけかいつまんで説明します。




内科専門医研修というと、大病院の臓器別専門内科をひたすらローテートしなきゃならないというイメージが当初はありましたが、意外とそうでもなく、当院にもけっこう回ってこれます

当院に6~12ヵ月ローテすることは、普通に可能です。

また、本院ローテ中にも、当院の一般内科外来研修に週1回来たりできます。

つまり今までも毎年数名受けていた「まず一般内科をきちんと1年やってから専門へ」という希望の人は、今まで通りできるってことですね。


ウェルカムです!



このためだけに、一度は捨てようと考えていた内科認定医資格を更新し、総合内科専門医資格もとり、内科指導医となり、今も地道にセルフトレーニング問題を解いたりしながら内科資格維持をしているわけですが、「頑張ってよかった!」と、今ようやく実感できました。

自分自身は家庭医療専門医(新専門医制度では総合診療専門医)だけ持っていれば、仕事のしやすさや自尊心的にも十分なんですけどね。

でも、内科系希望者や、内科と総合で迷っている真っ最中の若手にも手を差し伸べ、共に総合診療や一般内科や地域医療や振り返りながらの生涯学習などを学べるのは嬉しいことです。

今後も頑張って専門医・指導医資格や研修施設認定医維持のために血眼になって頑張り続けようと思います。




ちなみに、新専門医制度はそうとうゴタゴタしましたが、結果的に良かったなと思える点が3点だけ。

一つは上記の通りで、「内科専門研修プログラム所属者」でも、うちみたいな内科研修基幹施設になれない一般内科もローテ先候補になれたこと。

もう一つは、「総合診療研修プログラム所属者」にとって内科12ヶ月が必修になってしまったけど、その「内科研修先」の基準が内科連携施設でもよくなって当院ローテで内科研修をした扱いにできるようになったこと。

そして最後は、内科系症例の経験を総合診療専門医研修・内科専門医研修のどちらでも登録できそうなことです。
総合診療研修に登録していてあとで内科専門医に転向した場合、最初の総合研修で経験した内科症例は転用可能(ただし総合研修先に内科指導医がいる場合に限る)だし、その逆もまた然りと聞いています。

過去の研修医受け入れ経験上、当院の一般内科で卒後3年目の専攻医が1年研修していて、内科認定医症例が足りなかったことはほぼ無いので、当院ローテを増やしたぶん経験疾患が足りなくなる不安が少ない点も安心です。
全科ローテして全疾患コンプするのは大変だけど、一般内科病棟は手っ取り早く専門以外をコンプしやすいのでおすすめです。もちろん、手技モノとかRare diseaseは偏るので専門科ローテも必要とは思いますが、3年のうち最初の1年で概ねカバーしておけるのは余裕出て良いかと思います。



又聞き情報もあるので、もし間違いがあるようならご指摘ください。

文字で読んでも意味がわからないというその辺の研修医は、質問来てくれたら詳しく、個別の事情や希望に合わせながら解説しますよ。


でわ!



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プロフィール

けんた

家庭医療をベースに病院で働く「病院家庭医」なるものを目指して爆進中です。
病名や年齢にかかわらずどんな人の悩みにも対応できる診療能力を身につけることを目指して、北海道各地の病院で初期・後期研修を受けました。

総合内科を中心に研修を開始し、途中から家庭医療学や医学教育学、臨床研究などに興味を持ちながら学習し、2011年に家庭医療専門医を取得しました。
現在は札幌市内の小規模病院で、家庭医療学をベースにした病院総合診療を行ったり研修医・学生・多職種の教育に関わったりしながら、プライマリケア医のためのリハビリテーションフェローシップに参加し学び続けています。

将来は病院をベースにしながらも病院内だけにとどまらず、各医療機関の連携、さらには教育、政治・行政、娯楽などを含めた広い意味での地域共同体を作っていく橋渡しをして、健康に楽しく暮らせる街づくりに貢献できたら面白いなと思っています。

日々の研修での気付きをつづりながら、何か大きな発見が得られないか、blogを通して模索中。

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