病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

地域密着型病院で活躍する家庭医を目指し、札幌市内で働いてるDr_kentaです。 病院外来でのプライマリケア、内科急性期病棟の老年・緩和ケア、リハビリテーション栄養を中心に、医学教育や院内システム改善などにも関心を持ちながらいろいろやっている日常を記録していきます。ちなみに「病院家庭医」という正式な呼称はありません(造語です)。 また医師による記載ですが、医学的な内容を自分や身の回りの方に適用していいかどうかは直接診察のうえでの判断が必要です。記載内容を試して発生したいかなる不利益も責任は負い兼ねますのでご了承ください。

多職種協同

看護学生による当院看護実践の研究抄録が届きました。大学との連携、看護学×家庭医療学など色んな可能性が見えてきた衝撃的な経験でした

先日、「旭川医大の地域看護学講座の教授・看護学生」による、「当院こども診療所看護師」を対象とした現場の智を解析しようとした質的研究の抄録が届きました。

出来上がったものを目にすると、やはり感慨深いです!!


まだ全文は見れていないので、詳しい批判的吟味や内容紹介は出来ませんし、web上では公開されていないので(看護学生の卒研だからしょうがないですね)、なんとなくふわっと想像してください。

抄録みたい人は、行ってくれれば共有しますよ。


ざっくり説明すると、うちの病院のある地域は、札幌市内でもトップクラスの社会経済的状況のよろしくない人達のおおい地域なんですが、日常的に内科外来や小児科診療所に運び込まれる問題もまあそれはそれはかなり多彩で深く複雑なものがたくさんあります。

最初、医師が研修として足を踏み入れるとそのディープさにびっくりしますが(慣れる人は慣れるし、だめな人はずっとダメだったりします)、そこで働き続けてきた看護師さん達は、それはそれは鮮やかに対応しているんですよね。

その、経験と直感で行われているナイス看護なんですが、経験と直感に基づいているが故に言語化して外部に発表することはなかなか出来ておらず、新人看護師や中途採用看護師に効率よく伝達することは難しいのです。

そんな話を、地域分析の企画で旭川医大地域看護講座の教授とお話しているときに「お、それ面白いねぇ!」と注目していただき、実際に看護学生達を引き連れて研究しに来てくれ、インタビューを行い、質的分析を行い、まとめてくれたというわけです。



「なんで、そんな場末の地味な病院の看護師の能力について、大学の教授が目をつけるきっかけがあったんだ?」という部分の経緯をもう少し説明するとですね・・・

自分が昨年のプライマリ・ケア連合学会地方会で、白石地区の地域分析結果をプレゼンしたのがたぶんきっかけです。

それを見に来ていたその講座の教授と看護学生が関心をもってくれまして、後日連絡をいただきました。

とてもよいお話だったので、とりいそぎ師長室の総師長・副総師長に繋いだところ乗っかってきてくれて、

日時と場所を設定して、教授・看護学生たちと師長室の面々の面談をセッティングし、あとはトントン拍子に進んだようで、最終的にはうちのこども診療所看護師を対象にして「相対的貧困率の高い地区の地域密着型中規模病院における小児科外来の熟練看護師が行う親子へのケア実践」という質的研究をまとめてくれましたというわけです。


振り返ってみると、全然別件とはいえ「学会で活動報告を発表したこと」で、大学の人達の目に止まったというのが大きいので、やはり「自分の活動や関心は、形にして、内部学習会だけでなく外部に発表する」事そのものの意義は大きいなぁと思います。


抄録読んでみましたが、「ベテランさんの職人芸」みたいになって伝承・発表困難な看護師の能力を、外部の研究のプロの目線と技法を借りて部分的にでも言語化できたのは大きなことだなと感じています。

師長室もたいそう盛り上がっていて、単に「研究されて嬉しい!」でおわりではなく、結果を現場にフィードバックして若手看護師育成に活かしたり、他の部門でも同様の試みをしていきたいと言っていました。

医者の立場からそういうことしてよと要求してもなかなか難しいものですが(うちの法人は壁がほぼ無いとはいえ、さすがに師長室の中に入り込んで外から注文つけ放題とはいかないですね)、外部の目線が入ったこと、同じ看護師達による研究であること、よそでの成功例の直輸入でなく「普段自分たちがやっていること」の強化・伝播であることなどが、意識変容につながりやすい要因なのかもしれませんね。

……なるほど。書きながら「そういうことだったんだ、あのリアクションは」と今気づきました。外部によって研究してもらうことのメリットは大きいですね。



そんなこんなで、わたしがこの数年目指してきたことが、とりあえず一つ形になって感慨深いです。

外部の研究のプロのちからを借りて、面白い現場と、とても味わい深いスキルを持つスタッフがいる勤医協の舞台を貸して、他に例のない斬新な研究をしてもらうことで、学術界にインパクトを残しつつも、

その結果を現場にフィードバックして「現場の実情にそった、質改善や教育の仕組み」を作り、「この地域の、この患者・住民達が直面している課題」に対するより最適な活動を展開していく


というスタイルの第一歩が実現したと感じられて、けっこう感動しています。



また、抄録集を眺めて他の学生たちの研究もさっとみてみましたが、改めて「看護学部の研究は、家庭医から見てどれも面白い!」という感想も、改めて持ちました。


なかなか、今の環境で働きながら、札幌市内の医学部の社会人大学院生になって、公衆衛生とか学びながら研究スキルを高める。というのは難しいなと感じていました。

北大とかでそういうコースもあるんですが、割とハードそうで仕事のほうが一定犠牲になりそう(かなりセーブしないと無理だけど、セーブしたぶんを他の人に任せられるほどは人手が足りていない)なので、「んー、後5年後くらいかなぁ。5年経った頃に、新しいことを深く学ぶ余力が残っているかなぁ」と、毎年同じようなことを繰り返し考えています。

また、一般論としての公衆衛生を学びたいとか、公衆衛生の学術界で名を馳せたいわけではなく、現場で家庭医療を深めるために実践と研究が融合したスタイルを習得したいので、ちょっとイメージと違う感じもします。


そんななかで今回の看護学部の人達とのコラボを経験することで、「医学部でなく看護学部の教室に所属して、多職種協働学習の経験値を高めつつ、家庭医療×看護学での研究手法を身につける」というのは、実は自分のキャリアや関心からいうと、ちょうど真ん中のドンピシャな気がしてきました。

そういえば、自分の家庭医療のお師匠様は、もう何年も前からそんな活動してましたね。当初はなんで「看護なんだろう?」と疑問でしたが、なんかわかったような気がします(思い上がりと思いますけど)。


そういう意味では道北勤医協は非常に条件がよく(今回お世話になった旭川医大があるので、地理的条件も非常に面白い。もちろん看護学講座だけでなく、あそこの医学生達への教育イベントもとても面白いのでなお都合が良い)、今回の経験をきっかけにしてまた新たな関わり・展開を妄想したいなと思いました。

数年以内に今の病院を捨てて北に移動してやるぜ!と言い出すわけではないですが、視野を広げると色んな可能性があるんだなと思えたのは大きな収穫です。


札幌市内でも看護系の大学・教室いろいろあるけど、どこがどんな活動していて自分の関心と親和性高いか知らないなぁ、そういえば。

今度市内で看護系の学会とかあったら顔出して見ようかなと思います(今回自分が発表して声かけてもらえたように、自分が参加して面白いの見つけたら声をかけるという逆パターンから何かがうまれるかもしれませんし)

看護系学会のどれが面白いかとかスケジュールとか、どうやって調べたらいいんすかね?師長さんたちにきいてみるか。


うん、面白くなってきましたヽ(=´▽`=)ノ




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徐々に医療安全の考え方、M&Mカンファレンスが浸透してきた!かも

最近、医療安全についてシステム・チームで考える機会が増えてきました。



もう何年も前から、内科・総合診療科のスタッフ・専攻医のあいだでは、月に1回の「M&Mカンファレンス」は行っています。

初めて開催したときの記事はこれでした。もう4年前か。

M&Mカンファレンス第1回、開催しました!!



ヒヤリハットカンファレンスや診断カンファなどでは、注意しておかないと「個人の出来なさを指摘して、反省させて、叩き直して、めっちゃ頑張らせる」という形になりがちです。

そうではなく、「成長過程の若手がおおく、現場は忙しくて疲弊していることもあり、そもそも万全の人でもエラーは起こしうるし、中小規模病院で精鋭スタッフや全医療設備が整っているわけでもないという前提を踏まえて、システム・ルール等を帰ることでエラーの発生率や、エラーの重症度を減らすために知恵を絞る」という考え方が徐々に浸透してきていると思います。



去年からは病棟医長に準備・司会の大部分をお願いしていますが、頑張って症例を集めてきて、当日のオープニングレクチャーでグラウンドルールも説明してくれ、議事録も簡単にまとめてくれ、今後は該当部門や委員会に提出するための改善要望書などもかいてくれるようになり、助かっています。

自分がやらなくてもちゃんと運営されるというのは、「一人のスーパースターに依存しない、協力や個々の成長に支えられた持続可能で継続的に発展し続ける健全な組織を作りたい」という自分のイメージに沿うことなので、とても嬉しいですね。



先月のM&Mカンファでは、いろいろ難しい事例・状況・方針を振り返ることで、最近の標準治療を復習しつつ、当院ではどうすべきか、この事例ではどうすべきだったかを明確にして、その上で「システムかルールを改善したら、誰も努力しなくてもこういう急変はふせげないかな?」という方向に進められました。

結果的に、あるシステムの権限を広げるというすぐにでも実行可能な工夫で、誰の努力もふやさず、むしろ減らすくらいの勢いで、急変を予防したり早期に発見する仕組みがすぐ構築できそうです


いままでも、その改善の要求は出していたんですが、要求を受ける側の委員会や担当者がポンコツなのか突っぱねられていましたけど、実際の事例で起きたことをもとに科としてきちんとして検討し適切な書式の要望書を出せば何かは変わるでしょう。きっと。

いままでも10個以上の改善がこのカンファレンスからうまれ、実際自分がこの病院に来たときに比べるといろんなことがやりやすくなったなと感じます。


個人攻撃や、個人の成長を指示する形ではなく、小さくてもいいから診療の効率や安全性が高まるようなシステム改善を1個は指摘することを目指して行われるカンファは、積み重ねてくるとかなりの効果を発揮するなぁと感じました。




まあ、それだけなら例年と大きな変化はないんですが、ここで同時偶発的に関連イベントが起きたのが今年のハイライトなんですよね。


一つ目は、外来で対応がいけてなかった事例が発生したのがきっかけでした。

その数日後に、外来看護師側から「あの事例を振り返りたい。できれば似たようなことが起きないように仕組みを再検討したいんだけど」と相談されました。

その場で、自分も医長も「M&Mが良さそうだね!」となり、その日の午後に急遽でしたが医師・看護師・事務も合同での臨時M&Mカンファを行いました。

医長からM&Mについての簡単なミニレクチャーをしてもらい、事例の分析をいつも通り(でも多職種からも情報をもらいながら)すすめて、どこがまずかったのか、どこが改善可能かを考えました。

当初から「たどり着きたい最低ラインのゴール」は自分の頭のなかにあったんですが、今回の奇跡は、いつもだったら改革に抵抗しがちなご意見番的な人から「こうしたらいいんじゃない?できるしょ、みんな」と自発的に発言してくれ、それをきっかけに流れが急に進み、最終的には自分が考えていたゴールよりも更に良い方向に発展して終えることが出来ました。


これの報告書も、まずは医長にかいてもらい、次からは多職種も書けるようになろうねという話になったのは良かったなと思います。

また、「おもしろかった」「誰も責められないのになにか良くなった気がしてよかった」「重たい話題なのに明るく追われた」などの感想がでて(終わったあとのフリートークで、やや意図的にSEAカンファ的スキルもつかってあえて引き出したりはしましたが)、とても良かったなと思います。

またやる機会が来るでしょう。


これまでも、複雑事例について、四分割カンファレンスのフレームで多職種検討する文化はありました。

やっているうちに看護師側の能力も高まり、数年で「看護師だけで自主的に事例を選定し、まずは看護師内でミニカンファをして、解決できちゃえば自主的に動いちゃうし、難しければ医師に声をかけて多職種カンファに載せる」という流れが看護師側で自発的にできていたので(自発的にカンファを行えるように外来診療システムをいじるなどの下ごしらえはしましたが)、現場の事例に基づいて協力しながら現場を良いものに変えていく分化はもともとあったんですよね。

そういうところに新しく、使いやすいフレームを提示して、そこで化学反応がおきて予想を超えた大きな変化が起きるのはとても嬉しいなと思います。



二つ目は、全く絡んでいませんでしたが、医療安全委員会主催の全職員向け学習会で、Team STEPPSを扱う学習会が開催されることになりました。

無題
これは、医療安全におけるキモである、コミュニケーションを扱うフレームとしては一番有名なものなんですよね。

たぶん、以前だったらこれを提示してもあまり反響がなかったかもしれませんが、医療安全委員会の種々の活躍・活動があり(私は委員でないのでかんけいないですが)、また病棟や外来での様々なカンファでの下地の上に、先日の外来多職種M&Mカンファというきっかけもあったので、上手く乗っかればさらなる発展のきっかけとして良さげです。


ただのレクチャーでなく、交流型・参加型のワークショップ形式になるようなので、楽しみにしてます。



あと、オマケ的ですが、わたしが編集委員として関わっている、南山堂の雑誌「治療」でも、医療安全がテーマの号が出ました!

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しかも、編集幹事は同じ法人の先生でした!

なんとも偶然な出来事が連鎖しますね!!


数年前には、医療安全×ACLSのフレームでいろんな活動を若手と一緒にして、それらが徐々に結びついて大きな流れとなり、院内のシステムや委員会組織図などが変わったという動きがありました。

今回は、医療安全×M&Mのフレームで同じような大きな波がやってきそうで面白いなぁと思いました。


どちらも中心には、病院総合医の中堅が、自分の関心や学習や経験に基づいて、一定の役職・肩書と責任と僅かな権限を用いて、継続的に粘り強く活動していた。という共通項があるなぁと思いました。

どちらも、ポートフォリオ作成を通して振り返りながらスキルを身につけて「自分が経験していることから成長の課題を抽出し、自分の活動内容を考える」力を習得してきたことや、立場的にいろんな成長段階の色んな立場・職種の人たちをつなげながら現場の医療の質を高めたいと思い活動しているふだんのあり方など、そういったものがあることで、こうやって努力や活動たちが一つに結実していくんだろうなと思います。



いやー、すごいですねぇ。

自分を褒めなくてもよい環境(後輩に対して、すごいなぁと思っていれば現場が回る環境)は素晴らしいなぁと思いました。まあ、それを作ってきた自分を遠回しに褒めてはいますが、いいんですこまかいことは。






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北海道民医連事務交流集会講演「事務の専門性や育成方法」の講演資料

法人全院所から集まった、新人から管理者までの、100人近くの事務職員対象に「事務職員に求めるもの。医師の立場から」的な講演をした時の資料です。

171008-北海道民医連事務交流集会講演_事務の専門性や育成方法_公開資料.pdf by けんた on Scribd




「副院長の立場、医師の立場から、事務職員に求める理想をぶつけて叱咤激励してほしい」的な依頼がありましたが、「まあ、そこまで偉そうなこと言えるほど管理職としての経験値や実績があるわけではないし・・・」と思ったり、「自分が学生や研修医のときにお世話になった事務の人達も参加してるから、変に偉そうなこといっても見透かされるだろうしなぁ」と思ったり、「そもそも事務職員が何していて何にプライド持ってるかなんて、自分より本人たちのほうが詳しいだろうに・・・」と思ったりでなかなかの難産でしたが、どうにかこうにか方向性を定めて、当日の講演までにまとめました。

絶望的に時間がない時期だったので、全体の構成の練り上げ、論理構成の一貫性、キーメッセージの絞り込みと見せ方調整、具体例の提示、時間配分の調整と質疑応答の余裕作成などまではできず、「とりあえずスライド並べた! あとは喋りでごまかす!!」みたいな稚拙なレベルのスライドですいません。

そんな感じなので、スライドだけみてもよくわからんかもしれませんけど、まあ一応載せておきました。


コンセプトとしては、上記のように「自分は事務職のことはわからん、求めるほど偉くもない」というところをキープしつつ、以下の2点を重視して全体を構成しました。

一つは、「それでも若手医師の育成歴はそれなりに長く、経験も知識も結構あると思うし、最近は中堅医師の育成も色々試行錯誤してきたので、その知識やノウハウを”参考資料”として提示すれば、あとは彼らがそれを上手に取捨選択・調理していい感じにしてくれるんじゃないかな」と考えて資料を作りました。
実際、事務職員のトップクラスにいる人達は、どの人も信じられないくらい優秀なので、材料さえあればまあ十分でしょうという感じで。

もう一つは、「事務というと、最初の頃は単純作業を反復しながらルーチン作業のエキスパート的な成長をするけど、途中から短期間でローテを繰り返して幅広いジャンルを経験し、一定レベルになるとジェネラルマネジャー的な立場になるので、わりと総合医のキャリアと似てるところもあるよね」という視点を意識して、総合医としてのやりがいやプロ意識やふだんの仕事などを提示することで、「医療専門職の集団がひしめき合う医療機関のなかで、専門性を深めきれないままにローテしなんとなく経験年数が増えていくが、管理職にはまだなっておらず中堅としてアイデンティティロスに悩む人」が相当数いるだろうという前提のもとで、自分が後期研修終了したあとのことを思い出したり、今いるうちの医長や、法人総合診療グループの同じく研修終了後の診療所長や病棟医長などしている人たちのことを考えながら、「ジェネラリストの成長、キャリア、育成」についてのノウハウを提示してみました。



当日は会場がかなり広く、また真ん中あたりにサブディスプレイもぶら下がっていて奥の人の顔が見えなかったこともあって、会場隅々のリアクションが拾いきれなかったため手応えがはっきりしないまま終わってしまいました。

体調も絶不調だったので、喋ることに集中するのが精一杯で、会場全体に神経を張り巡らせてリアルタイムにフィードバック入れて調整するほどの余力もなかったのかもしれません。



ただ、終わったあとのアンケートが70部くらい返ってきて、先日全部目を通したんですが、ざっと見た印象では、割と伝えたかったメッセージがそこそこ伝わったような手応えを感じられました。

中堅から管理者クラスを主なターゲットに作った資料だったので、特に各部門の責任者クラスの人達からは良いコメントが多かったです。

また、以外に入職1~5年目くらいのビギナークラスにも、今後の参考になったとか、まだビギナーの時期だから今のままでいいんだと思えたとか、それぞれにメッセージを受け取ってもらえたような感触もあり良かったなと思います。





今回、せっかく良い経験をさせてもらえたので、これをもう少し練り上げて、うちでの医長育成プログラムに反映させたり、そういうプログラムのキックオフのときのレクチャーを作り込んでいければいいなと思います。

上手くいけば、医師の医長だけでなく、看護師や技術職の主任や、事務の係長などで集まっての、職種横断的な「中堅者育成企画」が作っていけるといいなぁと思います。


余談ですが、自分の法人の総合診療グループの正式名称は「北海道勤医協 総合診療・家庭医療・医学教育センター(GPMEC: General Practice and Medical Education Center, hokkaido kin-ikyo)」というものです。

それと関係して、家庭医療を司る教育診療所群からなる「家庭医療センター」はすでにあり、専属のセンター長の医師や担当事務がいて、独自の活動や医療展開をしていて面白そうだなぁと思います。

病院総合医を司る「病院総合診療センター」は今のところ実存していませんが、本院が総合診療病棟もっているのに、勝手にこっちが名乗るのもなんだかなぁという思いもあり、様子見しています。
とりあえず去年からは、「病院総合診療部門の戦略会議」が不定期には開催されるようになり、本院側が運営や教育などの戦略を考えるようになってくれてきたので、このまま元気になってくれたら一安心です。

そんな感じなので、GPMEC3本柱の残りである「医学教育センター」を、うちの病院というか自分個人が名乗るのは一時期目指していたんですよね。

別に3つの独立したセンターを作るという趣旨はなくて、これら3領域(病院総合診療、診療所家庭医療、医学教育)をまんべんなくしっかりやる組織だという意識で作られた組織・名前なんですが、家庭医療センターつくっちゃったんなら他もセンター作りたいなと、「均等でバランスもとれロジックもピッと通った組織図は美しい」という変わった感性を持つ自分は考えてしまうのです。


ただ、数年前に、本院の指導医たちが日本医学教育学会認定の「医学教育専門家」というののコースを受けて頑張っていたので、それを差し置いて自分が「われこそが教育センター長である!」と名乗りを挙げるのも感じ悪いなぁという遠慮もあって、ただ単に一病院の一指導医として活動していました。

でも、べつにその専門家取ったからといって革新的な教育制度を作ってくれるという動きもなく、院内の医師育成で手一杯のようですし、聞いてるとその専門家取るためのレポートも初期研修医指導や後期研修医個々人への指導のレベルは底上げされそうですが、他職種とか組織改革までは視野に入ってなさそうな感じなので、「もうこれ以上遠慮しなくてもいいかなぁ…」という気持ちもでてきています。


というわけで、このままこっちで研修医・専攻医・フェローや医長の育成システム熟成や、他職種共同学習システムの構築、地方中小病院や診療所への遠隔指導システム確率などの実績ができたら、堂々と「医学教育センターを名乗っていいすか?」くらいは聞いてみようかなと思います。

肩書や組織図はどうでも良いという人も多いでしょうが、自分はそういうのを背負ったほうがやる気がでるし、個人の業績で終わるよりは組織の業績にして、ノウハウも共有化して、自分が抜けたあともこの仕組が維持・発展するようにしたいので、できるだけ頑張って成果出せたものは制度化していきたいんですよね。


そんな感じで、今回の経験をきっかけに、また少し野望の視野を拡げてみようかと思います。




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薬剤師の学生が外来見学に。これもなかなかに面白いですね。

昨日、久しぶりに(たぶん初めてではないはず)薬学部の学生が外来見学に入ってくれました



「医学部も他学部も一緒にまぜて医療・保健・介護系学生が一緒に、市中病院や診療所や地域で学ぶ」というInterprofessional educationをやりたい!とずーっとおもっているんですが、なかなかどうしてすすまんのですよね。



一番は、付属の看護学校の実習は、内科系なら本院の方にいってしまい、うちの病院にくるのは小児科や産婦人科に来ちゃうので、うちの内科・総合診療科には看護学生が来てくれないんですよね。

以前には、専攻医に企画してもらって、同時期に来ている各職種学生で会食して、その後病棟カンファで同じ症例について準備して発言してもらったりというのをやってみたんですが、そのときも医学生・薬学生・リハ・MSWまで参加したのに、看護学生は院内にたくさんいたのに不参加でした_| ̄|○

また、やはり看護の業界は軍隊型の組織形態と教育プログラムでガッチリしているので、「ちょっとよろしければ私達なんか教育イベントしますよ」といっても、「お気持ちはありがたいですけどカリキュラムぎっちりなので・・・」とやんわりときっぱりとお断りされてしまうハードルもあります。

例外的にあったのは、アドバンストな実習できた学生が、イレギュラーで外来見学イベントがあり、そのときに対応したくらいですね。もう5年も前の話でした…

看護学生が外来見学に。けっこう新鮮ですね、これ。





それとは別に、今回は薬剤師の卵さんが少し長めに実習来てました。


家庭医療やプライマリ・ケアのフィールドを専門とする薬剤師の養成は、まだまだマイナーながら徐々に盛り上がってきているので、個人的にはけっこう注目しています。

プライマリ・ケア連合学会の、「プライマリ・ケア認定薬剤師制度」とか
http://www.primary-care.or.jp/nintei_ph/

岡山の家庭医療で有名な、奈義ファミリークリニックと連携した「家庭医療専門薬剤師レジデンシー」を展開するマスカット薬局とか
http://www.muscat-pharmacy.jp/03_recruit/04_regident/regident.html

個人的な知り合いがやっている、北海道は倶知安厚生病院の薬剤科が展開する、プライマリ・ケア認定薬剤師を実際院育てる教育プログラム(フィジカルアセスメントとか、医師との濃厚なやり取りとかいろいろやっているようです)とか
http://www.dou-kouseiren.com/byouin/kutchan/about/vt1bv70000000z0a.html

あと、数年前からは、EBMをゴリゴリにやる意識の高い薬剤師の活動も、webから学会へ発展し論文を書く側にも回りながら年々急成長してきていてかっこいい感じですね。
https://aheadmap.jimdo.com/
https://www.facebook.com/薬剤師のジャーナルクラブ

うちもそういうのやったら、優勢な薬学部学生が押し寄せて・・・!みたいなことにならんですかねぇ。


あと、脱線ですが、プライマリ・ケア看護とかも、看護業界で少しずつでてきていますね

プライマリ・ケア看護のテキスト
http://www.nanzando.com/books/50031.php


自分が外部家庭医療研修でおせわになった、生協浮間診療所の「診療所看護研修(実際は家庭医療学をけっこうどっぷりやってるようです)」
http://www.t-hokuto.coop/clinic/ukima/
http://kateii-saitama.jp/593/

海外実践含めた紹介記事
https://nursepress.jp/222317


で、話をもどして、薬学生の実習受け入れの話

受け入れる前に、薬剤科長からは「実習生がくるんで、どこかで外来見学とかお願いできますか?」という打診はあったものの、来てからもなかなか機会がないまま経過し「あと2週間で終わり」という時期になってようやく、指導担当の薬剤師さんから「外来見学、おねがいできますか~?」とお話があり、「あ、じゃあ明日いいっすよ」と急遽決まりました。

反省点としては、こちらが心のなかでウェルカムと思っていても、責任者通しで話が通っていても、学生や学生の指導担当者(大抵は若手)からすれば、「お医者様の仕事を邪魔するかもしれない外来見学のお願いを直接するなんて・・・!」という気後れ・遠慮があるかもしれないという想像が足りず、声が掛かるのをただただ待ってしまったというところですね。

これからは、学生いたらまずは積極的に挨拶しつつ見学や懇談ウェルカムを、本人と指導担当者に直接言うように意識しようと思います。


また、うちの場合、医学生対応や医師研修委員会はあり、それとは別に各学部学生対応の部門と、医師以外の全職種の研修に関連する委員会があるという形で、「医師とそれ以外」については学生実習・勧誘や新卒者の育成のシステムが完全に分断されているのも課題だなぁと改めて実感しました。

自分が他職種の研修委員会にはいると圧迫感があるかもしれんので、毎年くる専攻医か、医長のどっちかに入ってもらったほうがいいかもしれんなぁと思います。

まあ、そういったシステムの話はまたおいおい。



で、今回見学に入ってくれた学生ですが、病棟で顔を合わせるときはなかなか会話する機会がなく、病棟多職種カンファでは発言してもらうものの頑張って用意してきた原稿を読み上げて終わりみたいになってしまっていて、なんとなくもったいないなぁという気がして遠目に見ていました。


しかし、外来の診察室という狭い個室空間で、たった一時間程度ですが色々喋りながら実際の患者診察にも付き合ってもらうことで、けっこういろいろ見えてきて面白かったです。

将来の志望(専門性や、フィールドとして病院や門前薬局やドラッグストアのどれにどういう魅力感じるのかとか)や、勉強の仕方(今日の治療薬を大事に使っているが、それ以外に病態生理や診断学や研修医向けの治療選択マニュアルは読んでないのねとか、サンフォードは名前はしってるのねとか)、他の医者が出した不思議処方の検討会(なんで上気道炎なのに胃薬いれてるんだろうねとか、エビデンスがないと言われている風邪へのリン酸コデインをだす医師の心境や、患者・医師との間のやり取りとか)が盛り上がりました。

同時並行で初期研修医の指導外来もしていたんですが、「すごいデータ悪いのに本人はケロッとしているのが逆に気持ち悪いから、少し丁寧に診察と検査して、慎重なフォローアップしましょう」という話を研修医としていたら「見た目が元気なのはなんで気持ち悪いんですか?」と薬学生から質問があり、その次に悪性腫瘍進行期で相応に元気がない人とか、逆に重症疾患だけど元気な人を一緒に見ながら「全身状態の印象はかなり重要だし、その印象とデータが合わない時はそのギャップを慎重に考えないと落とし穴があるんだよね」という話をして、医師や看護師以外にも薬剤師が病棟患者訪問したときに違和感持ったら報告してほしいメッセージを伝えてみたり

また、エビデンスがないと思いながらも処方することを選択するプロセスを何例かみてもらうなかで、「科学的なデータとして何%数値が良くなるかだけでなく、患者目線での不安や関心が和らぐために費用と副作用が許容範囲であれば敢えて出すことがある(本来は不適切であることを強調しつつ)」とか、そういうときに薬局で「え!?これは貴方の病名や症状には不適切な薬ですよ!!ちょっとまってて、医師に確認してくるから!!」とやっちゃうと色々台無しなので、変だなと思ったらその文脈を知り医師の個性を把握するためにも批判的にならず機械的でもない疑義照会をするスキル・態度を持ってくれるとみんな幸せだよねとか。

あとは、病棟患者でバンコマイシンを投与する時、TDMシミュレーションを今は薬剤師がやってくれるけど、数年前までは何度お願いしても無理と言われていた状況や、実際やってくれるようになって投与量がずれて副作用が出る確率がとても減ったこととかを伝え、薬剤師が積極的に病棟診療に関わることで診療の質が高まることを伝えてみたり、

一方で、細かくシミュレーションしすぎてバンコマイシン1.66Aとか細かい投与になると、不慣れな病棟看護師が投与量計算エラーを起こして結果的に診療の質が下がるかもしれないので、現場の忙しさや習熟度、何を専門とする部門なのかを考慮して医師に投与設計を提示できるといいよとか、
集中治療室などで厳密かつ濃厚な薬物療法の経験をしばらくしてから、うちみたいな亜急性期一般病棟に来て、「集中治療室と同じことができるべきだ!」と息巻いてるとみんなから疎まれるのは想像に難くないでしょうとお伝えして、長いものにまかれろではないけどその場その場の分化や得手不得手を見抜きながら連携するしなやかさを持ってほしいとか、色々なお話が出来ました。



これを、ある程度経験をもち信念ができちゃってからお伝えするのは難しいこともあり、やはり学生時代から接していろいろ伝えていくことは、無限の可能性があるなぁと思いました。


医者から他職種へ一方通行に教えるのもまた違和感はあるので、うちの医学生や研修医達にも教えてもらい、双方に教えあう(理想的には双方向の矢印なんかがみえないくらい、複雑に相互に影響し合いながら自然と教え合い学びあう)感じになっていけばいいなぁと思います。

実際、数年前からは初めてローテしてきた初期研修医には、各職種からオリエンテーションしてもらうようにしていて、それ以降は研修医達もほっといても薬局や栄養科やリハ室に自分で連絡したり、治療計画や退院計画を一緒に相談する姿が増えてきていいもんだと思うようになりました。


あ、てことは、他職種学生が来たときにも、最初に挨拶兼ねたオリエンテーションさせてもらうといいのかな。

医師による実地指導というとおかたくて遠慮されやすいので、オリエンテーションどうっすか?というスタンスがいいかもしれんですね。


よし、やってみよう。





 

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「型に基づくカルテの書き方と 型を無視する医師のココロ」という講演をしてきます in北海道診療情報管理研究会学術集会

「型が身につくカルテの書き方」の書籍出版関連イベントもついにここまで来ました。カルテの管理や活用のプロである「診療情報管理士」の集まりに呼ばれて講演することになってしまいました。

第146回北海道診療情報管理研究会学術集会

2016年9月10日土曜日の午後に、札幌市内でやってきます。



正直けっこうビビっています。


武者震い、かもしれません。




ちなみに、診療情報管理士については、ググッていろいろ調べてなんとなくは理解しましたので、興味ある方はこちらのリンクたちをご参照くださいな。

日本診療情報管理士会


日本診療情報管理学会

Wikipedia : 診療情報管理士

単にカルテを集めて、「サマリー書いてくださいねー」と言い続ける人たち。ではなく、質の高い診療情報の収集管理と「活用」のプロのようです。

診療情報を分析して、病院の医療の質などを評価し、今後のカイゼンに向けてのデータを出したりしてくれるのが本来の姿だが、なかなか忙殺されていてできていないみたいな記載もありますね。

本来の仕事でガンガンせっついてほしいなぁと思いました。



で、そんな感じで普段あまり接点がなくて予備知識のない職種集団が相手のため(ホントはあるのかもしれませんが、あまり把握できていません)、事前ニーズ調査をさせていただきました。

たくさん意見をいただきましたが、おおきくわけると

「ちゃんとした書き方(の基本)を学びたい」というものと

「ていうかなんで医者ってちゃんとカルテ書かないんだろう(そんなぶっきらぼうな言い方ではなく奥ゆかしい意見ばかりでしたよ)」の2つにわけられました。

というわけで、今回のようなテーマ「書き方 と 医師のココロ」にしました。



用意した資料は書き方の部分がメインですが、当日の口頭での補足で医師のココロの部分をいろいろと解説してみようと思います。


160910-カルテ講演in診療情報管理研究会「型に基づくカルテの書き方と型を無視する医師のココロ」.pdf by けんた on Scribd




90分も頂いてしまったので、駆け足で喋って60分程度の内容にしておいて、おそらく真面目で細かいことも学びたい人が多いと予想して普段より丁寧にしゃべると質疑応答含めてちょうどいいかなと思っています。


さて、どうなることやら・・・


楽しみですねぇ。特に質疑応答が。






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「在宅分野で働く人のための急変発見+報告学習会」終わりました。めっちゃ盛り上がりました。持ちネタのストックにいれました

本日7月14日の18時から20時まで、勤医協在宅という普段連携している在宅法人(訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、施設関係、ケアマネ、などなどの所属する法人)との合同学習会をしてきました。

通年で、認知症、終末期、メンタルヘルスなどのテーマで学習会(各職種からのレクチャー中心)と事例検討会(病院と在宅と合同で、テーマに沿った大変だった事例の振り返りと学習)を毎月交互に、それぞれ1時間ずつでやっているイベントで、今年で3年目に入ります。


なんですが、今回は例外で、元々のテーマとは関係なく「急変」をテーマに2時間ぶっ通しの学習会をすることになりました。
 
私のほうで、昨年度の振り返りをした時に「来年は急変対応関係の学習会をやりたい」と明文化してお伝えしていたこと、在宅側でも「より医療依存度の高い不安定な利用者が増えており、ヘルパーなど看護・医療経験のない介護職が急変の第一発見者になり戸惑うケースが増えている」というニーズの増加がマッチし、急遽「じゃあ、やろう!」ということになりました。

毎度、無理な要求をだし理想的なイメージを言うだけの私の言葉を全部受け止め、それを形にして、参加者を集めて場の雰囲気も作り、その後の活動につなげていってくれている、勤医協在宅の育成部の方には感謝ですね。



配布資料などを一応載せておきますね。

実際は、プレゼン資料はもっと多くの解説スライドがあったし、口頭で補った量が半端無くたくさんあるので、資料だけみても半分くらいしか伝わらないと思いますが、何かの参考にはなるでしょう。

160714-勤医協在宅「急変発見+コール」学習会_配布資料 by けんた on Scribd



プレゼン資料のハンドアウトです。

160714-急変報告学習会症例シナリオ by けんた on Scribd



報告のロールプレイでつかった設定用シナリオです。

160714-急変コールのプレゼンフォーマット by けんた on Scribd



学習会でつかった、報告のロールプレイ様のフォーマットです。
当院看護師が実際に救急対応で使っているシートを基本に、今回の学習会で使ったり強調した用語を組み込み、介護職が使いやすいように若干アレンジしています。
 



終わってみた感想も書いておきます。


まず、2時間ぶっ通しで「急変前発見」と「急変後報告」をやるのは、詰め込みすぎではないか?と思っていましたが、見当はずれでした。

2つセットにすることで理解の質が跳ね上がり、明日からの実践が変わる可能性が劇的に向上すると実感しました。

また、ワーク中心であり、現場で働きながら様々な経験を積み実践されているモチベーションの高い人たちの参加のため、2時間はあっという間でした。


伝える内容も、まわりに医者も看護師もいなくて、検査もできず、パルスオキシメーターもなく、自分で血圧も測れない「介護職のみ」の現場で何ができるかに特化して、バイタルではなく五感や直観で判断するように重点を置いたのは正解でした。
これだけでも、多くのことが判断できるということが伝わったし、判断できるんだなと自分でも再発見出来ました。

また、伝え方も、難しい専門用語や評価を述べなくても、普段の様子を観察して知っている介護者だからわかる「普段と違う感覚」を、General appearanceの変化、急変前徴候、そしてバイタルサインの数値が測定できなくても五感ではかって「ショックや意識障害という医療者が反射的に飛びつく用語」だけ覚えればなんとかなるということが伝わり、実際に横で聞いていて「すぐ患者連れて来て!」と思えるプレゼンをたった20分で習得する人たちを見ていて、「この学習会、すげーな」と思いました。我ながら。


また、普段から、急変するかもしれない利用者と接している介護職の不安感の強さを実感したり、そんな中でも勇気を出して病院に電話をかけたのに撃沈して萎縮しているという事実を改めて知ったり(某病院の救急に電話かけて、急変だと思っても電話しにくくなったという話もでたり)、でも医療や看護のかっこいい感じを自分でもやりたいという思いがあって「JCSⅠ-3の意識障害があり、今日中に受診させたいのですがよろしいでしょうか!?」という感じで「JCSって言っちゃったよあたしー」という高揚感をみていて微笑ましかったりで、多くの気付きを得られました。

主催者の方とも「こりゃすごいね!」という話で盛り上がっていたので、今後も各部門でやったり、毎年ルーチンのオリエンテーション内容にしてみたいなということになってきました。


病院側の各職員(当院は看護師・リハ・事務で、この急変報告フォーマットをとりあえず知っていてなんとなく使えるレベルの人が少しずつ増えてきている)と、介護側の全スタッフが同じ用語とツールでやり取りできるようになると、人を増やしたり頑張って育てなくても「今いる人達が普通にしているだけ」で仕事の質があがり、患者・利用者の健康アウトカムが良くなり、地域が明るく良い物になっていく!

そんな実感がもてた二時間でした。


やるまえは体力・気力とも死にかけていましたが、に時間終わったあとに元気になれる学習会講師経験はなかなかないので、こういう地域・介護系の多職種協同学習の場は好きなのかもしれませんね。

いままでは、「家庭医としてやるべきだけど、なかなか機会がないし、そもそも得意でもない」と思い込んでいたけどそうでもないのかもしれません。


また、5年間同じ病院で、ビジョンをもって活動と発信をしていくと、自然とそれに協賛して協力してくれる強力なパートナーが現れたり、作った場に多くのモチベーション高い人が集まってくるようになるんだなという実感も大きいです。

これが「地域に根ざして活動を続ける家庭医療なんだな!」と、5~6年前に先輩家庭医達をみて「すげーな。でもオレには無理だな」と思っていた世界に手が届いた感じが嬉しかったです。


他にも、地域の貧困者の把握と介入を志す保健・看護系の大学院の方から連絡がきたり、区役所の保健福祉課の方と繋がるきっかけができたり、関西の超有名講師がでてる学習イベントの講師にお声がかかったり、「いつかやってみたい」と思っていたテーマを「この雑誌すげーな」と思っていた雑誌で責任編集させてもらえたりと、「この場で、志をもって、活動し、発信し続ける」ことのお釣りみたいなのが次々と集まってきていて、ほんと自分の想像を超える、すごいことが目の前で次々起きてきています。

奇跡の連鎖というかなんというか。


ものすごい世界に、足を半分どころか、首根っこまで突っ込んでいます。

どこまでたどり着けるのか、「野望達成への道」の終着点はまだまだ見えませぬ。


 

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看護師も、医師と同じように「病名」を診断しプレゼンできるべきか?

最近、院内の看護師対象に「急変患者対応と、医師への報告」についての学習会がありました。

昨年度もやったもので、基本的には後期研修医に講師をしてもらっています。


SBARとかISBARCを基本にして、とにかく最初の一言で医者の心をつかめる、的を射たプレゼンを身につけましょうという学習会です。
http://nurse-senka.jp/contents/press/214078/


昨年度は、この学習会をロールプレイ形式で行い、ISBARCのポイントと救急当番コール基準を書いた紙を外来や病棟において、普段あんまり急変に遭遇しない看護師でもとりあえずそのままやれば程々になるような仕組みを作りました。

1年も経つとその紙の存在を知らない人や、あっても使い方がわからない人が増えて寂しい思いもしますが、スタッフが入れ替わり続ける(よくいえば)新陳代謝の活発な組織であれば当然なので、毎年繰り返したり、年度が変わっても風化しない文化レベルにまで組み込むのを目指してもうひと踏ん張りしたいところです(今月は、自分が講師で全職種対象に同様の学習会するので、そこでもう一捻りできればとは思っています)。



して、その学習会の資料を、法人内の総合診療系医師が参加するメーリングリストで共有してもらいました。

その中でいろいろと感想がでて、自分もコメントして、けっこう話が広がっています。単発の学習会をいろんな形でつかいまわして最大限の学習効果を産みたいと考えているので、こういう連鎖反応は嬉しいなと思います。




その中で、以前にこういった学習会を経験したことのある後期研修医からでていた、「看護師がアセスメントを述べる抵抗感」について、メーリングリストで掘り下げたのでこっちにも転記します。

あまりに掘り下げすぎて長文になってしまったので、おそらくメーリス参加者の半分は全部読まず、2~3人は反感を覚えたりしていると思いますが、一部の人には届いているかもしれないし、ブログ転載することでまた知らない人からの反響があるかもしれないのでとりあえず載っけてみます。



以下、転載部分(個人名消したり、わかりやすさ考えて改行したりはしています)
============================ 

この「看護師が医師にアセスメントをプレゼンするときの抵抗感」は、自分が学習会した時にも、昨年度後期研修医が学習会をした時にも出ていたと思います。


それも当然で、本来「病気の診断(正確には「医業」で、明確な記載は見つけられないですが医業には”診断”も含まれると私は解釈しています)は医師以外がやってはいけない」と法的に決められていることです。

看護記録の教本や監査等でも「看護記録のアセスメントに(医者がまだ診断してないのに自分の独断でかってに)病名を書いてはいけない。看護診断を書くのだ」というのが基本スタンスだと理解しています。
なので、看護系の大学等でもそう教えているとおもっています。

病棟で、「的確に鮮やかな診断をして若手医師を急かすベテランおばちゃん看護師(ありがたいけど、イケイケドンドンな若い時にはけっこう煩わしく感じることもある、ありがた~い存在)」がカルテに疑い病名を書き、師長や主任に後日ダメだしされている光景も、複数の院所で(特に監査とかの直前には)何度か見てきています。

カルテに書いちゃいけない違法行為を、医者とのコミュニケーションでは行えっていうのはちょっと無茶だと思うんですよね。
(解釈に間違いがあればご指摘ください。直します)
 

一方で、病気のレクチャーは医師が看護学生や看護師にしますね。

単なる「医者は看護師より偉い」という構図からなのか、看護師の指導者や学校教師も看護師なので疾病や診断についてあれこれ言えないという暗黙の了解も影響しているからなのかわかりませんが。


看護師から看護学のレクチャー受けたことがある、多職種連携に関心のあるお医者さんってどれくらいいますかね?

自分はケアマネさんたちからいろいろ習った経験はあるけど、看護については学生時代に一緒に学習会した看護学生たちと学んだ看護診断のテキストい書いてある知識と、あとはそのへんの看護師指導で繰り広げられている(ナースステーションや飲み会などで見聞きできる範囲の)耳学問程度しかありません。
 



・・・・・・ちょっと変ですよね。

看護師の思考パターンや専門的な評価方法を知らずに「まあそんなもんはしらんけど、お医者様はこうやって考えてるんだから、お前らも同じように考えろや!」と指導する。

でも、看護師にやってほしいことをしてもらえないと「看護師は医者の手下じゃないんだから、看護師としての専門性を発揮してきちんと働けよ」と言ってみたり。


なので、「看護師が的確に病態を評価できない、病名でプレゼンできない」のは、決して個々の看護師の、単なる知識や努力や意識の問題ではないと思います。

これまでのカリキュラムや、明文化されていなくても見えない圧力的なモノが「看護師がアセスメント(というか病名)を言うこと」にプレッシャーをかけています(と思っています)。


そういった文脈を無視して「いいから診断名を自分なりに考えていってみな」というのはパワハラに近いのではと思うようになりました。

最近気づいたので、数年前まではパワハラしていました、自分も。

患者中心の医療の方法を学んでから気付きましたね、意味のわからんリアクションが出たら背景とか文脈探りなよって書いてありますしね




そして、私個人としては「看護師が”看護アセスメント”する必要はあるが、医師の視点での”病名”をいう必要はない」と思っています。


もちろん、専門病棟の急性疾患診療では「病名」を元に診療が行われるので、その病棟のCommonな病名については詳しくあったほうがよいでしょう。

その病気らしさを自分なりに判断できることは、診療の効率やエラーの予防の視点で、医師のダブルチェック役としてや、医師と二人三脚で的確な診療を迅速に行うためには重要でしょう。

そういう場面で「看護師が病名を口にするな!」といいたいわけではないです(口にする事自体はここまでの文章でも否定しておらず、あくまで看護師が自分で病名を編み出す”診断”はしなくていいんじゃないという主張です)


しかし、実際は看護師が的確な「病名」をいえなくても、「看護師として集めた、医師よりも患者に近い視点での情報が、そして看護師としての看護診断が、そして看護師としての経験からくる勘が、やばいと告げている!」ということが伝わればいいし、それがSBARやISBARCのアセスメントだと思います。


ISBARCなどを推進するような意識の高い看護師は、おそらく前者の専門的なところの看護師だと思うので、「看護師たるもの」の基準が高いと思うし、看護師が診断できるくらいのレベルでないと働けない職場なのかもしれません。

しかし民間の中小病院や診療所で働く我々一医師が「ちょっとまずいでしょ。教育しなきゃ」と感じるような現場は、そういう現場とはけっこう違うと思うので、直輸入してうまくいかないのも当たり前だろうなぁと思います。



後期研修医が例としてこんなことを書いていました。

「うちの診療所の看護師も、病名をプレゼンするのはやはり抵抗感があるみたい。でも、看護師が「ガスとりますか?」「CTとりますか?」とこちらの反応を伺うように言ってくるときは、やばい時だと思って自分も走って患者のところに駆けつけます」というのがありました。

この「血ガス取りますか?(取るくらい重症だと思うんだけど、先生もそう思うよね?ね?)」というのは、まさに適切な看護師のアセスメントのプレゼンだと思います。


自分も、初期研修医の時、何の気なしに腹痛患者に対して生食点滴の指示だしたときに、ベテラン看護師が「もちろん造影用のルートでキープしといたほうがいいですよね」といわれて「ああ、そうか、急性腹症だよね。造影CT取る可能性あるよね。やばい、もう一回腹部診察しよう」と思い直して救われたケースが何回もありました。




なので、ISBARCの学習会などをして、アセスメントについて質問されたときは、

「わかるんなら病名を言ってもいいと思いますよ。ただ、たいていは特定の医師を怒らせて返って職場全体が萎縮するからやめたほうが良いと思います。その辺の相手の選び方は皆さんのほうが上手だと思います。オフレコですけどね。

ただ、やばいと思っているのかどうかの評価はしているはずなので、その判断は頑張って伝えて欲しいです。

また、拒絶されるかもしれないけど、看護師の立場で医師にしてほしいことは、言ったほうが良いよ」という感じで説明しています。


あと「看護師さん達、忙しくなるとみんな指示の復唱しないで、口頭指示の指示受けミスが起きることをたまに経験するから、ISBARC最後の”指示の復唱”はすごく大事だよ」という辺りを、最近は強調しています。伝わっているかわかりませんが。



そして、「病気の診断は皆の情報や各職種のアセスメントを元に医者が責任持ってやるから、きちんと専門職の視点で他の職種に取れない情報取ってきてよね!」とか、「他の職種にできないケアしてよね!」とかの話を最近はよくしますね。

とくに最近は介護職対象の学習会が多いのでそういう話が増えるのかもしれません。


ここを履き替えて、医師が行う業務の診断も皆同じレベルでできるべきだと勘違いし始めるとめんどくさいんですよね。

じゃあお前はPTと同様の歩行分析できんのか?とか、調理師と同じレベルで大量の病院食を的確・安全に作れんのか?とか、ヘルパーと同じレベルであの多忙な現場で利用者の状況に応じた対応できんのか?とかたくさんのブーメランが帰って来てしまいます(が、ブーメランに気がつかないんですよね。なかなか。いや、自戒も込めてですが)
 

本音を言うと、できれば、病気の診断なんてどうでもいいから(どうでもよくないというべきですが)、看護師さんには「看護アセスメント」をちゃんとしてほしいなぁと思います。

卒業した看護学校によって違いが大きいみたいですが、私の周りにはきちんと「看護診断」をして的確に記載できる人少ないんですよね。話をすれば頭のなかでは非言語的にしているみたいなんですが。



いちおうウチら総合診療グループは「他職種協働学習がウリだぜ!」って言っているので、そもそも看護学や介護学をお医者さんも勉強しようよと思っている私からの長い補足でした。



看護過程とか看護アセスメントとか、皆さん知っていますか?
https://j-depo.com/news/assessment-1066.html

ちなみにうちの病棟はゴードン使っていますね。
言葉しかしらず、どれがいいのかとかまで掘り下げた知識はないです。
 

看護診断って、医者の診断やアセスメントとはまったく異なるんですよね。

総合診療医の「複雑な事例の総合的評価」とは同じですが、そっちも言語化して全員の研修医に教える事にはなっていませんね。1年目で教わるとマニアック過ぎて気持ち悪くなりますし。



総合診療医の後期研修では、何回かに分けて看護学について学ぶ機会が必要な気がするんですよねー。

講師をどこから呼ぶかですね。


道内の大学の看護師さんで「我こそは!」な人いませんでしょうか? 私にもいろいろ教えて欲しいです。 



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「異変を訴える患者の“急変前”アセスメント」って言う本を書いたことがありましてね

3年ほど前に日総研さんから出版させていただいた「異変を訴える患者の“急変前”アセスメント」。







ちょっと宣伝も兼ねて、久しぶりに載せてみます。




印税の支払調書届いたので逆算してみると100冊くらいは売れている様子。amazonでは在庫きれてるみたいですが…

日総研さんのwebサイトからは直接注文まだできるようです→ http://nissoken.com/book/1617/index.html 




在宅や施設、回リハ・療養の看護師向けに、初期研修医レベルの評価について割とちゃんと書いたつもりです。

研修医や学生向けにやっている診断学のレクチャーや、職員向けに行っている急変予測・急変予防や、急変患者対応時の医師連絡方法などについて詳しく書いてみました。


個人的にはオススメだし、一緒に働いている人が読んでてくれると嬉しいんですが、そういう素敵な人は見かけなくなって長いですね・・・

今度前職員対象の医療安全学習会で講師やっていい権利をゲットしたので、そこで再度布教活動するかなぁと思っていた矢先の支払調書だったので、うまく活用してみます。
  


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事務や研修医へのGTDの普及活動、してみました

先週末、医局から帰ろうかなーと思っていたところ、同じく残業していた医局事務から「あのー、先生に聞いてもいいことなのかわからないけど、聞いてもいいですか~?」と呼び止められました

「今までの業務とはまったく異なる医局事務にはいり、多彩な業務を同時並行で処理しつつ、ランダムに発生する追加業務の山をどうさばいたらいいのか。先生はたくさん仕事抱えてるけど、どんどん処理していて、何かコツあるんですか?」という質問でした。


自分も、臨床以外の仕事が急激に増えた後期研修後半時期に似たようなことは考えて対応してきたし、確かに経理とか他の畑からこの混沌としたうちの医局に来たら大変だよなとも思っていたので、何かできることないかと考えて手を止めて30分位お話しました。

とはいえ、自分がやっている内容を全部伝えても、「成功者が成功した過程を提示する啓発書・ビジネス書」みたいになってしまい意味が無いんですよね。それが全部出来るタイミングや才能や環境があったから全部出来て成功したのであって、そういうの成功する前提条件が揃っていない人が成功者の行動だけなぞっても無意味ですもんね(自分の経験上も)。


ということで、とりあえず「ツールやコツ」を何か一つだけということで、GTDをお伝えしてみました。

簡単にいうと、頭のなかに抱えている作業を全部書き出して頭をまっさらにすることで、脳の処理能力を最大限引き出しつつ負担感を軽減する方法です。


詳しい説明は、外部リンクですが、以下の2つがわかりやすいかな。

1つ目はわかりやすい解説で、「Inboxの処理」とか、「連絡待ちの扱い」が特に重要で、詳しい説明は2つ目のWikipediaが簡単だとおもいます。

15分で分かるGTD – 仕事を成し遂げる技術の実用的ガイド

Wikipedia - Getting Things Done




で、まあこういう情報を提示して「後読んどいてね」だとダメなので、自分がこういうふうに処理してるんだよねという流れを説明してみました。

実際に自分が使っているツールのGmailとGoogleカレンダー、DropboxとNozbeの画面を見せながら説明したり、思いついたことや言われたことをすぐメモってGmailに送るCaptioを見せながらその速さと簡単さをみせたりして見ました。

途中から、一つのことに集中すると視野が狭くなってしまう後期研修医も参加してきて一緒に「あー、それそうなんですよね。いつも忘れてしまってー」など話しながらやって、有用そうだなと言うのは共有できたと思います。



で、その研修医はその場ですぐにアプリを購入して、翌週にはもう使用開始して楽しんでるのでなんとかなっていくのかなぁという感じです。

一方で事務さんのほうは根っからのアナログ派で、「G T D」とその辺のメモ用紙にメモってその紙が埋もれてしまいそうな端っこに置いて終わってしまったのをみて(その場で指摘はしましたが)、「そうやって新しく発生した仕事を”とりあえずメモっておいて後で処理する”とか”頭のなかに保存しておいて思い出し次第取り組む”いう行動パターンだとうまくいかないんですよね」という話をしたりしてました。

アナログ派でマルチタスクを処理している人ってどうやってるんですかね。これは自分には答えようがなかったです。



もちろん、マルチタスクではなくシングルタスクになるように作業環境を変えられればいいですがそうそうすぐ周囲の状況を先に変えられる人はいないと思うので、「マルチタスクを、少なくとも自分の脳内ではシングルタスクに写し直して、脳の疲弊や心理的消耗を避ける」という戦略は、わりとよいと思うんですよね。

過去の自分が経験したように、あまり習熟し過ぎると桁違いに仕事を処理できるようになってしまい、抱える仕事の量が増えて結果的に元に戻るとか、周りに人の成長やシステムの成熟を促すきっかけを消してしまい組織全体としては衰退するとかにつながりかねないので程々が重要ですけどね。



自分は後期研修中に試行錯誤し、2011年にこの病院に来た時にタスク処理のシステムを見なおしし、2013年に限界を迎えてもう一度見直しをして、その後は同じシステムを使っていたけど2015年に入ってからそのシステムを使うヒマと余裕がなくなり、2015年末の振り返りで「あ、あれ重要だよね、やらなきゃ」と思い出す余裕とシステムを再起動する時間ができ、おかげで2016年に入ってからの1週間位は大変快適に過ごせています。

その間の、GTDに取り組んだ時の自分の体験については過去の記事で書いたのでご参照を(長いし、GTDの予備知識ないと読んでも苦痛なだけだと思いますが)


タスク管理システムの見直ししました。これで仕事が快適になるか!?


タスク管理を初めてみての感想



システム自体を稼働し続ける時間的・気力的負担があることは確かですが、この手間を惜しまないことでトータルでの処理能力・負担感が軽減して「気持ちよく早く帰れる」というのはおおきな見返りなので、少なくとも自分はしばらくは今のやり方を続けていければと思います。

今日もあれだけ重症対応や急変、その他もろもろがあったのに19時には仕事終わったのは確実にタスク管理スキルのおかげですしね
 

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勤医協在宅法人の年末イベント「実践事例報告会」で「生活・社会の専門家としての専門職連携」的な講演をしてきました

在宅法人全員が集まっての活動報告会で、最後の講演を努めさせていただきました。

今年度は通年で各スタッフの学習課題(認知症、終末期、メンタルヘルス、リハビリなど)を決めて学習し、それにもとづいて事例に取り組み、この時に発表してディスカッション・振り返りを行うという計画的な学習がされていました。

その総まとめの集会の最後ということで、少し視野を広げたり考え方を変えるきっかけになりそうな情報を、あえて一本にわかりやすくまとめずバラバラと出してみました。
 
今取り組んでいる大変な仕事に対して、面白さややり甲斐やプライドや自負などを感じながら取り組めるようになればいいなぁと思って作ったので、そのへんが伝わっていれば嬉しいです。



講演資料はこれです。

151217勤医協在宅実践事例報告会_全体講演「生活・社会の専門家としての専門職連携」 by けんた


 

想定していたよりも話しやすく、予想以上に受けて、爆笑も何度も出ました。

最初は「うわー、みんな介護系だわ、超アウェーだわ」と思ってましたけど、実際は自分が「地域密着型中小病院の病院家庭医」としてやりたいことと彼らのやりたいこと・やっていることは、大病院の急性期・専門医療よりも近いので、同じとまではいわないけど近い目線・立ち位置ではなしが出来たってことなのかなと思いました。

また、自分もある程度年をとったのか、ダジャレや時事ネタなどを使いつつ、参加者のいじり方も綾小路きみまろ的なニュアンスもでてきて、中高年層に受けたのかもと思いました。若手と呼ばれていた頃とは明らかに話し方が変わってました。

自分は病棟医療のほうが好きだけど、気が合う人達は地域にいるのかもしれませんねー・・・


 


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「札病若手看護師フィジカルアセスメントセミナー」の配布資料

当院の、若手看護師(卒後1~3年目、各病棟や外来合わせて9名)対象に行った学習会の資料です。

札病若手看護師フィジカルアセスメントセミナー by けんた



内容は、数年前に日総研で行った外部向けのセミナーや「急変前アセスメント」の本に書いた内容を圧縮したものです。




久しぶりに院内の看護師向けの教育イベントをやりました。そういえば。

うちの看護部は、いままでローテしてきた病院に比べると圧倒的に看護部からの講師依頼が少ないんですよね、なんででしょう。

他県の看護協会とか、他の地域の民医連での他職種向け学習会とか、日総研さんとか外部でばっかりやってる気がします。

まあ、それはさておき。



やはり、「教えることで自分の勉強にもなる」というのは今回久しぶりに実感しました。

いつも学生や研修医には教えてますが、立場や視点の違う人に教える機会は、彼ら・彼女らが普段何をどういうふうに見て何に困っているかを深く想像する機会になるので、相手の理解が深まりますね(思い違いかもしれませんけど)。


また、現場で一緒に働く看護師が学んでくれるので、すぐに現場の実践レベルが跳ね上がるのも嬉しいです。

何年か前に自分で、去年は後期研修医に講師依頼して院内看護師向けに同様の学習会して、それからしばらくは看護師の急変発見能力向上や、看護師からの電話連絡がわかりやすくなるなど明らかに現場が変わりました。

1年持たずに学習内容が消えていったり(異動も多いですしね)、「ホント勉強してほしいなこの人は!」て人ほどそもそも学習会に参加してなかったりが残念ではありますが。まあ、それは職種にかかわらずだれにでも言えることですね。



近いうちに、今度は若手でなく全職場・全世代対象に同様の学習会の予定もあり(これは、急変事例があり→医師のM&Mカンファで振り返りをおこない→その内容を報告書にまとめて医療安全委員会や該当部門に提出→部会等で共有され看護師サイドから依頼があるといういい流れででてきたイベントです)、「すでにうちの新人たちが学んで実践できてる内容だし」という前振りもつくれたので、きっと以前の学習会よりはより浸透しやすいのではないかと期待してます。

あとは、うちの内科に看護学生がローテしてくれるようにならんかなというところとか、毎年の看護師オリエンテーションの部分に絡ませてもらえないかなとかを相談していければいい感じですかね-。



こういう多職種共同学習(いわゆるInter-Professional Learning)的な活動は、総合診療医のとても重要な能力であり、総合診療医の診療の質を高めるための大切な手段(消化器内科医が内視鏡の技術を高めるのと同じ位置づけ)なので、ほそぼそとでも継続していければとおもいます。



 



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立場を越えて北海道の地域を良くしたい人たちの集まり、楽しんできました!医療だけで孤軍奮闘では超えられない壁もなんとかなりそうです

今日は、『超高齢社会が進展する北海道のこれからの在り方を考える有志の会』(仮称)設立発起人会という名前の飲み会でした。

基本的に社交的な場はかなり苦手なんですが、個人的な縁が驚きの連鎖反応を続けてしまい、参加することになりました。



もともとは、総合診療とリハビリで困っている人たちや困ってない人たち、そして地域をいい感じにしていこー!と思って現場にこだわってやっていたのが、応援してくれる指導医が現れ、その人が札幌市内で地域づくりや健康増進に関心を持つリハ医につなげてくれ、その人が病院ベースの街づくりの計画に巻き込んでくれたり、それに共感するスーパー事務やソーシャルワーカーにつなげてくれ、そして今日の会になりました。

地域密着型の野望に熱いリハ医、やり手事務とソーシャルワーカー、ビジョンを持って先進的に活動する訪問看護ステーション管理者というか現場にこだわる一実践者と、ともに働く熱いソーシャルワーカー、そして自分とは全く異なる経歴で大病院総合内科や米国仕込み家庭医療や海外での研修もしてきたスーパー総合医、さらには道庁のやり手の課長さんまで参加しての、あくまで北海道や札幌市の今と今後にこだわり暑いビジョンをもち、実践と実力が伴う人たちの、ちょっと高級な料亭での会合でした。

総合診療医とか法人内とかでなく、職種も専門性も所属もキャリアも違うのに、妙に話の合う方々の集まりで、胸が熱くなりました!


自分が普段考えていて、一緒に働く後期研修医や多職種は共感してくれるのに本院の上司には伝わらないような「細かいことおいといて、とにかくこういうことやりたいんだよ!」ってことを好きに喋れて、そして驚くほど皆さんが激しく頷いてくれ、さらに上や横の視点から話をかぶせてきてくれて、とっても刺激的で満足感の高い場でした。

これを、全国規模とか北海道規模でなく、そういう規模の日本の将来を心配しつつも自力でどうにかしようと本気で考えてる、札幌市内のことを本気で取り組み成果を出してきてる人たちと意気投合できたのはとても良い体験でした。

英語にすると軽薄な感じですが自分が大切にしている、Thonk globally, sct locallyを実践している人たちが、自分の知らないところにこんなにいるんだという感覚、その人たちがほかでもないこの地域のために暑く活動し続けているんだ!というところがツボ過ぎて、我を忘れて盛り上がってしまいました。


さらに、これが在宅とか介護とか行政とかの、下手したら対立した意見になりやすい立場の関係者がなんの違和感もなく意気投合できたのはすごいなぁという感じです。

道庁の方は、さすがにお酒が入ってもきちんと言葉を選んで喋られていてすごいなーと思いましたが、それでも言葉の端々に漏れ出る本音とまでは言わないけど価値観のしみ出しが胸アツですてきでした。


また、これが、単に交流自体が目的な自己満イベントではなく、地域や国を明日からや数年後にどうするかを見据えた実務的な視点での交流であり、でも夢見がちで地に足がついてないわけでなくきちんと個々の所属・管理施設や法人の利益と国や地方自治体の経営や持続可能な発展も見据えた言動なところがステキでした。

こういうことを院内とか地域内でやりたいんですよ!



という暑いエネルギーを注入され、自分のやりたいことに変に自信を持って会が終わりました。

いやー、人のつながりとかビジョンの共振とかって、ほんとすごいですねー(*´∀`*)

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在宅・病院合同の事例検討会第1回「初めて施設看取りに取り組んだ事例を振り返って、介護職が主体的に取り組むために」

先週木曜日の夕方に、当法人の在宅部門(勤医協在宅)主催で、当院も共催の形でやっている「多職種・多施設協働、在宅・病院合同の事例検討会」を開催しました。


在宅法人から60名くらい(主に介護職で、他にケアマネや訪問看護師、施設管理者も)、当院からも医師・看護師・リハなどが参加し、総勢80名を超える大規模イベントになってしまいました。

予想外でもあり、想定の範囲内でもあるという不思議な感じです。それだけ関心が高く、かつうちの法人の若手・中堅のモチベーションも高いってことでしょう。


 
この企画の背景としては、まずは昨年度にやっていた在宅と当院での合同学習会が発端でした。

高齢化が進行する地域、地域包括ケアを進めざるを得ない情勢、そんな中で勤医協在宅のトップが「在宅側のスタッフの知識・技術にとどまらず態度や経験なども高めて、今後の困難な時代に立ち向かうだけでなく、より質の高い在宅ケアを提供することで地域住民の生活を守る!」という高い目標を掲げ、当院医師に講師を依頼するという名目で当院事務長に連絡が入り、事務長からの華麗なスルーパスを私が受けたという経過です。

最初は「お医者様が介護職に対して医学的知識を一方的に伝える」という形になりそうだったんですが、ヘルスプロモーションや地域医療の基本は医師以外の医療・介護専門職や地域住民を巻き込み力をつけていくエンパワメントなので、「ちょっとそれはダメでしょう」ということにして、「よくある疾患をテーマに、最新の医学的知識(きちんと家庭医療・老年医学のエビデンスを踏まえて)を最低限提示はしつつ、それをネタにして自分たちの施設・置かれた環境でどうするか」を考える会にさせてもらいました。

在宅法人の抱える事業所が多いこともあって、最初は各事業所のトップクラスの人1-2名ずつで合計30-40名が参加可能な会ということにして、毎月第2木曜18時に開始ということで、しばらく順調にやっていました。

が、日によって参加人数にばらつきが出ること、責任者クラスが参加したら各事業所で伝達講習会をするルールだったのがほとんど実践されていないこと、扱う疾患や事例が行き当たりばったりであること、学習会担当者が病院側の意向や在宅法人トップの意向をあまり理解できておらず徐々に運営が迷走してきたことなどあり、だんだんと暗礁に乗り上げて昨年度末でいったん中止にしていました。

チームビルディングのノーミング期ですね。混乱、混沌・・・
 

ということで、いったんこちらの目指すことやできることをきちんと提示し、在宅側の意向も聞かせてもらう場を作り、今年度の学習会運営担当者さんには双方のニーズを十分理解していただいた上で主体的に通年の学習計画を立てていただき(私がお願いしたのではなくて在宅法人側で主体的にそうした動きになっていたようです、すごいですね)、その計画を聞かせていただいて完全に私も合意し、新たに今年度から体裁を変えて行うことになりました。


まずは、在宅法人側で1年間の学習強化項目があり(終末期、認知症など)、全職員の年度初めの面談でどの項目を重点的に勉強したいかの聞き取りをしています。

そして、2ヶ月単位で学習強化項目を決めて(5・6月は終末期、7・8月は認知症など)、最初の月で在宅側のスタッフによるレクチャーや事例発表会があり、次の月で自分たちがファシリテーターとなって在宅・病院合同での事例検討会をするという流れになりました。

事例検討会参加者も、昨年度のように職責者クラスではなく、現場の若手や中堅で、上記の面談で「関心があり学びたい」と言っている人たちなので、無理に伝達講習会をセットにしなくても現場が変わるだろうと思います。

ここまでの計画を1-2ヶ月程度で立ち上げてしまった、新任の在宅法人教育担当者のAさんは激烈優秀ですね。どの業界にも桁外れに出来る人というのはいるもんだなーと思いました。



というわけで、前振りが長くなりましたが、今回の学習会は「5月の在宅看取りや終末期ケアについての在宅看護師のレクチャーを踏まえて、当法人の家庭医療診療所と多機能施設とで初の施設看取りを成し得た事例を題材に、在宅・病院スタッフで合同の事例検討会をする」というイベントでした。



先月の学習会では、終末期に起こる症状や対応、その中で介護スタッフができること、単に処置をするとかではなく、また死の準備をするだけではなく「いかに生きるか」を共に考えながら接していくことなどポイントをつめこんだレクチャーをされていたようです(参加できなかったので配付資料を見せてもらいました)

その後、事例が決まり、関わっていた診療所看護師が関わったスタッフに対するインタビュー→質的研究でまとめた資料をもらったり、在宅側の事例のまとめの資料をもらい、自分なりにこれらの材料をどう深めるかを考えました。


最初は、アンケートの中で在宅看取りの達成感と同じくらい不安や心理的苦痛の表出があったため、バリント法やSEAなどのReflectionツールを使ってのブリーフィング・グリーフケアをすることも考えました。

それによって、大変な看取りだけどこういう振り返りをすればなんとかなるよということを共有できたらいいかもと。

ただ、曖昧なもやもやを抱える訓練をしていない職種相手であること、想定よりも参加予定者が増えそうなこと、事例に直接関わったスタッフが他の学習会や夜間診療と重なってしまって参加できないことなどが加わったため、ちょっとこの路線ではうまくいかないだろうという雰囲気が2週間前位になって流れました。

だからといって、「こういう時にはこうする」という知識や技術を伝える各論的なセミナーにするのはもったいないなと思いました。人数が多いと伝達効率がわるくなるし、そんなもん本買って調べたり自分たちで勉強会したらいいし。


また、追加アンケートや看護師の振り返り資料をみてみると、「医師との連携が」「看護師がいることが」大事というものが多くて、このまま進んでヘタこけば「お医者様が常に在宅にいたら、私達は今のまま成長しなくてもいいのに」という雰囲気になってしまって「介護職主導でモチベーション高めていこうぜ!」という趣旨と真逆になるかもしれずでちょっともやっと。

で、開催1週間前の時点で、私と在宅の教育担当者とで打ち合わせして、参加予定者の詳細な把握をした上で会の流れを決めて、専門職協働(Interprofessional work)について深めるという方向にしました。


いままでは後期研修医に講師をお願いしていたんですが、事前準備期間がほとんど取れなかったこと(事例ベースの検討だとどうしてもこうなりますね)、新しい試みでどういう参加者層でどんな雰囲気になるか読みきれなかったこともあり、今回は自分で講師やファシリテーターを全部やることにしました。

特に大変とか辛いわけではないんですが、可能なら研修医の成長の糧にしたいとは常に考えているので残念でしたが、せめてイチ参加者として参加した時に他職種・他施設の人から学べるようにというところは配慮して以下の流れにしました。

150618 勤医協在宅事例検討会on終末期・在宅看取り 最終版 by けんた




単に多くの職種で一緒にやるだけではなく「介護職も含めた個々の専門職」がそれぞれの視点や経験を提供しあって連携するためにどうしたら良いか?を考える場にしたいと考え、以下の様な構成にしています。


まず最初は、事例の共有を短時間で済ませました。
事例情報を知らない人や、先月の学習会に参加していない人の比率が高いと聞いていたので、前提条件を揃えるために必要と考えて。


前半ワークでは「介護ができることは?」「在宅看取りのために病棟ができることは?」といった視点を突き詰めることを目指して、あえて「職種別・職場別」に分けてのグループディスカッションをしました。

病院看護師班、在宅看護師班、リハビリ班が1個ずつと、あとは介護職班が8つくらい(1班6名前後)になり各自でディスカッション。それぞれの班には責任者クラスも適度に混じり、中にはあえて別の職種に潜り込む人も少数いて、事例は味わい深い難しさとやり甲斐が同居する事例で(個人情報なので出せずにすみません)、想定通りかなりディスカッションは盛り上がっていました。
いくつかの班ではスタートがやや不安定だったので、次回からはファシリテーターを各班に配置できるように配慮したいなとは思いました。


そしてその後、各班ででた「私達の職種としてはこんな意見がでていた」というのをもった状態で、他職種に提示したり他職種の視点を知ることで相互理解が進むことを目指して、職種混合の後半ワークをしました。

ここで意識したのは変形の「ワールドカフェ」形式で、最初の職種別班で話したあと各テーブルに2名ずつ残ることで、他職種の中で自分の意見を提示するのに慣れていないであろうヘルパー・ケアワーカーなどが意見を言いやすいように配慮し、また2名以外は他の班にいって自分のところの意見をいうことで「職種としての意見」が拡散して各地で混ざるようにしてみました。

直前の準備にはなりましたが、飲食物や会場の雰囲気のセッティングも在宅スタッフやうちの研修医などにも協力してもらえたので少しは良かったと思います(自分はそういうの苦手なのでホント助かります)。

 
最後は各班から意見を発表してもらって全体をまとめていければ良かったんですが、開始時間が10分遅延したり、最初の前提条件を揃えるための時間をそれなりに取ったこともあって省略として、その代わりに各立場を代表する人たち3名(急性期病棟看護師長、在宅側で関わった訪問看護師、介護職の中堅以上の方)にそれぞれの感想などを発表してもらうことでいい感じに締めていただきました。

そのあと短時間だけ自分のメッセージ「大変なことをみんなで、事後振り返りとセットでやれば必ず乗り越えられて、1年後くらいには平気になっているはずだから一緒に頑張ろうぜ!」というのを伝えて終わりました。



感想としては「かなりよかった!」です。

終わったあとも班の中で意見交流が終わらずにずっと話している人がたくさんいたし、アンケート記載もかなり丁寧にたくさん書き込んでくれた人もいたし、帰りに出口で挨拶してましたが笑顔でよってきてくれる人も数名いて雰囲気は良かったです。


段取り、事前資料すり合わせ、当日ワーク案内、ファシリテーター用意などはずさんで反省点はありますが、今後当面はこの方向でやってみて、少しずつよりよいものにしていければと思います。


また、事例検討会をやってやりっぱなしで消えるということがないよう、12月には各テーマ学習会を踏まえて全事業所が事例報告会をするという企画もすでに決まっているので、その時にどうなっているかがみものです。

学習会をきっかけに実践がかわり、職員の動きや考えがかわり、患者・利用者アウトカムが良くなっていれば学習会の成果としてはかなりのものですね(カークパトリックのレベル3~4の評価になります)。

 
あとは、次回以降アンケート工夫すれば、意見集約や感じたことの言語化もできそうなので、ディスカッションして発散して終わりではなく、一定集約して理論化していくこともできそうです。

昨年の自分とはことなり、意見を科学的に集約する質的研究のスキルもちょっとですが身につけたし。 



何はともあれ、一番心配していた初回イベントが結構盛り上がって一安心です。


次回は「認知症」 がテーマで、介護職主体でありつつ病院スタッフにも発見と学びがあるようにということで「ユマにチュード」をレクチャーで扱ってもらった上での事例検討会につなげるつもりです。

乞うご期待!! 


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地方診療所支援活動のその後、遠隔での地域ケアと継続性レクチャー。今年度は地域健康増進拠点病院としての活動が急に動いてきてる感じです

先日、関連地方診療所の支援についての記事を書きましたが、今日はその続編です。


先日の記事はこれです。
http://blog.livedoor.jp/gp_ken/archives/8833458.html


その後、総合診療グループの医師には状況を報告しました(リアクションがないので関心あるんだかないんだかわかりませんが、まあそんなもんでしょう)

また、前回赴任した研修医から現地スタッフに学習会の状況と、今後行く研修医たちがやること(糖尿病患者振り返りと問題リスト作成)も伝えてもらいました。


そして、今週から3週連続・1週間交代でまた研修医たちが赴任することになっており、まずは予定通り糖尿病患者振り返りと問題リスト作成はできており、スタッフ向け学習会も行われているようです。


さらに、今日の午後に、Googleハングアウトで繋げて、札幌から自分が講師として、現地スタッフ向けの地域ケアと他職種による継続的診療実践についてのレクチャーをしました。

他にやってくれそうな人が出なかったし、これ以上遅らせるとタイミング逃してしまうので、昨晩現地の研修医に連絡とって、今朝電話で時間決めて、急ぎで資料送ったりWeb会議環境のセッティングしてもらい、16時から行いました。


資料は前回研修医向けに使ったものと同じですが、現地の分析データは向こうの人達の方が詳しいので説明は圧縮して、理論的背景もあまり詰め込みすぎず、具体的に何をすると現状が良くなりそうで、そのために医師以外ができること(医師以外だからこそ、長く地域にいるからこそできること)を強調し、これまでやってきたことの素晴らしさとその活かし方を、昔の活気のあった時代の診療所や勤医協をイメージしながら話すところを意識してみました。

参加されていたのは、研修医のほか、師長さんや事務長さん含めて4~5名くらいで、Webカメラから見えていた限りでは大きくうなづいたりメモったりといい反応で、途中に挟んだディスカッションでも力強く前向きな意見が出ていて良かったと思います。

あとで研修医帰ってきたらその後現場が少しでも変わったかどうか聞いてみようと思います。



というわけで、地域診療所遠隔支援プロジェクトの最初の立ち上げは思っていたより順調にきてるかなという感触でした。

今後は、研修医が赴任している間のメンテナンス(電話での随時相談、Facebookグループでの医学知識相談など)を続けつつ、成果をなんとかモニタリングして、いい感じの報告書も書いて、今後常勤医師が決まったあとに繋げていき、診療所スタッフの自己満足だけにとどまらず地域の何かが少しでもいい方向に動くようになればいいなとおもいます。


さて、あと一息!


今年度は、今までなかなか手が出せなかった、動かなかった、きっかけがなかった地域健康増進活動が動き始めていて、何か雰囲気や手応えが変わった感じがあります。

この活動もそうですが、他にも在宅法人との定例合同事例検討会や友の会(地域住民の組織)向けの定期健康講演会の企画・運営見直し、地域の独居高齢者の調査と孤立死等予防プロジェクトなどが同時多発的に連鎖しながら動いてきています。

地域包括ケアの導入や高齢化の流れの中で、否応なしに社会のニーズが高まってきた必然かもしれないし、もしかしたら自分の4年間の活動が回り回って少しずつかみ合ってきた成果かもしれませんが、いいことだなと思います。

石の上にも三年?


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「全道web連携の総合医・リハカンファレンス」、開催報告。年々レベルが上がってきていて、また総合医・リハ技師間の相互作用も刺激的で面白かったです

昨日の夜、月1回(第3月曜日18時半~19時半)定例開催のリハビリセミナーを開催しました。


以下は、法人内のメーリングリストで共有した情報のうち、個人情報を削除して、外部の人には伝わりにくい部分は適宜書き足したものです。

誰かの参考になるかもしれないのと、自分のブログ記事数稼ぎ目的のため掲載します。

 

リハビリセミナーは月に1回、リハ専門医のいない院所をwebでつなぎ、患者のリハ視点での評価・介入についてリハ専門医・指導医の先生から指導をいただきながら、各院所の総合診療系の後期研修医やリハビリセラピストの知識技術も向上しよう!という企画です。

中病・札病・釧路・北見・苫小牧の5病院からの参加で、各病院からWeb(グーグルハングアウト)でつないでいます。
随時、新規参加院所は受け付けているので、それ以外の院所で参加してみたい方は、担当者までご連絡ください。



今回は、多発脳梗塞で、易怒性あり、殴る噛むなどリハに抵抗を示す人のリハをどうするか?がテーマでした。
 
以下、カンファ内容についてメモをとりましたので貼り付けます。
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リハビリセミナー 2015年5月18日 18:30~19:40
発表者:◯◯病院
参加者:中病、釧路、北見、苫小牧、札病

■相談したいポイント:
機能的回復見込めるにも関わらず、積極的な機能訓練が困難な患者に向けた訓練の導入について
リハでのかかわり方、今後の方向性の見通し、退院後の生活について、怒りだしに対して投薬などで対処できないか

■症例提示
◯◯歳◯性 多発脳梗塞再発
#意欲低下・リハ拒否 #脱抑制 #左上下肢重度麻痺 など

数年前から左片麻痺あり、最近も右片麻痺が出現。リハビリ目的で転院。

臥位:左上肢ウェルニッケマン肢位
座位:体幹左に崩れやすい 頸部進展位を嫌い頭部が枕につかない
麻痺:ブルンストーム:右Ⅴ-Ⅴ-Ⅵ、左Ⅱ-Ⅱ-Ⅱ
MMT:右上下肢4レベル 左上下肢は1
指示理解は可能、単語レベルの表出可能 明瞭度2 軽度の運動性失語疑い
CTは、前頭葉の軽度萎縮、右中大脳動脈分岐部に広範囲に萎縮など(MRIは時間かかるため拒否あり評価未)
ADL:寝返り…柵把持の協力動作 起居…全介助 端座位…柵把持で数秒保持可能
    起立・歩行…不可 食事…セッティングで半分は自治気接種可能 排泄…尿カテ・オムツ

もともと役所職員で退職後は・・・・、趣味もあった穏やかな人。
脳梗塞を発症してから、ここ数年は人の好き嫌いが激しくなっていた
易怒性が強く、人を選んで対応を変えることがあり、殴る・噛む・蹴るなどの行為でリハビリに抵抗を示す。
家族は妻・次男と3人暮らし



■病歴質問
・性格変化の経過は?
もともと働いていたときはやさしい性格の人。初回の左脳梗塞の時点での性格変化は不明だが、
少なくとも今回の脳梗塞発症前から怒り出しはあったようなので、初回の脳梗塞時の変化かもしれない。
また、これまで失語はなかったが、今回発症してから言語化できない怒りはありそう。

・リハビリ内容ではなく、人によっての差?
が大きいと思う。時間帯や本人の希望に叶うように寄り添っていても、最初の印象で怒ってしまうと、その後訂正されない。

・リハの受け入れで男女の差は?
看護師には女性で受け入れがよいが、リハは男性の受け入れがよい。
趣味や仕事からは、看護師以外の女性から世話をやかれるのがいやかもしれない

・栄養は何キロカロリー入っているのか?
1450kcal しかし体重は入院時から6kg減っている

・もともとの生活は?
奥さんとテレビをみて笑ったりして過ごしていた

・本人のしたいことは?こういうふうに生活したいとか、目標とか?
1度だけ帰りたいと涙を流されることもあった 景色みて泣き出したりすることあった
運動性の失語があって、詳細は聞き取れない

・趣味をしたときの反応は?
新聞を読むのが好きだったので、渡すと拒否なくできている。TV見ているのも好きなのでしていた。
麻雀はリハ室になかったのでできていない。視覚・聴覚は異常ないので、ここがキーになるかもしれない。

・発話明瞭度2であればコミュニケーションできそうだが、できていないのはどうして?
たまに聞き取れるときは明瞭度2くらいで、8-9割は何を言っているのか分からない


■病態のディスカッション
・無気力・アパシーか?

・本人の主な麻痺は左上下肢なので、右膝ロックしてトランスすることになるが、
妻左TKA→杖は右に持っているので、妻1人で介助できるのか?(→今は、トランスファーボード・電動ベッドで、リハ介助で行っている)
後ろから支えるのはどうか?体幹が弱いので前に倒れる可能性がある
妻が運ぶのが難しいのであれば、リフターで運ぶのはどうか?体格関係なく使える。まずはレンタルで使ってみて感触を評価してみては?

・妻は毎日くる 他の家族は見舞いにきているのをみたことない
娘は隣の家に住んでいるが協力あおげるか?

・せん妄ではないので、よく使うのは昼と夜だけ抑肝散を飲むのはどうか
伝えきれなくてイライラしているのであれば、適応になる
レボトミンではなくBZMでもいいかも 怒りの発火を抑制するならデパケンも。
前頭葉の脳梗塞→PICK病のような病態と考えている

・seatingが不安定な状況なので、コミュニケーションが安定してできない可能性は?
いい姿勢で端座位訓練できていたときに、本人の思いが出てきていたかも。
本人の楽な姿勢を考えてみるといいコミュニケーションがとれるかもしれない。

・本人が好きな人に協力してもらって、アクティビティにつなげられたらどうか?

・全体構造報:JIST を勉強してみてもいいかもしれない

・前傾姿勢なのは拘縮か?筋力低下か?
拘縮ならボトックスと筋弛緩薬使ってもよいかもしれない。




■参加者(議事録取ってくれた総合後期研修医)の感想

易怒性やリハへの抵抗があり、さらに軽度の失語もあり本人の思いをくみ取るのが大変な症例でしたが、そんな中でも、本人のしたいことは?とか、普段の生活で本人の楽しそうにしている時はないか?などの質問が出て、
障害を持ってどんな機能・活動レベルであっても、どんな生活をイメージしてどこに向かうのかの「参加」の視点は、迷った時の大事な道しるべだなあと思いました。

また、シーティング(しっかり安定して座ることだそうです)できないと、不安定な姿勢ではリラックスできない・集中できないのではという意見もありました。
失語でうまく自分の気持ちが伝えられないこともあるので、こういうことにも気が付けるようになりたいです。


■自分の感想
一見すると「脳梗塞後遺症で、易怒性とか病態も複雑なので、リエゾンかけて薬で抑えて最低限のリハで施設入れるしか無いっすよね」となりがちな症例でしたが、丁寧に分析することで、「高次脳機能障害や四肢体幹機能障害のせいで自分らしく振る舞えない辛さに苛まれている一人の人間」としての患者像がみえてきて、自然と寄り添いよい所を伸ばすような支援の視点が出てきたのが印象的でした。

また、この間リハビリの研修を少し濃厚に行いカンファレンス運営にも積極的に参加してくれている後期研修医が、活動だけでなく参加に目を向ける質問や、先日担当してくれたレクチャーで行ったようにFIMを元に患者家族介護力をイメージした質問をしているところに成長を感じて嬉しかったです。

同じく1年前に当院でリハビリを勉強してくれた別の後期研修医からも積極的な質問がでて、「総合医がリハビリを学び、総合診療のフィールドで実践しながら力をつけていくこと」が夢物語ではなく普通に実現できることなんだなと感じることができました。

また、リハ専門医やリハ技師と、総合診療医・後期研修医とが一緒になってカンファレンスをするなかで、基本的な部分はある程度共通言語(基本的リハ用語)や共通フレーム(ICFなど)を共有しながら普通に会話が成り立ち、互いに苦手な部分に対して自分の得意領域の知識を提供することでお互いの学びになり、多彩な視点で患者の自力を引き出しながらも本人だけに頑張らせすぎないリハプランが形作られていく様子は見ていて圧巻でした。

また、今年度から参加していただいた施設からの発言も多く、距離を感じさせない臨場感あるディスカッションとなり(片道290km離れてますからねー)、徐々に北海道勤医協のリハ・総合医の輪が広がってきているのも嬉しかったです。


自分自身がリハを学び始めたのは、後期研修が終わってポートフォリオも書き終えたにも関わらず、他のジャンルと比べて圧倒的に知識がなかったリハビリを何とかせねば!と必死になって、卒後7年目になってから自分のための研修環境を作り、指導医やリハ技師から多くの支援をもらいながらでしたが同期や前例がなく先が見えずに途方に暮れそうになることが何度もあったので、感無量です。



立場的にはカンファ内容の補足をして参加できなかった人への理解を促すべきですが、一方通行的な感想の羅列ですいません。
それくらい面白かったです。

ある程度実効性のある活動になるには、やっぱり4~5年くらいは地道にやらないとこうは行かないもんだなーと実感して、今感じている限界や焦り数年後にはなんとかなるのかなとも思えました。


来月は自分の病院からのプレゼンになるので、他の施設の方の勉強になるように、また自分たちや患者さんのためになるように、しっかり準備したいと思います。
​​
今後もどうぞよろしくお願いします。



以上です。

そんな感じで、参加者以上に自分が一人盛り上がっていました。



いいですね、他職種協働でリハを学ぶ環境。
 

 
本当は法人外ともつながりたいですが、そうなるとカンファが収集つかなくなるためしばらくはうちわで継続していく予定です。 

このカンファのやり方自体は、今年6月に行われるプライマリ・ケア連合学会北海道ブロック支部地方会のワークショップで再現するつもりですので、関心のある総合医やリハ技師さんたちはぜひご参加ください。

まだ枠に空きがあるので参加可能だと聞いています(当日飛び込み参加も可能ですが、枠いっぱいになってしまった場合は見学になってしまうので事前申し込みをおすすめしています)


リンクはこちらです→http://goo.gl/r4cgyz

 


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プロフィール

けんた

家庭医療をベースに病院で働く「病院家庭医」なるものを目指して爆進中です。
病名や年齢にかかわらずどんな人の悩みにも対応できる診療能力を身につけることを目指して、北海道各地の病院で初期・後期研修を受けました。

総合内科を中心に研修を開始し、途中から家庭医療学や医学教育学、臨床研究などに興味を持ちながら学習し、2011年に家庭医療専門医を取得しました。
現在は札幌市内の小規模病院で、家庭医療学をベースにした病院総合診療を行ったり研修医・学生・多職種の教育に関わったりしながら、プライマリケア医のためのリハビリテーションフェローシップに参加し学び続けています。

将来は病院をベースにしながらも病院内だけにとどまらず、各医療機関の連携、さらには教育、政治・行政、娯楽などを含めた広い意味での地域共同体を作っていく橋渡しをして、健康に楽しく暮らせる街づくりに貢献できたら面白いなと思っています。

日々の研修での気付きをつづりながら、何か大きな発見が得られないか、blogを通して模索中。

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