病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

地域密着型病院で活躍する家庭医を目指し、札幌市内で働いてるDr_kentaです。 病院外来でのプライマリケア、内科急性期病棟の老年・緩和ケア、リハビリテーション栄養を中心に、医学教育や院内システム改善などにも関心を持ちながらいろいろやっている日常を記録していきます。ちなみに「病院家庭医」という正式な呼称はありません(造語です)。 また医師による記載ですが、医学的な内容を自分や身の回りの方に適用していいかどうかは直接診察のうえでの判断が必要です。記載内容を試して発生したいかなる不利益も責任は負い兼ねますのでご了承ください。

代替補完医療

北海道プライマリ・ケアフォーラムで「お手軽漢方のすすめ」のワークショップします!

しばらくできてなかった、イベント告知やレクチャー資料共有など普段の記事更新を再開します。

とりあえずは、すでに確定しているイベントの告知から。



2018年11月17日に札幌市内で開催される「第6回 北海道プライマリ・ケアフォーラム」で、漢方のワークショップをやります。

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運営委員の中で漢方ネタをやってほしいという話になり、道内で程よい(小難しい漢方理論抜きに、研修医レベルで理解できてすぐに実践に活かせるような)レクチャーができる人ということで、自分に白羽の矢がたちました。

道内に轟くような知名度や活動量ではないですが、うちの初期研修回った人が委員の中にいて、「あのレクチャーめっちゃいいっすよ」と推してくれたそうです。人脈、だいじ。



以下、イベント全体の抄録集を載せます。

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自分の担当ワークショップの解説も書き出しておきますね。

ハードル低く初心者向けに!という依頼だったので、かなりなめたタイトルになっていますすいません。

タイトル:お手軽漢方のススメ ~外来の難症例を、にわか漢方で快適に攻略しちゃおう~

紹介文 :小難しい漢方理論抜きで、「主訴」と「見た目」でパッと漢方が選べ、高い勝率で診療が快適になる方法論をお教えします!

抄 録 :漢方に興味はあるけどなかなか手が出せないという方、多いですよね。脈診や舌診、虚実や表裏、病名でなく証で考えるなど初学者にはハードルが高いです。一方で、西洋薬が効かない「手強い症状」の診療で漢方薬も使えると、患者満足度も意思のストレスも格段に改善します!
 本WSでは、Commonな「手強い訴え」×「見た目の第一印象」で漢方を選べるように、ビジュアルや漢方薬の味見も通して学んでいただき、「漢方を処方したい!」という気持ちになってもらうことを目指します。


という感じで、書いたとおりの内容になると思います。

あとは、ハードルを下げすぎて乱用されても困るので、生薬別の要注意副作用チェックについても触れたほうがいいかなとは思っています。



味見用の漢方はなんとか入手できそうです。

また、ツムラメーリスでゲットできる「絵でわかる漢方処方シリーズ」などを参考に、患者の見た目などを処方判断に活かせるように工夫してみたいと思っています。


今回は、うちの初期・後期研修医や医長、外部の後期研修医や薬剤師などでチームを作ってワークショップを組み立てて行く予定です。

それぞれの体験談やキャラクターなどもうまく使って、面白く学べる場を作れればと思います。



事前申し込みは以下の、北海道ブロック支部のホームページからできるそうです。

早めに参加希望者数がふえると私のモチベーションが高まるので、興味ある方は早めにお申し込みください。
多少人数増えても問題ない形式にするとおもうので、当日参加ももちろん歓迎です。


日本プライマリ・ケア連合学会 北海道ブロック支部



でわ!!

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眠れず、漢方でごまかしてみた

漢方、ありがたや

眠れないので感情に頼ってみました


症状は、
最近の肉体的精神的消耗、疲れすぎて眠れない+中途覚醒・早朝覚醒+熟眠感障害と追われる・迫られる系の悪夢

さらに軽いのぼせ症状で、急な気温上昇では説明できないアツさと発汗以上

イライラソワソワしやすい、眠る前に目を閉じると光がちらちらしたり体がソワソワ

三大欲の減退

大動脈拍動目立ち、腹直筋緊張亢進


個別に見ればうつ病、むずむず脚、更年期、片頭痛前兆などありますが、トータルでは桂枝加竜骨牡蛎湯証そのもの




というわけでここ数日は、これを服用して落ち着く→困らなくなって飲み忘れる→またぶり返して飲むの繰り返し

今日は朝飲んで午前外来穏やかに、昼のみ忘れて午後から夕方余裕なく、夜は過覚醒のせいで仕事がはかどってしまい、左記ほど当直で呼び出されて興奮過度になり動悸とのぼせがめだち、服用して聞いてくるまで落ち着かず漢方の勉強してしまいました。

振り返ってみれば見事に漢方のタイミングとがっちする変動(か、日内変動)



とりあえずは解決してめでたし、か?

四月になったら改善するのか、悪化するのか…?


燃え尽きて使い物にならなくなったらごめんなさい(;つД`)


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疲れ切った時でも、適切な漢方使うと頑張れちゃうのが嬉しいというよりは恐ろしい…

夏の暑さも厳しい時期に、金曜岡山→土日大阪で頑張ってきた反動が予想通りでてまして、月・火曜は完全に燃え尽きておりました。


体重たい、気持ち上がらない、声でない、笑顔無理、優しくなれない、やる気もでない、胃も頭も痛い、足も浮腫む、いいところなしでした。

更に追い打ちで厳しいこともあり、月曜夜は「もうダメだな……」とかなり悲観的なことを考えたりしましたけど、今日の水曜午後くらいから少し持ち上がってきた感じです。

火曜にダメ元で内服した、後輩に貰っていた「桂枝加竜骨牡蛎湯」という漢方を飲んだ後、1時間たたずにふっと体が軽くなった気がして、そういえばその後は月曜に比べれば軽い気持ちで仕事に取り組めて、夕方の会議や学習イベントのころにはけっこう元気になっていた気がします。


桂枝加竜骨牡蛎湯は、このリンク先にあるイラストがイメージ通りです。

体力の余裕がなく、神経過敏で気うつ傾向、無気力、不眠を伴う疲労感に用いられます。
神経の高ぶり、緊張、不安、驚きやすい、恐れ、動悸などに悩む人に適します

まさにそんな感じだった!

疲れきったところにストレスフルなやりとりがあって、イライラ➡クヨクヨ➡グッタリとなり、返って眠れず気力も出ずという状態でした。
久しぶりの「疲れすぎて眠れない」状態の激しいバージョン。

普段は水毒で、気圧変化の影響で頭痛や倦怠感がでてたけど、今回は心理的ストレスで気が、そして身体的消耗で血が狂ってたのかとか思いました。


ちなみに、自分が漢方を勉強したテキストたちはこんなところ

初心者におすすめ。代表的な症状ごとに代表的な処方の使い分けのポイントがまとまっていて、勘がつかめていなくてもそれなりに当たる処方にたどり着けます


こちらは、総合診療のフィールドで身体的愁訴に悩むメンタルに課題を抱えた多くの方々に、少しでもマシな「マニュアルのその先」に手を届かせるよによい本です。

明解! Dr.浅岡の楽しく漢方 <第1巻> ケアネットDVD
浅岡 俊之
ケアネット
2004-07-15

これは、研修医時代に気血水とかもう少し理解したくて買って見てたやつです。地方勤務中に1人でコツコツと勉強していたの思い出しますねー。薬局に在庫のある漢方全部教えてもらって、まずはあるものから使い慣れていって、慣れてきたら新しく採用申請かけたりとか頑張ってました。


最近は、コレが少し気になります。





まあ、こういうのを使って自己流で学んだ程度ではありますが、かかりつけ患者さんたちのちょっとした身体の不調を調えるには十分役立つくらいには学び、実践し、慎重に反応や副作用をフォローしながら経験値を積んできたとは思います。

また、結果的に自分の健康管理に役立っているのも回り回って良かったです。

過労や消耗があっても働けるように漢方でごまかすというのが「健康管理」なのかどうかという疑問はおいといて、とりあえず次の週末までは超低空飛行でも生き延びること最優先にがんばりまする。



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中華料理食べながらの「漢方学習会-入門編」

毎週月曜夕方に、初期研修医向けのレクチャーをしています。


Common disease、健康増進・疾病予防、がんのプライマリ・ケア、慢性臓器障害、メタボ(血圧・脂質・血糖)のプライマリ・ケア、虚弱高齢者・ロコモ、アルコール・喫煙と行動科学、メンタルヘルス、外来感染症、急変徴候など、超急性期病院の救急や病棟では学びにくいけど重要な事を、週替りで、基本2ヶ月1クールでやっています。

それ以外にも、研修医たちの関心と到達度に合わせてアドリブレクチャーも入れているんですが、今回は漢方に関心のある人達(もともと中国でいろいろ使っていて学生時代にレクチャーもしている人や、内科知識超絶ありすぎてそろそろ漢方も学び始めた人など)がいたので、「漢方勉強したいっす!」という話になりました

また、この1ヶ月くらいはなにかと食関係のイベントが充実してまして、 芋煮会を開催したり(その時の記事がこっち)、普段のお昼ごはんでも手作り弁当持ってきてたり、果物いろいろ持ってきて切って食べてたり、ハーブ系の酸っぱいやつをお湯で薄めて飲むのを勧められたりといろいろあります。


先週は「がんのプライマリ・ケアのレクチャーでがん予防を学ぶなら、発がん物質の多そうな加工肉がいろいろはいってそうな料理を食べて実感しながら学ぼう」という屁理屈で、近くの美味しいイタリアンのお店からピザとオードブルをお取り寄せして、食べながら学びました(重要な会議が18時からあるのを忘れていて、レクチャーは駆け足で、自分は食べる時間もほとんどなかったけど美味しかったです)。

そして今回は、「漢方の勉強に合わせて食べるなら何がいいだろうか?食養生とか医食同源っていったら中国じゃね?病院の向かいにある中華料理屋行ってみたいんだよね」という話になり、中華料理屋で学習会をすることになりました。


飲める人はアルコールありで、まずはそれぞれ漢方を1個選んで内服してから乾杯して、最初はレクチャーとかは置いといておいしくいろいろ食べました。
DSC_0138漢方とビールで乾杯


乾杯の後、料理がくるまで結構時間があったので、色んな漢方を皿にあけて、少しずつ舐めたり飲んだりして味や飲み心地を確認したり、特に証が合いそうなひとは1包内服してもらいどうなるか体験してもらったりしました。

DSC_0139餃子の醤油皿に開けた漢方

小青竜湯は酸味が飲みやすく、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は最初大丈夫だけどあとで苦味がぐわっと襲ってきたり、抑肝散はよくも悪くも効きそうな薬の味で、六君子湯はとても飲みやすく食事やビールも邪魔しない感じで、麦門冬湯は美味しい!って感じでした。



そうこうしているうちに料理が届き始めたので、取り皿に残っていた漢方を手分けして飲み干して、食事に突入!

DSC_0140クラゲのサラダ? あと、しょっぱい肉

DSC_0141パリパリの羽根つき餃子、この後小籠包も

あと、レバニラと青椒肉絲と、チャーハンと、あとなんかいろいろ頼みましたね。たくさん頼みすぎて覚えてませんが、5人で行ったので不思議と全部食べられました。

最近は年令を重ねてたくさん食べられなくなってきたんですが、自分は乾杯前の漢方に六君子湯を選んだのでそのおかげかもしれません。

さらにデザートで杏仁豆腐からのごま団子を、ジャスミンティーからのプーアルティーで楽しんだりして、このあたりから配布資料配ってちゃんとした学習会へと突入。



初期研修医のときから、「研修医同士の学習会は病棟診療環境から切り離して楽しく、でも(というかだからこそ)印象に残るように集中して学ぶ」ことが大事だと思っていたんですが、なかなか賛同してくれる指導医も仲間もおらず、たまーにピザを頼むくらいしかできていなかったので、こういうのは嬉しいですね。




いちおうレクチャーの中身にも触れておくと・・・


漢方の基本的な概念をさっと説明しつつ、状況別に気血水・六病位・八綱弁証のどの概念を使うと便利かという実践的な視点を軽くふれて、

「外来のCommon health problemに対応できる漢方を学ぶと、すぐに実践で試せて、かつ少しの勉強で多くの患者の役に立てるよ」というメッセージのあと、診療所外来の臨時受診症状と慢性疾患のそれぞれトップ20を示し、それをざっくりグループ分けし、特に「めっちゃCommonだけど、内科診断学や西洋薬ではうまくいかない症状群」に対応した頻用漢方をざっと説明。

無題


無題2

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どれも、ツムラの「絵でわかる漢方処方解説」のイラストを印刷して、患者の雰囲気をビジュアルでつかみつつ、典型的な患者の雰囲気やセリフを自分が演じて伝えて(それをみて研修医が「あ~そういう人いますね、すごく困る」みたいなリアクションもあり)、微妙な使い分けを楽しみながら学べるようにしてみました。

また、「上半身機能的症状に対する半夏三兄弟」や「更年期3大処方」など名前をつけて、覚える漢方を3-4個くらいに絞って、頭に入れやすいようにも工夫しております。


ちなみに今回使用した漢方薬は、研修医がうちの素敵薬剤師さんに直接交渉したら「好きなの1個ずついいですよ」と提供してもらえたので、多くの種類を体験することが出来ました(ありがとうございました)
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こうやって並べると、漢方の袋ってずいぶんカラフルですね。

直接製薬会社に依頼するといろいろ薬持ってきてくれてレクチャーまでしてくれるらしいですが、うちでは研修医のうちからCOI・利益相反とか配慮するので、食事代は自腹で、薬もそれぞれの手持ちや院内の在庫処理などでやっています。



ちなみに、特にツムラに関しては、漢方薬を間違って飲まないように、識別しやすさの目的で番号がふってあり(漢字だけだとよくわかんないですからね、実際患者さんも薬剤名でなく番号で覚えている人多いです)、さらに色でも間違いにくいように色分けしているみたいです(1の位で色が決まっていて、似たような薬効のものはだいたい連番になっているので、似た薬効で同じ色にはなりにくいということだそうです。

色と番号に関するちょいネタでした。
出典はこちら:http://www.kanpo1.net/tumurabango.html




こんな感じでそれなりに盛り上がって、終わったら3時間も経過していたとは思えないくらい充実していました。

なにより一緒にご飯食べながら学ぶという体験そのものがやっぱり良かったですね。

今日からポリクリで回ってきていた、医大の学生も参加してくれて、いろいろと親睦を深めることもできてよかったです。



こういうイベントを自分一人でこれを企画して運営する余力はないですが、今後もこういうの頑張ってくれる人がいる時には積極的にやっていきたいと思います。


夜の飲み会だけだと、お酒苦手な人や夜に子供寝かしつけなきゃいけない人が参加出来ないし、真面目なお勉強会だけだと息苦しくなってきたり飽きたりもするので、こういうのはいいもんですね。

次回またなにかやるなら、早めに告知して参加したい人が自由に参加できるようなアクセス面の工夫もしたいなと思います。


とりあえず先日Facebookに挙げた写真には何名かリアクションしてくれたし、病棟多職種のFacebookグループにも写真あげたので誰か反応して乗ってきてくれるかもですね。

今回の中華料理屋自体雰囲気は悪くなく、店員さんは中国人らしく軽いなまりが雰囲気あり、味付けも日本人的中華料理風ではなくて食べ慣れない香辛料の風味がよくて(中国暮らしの長かった研修医が香辛料の産地とか、家庭料理でどう使うかとか含めて教えてくれたのがまた良かった)、割りと良かったのでまた使おうかなと思いました。



最後に、参考までに、過去に自分が書いた漢方関係のエントリーのリンクを貼っときます。今回は漢方の中身については特に書いてなかったので、お勉強したい人はこっちの方を読んだほうがマシかもしれません。

漢方について、自分なりのスタンス 2010年9月の記事、漢方診療を総合診療・プライマリケアセッティングで使うことへの考え方


漢方診療に詳しい人が、次に精神科診療も一皮剥けたいとき(もしくはその逆のとき)の勉強方法。両者の共通点に触れながら 2015年5月の記事、精神・漢方の勉強の仕方についての記事


【読書記録】 ジェネラリストのための“メンタル漢方"入門 2015年9月の記事、書籍紹介


 

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風邪薬の抗コリン作用に麦門冬湯、いいかも(医学研究結果でなく、自分自身での使用実感の話)

今日も元気に鼻水全開です。


しかし、学会で医師2名不在などあり、休むわけにはいかんのです。

抗ヒスタミン薬の内服+点鼻(処方薬ではないので市販薬)を使い鼻汁はビチッととまるんですが、流石に抗コリン作用が効きすぎて眠気と口渇がガッツリ来ます。

これはこれで仕事にならないくらい集中力を奪い倦怠感が襲ってくるのでなんとかしたいところ。



というわけで、最近勉強しなおしていた漢方の中でなにかいいものがないかを物色。
 
小青竜湯の比率を増やして、それで水様鼻汁が減ったら抗ヒスタミン薬を減らせるかも→王道だと思いますが、手持ちに小青竜湯なく、また仕事予定詰まっていて受診は難しくましてや薬局に処方箋持っていくヒマはないので却下(前にいた病院では受診だけしたら事務で薬取りに行ってくれたこともあり素敵なシステムでした)。


では、発想を変えて・・・ということで、抗ヒ剤はガッツリつかいつつ、その副作用だけ拮抗できないか?と考えました。

で、潤す漢方、できれば全体的な水分バランスを整えるような五苓散ではなく(片頭痛や下痢やむくみはなかったので)、軌道を中心に潤して、しかも叶うことならば余計な作用がなく、即効性もあるとなおよい。

そんな条件を満たしそうなのが、麦門冬湯でした。


一般的には咳止めとして認識されているようですが、基本的には「潤す」薬です。

COPD患者が乾いた咳が続いていて、喉にへばりついた痰が取れない。みたいなときにこの薬を使うと、程よく潤って痰も出しやすくなり、結果的に頑張って乾いた咳を繰り返す労作が不要になり、患者が安楽になる。という印象を持っています。


で、今回は咳は全く無かったですがやってみました。

潤いすぎて鼻汁が増えたらどうしようかというのがネックでしたが、背に腹は代えられないほど追い詰められていたのでとりあえず飲んでみました。


すると、15分くらいで口渇感がとれ、口呼吸ではーはーしていた感覚はなく、しかし鼻閉や鼻汁の悪化はなく、普通に会話できるようになりました!

昨日は、鼻がつらすぎて人と話す気にもなれず、話そうとしても呼吸が続かなかったのに・・・



というわけで、今日は朝・昼に抗ヒスタミン薬を重ねて入れ、同じタイミングで麦門冬湯も1袋ずつのみ、その御蔭で午前救急外来(急変数件、臨時入院1件、病棟面談1件、主治医不在患者対応もろもろ)と、午後の混沌予約外来を無事終えました。



とはいえ、薬は症状をマスクしてくれるだけで、実際に風邪を直す(原因ウィルスを減らす、ウィルスに対する免疫反応を抑えることで消耗を防ぐ)効果はまったくありません。

おかげさまで、夕方には心身とも燃え尽きてしまいました。



不幸中の不幸で、今日は当直で、かつ珍しくちょいちょい呼ばれる感じなので明日にはきっと廃人になっているかもしれませんが、この調子であれば同じ処方で明日一杯はなんとか乗り切れることでしょう。

充分な栄養と、隙を見つけてはガッツリ睡眠を取りに行ってなんとか克服したいものです。



にしても、漢方は病名処方ではなく随証処方ができるようになってくると、ほんっと面白いですね。

ここまできちんと「対症療法」が効くのって、西洋薬ではなかなかないですからね。



 

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体力を回復しすぎたせいで、ストレスに対する反応が出すぎて困る状態かも。肝気鬱結?

今日も、今朝7時半に医局の机に置いた書類おいて、気がついたら20時過ぎていて、開いた書類の上にたくさんの書類やなんかがつまさってました。

潔癖症の自分が嫌悪する「医局の机の上に書類の山ができている状態」になってしまいました。ああ、辛い・・・(TдT)


ブログだけ見てると順調にのんびり更新しているようにみえますが、この2週間位の読書記録・お買い物記録は先々週の土曜に時間があったのでまとめて書いた記事を予約配信しているだけで、明日でネタが切れたらどうなるかわかりません。。。
 

昨日今日と外来ヘルプをして、病棟も妙に回転していて臨時入退院もかなりあって、対応終えたはずの事務処理がもう一度差し戻しになっていたり、スキを見せると新しい仕事がまた3つくらい入ってきて(でもスケジュール確認するヒマもなくて全部保留のままで)と、仕事が進まない理由はいくらでも浮かぶんですが、こういう状態はとても不快ですね・・・

 

今日の夕方は珍しい心理状態で、とにかく気持ちが焦って、かつイライラが行動化しそうで、そのへんに都合の良い物体があればおもいっきり蹴り飛ばしたい気持ちにかられる状態になってました。

サッカーとか普段からしてるとこういうの発散できるんでしょうか?


普段だと、ストレスかかると精神活動性が落ちて冬眠しそうになる方向に向かうんですが、カッカしてエネルギー持て余すような状態になるのはかなり珍しいです。


おそらくですが、普段は慢性疲労でいわゆる虚証の状態なので、軽いストレス・病邪にも抵抗しきれず、とても弱いダウナー系の反応になっていたのでしょう。

そして、先週の北見ツアーで体力を消費したとはいえ、心理的には楽しく充実過ごしており、シルバーウィークには肉体的・心理的にもかなり貯金出来ていたので、いわゆる実証の状態で、強いストレスに対して強く反応しアッパー系の反応になっているのかもしれません。

具体的には肝気鬱結の状態に合致しそうです。溜息をつくと胸が少し軽くなる感じや胸脇苦満もありますし。

 
こういう状態は四逆散とか抑肝散がいいんですかね?

手持ちでは麻黄剤や五苓散くらいしかないのでちょっと使えないかも。

柴胡加竜骨牡蛎湯とか飲んでみたいな-。。。

せっかくなので、今まで勉強が曖昧だったこの辺の知識整理してみようかな。



・・・・・・気分の不安定さを、客観的に自己分析することで、少し冷静になれないかという試みでした。

効果はあるようなないような。



そろそろ脱線は終えて、まったく手を付けられてないメール処理やその他諸々をなんとかしようと思います。

はぁ・・・( ´Д`)=3

 

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【読書記録】 ジェネラリストのための“メンタル漢方"入門

「ジェネラリストのための“メンタル漢方"入門」を読み終えました


 
 

著者の前作「こうすればうまくいく! 精神科臨床はじめの一歩」がとっても面白く、「もう少し精神疾患の見かたをを深めないと複雑な症例に対応できない」と感じていたタイミングにドンピシャでした。




今回は、前作が面白かったことに加え、漢方診療も「そろそろ病名処方や簡単な六病位・気血水の想定だけでは対応できない症例に深く介入できるようになりたいし、特にプライマリ・ケア医がみるメンタルヘルスケアでは役割おおきいな」と思っていたところだったので、これまた関心ドンピシャで買ってしまいました。


漢方を説明する前段として精神疾患の見かたや向精神薬の近い方も説明してくれているのは親切ですが、意外とこの部分のボリュームが厚くて読むのが大変(本題のメンタル漢方に辿り着く前にけっこう消耗する)のと、でもあくまでおまけなので前作に比べると理解が浅いので帯に短し襷に長し感が(前作をガッツリ読み込んだ自分にとっては)ありました。

また、生薬編が結構ガッツリで、ここも順番に読み進めると気力をそがれるかもしれません。


しかししかし、それを考慮してもあまりありすぎるほどに「よかった!」です。
ジェネラリストがみるべき精神疾患を限定し(その理由もとても納得)、それぞれに対しての基本的な戦略を漢方と西洋向精神薬と非薬物療法の3面からバランスよく説明しており、微妙な漢方使い分けの(丸暗記ではなく)戦略が分かりやすかったです。

このメンタル漢方の章を先に読んでから、適宜まえにある生薬編や疾患解説・向精神薬解説編を拾い読むのが、(著者もそうやって読んでくれって書いてますが)一番使いやすいかなと思います。


とりあえずこれを読み終えてから、西洋医学でなんともならなそうな患者では舌を見て、漢方的問診を追加して、併用療法(漢方2剤や、漢方+西洋、漢方+小精神療法など)を積極的に行うことが増えた気がします。

患者満足度や治療効果がどう変わったかの検証は今後ですが、少なくとも自分にとって「臨床が面白くなった」ということは確実に言えます。そういう視点も医学の、というか医者の生涯学習では大事ですよね。


というわけで、「超おすすめ!」な一冊でした。



補足:以前かいた、漢方と精神の勉強についての考えやおすすめ書籍を書いたブログ記事はこっちです→リンク 


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漢方診療に詳しい人が、次に精神科診療も一皮剥けたいとき(もしくはその逆のとき)の勉強方法。両者の共通点に触れながら

先日、漢方診療にめっちゃ詳しくて師匠までいる後期研修医が、精神疾患の診療で少し行き詰まりつつも勉強色々している場面でいろいろと雑談して、ある程度一般化出来そうな気づきが得られました。


この「漢方医学」と「精神医学」の2つは診療の性質に共通点が結構あるんですが、学び方も同様のコツや成長のステップがあると思うのです。

この学説、新しいですかね?

すでに言い尽くされているようだったらすいませんが、そうであっても「その事実に自力でたどり着いた」ところはけっこうすごいと思うので、そんな興奮に任せて一気に書きなぐってしまいます。



診断名が客観的検査によらず、医師の主観・直観に頼る部分が大きい
→医者によって適当な事を言っているように見えたり、次々と本を読むと全部書いてあることが違くて迷いやすい。

疾患ではなく症状の組み合わせから病態を推測して、病態そのものに対して介入する
→漢方であれば病名処方でなく随証処方になるし、精神であればDSM診断に対する一対一処方ではなく古典的精神医学的な多剤併用療法になるんでしょうか(他剤は良くないという一般的な認識はありますが、漢方における生薬の多剤併用っぷり(平気で10種類くらい入っている)を考えればありなのかもしれないなとおもったり(もちろん自分では向精神薬多剤併用はしません(する必要がありそうならその時点で紹介する)し、向精神薬はたいてい複数のレセプターや神経伝達物質をいじるので1剤で他作用という意味ではすでに漢方と一緒なのかもとも思います)。

検査じゃなくて症状だよりなのに、その症状を医学用語としてカルテに記載するのが難しい
→漢方だと胸脇苦満とか陰陽虚実とかきちんと理解して記載できないといけないし、精神科も思考に関連するものだけでも「思考干渉、思考察知、思考吹入、思考制止、思考奪取、思考伝播、思考途絶」とかあって、しかも医師や流派によって言葉の定義が違かったりで大変。

また、視診の情報(結膜充血とかでなくて、表情や雰囲気など)も診断や治療方針に大きく影響を与えるが、その言語化がまたもや難しい
→「この頭痛は他の症状の組み合わせから言えば呉茱萸湯なんだけど、この見た目ならなんとなく五苓散だよね~。あ、やっぱそう思う!?」という会話が漢方に詳しい研修医とだけは噛み合うんですが他の研修医にこの感覚を正確に伝えるのは難しい。

介入が薬一辺倒ではなく、手術なんてダイナミックなものもない
→食事・運動・睡眠・休息・仕事などの生活習慣を見直していくこと(食養生とか)と、そういった多彩な援助の一つとして薬剤もあるみたいな(SSRI突っ込むだけでなくて精神療法とかカウンセリングとかも大事だよねみたいな)。いずれにしても一発解決を目指さず、あの手この手でジリジリとゴールに漸近させていく感じはとても近いと感じます。

初期研修医レベルで求められることと、総合後期研修医や総合診療専門医に求められる「非専門医」としての最低ラインの知識の解離が大きい
→初期研修医ならインフルエンザに麻黄湯と下痢症に五苓散だけ覚えて、せん妄にリスパダールかセロクエルと眠剤を何個か覚えとけばOKだけど、総合医でやっていくなら精神科医でなくてももっと細かい知識と豊富な経験を身につけて自分の診療現場でよくある症状については専門医と同等以上の知識を持っていた方がいいくらい(特に併存疾患多数、心理社会的問題複雑、超高齢でエビデンス外など)。


といった特徴があるなと思います。

昔からそのように認識できていたというよりは、そういう間隔をなんとなく持っていたことが、今日漢方詳しい研修医と精神科疾患の勉強について雑談しながら言語化していくうちに整理できたという間隔です。




以上を踏まえると、どちらか一方を詳しく勉強した人であれば、もう一方も同じ視点で勉強すると一気に壁を突破してブレークスルーできるんでないかと思いました。

今回は漢方詳しくて精神勉強するパターンなので、そっちの具体例だけもう少し書きます。




1.まずは全体像を捉え、それを頭に整理するための大きなフレームだけ用意する。

漢方なら、傷寒論・六病位、気血水、陰陽虚実などの八綱弁証などを、できるだけ直感的に理解できる入門書でイメージし、かつ今まで経験してきた病名処方でイケていたものとイケてなかったものの違いを説明できるように努めてみる。

精神だったら、DSMの発展してきた歴史と、それ以前の古典的診断の考え方(特に自分が重視しているのは心因・内因・外因や器質因でざっくり分けて捉えて、その上で症状を分類していく流れ)を、これまた初心者向けでイメージがつかみやすいもので勉強する。


2.次に、自分の勉強した知識と患者診察情報のすり合わせや、師匠に電話や手紙で相談できるようになるために、症状・所見を正確に言語化できるよう「専門用語」の意味するところを1つずつ丁寧に勉強していく。

辞書的に丸暗記は無理なので、患者に処方した後に、その処方の適応となる病態を学び、その時見られる症状や所見の羅列を患者に当てはめ、意味がわからなければ初めて用語の定義を調べるくらいだと何とかなります。

ここを辛抱強くやるかどうかが大きな分かれ目な気がします。基礎体力作り的な印象です。

ある程度やっていると「自分なりには、この言葉を使うときはこういう患者のこういう状態を指し示している」みたいなオリジナル定義に発展していき、これが内科診断学とか近代科学的にはありえないと思われるかもしれませんが、実臨床では実に有用だし、同じように仕事をしている人たちとは何故かその定義の間隔が噛み合うのが面白かったりします。完全に「守破離」の離の段階ですね、これ。


3.いずれにしても「検査による答え合わせ」ができない以上独学には限界があるため、継続的に見られる医師患者関係の確立した患者と丁寧に相談しながら治療を行い反応から学ばせてもらうか、その領域のプロでかつ指導も熱心なスーパーバイザーを見つけて学ぶ。

自分は精神科領域は初期・後期研修時代にリエゾンコンサルテーションやリエゾンカンファでいろいろ教えてもらい、初期研修の精神科病院ローテ時には精神科医が4~6人くらいいて昼休みに雑談していたところだったのでひたすら今までの処方や診断の疑問をその人達に聞いて意見の違いが何故出たのかとかまで掘り下げて聴きまくって学びました。

もちろん精神科専門医の研修量・濃度とは比較にすらならないレベルだとは思いますが、総合医志望者の中ではかなり濃厚に学びニュアンスを身につけた方ではないかなと思っています(自称です。すいません)。

一方で漢方は師匠と出会うきっかけはなかったので完全独学だけでしたが、幸い継続的にみられる外来・病棟・往診を担当していたので、一人の患者に投与してその反応を責任持って見る中で学ばせてもらえていました。
今考えると、精神科研修で身につけた「診断基準の当てはめではなく病態で処方を考え、確信は持てないので治療反応性も見ながら控えめに慎重に診断を落としこんでいく」という思考過程があったおかげで、独学でもわりとすっと本を読みこなし実践できたのかもしれません。



どうですかね?

伝わりますか?


これを読んで納得する人はこの記事を読んで新たに勉強することはないかもしれないし、でも勉強したいという時点の人にはまだ腑に落ちない表現だらけになって、適合読者がいないような気もしますが自分はスッキリしたのでよしとします。




最後に、こういった考え方にそって学びたい人向けの、個人的に熱烈おすすめテキストを紹介して終わりたいとおもいます。 


精神科お勉強編


崩した文体が気に障る人と読みやすい人がいるかもしれませんが、崩したように見せかけて相当勉強していて臨床にも誠実で教育にも配慮されている先生なんだなというのが伝わってくる内容です。

また、精神科的考えを理解するのに必要な視点として、過去の偉人とその人が提唱した概念などを普通だったら眠くなるところけっこうわかりやすく開設してくれて自分の世界観が深まりました。

難しい本だと出鼻をくじかれる人向けです。

 

こっちはぱっと見難しそうですが、精神疾患全体像を心因・内因などでざっくり分類してくれている最初の短い章が目から鱗で、それをイメージした上で目次の構成を見ると精神科世界観のフレームが頭にはいり、その上で具体的に困った事例はどの辺に入るか想定して該当ページだけ集中的に読むと、DSMのどれが鑑別に入るかとか、そういった症例の症状・所見や生活・人生の記載の仕方も、薬と生活支援のスタンスまで解説されています。

自分は、大学の精神科講義の初回が激烈につまらなくて、講義を聞いても賢くはなれないと悟って数日サボって医学書書店を歩きまわり、うつのページを読み比べ続けて一番しっくり来たという理由で買って、その後は講義中に講義聞かずにひたすら読みふけっていました。

いまでも、精神科診療でDSM診断や初期研修医の知識では越えられない壁にぶつかったけど乗り越えたい!という段階に来た総合後期研修医には要点だけ伝えて、たいていは「おー、すげー」と関心持ってくれるので買うようおすすめしています。

その後きちんと関心部分だけでも読んだ研修医は、「読んで世界観かわりました。しかも患者さんとのつきあいかたも腑に落ちて、今までみていた人との外来で感じていた違和感や不快感が消えました」という感想になることが多いです。 


漢方のお勉強編

初心者向けで、コモンな症状や病名に対しての代表的な処方があり、その上で陰陽虚実の2軸でおすすめ処方をスペクトラム図で示してくれています。

ので、病名処方で第一選択の漢方だけわかるけど、もうすこし随証処方をしたいけど漢方の専門書は難しすぎて吐き気か眠気が出るという人にかなりオススメです。

自分も、漢方診療に関心のたかい研修医に教えるときにはまずこれを使うようにしています。


絵でわかる漢方処方解説シリーズ
― Kampo Square ―

これは、漢方処方の適応となりそうな人の見た目のイラストがどーんと乗っていて、そこに代表的な症状の解説がちょろっと乗っています。見た目はすごい大事で、表情や目つき、顔色や姿勢、手を当てている位置などから情報を読み取るんですがそれが見事に再現されています。
研修医には「こんな見た目の人じゃなかった?でなければこっち?」みたいに見せるとだいたい「あ、この人です。そっくり過ぎ!」ということになり、その後その処方を出すとしっかり効果があるということが度々あります。

また、後半の方には気血水や虚実での適応がイラストでかいてあり、また鑑別処方として類似している漢方の使い分けのポイントもまとまっていてほんとに神のような資料です。

残念ながら漢方スクエアのメーリングリストに登録していないとフリーでは入手できず、更に残念ながらこの数年は新しいのが出てこないのでエキス剤の漢方(医者が処方する粉状のアレ)が制覇されていない状態のため、「絵でわかる」がない処方は説明できないのが欠点です。
(登録すれば、バックナンバーの形で全ての資料をPDFファイルでダウンロードすることは可能なようです)




あとは雑感のような感じで、書き終えたあとに考えたことを追記しておきます。


こういった、曖昧さ、確定診断名がなくても関われるところ、非典型例でもなんでも目の前の現象を丁寧に認識さえできれば的確な対応が見つかるあたりは、漢方医学や精神医学と家庭医療との相性はほんとにいいなぁと思います。


あと、念のため補足しておきますが、研修医に教えるとはいつでもこのマニアックな視点でというわけではないです。

内科診断学すらあやふやな段階では手を出させない(こんち可能な身体疾患を見逃してダラダラやっていい治療ではないから)です。

理解が曖昧な初学者にはまず基本的な診断と治療を初期研修医向けマニュアルなどで勉強させて、そのへんはほぼクリアしたうえで事例ベースで悩んでる人にだけこういう指導をしています。


さらにいうと、これは総合診療医の、というかそれ以前の私個人の見解も大いに含まれた視点であることは強調しながら教えており、レベルの高い学習者ほどきちんとした指導者(精神科専門医や漢方を深めて学んでいる人)に教わるようにしています。

自己流をおもてっつらだけまねても危なっかしいし、失敗したときにケツを吹いてもらうことになる専門医側の視点を十分すぎるくらい理解してないと、普段の連携にヒビが入るのはもちろん、「総合医ってやっぱやぶ医者ばっかりじゃん」という文化を助長しかねないと思うし。

 

そしてですね、今日書いたような一見異なる領域の類似性については、漢方医学と精神医学のどっちかを「リハビリテーション医学」や「老年医学」に置き換えても同じことが言えそうなんですよねー

あくまで自分の場合の話ですが、7年目になってリハビリ勉強してから、精神症状の理解や対応の質や、漢方処方の成功率が跳ね上がった気がしています。別に精神科の勉強しなおしたとか、新しく漢方のテキスト読み込んだわけではないのに。

そして、リハビリの勉強一段落して「総合医のためのリハビリテーションとはこういうものだ!」見たいのが見えてきたと思ってみたら、いつの間にか老年医学の学習レベルが一気に変わった気がしています。

ので、こういった総合診療と相性の良さそうな関連領域は、単に「似てる」だけでなく、組み合わせることで「相乗効果」もありそうです。


総合診療ってほんと面白いし、関連する専門領域も学び方を間違えずうまく統合していけると継ぎ接ぎ似非総合医ではなく、真の意味での総合医になっていける気がします。
 


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結局、今回の風邪に一番効いたのは、コンビニで買ったのど飴でした。処方薬の完敗・・・_| ̄|○

2日前の記事で自分の風邪の経過と、漢方の麦門冬湯の効果について報告しましたが、その続きです。



経過ですが、最初のところから繰り返すと・・・ 
 
火曜日の朝、最初は喉の違和感があり、嚥下時に少し痛みを感じるくらい。

同日夜には少し軟便もでて、食思不振や嘔気までは行かないけどあんまり食べられないくらい。


水曜日の朝には、咽頭痛はないけど少ししゃべるときの違和感が出現。

同日昼くらいから声が出にくくなってきて、午後には相談の電話が15件ほど入ったんだけど徐々に声がでなくなっていくのを実感。

同日夕方には完全に声がでなくなり(ささやき声か、潰れて時々裏返ったりする声しか出ない)、医局会議で予定されていた学会発表演題の発表はキャンセルにしてもらい、夜のSkype会議も声が出せず成立しないのと倦怠感・熱感がひどくて辞退。
 

木曜朝には全身症状は改善したものの、前日より更に声がでず、気管のあたりがヒリヒリしている感じで、少し膿性痰も出る状態。

で、麦門冬湯を飲んでみたら、普通に声が出てびっくりした!という経過でした。


しかし、効果は2時間も続かず。

追加服用してみても、仕事中なので「きちんとお湯に溶いて空腹時にゆっくり服用」ができず、粉のまま口にいれて水で流し込んでもいまいちスッキリしません。

当然、公演直前に出先の病院で「あ、湯のみに熱湯もらえますか?漢方のむんで」っていうのも微妙な雰囲気だし、熱湯がもらえる保証もないのでちょっとやばい感じ。


朝回診の前に「いやー、漢方効くんだよね-。すごいよ」って話をしたときに、研修医から「龍角散ののど飴もすごいっすよ」という話を聞いていたので、「もうこれしか無いか!?」とすがる思いに。

少し病院を早く出られたので、コンビニに寄ってのど飴を探してみました。
 

龍角散はみつけられなかったものの、一番値段の高い効きそうなやつを選択。

名前忘れましたけど、カロリーオフ・ノンシュガーで、主成分はカタカナじゃなくて漢方薬に入っているような漢字の生薬のが何種類も入ってるやつ。


1回2粒を1日3回までと書いてあったので、まず2粒をなめてみました。

けっこう長持ちして1回あたり20分位もったんですが、これまたびっくりする効果が。


運転しながらなめてたんですが、10分位たったころにラジオからちょうど好きな曲が流れてきたので何の気なしに口ずさんでみたところ、全く声が裏返らずにいつもの声で普通に歌えてました。

しばらくたってからそのことに気づくくらいに普通でした。



これは衝撃的で、きちんと飲んだ麦門冬湯ですら「発声に気をつければ簡単な発音は普通の声でできる」というレベルでしたが、今回は「様々な音程を無造作にだしても大丈夫」というクオリティーでした。

残念ながら効果は1時間位で落ち始めますが、十分。


病院到着してから1粒追加して、担当事務や院長先生との挨拶を乗り切り、直前でもう2粒追加してから講演にのぞみ、無事1時間乗り切れました!


まる1日以上殆ど喋らない生活をしていたせいか、頭の回転は遅く、また回転の落ちた頭にすら舌の動きがおいつかず、場の空気を感じて思いついたアドリブがことごとく変な感じになってしまったことや、普通に喋ったつもりでも2割増しで時間がかかって制限時間内に終わらなかったなどはありますが、これはもうしょうがないと思います。



一晩明けた昨日(金曜日)はスッキリ全快!!のはずでしたが、予想外に体が重く、食欲もなく、微熱感もあり、少し痰の絡んだ咳もでて、頭は回らずボーっとしていました。

火曜日:咽頭炎→水曜日:喉頭炎→木曜日:喉頭・気管炎→金曜日:気管支炎と降りてきており、漢方の六病位でも太陽病・表証から少陽病・半表半裏に移ってきた感じです。


幸い当直ではあまり呼ばれずにそこそこ寝ることが出来て、やっと食欲も戻ってきましたが、なんともまだスッキリしません。

まあ、明日くらいには元気になるでしょう。



という、風邪の経過に関する一例報告と、セルフケアについての体験報告でした。





今回の教訓

1.やはり漢方・生薬はすごい。

2.そして、体表(皮膚だけでなく、外界と通じている粘膜も)の病気に対しては「局所療法(直接塗る・ふりかける
)」って大事。

3.処方薬だけでは選択肢が少ない、市販薬やその他代替医療にも広くアンテナは貼っておこう。
→ただし似非には注意だし、健康保険は使えないので金銭負担はそこそこあるし(でも診察・検査費用と待ち時間考えれば自分にとっては安上がりと思う)、きちんとした研究で効果と害を把握されていないので慎重な姿勢は必要。

4.やっぱり自分は、風邪をひくとすぐには治らず長引くので、風邪の引き始めにきちんと休んだほうがいいと思う


でした。 


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声が潰れたので漢方試してみました。麦門冬湯はすごいです。

一昨日から風邪っぽかったんですが、昨日午後くらいから完全にダメでした。


2日前の朝、最初は喉の違和感があり、嚥下時に少し痛みを感じるくらい。

2日前の夜には少し軟便もでて、食思不振や嘔気までは行かないけどあんまり食べられないくらい。

1日前の朝には、咽頭痛はないけど少ししゃべるときの違和感が出現。

1日前の昼くらいから声が出にくくなってきて、午後には相談の電話が15件ほど入ったんだけど徐々に声がでなくなっていくのを実感。

夕方には完全に声がでなくなり(ささやき声か、潰れて時々裏返ったりする声しか出ない)、医局会議で予定されていた学会発表演題の発表はキャンセルにしてもらい、夜のSkype会議も声が出せず成立しないのと倦怠感・熱感がひどくて辞退。

Dynamedで、hoarseness(嗄声)をキーワードにページを探し、Acute laryngitis(急性喉頭炎)のページをみて治療のところを確認し、抗菌薬不要、声の安静、適度な水分補給と冷たいミストの吸入などが書いてあり、水分取りながら体が冷えない程度に長風呂してから早寝。

全身症状は改善したものの、今朝起きたら昨日より更に声がでず、気管のあたりがヒリヒリしている感じで、少し膿性痰も出る状態。


咽頭炎→喉頭炎→喉頭・気管炎と、徐々に炎症の首座が降りてきた感じですね。

自分は気管支喘息持ちなので、気管支炎まで降りてきたら発作が誘発されるんじゃないかとドキドキしてますが、いっそ喘息発作になれば治療法は明確なのでかえって楽なのかもしれませぬ。
 


で、今日なんですが、法人外からの直接オファーがあり、全職員対象の倫理学習会で「臨床倫理四分割法」の講演を1時間ほどさせてもらえる機会を頂いた大切な日でした(講演内容などの情報は後日シェアします)。

よりによってこんな日に嗄声のピークを合わせてこなくてもいいじゃんと思うけども、そういえば前にも大事な外部向け学習会当日に嗄声で苦労した思い出が2回ほどあったな・・・


以前は勢いで押し切ったり、声が出ないことをネタにして切り抜けたりしましたけど、さすがに今回はこのままではまずいと思うくらい声が出ないのであがいてみました。

まずは、講演前に予定されていた院長との面談。 生態の安静が必要な病態なのに本番前にたくさん喋る機会は、ありがたいけどもちょっとまずいなと思っていて事態のお願いをしようと思っていましたが、結局向こう側の都合がつかずに講演後になったので一安心。


あとは漢方薬。

困ったときの漢方。西洋医学で特効薬がないときの漢方です。


感覚的には喉が乾燥していて保湿したい感じ(自覚しているひりひり感も、Dynamedの治療推奨内容を見ても)。

そして手元には、以前の風邪などでもらって溜め込んでいた漢方が、葛根湯、麻杏甘石湯、麦門冬湯、補中益気湯など。


急性期用、即効性あり、乾燥を潤す、気道系、虚実をあまり神経質に選ばない(いまどういう状態なのか冷静に自己判断できていないので)などを満たすのは「麦門冬湯」しかないでしょう。

葛根湯は虚証だと厳しいし潤すというイメージではなく、麻杏甘石湯は悪くないけどもうちょいゼーゼーしてきてから使いたい(予想では明日以降に気管支炎まで降りてくると思うのでそのタイミングかな)、補中益気湯でゆっくり全体を持ち上げているヒマはないという消去法でもやはりこれ。


で、試しにさっき飲んでみましたが、直後から「普通の声が普通にでました!!」

すごいよこれ。

ほんとすごい




一応、その後にグーグル先生に「嗄声 漢方」て質問紙てみたら、麦門冬湯はわりと上位に表示されますね。

他にも、長引いてうまくいかない人が小青竜湯+半夏厚朴湯(ああ、確かに喉に効きそう)とか、補中益気湯で治ったという自己治療報告は色々あります。



今回の教訓

1.漢方は、その症状に対する適応処方を知らなくても、消去法や証を考えて出せばそこそこ当たることもあるし、当たればその即効性は神がかっている。

2.嗄声は起きてほしくない時にこそ起きる。そして自分は講演など人前で喋らなきゃいけない時ほど出るので、対応策はもっと勉強しておくべきだった。AAFPの文献や耳鼻科領域の文献など探してみようと思った。

3.自分の風邪は鼻炎→副鼻腔炎で痛くて苦しむパターンの他に、咽頭炎→喉頭炎で声が出ないパターンの2つが多いようだ。人によって相性の良い病型があるのかどうか気になった。臨床研究のネタになるか?

 

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風邪引いてみて、漢方でできることと出来ないことの再認識できました

先日のブログ記事にも書きましたが、元旦から熱を出しダウンしていました。


2日の19時の時点でほぼ症状が緩和され、元気になったのでもりもりご飯食べながら、この2日間手を付けられなかった仕事をもりもり消化しています。 

とりあえず振り返りと目標設定までは終わったので、あとは明日以降ちょっとずつ消化していきますわ。


よく風邪引く方だとは思いますが、今回は元旦の発症でドラッグストアやっておらず、この症状でクソ混んでる休日当番病院行っても散々待って解熱剤だけだな-という予想もあり、家に残っていた葛根湯だけで戦ってみました。

もうダメかもという思いのなか、Twitter・Facebookで実況中継していたのをまとめてみます。

12月31日はわりと元気で普通でした。

1月1日は朝起きて、まあ普通。
でもなんか調子悪くて予定していた作業はできずだらだら午前中過ごしてました。

午後くらいから「あれ?あれ??これってもしや?」と思うほどに体調が悪化。
関節痛・筋肉痛もあるけど、それ以上に寒気がひどくて、頭痛も徐々に悪化。

1日16時50分
めっちゃ実+表+寒証で、症状もどまんなかに突入したので、葛根湯パルス行ってみます!!
→葛根湯2包をお湯に解いて服用

1日17時08分
一発目を飲みきる頃には、あの尋常ではなかった悪寒が消えた!
項部の重痛い感じも3分の2に、頭痛は3分の1に!!
スゴイー(・o・)

このまま寝たら目が覚めないんじゃ!?ってくらいの重症感がふっといなくなりました。
これ飲んで効かなかったらアウトだよね!?ていう、重症肺炎や敗血症に対して抗菌薬とか滴下してる気分でしたが、こりゃすごい。カテコラミン濃度間違って投与したの??くらいな劇的効果でした

少なくともスピードはNSAIDs内服よりは速いですね。
もうちょいしたら2発目投下します。

まさに、表邪を跳ね返した、吹き飛ばした感じ。さすが解表剤!!
理屈が腑に落ちました♪

1日19時
一眠りして起きたら悪寒は完全消失。冷えた廊下を通ってトイレに行ってもゾクゾクしなーい。
しかし、まだ発汗はなく、頭重感・項部重苦感と軽い全身関節痛が残るので、もう一発葛根湯、行きます( ̄ー ̄)ニヤリ。
→葛根湯もう1包追加。

今まで西洋薬と組み合わせずの漢方治療したことなかったけど、かなりスゴイ

2日10時半
頭痛・倦怠感残るくらいで、朝起きたら発汗もたっぷりあってほとんど治りましたー
新年そうそうもうだめかと思ったけど、過ぎてみれば大したことなかった
お騒がせしましたm(_ _)m

 
たっぷり寝た影響もあると思いますが、概ね24時間程度で改善しています。

漢方、すごいっすね。


ただ、体調崩した影響かわかりませんが、2日朝の時点で頭痛だけは残存。

この痛み方は典型的な「いつもの片頭痛」で、片頭痛だと2日はピークを抜けずにQOLが下がることも経験上わかっていたので、2日の昼にドラッグストアへ向かいタイレノール(アセトアミノフェンのみ配合の市販の解熱鎮痛薬)を購入。

ガツッと必要量を内服して頭痛も完全消失し、今は症状フリーです♪



漢方は、典型的な症状が揃っていて適切なタイミングで飲めれば、今回のような劇的な効果を得られますね。 

弱点としては、少しタイミングや症状が変わってくると、同じ病気でも処方が代わるため、なかなか「受診して処方してもらう」というパターンでは細かい対応が難しいとも実感。

受診時に今後のためにいろんなのをもらっておけばある程度解決するけど、保険診療でそれいいのかよ?という疑問と、それができるのは本人が漢方に詳しくていざというときに自分で製剤を選ぶ力がある場合限定何ですよね。

どうしたもんか。


一方で、西洋薬は病名や症状が決まっているなら対応処方も固定なので、素人でも置き薬を使いやすいなというのは感じました。

特にアセトアミノフェンなど安全性の高い薬ならありだと思います。

しかし、現在市販されている総合感冒薬は有用性が証明されてないのに副作用ばかりの薬が多く、あれを適切に使うというのは至難の業。ネット販売とか危ないなーと思います。

医師の間では危ないって話がよくでていますが、医師の業界の外にどれだけ伝わっているか・・・


どういう薬が安全・危なくて、どういうふうにドラッグストアの市販薬を活用するべきか?みたいな市民向け講座開いたら意外と人気出ますかねー。 

ちょっと企画考えてみますわ。
 


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漢方学習会しました。 外来Common Diseaseの病名処方と、風邪の随証治療の両方ができるレベルを目指して試行錯誤し、いい感じに盛り上がりました♪

先日、主に後期研修医を対象とした、院内での「漢方学習会」を行いました。


うちにいる後期研修医に対しては、病棟全症例を週1回、外来症例も気になった症例などをえらんで週1回の振り返りをしています。

その中で、診断がつかないけど長い期間にわたって症状に苦悩している患者や、一般的な西洋薬を使っても症状が取れず、またはその副作用で苦しんでしまって次の手が打てない患者などをたくさん経験している事がわかり、そういうときに(ほかの多彩なアプローチも紹介する中の一つとして)漢方の処方案を伝えて少しずつ経験を積んでもらっていました。

意外な程に著効することも多く漢方への関心が高まっていたものの、同じような病名の人なのにちがう処方を推奨されたり、最初は聞いていた漢方が徐々に聞かなくなって薬を変えたらまた効くという経験も増え、「今は指導医に聞けばいいけど、今後自分で病態を理解して自力で適切な処方をできるようになりたいな」というニーズが高まっていて、「あー、漢方の勉強会したいっすー」という意見が何回も出て複数の研修医から出るようになってきたので開催することにしました。

ので、「十分にCommon Diseaseの診療を経験し、西洋医学的な標準的診断・治療も身に付けて、それでも超えられない壁を何とか乗り越えて患者の苦痛を軽減したいという熱意で満たされた後期研修医」を対象として準備しました。


のですが、たまたま今回ってきている初期研修医の一人が日常的に漢方を使っていた幼少期の経験があり関心が高く、もう一人も救急に関心が高いため風邪など急性疾患における漢方の使い分けに興味があったため、初期研修医も参加してもらいました。



とりあえず1時間くらいかけて、一応過去に作った資料を配布しつつ、主に対話とホワイトボードをベースにしてニーズを確認しながらアドリブで進めていこうかなと考え、緩めの準備で挑みました。

初期・後期研修医両方に対する漢方講義するのは久しぶりだったし、以前と比べて自分の経験も増え(独学なので第3者による評価は受けられていないのが弱いところですが、それなりの有効率を実感しています)、学習者側のニーズのバラ付きも大きそうだと思ったので、「準備しすぎず、臨機応変に」というつもりでした。



実際の流れとしては、

1.まずは外来Common Diseaseの統計を見せて、「内科一般外来でよく見かける症状のうち、西洋医学で対応しずらいが、患者のQOLを損なう健康問題」を提示(勉強してもいつ使えるかわからないような基礎講義ではなく、明日からしょっちゅう使える内容ですよというフリとして)

2.それらに対して、とりあえず「病名処方」できる漢方一覧を提示(随証治療は難しいので、まずは取っ付き易く簡単なところから)

3.その漢方のイメージを、「絵でわかる漢方処方解説シリーズ」の絵を見せたり、私が雰囲気やよくある患者のセリフをいろいろと提示しながら持ってもらう(あー、そういう人よくいます!あるある~!!といういいリアクションが、主に後期研修医からたくさん返ってきて楽しかったです♪)

4.その後少し質疑応答の時間をとって、ここまでの病名処方に対する質問をふくらませて返して、より理解を深める。

5.そこまでいくと「でも、風邪に使う処方はたくさんあるし、実際に外来でも指導医に聞くたびにちがう漢方を推奨されるので難しい」という意見がでて、また開始時に聞いたニーズも「風邪の漢方をマスターしたいっす!」という意見もあったので、「じゃあ、ちょっと難しいけど、風邪の漢方の使い分け行きますか!」と話を展開

6.基本的な用語の解説をしてから、表裏・寒熱と六病位の基本を解説。お互いに脈診や腹診をして表裏・虚実の区別はつくようになってもらう実習付き。

7.具体的な処方の使い分けを順次説明。

8.最後にフリーディスカッション

という流れでした。


本当は自分の今の症状をプレゼンして、診察をしてもらって最適な処方を考えてもらうというクイズを最後にやろうと思ったんですが、この時点ですでに2時間近くかかっており立派なワークショップ1本文くらい消耗しお腹もいっぱいだったので切り上げました。



参加者側は、かなりノリノリで聞いたり質問してくれていて、終わった後もフリートークが続いたり、「たのしかったー」と笑顔で言ってくれていたりでかなりの手応えでした。

自分も、こんなにすんなりと漢方レクチャーが届いた手応えは始めてで、自分の漢方診療経験の成長やレクチャースキルの成長を感じることができて嬉しかったです。


独学で学び始めたのが卒後3年目の頃、4年目あたりから積極的に使うようになり、5年目のときには学生向けの学習会を薬剤師さんと一緒にしたりもしていましたが、その後あまりニーズがなく地味に個人的に使うだけでした。

しかしそれから4年たち、自分がこういうふうに成長していることを実感できて面白かったです。

「ここの病院に漢方に詳しい先生がいるってお友達からきいて、わざわざ診療日を電話で問い合わせてきたんです。実はですね・・・」みたいな患者さんが年に数人はやってくるので、そんなめちゃくちゃ高く設定されたハードルをくぐり抜けてきた経験が生きてるな-という感触はあるし、一方で日常的に風邪や更年期障害や便秘やらなんやらに普通に出し続け、後日その感想を必ず来いてフィードバックを得続けてきたという地味な成果もあるのかもしれません。

漢方、たのしーですね(*´ω`*)



最後に、学習会の資料も紹介します。

これだけみてもよくわかんない部分も多いと思います(学習会の時はこれの何倍もアドリブでしゃべっていたので、資料から受ける印象と実際の学習会で学べた内容はかなり違うような気もします)。

何らかのさんこうになれば幸いですし、誤りや改善点などあればぜひ教えてほしいと思います。



漢方入門-外来Common Diseaseの「漢方ファーストチョイス」.pdf by けんた



プライマリ・ケア現場でよくみられる健康問題の統計をもとに「プライマリ・ケア医が漢方で対応すべきよくあるシチュエーション」をリストアップし、少数のグループにまとめることで「たくさん学ばなきゃいけないのか?」という最初の心理的ハードルを崩すことを目的にした資料です。

外来研修を少しした頃であれば、いずれも「あ、それ良く経験します」という症状に絞れるので、「じゃあ今度からすぐ使えるかも」とか「この前の患者さんに使えたな-」と感じることができ、学習する気が出ることを期待しました。

それぞれのファーストチョイスの薬も(細かいところをざっくり無視して)とりあえず並べることで、「たくさんの薬を暗記して細かい違いを覚えなきゃいけない」という感染症診療を独学で学ぶときに最初に躓く壁と似たような現象を回避することも狙いました。
必ず「これだけでは100発100中には遠いけど、とりあえず禁忌でなくて患者の全身状態も良ければ指導医の監視のもと処方して手応えを感じてみよう」という注釈をつけながら解説しています。





漢方入門-基礎理論+風邪診療編.pdf by けんた


最初の「CommonDiseaseのファーストチョイス編」で心理的ハードルが下がった後に、「でも風邪の漢方って数が多くて使い分け難しそうなんだけど・・・、でも面白そうだから勉強したいっす!」とモチベーションが高めなようなら追加でレクチャーしています。

五臓六腑や気血水の考え方が西洋医学と同じ字でも意味が違うことや、随証処方と病名処方の違いなど、よく誤解を生みそうなところだけざっくり説明。

そのあと、「六病位」で病気のステージを教える(ほかの慢性疾患のステージ分類と似たような感じで)。
で、外来でとりあえずよく出会う太陽病期と少陽病期にしぼり、この中で多彩な方剤を使い分けるために、「八綱弁証」のうちとくに表裏と寒熱について解説を加えてから、個々の方剤の使い分けを説明していきます。

病名処方だけでは乗り越えられない「微妙な症状・ステージによる漢方の使い分け」を、この「二病位+表裏寒熱」だけで理解してもらい、奥深さの一端を知りつつ、明日からとりあえず処方できるようになってもらうことを目指しました。 



以上です!


でわ~ヽ(´ー`)ノ 


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今回の風邪、漢方的にわかりやすい太陽病→少陽病の経過でした。

月曜に風邪を引いてしまい、そのまま一週間イマイチな体調のまますごしていました。


月曜夜に鼻の奥の違和感と項部や四肢関節の違和感で発症。

火曜には頭痛や後部痛、全身関節痛が強く、鼻炎症状もそれなりに。熱は測ってなかったけど、体表の熱感はあった。とにかく関節痛が強く寝返りうつのすら苦痛で、悪寒戦慄後の高熱感もあったのでロキソニンを内服して十分に効いてからなんとか眠れた。

水曜は、起きたときはものすごい発汗でぐっしょりしていたので朝もう一度シャワーを浴びた。熱感と関節痛が強くて、変な病気が心配になるくらい。夜になって咽頭痛に加えて咳が出てくるが、その頃には熱感や関節痛は若干落ち着きなんとか当直をこなす。

木曜朝(当直明け)には嗄声が強く声がほとんどでず、咳・痰も出て、食思不振と倦怠感が著明になり、午後外来を休みたかったが、日中はそれなりに元気で、外来が終わった夕方くらいにまたひどい倦怠感と熱感。

金曜日は関節痛はほとんど軽度だけど、食思不振や口の中の違和感、そして強い倦怠感でものすごくやる気が出ないけど、長く一緒に働いた医師の送別会があり、小柴胡湯飲んで30分くらい仮眠とってから送別会へ。

土曜日は、たぶん二日酔いもあったんだろうけど、引き続き倦怠感と食思不振、強い眠気、無気力感などがあり、でも午前の救急当番は珍しくずっと呼ばれっぱなしで朦朧としながら何とか昼まで辿り着き、しばらく身動き取れず放心状態で過ごした後ゆっくり帰宅。

あとは寝て、少し食べて、本読んで、寝て、また少し食べてを繰り返してようやく落ち着いてきた感じです。



これ、漢方でいう「六病位」の経過に沿っていて、心身とも辛い一週間ではあったものの、知的には「おもしろいなぁ」と思いながら過ごしていました。

太陽病→少陽病→・・・と6つのステージを経て死に至るという考え方なんですが、特に最初の二つは外来などでよく見かけるので、知っておくと便利な概念です。

ツムラのサイトにある説明はこんなかんじです。
●太陽病の大綱は「太陽の病たる、脈浮、頭項強痛して悪寒す」である。

脈浮とは、橈骨動脈に指を軽く当てただけで脈がよく触れるものをいう。

頭項強痛は頭痛や項後のこわばりをいい、発熱性疾患の初期にみられる症状である。

関節痛、腰痛、鼻炎症状を呈することもある。

●熱型は悪寒発熱を示す。脈型は浮である。

●病邪が体表に存在しているために上記の症状が発現すると考える(表・熱証)。 

●日常臨床では、かぜ症候群やインフルエンザの初期に相当する。

●治療の原則は発汗あるいは解肌である。

この病位の状態には、発汗機転を経ないでも自然発汗がみられ緩脈を呈する中風と、自然発汗がなく緊脈を呈する傷寒がある。中風には桂枝湯、傷寒には麻黄湯などが用いられる。

●治療が奏効すれば治癒に向かうが、体力が低下したり病毒が強力であると他の病期に移行する。
これで言うと、「脈浮、頭項強痛して悪寒す」の通りで、関節痛・腰痛や鼻炎症状もあり典型的。

月曜夜から火曜くらいまでは発汗なく緊脈の「傷寒」だったけど、手元に麻黄湯や葛根湯がなく、薬を飲もうという意識も何故か持てずそのまま経過。

水曜朝は自然発汗があり緩脈だったので「中風」に該当していました。「傷寒」から「中風」に移行するものなのかどうかは知識ないです(別物と思ってました)。

この段階なら、桂枝湯を一服てとこですが、これも手元になく断念。ちなみに、汗かいてるのに麻黄湯のませちゃダメですね。

●陽病の大綱は「少陽の病たる、口苦く咽乾き目眩めくなり」である。

この病期では食欲不振、悪心・嘔吐、口が粘るなどの消化器症状や

咳などの呼吸器症状がみられる。 

●典型的な熱型は往来寒熱(弛緩熱)である。

脈証上は弦脈が、腹証上は胸脇苦満が特徴とされている。

●病邪は表と裏の間にある(半表半裏・熱証)。 

●日常臨床の中でこの時期の患者に遭遇する機会は多く、

太陽病から数日で食欲不振や口が苦く粘るなどの自覚症状がみられる。 

●治療方法は和解あるいは中和療法が原則で、
小柴胡湯をはじめとする柴胡剤を用いる機会が多い。 
木・金・土は消化器症状+呼吸器症状メインで、当初あった熱感や関節痛や上気道症状などの表・熱証(太陽病らしい状態)はほとんどなくなっていました。

まるで別の病気にもう一度かかったような、もしくは風邪をこじらせて何らかの別の病気に発展してしまったかのような感覚でした。

なので、けっこうこの段階で「やばい」と思って受診する人は多いですが、きちんと病歴取ってみると「ああ、少陽病期に移行したんだな」とわかり、そのように説明すると納得して安心する人もけっこう多いです。




漢方は、「診断名に当てはめなくても症状の組み合わせで処方が決まる」のが魅力ですね。

特に診断がつかないけどつらい症状がある患者や、同じ診断名でも症状が幅広く西洋薬の一対一対応の処方では対応しきれない場合(風邪はその代表)には強力です。


一方で、診断がつけばきっちり治り、外せば死んでしまうような病気(特に肺炎や髄膜炎などの急性細菌性感染症など)は、きちんと診断付ける必要があります。

西洋医学的な鑑別診断をきちんと行わずに、直接根治を狙える状態を見逃したままで安易に漢方使おうとする姿勢はよろしくないと考えていて、(少なくとも内科医の立場としては)「まずはちゃんと診断つけようね」という指導を研修医にはしています。



もちろん自分の場合も、「比較的若年で活動性も高い患者が、急性の経過で発熱+頭痛・関節痛をきたし、かなり活気や活動性が傷害される」疾患の鑑別はきちんと頑張っていましたよ。

火曜日の時点では、発熱・頭痛の他に軽い項部硬直もあったので、髄膜炎を本気で検討して、「このまま寝て、その間に意識障害が進行したらやばいかな」とか考えてみたり・・・

水曜日には、発熱・寝汗と咽頭痛・関節痛から播種性淋菌感染症や伝染性単核症やらを心配して「え、これホントに診断ついたら素行調査であらぬ疑いかけられて社会的に抹殺されるんじゃないかな。受診して問診されたくないな-、採血されたくないな-」とか考えてました。



結果的には抗菌薬など使わずに5-6日程度の経過でほぼ軽快したので、いわゆる風邪だったと思いますが、病のまっただ中にいると判断力が怪しくなりますね。


だからこそ、「医者が風邪引いたくらいで休むな!」という文化はおかしいと思うし、だからといって休んでも現場が回るほど潤っている医療機関もそうそうないこともわかってはいるけれど、自分が現役の間にはきちんと休める文化や仕組みを作りたいなーと思います。

研修医には休め!て言えるし実際に強制的に休ませて穴を埋めるけど、自分が突発的に抜けた穴を4-5日埋めきってもらうにはまだいろいろ対策が必要なのです。



話はだいぶ脱線しましたけど、この一週間は辛かったよということと、だいぶ治ったから来週は大丈夫そうだよという話でした。

今日の夕方くらいにはだいぶ安定して、昨日テレビでやっていた「かぼちゃとあずきのカレー」 を楽しんだりは出来ました。


栄養つけて早く元気になります!

(漢方的には食養生、西洋医学的にも最近はリハ栄養で「食べ物で癒やす」という概念が確立しつつあるのは個人的にはいいな~と思っています) 


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「漢方薬使い分けの極意-マトリックスでわかる!」読みました。すごくわかりやすく実践的です

久しぶりに漢方の本を買いました!


漢方薬使い分けの極意―マトリックスでわかる!




日本の通常の医学教育を受けた医者でもすんなり入れる、いい本だと思います。

久しぶりに手放しで「これはいい!」と太鼓判を押せちゃいます。



西洋医学的な診断・症状をベースに章分けし、漢方の基本的な概念の虚実・寒熱と六病期・気血水をマトリックス表で組み合わせて処方を決定するというスタイルです。

また最後の総論での漢方の考え方・診察の解説も、他の本にはないほどの分かりやすさでした。


詳しい人からすれば足りない部分や異議のある部分もあるかもしれませんが、後期研修始まって漢方も勉強してみるかな?と考え始めた人の入門書として最適だと思います。

最近、後期研修医の外来指導で漢方の使い方について指導することも多いので良さげな入門書を探していたんですが、これならスッと渡しても読んで貰えそうです。


ポケットサイズなのも良いです。

オススメ! 


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リハビリと東洋医学って結構似てるかも。

リハと漢方、似てるなーと思うことがたびたびあります。


西洋医学の知識、フレームワークが参考にならないどころか、返ってじゃまになることが多いです。

「疾患名」や「病因」と、「症状」や「治療」が一対一対応しないので、患者のQOLを改善するためには原因を探してその一点を取り除くという単純なアプローチでは効果が出ないことが多く、複合的アプローチ(漢方薬、鍼灸、食養生と呼吸法のように、運動だけでなく環境、心理、サービス)が必要です。

また、同じ病名・患者でも、時々刻々と状態かわるのに合わせて最適な介入法の組み合わせが変わっていくのも、西洋医学ではあまり経験しないことですがこれらの業界では普通ですね。



病名治療でなく随証治療なのは、西洋医学しか知らないととまどいますが、これって結構メリットが大きいんですよね。

西洋医学では、病名がつかないと手が出せません。
主治医がぼんくらで診断を付けられなかったり、診断が間違っていれば、関わるコメディカルもみんな間違ったケアを提供することになってしまう。

でも東洋医学は証(いま出ている症状の組み合わせ)によって適応治療が変わるので、医者が適切な診断を付けなくても証を評価できればだれでも適切な介入を判断できます(西洋医学では「診断」は医師にしか許されないのでこうは行かないですよね)。

同じように、リハビリでも原因が脳出血でもなんでも「右上肢に力が入らない」という症状があれば、それを様々な角度から診察・計測・検査などおこなって状態を判断すればそれに合わせたリハビリを行います。
なので、主治医がリハビリのことを全くわかっていなくても、優秀なリハビリスタッフがいればちゃんとリハビリが進む。


また、西洋医学のように生物医学モデル(原因と結果が1対1対応している単純なモデル)ではなく、東洋医学やリハビリでは複雑系の考え方を取り入れたモデル(家庭医療なら生物心理社会モデルだし、リハビリでもICFなどが使われている)がベースになるので、検査でしか同定し得ないような細胞レベル・生理学的レベルの評価は全体像をつかむためのほんの一部分でしかなく、むしろ患者の価値観・正確や環境、モチベーションなどの心理・社会的側面、個人的要素、主観的要素が重要になってくる点も、個人的に面白いなーと思っています。




なんか、西洋医学って単純すぎて、しかも解決できる問題が少なすぎて、なんとなく飽きてきてしまっています。

もちろん大事なコトではあるんですけど、カバーできる範囲がすごく少ないのが物足りないのです。


そんな自分に、さらなる深みや広がりを見せてくれた東洋医学やリハビリテーションには感謝です♪






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困った時の漢方-「食欲がない」ときの漢方だのみ

今日も漢方メモをアップします。

テーマは「食思不振」。
特に抑うつや虚弱、高齢など、全体的に弱ってしまっている方の食思不振についてです。



地方の中規模病院では「食べられなくなった」から入院精査という方が結構います。

普通だったら外来で精査して、それでも異常が見つからないなら老衰になると思います。

しかしどうしても治癒可能な原因を見つけたい医療者や、だんだんやせ細っていく親を見ていられない家族の思いなどが混ざり合って「入院」という選択肢が採用されてしまうようです。 



そういう方の場合、脱水補正と家族の安心感を兼ねて数日間天帝をしながら病院食をいろいろだして反応を見る。

それと並行して消化管や内分泌、中枢神経系などの検査を一通りして、治る病気は治していく。

でも「検査して異常があったら治療しておきますね」と家族に説明しておくと期待しちゃうし、異常が見つからなかったときに老化現象としての受け入れが難しくなってしまうので、最初から「一応検査はしますが、歳なのかもしれませんね」と少し話を振っておきます。

で、全部検査が終わって、何やっても食べられないときに、栄養療法や看取り方についての面談を行うことが多いです。


ここまでの過程で、ただ検査が終わるのを待っているのも時間がもったいないので幾らかの投薬をすることがあります。

「スルピリド」という胃腸症状に効きつつ、抑うつに少し効果があり、少し食欲が出るらしいという都合のイイ薬を使ったりすることもありますが、錐体外路症状という恐ろしい副作用があるのでちょっと躊躇。

で、代わりにと言っちゃなんですが、漢方薬を使うことが多いです。

粉で飲みにくいし、お湯に溶いても嚥下障害で喉を通らず肺に入ってしまう患者も多いですが、うまく飲めれば大抵の場合効果があるように感じています。 



というわけで、病棟総合医としては重宝していて、在宅で弱っていく高齢者を見ていく上でもとてもありがたい存在である「食欲の出る漢方」をご紹介します。

(しつこく繰り返しますが、ここのリストの妥当性は各自でご判断ください。また、ある程度基礎を独学した自分が覚え書き程度に作ったメモなので基礎知識がない方が読んでも分かりにくいかもしれません)
 



漢方-抑うつ・食欲に漢方


<食思不振全般に>
『六君子湯』

四君子湯+半夏(利水・気逆)+陳皮(胃を暖める)を追加

・より脾虚(特に胃内停水)ターゲットを絞っている。

・慢性の水様下痢(消化機能が弱い・IBS)にも有効

 

『人参湯』

蒼朮(少し利水)+人参+甘草+乾姜(胃を暖める)

・利水作用が少ないので、水毒傾向の少ない脾虚に

・胃内停水(-)、正中芯(+)、心窩部圧痛、冷え、食思不振、下痢ぎみ

 

『真武湯』

・水毒+虚証

・胃内停水あり、胃腸虚弱・下痢・食が細い、めまい、冷え

・神経性食思不振症に!

 

『茯苓飲』

茯苓・蒼朮+人参+生姜、きょう実+陳皮

・暖める効果はないが、人参湯よりは利水作用強い

・下痢など水毒症状が前面にあり、みぞおちのつかえの明らかな、胃内停水に。

 

『半夏瀉心湯』

・小柴胡湯の柴胡・生姜を黄連・乾姜にかえただけ(しかも同じベクトルで交換)

・口内炎を繰り返すもののうち、慢性胃炎症状をともなう体質中等度の人。

・心下痞硬

・他に腹鳴と下痢、不眠傾向をともなうこともある。

・過食や精神的ストレスで悪化する傾向がある。

・裏熱に(炎症性の下痢に)

→抗がん剤による下痢の抑制にいいらしい!

 

『安中散』

・胃が痛い時のクスリ

 

『平胃散』

・食べられるが、食後もたれる

 

 

<精神症状+食欲不振>

『香蘇散』

・気うつで表情が硬く、黙々として飲食欲せず

・心下痞硬、腹力中~弱、小腹不仁、臍上悸、腹直筋緊張

・少し食べると胃が張る、左上腹部鼓音

 

半夏白朮天麻湯

・気逆+水毒+脾虚

・食思不振・食後の眠気、めまい・頭重・頭痛

 

『半夏厚朴湯』

・気逆でより訴えが具体的でこだわる、心気的

 

『柴胡・桂枝加竜骨牡蛎湯』

・気逆で不安感とイライラが主体、神経症的、不眠合併によい

・柴胡はイラつき主体

・桂枝は落ち込み主体

 

<悪液質による食思不振>

補中益気湯+六君子湯がイケルらしい!

 


以上です。 

他にも気血水の異常に注目した随証処方を行ない、結果的に食欲も改善させるという考え方もあるので、さらに無数の漢方薬が潜在的に食欲を回復させる方向に働く可能性があります。
逆に、特に麻黄が入っているものだと、胃腸症状が出て食欲が落ちることもあります。

まあいろいろいうとこむずかしくなってくるので、とりあえずは「六君子湯」と「真武湯」「半夏厚朴湯」「半夏瀉心湯」あたりと、「補中益気湯」を使えれば大体の場面はしのげるような気がしています。

個人的な経験では、「うつ病の食欲不振」には、SSRI開始と同時に六君子湯併用で吐き気もなく乗り越えることが多い印象です。 

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困った時の漢方-慢性疼痛

「困った時の漢方」というシリーズを作ってみることにしました。

今までいろんなところからかき集めた情報をワードファイルにまとめて、PDAに入れていつでも参照できるようにしていました。


せっかくブログで「1日5分のEBM」をやってみて自分の勉強になったり、定期的に見てくれている医学生・研修医の勉強にもなり、たまに内容に対してフィードバックがかかるといういい経験をしているので、漢方でも同じことをやってみます。

あまり手間はかからないように、作り溜めしといた資料と、実際に診察した最近の患者さんのエピソードを交えながらやっていければ多少は面白くなるかもしれません。


ただしEBMによる効果の実証はまだまだ始まったばかりの漢方だし、そもそも自分の漢方医学的な知識や技術は師匠について正式に学んだものでもないので、内容には責任持てません。
あしからず。




さて、今日のテーマは、この間このブログでもよく扱ってきた『慢性疼痛』です。

三環系抗うつ薬や太極拳などいろんなものが効くようですが、自分の中では漢方薬もかなり主力クラスの武器です。



余談ですが、慢性の病態に対して『沢山の引き出しを持っている』ことは、それ自体がとても有効な能力となります。

なんせ「痛みが一向に良くならない」状況でも、「まだもう少し手持ちの武器があるからいろいろ試してみましょう」と言うことで、自分の『診療の幅を魅せつけ』つつ、勉強したり医師患者関係を作るための『時間を稼ぎ』、そうこうしているうちに『自然軽快』してしまえば自分の診療のおかげにできることもあります。 

とくに関係を作るための時間を稼げるという点は魅力的で、症状が期待通りに改善しなくても、良好な治療的関係さえ出来ていれば「でも先生に会いに来ることですごく救われます」という状態になるので、治癒はできなくても癒すことができちゃいます。

なので、特に「絶対に治らない病態」に対しては、上記のような利点から漢方薬は使い勝手がいいです。 




というわけで、自分がもっとも漢方だのみにしている病態である「慢性疼痛」について自分で調べた内容を転記します。

(繰り返しますが、内容の真偽や、その効果に関しては一切の責任を負えません)




<漢方-痛みに5つの兵法>
参考文献:ツムラのメーリングリスト、メディカル朝日2010年8月号 

同じカテゴリーに対応する処方が複数あってなれないと困惑するかもしれませんが、それぞれの処方が適する証を知っていて、ある程度使い慣れてくるとどうやって使い分けるのかがわかるようになります。
処方経験がない方は「イロイロあるんだなぁ・・・」と眺めてもらうだけでいいです。

 

基本

神経障害性疼痛(CRPS/幻肢痛/静脈穿刺後痛/PHN)には『抑肝散』(-6割に有効)

もっと基本はトリプタノールNNT2!)

  

①冷えると悪化する痛み (温める)

当帰四逆可呉茱萸生姜湯(しもやけ歴)

呉茱萸湯

八味地黄丸・午車腎気丸(排尿症状、夜間の痛み)

五積散(上熱下寒、入浴で楽)

苓姜朮甘湯(腰が冷える、水中に座するがごとき)

人参湯、真武湯(おなかが冷える)

十全大補湯(末梢循環障害に伴う冷え)

麻黄附子細辛湯(四肢の冷感、体力低下)

当帰芍薬散(末梢冷え・上半身のほてりと発汗)

 

②固定した刺す痛み、色が悪い(循環を改善)

桂枝茯苓丸

疎経活血湯(LSCSなど)

冶打撲一方、通導散、桃核承気湯

 

③むくみ・めまい・下痢を伴う、重だるい痛み(体液分布改善)

五令散
真武湯
当帰芍薬散

 

④うつ・怒り・イライラ・不安を伴う、痛む場所が移動したり精神状態で増減する(ストレスを和らげる)

四逆散
加味逍遥散
抑肝散
半夏厚朴湯
香蘇散

 

⑤疲れやすい・食欲低下、疲れると悪化する人(体力をつける)

補中益気湯、十全大補湯
人参養栄湯、六君子湯



こんな感じです。
 

「ずっと痛くて」という患者さんがきたら
「冷え症ですか?」とか「むくみますか?」とか「足腰が病んだりしないですか?」とか「おトイレが近くないですか?」とか「最近ストレスやイライラとかないですか?」といった、一見すると全く関係ないようなことを、話の流れに違和感が出ないように配慮しながら聞いて、患者さんが診察室から出たあとにこのリストをざっと眺めて処方を決定するようにしています。


今まで慢性疼痛といえばトリプタノールか当帰四逆加呉茱萸生姜湯くらいしか使用経験が少なく、あとは1-2例の使用経験しかないです。

できるだけ積極的に症例を集め、ちゃんとした証の判断をした上で、各処方の使い心地を覚えていきたいなあと思います。 




書いてみて思ったけど、証とか、もっと漢方の基本的な話をしないとよくわからないような内容になってますね。 

ニーズあんのかな?

まあ、まずは自分の為に、定期的にアップしてみよう。 



それにしても「google日本語入力」すごいな・・・
ほとんどの漢方薬名が一発で変換できるよ。

みなさんにもおすすめです。



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漢方について、自分なりのスタンス

卒後3年目くらいから、独学で漢方を勉強しています。

残念ながら大学では一度も学習する機会がなかったため、勉強の仕方から手探り状態でした。



最初の頃は初学者向けのテキストを読みあさり、学会とかの学習会にも参加し、ツムラのメーリングリストも購読したりしました。 

最近はツムラのメーリングリストを眺めつつ、日経メディカルとかメディカル朝日といった医療系雑誌の特集を眺めながら知識を増やしています。

いわゆる「EBM」の目線でいうと怪しい物も多いですが、まあ実際に使うと効くことも多いので重宝しています。




漢方に手を出したきっかけは「西洋医学の限界」を実感したから。


卒後3年目までずっと西洋医学の急性期医療を勉強していると、とりあえず現時点でのスタンダードの知識は一段落します。

で、その範囲でベストを尽くしていてもなかなか治らない症状を訴える人たちがたくさんいます。


総合医という肩書きで研修していると「専門医が見てもよくわからないので、診断が得意な(というかよくわからない面倒な患者が得意な)総合医が何とかしてよ」という感じで、「西洋医学では診断も治療も検討つかない人たち」が集まってきます。

慢性疼痛、心臓神経症、ノイローゼ、心身症、心気症、更年期障害、自立神経失調症などなど、前医がテキトーにつける病名はたいてい決まっています。
ほんと、みんなテキトーです。

そんなほとんどの西洋医がテキトーな状況だから、自分が「医学的には異常ありませんよ」というわけにはいかず、「何とかしなきゃ」 と追い詰められていたときに出会ったのが漢方だったわけです。



漢方のいいところは「診断名」がつかなくても、「症状」や「患者の体質」を丁寧に見れば、それに対応した「処方」が決まること。

診断しなくてもいいのだから、「適切な治療法がない」という状態がないため、自分のような『「困った患者」の最後の砦』 の立場で働く人間にとってはありがたいものです。

(ただこれは諸刃の剣で、西洋医学の診断学をちゃんと極めていれば「薬一発で治る病気」のはずなのに、診断学が弱いせいで「よくわからない病態」と誤診して漫然と漢方投与になってしまう可能性があります。一応「西洋医学」を勉強して医師免許をとった身である以上、最低でも内科学の研修を2-3年してから手を出したほうがいいんじゃないかと思っています)




このように、「症状や体質」を見極めて処方を決めるやり方を『随証治療』といいます。


西洋医学で言う『診断』に当たるのが、『証』。

前者は検査で確定させないといけないので現代医学の科学技術の限界を超えると「診断不能」になりますが、後者は話を聞いて、舌や皮膚を見て、脈を取り、腹部を触ることで判断できるし、うん千年前の人間が判断できる範囲で作られた学問体系のため「証の決定不能」となることはありません。


この『証』は、少なくとも『和漢』という日本で発展した漢方医学の体系の中では「ある程度特徴的な症状や体質の聴取」と「舌診・腹診・脈診」の3つで大体わかります。
(これに対して昔から中国で発展した「中医学」はもっと難しそうで手を出していません)



原則はこの『随証治療』を行うことで、これによって漢方薬の効果を最大限得られます。

しかし、これはちゃんと一から理屈を学ばないといけないので一般の医師にはハードルが高い。 


でも最近は手軽な考え方もあって「西洋医学的な診断名」にあわせて漢方薬を決める『病名処方』 というモノもあります。

こちらはEBM的な手法でその有用性を検討されていて、機能性胃腸症に対する六君子湯、イレウスに対する大建中湯、慢性咳嗽に対する麦門冬湯、喉頭違和感症に対する半夏厚朴湯、インフルエンザ感染症に対する麻黄湯などなど、たくさんあります。

これなら、医者が普通の思考回路で診断をつければ、ある程度効果を科学的・統計学的に予測して投与をできるので使いやすい。
(もちろん「診断」がつくのが前提なので、限界は多いです)

実際にやってみると、「診断」が合っていても「証」が合っていないことも多いので、適当に『病名処方』だけしていると「漢方って効かないなぁ~」とか「当たるも八卦当たらぬも八卦」みたいな感覚になります。

やはり基本は『随証治療』です。 



時間や気持ちに余裕があると、
「じゃ、脈取りますね(これはあまり抵抗感なく受け入れられる)」。
「次は舌見せてください(これは「えっ?」という顔をされることが多い)」。
「じゃ、最後にお腹も触りますね(腹部症状以外で受診した人には怪訝な顔をされます)」
というふうに診察し、お腹を出すために何重にも重ね着された服をゆっくり脱ぐおばあちゃん・おじいちゃんをおおらかな気持ちで見守り、しっかり証を判断しています。

でもやっぱり忙しいし、患者さんが服を脱いで、診察台に横になって、診察後にまた椅子にもどって、服も着てとやると、それだけで2-3分かかっちゃうんですよね。


というわけで、患者さんもそこまで漢方に期待していない場合には、見た目で大雑把に虚実を判断し、簡単な問診で表裏・陰陽・寒熱を判断した上で、「病名処方」を第一選択から順番に試してしまうことが多いです。
 


漢方をちゃんと学んでおられる先生方からしたら「けしからんっ」て感じでしょうが、意外と患者さんにはありがたがられているので「まあいいかな」と思っています。



もし「よくわからない症状」でお困りの方がいらっしゃったら、外来でご相談ください。 

なんとかなるかもしれませんよ。


自分も冬場のしもやけ寸前の冷え性や、底冷えする日の下痢、風邪引いたあとの長引く空咳、喘息発作のあとの痰がらみ、二日酔い、インフルエンザ初期などに漢方を使ってだいぶラクさせてもらってます。

 

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てこずる痛みにこの漢方

以前に、長引く痛みに苦しむ担当患者さんに対して、「線維筋痛症」の視点や「慢性疼痛」の視点からいろいろ勉強してみましたが、良好な治療的関係を構築したり三環系抗うつ薬をつかっても、痛みそのものはさっぱり良くなりません。


というわけで、「困った時の漢方」ではないですが、慢性で西洋医学では何ともならず本人はほとほと困ってしまう症候には漢方薬に登場してもらうことにしました。


ツムラの漢方関係のメーリングリストで、ペインクリニックでの漢方の使い分けのまとめが載っていたので、それを整理したものを転記します。





漢方-痛みに
5つの兵法

症状や病態(証)に対する王道の処方が効果を上げない場合、大雑把に以下の5つの病態に分けて処方を考えてみるといいようだ。
 

①冷えると悪化する痛み(温める)
→当帰四逆可呉茱萸生姜湯、八味地黄丸・午車腎気丸、五積散、呉茱萸湯、人参湯、苓姜朮甘湯

②固定した刺す痛み、色が悪い(循環を改善)
桂枝茯苓丸、疎経活血湯、冶打撲一方、通導散、桃核承気湯

③むくみ・めまい・下痢を伴う、重だるい痛み(体液分布改善)
→五令散、真武湯、当帰芍薬散

④うつ・怒り・イライラ・不安を伴う、痛む場所が移動したり精神状態で増減する(ストレスを和らげる)
→四逆散、加味逍遥散、抑肝散、半夏厚朴湯、香蘇散

⑤疲れやすい・食欲低下、疲れると悪化する人(体力をつける)
→補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯、六君子湯



どうしてこの病態にこの処方群が対応するかについては、解説始めるとキリがないので割愛します。すみませんが漢方に興味がある人は基礎の部分は自分で勉強してくださいね。


割と常識的な処方ですが、 痛みを5つの病態に大まかに分けて処方を対応させていくというのは実践で使いやすそうです。

例の患者さんは④か⑤で、すでに半夏厚朴湯・加味逍遥散・補中益気湯・六君子湯は無効だった(前医がかなりいろいろ試していた) ので、あとは四逆散・抑肝散(神経因性疼痛のゴールドスタンダードらしい)・気長に補中益気湯あたりでしょうか。


次回、提案してみます。


これでだめなら針治療とか、いわゆる代替治療にまで目を広げてみようかと思います。

ちょうど家庭医療学のテキストの抄読会で関心が強まっているので、勉強して手数を増やすチャンスだな。 



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プロフィール

けんた

家庭医療をベースに病院で働く「病院家庭医」なるものを目指して爆進中です。
病名や年齢にかかわらずどんな人の悩みにも対応できる診療能力を身につけることを目指して、北海道各地の病院で初期・後期研修を受けました。

総合内科を中心に研修を開始し、途中から家庭医療学や医学教育学、臨床研究などに興味を持ちながら学習し、2011年に家庭医療専門医を取得しました。
現在は札幌市内の小規模病院で、家庭医療学をベースにした病院総合診療を行ったり研修医・学生・多職種の教育に関わったりしながら、プライマリケア医のためのリハビリテーションフェローシップに参加し学び続けています。

将来は病院をベースにしながらも病院内だけにとどまらず、各医療機関の連携、さらには教育、政治・行政、娯楽などを含めた広い意味での地域共同体を作っていく橋渡しをして、健康に楽しく暮らせる街づくりに貢献できたら面白いなと思っています。

日々の研修での気付きをつづりながら、何か大きな発見が得られないか、blogを通して模索中。

少しでも面白いなと思えた記事があったら、拍手アイコンを押してもらえると、モチベーションがアップしたりします。

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